発明の概要
驚いたことに、前述の抗体の固形物が調製可能であり、これらの固形物およびそこから調製された製剤が、先行技術において言及された不都合を持たないことが発見されている。以下に記載する本発明による抗EGFR抗体の固形物および/またはそこから調製された製剤は、驚いたことに、高い安定性、制御可能な粒径、再融解または再懸濁後の天然および生物活性のあるタンパク質、高純度、薬学上容認できない物質の不在およびしたがって高い安全性、良好な許容性および直接使用の可能性、低い凝集傾向およびしたがって高濃縮製剤の調製の可能性、ならびに溶液と比較したタンパク質懸濁液としての製剤の低い粘度、から選択される1つまたは複数の利点によって区別される。
以下に記載する本発明による調製方法は、驚いたことに、単純性、時間およびコストの節減、薬学的に許容できる物質の使用、高収率、から選択される1つまたは複数の利点によって区別される。したがって、本発明による方法は、1種の沈殿試薬を加えることだけが必要であるため、好ましくは、文献に記載の技術より、非常に単純で、時間がかからず、対費用効果の高い方法で実施することができる。
さらに、沈殿試薬を適切な緩衝系内の抗体溶液に加える。すなわち、さらなるアジュバント、例えば、界面活性剤などによる反応液の安定化は必要ない。非経口投与のための調製における界面活性剤の使用は、一般に、回避または最小化しなければならず、これは洗浄剤が、かなりの有毒かつ免疫原性をもたらす原因となり(Sweetana S.およびAkers M.J.(1996)Solubility principles and practices for parenteral drug dosage form development、PDA J.Pharm.Sci.Technol.50、330−342)、また、タンパク質の二次構造における変化を生じさせる可能性があるためである(Vermeer A.W.P.およびNorde W.(2000)The influence of the binding of low molecular weight surfactants on the thermal stability and secondary structure of IgG.Colloids and Surfaces A:Physicochemical and Engineering Aspects 161、139−150)。したがって、得られた抗EGFR抗体の固形物は、薬剤内で直接使用することが可能であり、薬理学的に許容できない物質の除去のためのさらなる精製は必要でない。対照的に、WO02072636で得られる結晶は、薬理学的に許容できない物質、例えば、CHES、イミダゾール、TRIS、塩化マンガン(II)、塩化亜鉛(II)、硫酸銅(II)、2−プロパノール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、HEPES、硫酸リチウム、エトキシエタノール、またはポリソルベート80もしくは20などの界面活性剤を複合工程に含まないようにしなければならず、あるいは前述の許容できない物質を完全に取り除くことは不可能でさえある。
驚いたことに、好ましくは、安定した固形物は、EGF受容体に対する抗体(抗EGFR抗体)、好ましくは、モノクローナル抗EGFR抗体、特に好ましくは、Mab C225(セツキシマブ)またはMab h425(EMD72000)を、適切なpHおよび適切な温度において、ポリマー、好ましくは、ポリエチレングリコール(PEG)、塩、好ましくは、硫酸アンモニウムまたは有機溶媒、好ましくは、エタノール、あるいはその混合物から選択された特定の沈殿試薬を用いた適切な緩衝液の存在下で保温すると、得られることが発見されている。
驚いたことに、本発明による方法で得た、抗EGFR抗体、好ましくはモノクローナル抗EGFR抗体、特に好ましくはMab C225(セツキシマブ)またはMab h425(EMD72000)、および/あるいはそれらの変異体もしくは断片、の固形物は、好ましくは再融解後に未変性であり、好ましくは高収量が得られることを発見している。
したがって、本発明は抗EGFR抗体および/またはそれらの変異体もしくは断片の固形物に関し、これらは水性媒質中での溶解もしくは懸濁により生物活性のある抗体タンパク質を生じ、適切なpHおよび適切な温度において適切な緩衝液の存在下で、ポリマー、好ましくはポリエチレングリコール(PEG)、塩、好ましくは硫酸アンモニウム、または有機溶媒、好ましくはエタノール、あるいはそれらの混合物から選択された沈殿試薬によって、水性媒質に溶解もしくは懸濁された、抗体ならびに/あるいはその変異体および/または断片の1種を沈殿させることによって得ることができる。
抗EGFR抗体の固形物:
「本発明による抗EGFR抗体の固形物」という表現は、水性または非水性媒質への溶解または懸濁により生物活性のある抗体タンパク質を生じる沈殿物または結晶を意味するものと解釈するのが好ましい。
本発明による固形物は、以下に記載する工程に従って、水性媒質中に溶解または懸濁された抗体を沈殿することによって得られる。本発明による固形物は、μmおよびnmの範囲であることが可能である。
沈殿物:
本発明の目的のために、沈殿物という用語は、無定形な非晶質構造、または凝集もしくは会合の状態、の固形物を意味するものと解釈する。
結晶:
本発明の目的のために、結晶という用語は、結晶構造の固形物を意味するものと解釈する。結晶構造は、下記の工程を使用して検出することができる。
沈殿した:本発明の目的のために、沈殿したという用語は、沈殿した形態の、すなわち工程の条件によって沈殿物または結晶の形態の、本発明による固形物を意味するものと解釈する。
沈殿した結晶質:本発明の目的のために、沈殿した結晶質または結晶質という用語は、秩序ある結晶構造にある本発明による固形物を意味するものと解釈する。
沈殿した非結晶質:本発明の目的のために、沈殿した非結晶質という用語は、無定形な非結晶構造、または凝集および会合の状態にある本発明による固形物を意味するものと解釈する。
溶解した:本発明の目的のために、溶解した形状という用語は、本発明による溶液中に溶解または再溶解される、本発明による固形物を意味するものと解釈する。
懸濁した:懸濁した形状という用語は、本発明による溶液中に懸濁または再懸濁される、本発明による固形物を意味するものと解釈する。
本発明の目的のために、「水性媒質」は水、あるいは水と適切な不活性溶媒および実施例1に記載の他の物質、例えば、緩衝液、安定剤またはアジュバントなどの、本発明による水性媒質が抗体の沈殿または結晶化をそれ自体では生じず、代わりに、沈殿または結晶化が本発明の沈殿試薬の添加によってのみ生じるという特性を有する物質との混合物を意味するものと解釈する。
本発明の目的のために、「非水性媒質」は油、または油と水もしくは他の適切な不活性溶媒および実施例1に記載の他の物質、例えば、安定剤またはアジュバントなどの、本発明による非水性媒質が抗体の沈殿または結晶化をそれ自体では生じず、代わりに、沈殿または結晶化が本発明の沈殿試薬の添加によってのみ生じるという特性を有する物質との混合物を意味するものと解釈する。
本発明による抗EGFR抗体に関して、さらに本発明の目的のために、「生物活性を有する」、「未変性の」および「有効な」という用語は、本発明による抗EGFR抗体が、本発明による固形物への変換後、その後の再融解および再懸濁後においてさえ、生物学的効果、特にEGFRへの結合、リガンド、特にEGFのEGFRへの結合の抑制、調節、特にEGFR媒介シグナル伝達の抑制、ならびにEGFR媒介疾患の予防処置または治療の効果、を発揮することができることを意味するものと解釈する。
特に、本発明による抗EGFR抗体の結晶の直接の調製は、したがって、抗体が凝集への強い傾向を一般に有し、結晶格子への秩序ある組み込みをより難しくするか、妨げさえするために(McPherson A.(1999)Crystallization of Biological Macromolecules、1 edn.Cold Spring Harbor Laboratory Press、New York)、予期されなかった。同一抗体種内にすら存在する、タンパク質構造、グリコシル化および構造的な断片の柔軟性に関する、前述の不均質性のために、本発明による抗体結晶化に関して、当業者が予期することが難しいにもかかわらず、本発明による方法によって、驚いたことに、優れた結果が達成される。
また、本発明により得られた抗体の結晶の高い安定性は、免疫原性の副作用に関して重要とみなされるであろう粒子の形および粒径スペクトルの変化、あるいはタンパク質の一次構造または二次構造の変化のいずれも生じないことを特徴とする。したがって、本発明による方法は、得られた結晶の粒径が、好ましくは制御可能であり、安定した三次元結晶が好ましくは得られるという利点を提供する。結晶の大きさは、μmおよびnmの範囲であることが可能である。
抗EGFR抗体:本発明による抗EGFR抗体は、モノクローナルであって、マウスまたはヒト由来であることが好ましく、特に、マウス由来であって、キメラまたはヒト化されていることが好ましい。上皮成長因子受容体(EGFR)に対する抗体は、Mab C225(セツキシマブ)またはMab h425(EMD72000)、および/あるいはその変異体または断片が特に好ましい。EGFRに対するさらなる抗体は、例えば、EP0586002およびJ.Natl.Cancer Inst.1993、85:27−33(Mab528)に記載されている。
Mab C225(セツキシマブ、Erbitux(登録商標)):Mab C225(セツキシマブ)は、EGF受容体に結合する、臨床的に証明された抗体である。Mab C225(セツキシマブ)は、可変部がマウスの由来であって、定常部がヒト由来であるキメラ抗体である。この抗体は、Naramuraら、Cancer Immunol.Immunotherapy 1993、37:343−349およびWO96/40210A1で最初に記載された。
Mab h425(EMD72000):Mab h425(EMD72000)は、マウスの抗EGFR抗体425(Mab425)(EP0531472)由来のヒト化モノクローナル抗体(Mab)である。マウスのモノクローナル抗体Mab425は、ヒト癌細胞系A431で上皮成長因子受容体(EGFR)の細胞外エピトープに結合するため、ヒト癌細胞系A431において開発された。この抗体はEGFの結合を阻害することが発見されている(Murthyら、1987)。EGFR発現の増加が、様々な供給源由来の悪性組織で発見されており、したがって、Mab425は、ヒト腫瘍の診断および治療上の処置のための可能性がある活性成分である。したがって、Mab425がインビトロで腫瘍細胞毒性を媒介して、インビトロで類表皮癌および結腸直腸癌の細胞系の腫瘍増殖を抑制することが知られている(Rodeckら、1987)。さらに、Mab425が、マウスでヒトの悪性神経膠腫の異種移植片に結合することが示されている(Takahashiら、1987)。そのヒト化形状およびキメラ形状は、例えば、EP0531472;Kettleboroughら、Protein Engineering 1991、4:773−783;Bierら、Cancer Chemother Pharmacol.2001、47:519−524;Bierら、Cancer Immunol.Immunother.1998、46:167−173において開示されている。Mab h425(EMD72000)は、第I相および第II相臨床試験中であって、定常部がκおよびヒトγ−1鎖(EP0531472)を含むヒト化抗体(h425)である。
ヒト抗EGFR抗体は、WO9110741、WO9402602およびWO9633735で記載されるように、XenoMouse技術により調製することができる。この技術によって調製された、臨床試験にかけられている抗体は、例えば、ABX−EGF(Abgenix、Crit.Rev.Oncol.Hematol.2001、38:17−23;Cancer Research 1999、59:1236−43)である。
抗体:抗体または免疫グロブリンは、広い意味で、本発明の目的のために使用され、特に、ポリクローナル抗体および多特異的抗体(例えば、二重特異性抗体)、特に好ましくは、生物活性を有する無傷モノクローナル抗体(Mab)、ならびに変異体およびその断片に関する。また、この用語は、2種以上の抗体またはその断片からなり、および/あるいは異なる結合特異性を有して、互いに結合する異種抗体を包含する。これらの定常部のアミノ酸配列によって、抗体を異なる抗体(免疫グロブリン)クラス:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMに割り当てることができる。これらの多くを、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2にさらに再分することができる。抗体は、通常、分子量が約150kDaで、2つの同一の軽鎖(L)および2つの同一の重鎖(H)からなる。モノクローナル抗体は、均一な細胞の集団から得られる。これらは非常に特異的で、1種のエピトープに向けられるが、ポリクローナル抗体は、異なるエピトープに向けられる異なる抗体を包含する。モノクローナル抗体の調製のための方法は、例えば、KohlerおよびMilstein(Nature 256、495(1975))が述べる雑種細胞腫の方法、ならびにBurdonら、(1985)「Monoclonal Antibody Technology,The Production and Characterisation of Rodent and Human Hybridomas」Eds、Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology、Volume 13、Elsevier Science Publishers、Amsterdamに記載される雑種細胞腫の方法を含む。これらは、特に既知の組換えDNA技術(米国特許第4816567号参照)によって調製することができる。また、モノクローナル抗体を、例えば、Clacksonら.(Nature、352:624−628(1991))およびMarksら、(J.Mol.Biol.、222:58、1−597(1991))に記載の技術を用いて、ファージ抗体ライブラリから分離することができる。
変異体および断片:抗体の変異体(ムテイン)は、構造的に関連するタンパク質であって、これらは、例えば、一次配列(アミノ酸配列)の改変、糖鎖工学(グリコシル化部位または構造の変異体、また、脱グリコシルタンパク質)、PEG付加(PEGylation)、改変宿主細胞での調製、またはその他の技術によって得ることができるタンパク質である。本発明による変異体は、本明細書では上記の例に限定されないが、代わりに、当業者に公知の本発明によるすべての抗体の変異体を含む。
抗体の断片(部分断片)は、例えば、パパイン、ペプシンおよびプラスミンを用いた限定された酵素の消化、または遺伝子工学による部分断片の調製により得られる抗体の分解産物である。典型的な部分断片は、例えば、二価F(ab’)2断片、一価Fab断片およびFc断片である。(Lottspeich F.、H.Zorbas(ed.).Bioanalytik,Heidelberg;Berlin:Spektrum Akademischer Verlag GmbH、(1998)pp.1035)。本発明による断片は、本明細書では上記の例に限定されないが、代わりに、当業者に公知の本発明によるすべての抗体の断片を含む。
医薬製剤:pharmaceutical formulation(医薬製剤)およびpharmaceutical preparation(医薬製剤)という用語は、本発明の目的のために同義的に使用される。
本明細書では、「薬学的に許容性のある」は、哺乳類に対して、悪心、めまい、消化不良などの望ましくない生理的副作用なしに、得られる医薬製剤の投与を促進する、薬剤、沈殿試薬、賦形剤、アジュバント、安定剤、溶媒および、その他の物質に関する。
非経口投与のための医薬製剤では、等張性、pH正常性(euhydria)および許容性、ならびに製剤(低毒性)、使用されるアジュバントおよび一次包装の安全性が要求される。驚いたことに、本発明による抗EGFR抗体の固形物は、使用される沈殿試薬が生理学的に許容できる物質なので、直接使用が可能であり、したがって、好ましくは、医薬製剤における本発明による固形物の使用前に、毒物学的に容認できない物質、例えば、高濃度の有機溶媒またはその他の毒物学的に容認できないアジュバントなどの除去のためのさらなる精製工程は必要ないという利点を有する。本発明による抗EGFR抗体の固形物の調製は、好ましくは、同時に、天然でおよび薬学的に許容できる高純度のタンパク質を高収量で得る調製で、したがって、好ましくは、簡単で、時間が節約され、安価である。
また、本発明は、本発明による抗EGFR抗体ならびに/あるいはその変異体および/または断片の1種の固形物の調製方法に関し、これらは水性媒質中での溶解または懸濁により生物活性抗体タンパク質を生じ、水溶液中に溶解または懸濁された抗体および/またはその変異体および/またはその断片が、沈殿試薬によって沈殿し、沈殿生成物が分離することを特徴とする。本発明による方法で使用される沈殿試薬は、好ましくはポリマー、特に好ましくはポリエチレングリコール(PEG)、塩、特に好ましくは硫酸アンモニウム、または有機溶媒、特に好ましくはエタノールである。
本発明による抗EGFR抗体の固形物は、実施例1に記載の本発明による沈殿試薬、好ましくはポリマー、特に好ましくは0.1〜99.9%(w/v)の濃度で、200〜80,000、好ましくは400〜20,000、特に好ましくは400〜8000の平均分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)などのポリマー;塩、0.1〜4.5Mの濃度の硫酸アンモニウム、0.1〜4.5Mの濃度の酢酸ナトリウム三水和物、0.1〜1.5Mの濃度のクエン酸三ナトリウム脱水物、0.1〜1.2Mの濃度のリン酸カリウム、0.1〜4.7Mの濃度の塩化カリウム、0.1〜6.1Mの濃度の塩化ナトリウム、0.1〜3.0Mの濃度のリン酸水素二カリウム、0.1〜0.5Mの濃度のリン酸水素二ナトリウム二水和物などの塩、あるいは有機溶媒、特に好ましくは0.1〜99.9%(v/v)の濃度のエタノールまたはその混合物など、ならびにアジュバント、緩衝液および/または安定剤を、バッチ法で本発明の抗体を含む溶液に加え、実施例1に記載のpH値および温度で保温することによって調製することができる。この目的のために、実施例1に記載の沈殿試薬、アジュバント、緩衝液および/または安定剤を含む原液の定義された量を、定義された濃度で、その調製で得られるEGFR抗体の定義された濃度(0.01〜150mg/mL、好ましくは2〜100mg/mL、特に好ましくは約5〜20mg/mL)を有する溶液に有利に添加し、場合によって、水または緩衝液(例えば、1mM〜200mM、好ましくは2〜20mM、特に好ましくは約10mMの濃度のクエン酸塩またはリン酸塩緩衝液;また、等張性物質、例えば、1〜1000mM、好ましくは40mM〜310mMの濃度の塩化カリウム、塩化ナトリウムなどを添加する)で希釈して、事前に算出した濃度にする。代わりに、本発明の沈殿試薬、アジュバント、緩衝液および安定剤を固形物で添加することができる。抗体がそれ自身、例えば、凍結乾燥物のような固体の凝集状態の場合、本発明による抗EGFR抗体の固形物は、最初に、本発明による抗体を水、または1種もしくは複数のさらなる成分を含む水溶液で溶解し、引き続いて、実施例1に記載の沈殿試薬、アジュバント、緩衝液および/または安定剤を含む原液の定義された量を、定義された濃度で添加することによって調製することができる。また、本発明による沈殿試薬、アジュバント、緩衝液および/または安定剤は、さらに固体の凝集状態で添加してもよい。また、本発明による抗体は、すべての沈殿試薬、アジュバント、緩衝液および/または安定剤を含む溶液で、有利に、直接、溶解することができる。
また、本発明は、当業者に公知かつ予想可能な前述の物質のすべての水和物、塩および誘導体を包含する。
本発明で述べた1種または複数の物質を、沈殿工程の間または完了後に有利に添加して、場合によって、再度除去し、例えば、精製工程をさらに実施することができる。
本発明で述べた1種または複数の沈殿試薬、アジュバント、緩衝液および/または安定剤を、抗体の調製方法の間または完了後に有利に添加することができる。これは、好ましくは、その調製後に行われる抗体精製の最終工程において、1種、複数またはすべてのさらなる沈殿試薬、アジュバント、緩衝液および/または安定剤を含む水溶液に、直接、本発明による抗体を溶解することによって実施することができる。次に、本発明による医薬製剤の調製のためには、それぞれのさらなる成分を、それぞれ、より少量を添加しさえすればよく、あるいは、まったく添加しなくともよい。その調製後の最終工程の精製において、それぞれの成分が、すべてのさらなる沈殿試薬、アジュバント、緩衝液および/または安定剤を含む水溶液に溶解されているならば特に好ましい。したがって、包装または直接凍結乾燥する溶液を有利に得ることができる。それぞれの抗体を含む得られた溶液を、pH4〜10、好ましくはpH5〜9に調整し、無菌ろ過し、必要に応じて、凍結乾燥する。
反応は、当業者に公知の方法により、適切な溶液、特に、不活性溶媒で実施する。適切な不活性溶媒は、エタノール、グリセロール、水または純水または他のアジュバント、例えば、緩衝作用または等張性発生作用を有する塩などを含む水との混合物である。このうち、水が特に好ましい。
ここに記載される工程は、特に好ましくは、バッチ形式で実施することができる。本発明によって調製した、本発明による抗EGFR抗体ならびに/あるいは変異体および/またはその断片の固形物は、特に好ましくは、水性媒質での溶解または懸濁により、生物活性抗体タンパク質に転換することができる。この目的のために、水性媒質中で溶解または懸濁された、抗体ならびに/あるいはその変異体および/または断片の1種を、実施例1に記載の沈殿試薬によって沈殿させ、沈殿生成物を分離させることが特に好ましい。
沈殿試薬の濃度の選択によって、無形沈殿物または結晶のいずれかを得る。沈殿物は、好ましくは、比較的高濃度の沈殿試薬で得られるが、結晶は、好ましくは、比較的低濃度の沈殿試薬で得られる。したがって、沈殿試薬の濃度、タンパク質の濃度、本発明によるその他の物質、pHおよび温度の適切な選択により、反応を所望の方向に向けることができる。実施例2および3は、Mab C225(Erbitux(登録商標))のための例証となる結晶化の条件を示し、実施例4および5は、例証となる沈殿の条件を示している。また、本発明による沈殿工程および本発明による結晶化工程を、結合することができる。
適切な反応温度は、−10〜40℃、好ましくは0〜25℃、特に非常に好ましくは4〜20℃の温度である。使用される圧力は、好ましくは1〜20bar、特に好ましくは大気圧である。使用されるpHは、好ましくは4〜10である。反応期間は、選定される反応条件に依存する。一般に、反応期間は、0.5時間〜10日間、好ましくは1〜24時間、特に好ましくは2〜12時間である。
本発明による固形物の溶媒和化合物という用語は、相互の引力によって形成する、不活性溶媒分子の本発明による固体形状への付加(adductions)を意味するものと解釈する。溶媒和化合物は、例えば、一水和物もしくは二水和物などの水和物、またはアルコラート(すなわち、アルコール、例えば、エタノールなどとの付加化合物)である。
本発明により得られた抗EGFR抗体の固形物は、調製された対応する溶液から(例えば、遠心および洗浄によって)分離すること、および分離後、異なる組成で保管することが可能であり、あるいはこれらを調製溶液中に直接残すことが可能である。また、本発明により得られた固形物は、特定の使用のために所望の溶媒内に取り込むこともできる。本発明による抗EGFR抗体の固形物は、再融解または再懸濁後、好ましくは、生物活性があり、好ましくは、本発明による方法において、抗体の変性を生じない。したがって、好ましくは、タンパク質の生物学的有効性は、保持される。
驚いたことに、安定した医薬製剤が、本発明による抗EGFR抗体の固形物を用いて、調製できることが同様に発見されている。これらの製剤は、好ましくは、物理化学的な影響、例えば、酸化、機械的ストレス、好ましくないpH値および温度などに対して、従来の抗体のタンパク質溶液よりより高い安定性を有する。さもなければ、同等の安定性は、通常、高価で時間のかかる方法、例えば、安定剤の添加、冷蔵、冷凍または凍結乾燥などによってしか達成できない。高い安定性は、好ましくは、より単純で、安価な保管、輸送および薬学上有用な製剤の調製、例えば、すぐ使用できる製剤、活性成分の遅延放出または長時間かけて制御された放出を行う製剤の調製などを促進する。
したがってさらに、本発明は、貯蔵安定な薬剤としての本発明による抗EGFR抗体の固形物に関する。
また、本発明は、特に好ましくは、沈殿した非結晶質、沈殿した結晶質、または溶解もしくは懸濁の形態での、本発明による抗EGFR抗体の少なくとも1つの固形物、ならびに、場合によって、賦形剤および/またはアジュバントおよび/またはさらなる薬剤活性成分、を含む医薬製剤に関する。
したがって、本発明による医薬製剤は、沈殿形態、すなわち沈殿物もしくは結晶の形態で、または再溶解もしくは再懸濁の形態で本発明による固形物を含むことができる。また、本発明は、沈殿、再溶解または懸濁した形態での、抗EGFR抗体、好ましくはモノクローナル抗EGFR抗体、特に好ましくはMab C225(セツキシマブ)もしくはMab h425(EMD72000)および/またはその変異体または断片の、少なくとも1つの沈殿物および/または結晶を含み、場合によって、賦形剤および/またはアジュバントおよび/またはさらなる薬剤活性成分を含む、医薬製剤に関する。
好ましくは、本発明による抗EGFR抗体の固形物は、従来の高濃度のタンパク質溶液の場合に観察されることがある、本発明による抗体の好ましくなく、望ましくない凝集または望ましくない高粘度の発生なしに、高濃度の製剤の調製を可能にする。したがって、高含有量の活性成分を有する、すぐ使用できる(ready−to−use)溶液は、本発明による抗EGFR抗体の固形物を用いて、水性溶媒または水性媒質で再溶解または再懸濁することができる。最近、タンパク質の活性成分の非常に高濃度な製剤に関して、高濃度の度合いを増加するように求められている。治療に使用されている大部分の抗体は、mg/kgの範囲の用量で使用される。高用量かつ少容量による投与(例えば、皮下投与で約1〜1.5mL)のために、100mg/mLを超える高濃度に濃縮された濃度のタンパク質製剤が求められている。さらに、高濃度のタンパク質製剤は、(動物モデルでの)インビトロおよびインビボにおける許容性および有効性の調査のための前臨床試験、ならびに(特に、皮下投与用の)この生成物のヒトでの使用および臨床用途における許容性および有効性の調査のための臨床試験において多くの利点を持つ可能性がある。特に、これらの利点は、製剤の比較的少量を使用しなければならないという点にある。比較的低濃度によるタンパク質薬の輸液および注射と対照的に、これは、例えば、患者に対するタンパク質薬の皮下投与を可能にする。タンパク質薬の皮下投与には、様々な根拠があると思われる。例えば、「治療域(therapeutic window)」に関連した特異的ターゲティングが望ましいかもしれない。さらに、皮下投与は、患者自身が、医療従事者に頼らずに、投与を行うことができるという利点を持つ。インスリンの例は、明らかにこれらの利点を示している。しかし、皮下投与のための注射は、最大で1〜1.5mLと考えられるので、100mg/mLを超えて含む高濃度のタンパク質製剤が頻繁に必要である。
驚いたことに、液状製剤において、好ましくは10〜200mg/mL、特に好ましくは50〜150mg/mLのタンパク質濃度を可能にする高濃度の医薬製剤が、本発明による抗EGFR抗体の固形物を用いて得ることができる。このことは、希薄タンパク質製剤に比べて、高濃度のタンパク質製剤では、不安定性への傾向がはるかに大きいために、予期されていなかった(Fields,G.、Alonso,D.、Stiger,D.、Dill,K.(1992)「Theory for the aggregation of proteins and copolymers」J.Phys.Chem.96、3974−3981)。タンパク質分子の「充填密度(packing density)」は、高たんぱく質濃度において増加する。それに応じて、衝突数の増加が必ず想定され、タンパク質が時折会合する可能性がある。この過程は、核生成および成長機構により行われ、このとき臨界核は、しばしば可溶性関連タンパク質であるが、不溶性タンパク質沈殿物(変性タンパク質)へ急速に変換することがある(Reithel,J.F.(1962)、「The dissociation and association of protein structures」、Adv.Protein Chem.18、123)。タンパク質凝集物の大きさは、すでにβ−ラクトグロブリンで認められているように、タンパク質濃度が増加すると共に拡大する(Roefs,S.P.F.M.、De Kruif,K.G.(1994)「A model for the denaturation and aggregation of β+−lactoglobulin」Eur.J.Biochem.226、883−889)。
既知の高濃度免疫グロブリン製剤における限界は、通常、すぐ使用できる(ready−to−use)液状抗体製剤で、2〜50mg/mL(Humira(登録商標))である。しかし、本発明による固形物では、予期されなかった、安定した高濃度の製剤が調製できる。したがって、沈殿または結晶化の工程は、高濃度の安定した抗体製剤をもたらすことが可能で、これらは再懸濁または再融解の後、同じ濃度の液状抗体製剤と比較して、粘性が低下し、したがって、非経口投与の場合に取り扱いが容易になる。
したがって、また、本発明は、沈殿した非結晶質、沈殿した結晶質、または溶解もしくは懸濁の形状での、本発明による抗EGFR抗体ならびに/あるいはその変異体および/または断片の1種の少なくとも1つの固形物を包含する医薬製剤に関し、このとき存在する抗体が生物活性を有し、抗体濃度が、好ましくは10〜200mg/mL、特に好ましくは50〜150mg/mLであることを特徴とする。
また、本発明は、本発明による高濃度の医薬製剤の調製ための工程に関し、本発明による抗EGFR抗体ならびに/あるいはその変異体および/または断片の1種の少なくとも1つの固形物が、本発明による溶液中で溶解または再懸濁され、抗体濃度が、好ましくは10〜200mg/mL、特に好ましくは50〜150mg/mLであることを特徴とする。
水性の製剤は、本発明による抗EGFR抗体の固形物を、水溶液で溶解または懸濁し、場合によってアジュバントを添加することで調製することができる。この目的のために、前記のさらなるアジュバントを含む原液の定義された量を、定義された濃度で、本発明による固形物の定義された濃度の溶液または懸濁液に有利に添加し、場合によって、混合物を水で希釈して、事前に算出した濃度にする。代わりに、アジュバントを固形物で添加することができる。いずれの場合も原液および/または水の必要な量を、引き続いて、得られた水溶液または懸濁液に添加してもよい。
また、本発明による抗EGFR抗体の固形物を、直接、さらなるすべてのアジュバントを含む溶液で、有利に、溶解または懸濁することもできる。
pH4〜10、好ましくはpH5〜9、および250〜350m Osm/Kgの浸透圧を有する、抗体を含む溶液または懸濁液を、水性溶媒による再構成により本発明による固形物から有利に調製することができる。したがって、再懸濁または再溶解された製剤を、直接に、実質的に痛みなしに、静注内、動脈内および、また皮下に投与することができる。さらに、製剤を、輸液、例えば、グルコース溶液、等張生理食塩水溶液またはリンゲル液などの、さらなる活性成分を含んでいてもよい輸液に、添加してもよく、したがって、比較的多量の活性成分を投与することも可能となる。
また、本発明による医薬製剤は、沈殿もしくは結晶状および/または再溶解もしくは再懸濁の形態で、本発明による沈殿物および/または結晶の混合物を含んでもよい。
本発明による製剤は、生理学的に許容性が良好で、調製が容易で、正確に調剤することが可能であって、さらに、好ましくは、保管および輸送により、また、複数回の冷凍および解凍工程の間、測定、分解生成物および凝集物に関して安定である。これらは、好ましくは、冷蔵庫の温度(2〜8℃)、室温(23〜27℃)および60%相対大気湿度(R.H.)で、少なくとも3カ月〜2年間にわたって安定した方法で貯蔵することができる。驚いたことに、本発明の製剤は、好ましくは、温度および大気湿度が上昇しても、例えば、温度が40℃、相対大気湿度が75%でさえ、少なくとも6カ月間、保管に関して安定している。
例えば、本発明による固形物は、乾燥によって安定した方法で保管することが可能であり、必要に応じて、溶解または懸濁によって、すぐ使用できる(ready−to−use)医薬製剤に転換することが可能である。可能な乾燥法は、例えば、窒素ガス乾燥、真空オーブン乾燥、凍結乾燥、有機溶媒による洗浄およびその後の風乾、液層乾燥、流動層乾燥、噴霧乾燥、ローラー乾燥、層乾燥、室温での風乾およびさらなる方法があるが、これらの例に限定されるものではない。
「有効量」という用語は、組織、系、動物またはヒトにおいて、例えば、研究者または医師によって、要求または所望されている生物学的または医学的反応を引き起こす、薬剤量または薬剤活性成分量を意味する。
さらに、「治療有効量」という用語は、この量を投与していない対応する被験者と比べて、次に掲げる、治療の改善、治癒、疾患、症候群、病態、愁訴、障害の予防もしくは消失、または副作用の予防、あるいは、また、疾患、愁訴もしくは障害の進行の減少という結果をもたらす量を意味する。また、「治療有効量」という用語は、正常な生理機能を増進することにおいて有効な量を含む。
薬剤は、用量単位ごとに所定量の活性成分を含む用量単位の形で投与することができる。この種の単位は、治療する病態、投与法、ならびに患者の年齢、体重および健康状態によって、例えば、0.5mg〜1g、好ましくは1mg〜800mgの本発明による活性成分を含むことができる。好ましい用量の単位製剤は、上記に示したような1日の用量または部分用量、あるいは活性成分のその対応する一部を含むものである。さらに、この種の薬剤を、医薬品業界で一般に知られる方法のうちの1つによって調製できる。
薬剤を、あらゆる所望の適切な経路、例えば、口腔(口内または舌下を含む)、直腸、肺、鼻、局所(口内、舌下、経皮を含む)、膣または非経口(皮下、筋肉内、静脈内または皮内を含む)の経路による投与に適応することができる。この種の薬剤を、医薬品業界で知られるすべての方法、例えば、活性成分を賦形剤またはアジュバントと組み合わせることによって調製することができる。
非経口投与は、好ましくは、本発明による薬剤の投与のために適している。非経口投与の場合、静脈内投与および皮下投与が特に好ましい。静脈内投与の場合、直接、注射することができるが、輸液溶液に添加することもできる。
安定した高濃度の製剤が、本発明による抗EGFR抗体の固形物を用いて調製することができるので、皮下投与用薬剤は特に適している。したがって、非経口投与または皮下投与および少容量による投与のために必要な高濃度の製剤を実現することができる。
皮下投与は、患者が専門家の医療扶助なしに薬剤を自身で投与できるという利点を持つ。また、本発明による抗EGFR抗体の固形物は、活性成分を、ゆっくりと、持続および/または制御させて放出するように薬剤を非経口的に投与するために適している。本発明による沈殿物および/または結晶は、好ましくは、ここでは懸濁液の形であり、長期間および/または管理された期間にわたって溶解し、未変性または有効な状態である。したがって、本発明による抗EGFR抗体の固形物は、遅延放出製剤の調製にも適しており、これは比較的に長い時間間隔でのみ投与が必要な患者にとって有利である。また、本発明による医薬製剤は、腫瘍に直接注射することが可能なので、意図される作用部位にその作用を直接に発揮させることが可能である。
非経口投与に適応される薬剤は、治療を受ける個体の血液と製剤を等張にする方法で、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤ならびに溶質を含む水性および非水性無菌注射液を含み、さらに、懸濁液媒質および増粘剤を含むことができる水性および非水性無菌懸濁液を含む。本製剤は、1回量容器または多用量容器、例えば、密閉されたアンプルおよびバイアルで供給することが可能であり、また、使用直前に、無菌担体液、例えば注射用蒸留水、の添加のみが必要となるように、凍結乾燥(凍結乾燥)させた状態で保管することが可能である。本製剤によって調製される注射の溶液および懸濁液は、無菌の粉末、顆粒および錠剤から調製してもよい。
場合によっては再溶解形態をとる、本発明による抗EGFR抗体の固形物は、リポソーム供給系、例えば、小型単膜小胞、大型単膜小胞および多重膜小胞の形でも投与できる。リポソームは、様々なリン脂質、例えば、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンなどから形成が可能である。
沈殿、再溶解または懸濁した形態の、本発明による抗EGFR抗体およびその変異体の固形物は、標的薬物賦形剤としての可溶性ポリマーと結合させることもできる。そのようなポリマーは、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタミドフェノール、またはパルミトイル基で置換されたポリエチレンオキシドポリリシンを含むことができる。さらに、抗EGFR抗体の固形物は、一群の生分解性ポリマーと結合してもよく、これらは薬剤の緩やかな放出を実現するために適し、例えば、ポリ乳酸、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロキシピラン、ポリシアノアクリレート、ポリ乳酸グリコール酸共重合体、デキストランおよびメタクリル酸塩の間の複合物などのポリマー、ポリホスホエステル、様々な多糖類およびポリアミンおよびポリ−ε−カプロラクトン、アルブミン、キトサン、コラーゲンまたは修飾ゼラチン、ならびにヒドロゲルの架橋体または両親媒性ブロック共重合体が挙げられる。
経皮投与に適応される薬剤は、投与個体の皮膚と広範に、密着するための独立した硬膏剤として供給することができる。したがって、例えば、Pharmaceutical Research、3(6)、318(1986)の一般項に記載されているように、活性成分を、イオン導入(iontophoresis)によって硬膏剤から供給することができる。
局所投与に適応される薬剤は、軟膏、乳剤、懸濁剤、ローション剤、粉末剤、溶液、ペースト剤、ゲル剤、噴霧剤、煙霧剤または油剤として処方することができる。
眼またはその他の外部組織、例えば、口および皮膚の治療のために、本製剤を、好ましくは、局所の軟膏または乳剤として投与する。軟膏としての製剤の場合、活性成分をパラフィン基剤または水溶性乳基剤のいずれかと使用することができる。あるいは、活性成分を、水中油型乳基剤または油中水型乳基剤による乳剤となるように処方することができる。
眼に対する局所投与に適応される薬剤は、点眼薬を含み、この場合、活性成分が適切な賦形剤、特に水性溶媒中に溶解または懸濁される。
直腸内投与に適応される薬剤は、坐剤または浣腸剤の形で与えることができる。
吸入による投与に適応される薬剤は、細かい粒状の微粉または噴霧を含み、これらは噴霧器、霧吹き器または吸入器を備えた、様々なタイプの加圧ディスペンサーよって生成させることができる。本発明の目的のために、吸入剤としての投与のためには、本発明による抗EGFR抗体の固形物の粉末剤が特に好ましい。
膣内投与に適応される薬剤は、膣坐剤、タンポン、乳剤、ゲル剤、ペースト剤、泡沫剤または噴霧製剤として与えられる。
特に前述の組成物の他に、本発明による薬剤は、医薬製剤の特定の種類に関連する領域で通例の、その他の物質も含んでもよいことは言うまでもない。
さらに本発明は、
a)抗EGFR抗体、好ましくはモノクローナル抗EGFR抗体、特に好ましくはMab C225(セツキシマブ)もしくはMab h425(EMD72000)および/または変異体またはその断片の、沈殿、再溶解または懸濁した形態での沈殿物および/または結晶の有効量、および
b)さらなる薬剤活性成分の有効量
の別々のパックからなるセット(キット)に関する。
このセットは、箱もしくはボール箱、個々のビン、袋、またはアンプルなどの適切な容器を含む。このセットは、例えば、場合によって、再溶解された形で、それぞれが本発明の固形物の有効量を含み、さらに、溶解または凍結乾燥された形で、さらなる薬剤活性成分の有効量を含む、個別のアンプルを含んでもよい。
本発明による抗EGFR抗体の固形物の治療有効量は、多くの因子によって決められ、これらは、例えば、年齢および重量、治療を必要としている正確な病態、ならびに重症度、製剤の性質および投与法を含むが、最終的に、治療を行っている医師または獣医師によって決められる。しかし、新生物の形成、例えば、腸癌または乳癌の治療のための本発明による抗EGFR抗体の有効量は、一般に、1日当たり投与個体(哺乳類)の体重の0.1〜100mg/kgの範囲、特に、典型的には、1日当たり体重の1〜10mg/kgの範囲である。したがって、体重70kgの成体の哺乳類における実際量は、通常、70〜700mgの間となると思われ、この量は1日当たり1回量で投与するか、または、1日当たりの用量が同じになるように、通常、一連の部分用量(例えば、2、3、4、5または6)として投与することが可能である。適切な抗体価は、当業者に知られている方法により測定される。投与のために提唱される用量は、一般に、所望の腫瘍阻害作用を達成するのに十分である。しかし、用量はできる限り低く選択して、望ましくない、交叉反応、アナフィラキシー反応などの副作用が起こらないようにすることも必要である。
さらに、本発明は、沈殿した非結晶質、沈殿した結晶質、または溶解もしくは懸濁の形態での、生物活性抗体ならびに/あるいはその変異体および/または断片の1種を含む薬物の調製のための、本発明による固形物の使用に関する。
特に、本発明による薬物は、疾患および病態の予防および/または治療のために使用される。したがって、本発明は、疾患の治療および/または予防における薬物の調製のための、沈殿、再溶解または懸濁した形態における、本発明による抗EGFR抗体、好ましくは、モノクローナル抗EGFR抗体、特に好ましくは、Mab C225(セツキシマブ)またはMab h425(EMD72000)、および/あるいは変異体またはその断片の固形物の使用に関する。
様々なインビトロおよびインビボ試験において、例えば、癌細胞の増殖を阻害すること、腫瘍媒介の血管新生を減少させること、癌細胞アポトーシスの誘導、ならびに放射線療法および従来型化学療法の毒性作用を増加させることによるによる、様々なレベルでの腫瘍に対する抗体によるEGFRの遮断が認められている。
再溶解または懸濁した形態の本発明による抗体の固形物を含む薬剤は、EGFRを効果的に調節(regulate)、調整(modulate)または阻害することが可能であり、したがって、調整されない、または障害を受けるEGFR活性に関連する疾患の予防および/または治療のために使用することができる。したがって、特に、本発明による抗EGFR抗体の固形物は、特定の癌の形態、および糖尿病網膜症または炎症などの病的血管形成によって引き起こされる疾患の治療に使用することができる。
したがって、さらに、本発明は、EGFRおよび/またはEGFR媒介シグナル伝達により引き起こされた、媒介された、および/または増殖された疾患の治療および/または予防における薬物の調製のための、沈殿、再溶解または再懸濁した形態での本発明による固形物の使用に関する。
本発明による薬剤は、特に、固形癌、例えば、癌腫(例えば、肺癌、すい臓癌、甲状腺癌、膀胱癌または結腸癌)、骨髄性疾患(例えば、骨髄性白血病)または腺腫(例えば、絨毛結腸腺腫)など、病的血管新生および転移細胞遊走を含む癌の治療および/または予防のために適する。さらに、本薬剤は、補体活性化依存慢性炎(Niculescuら、(2002)Immunol.Res.、24:191−199)およびHIV−1型(ヒト免疫不全症ウイルス1型)によって誘発される免疫不全(Popikら、(1998)J Virol、72:6406−6413)の治療に有用である。
さらに、本薬剤は、EGFR誘発疾患の治療における、哺乳類、特に、ヒトのための薬剤活性成分として適している。「EGFR誘発疾患」という用語は、EGFR活性に依存的である病態に関する。EGFRは、分化に加えて、増殖、接着、遊走を含む、様々の細胞活性のシグナル伝達経路に直接または間接的に関与する。EGFR活性と関連する疾患は、腫瘍細胞の増殖、固形腫瘍の増殖を促進する病的血管新生、眼における新血管形成(糖尿病性網膜症、年齢誘発黄斑変性など)および炎症(乾癬、リウマチ様関節炎など)を含む。
ここで考察される疾患は、通常、過剰増殖性疾患および非過剰増殖性疾患の2群に分けられる。これに関しては、乾癬、関節炎、炎症、子宮内膜症、瘢痕、良性前立腺過形成、免疫疾患、自己免疫疾患および免疫不全症は、非癌性疾患と考えられ、このなかで、関節炎、炎症、免疫疾患、自己免疫疾患および免疫不全症は、通常、非過剰増殖性疾患と考えられる。
これに関しては、脳の癌、肺癌、扁平上皮癌、膀胱癌、胃癌、膵癌、肝癌、腎臓癌、大腸癌、乳癌、頭部癌、頸部癌、食道癌、婦人科癌、甲状腺癌、リンパ腫、慢性白血病および急性白血病は、癌性疾患とみなされ、これらのすべては、通常、過剰増殖性疾患の群に入ると考慮される。特に、癌細胞の増殖および特に、EGFRに直接または間接的に媒介される癌細胞の増殖は、本発明の標的となる疾患である。
異種移植腫瘍モデルで、本発明による薬剤が、インビボでの抗増殖性作用を有することを示すことができる。例えば、腫瘍増殖を阻害する、リンパ組織増殖性疾患に関連する炎症を減少させる、組織修復による移植拒絶または神経損傷を抑制するなどのために、本発明による薬剤を過剰増殖性疾患患者に投与する。本薬剤は、予防的または治療的目的のために有用である。本明細書では、「治療する」という用語は、疾患の予防および現存する愁訴の治療の両方に関して使用される。増殖の予防は、明らかな病変が発達する前に、例えば、腫瘍増殖を予防する、転移増殖を予防する、心臓血管手術に関連する再狭窄を減少するなどのための、本発明による薬剤の投与により達成される。あるいは、本薬剤は、患者の臨床症状を安定化または改善することによって、持続性疾患の治療のために使用される。宿主または患者は、あらゆる哺乳類の種、例えば、霊長類種、特にヒト;マウス、ラットおよびハムスターを含むげっ歯類;ウサギ、ウマ、ウシ、イヌ、ネコ、などに属することができる。動物モデルは、実験的研究のための対象であり、ヒトの疾患の治療のためのモデルを提供する。
本発明の薬剤による治療に対する特定の細胞の受容性は、インビトロ試験によって判定できる。典型的には、活性成分が細胞死を誘発するか、または遊走を抑制することを十分に可能にする、通常は、約1時間から1週間の間となる期間、細胞の培養物を、本発明による薬剤と共に異なる濃度で培養する。インビトロ試験は、生検試料からの培養細胞株を使用して、実施することができる。処理後、残る生存細胞を計数する。
用量は、使用する特定薬剤、特定疾患、患者の状態などによって異なる。典型的に、治療量は、患者の生命力は維持されるが、標的細胞における望ましくない細胞集団をかなり減少するためには十分である。治療は、一般に、かなりの減少、例えば、少なくとも約50%の特定細胞数の減少が生じるまで継続し、基本的に、望ましくない細胞が体内に検出されなくなるまで継続することができる。
EGFR阻害因子の同定のための様々な測定システムが利用できる。シンチレーション近接測定(Sorgら、J.of.Biomolecular Screening、2002、7、11−19)およびフラッシュプレート(flashplate)測定では、基質としてのタンパク質またはペプチドの放射性リン酸化を、γATPを使用して測定する。抑制性化合物の存在下では、放射性シグナルの減少が検出されるか、何も検出できない。さらに、均一時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(HTR−FRET)技術および蛍光偏光(FP)技術は、測定法として有用である(Sillsら、J.of Biomolecular Screening、2002、191−214)。
他の非放射性のELISA測定法では、特異的なリン酸化抗体(リン酸化AB)を使用する。リン酸化ABは、リン酸化基質にだけ結合する。この結合を化学発光によって、二次ペルオキシダーゼ結合型抗ヒツジ抗体を使用して検出することができる(Rossら、2002、Biochem.J.、just about to be published、manuscript BJ20020786)。
細胞増殖および細胞死(アポトーシス)の脱制御に関連する多くの疾患および病態がある。本発明による薬剤によって治療、予防または改善することができる疾患および病態は、次に記載の疾患および病態を含むが、これに限定されるものではない。本発明による薬剤は、血管の内膜層での平滑筋細胞および/または炎症細胞の増殖および/または遊走に関与し、その結果、例えば、新生内膜閉塞性病変で、この血管により血流を制限する、多くの異なる疾患および病態の治療および/または予防において有用である。対象の閉塞性の移植血管疾患は、アテローム性動脈硬化症、移植後の冠状血管疾患、静脈移植狭窄、吻合部周囲の人工器官再狭窄、血管形成またはステント装着の後の再狭窄などを含む。
本発明は、癌の治療または予防のための本発明による薬剤の使用に関する。したがって、本発明は、特に好ましくは、腫瘍および/または腫瘍転移の治療および/または予防における薬物の調製のための、本発明による抗EGFR抗体の固形物の使用に関し、この場合、腫瘍は、特に好ましくは、脳腫瘍、尿生殖路の腫瘍、リンパ系腫瘍、胃腫瘍、喉頭腫瘍、単球性白血病、肺腺癌、小細胞肺癌、膵癌、グリア芽細胞腫および乳癌からなる群から選択されるが、これらに限定されるものではない。
さらに、本発明は、扁平上皮癌、膀胱癌、胃癌、肝癌、腎臓癌、大腸癌、乳癌、頭部癌、頸部癌、食道癌、婦人科癌、膵癌、リンパ腫、慢性白血病および急性白血病からなる癌性疾患からなる群から選定される疾患の治療における薬物の調製のための、本発明による薬剤の使用に関する。
本発明による薬剤は、癌治療のために患者に投与することができる。本薬剤は、腫瘍の血管新生を抑制し、したがって、腫瘍の増殖に影響を及ぼす(J.Rakら、Cancer Research、55:4575−4580、1995)。また、本発明による薬剤の血管形成抑制特性は、網膜血管新生に関連する特定の形態の失明の治療に適している。
したがって、また、本発明は、血管新生により引き起こされた、媒介された、および/または増殖された疾患の治療および/または予防における薬物の調製のための、沈殿、再溶解または懸濁した形態における、本発明による抗EGFR抗体の固形物の使用に関する。
血管新生に関与するこの種の疾患は、網膜血管形成、糖尿病性網膜症、年齢誘発黄斑変性などの眼の疾患である。
したがって、また、本発明は、網膜血管形成、糖尿病性網膜症、年齢誘発黄斑変性および/または炎症疾患からなる群から選択される疾患の治療および/または予防における薬物の調製のための、沈殿、再溶解または懸濁した形態での、本発明による抗EGFR抗体の固形物の使用に関する。
さらに、本発明は、乾癬、リウマチ性関節炎、接触皮膚炎、後期型過敏症反応、炎症、子宮内膜症、瘢痕、良性前立腺過形成、免疫疾患、自己免疫疾患および免疫不全症からなる群から選択される疾患の治療および/または予防のための、本発明による薬剤の使用に関する。
また、本発明は、骨肉腫、変形性関節炎およびくる病からなる群から選択される骨の病態の治療および/または予防のための、本発明による薬剤の使用に関する。
さらに、本発明による薬剤は、特定の既存の癌化学療法および照射法で相加作用または相乗作用を提供するために使用することが可能であり、ならびに/あるいは特定の既存の癌化学療法および照射法の有効性を回復させるために使用することが可能である。
したがって、また、本発明は、疾患の治療および/または予防における薬剤の調製のための、沈殿、再溶解または懸濁した形態での、本発明による抗EGFR抗体の固形物の使用に関し、沈殿、再溶解または懸濁した形態での本発明による固形物の治療有効量を、1)エストロゲン受容体モジュレータ、2)アンドロゲン受容体モジュレータ、3)レチノイド受容体モジュレータ、4)細胞毒性物質、5)抗増殖性物質、6)プレニルタンパク質転移酵素阻害物質、7)HMG−CoA還元酵素阻害物質、8)HIVプロテアーゼ阻害物質、9)逆転写酵素阻害物質、10)増殖因子受容体阻害物質および11)血管新生阻害物質からなる群の化合物と併用して投与する。
したがって、また、本発明は、疾患の治療および/または予防における薬剤の調製のための、沈殿、再溶解または懸濁した形態での、本発明による抗EGFR抗体の固形物の使用に関し、沈殿、再溶解または懸濁した形態での本発明による固形物の治療有効量を、1)エストロゲン受容体モジュレータ、2)アンドロゲン受容体モジュレータ、3)レチノイド受容体モジュレータ、4)細胞毒性物質、5)抗増殖性物質、6)プレニルタンパク質転移酵素阻害物質、7)HMG−CoA還元酵素阻害物質、8)HIVプロテアーゼ阻害物質、9)逆転写酵素阻害物質、10)増殖因子受容体阻害物質および11)血管新生阻害物質からなる群の化合物および放射線療法と併用して投与する。
したがって、また、本発明による薬剤は、治療されている状態に対する特定の有用性のために選択される他の周知の治療薬と併用して投与することができる。例えば、骨の状態の場合、良好と思われる組合せは、アレンドロネートおよびリセドロネートなどの骨吸収抑制ビスホスホネート;αvβ3アンタゴニストなどのインテグリン遮断薬(下記に定義);Prempro(登録商標)、Premarin(登録商標)およびEndometrion(登録商標)などのホルモン補充療法で使用される結合型エストロゲン;ラロキシフェン、ドロロキシフェン、CP−336.156(ファイザー)およびラソフォキシフェンなどの選択的エストロゲン受容体モジュレータ(SERM);カテプシンK阻害物質;およびATPプロトンポンプ阻害物質との組合せを含む。
また、本発明は、既知の抗癌剤との併用に適している。これらの既知の抗癌剤は、次に掲げるエストロゲン受容体モジュレータ、アンドロゲン受容体モジュレータ、レチノイド受容体モジュレータ、細胞毒性物質、抗増殖性物質、プレニルタンパク質転移酵素阻害物質、HMG−CoA還元酵素阻害物質、HIVプロテアーゼ阻害物質、逆転写酵素阻害物質、増殖因子阻害物質および血管新生阻害物質を含む。本化合物は、特に、放射線療法と並行した投与に適する。
「エストロゲン受容体修飾物質」は、機構に関係なく、受容体へのエストロゲンの結合を干渉または抑制する化合物を指す。エストロゲン受容体修飾物質の例は、タモキシフェン、ラロキシフェン、イドキシフェン、LY353381、LY117081、トレミフェン、フルベストラント、4−[7−(2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]フェニル2,2−ジメチル−プロパノエート、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニルヒドラゾンおよびSH646を含むが、これらに限定されるものではない。
「アンドロゲン受容体モジュレータ」は、機構に関係なく、受容体へのアンドロゲンの結合を干渉または阻害する化合物を指す。アンドロゲン受容体モジュレータの例は、フィナステリドおよびその他の5α−還元酵素阻害剤、ニルタミド、フルタミド、ビカルタミド、リアロゾール、ならびに酢酸アビラテロンを含む。
「レチノイド受容体モジュレータ」は、機構に関係なく、受容体へのレチノイドの結合を干渉または阻害する化合物を指す。そのようなレチノイド受容体モジュレータの例は、ベキサロテン、トレチノイン、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、α−ジフルオロメチルオルニチン、ILX23−7553、トランス−N−(4’−ヒドロキシフェニル)レチナミドおよびN−4−カルボキシフェニルレチナミドを含む。
「細胞毒性物質」は、主に細胞機能に対する直接の作用により細胞死をもたらす化合物、または細胞ミオーシス(myosis)を阻害もしくは干渉する化合物を指し、アルキル化剤、腫瘍壊死因子、インターカレーター、ミクロチューブリン阻害物質およびトポイソメラーゼ阻害物質を含む。
細胞毒性物質の例は、チラパジミン(tirapazimine)、セルテネフ、カケクチン、イホスファミド、タソネルミン、ロニダミン、カルボプラチン、アルトレタミン、プレドニマスチン(prednimustine)、ジブロモズルシトール(dibromodulcitol)、ラニムスチン、ホテムスチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、テモゾロマイド、ヘプタプラチン(heptaplatin)、エストラムスチン、インプロスルファントシレート、トロホスファミド、ニムスチン、塩化ジブロスピジウム、プミテパ、ロバプラチン、サトラプラチン、プロフィロマイシン(profiromycin)、シスプラチン、イロフルベン、デキシホスファミド(dexifosfamide)、シス−アミンジクロロ(2−メチルピリジン)プラチナ、ベンジルグアニン、グルホスファミド(glufosfamide)、GPX100、(トランス、トランス、トランス)−ビス−μ−(ヘキサン−1,6−ジアミン)−μ−[ジアミン−プラチナ(II)]ビス[ジアミン(クロロ)プラチナ(II)]四塩化物、ジアリジジニルスペルミン(diarizidinyl spermine)、三酸化ヒ素、1−(11−ドデシルアミノ−10−ヒドロキシウンデシル)−3,7−ジメチルキサンチン、ゾルビシン(zorubicin)、イダルビシン、ダウノルビシン、ビサントレン、ミトキサントロン、ピラルビシン、ピナフィド、バルルビシン、アムルビシン、アンチネオプラストン、3’−デアミノ−3’−モルフォリノ−13−デオキソ−10−ヒドロキシカルミノマイシン、アナマイシン、ガラルビシン(galarubicin)、エリナフィド、MEN10755および4−デメトキシ−3−デアミノ−3−アジリジニル−4−メチルスルホニルダウノルビシン(WO00/50032参照)を含むが、これに限定されるものではない。
ミクロチューブリン阻害物質の例は、パクリタキセル、硫酸ビンデシン、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−8’−ノルビンカロイコブラスチン、ドセタキソール(docetaxol)、リゾキシン、ドラスタチン、イセチオン酸塩ミボブリン、オーリスタチン(auristatin)、セマドチン(cemadotin)、RPR109881、BMS184476、ビンフルニン、クリプトフィシン(cryptophycin)、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−N−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、アンヒドロビンブラスチン、N,N−ジメチル−L−バリル−L−バリル−N−メチル−L−バリル−L−プロリル−L−プロリン−t−ブチルアミド、TDX258およびBMS188797を含む。
トポイソメラーゼ阻害物質のいくつかの例は、トポテカン、ヒカプタミン(hycaptamine)、イリノテカン、ルビテカン、6−エトキシプロピオニル−3’,4’−O−エキソベンジリデンシャールトルーシン(chartreusin)、9−メトキシ−N,N−ジメチル−5−ニトロピラゾロ[3,4,5−クル]アクリジン−2−(6H)−プロパナミン、1−アミノ−9−エチル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−1H,12H−ベンゾ[デ]ピラノ[3’,4’:b,7]インドリジノ[1,2b]キノリン−10,13(9H,15H)−ジオン、ルアトテカン(lurtotecan)、7−[2−(N−イソプロピルアミノ)エチル]−(20S)カンプトセシン、BNP1350、BNPI1100、BN80915、BN80942、リン酸エトポシド、テニポシド、ソブゾキサン、2’−ジメチルアミノ−2’−デオキシエトポシド、GL331、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−9−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−6H−ピリド[4,3−b]カルバゾール−1−カルボキサミド、アスラクリン(asulacrine)、(5a,5aB,8aa,9b)−9−[2−[N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチルアミノ]エチル]−5−[4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル]5,5a,6,8,8a,9−ヘキソヒドロフロ(3’,4’:6,7)ナフト(2,3−d)−1,3−ジオキソル−6−オン、2,3−(メチレンジオキシ)−5−メチル−7−ヒドロキシ−8−メトキシベンゾ[c]フェナントリジニウム、6,9−ビス[(2−アミノエチル)アミノ]ベンゾ[g]イソキノリン−5,10−ジオン、5−(3−アミノプロピルアミノ)−7,10−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチルアミノメチル)−6H−ピラゾロ[4,5,1−デ]アクリジン−6−オン、N−[1−[2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ]−7−メトキシ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イルメチル]ホルムアミド、N−(2−(ジメチル−アミノ)エチル)アクリジン−4−カルボキサミド、6−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]−3−ヒドロキシ−7H−インデノ[2,1−c]キノリン−7−オンおよびジメスナである。
「抗増殖性物質」は、G3139、ODN698、RVASKRAS、GEM231およびINX3001などのアンチセンスRNAおよびDNAオリゴヌクレオチドを含み、ならびに、エノシタビン、カルモフール、テガフール、ペントスタチン、ドキシフルリジン、トリメトレキセート、フルダラビン、カペシタビン、ガロシタビン、シタラビンオクホスファート、水酸化ホステアビンナトリウム、ラルチトレキセド、パルチトレキシド、エミテフル、チアゾフリン、デシタビン、ノラトレキセド、ペメトレキセド、ネルザラビン、2’−デオキシ−2’−メチリデンシチジン、2’−フルオロメチレン−2’−デオキシシチジン、N−[5−(2,3−ジハイドロベンゾフリル)スルホニル]−N’−(3,4−ジクロロフェニル)ウレア、N6−[4−デオキシ−4−[N2−[2(E),4(E)−テトラデカジエノイル]ギリシルアミノ]−L−グルセロ−B−L−マンノヘプトピラノシル]アデニン、アプリジン、エクテイナシジン(ecteinascidin)、トロキサシタビン(troxacitabine)、4−[2−アミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピリミジノン[5,4−b]−1,4−チアジン−6−イル−(S)−エチル]−2,5−チエノイル−L−グルタミン酸、アミノプテリン、5−フルオロウラシル、アラノシン、11−アセチル−8−(カルバモイルオキシメチル)−4−ホルミル−6−メトキシ−14−オキサ−1,11−ジアザテトラシクロ(7.4.1.0.0)テトラデカ−2,4,6−トリエン−9−イル酢酸エステル、スワインソニン、ロメトレキソール、デクスラゾキサン、メチオニナーゼ、2’−シアノ−2’−デオキシ−N4−パルミトイル−1−B−D−アラビノフラノシルシトシンおよび3−アミノピリジン−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾンなどの代謝拮抗物質を含む。また、「抗増殖性物質」は、トラスツズマブなどの「血管新生阻害物質」およびp53などの腫瘍抑制遺伝子の下で、上記に記載以外の、増殖因子に対するモノクローナル抗体を含み、これらは組換えウイルス媒介遺伝子移入により与えることができる(例えば、米国特許第6069134号参照)。また、本発明による薬剤は、前述の疾患に関して適している、当業者に公知のすべての他の治療抗体または薬剤活性成分と併用して投与することができる。
さらに、本発明による抗体の本発明による固形物は、沈殿、再溶解または懸濁した形態で、EGFRの活性または発現の分離または研究のために使用することができる。さらに、これらは、特に、EGFR活性の調節不能または障害と関連した疾患に対する診断法での使用に適している。したがって、さらに本発明は、EGFRの活性化物質または阻害物質としての、特に好ましくは、阻害物質としての、沈殿、再溶解または懸濁した形態での本発明による抗EGFR抗体の固形物の使用に関する。
診断目的のために、本発明による抗体は、例えば、放射活性物質で標識することができる。好ましい標識方法は、ヨードゲン(iodogen)法である(Frakerら、1978)。診断目的のために、抗体をF(ab’)2断片として使用することが特に好ましい。それによって優れた結果が達成され、このことはバックグラウンド減算法が不必要であることを意味する。この種の断片は、既知の方法(例えば、Herlynら、1983)により調製することができる。一般に、ペプシン消化は酸性のpHで行われ、この断片を、プロテインA Sepharose(登録商標)クロマトグラフィーによって未消化のIgGおよび重鎖の断片から分離する。
本発明による沈殿物および/または結晶は、好ましくは、実施例で記載の酵素測定において、容易に検出することを可能にする、有意な生物活性を示す。この種の酵素ベースの測定法では、本発明による抗体は、好ましくは、抑制効果を発揮および誘発し、通常、適切な範囲、好ましくはミクロモルの範囲、より好ましくはナノモルの範囲のIC50値で記録される。
測定方法:
測定方法に関して、本発明は、当業者に公知または文献からの、すべての測定方法を含む。
結晶構造は、例えば、X線回折測定における回折スペクトルによって測定することができる。特に、本発明による抗体の結晶構造は、偏光フィルターを使用した顕微鏡試験よって測定することができる。さらなる測定方法は、電子顕微鏡写真を含むが、それに限定されるものではない。
沈殿、再溶解または再懸濁された形態での本発明による固形物のタンパク質の大きさ、構造的完全性、純度またはグリコシル化パターンの測定は、SE−HPLC、ペプチドマッピング(消化)、N末端配列決定、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS page)、TRIS/グリシン勾配ゲル(非還元性)、FTIR(フーリエ変換赤外スペクトル)法、CD(円二色性)、ラマン分光分析法、炭水化物染色(PAS法)、オリゴ糖プロファイリング、単糖組成の測定および等電点電気泳動を含むが、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明による固形物または製剤の安定性は、安定性プログラム、例えば、25℃および60%の相対大気湿度ならびに40℃および70%の相対大気湿度での長期間にわたる保管、ならびに例えば、前述の測定法(SE−HPLC、FT−IR、SDS−PAGE(還元性または非還元性))による、定期的間隔でのタンパク質の安定性または構造的完全性の測定、を用いて測定することができるが、これらに限定されるものではない。
沈殿した結晶、沈殿した非結晶、溶解または懸濁した形態での、本発明による固形物の生物活性または有効性の測定方法は、例えば、ELISA、生物学的細胞測定、FTIRまたはCDを含むが、これらに限定されるものではない。
沈殿した結晶、沈殿した非結晶、溶解または懸濁した形態での、本発明による固形物の凝集減少の傾向、および、したがって、高濃度製剤を調製できる可能性、結晶の大きさまたは沈殿物の大きさに関する測定方法は、例えば、目視試験、顕微鏡による粒子分析、比濁分析または濁度測定、あるいは動的光散乱性質決定を含むが、これらに限定されるものではない。
上記および下記において、すべての温度は、℃で示す。以下の実施例において、「従来の後処理」は、最終生成物の組成によって、必要に応じて、水を加えて、さらに、必要に応じて、pHを2〜10の間に調整することを意味する。
実施例1:本発明により使用できる薬品ならびに沈殿および/または結晶化条件
以下のリストは、各場合において、当業者に公知であるすべての妥当な前記化合物の水和物、関連する塩および誘導体を包含する。
1.沈殿試薬
1.1.塩
例えば、酢酸ナトリウム三水和物、塩化カリウム、塩化ナトリウム、クエン酸三ナトリウム二水和物、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム二水和物、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、臭化アンモニウム、塩化アンモニウム、クエン酸三アンモニウム、クエン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、酒石酸二アンモニウム、クエン酸一水和物、イミダゾール、酢酸カリウム、臭化カリウム、クエン酸三カリウム一水和物、リン酸二水素カリウム、硫酸カリウム、酢酸マグネシウム四水和物、臭化マグネシウム六水和物、塩化マグネシウム六水和物、硫酸マグネシウム七水和物、リン酸二水素ナトリウム一水和物、硫酸ナトリウム十水和物、プロリン、コハク酸、酢酸亜鉛二水和物、硫酸亜鉛七水和物。
1.2.ポリマー
例えばポリエチレングリコール(PEG):
シクロデキストリン、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム(Na−CMC)、ポロキサマー、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(mPEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)
1.3.有機溶媒
例えばエタノール、グリセロール
2.アジュバント
例えば粘度調整物質、界面活性剤(例えばTween(登録商標)、Solutol(登録商標)HS15、Pluronic(登録商標)、Cremophor(登録商標)EL、Avacel(登録商標)20、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、還元剤(グルタチオン、2−メルカプトエタノール、ジチオスレイトール)、錯化剤(EDTA、EGTA)
3.緩衝液
例えばリン酸緩衝液:リン酸Na(またはK);に等張剤(例えばNaCl(またはKCl))も添加し、可能なpHは約6.0〜8.2、
クエン酸緩衝液:クエン酸Naまたはクエン酸で、pHは恐らく約2.2〜6.5で、等張剤(例えばNaCl)も添加するが、等張化には他の塩も考え得る。
コハク酸緩衝液:pH約4.8〜6.3
酢酸緩衝液:酢酸ナトリウム、pH約2.5〜6
ヒスチジン緩衝液:pH約6.0〜7.8
グルタミン酸:pH8.0〜10.2
グリシン(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン):pH約8.6〜10.6
グリシネート緩衝液:pH約6.5〜7.5
イミダゾール:pH6.2〜7.8
塩化カリウム:pH約1.0〜2.2
乳酸緩衝液:pH約3.0〜6.0
マレイン酸緩衝液:pH約2.5〜5.0
酒石酸緩衝液:pH約3.0〜5.0
TRIS:pH約6.8〜7.7
リン酸/クエン酸緩衝液
4.pH範囲
理論的に考え得るpHは、pH4〜10、好ましくはpH5〜9である。
5.温度範囲
理論的に考え得る温度範囲は、−10℃から40℃、好ましくは0〜25℃、特に好ましくは4℃から20℃の温度である。
6.安定化剤
6.1.アミノ酸
例えばアルギニン、オルニチン、リジン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、イソロイシン、ロイシン、アラニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、メチオニン、セリン、プロリン
6.2.糖および糖アルコール
例えばショ糖、乳糖、ブドウ糖、マンノース、麦芽糖、ガラクトース、果糖、ソルボース、ラフィノース、トレハロース、グルコサミン、N−メチルグルコサミン、ガラクトサミン、ノイラミン酸
6.3.抗酸化剤
例えばアセトン亜硫酸水素ナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸エステル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、システイン、ノルジヒドログアイアレチン酸(NDGA)、モノチオグリセロール、亜硫酸水素ナトリウム、メタ亜硫酸水素ナトリウム、トコフェロール、グルタチオン
6.4.防腐剤
例えばm−クレゾール、クロロクレゾール、フェノール、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、クロロブタノール、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀、チメルザール(thimersal)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム
6.5.シクロデキストリン
例えばヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエチル−β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、α−シクロデキストリン
6.6.アルブミン
例えばヒト血清アルブミン(HSA)、ウシ血清アルブミン(BSA)
6.7.多価アルコール
例えばグリセロール、エタノール、マンニトール
6.8.塩
例えば酢酸塩(例えば酢酸ナトリウム)、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、トロメタミン、EDTA(例えばNa−EDTA)
7.等張剤
例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、ブドウ糖、グリセロール、デキストロース、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム
実施例2:硫酸アンモニウムによるErbitux(登録商標)の結晶化
タンパク質500μl(10mMリン酸、pH8.0中に20mg/ml)
緩衝液400μl(10mMリン酸、pH8.0)
沈殿剤100μl(10mMリン酸、pH8.0中の飽和硫酸アンモニウム溶液)
沈殿試薬のタンパク質溶液中への添加を溶液中で行う(回分法)。ピペット操作の後、試料を「手で振とう」して混合しなければならない。この方法は室温または4℃で行うことができる。
実施例3:エタノールによるErbitux(登録商標)の結晶化
タンパク質500μl(10mMクエン酸、pH5.5中に20mg/ml)
緩衝液400μl(10mMクエン酸、pH5.5)
沈殿剤100μl(10mMクエン酸、pH5.5中の50%(v/v)エタノール)
または
タンパク質500μl(10mMクエン酸、pH5.5中に20mg/ml)
沈殿剤500μl(10mMクエン酸、pH5.5中の50%(v/v)エタノール)
沈殿試薬のタンパク質溶液中への添加を溶液中で行う(回分法)。ピペット操作の後、試料を「手で振とう」して混合しなければならない。この方法は室温または4℃で行うことができる。
実施例4:硫酸アンモニウムによるErbitux(登録商標)の沈殿
タンパク質500μl(10mMリン酸、pH8.0中に20mg/ml)
沈殿剤500μl(10mMリン酸、pH8.0中の飽和硫酸アンモニウム溶液)
または、
タンパク質200μl(10mMリン酸、pH8.0中に20mg/ml)
沈殿剤800μl(10mMリン酸、pH8.0中の飽和硫酸アンモニウム溶液)
または、
タンパク質500μl(10mMクエン酸、pH5.5中に20mg/ml)
沈殿剤500μl(10mMクエン酸、pH5.5中の飽和硫酸アンモニウム溶液)
または、
タンパク質200μl(10mMクエン酸、pH5.5中に20mg/ml)
沈殿剤800μl(10mMクエン酸、pH5.5中の飽和硫酸アンモニウム溶液)
沈殿試薬のタンパク質溶液中への添加を溶液中で行う(回分法)。ピペット操作の後、試料を「手で振とう」して混合しなければならない。この方法は室温または4℃で行うことができる。
実施例5:PEGによるErbitux(登録商標)の沈殿
タンパク質500μl(10mMリン酸、pH8.0中に20mg/ml)
沈殿剤500μl(10mMリン酸、pH8.0中の50%(w/v)PEG4000)
または、
タンパク質500μl(10mMクエン酸、pH5.5中に20mg/ml)
沈殿剤500μl(10mMクエン酸、pH5.5中の50%(w/v)PEG4000)
または、
タンパク質500μl(10mMリン酸、pH8.0中に20mg/ml)
沈殿剤500μl(10mMリン酸、pH8.0中の50%(w/v)PEG8000)
または、
タンパク質500μl(10mMクエン酸、pH5.5中に20mg/ml)
沈殿剤500μl(10mMクエン酸、pH5.5中の50%(w/v)PEG8000)
沈殿試薬のタンパク質溶液中への添加を溶液中で行う(回分法)。ピペット操作の後、試料を「手で振とう」して混合しなければならない。この方法は室温または4℃で行うことができる。
実施例6:結晶形の顕微鏡試験
実施例1および2で得た結晶を顕微鏡で試験した。結晶に典型的な複屈折性とタンパク質に典型的なクマシーブリリアントブルーによる染色性の両方を検出した。
結晶の大きさは約50〜200μmであった。
実施例7:沈殿が未変性であるか否かの試験
実施例4および5で得た沈殿を再分散させ、FT−IR分光法で試験した。沈殿前の出発物質および再分散沈殿のアミドI−2の誘導スペクトルは、一致していた。
実施例8:WO02072636に記載の結晶化法の実施
出願公開WO02072636の結果を確認するために、WO02072636に記載の対照実験で、後にWizard Iスクリーンによる種晶として使用できる結晶の取得をまず試みた。塩化カルシウムまたは酢酸カルシウムを用いる沈殿条件下で針状結晶を得たが、タンパク質を含まないクエン酸緩衝液中でも、その結晶が同様に形成された。したがって、上記の針状結晶は、WO02072636に記載の方法を用いると、タンパク質溶液と陰性対照(タンパク質を含まない)の両方から得られる。このことから、この結晶は、最良の場合でも恐らく、沈殿剤の結晶中のタンパク質包含物であることは明白である。