次に、図を参照しながら本発明を説明する。そのような図は、本発明を限定するというよりはむしろ説明することを意図しており、本発明の説明を容易にするためにここに含まれている。それらの図は、寸法比率は正確ではなく、機械製図として役立つようには意図されていない。
無炎熱酸化器(FTO)は、用役分配システムへ注入する前に液化天然ガスのような液体を気化させるために、本発明の1つの態様による低温熱交換器と連結されている。その結果として得られた気化装置は、通常従来の燃焼プロセスにはつきものの環境への窒素酸化物(NOx)の放出を最小にする。多孔性の不活性媒体の充填床における商用燃料ガスと空気の熱反応は、無炎熱酸化器を使用して遂行される。反応は、所望により、充填床の内部の非平面反応波(non-planar reaction wave)を確立し維持することができる装置の中で行われる。
一般に、そして1つの典型的な実施態様によれば、気化装置は、充填床を含む容器、充填床の中に伸びる1つまたは2つ以上の供給管、バーナーまたは他の充填床予熱装置、(ペンシルベニア州ブルーベルのティーサーマル社(T-Thermal Company)が提供するSub-X(登録商標)熱交換器のような)熱交換器への連結配管、プロセス制御装置、および大気への排気口を含む。(たとえば図3に示される酸化器によって形成される非平面反応波のような)非平面反応波は、充填床の少なくとも一部を商用の燃料ガスと空気の混合物の最低の反応温度に加熱し、その混合物を制御された速度で供給管に供給することにより確立される。供給管を出る際、商用の燃料ガスと空気の混合物は非平面反応波で反応し、熱と無毒な燃焼生成物を生ずる。
非平面反応波で発生した熱は、運転中ずっと容器の内表面を871℃(1600°F)以上、1316℃(2400°F)未満の温度に維持し、それにより放出NOxの形成を最小にする。高温排気ガスは、容器から、配管を通って、水浴の中に沈められた特殊な低温熱交換器へ導かれる。急冷された排気ガスが水浴を経由する管の外表面と接触するとき、低温液体は熱交換器の内部にある管を通して導かれる。熱交換器の内部の低温液体は、水浴内の加熱されたガスの流れに起因するガス状生成物への相変化を完了する。排気ガスは水浴を出て、煙突経由で大気へ放出される。
装置の天然ガス気化能力は、運転圧条件に依存するが、約4,200,000〜5,700,000m3/日(約150〜200百万立方フィート/日)の範囲にある。無炎熱酸化器の発熱速度は127GJ/時(120MMBtu/hr)であり、窒素酸化物の放出速度は減少する。
無炎酸化プロセスからの窒素酸化物の放出は、3体積%酸素(乾燥量基準)換算値で約2ppmvdであり、それは現行のバーナー排気からの窒素酸化物放出より著しく低い。無炎酸化の使用は、後燃焼接触NOx還元処理システムを不要にするとともに水注入も不要にする。この触媒処理システムが不要になることにより、次には、触媒とそれに関連する(アンモニアのような)還元剤の両方の繰り返し使用が省かれることになる。触媒は、限りある操業寿命を持っており、交換に費用がかかる。還元剤の省略は、アンモニアの貯蔵と取り扱いをしなくなることによって、装置の操作をより安全にすることができる。排気ガスを再加熱するために要求される必要な熱の供給とともに後触媒処理システムの省略は、低温液体を加熱するための無炎酸化排気をすべてを利用することによって、システムエネルギー効率を増加させるであろう。
一般に、図を参照し、そして本発明の1つの態様に従って、装置1、100が、低温液体を気化させるために提供される。低温液体のような液体を加熱しまたは気化させるために、装置1、100は、水中に沈められた熱交換器コイルに熱の供給を提供するために無炎酸化を利用する。
装置1、100は、燃料と空気の混合物の無炎熱酸化によって排気ガスを生成する手段を含む。たとえば、排気ガスを生成する手段は、所望により、充填床29、42、72、112を有する酸化器2、10、40、70、108、充填床29、42、72、112へ燃料と空気の混合物を送るために配置された燃料と空気の混合物の注入口4、54、および酸化器2、10、40、70、108から排気ガスを送るために配置された排気口5、45、78A、78B、114を含む。
装置1、100は、また、排気ガスから低温液体へ熱を伝達する手段も含む。たとえば、熱を伝達する手段は、所望により、熱伝達媒体を保持するように構成された容器122を有する気化器3、容器の中に伸びる低温液体用導管118、144、および排気ガスを生成する手段から容器122へ排気ガスを送るために配置された多孔分散管138を含む。
装置1、100の熱を伝達する手段は排気ガスを生成する手段から排気ガスを受け取るために連結されている。このように、排気ガスを生成する手段における反応すなわち酸化の生成物は、熱を伝達する手段へ送られる。そのような熱伝達は、低温液体の気化を引き起こす。
装置1、100の使用において、燃料と空気の混合物は、無炎熱酸化器2、10、40、70、108の中で酸化され、排気ガスを生成する。その後、熱は、排気ガスから低温液体へ伝達され、それによって低温液体を気化させる。酸化する工程は、所望により、充填床29、42、72、112の中に燃料と空気の混合物を送る工程を含み、伝達する工程は、所望により、水のような熱伝達媒体の中に排気ガスを導入する工程を含む。
本発明の1つの態様に従って低温液体の気化器を変更しまたは改造するために、無炎熱酸化器2、10、40、70、108は気化器3へ連結され、その無炎熱酸化器2、10、40、70、108は気化器3へ排気ガスを送るように構成される。連結する工程は、所望により、無炎酸化器2、10、40、70、108の排気口5、45、78A、78B、114を気化器3の多孔分散管138に連結することを含む。
本発明の別の態様に従ってNOx放出を減少させるために、燃料と空気の混合物は無炎熱酸化器2、10、40、70、108を使用して酸化され、酸化する工程によって発生した排気ガスからの熱は低温液体へ伝達される。NOx放出は、3体積%酸素(乾燥量基準)換算で、NOx約5ppmvd未満、好ましくはNOx約4ppmvd以下、より好ましくはNOx約2ppmvd以下に減らすことができる。NOx放出の削減は、所望により、触媒処理なしで行なわれる。
本発明の別の態様によれば、無炎熱酸化器70は、媒体を含む充填床72、充填床72の中に伸びかつ充填床72の中に反応ガスを送るために配置された出口を有する注入管80を有する。充填床72は、注入管80の出口の近傍の空隙73の輪郭を定める。平円板82は、所望により、注入管80の出口に隣接して配置され、反応ガスを注入管80から遠ざかるように導くように構成される。空隙73は、所望により、実質的に円柱状である。
したがって、無炎熱酸化器中の圧力損失を減少させるために、反応ガスは、注入管80から、充填床72によって輪郭を定められた空隙73に導入してもよい。また、複数の排気口78A、78Bを、酸化器70から反応したガスを排出するために用意してもよい。
本発明が、天然ガス燃料の燃焼から生じる窒素酸化物の放出(NOx)が非常に少ない、効率的な気化技術を提供することが、分かった。たとえば、無炎熱酸化器での約175%過剰空気と比較して、典型的なバーナーシステムは、LNG気化器において40%以内の過剰空気で作動し得る。そのような過剰空気は、それが、酸化器において達成される最大断熱温度を、高水準のNOx生成のためのゼリドビッチ反応機構必要条件未満に制限するという点で有益である。バーナーと無炎熱酸化器の技術を比較したとき、燃料消費量は変わらないが、装置によって扱われるガスの容積は、本発明によれば無炎熱酸化器装置の方が著しく大きい。
水注入を伴うLNG気化器バーナーシステムは、35〜50ppmvdの範囲のNOx放出を生成することができる。本発明による熱源として無炎熱酸化器を使用したLNG気化器は、2ppmvd未満および4ppmvd超のNOx放出も同様に考えられるが、2〜4ppmvdの範囲内のNOx放出を生成することができる(先のNOx放出の値は、乾燥量基準の3体積%酸素に換算されている)。
(たとえばNOx排ガス規制に従うために)NOx放出を減少させるために、バーナーシステムは、典型的には、触媒と還元剤化学薬品の注入を伴う後燃焼処理工程を使用する。これらの後燃焼制御システムは、費用がかかり、維持するのが難しく、かつ触媒の洗浄と置換のために定期的な運転休止を要求する傾向がある。
特に図で説明するために選ばれた実施態様に言及すれば、図1は、本発明の1つの態様による、通常数字1によって示される、気化装置の実施態様の図式的な説明を提供する。気化装置1は、気化器3に連結された無炎熱酸化器2を含む。無炎熱酸化器2は、無炎熱酸化器2内での反応のための燃料と空気の混合物4を受け取るように構成される。無炎熱酸化器2は、また、燃料と空気の混合物4の酸化すなわち反応の結果生成される排気ガス5を送るように構成される。
気化器3は、無炎熱酸化器2から排気ガス5を受け取るように構成される。気化器3は、また、低温液体6を受け取り、かつ気化したガス7を送るように構成される。気化器3は、また、放出物(emissions)8を送るように構成される。
無炎熱酸化器2から気化器3に送られた高温排気ガス5は、低温液体6を蒸気7に気化させる。したがって、排気ガス5からの熱は、低温液体6の気化のための熱源を供給し、無炎熱酸化器2から気化器3に受け取られた排気ガス5は、さらなる処理または大気への放出のいずれかのために放出物8の形で気化器3から放出される。
図2は、通常数字10によって示される、無炎充填床反応器の典型的な実施態様を図示しており、それは、無炎熱酸化器2の構成要素として、図1に示された気化装置1の中で使用することができる。
図2に言及すれば、平面反応波22を含む無炎充填床反応器10内の内部温度帯域の模式図が示されている。無炎充填床反応器10のさらなる詳細は、米国特許第6,015,540号明細書に見いだすことができ、それはそっくりそのまま引用によってここに組み入れられる。
無炎反応器10は、多孔性の不活性媒体29の充填床を有する容器25を含む。容器は耐火材料で内張りされている。平面反応波の前に、典型的には、一定の反応温度より低い温度の低温帯域27がある。平面反応波22の後に、典型的には少なくとも649℃(1200°F)以上の高温帯域26がある。温度検知器20を使用することによって、平面反応波22を、充填床内に位置させ、プロセス制御器28の出力端末(output end)を制御することによって、所望の点に移動させることができる。
この平面反応波温度分布図(temperature profile)は酸化には効果的であるが、腐食性生成物または反応物(たとえば酸性ガスまたはそれらの前駆物質)が低温帯域27において容器25の内表面23上に凝縮する傾向があり得る。腐食性生成物または反応物が、容器25の内部表面23に隣接している耐火材料24の内張りを通して移動するとき、この凝縮が生じる場合がある。さらに、容器が耐熱性合金から造られ、耐火材料の内張りがない場合は、腐食性生成物または反応物が、なおも、低温帯域27において容器の内表面上に凝縮する場合がある。この凝縮は、次には、容器の内表面の侵食に通じる場合がある。結果的に、容器の寿命が縮まる場合もあるし、耐食性を改善するためにより高価な建造材料が必要になるかもしれない。
図3は、無炎充填床反応器40の別の実施態様を示し、それは1つまたは2つ以上の化学薬品を酸化させるために使用することができる。無炎充填床反応器40のさらなる詳細は、米国特許第6,015,540号明細書に見いだすことができる。
図3に言及すれば、通常数字40によって示される無炎充填床反応器は、無炎熱酸化器2の構成要素として、図1に示される気化装置1において使用することができる。
図3に示されるように、無炎充填床反応器は多孔性の不活性媒体の充填床42を含む容器41、容器の内表面64に隣接して位置する容器の耐火性内張り63、反応性のプロセス流44を受け取るための供給管43(容器の中に通じる供給管43の一部は耐火性内張り62で断熱されている。)、反応したプロセス流46を取り出すための排気口45、および充填床42の上に位置する空隙空間47を含む。充填床42は、加熱用注入口49を通して、空気のような加熱された媒体(従来の燃料ガスバーナーによって発生させた燃焼排ガス)48を導入することによって加熱される。反応性プロセス流は、混合装置50の中で、酸化し得る物質を含む蒸気流51、随意の酸化剤流52(たとえば空気または酸素)および随意の補足の燃料ガス流53を混合することによって形成される。
反応性プロセス流を形成した後、それを供給管43の原料注入口54に供給する。その後、反応性プロセス流は、供給管43の出口55に導かれる。非平面反応波56が、供給管43の出口55と容器の底57のほぼまわりの領域に位置する充填床の中に確立される。反応性プロセス流44は非平面反応波56で反応(この実施態様では酸化)し、反応したプロセス流46を生成する。反応したプロセス流46は、充填床42を通り、空隙空間47を通り、そして排気口45から外へ導かれる。
排気口45は、容器41を出る前の反応したプロセス流46が供給管43内の流れ方向とは向流になるように、配置される。排気口45は、空隙空間47または充填床42のいずれに連結してもよい。しかし、排気口は空隙空間47に連結することが好ましい。無炎充填床反応器40内の温度を監視するために、温度検知器58を使用してもよい。温度検知器58から入力を受け取り、それに応答して、反応性プロセス流44、蒸気流51、随意の酸化剤流52、随意の補足の燃料ガス流53および/または加熱された媒体48(たとえば従来の燃料ガスバーナーによって発生させた燃焼排ガス)の流量を制御するために、プロセス制御器59を使用してもよい。
図4は、図1に示された気化装置1の無炎熱酸化器2の構成要素として使用することができる、通常数字70によって示される、無炎熱酸化器の概要透視図を示す。無炎熱酸化器70は、上方は上部表面74まで及ぶ充填床72を含む。充填床72の上部表面74は、少なくとも部分的に、酸化器の上部空隙76の輪郭を定めている。
2つの対立した排気導管78Aおよび78Bが、酸化器の上部空隙76から反応したガスを排出するために、配置されている。特に、充填床72から酸化器の上部空隙76に入る反応したガスは、無炎熱酸化器70から排気ダクト78Aおよび78Bを経由して運ばれる。導管78Aおよび78Bのような2つの対立する排気導管の設置は、無炎熱酸化器70が遭遇した圧力損失を減少させることが判明した。
無炎熱酸化器70は、また、充填床72の中に、充填床72の上部表面74より下の位置に、ガスの予備混合物を送るために、充填床72の中まで下方へ伸びる予備混合ガスディップ管(dip tube)80を含む。ディップ管80は、予備混合ガスディップ管80の出口に隣接して配置されたディップ管出口方向転換平円板82を有する。平円板82は、反応ガスをディップ管の壁から遠ざかるように方向転換するのを助ける。
さて図5に言及すれば、図4に示された無炎熱酸化器70の変形が示されている。特に、図5に示されるように、無炎熱酸化器70の性能を改善するために、その充填床72が変形された無炎熱酸化器70が提供される。ガスが充填床72の中に制約がより少ない状態で流れることができ、無炎熱酸化器70内の圧力損失が下がるように、セラミック媒体床すなわち充填床72の中に、ディップ管出口のすぐ下に、空隙が作成されている。空隙は、円柱状の空隙(voidage)73の形で提供されている。1つの典型的な実施態様においては、空隙73は、約2.44m(約8フィート)(ディップ管出口方向転換平円板82の直径に概略相当する)の直径および約0.91m(約3フィート)の深さを有する。
図5に示された空隙73の態様は形状が実質的に円柱状であるが、空隙は種々様々の幾何学的形状(たとえば、球、半球、楕円、長方形または他の幾何学図形)を有してもよいことが考えられる。
さて図6Aおよび6Bに言及すれば、通常数字100によって示される気化装置の別の実施態様が図示されている。気化装置100は、気化装置100に空気を送り込むように構成された送風機102を含む。送風機102の下流には、充填床を予熱する(後述する)ために気化装置100の運転開始中に使用される運転開始バーナー104がある。送風機102の下流には、また、燃料を、送風機102によって導入された空気と混合するために構成された燃料と空気の混合機106がある。
気化装置100は、また、燃料と空気の混合機106によって提供される燃料と空気の混合物を受け取るように構成された無炎熱酸化器容器108を含む。無炎熱酸化器容器108は、気化装置100において液体を気化させるために使用される熱を発生させる。特に、高温ガスは無炎熱酸化器容器108から高温ガス導管114を経由して運ばれる。
高温ガス導管114から、高温ガスはSCV貯槽122に導入される。その後、ガスは、排気分離器124および排気筒126によってSCV貯槽122から運ばれる。
図6Cは、無炎熱酸化器容器108およびSCV貯槽122の内部の詳細を見せるために壁の一部が取り除かれた、気化装置100のもう一つの立面図である。図6Cにおける図解は、また、無炎熱酸化器108内の燃焼排ガスの流れのパターンを矢印によって示す。
無炎熱酸化器108は、セラミックス充填物112の中まで下方に伸びるディップ管110を含む。燃料と空気の混合物は、セラミックス充填物112内での酸化すなわち反応のためにセラミックス充填物112にディップ管110を通して送られる。燃料と空気の混合物の反応すなわち酸化によって生じた燃焼排ガスは、図6C中の矢印によって示されるように、セラミックス充填物112の中を上方へ進み、無炎熱酸化器108の内部のセラミックス充填物112の上の空間に移動する。その後、燃焼排ガスは、無炎熱酸化器108から外に送り出され、そしてSCV貯槽122に運ぶための高温ガス導管114の中に送り出される。高温ガス導管114は、燃焼排ガスからの熱の損失を減少させるために好ましくは断熱される。
SCV貯槽122は、水または他の適当な媒体のような熱伝達媒体で少なくとも部分的に充填される。運転中は、無炎熱酸化器108からの高温燃焼排ガスは熱伝達媒体の中に導かれ、それが熱伝達媒体の中に泡となって吹き込まれ、熱伝達媒体を加熱し、熱伝達媒体から熱伝達媒体の中に位置する管束の中を流れる低温液体への熱伝達を引き起こす。
より特別には、SCV貯槽122は、高温ガス導管114から高温燃焼排ガスを受け取るために連結されたアセンブリー116のような多岐管と分配器のシステムを含む。多岐管と分配器のアセンブリーの詳細は、後ほど、図7Aないし7Dを参照して記述する。SCV貯槽122は、また、管束118を含み、その管束の中を低温液体が気化のために循環する。管束118のさらなる詳細は、後ほど、図8Aおよび8Bを参照して記述する。液体天然ガス注入口と天然ガス排出口の多岐管は、数字120によって示されるように、SCV貯槽122の中に設けられる。液体天然ガスが管束に導入され、生じる天然ガスが管束から放出されるのは、注入口と排出口の多岐管120によってである。
さて、図7Aないし7Dに言及すれば、多岐管と分配器のアセンブリーの1つの実施態様の詳細が図示されている。アセンブリー116のような多岐管と分配器のアセンブリーは、高温ガス導管114から高温ガスを受け取り、かつSCV貯槽122の中の熱伝達媒体(たとえば水)の中にその高温ガスを送るように構成される。より特別には、多岐管と分配器のアセンブリー116は、加熱されたガスの流れを受け取り、SCV貯槽の中へ実質的に一様に分配するためにそのガスを分割し、高温ガスと熱伝達媒体と最後には管束118の中を循環する液体天然ガスのような低温液体との間の熱伝達を促進する。
特に図7Aに言及すれば、多岐管と分配器のアセンブリー116は、他の横断面形状も考えられるが、実質的に円筒形状の管体(shell)128を含む。管体128はフランジ130によって高温ガス導管114に連結される。管体128の反対端は板132によって蓋をされている。複数のつり金具134は、組み立て、解体、改良および/または保守中に管体128の取り扱いを容易にするために、管体128の上面に沿って設けられている。複数の支柱136が、SCV貯槽122(図示せず)の土台に管体128を支持するために設けられている。
管体128の内部から熱伝達媒体へ高温ガスを分配するのを容易にするために、多岐管と分配器のアセンブリー116には複数の多孔分散管138が設けられている。各多孔分散管138は、管体128から外に伸びており、管体128から高温ガスを受け取り、かつSCV貯槽122内の熱伝達媒体に高温ガスを送るために管体128に連結されている。
図7Bは、多岐管と分配器のアセンブリー116の端面図であるが、それには、多孔分散管138と、多岐管と分配器アセンブリー116の管体128との関係が示されている。特に、各多孔分散管138は、管体128の軸を実質的に横切る角度で、管体128の下部から外に伸びている。
図7Cは、多岐管と分配器のアセンブリー116の横断面端面図であり、多孔分散管138の内部からSCV貯槽122内の熱伝達媒体へ高温ガスが流れるように、各多孔分散管138には、閉鎖端140および多くの開口部142(通常その上部表面に沿って配置されている)が設けられている。
図7Dは、多孔分散管138の一部分の平面図である。各多孔分散管138には、複数列の開口部142がある(図7Dには2列の開口部が示されている)。開口部142によって、高温ガスは、各多孔分散管138の内部から、SCV貯槽122内の熱伝達媒体の中に流れる。
多岐管と分配器のアセンブリー116の特定の実施態様が説明の目的で図に示されているが、熱伝達媒体に高温ガスを送るために、種々様々の配置が使用し得る。気化装置の特定の用途または大きさの制約にも依るが、多岐管と分配器のアセンブリーは、種々様々の形、大きさおよび構成を有することができる。しかしながら、好ましくは、該アセンブリーは、低温液体の気化のために実質的に均一に熱を分配することができるように、熱伝達媒体に高温ガスを実質的に均一に分配するように構成されるであろう。
さて、図8Aおよび8Bには、SCV貯槽122に使用するために構成された管束の典型的な実施態様が図示されている。図8Aに図示された管束144は4本の管を含み、各管は、液体天然ガス(または他の低温液体)の入口146から、気化した天然ガス(または他のガス)の出口148にまで及んでいる。管束144の入口146と出口148は、図6Cに図示された注入口と排出口の多岐管120に該当する。
管束144の横断面端面図(明瞭化のために管は取り除いてある。)である図8Bに図示されるように、入口146と出口148は、管束144のような管束に連結するための開口部が多く設けられている。したがって、多くの管束144が、互いの隣りに配置され、低温液体が気化のために通ることができる流路の密な集団を提供するために、入口146と出口148を連絡し液体が流れるように連結されている。たとえば、入口146と出口148は、15本までのまたはそれ以上の管束144を収容することができ、各管束144は4本の管を含む。そのような実施態様においては、管束アセンブリーは、液体天然ガス(LNG)のような低温液体の流れのために、60本の管を提供するであろう。各管束144は、また、管が4本より少なくてもよいし4本より多くてもよい。そして、管束アセンブリーは、管束が15列より少なくてもよいし15列より多くてもよい。
本発明の1つの態様によれば、無炎熱酸化器は、ディップ管出口に円柱状の空隙を作成するように変更することができる。また、平らな平円板を、反応ガスをディップ管壁から遠ざかるように導くために、ディップ管の端に追加することができる。これらの変更をCFDモデルで実行したところ、圧力損失の著しい低減をもたらし、また、セラミック媒体床内への反応ガスの封じ込めが改善されるように、反応波の形が変化した。
無炎熱酸化器は、内径(ID)1.52cm(60インチ)、長さ6.10m(20フィート)のディップ管を有するCFDモデルに組み立てた。セラミック媒体は、商業用途に使用されているような2.54cm(1インチ)の鞍形状のものを、4.88m(16フィート)の深さに充填して、模擬実験をした。ディップ管は、セラミック媒体床の中に2.44m(8フィート)沈めて、模擬実験をした。2本の直角の排気導管を、セラミック媒体床の表面からの燃焼排ガスを運ぶために使用して、模擬実験をした。導管は、セラミック媒体床の上の頭隙(headspace)に180度離して取り付けて、模擬実験をした。導管の寸法は、高さ0.67m(2.5フィート)、幅4.57m(15フィート)、長さ3.05m(10フィート)にして、模擬実験をした。ディップ管の出口には反応ガスをディップ管壁から遠ざかるように方向転換させるために、直径2.44m(8フィート)の平円板を取り付けて、模擬実験をした。無炎熱酸化器中の圧力損失を低下させるために、ガスがより少ない制約で流れることができるように、セラミック媒体床の中のディップ管出口のすぐ下に空隙を作成して、模擬実験をした。空隙は、直径2.44m(8フィート)、高さ0.91m(3フィート)の円柱状容積にして、模擬実験をした。
LNG気化器は、熱交換器管束および水浴中の圧力損失により熱源に14.9kPa(60インチ水柱)背圧を与えるように、模擬実験をした。ディップ管出口への平円板の付加、およびセラミック媒体床の中に構築された空隙は、無炎熱酸化器中の圧力損失を著しく低減させた。模擬実験では、無炎熱酸化器の総圧力損失はわずか4.2kPa(17インチ水柱(WC))であり、圧力損失の低減は約11.2kPa(約45インチ水柱)であった。
模擬実験によれば、ディップ管を下降する、予備混合されたガスの速度は、約15.2m/s(約50フィート/秒)である。総質量流量は約1996kg/分(約4400ポンド/分)であり、それは129GJ/時(122MMBtu/時)HHVの放熱量を与える。燃焼用空気は1955kg/分(4311ポンド/分)の流速で供給され、燃料ガスは39.13kg/分(86.26ポンド/分)の流速で供給される。そして、模擬実験によれば、燃焼排ガスの体積%組成は次のとおりである。
ディップ管出口の下の随意の円柱状の空隙を有するセラミック床において、ガス速度分布図は著しく異なり、それが静圧損失の著しい低減に寄与することが分かった。特に、ディップ管出口平円板およびディップ管の下の空隙を設けた後の無炎熱酸化器内の温度分布図は、ディップ管出口点にもセラミック媒体を充填し、ディップ管出口に平円板が付いていない無炎熱酸化器の温度分布図と異なる。また、セラミック媒体表面の上の頭隙の中の一酸化炭素は、改良されていない酸化器モデルと比較して、より少ないことが分かった。一酸化炭素の燃え尽くしはいずれの設計においても排気導管より以前に達成されるが、この特徴は改良されており、装置の運転をより融通が利くものにする。
ディップ管の出口に取り付けた方向転換平円板、およびディップ管出口の下に配置された円柱状の空隙を有する無炎熱酸化器についてのCFDモデル化結果は、酸化器の静圧損失の著しい低減を示した。この改良は、LNG気化器用途における無炎熱酸化器のための運転上の経済面に利益を与える。無炎酸化器の圧力損失は、今や、わずか4.2kPa(17インチ水柱)になる。
LNG気化器熱交換器の圧力損失が無炎熱酸化器燃焼排ガス流量に影響されないと仮定すれば、系全体の圧力損失は30.4kPa(122インチ水柱)から19.2kPa(77インチ水柱)に減少した。これは、ここに示された無炎熱酸化器の改良により圧力損失が37%低減したことを示す。無炎熱酸化器だけの圧力損失の減少は、この改良された設計において72.6%であり、かなり大きい。
温度分布図は、改良された設計では、反応波がセラミック媒体床に一層よく閉じ込められていることを示している。性能の損失がなければ頭隙の中にいくらかの低温ガスが抜け出ることはこれまで一般に許容できると考えられてきたが、無炎熱酸化器の活力を増加させ、かつ低温ガスが抜け出ることによる性能の損失が認められるのを減らすために、反応波はセラミックの媒体床の内部の残るべきである。
ここでは特定の実施態様を参照して本発明を説明し記述するが、本発明は示された詳細に制限されるものではない。むしろ、特許請求の範囲の均等の範囲内で、かつ本発明から逸脱することがなければ、細部において様々な変更をしてもよい。
たとえば、気化器および無炎熱酸化器の特定の構造は、本発明にとって決定的ではなく、本発明の範囲内で変更してもよい。種々様々の熱源および熱交換器が、本発明の態様に従って、利用できる。同様に、(無炎熱酸化器のような)熱源に関して(気化器のような)熱交換器の方位は、特定の運転パラメーターに満たすために変更することができる。
本発明の好ましい実施態様がここに示され記述されているが、そのような実施態様は例としてのみ提供されていることが理解されるであろう。多数の変形、変更および置換が、本発明の精神から逸脱することなしに、当業者に思い浮かぶであろう。したがって、添付された特許請求の範囲は、本発明の精神および範囲の中にあるものとして、そのような変形のすべてを包含することが意図されている。