JP2008520682A - ヒストンデアセチラーゼ阻害剤およびその使用方法 - Google Patents

ヒストンデアセチラーゼ阻害剤およびその使用方法 Download PDF

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Abstract

急性骨髄性白血病患者にヒストンデアセチラーゼ阻害剤を投与することによる、ヒストンデアセチラーゼのリクルートの上昇した細胞遺伝学的サブグループの該急性骨髄性白血病患者を治療する方法を開示する。

Description

発明の詳細な説明
(関連出願との相互引照)
本件特許出願は、2004年11月17日付で出願された、米国仮特許出願第60/628,695号に基づく利益を請求するものであり、この仮特許出願の内容全体を参照により本明細書に組入れる。
(合衆国政府支援による研究または開発である旨の陳述)
本件発明は、米国国立衛生研究所による承認番号CM17102号の下で、政府の支援の下に行われた。政府は、この発明において特定の権利を有する。
(概論)
急性骨髄性白血病(AML)は、一連の造血幹細胞の諸疾患を構成するが、該疾患においては、一群の造血幹細胞または前駆細胞が分裂せずに幹細胞区画内で過度に増殖し、これが非-機能性の骨髄芽球の蓄積に導く。骨髄芽球の高増殖性は、造血能不全(顆粒球減少症、血小板減少症、および貧血)を引起し、関連する疾患の症状をもたらす。
近年の楽観主義にも拘らず、AMLの病態生理学に関する改善された理解は、AMLに罹患した人々の、症状の軽減または生存性において、際立った改善をもたらすことはなかった(Stone et al. Hematology, 2004, pp. 98-117参照;この文献の全開示事項を参照により本明細書に組入れる)。積極的治療を受けた患者の一部は完全な寛解を達成し得たが、相当な割合のAML患者は、治療に対して不応性であるか、あるいは寛解後に再発を経験する。
AMLの積極的治療は、一般的に完全な寛解を達成するための試みとして利用されている。というのは、部分的な寛解は、実質的な生存性に係る利益を何らもたらさないからである。15%を越える割合の、AMLに罹患した成人(完全な寛解を達成した成人の約25%)が、3年またはそれ以上に渡り生き延びられるものと予想できる。成人のAML患者における寛解率は年齢に反比例しており、年齢60歳未満の成人については65%を越える寛解率が予想される。
当分野においては、AMLに罹患した患者、特に治療に対して不応性であるか、あるいは再発を経験するこれら患者を治療する、新規な方法に対する需要がある。
(発明の要約)
ある態様において、本発明は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)がリクルートすることにより特徴付けられる急性骨髄性白血病(AML)に罹患しているヒトを治療する方法を提供するものであり、この治療方法は、該患者に、有効量のヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDI)またはヒストンデアセチラーゼ阻害剤に生体的に転化可能な先駆体(プロドラッグ)を投与する工程を含む。該HDIは、好ましくは、処置前の骨髄芽球レベルと比較して骨髄芽球を減じ、あるいはまた該患者に対して臨床上の利益を達成するのに有効な量および期間に渡り、投与される。
(発明の詳細な説明)
本発明は、AMLに罹患した人々の小群(サブグループ)における骨髄芽球を減じる方法に関連し、この方法は、必要に応じて、急性骨髄性白血病を改善するのに有効な量のHDIを、該患者に運送する工程を含む。
AMLに罹患した個人の相当な人数が、特定の遺伝子座に対するHDACのリクルートと関連するt(8;21)、inv(16)、およびt(15;17)(これらに限定されない)などの染色体異常に基づく様々な細胞形成サブグループに割り当てられている。染色体と結合するヒストンの翻訳後修飾は、DNAの螺旋形成の程度に影響を与えるものと考えられている。脱アセチル化されたヒストンは、密なコイル形成をもたらし、結果的に転写因子およびRNAポリメラーゼの該DNAへの接近を制限するが、アセチル化されたヒストンは、クロマチン構造を緩くし、結果として遺伝子の転写を可能とするとの仮説が立てられている。ヒストンのアセチル化の程度は、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)およびHDAC活性によって調節される。これら酵素活性の間のバランスを失うと、ヒストンのアセチル化の低下、および細胞増殖の調節に係る遺伝子発現の低下につながるおそれがある。
これらの遺伝子座におけるヒストンの脱アセチル化は、転写抑制および遺伝子サイレンシングを引起し、これらは異常な細胞の増殖をもたらすおそれがある。AMLの場合には、これら遺伝子の低い発現性が、骨髄球の、顆粒球(即ち、好中球、好酸球、および好塩基性細胞)への分化を阻止するものと考えられている。
FK228(式I)は、インビボにて強力にHDACを阻害する、土壌細菌クロモバクテリウムビオラセウム(Chromobacterium violaceum) WB968 (FERM BP-1968)によって生産される天然産のプロドラッグである。FK228の単離および合成は、米国特許第4,977,138号に記載されている。この特許の内容全体を参照により本明細書に組入れる。合成または半-合成FK228は、Khan W. Li, et al. J. Am. Chem. Soc., 1996, 118:7237-7238(この文献の内容全体を参照により本明細書に組入れる)に報告された方法を含む、任意の適切な手段によって得ることができる。このプロドラッグのジスルフィド結合は還元されて、FR135313(式II)と命名されている活性HDIを形成するものと考えられている。事実、FK228をインビトロにてジチオスレイトールによって還元した場合に、HDACを阻害することのできるFR135313を生成することが明らかにされている(Furumai et al., Cancer Research, 2002, 62:4916-4921; この文献の内容全体を参照により本明細書に組入れる)。
Figure 2008520682
(式中、R1およびR2は、同一または異なっており、各々水素原子またはチオール保護基を表す)またはその塩。
FK228の塩は、塩基付加または酸付加塩、例えば無機塩基との塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩)、有機塩基との塩(例えば、トリエチルアミン塩、ジイソプロピルエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン塩等の有機アミン塩)、無機酸付加塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等)、有機カルボン酸またはスルホン酸付加塩類(例えば、蟻酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、フマール酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩等)、塩基性または酸性アミノ酸(例えば、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸等)との塩を包含する。
おそらく、FK228は、インビボにて、その活性な還元型(FR135313)に転化されるものと考えられる。t(8;21)細胞形成性を有する患者におけるAMLを治療するための、FK228またはその塩の投与に代わる代替法として、FR135313またはその類縁体または誘導体を使用する本発明の方法を実施することができるものと考える。チオール保護基を持つFR135313の、多くの適切な類縁体の何れか(US公開第2004/0053820として公開された、米国特許出願第10/333,063号を参照のこと;この特許出願の開示事項全体を参照により本明細書に組入れる)は、本発明の実施におけるHDIまたはHDIプロドラッグとして使用するのに適したものであるものと予想される。また、FK228類縁体、例えば米国特許第6,403,555号および同第6,548,479号(これら特許の開示事項全体を参照により本明細書に組入れる)に記載されている類縁体は、t(8;21)遺伝子型を有するAML患者の治療において適したものであり得ると考える。
FK228およびFR135313に加えて、多くの他のヒストンデアセチラーゼ阻害剤が記載されており、その例は、ナトリウムn-ブチレート、バルプロ酸、有機ヒドロキサム酸、例えばトリコスタチンA、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、またはLAQ824、トリコスタチンA、アピシジン(apicidin)、トラポキシン(trapoxin) A、ベンズアミド(例えば、CI=994、MS275)、LBH589、PXD101、およびデプシペプチド、FK228が属している化合物群を包含するが、これらに制限されない。これらHDIの一種またはそれ以上が、本発明の実施において使用できるものと考えられる。更に、これら化合物の塩、エステル、他のプロドラッグ、エナンチオマー、立体異性体、ラセミ体、多形体等を、本発明に従って投与することができる。
用語「プロドラッグ(prodrug)」とは、インビボにて、より生物学的に活性な形状に転化される薬剤を意味する。プロドラッグの投与は、例えば投与の容易性から有用であり得る。例えば、プロドラッグは、より活性な形態のものと比較して、好ましい投与経路により、より高い生体利用率を示す可能性がある。該プロドラッグは、その親薬物のより活性な形態よりも、薬理組成物においてより高い溶解性を示す可能性がある。
何ら限定するものではないが、本発明によるプロドラッグの一例は、エステル(該「プロドラッグ」)として投与し、結果として、細胞膜を通しての薬物の伝達を容易にすることができる。適切なプロドラッグのもう一つの例は、短いポリペプチド、例えば、限定するつもりはないが、2-10個のアミノ酸で構成されるポリペプチドを含む、式IまたはIIで示される化合物であり、該ポリペプチドは、その末端アミノ基を介して、式IまたはIIの化合物と結合している。
後述の実施例において説明されるように、FK228は、不応性または再発性のAMLに罹患している患者に、28日間に渡るサイクルにおける第1日、8日および15日目に、13.3 mg/m2/日なる用量にて、4時間の静脈内注入によって、投与された。この投与量において、細胞形成サブグループt(8;21)に属する患者は、骨髄芽球における顕著な減少(<5%)を示し、また実質的に正常な造血能を回復した。その上、t(4;21)の転座を有する患者も、この治療に応答した。これらのt(8;21)およびt(4;21)細胞形成サブグループ両者は、AML1遺伝子に影響していることが分かった。従って、本発明の方法は、該AML1遺伝子に影響する他の染色体異常を有する患者におけるAMLを治療する上においても、同様に有効であり得るものと考えられる。
実施例において、患者には、28日間に渡るサイクルにおける第1日目、第8日目および第15日目に、13.3 mg/m2/日なる用量にて、4時間に渡る静脈内注入によって、FK228が投与された。最適用量は、患者の年齢、サイズ、メタボリズム等を含む多くのファクタに従って変動する可能性がある。投薬の最適化は、当業者にとっては容易なものである。幾つかの患者の集団においては、28日間に渡るサイクルの第1日目、第8日目および第15日目における投薬は良好な結果を与えたが、同様な結果が、より短期間のまたはより長期間のサイクルに及ぶ、異なる頻度または間隔でのFK228の投与によって得ることが可能であることが予測される。FK228の静脈内投与は、人体の単位表面積基準で、一般に1〜1000 mg/日/m2なる範囲、好ましくは5〜100 mg/日/m2なる範囲、およびより好ましくは連続的点滴注入による投与で、人体の単位表面積基準で、10〜60 mg/日/m2なる範囲の量で行われる。この場合、該用量は、人体の単位表面積当たり、0.1〜100 mg/日/m2なる範囲、好ましくは人体の単位表面積当たり、1〜50 mg/日/m2なる範囲、およびより好ましくは人体の単位表面積当たり、5〜30 mg/日/m2なる範囲、例えば1 mg/日/m2〜約18 mg/日/m2なる範囲、または約8.0〜約15.0 mg/日/m2なる範囲内にある。投薬サイクルは、必要に応じて1回またはそれ以上の回数、繰返すことができる。他のHDIに関する最適用量または他の経路による投与は、手引きとして上記記載を利用して、決定することができる。HDIの有効量とは、投与した際に患者に対して臨床上の利益を達成する量および/またはインビボにてヒストンデアセチラーゼを阻害する量である。
HDIまたはHDIプロドラッグは、経口、腸管外、静脈内、筋肉内、皮下、移植、舌下、口腔内、鼻内、肺、経皮、局所、膣内、直腸、および経粘膜投与等(これらに制限されない)の任意の適切な手段により投与することができる。
本発明による医薬組成物または医薬製剤は、HDI(例えば、上記式IまたはIIで表される化合物)、その類縁体、または生理的/製薬的に許容されるその塩を含むことができ、また更に該HDIの患者への投与を簡単にする、生理的/製薬的に許容される担体および/または賦形剤を含むことができる。該組成物または製剤は、選択された、HDIの投与形式に適した固体、半固体、または液状製剤(錠剤、ペレット剤、トローチ剤、カプセル剤、坐剤、クリーム剤、軟膏剤、エアロゾル剤、粉剤、液剤、乳剤、懸濁剤、シロップ剤、注射剤等)であり得る。
薬物の処方並びに投与技術は、「Remington's Pharmaceutical Sciences」Gennaro AR編, 2000(この文献の開示事項全体を参照により本明細書に組入れる)において見出すことができる。本発明の医薬組成物は、当分野において周知の方法によって、例えば公知の混合法、溶解法、造粒法、糖衣錠製造、研和法、乳化法、カプセル化法、封入法、または凍結乾燥法によって製造することができる。
本発明は、更に患者におけるAMLを治療するための薬剤の製造における、FK228または本明細書において論じた他のHDI等の、HDIの使用にも関連する。
HDIまたはHDIプロドラッグは、例えば脱メチル化剤(デシタビン、5アザシチジン)、クロファラビン(clofarabine)、フルダラビン、クラドリビン、リツキシマブ(リツキサン(Rituxan))、マイロターグ(Mylotarg)およびグリーベック(Gleevec)を包含するが、これらに限定されない、薬物療法を含む、他の療法との組合せで使用することができるものと考えられる。このHDIは、該他の薬物療法と同時に(単一の調剤としてまたは別々の調剤として)、あるいは該療法と連続して投与することができる。一般に、組合せ療法は、単一のサイクル中に、または治療過程中に、2またはそれ以上の薬物の投与を含むことができるものと考えることができる。HDIまたはHDIプロドラッグは、放射線療法および骨髄移植法などの化学療法以外の癌の治療法と組合わせて利用することができる。
t(8;21)に加えて、HDIまたはHDIプロドラッグに対して単独でまたは他の薬物との組合せで応答することのできるヒストンデアセチラーゼのリクルートに関連する、他の細胞形成サブユニットに属するAML患者としては、限定をするものではなくinv(16)、t(15;17)およびt(4;21)、並びにヒストンデアセチラーゼのリクルートに関連することが見出されている任意の他の染色体異常が挙げられる。適切には、AMLに罹っている患者は、該AML1遺伝子に影響する染色体異常を有する。
更に、不応性AMLを有する患者は、本発明に従って治療することができる。不応性AMLを有する患者とは、ここでは、一般的に腫瘍学の当業者によって理解されているように、AMLの治療の目的で、FDA-承認薬物(FK228以外の)による治療の、1またはそれ以上のサイクルに掛けられ、また臨床的に有意な応答を示さない、例えば寛解を示さなかった人として定義される。また、AMLがぶり返したまたは再発した患者も、本発明に従って治療することができる。AMLのぶり返しまたは再発を受けた患者とは、ここでは、一般的に腫瘍学の当業者によって理解されているように、AMLの治療の目的で、FDA-承認薬物(FK228以外の)による治療の、1またはそれ以上のサイクルに掛けられ、臨床的に有意な応答を示し、例えば寛解を示し、またその後にAMLの症状を示した患者を意味するものとして、定義される。
本発明による上首尾の治療は、患者に臨床的な利益をもたらす。このような臨床的な利益は、処理前の骨髄芽球レベルに相対的な、骨髄芽球レベルの減少を含むことができる。この減少は、関連する組織サンプルまたは末梢血液中の芽球数を基準とする、百分率として計算することができる。第二の臨床的な利益は、血液学的な分析および確立されている正常な範囲との比較によって決定されるような、実質的に正常な造血能の回復等の、改善された造血能を含むことができる。一般に、これらの利益は、HDI治療の中止後、または一治療サイクルの完了後30日以内に決定することができる。他の臨床的な利益は、寛解、一またはそれ以上の他のAMLの症状における阻害またはその他の減少、および/または患者における一種またはそれ以上の正常な生物学的機能の回復を包含する。
この治療の効果は、(1) 癌の成長阻害、即ちその発育の停止;(2) 該癌の広がりの防止、即ちその転移の阻止;(3) 該癌の軽減、即ち該癌の寛解;(4) 該癌の再発防止;および(5) 該癌の症状の一時的な軽減、の一種またはそれ以上を含むことができる。ここで、「治療(treatment)」なる用語は、治療、阻害および予防を意味し、より詳細には、医薬の投与または他のモダリティー、あるいは患者が苦しめられている状態の予防、または該状態の程度または同様にその発生を、回復または軽減するために、患者に関連する医学的手順を実行することを意味する。
ここに記載した化合物の毒性および治療上の効能は、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手順により、例えばIC50およびLD50を決定することによって、測定することができる。ここで、LD50は、対象とする化合物に関する、致死率の最大1/2阻害を達成する、テスト化合物の濃度である。これらの細胞培養アッセイおよび動物研究によって得られた結果は、ヒトにおいて使用するための用量範囲を処方する上で利用することができる。この用量は、使用する投与形態および使用する投与経路に依存して変動する可能性がある。正確な処方、投与経路および用量は、個々の医師が、患者の状態を考慮して選択することができる(例えば、Fingl, et al., "The Pharmacological Basis of Therapeutics" 1975, Ch.1, p.1を参照のこと;この文献の開示事項全体を参照により本明細書に組入れる)。
本発明の態様を詳細に説明するのに先立って、ここに記載され、かつ特許請求された本発明の組成物および方法の全ては、本開示事項に照らして、不当な実験を行うことなしに、実施かつ実行できるものと理解すべきである。本発明の組成物および方法を、例示的な態様によって説明してきたが、当業者には、これらの組成物および方法、並びにここに記載した方法の諸工程、およびその順序に関して、本発明の概念、精神および範囲を逸脱することなしに、様々な変更を加えることができることは、明白であろう。より具体的には、化学的および生理的両者の点で関連する幾つかの薬剤が、ここに記載した薬剤の代替品となり得、一方で同一または同様な結果を達成し得ることは、明らかであろう。当業者にとって明らかな、このような類似する代替品および変更は、本発明の精神、範囲および概念内にあるものと考える。
ここに列挙し、または記載した全ての特許および刊行物の開示事項全体を参照により本明細書に組入れる。
特に規定されない限り、ここで使用する全ての技術的および科学的用語は、本発明の属する分野における当業者によって、通常理解されているものと同一の意味を持つものとする。
以下の非-限定的な実施例は、純粋に例示的なものである。これらの実施例は、本発明の幾つかの態様を明らかにする目的で、ここに含められている。これら実施例において記載される方法は、本発明の実施に際して良好に機能することが、本発明により見出されたものであり、またその結果として、該方法の適切な実施の態様を構成するものと考えることができることを、当業者は理解すべきである。しかし、当業者は、この開示に照らして、本発明の精神および範囲を逸脱することなしに、これらの具体的に記載された態様に、様々な変更を加えることができることを理解すべきである。
(実施例)
再発性または不応性のAMLに罹っている18名の患者(年齢中央値=60;年齢範囲=25〜77歳)が、AMLを治療するための、デプシペプチドの多施設共同フェイズII研究において登録された。この研究を始めるに当たり、これらの患者を2つの群に分割した:群A(n=14):この群は、ヒストンデアセチラーゼのリクルートと関連する特定の染色体異常性を有しない患者を含んでいた;および群B(n=4):この群は、ヒストンデアセチラーゼのリクルートと関連する染色体異常、例えばt(8;21)、inv(16)、およびt(15;17)を有する患者を含んでいた。
FK228(藤沢薬品、日本(大阪))を、28日間に渡るサイクルにおける第1日、8日および15日目に、13.3 mg/m2/日なる用量にて、4時間に渡る静脈内注入によって投与した。末梢血の単核球を、該投与前(時間0)、第1日および8日目の投与の4時間後(時間4)および24時間後(時間24)に採取し、これを、フローサイトメトリー法による、ヒストンのアセチル化に関する評価、およびリアルタイム RT-PCR法による、遺伝子の再発現に関する評価のために利用した。対象とするターゲット遺伝子は、HDI-媒介アップレギュレーションのターゲットとしてのMDR1、およびAMLにおけるDNAメチル化過剰に対するターゲットとしてのp15INK4B(P15)を包含する。
MDR1およびp15のコピー数は、夫々MDR1およびp15の、ハウスキーピング遺伝子ABLに対する標準化指数として表された。この薬物は、十分な許容性を示し、グレード1/2の悪心、嘔吐、および疲労感を包含する、最も一般的な悪影響を有していた。
応答(完全なまたは部分的な寛解)の客観的な証拠または抗-白血病活性に関する他の証拠は、該群Aには何ら見られなかった。これとは対照的に、該群Bに属する4名の患者の内の2名(50%)は、1サイクルの治療後の、正常細胞性骨髄のセッティング(setting)における骨髄芽球の顕著な減少(芽細胞の割合<5%)、および該治療の第二のサイクルに伴う、ほぼ正常な造血能の、同時発生的な回復を示した。この抗-白血病作用は、短命の一時的なものであり、2人の患者は、治療の停止に伴い、その後の30日以内に、骨髄芽球の増加を示した。これら2人の患者は、該AML1遺伝子を含む転座を示した。1名の患者は、t(8;21)細胞形成性を有し、また他方の患者は、新規な転座:t(4;21)を示した。染色体異常を示したこれら二名の患者および該群Bコホートの他の一名(75%)は、4および/または24時間の時点において、H3アセチル化における増加を示し、一方で、群Bにおける14名の患者中の僅かに4名のみ(28%)が、H3アセチル化における増加を示したに過ぎなかった。第1日目および第8日目における時間4において、MDR1発現における41%なる、全体としての平均の増加(p=0.04)がみられ、またp15発現は、91%(p=0.01)なる平均の増加を示した。
これらのデータは、該HDAC阻害剤:FK228が、ヒストンデアセチラーゼを回復させることが知られている、AMLの特異的な細胞遺伝学的サブセットにおいて、抗-白血病活性を有することができ、またこれが、ヒストンアセチル化の同時発生的な増加と関連していることを、示唆している。更に、特異的なターゲット遺伝子のアップレギュレーションは、デプシペプチドによる治療に伴って、患者内に、誘導された単核細胞を発生させた。

Claims (14)

  1. 急性骨髄性白血病に罹患している患者を治療する方法であって、該患者に、処置前の骨髄芽球と比較して骨髄芽球を減じるのに有効な量のヒストンデアセチラーゼ阻害剤を投与する工程を含み、該患者が、ヒストンの脱アセチル化の上昇と関連する染色体異常を有する、上記方法。
  2. 患者が、t(8;21)、t(4;21)、inv(16)、およびt(15;17)からなる群から選択される染色体異常を有する、請求項1記載の方法。
  3. 患者が、AML1に影響する染色体異常を有する、請求項1記載の方法。
  4. 患者が、t(8;21)を含む染色体異常を有する、請求項1記載の方法。
  5. 患者が、t(4;21)を含む染色体異常を有する、請求項1記載の方法。
  6. ヒストンデアセチラーゼ阻害剤が、FK228、FK228類縁体、FR135313、FR135313類縁体、または製薬的に許容されるその塩を含む、請求項1記載の方法。
  7. 阻害剤が、FK228または製薬的に許容されるその塩である、請求項6記載の方法。
  8. 阻害剤を、約1 mg/m2/日〜約18 mg/m2/日なる範囲の用量にて投与する、請求項7記載の方法。
  9. 阻害剤を、約8.0〜約15.0 mg/m2/日なる範囲の用量にて投与する、請求項7記載の方法。
  10. 阻害剤を週に1回投与する、請求項7記載の方法。
  11. 阻害剤を、28日間からなるサイクルで投与し、かつ該サイクルを少なくとも1回繰返す、請求項7記載の方法。
  12. 患者が実質的に正常な造血能を示す、請求項1記載の方法。
  13. 骨髄芽球が5%未満である、請求項11記載の方法。
  14. FK228、FK228類縁体、FR135313、FR135313類縁体、または製薬的に許容されるその塩を含む、ヒストン脱アセチル化活性の上昇と関連する染色体異常を有する患者における急性骨髄性白血病を治療するための医薬。
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