カメラ(デジタルまたはフィルム)用フラッシュユニットに使用される公知のレンズ構造のタイプは、円形または長方形の輪郭を有する通常またはフレネル型の「円形」レンズであることが多い。このようなフラッシュユニットによって提供される輝度は、比較的高いが、カメラの視野にわたる照明の均一性は、比較的低い。このように照明の均一性に劣る影響は、広角写真において特に強調される。この結果、視野の側面および視野のコーナーにある被写体の画像は、写真において、比較的薄暗く(dim)なること、あるいは見えなくなることすらあり得る。
この理由の一つは、カメラ視野が全体的に長方形であるのに対し、光学系が円形でありがちだからである。この他の理由の一つは、フラッシュユニットまたは他の光源の放射プロファイルに起因する。光学系を一切有しない等方性発光体の場合、光源から固定距離にある長方形平面のコーナーでの光束は、長方形平面の中心での光束のcos3θ倍で与えられる。ここで、発光体で測定された角度θは、長方形平面の中心に対する法線と、発光体から長方形平面のコーナーへの直線とのなす角度である。角度θが約37°である典型的な例において、その結果得られる均一性(コーナーでの光束と中心部での光束の比)は、約51%である。発光ダイオード(LED)発光体のようなランベルト発光体の場合、均一性は、cos4θに等しく、θ=37°の特定の例において、約42%である。
一般的に、周知のように、視野を狭くすることによって、集光光学素子のみを用いて、良好な照明の均一性を得ることが可能である。しかしながら、広い視野に対しては、光源からのフィールド自身の上への照明が減少するとき、すなわち、光源のみの照明が、中心に比べて小さくなるとき、この均一性を得ることは、さらに困難になる。旧式のフラッシュにおいて、フラッシュバルブを使用すると、光源は、等方性として最も便宜的にモデル化され、照明は、平面上への角度にともなって、それほど速く減少しない。しかしながら、ランベルト光源として最も便宜的にモデル化されるLEDのような面光源において、照明は、角度にともなって非常に速く減少し、このことが高角度で良好な均一性を得ることをさらに難しくしている。LEDは、フラッシュバルブよりも良好なパワー特性を有し、それゆえ、例えば、モバイルデバイスにおいて、より多く使用される傾向にある。また、モバイルデバイス内のカメラが、機械的ズームまたは取り外し可能なレンズを有することは考えにくい。このようなモバイルカメラの固定視野は、通常は汎用の視野角を与えるように設定され、上記視野角は、典型的には約70〜75°以上の対角線視野であり得る。さらに、設計の不確かさと、フラッシュとカメラとがデバイス上で同位置にない(視差)という現実を許容するために、照明平面が、実際のカメラ視野よりも幾分か大きいことが有益である。
レンズは、照明輝度を改善するために、カメラフラッシュユニットに一般的に提供される。このような配置によって、視野の中心での輝度は改善される。しかしながら、このようなレンズの集束する性質は、光を視野のエッジ部から遠ざけ、視野の中心へと向かうように導く傾向があり、中心での輝度を増加させるが、必然的に、視野全体にわたる照明の均一性を、特に、ランベルト照明を有する広視野に対して低下させる。
本特許において、表面の湾曲のデカルト座標(X,Y,Z)の形状(Zは表面の「たわみ(sag)」として公知である)が、等式:
を満たす場合、湾曲レンズ表面は「球状」のものとして意味される。ここで、Rは、表面での曲率半径である。
「非球状」表面は、
で定義される。ここで、Rは、中心での曲率半径であり、Kは、円錐定数、A
pは、整数値p>1に対する高次の係数である。
「非対称」表面は、上述の等式によって規定されるが、(X2+Y2)が(nX2+mY2)によって置換される。ここで、n≠0、m≠0、およびn≠mである。
「円柱状」表面は、nまたはmのいずれかが0である。
「アナモルフィック」表面は、表面を記述する関数が上記以外であり、異なる非球状関数、円柱状関数、または非対称関数の2つの和、あるいはこれらの組み合わせの関数であり得る。
「平面」表面または「光学的に平坦な表面」は、Rが無限大である球状表面である。
本記載におけるレンズ表面に関する言及は、タイプに関しての特記がない限り、上記の表面のタイプの任意のものを意味し得る。
特許文献1は、カメラフラッシュアセンブリ用にアナモルフィックレンズを使用することを開示している。この配置は、照明を制御するために、標準レンズ形状から離れるように改変されている少なくとも1つのレンズアセンブリを有する。このよう配置は、全集束素子を用い、広視野またはランベルトLED光源に関する問題を有する。
特許文献2は、カメラ用フラッシュユニットの照明の均一性を改善するために、フラッシュバルブとフレネルレンズコンデンサとの背後に、非対称楕円反射体(2つの同一の半楕円ミラーが配置され、これらのミラーの軸が、ギャップを補う平坦なミラーと異なる場所に置かれる)を使用することを開示している。この配置は、全集束素子を有し、それゆえ、広視野またはランベルトLED光源に関する問題を有する。しかしながら、後方に装着されたミラーは、LEDのような表面発光体にとって役に立たない。また、このような配置は、サイズが大きいものであり、モバイルデバイスに装着するのが困難である。
特許文献3は、照明の均一性を改善するために、フラッシュバルブの周囲に球状および非球状レンズアセンブリを使用することを開示している。再び、全集束素子が使用され、これは、広視野またはランベルトLED光源に関する問題を有する。この配置は、電球に特有であり、サイズが大きく、モバイルデバイスに装着するのが困難である。
特許文献4は、集束パワーを改善するために、2つの表面(1つは通常集束表面で、1つは全反射(TIR)を利用するフレネル状表面)を利用する追加素子を含む配置を開示している。このような配置は、高輝度を提供するが、可視である1つ以上の「輝点(bright spot)」の生成ともに、劣った照明の均一性を提供する。この配置は、フラッシュランプに特有であり、線形体積光源(linear volume source)および後方反射体を要求する。TIR素子は、高角度光をより前に導くように設計され、この点において、TIR素子は、集束素子である。
特許文献5は、照明面積を広くするためのミラーシステムを開示している。しかしながら、このような配置は、比較的かさばるもの(bulky)であり、比較的コンパクトな携帯またはモバイルデバイスに不便であり、あるいは不適切である。このような配置は、大面積アダプタ(large area adapter)の形式であり、かさばり、小さなモバイルデバイスに適用するのは、困難である。さらに、この配置は、照明の輝度を改善しない。
特許文献6〜10は、フラッシュビームの焦点を変更する様々な技術を開示している。これらの特許文献は、カメラズームに応答して、照明面積を変更することに、主に重点を置いている。特許文献6は、光の発散を変更する切り替えレンズシステムを記載している。特許文献7〜9も、また、シフトする集束レンズシステムを記載している。特許文献10は、最適照明パラメータを確認するために、フラッシュを2回浴びせ、これらの最適パラメータがフラッシュユニットに送信されるシステムを記載している。これらの配置の全ては、上述された固有の問題を有する既存の全集束光学システム設計の改変に関する。適用可能なフラッシュズームは、技術的により複雑であり、小さなモバイルデバイスに適用するのは困難である。
特許文献11は、集束反射体と、4つのセクタに分割されたプリズム配置によって形成される発散素子とを備える光学デバイスを開示している。
特許文献12は、凝縮(condensing)システムを備える光源を有する映画投影機を開示している。平行な軸を有する円柱状発散レンズに続く円柱状発散レンズが、凝縮システム内に提供される。
特許文献13は、レーザ放射を均質化する配置を開示している。この配置は、光学的に集束する「非中心性」レンズセグメントの形式である「レンズ状」を備える。これに、集束「集光(collecting)」レンズが続く。
特許文献14は、レーザダイオードからの光ビームを円状にする配置を開示している。この配置はコリメーティングレンズを備え、これに、円柱状発散ミニレンズが続く。
特許文献15は、投影機光源を開示している。発散レンズが集束凝縮レンズの前に配置される。発散レンズは、中央領域より曲率の低い周辺領域を有する凹型表面を有する。
特許文献16は、レーザビームの視差を維持しながら、そのレーザビームを均質化する配置を開示している。このデバイスは、2つの非球状レンズを備える。第一のレンズは、より均一な照明を第二のレンズに提供するように、レーザビームの中心から大きく発散する。第二のレンズは、その光を再度コリメートする。デバイスを介する全ての光学経路は、入射光の波面形状を保つために、同じ光学長さを有する。
特許文献17は、LEDオーバヘッド交通信号を開示している。LEDのアレイにおいて、各LEDは、円錐反射体と、フレネル「レンズ」と称されるものとを提供される。しかしながら、この後者のデバイスは、フレネルプリズムであると分かる。このデバイスの目的は、光を下方に効果的にそらすためである。
特許文献18は、LED車両用灯具を開示している。各LEDは、円柱状反射体の一端に配置される。反射体の出力は、フレネルレンズと集束レンズとの間を通過する。
特許文献19は、バーコードリーダ用の光源を開示している。光源は、1つ以上のLEDを備え、このLEDまたは各LEDは、一次元集束レンズの背後に配置される。この一次元集束レンズは、円柱状湾曲を有するものとは、その湾曲が縦軸からの距離とともに変化する円筒状湾曲を有する点で異なる。このレンズに、その縦軸に沿って異なる曲率半径を有する半円柱状レンズが続く。こうして、双方のレンズは、集束する。
特許文献20は、LCDテレビ用のバックライトを開示している。このバックライトは、集束レンズの焦点に光源を備え、こうして、平行光ビームを出力する。この光ビームは、マイクロプリズムアレイによって、LCDに拡散光を供給するための「散乱」表面に垂直に反射される。
特許文献21は、動作表面にわたって均一な照明を提供することを意図とした表面光源を開示している。この資料の図16は、マイクロプリズム構造の内部表面を有する平坦な出力素子を示す。この出力素子の中心の下に、光を反射して出力表面から遠ざける凹型集束ミラーを有する光源がある。この構造の下に、マイクロプリズム表面の均一照明を提供する湾曲反射構造がある。これは、次いで、出力光を新たな向きに導く。この光源の直下に、反射構造の穴がある。その穴のエッジは、凸型に反射し、それゆえ、出力表面の中心に光を反射するように発散し、小さな凹型ミラーに起因する影を埋める(fill the shadow)。
特許文献22は、X線装置を設定するのに使用するLED光源を開示している。LEDは、組み込み(integral)集束レンズを有し、一部の実施形態は、放物面反射体または楕円反射体を有し、これらの反射体もまた集束する。この文献の図17は、凹凸レンズのようなものを示し、この資料の図18は、発散レンズを示す。
米国特許第5,615,394号明細書
米国特許第5,160,192号明細書
米国特許第4,462,063号明細書
米国特許第6,088,540号明細書
米国特許第5,778,264号明細書
米国特許出願公開第2002/0009297号明細書
米国特許出願公開第2001/0028792号明細書
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米国特許第6,771,898号明細書
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英国特許出願公開第1,391,677号明細書
英国特許出願公開第818,229号明細書
米国特許第5,769,521号明細書
米国特許第5,553,174号明細書
国際公開第97/38352号パンフレット
英国特許出願公開第1,144,182号明細書
米国特許第6,283,613号明細書
特開2003−331612号公報
英国特許出願公開第22,258,659号明細書
米国特許第4,737,896号明細書
米国特許第4,510,560号明細書
米国特許出願公開第2004/0131157号明細書
本発明の第一の局面に従うと、発光体から空間の所定の二次元領域に光を導く光学デバイスであって、該発光体は、該デバイスに対する第一の所定の位置に位置し、該領域は、該デバイスに対する第二の所定の位置に位置し、該デバイスは、該領域の内側部分に向けて自身に入射する光を集束する第一の光学素子を備え、該領域の少なくとも1つの外側部分に外側に向けて自身に入射する該光の一部を発散する屈折性の第二の光学素子を備えることを特徴とし、該第二の素子は、オープンベースの逆切頭角錐の形状の平面ファセットを備える凹型マルチファセット表面を有する、デバイスが提供される。
本発明の第二の局面に従うと、発光体から空間の所定の二次元領域に光を導く光学デバイスであって、該発光体は、該デバイスに対する第一の所定の位置に位置し、該領域は、該デバイスに対する第二の所定の位置に位置し、該デバイスは、該領域の内側部分に向けて自身に入射する光を集束する第一の光学素子を備え、該領域の少なくとも1つの外側部分に外側に向けて自身に入射する該光の一部を発散する屈折性の第二の光学素子を備えることを特徴とし、該第二の素子は、複数の隣接するセクタ形状のファセットを備えるマルチファセット表面を有し、該ファセットのうちの少なくとも一部は、凹型である、デバイスが提供される。
上記凹型ファセットは、少なくとも2つの異なる曲率半径を有し得る。
上記凹型ファセットは、少なくとも2つの異なる曲率中心を有し得る。
上記ファセットの一部は、凸型であり得る。
上記ファセットの少なくとも1つは、平面であり得る。
上記ファセットの少なくとも一部は、円柱状であり得る。
本発明の第三の局面に従うと、発光体から空間の所定の二次元領域に光を導く光学デバイスであって、該発光体は、該デバイスに対する第一の所定の位置に位置し、該領域は、該デバイスに対する第二の所定の位置に位置し、該デバイスは、該領域の内側部分に向けて自身に入射する光を集束する第一の光学素子を備え、該領域の少なくとも1つの外側部分に外側に向けて自身に入射する該光の一部を発散する屈折性の第二の光学素子を備えることを特徴とし、該第二の素子は、第一の発散部分と第二の発散部分との間に配置された細長い部分に分割された面を有する、デバイスが提供される。
上記細長い部分は、発散し得る。該細長い部分は、該細長い部分の長手方向に実質的に平行な円柱軸を有する円柱状凹型であり得る。
上記細長い部分は、平面であり得る。
上記第一の部分および上記第二の部分は、円柱状凹型であり得る。該第一の部分および該第二の部分は、共通の円柱状表面のパーツを備え得る。該第一の部分(41)および該第二の部分は、上記細長い部分の長手方向に実質的に垂直な円柱軸を有し得る。
上記第一の部分および上記第二の部分は、上記細長い部分の長手方向に実質的に垂直に延びる溝のアレイを備え得る。該溝は、実質的に連続であり得る。該溝は、実質的に三角形の断面を有し得る。
上記第一の素子および上記第二の素子は、単一のピースの屈折材料に形成され得る。該第一の素子および該第二の素子は、該ピースの第一の表面および第二の表面に形成され得る。該第一の素子および該第二の素子は、該ピースの共通表面に形成され得る。該第一の素子および該第二の素子の一方は、該第一の素子および該第二の素子の他方のサブ構造を備え得る。
上記第一の素子および上記第二の素子の少なくとも一方は、空間の上記所定の二次元空間領域のサイズを変化させる制御可能な可変光学性能を有し得る。該第一の素子および該第二の素子の該少なくとも一方は、液晶レンズを備え得る。代替として、該第一の素子および該第二の素子の該少なくとも一方は、光軸方位角が制御可能である液晶層の軸に実質的にインデックスが合致する(index−matched)レンズを備え得る。
本発明の第四の局面に従うと、発光体から空間の所定の二次元領域に光を導く光学デバイスであって、該発光体は、該デバイスに対する第一の所定の位置に位置し、該領域は、該デバイスに対する第二の所定の位置に位置し、該デバイスは、該領域の内側部分に向けて自身に入射する光を集束する第一の光学素子を備え、該領域の少なくとも1つの外側部分に該第一の光学素子を介して外側に向けて自身に入射する該光の一部を発散する屈折性の第二の光学素子を備えることを特徴とする、デバイスが提供される。
上記第二の素子は、鏡面反射であり得る。
上記第二の素子は、外部に反射する全体的に円環状の表面の表面を備え得る。
上記第一の素子は、空間の上記所定の二次元空間領域のサイズを変化させる制御可能な可変光学性能を有し得る。該第一の素子は、液晶レンズを備え得る。該第一の素子は、光軸方位角が制御可能である液晶層の軸に実質的にインデックスが合致するレンズを備え得る。
上記第二の素子は、上記領域の複数の外側部分に向かって入射する上記光の上記一部を発散するようにアレンジされ得る。
上記領域は、全体的に長方形であり得る。上記外側部分は、該全体的に長方形の領域のコーナー部分を備え得る。
上記第一の素子は、集光素子であり得る。
上記第一の素子は、屈折素子であり得る。該第一の素子は、凸型表面を有し得る。
上記第一の素子は、ホログラフィック光学素子を備え得る。
本発明の第五の局面に従うと、本発明の上記第一の局面から上記第四の局面のいずれか一局面に従うデバイスと、少なくとも1つの発光体とを備える、光源が提供される。
上記第一の素子は、上記少なくとも1つの発光体と上記第二の素子との間の光の経路に配置され得る。
上記少なくとも1つの発光体は、少なくとも1つの発光ダイオードのようなランベルト発光体を備え得る。
上記光源は、カメラフラッシュユニットを備え得る。
本発明の第六の局面に従うと、本発明の上記第五の局面に従う光源と、カメラとを備える装置が提供される。
上記装置は、モバイル電話またはセルラ電話、あるいはモバイル情報端末機器PDAを備え得る。
こうして、光源からある程度の距離離れた平面のような所望の視野全体にわたり良好な視野の均一性と、視野の中心での良好な輝度とを提供する光源に使用され得るデバイスを提供することが可能になる。発散光学素子を使用すると、より広い視野にわたる照明の制御強化が可能になり、例えば、モバイルデバイスで使用され得るような実質的にランベルトLED光源の使用が容易になる。可動パーツのないコンパクトなデバイスが提供され得る。このようなデバイスは、小型軽量であり得、別個のアイテムとしてアダプタを持ち運びすることが不要なように、例えば、モバイルデバイスの一体型パーツとなり得る。
本発明は、例によって、添付図面を参照して、さらに記載される。
図面全体を通じ、同様の参照番号は、同様のパーツを意味する。
図1は、左に異なる光源配置を示し、右にその光源が使用され得るカメラ視野における対応する照明分布の図を与える。図1の一番上の例において、光学素子の一切ない発光ダイオード(LED)発光体1の形態である実質的にランベルト光源が示され、対応する照明分布が2で示される。上述されたように、カメラ光学軸に垂直なカメラ視野における平面に存在する任意の点を介する光束は、cos4θ倍に比例する。ここで、θは、発光体を通過する平面への法線と、その平面における任意の点への発光体1を通過する線との間の角度である。
図1の真ん中の図は、LED発光体1の正面に集束レンズ3を配置した影響を示し、その結果得られる照明分布は、4で示される。この場合、カメラ視野平面の内側部分における照明は、かなり明るくなるが、外側部分における照明は、暗くなる。なぜなら、レンズ3は、外側部分から内側部分に向かって光を遠ざけるように効果的にリダイレクト(redirect)からである。こうして、照明分布は、より広い視野に対して、レンズ3を有しないものより均一性が悪くなる。
図1における一番下の例は、光を再分布するための屈折発散素子または「構造」5の追加を示す。レンズ3が、発光体1と構造5との間に配置されているものとして示されているが、代替の配置において、構造5は、発光体1とレンズ3との間に配置され得る。構造5は、実質的な発散効果を一切有しないレンズ3からの光の一部を通過させるように配置されるが、光の一部が、カメラ視野平面の外側部分に導かれるように、レンズ3から外側に発散する原因となる。この結果得られる照明分布は、図6に示される。この場合、内側領域は、光学素子が一切ない発光体に対してよりも明るいが、外部領域は、分布2および4におけるよりも明るい。その結果、照明分布は実質的に、より均一になる。
図1は、光を部分的に再分布するための屈折構造5の使用を示す。これは、カメラ視野平面における照明の均一性をより大きく提供するためである。しかしながら、他の構造も、このような再分布を達成するために使用され、本発明の他の実施形態のセットを提供し得る。例えば、ホログラフィック光学素子のような回折構造は、屈折構造5の代わりに、またレンズ3の代わりに使用され得る。また、光を再分布する屈折構造が使用され得、このような配置の例は、本明細書の以下で記載される。
図2は、光学デバイスを(a)で透視図に、(b)で正面図に示す。図2は、また、(c)にこのようなデバイスを含む光源の側面図を、(d)に光源の性能を示す表を示す。光学デバイスは、ガラスまたは成形透明プラスチックのような屈折材料の単一のピースから形成されるが、代替として、複数のピースからも形成され得る。光学デバイスは、集束レンズ3を構成する後方部分と、屈折発散構造5を構成する前方部分とを有する。レンズ部分3は、凸面の後方「集光(focussing)」表面によって形成される。この表面は、球状、非球状、非対称、またはアナモルフィックであり得る。このデバイスの前方表面は、マルチファセットであり、凸型マルチファセット表面を形成するオープンボトムの逆切頭角錐(open bottom inverted truncated pyramid)の形状である。角錐トップ表面7は、平坦であり、構造5の非発散部分を形成する。これにより、レンズ3からこの部分を通過する光が、実質的に発散構造5によって影響されないようになる。凸表面は、さらに平坦な面8〜11を備える。これらの面は、レンズ3からの光が光学素子の光軸から外側に離れて発散するようにするために、面7に対して傾斜している。
図2の(a)および(b)に示される光学素子は、(c)の光源の一部として示され、この光源は、LED発光体または光源1をさらに備える。光源1は、レンズ3を構成する集光表面の近傍に示されているが、光源1は、代替として、発散構造5の凸型表面近傍にあるように、光学デバイスのもう一方の側に配置され得る。
図2の(d)に示される表は、図3に示される幾何学を有するカメラに対するフラッシュユニットとして光源が使用されるとき、その光源の例の性能を示す。図3は、幅が1.72mで高さが1.29mである照明平面15を示す。照明平面15は、フラッシュユニット16からの距離が1.5mにあるカメラの視野を示す。光学デバイスは、直径が5.6mmで、長さが2.5mmであり、直径が2mmであるLED光源の前に配置される。図3は、照明平面の中心を17で示しており、同時にフラッシュユニット16の中心を通過する平面15の中心17への法線18とともに示す。このフラッシュユニット16は、照明平面15を直接ポインティング(pointing)している。平面15の各点を介する光束は、cos4θに実質的に比例する。ここで、θは、法線18と、平面15上の点とフラッシュユニット16の中心とを通過する線との間の角度である。平面15は、最も低い光束が、各コーナー(例えば、19)で生じるような長方形である。フラッシュユニット16の中心を通過するコーナー19からの線は、20で示され、フラッシュユニット16での法線18と37°の角度を形成する。図2の(d)の表に百分率として示される「均一性」は、平面15の中心17での最も高い光束に対する最も低い光束(例えば、平面15のコーナー19)の比である。
図2の表に示されるように、また本明細書で上述されたように、LED光源1のみの均一性は、42%であり、輝度が1として表わされる。発光体1の前にレンズ3を有する図1の真ん中に示される例に対して、中心での相対輝度は、1.8であるが、均一性は8%である。図2の(c)で示され、本明細書で上述された特性を有する光源は、相対輝度は、1.3で、均一性は51%である。この光学デバイスと、このようなデバイスを含む光源とは、したがって、平面15に良好な照明輝度を提供する一方、改善された照明の均一性を提供する。
素子3および5は、屈折材料の単一のピースのそれぞれの表面によって構成されるように示されているが、これらは別個の素子として形成され得る。また、単一の集束素子および単一の発散素子が記載されてきたが、いずれも、1つ以上のピースの屈折材料上に、あるいはその1つ以上のピースの屈折材料の中に形成される複数の別個の素子を備え得る。集束素子および発散素子を備える光学デバイスは、既存の光源に対する付属品として使用され得る。代替として、光学デバイスは、光源の一部であり得る。さらに、これらの素子の一方または双方は、取り外し可能であり得る。
光学デバイスは、カメラフラッシュユニットの中で、あるいはそのユニットとともに使用され得るが、他の目的に対しても、例えば、懐中電灯またはスポットライトの中で使用され得る。
図4は、発散構造5のマルチファセットの凹型表面が、8つの円形セクタ形状の面31〜38を備える点で、図2に示されるのとは異なる光学デバイスを示す。面31〜38のうちの幾つかは、発散構造5の光学的集束サブ構造を形成するように、それら自身が凹型である。これらの凹型面は、レンズのセクションを効率的に構成し、球状凹型、非球状凹型、アナモルフィック凹型、または円柱状凹型であり得る。
面31〜38のうちの一部は、構造5の非発散および非集束部分を提供するようにするように、平坦であり得る。凹型面は、1つ以上の面のセットとして配置され得る。ここで、これらのセットは、異なる曲率および/または異なる曲率中心を有する。また、面31〜38の一部が集束することも可能である。
図5は、図4に示されるタイプの光学デバイスの面31〜38の特定の例のタイプを示す。セクションラインを有する正面図が、再び示され、対応するセクション1〜3が、図5に示される。セクション1は、水平面内のセクションであり、面33および37が共通の凹型で球状または円柱状の表面のセグメントであることを示す。セクション2は、セクション1の平面に対して45°である、光学デバイスの軸を介する平面にとられる。それゆえ、セクション平面は、面32および36を通過し、セクション34および38を通過する同等な平面と同じ形状を有する。セクション2は、面32および面36が、球状または円柱状であり得る共通の凹型表面のセグメントであることを示す。セクション2の曲率半径は、セクション1の曲率半径よりも小さい。
セクション3は、面31および35を介する垂直平面上にとられる。断面図によって示されるように、面31および35は、共通の凸型表面のセグメントであり、例えば、円状または円柱状であり得る。したがって、面31および35は、光学的に集束し、典型的な例では、所望の視野が幅より小さい高さを有するときに、使用され得る。残りの面は、照明の均一性を改善するために、光学的に発散する。図4の表に示されるように、このような配置は、1.4の相対輝度および54%の均一性を達成する。
図6に示される光学デバイスは、図2に示される光学デバイスとは、構造5の凹型表面、すなわち発散表面が3つのセクションからなる凹型円柱状レンズを備える点で異なる。特に、表面は、上部セクション41と下部セクション42との間に、中央セクション40を有する。
セクション40は、円柱状凹型表面の長方形セクションを備え、ここで、円柱の軸は、水平に向いている。セクション41および42は、共通の円柱状凹型表面のセグメントであり、ここで、円柱の軸は、垂直に向いている。セクション40の曲率は、セクション41および42の曲率とは異なる。表面40〜42は全体的に円柱状でないこともあり得る。
図7は、図6の光学デバイスの垂直および水平の断面図を示す。図6の(d)の表に示されるように、(c)に示される光源は、1.3の相対輝度および65%の均一性を達成する。
図8は、集束表面と発散表面とが、集束光学的機能と発散光学的機能との双方を実行する単一の複合表面に、どのように組み合わされるかの2つの例を示す。図8の上部は、図2に示される実施形態に対するこの例を示し、下部は、図7に示される実施形態に対するこの例を示す。
図8の上部において、角錐発散表面が、同等な光学的マイクロ構造に効率的に分割され、光学デバイスの後方に組み合わされた集束・発散表面53を形成するように、集光表面の構造に重ね合わされる。前方表面54は、平面であり、光学的「パワー」を全く有しない。
後方表面53は、図2の表面3の対応するパーツと同じ形状を有する中央部分53aを有する。なぜなら、非発散面7との組み合わせは、全く効果を有しないからである。53bのような表面53の他の部分は、表面の全般的な外形は、表面3の対応する部分と同じであるが、詳細な構造は、傾斜面8〜11のうちの一つに対応する三角形の峰(ridge)を有する。これは、傾斜面のフレネル等価を組み込んだ領域53bにおけるマイクロ構造を提供するものと考えられ得る。
図8の下部は、図7の光学デバイスから、組み合わされた後方表面55を有する同等なデバイスへの変換を示す。後方表面55の形状は、発散セクション40〜42の形状と集光表面3との形状の組み合わせを示す。結果として得られる光学デバイスの側面図は、56で示され、平面図は、57で示される。再び、前方表面54は、光学的パワーを全く有しないように、平面である。
図9は、図2に示される光学デバイスと、発散素子5が平面外部面54とプロファイル付き「内部」面を有する点で異なる光学デバイスを示す。この内部面は、三角形の「輝度強化フィルム」(「BEF」)構造の形態でセクション61と62との間に、光学的に平坦なセクションまたは表面60を備える。特に、内部表面のセクション61および62は、65に詳細に示される内向きに尖った二等辺三角形の断面の垂直な溝をその中に形成される。素子3および5は、屈折材料の別個のピースに形成される。これらのピースは、素子3の前方平面表面が溝66に対して隣接し、効率的に近づくように、例えば、ガラスより低い屈折率(refractive index)を有する光学セメントによって、一緒に取り付けられる。この溝は、こうして、素子3および5を形成するガラス内に、三角形の断面の細長いポケットを形成する。上述のように、これは、ディスプレイの輝度を強調するために使用されるタイプのBEF構造に似ている。
隣接するBEFセクション61および62は、発散表面として機能するのに対し、素子5の後方表面の光学的に平坦なセクション60は、光学パワーを有しない。したがって、(c)に示される光源は、1.3の相対輝度および65%の均一性を提供する。
代替の実施形態において、図2のセクション7および図6のセクション40が省かれ得るように、セクション60は、省かれ得る。
図10は、平凸集束レンズ3と、2つのマイクロレンズアレイが互いに組み合わさるように形成される個別の発散素子5とを備える光学デバイスを示す。マイクロレンズアレイ5は、レンズ3とLED光源1との間に配置される。マイクロレンズアレイは、同一のものとして示されているが、これは本質的ではなく、同一でないマイクロレンズアレイも使用され得る。マイクロレンズアレイは、後方アレイのマイクロレンズの焦点距離だけ効率的に間隔を空けられる。したがって、70のような各マイクロレンズの焦点は、前方アレイの対応するマイクロレンズ(例えば、71)の表面にある(また、マイクロレンズが互いに同一の場合は、その逆も成り立つ)。
前方および後方のマイクロレンズアレイのセグメントの詳細は、72および73に示される。マイクロレンズは、長方形の形状であり、球状表面を有する凸型である。代替として、マイクロレンズアレイは、屈折媒体の内側に形成され得る。この場合、マイクロレンズの表面は、凹型になる。
この配置は、1.4の相対輝度および56%の均一性を達成する。
図11は、光学デバイスと光源とを示し、ここで、集束素子または集光素子は、平凸レンズ3を備え、発散素子5は、図11に示されるような光源1に対して配置される反射体を備える。反射体5は、反射外部表面を有するトーラスの一部を効率的に備える。したがって、反射体5は、光源の光軸100の回りで、円状称である。反射体5は、また、軸100を含む各平面内に円形弓形断面を有する。
反射体は、好ましくは、入射光のうちの実質的に100%を反射し、好ましくは、鏡面反射体である。考えられる代替として、反射体は、部分的に鏡面、半反射、または拡散であり得る。
図示された実施形態は、2.6の相対輝度および56%の均一性を達成する。
本明細書で前述された屈折、集束、および発散素子は、固定光学特性を有するガラス材料またはプラスチック材料のレンズとして示されてきたが、照明の可変フィールドまたは「ズーム」機能を提供するために、1つ以上の「固定」レンズ表面を「可変」レンズ表面に置換することも可能である。このような可変配置は、可変視野を有するカメラまたは他のデバイスにとって有用であり得る。例えば、デジタルまたは光学ズーム能力を有するカメラの場合、可変フラッシュユニットは、カメラ視野に照明フィールドを手動または自動で適応するために提供され得る。このような配置は、より広い視野に対する照明の改善も提供しながら、より狭い視野に対する照明の改善も可能とする。
このような可変光源は、1つ以上の光学素子を1つ以上の液晶レンズとして具現化することで形成され得る。例えば、屈折率分布型(GRIN)レンズまたはモーダル処理(modally addressed)液晶レンズは、1つ以上の固定レンズまたはレンズ表面の代わりに使用され得る。連続表面は不連続表面よりも製造がより易しいが、このような可変レンズは、適切なマイクロパターニングまたは電気制御によって制御され得る。
代替の配置において、このレンズのうちの1つ以上を形成するガラスまたはプラスチックは、液晶の1つの軸に合致する屈折率を有し得る。レンズの表面は、透明な電極層(例えば、インジウムスズ酸化物(ITO))を備える。液晶層は、この電極層と光学的に平坦なガラスのピース上に形成された別のITO電極をの間に配置される。ITO電極間に印加された電界を変化させることによって、表面とエアとの間の相対屈折率が変化し得るように、液晶ディレクタ(director)の方向は、変化し得る。これによって、可変レンズの光学パワーが、照明フィールドの制御を提供するように制御され得る。偏光発光体は、適切に使用され得る。