JP2008519042A5 - - Google Patents

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Description

インフルエンザワクチン接種
本明細書中で引用される全ての文献は、それら全体が本明細書中に参考として援用される。
(発明の分野)
本発明は、インフルエンザウイルスワクチンに関し、特に、ランゲルハンス細胞に送達するための小児用ワクチンに関する。
(発明の背景)
これまで、インフルエンザワクチンは、一般に、インフルエンザ感染の結果が原因で特定の危険性がある患者(例えば、喘息、心臓病、鎌状赤血球症、HIVまたは糖尿病を有する小児;喘息、心臓病、鎌状赤血球症、HIVまたは糖尿病に罹患した者がいる家庭で生活している小児;および高齢者)に投与されてきた。
より最近では、インフルエンザワクチン接種の範囲を、危険性が高い小児のみではなく、むしろ全ての小児を含めるように拡げるべきであるということが示唆されてきた。しかし、このようにして範囲を増すことは、製造能力を非常に拡大する必要があり、ワクチン製造業者は、この拡大を果たす状態には十分になっていない。ワクチンの備蓄は、そのワクチン株が毎年変化しかつほぼジャストインタイム様式(just−in−time manner)において製造されるので、不可能である。
従って、小児用ワクチン接種のための需要の増大に対処するために、インフルエンザワクチンの利用可能な用量を拡大することが必要である。
(発明の開示)
インフルエンザウイルスは、従来から、筋肉内注射によって投与されてきたが、より最近では、鼻腔内ワクチンが、ヒトの用途に関して認可された[1]。本発明は、インフルエンザワクチンのための代替的な送達経路、より具体的には、それほど多くの抗原用量を要しない経路を使用するという考え方に基づく。ランゲルハンス細胞へインフルエンザ抗原を送達することは、本発明に従って選択された経路である。この経路は、インフルエンザウイルスを受容したことがない(すなわち、インフルエンザウイルスに対する免疫応答を以前に開始させたことがない)患者にワクチン接種するために特に有用であることが見出された。このことは、若年の小児を免疫するために有利であることを意味する。さらに、ランゲルハンス細胞への送達は、筋肉内注射と比較した場合、改善されたヘテロサブタイプ免疫(heterosubtypic immunity)を提供し得る。
所定量の抗原から製造され得るワクチン用量の数を増やすとともに、筋肉内注射から離れることは、本発明、インフルエンザワクチン接種と関連した疼痛を避け、それによって、患者の快適性およびコンプライアンスの両方を増大させることを意味する
従って、本発明は、患者をインフルエンザウイルスに対して免疫するための方法を提供し、上記方法は、上記患者に免疫原性組成物を投与する工程を包含し、ここで:(a)上記患者は、インフルエンザウイルスを免疫学的に受容したことがなく;(b)上記免疫原性組成物は、インフルエンザウイルス抗原を含み;そして(c)上記免疫原性組成物は、上記患者のランゲルハンス細胞に送達される。
本発明はまた、患者をインフルエンザウイルスに対して免疫するための医薬の製造におけるインフルエンザウイルス抗原の使用を提供し、ここで:(a)上記患者は、インフルエンザウイルスを受容したことがなく;そして(b)上記医薬は、上記患者のランゲルハンス細胞に送達するためのものである。
本発明はまた、インフルエンザウイルス抗原を含む免疫原性組成物を提供し、ここで上記組成物は、ランゲルハンス細胞への送達に適合されている。
本発明はまた、送達デバイスを提供し、ここで:(a)上記送達デバイスは、免疫原性組成物を含み;(b)上記免疫原性組成物は、インフルエンザウイルス抗原を含み;そして(c)上記送達デバイスは、上記免疫原性組成物をランゲルハンス細胞へ送達するために適合されている。
(患者)
本発明は、インフルエンザウイルスを免疫学的に受容したことがない患者の免疫に関する。言い換えると、上記患者は、インフルエンザウイルスに対する免疫応答を以前に開始させたことがない。上記患者は、以前にインフルエンザウイルスに感染したことがなく、かつインフルエンザウイルス対して免疫を受けたことがない。従って、代表的には、上記患者は、0〜18ヶ月齢、より通常は、0〜12ヶ月齢、しばしば0〜6ヶ月齢の小児である。本発明に従ってワクチン接種が行われる最も好ましい年齢は、4〜8ヶ月齢(例えば、5〜7ヶ月齢、または約6ヶ月齢)である。
本発明の代替的な局面において、上記患者は、インフルエンザウイルスに対する免疫応答を以前に開始させたことがあるかもしれないが、彼らは、投与されるワクチンのインフルエンザ属(すなわち、インフルエンザAウイルスまたはインフルエンザBウイルス)および/またはサブタイプ(HサブタイプまたはNサブタイプ、しかし特に、Hサブタイプ)に関して免疫学的に受容したことがない。このような患者は、小児(0ヶ月齢〜12歳齢)、10代(13〜19歳齢)、若年成人(20〜35歳齢)、中年成人(36〜64歳齢)、高齢者(65歳齢以上)であり得る。
上記患者は、ジフテリア、破傷風、百日咳、Haemophilus influenzae b型、B型肝炎ウイルス、ポリオウイルスおよび/またはStreptococcus pneumoniaeのうちの1種以上(すなわち、1種、2種、3種、4種、5種、6種または7種)に対するワクチンを既に受けたことがある可能性がある。
上記患者は、一般に、麻疹、耳下腺炎、風疹、水痘、またはA型肝炎ウイルスのうちのいずれかに対するワクチンをこれまでに受容したことがない。
上記患者は、好ましくは、喘息も、心臓病も、鎌状赤血球症も、HIVも糖尿病も有さない。同様に、上記患者は、好ましくは、喘息、心臓病、鎌状赤血球症、HVまたは糖尿病に罹患した者がいる家庭で生活していない。
(インフルエンザウイルスおよびインフルエンザウイルス抗原)
インフルエンザウイルス感染に対して免疫するためにインフルエンザウイルス抗原が使用される。抗原が由来する特定のウイルスは、防御が提供されるその特定のウイルスと同じであってもよいし異なっていてもよい。なぜなら、異なる単離物間の相互防御(cross−protection)は、インフルエンザウイルスで、特に同じウイルスサブタイプ内で起こることが公知であるからである。
さらに、本発明は、1種より多いインフルエンザウイルスに対して免疫するために、1種より多いインフルエンザウイルスの抗原を使用し得る。インフルエンザウイルスのためのワクチン株は、季節毎に変化する。現在の汎流行期間において、ワクチンは、代表的には、2種のインフルエンザA株(H1N1およびH3N2)および1種のインフルエンザB株を含む。従って、本発明は、インフルエンザAウイルスのうちの少なくとも1株および/またはインフルエンザBウイルスのうちの少なくとも1株に由来する抗原を利用し得る。三価ワクチンが好ましい。本発明はまた、一般的なヒト集団が免疫学的に受容したことがない株である汎流行性株(例えば、H2サブタイプ株、H5サブタイプ株、H7サブタイプ株またはH9サブタイプ株)に由来するウイルスを利用し得る。汎流行性の状況におけるワクチンは、一価であり得るか、または汎流行性の株が補充される通常の三価ワクチンに基づき得る。
ワクチンが1種より多いインフルエンザ株を含む場合、異なる株が、代表的には、別個に増殖され、ウイルスが採取されかつ抗原が調製された後に混合される。
本発明のプロセスにおいて使用されるインフルエンザウイルスは、再集合体株(reassortant strain)であり得るか、そして/または復帰遺伝技術によって獲得され得る。上記ウイルスは、弱毒化され得る。上記ウイルスは、温度感受性であり得る。上記ウイルスは、低温適合性にされ得る。病原性株に由来するHAおよび/またはNAウイルスセグメント、ならびに非病原性株(例えば、A/PR/8/34)に由来する残りの6つもしくは7つのセグメントを含む再集合体株が、利用され得る。
本発明に従う免疫原性組成物において使用されるインフルエンザウイルス抗原は、生きているウイルスの形態、または好ましくは、不活性化ウイルスの形態であり得る。ウイルス不活性化は、代表的には、化学物質(例えば、ホルマリンまたはβ−プロピオラクトン)による処理を伴う。不活性化ウイルスが使用される場合、上記抗原は、完全なウイルス、スプリットウイルス(split virus)、またはウイルスサブユニットであり得る。スプリットウイルス(split virus)は、ビリオンを界面活性剤(例えば、エチルエーテル、ポリソルベート80、デオキシコール酸、トリ−N−ブチルホスフェート、Triton X−100、Triton Ν101、セチルトリメチルアンモニウムブロミドなど)で処理して、サブビリオン調製物を生成することによって得られる。サブユニットワクチンは、インフルエンザ表面抗原である血球凝集素およびノイラミニダーゼのうちの一方または両方を含む。インフルエンザ抗原はまた、ビロゾームの形態で提示され得る[2]。
抗原が、インフルエンザウイルスから調製される(すなわち、インフルエンザウイルスの増殖を伴わない組換え系または合成系において製造されるよりもむしろ)場合、上記ウイルスは、卵または細胞培養物のいずれかにおいて増殖され得る。特定病原体が存在しない胚を有する(embryonated)卵における増殖は、インフルエンザウイルスがワクチン製造のために増殖されてきた従来からの経路であり、細胞培養系は、より最近になっての開発である。細胞培養物が使用される場合、上記インフルエンザウイルスワクチンは、代表的には、哺乳動物細胞(例えば、MDCK細胞[3−6]、Vero細胞[7−9]またはPER.C6細胞[10])で増殖される。これらの細胞株は、例えば、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から広く入手可能である[11]か、またはCoriell Cell Repositoriesから広く入手可能である[12]。例えば、上記ATCCは、種々の異なるVero細胞をカタログ番号CCL−81、CCL−81.2、CRL−1586およびCRL−1587の下で供給しており、MDCK細胞をカタログ番号CCL−34の下で供給している。雌鳥由来の細胞株(例えば、ニワトリ胚線維芽細胞(CEF))を含むトリ細胞株上での増殖[例えば、参考文献13]も、可能である。
(免疫原性組成物または医薬組成物)
本発明の免疫原性組成物および医薬組成物は、患者のランゲルハンス細胞への投与に適している。これは、種々の方法によって達成され得る。これらの方法としては、皮内注射[14,15];経皮的投与[16];および局所投与が挙げられるが、これらに限定されない。これらは、例えば、エメリー研磨紙によるかまたは微小研磨剤(microabrasive)の使用による皮膚剥離とともに使用され得る。
本発明の免疫原性組成物および医薬組成物は、好ましくは、ワクチンとして提示される。
本発明の組成物は、アジュバントを含み得る。インフルエンザワクチンにおいて使用されているアジュバントとしては、アルミニウム塩[17,18]、キトサン[19]、CpGオリゴデオキシヌクレオチド(例えば、CpG7909[20])、水中油型エマルジョン(例えば、MF59[21])、水中油中水型エマルジョン[22]、E.coli熱不安定性毒素[23,24]およびその解毒化変異体[25,26]、モノホスホリルリピッドA[27]およびその3−o−デアセチル化誘導体[28]、百日咳毒素変異体[29]、ムラミルジペプチド[30]などが挙げられる。ランゲルハンス細胞への送達に関しては、物理的機構によって機能するアジュバントは好ましくない(例えば、エマルジョンおよびアルミニウム塩);代わりに、免疫強化アジュバント(例えば、細胞表面レセプターへの結合によって機能するもの(例えば、CpGオリゴデオキシヌクレオチド))を使用することが好ましい。
血球凝集素(HA)は、不活性化インフルエンザワクチンにおける主要な免疫原であり、ワクチン用量は、代表的には、単一放射状免疫拡散(SRID)アッセイ[31,32]によって測定されるように、HAレベルを参照することによって標準化される。筋肉内注射のためのワクチンは、代表的には、1株あたり約15μgのHAを含むが、より低用量も使用され(例えば、小児に関して、または汎流行性の状況において)、そして分割用量(例えば、1/2(すなわち、1株あたり7.5μgのHA)、1/4および1/8が使用されてきた[17,33]。ランゲルハンス細胞への投与には、筋肉内注射ほど多くの抗原を要しないが、本発明のこのような組成物は、代表的には、インフルエンザ1株あたり0.1〜8μgのHA、好ましくは、例えば、約7.5μg、約5μg、約3μg、約2.5μg、約2μg、約1.5μg、約1μg、約0.75μg、約0.5μg、約0.4μg、約0.2μgなどを含む。
筋肉内注射用のワクチンは、代表的には、0.5mlの容積を有する。ランゲルハンス細胞への投与は、筋肉内注射ほどの容積を要しないが、本発明のこのような組成物は、代表的には、0.05〜0.5mlの容積(例えば、90μl〜250μl)を有する。
上記組成物は、防腐剤(例えば、チメロサールまたは2−フェノキシエタノール)を含み得る。しかし、上記組成物が水銀物質を実質的に含まない(すなわち、1μg/ml未満)(例えば、チメロサールを含まない)べきである[34,35]ことが好ましい。水銀を含まないワクチンがより好ましい。
インフルエンザウイルスが細胞培養物で増殖される場合、本発明の組成物は、好ましくは、1用量あたり100pg未満の残留宿主細胞DNAを含むが、微量の宿主細胞DNAが存在し得る。夾雑DNAは、標準的精製手順(例えば、クロマトグラフィーなど)を使用して、ワクチン調製の間に除去され得る。残留宿主細胞DNAの除去は、ヌクレアーゼ処理によって(例えば、BenzonaseTM DNaseを使用することによって)高められ得る[36]。10μgの血球凝集素あたり100pg未満の宿主細胞DNAを含むワクチンが好ましい。同様に、0.25ml容積あたり100pg未満の宿主細胞DNAを含むワクチンが好ましい。50μgの血球凝集素あたり100pg未満の宿主細胞DNAを含むワクチンがより好ましく、同様に、1ml容積あたり100pg未満の宿主細胞DNAを含むワクチンがより好ましい。
本発明のワクチンは、単一用量免疫レジメンとして送達され得る。あるいは、本発明のワクチンは、初回刺激−ブーストレジメン(第1の免疫の次に、数週間または数ヶ月内に類似の抗原性の第2の注射が続くことを意味する)の初回刺激要素として送達され得る。
(ランゲルハンス細胞への送達)
ランゲルハンス細胞は、皮膚、粘膜、およびリンパ組織に位置する非常に専門化された骨髄性抗原提示細胞(APC)である。上記ランゲルハンス細胞は、骨髄に由来し、表皮へと移動し、表皮でそれらは、700〜800細胞/mmの密度に達し得る規則的に整列したネットワークを形成し、ヒトにおける皮膚表面積全体の最大25%を覆う。上記細胞は、テニスラケットに似た、特徴的な細胞内の細胞質オルガネラ(「ランゲルハンス顆粒」または「バーベック顆粒」として公知)を含んでいるので、電子顕微鏡画像において容易に認識される。ランゲルハンス細胞は、クラスII MHCが豊富である。ランゲルハンス細胞は、優勢なTヘルパー細胞を特異的に活性化し、従って、最初のT細胞依存性免疫応答を開始し得る。抗原と接触させた後、上記細胞は、表皮を離れて、リンパ系を介してリンパ節に達し得る。その道のりにおいて、上記細胞は成熟プロセスを受け、細胞表面上の抗原の提示がもたらされる。この移動している細胞は、骨髄からの対応するの新しいランゲルハンス細胞によって置換される。リンパ節において、その成熟ランゲルハンス細胞は、表面上にマッチしている抗原特異的レセプターを有するTヘルパー細胞を活性化する。このようにして、ランゲルハンス細胞は、免疫系の反応を操っている。
本発明は、主に、表皮内のランゲルハンス細胞に抗原を送達することに関する。上記表皮は、皮膚の外層であり、5層から構成される。これらは、(外側に向かって)以下のとおりである:基底層、有棘層、顆粒層、淡明層(stratum licidum)、および外側の角質層。ランゲルハンス細胞は、主に、角質層の下にある有棘層および/または胚芽層内に位置する。
ランゲルハンス細胞への送達は、種々の送達デバイスを使用して、種々の方法において達成され得る。表皮への送達が好ましいが、真皮への送達(例えば、皮内送達)もなお、ランゲルハンス細胞との接触を可能にする。
送達は、角質層において微小孔を作製する(「マイクロポレーション」)デバイスを使用して達成され得る。このようなデバイスとしては、微小構造体(ときおり、マイクロニードルといわれ、今や、当該分野で許容された用語である[37−40])が挙げられ、このデバイスは、皮膚に適用される場合、無痛で、出血を引き起こすことなく角質層に微小孔を作製する(例えば、3MのMicrostructured Transdermal System、NanoPass製のMicropyramidTMシステムなど)。このマイクロニードルは、単一でまたは複数で(例えば、アレイにおいて[41])使用され得る。このマイクロニードルは、角質層に孔を開け、種々の大きさをとり得る(例えば、25μm〜1mmの長さの範囲)。このマイクロニードルは、好ましくは、皮を穿通しないように十分小さく、よって、神経末端に達しない。それによって、あらゆる疼痛の感覚が避けられる。この構造体は、ニードルを介して下の表皮への流体輸送を容易にするために、中実(抗原適用の前の前処理として働く)、抗原がニードルの外側に直接コーティングされた状態の中実、または中空のいずれかであり得る。この構造体は、ケイ素、生分解性ポリマー、金属(例えば、ステンレス鋼、金など)、およびガラスが挙げられるが、これらに限定されない物質から作製され得る。ニードルが挿入される間に折れてしまったとしても、生分解性ポリマーは安全である。これらデバイスによって作製された微小孔は、薬物拡散に対して微小孔なしの通常の皮膚より低い抵抗性を提供し[42]、このシステムは、皮膚を介する高分子の浸透を大きく(100,000倍まで)高めることが報告された[43]。振動性作動は、挿入力を小さくするために使用され得る[44]。
同様に、マイクロプロジェクションアレイシステムが使用され得る(例えば、Alza製のMacrofluxTMシステム)。その突出部は、約100〜500μmの長さを有し得(1〜2cm面積に対して1cmあたり50〜500個のマイクロプロジェクション)、そして代表的には、抗原でコーティングされる。これらシステムは、100μmの平均深度において80μgまでのタンパク質を送達し得る。300μmより深い突出部は存在しない[45]。送達速度は、5秒間で20μg程度の早さであり得る。抗原は、アジュバントありまたはアジュバントなしで、乾燥コーティングされ得る。
微小剥離システムが使用され得る。
レーザーシステムが、表皮層から角質層を剥離するために使用され得る[46]。マイクロニードルを用いる場合のように、剥離される領域は、剥離されていない皮膚よりも低い薬物拡散抵抗性を提供する。
イオン導入法および音波導入法(sonophoresis)は、角質層を通過するフラックスを増大させるために使用され得る。これらシステムは、特に、毛髪の非存在下で、タンパク質[47,48]のためを含めて、顕著な皮膚透過性増強を達成し得る。
皮膚は、必要に応じて、組成物を投与する前に、例えば、エメリー研磨紙を用いて剥離され得る。
このようにして、組成物は、皮内投与、経皮的投与、表皮投与、局所投与(特に、剥離後)などによって、ランゲルハンス細胞に送達され得る。従って、本発明の送達デバイスは、これらの経路による送達に適合されたデバイスを包含する。
(免疫原性試験)
インフルエンザワクチンの免疫原性を試験するための方法は、当該分野で周知である。1つの方法は、以下の手順を伴う:(a)ワクチン接種直前に、循環する抗HA抗体のベースライン力価測定のために、10mlの静脈血サンプルを、患者から(通常腕から)採取する;(b)その直後、患者は、1用量のワクチンを受容し、腕に投与される場合、ワクチンは、採血した腕とは反対の腕に与えられることとする;(c)ワクチン接種してから約3週間後、10mlの血液サンプルを患者から採取することとする。血清を、その血液サンプルから分離し、−20℃で(必要であれば)貯蔵する。血清を、血球凝集阻害(HI [49])または単一放射状溶血(SRH [50,51])によって、関連する株に対する抗血球凝集素抗体についてアッセイする。陽性血清および陰性血清、ならびに参照調製物を、公的な標準実験室(public reference laboratories)から獲得し得る。抗体力価測定を二連で行い、ワクチン接種前血清およびワクチン接種後血清を、同時に力価測定する。各サンプルに割り当てられた力価は、2回の独立した決定の幾何平均である(しかし、計算目的では、全ての10未満のHI結果(=検出不能)を、5として表し、全ての陰性SRH結果は、標準条件下で4mmとして表す)。
HI試験において、セロコンバージョンは、40以上の免疫前力価と免疫後力価との比、および抗体力価における顕著な増加(例えば、少なくとも4倍)に対応する。SRH試験において、セロコンバージョンは、ワクチン接種後面積が、ワクチン接種前面積に関する面積の少なくとも50%を伴う25mm以上に対応する。
本発明の好ましいワクチンは、参考文献52において記載される試験によれば、患者のセロコンバージョンを引き起こす。
(一般)
用語「〜を含む」は、「〜を含有する」および「〜からなる」を包含する。例えば、Xを「含む」組成物は、専らXからなっていてもよいし、さらに他のものを含んでいてもよい(例えば、X+Y)。
数値xに関連する用語「約」は、例えば、x±10%を意味する。
用語「実質的に」とは、「完全に」を排除しない。例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まなくてもよい。必要であれば、用語「実質的に」とは、本発明の定義から省略されてもよい。
株、増殖のための細胞株、用量、組み合わせ、処方物などを含むインフルエンザワクチンのさらなる一般的な情報は、参考文献53の第17章および第18章において見出され得る。インフルエンザウイルスに関するさらなる詳細(ウイルス増殖の間のその生活環の詳細を含む)は、参考文献54の第46章において見出され得る。
(発明を実施するための態様)
小児の免疫
三価ワクチンを、インフルエンザウイルス株A/New Caledonia/20/99(H1N1)、A/Wellington/1/2004(H3N2)およびインフルエンザウイルス株B/Shanghai/361/2002から調製する。これらは、南半球の2005年の冬季のために選択された3つのプロトタイプ株である。このワクチンは、3種のウイルスに由来する、各株についての1用量あたり2.5μgのHAで標準化された精製表面抗原を含む。このワクチンは、アルミニウムベースのアジュバントを含むが、防腐剤を含まない。このワクチンは、マイクロプロジェクションアレイデバイスのニードルの先端に適用される。
インフルエンザ注射を受けたことがない小児は、本発明に従って免疫を受けるために選択される。患者の腕の皮膚の比較的体毛がない部分を同定して、マイクロニードルデバイスをその皮膚に適用する。いくらかの小児に関して、その皮膚は、デバイスを適用する前に軽く剥離される。免疫前血清および免疫後血清を、参考文献52に記載されるように試験する。
(成人の免疫)
一価ワクチンを、A/Hong Kong/213/2003株に由来するH5N1再集合体株から調製する。このワクチンは、各株についての1用量あたり2.5μgのHAで標準化された、そのウイルス由来の精製表面抗原を含む。そのワクチンは、アルミニウムベースのアジュバントを含むが、防腐剤を含まない。このワクチンを、マイクロプロジェクションアレイデバイスのニードルの先端に適用する。
1年に少なくとも2回、通常のH1N1株およびH3N2株を有するインフルエンザ注射を以前に受けたことがある50〜60歳の成人を、本発明に従う免疫を受けさせるために選択する。患者の腕の皮膚の比較的体毛がない部分を同定して、マイクロニードルデバイスをその皮膚に適用する。いくらかの患者に関して、その皮膚は、デバイスを適用する前に軽く剥離される。免疫前血清および免疫後血清を、参考文献52に記載されるように試験する。
本発明は例示によってのみ上記に記載され、改変は、本発明の範囲および趣旨の範囲内にあるままで行われ得ることが理解される。
(参考文献(これらの内容は、本明細書中に参考として援用される))

Claims (19)

  1. 患者をインフルエンザウイルスに対して免疫するための免疫原性組成物であって該免疫原性組成物は、不活性化ウイルスの形態のインフルエンザウイルス抗原を含み;そして該免疫原性組成物は、ニードルの外側に抗原が直接コーティングされた中実のマイクロニードルのアレイを用いて該患者のランゲルハンス細胞に送達されることを特徴とし、ここで、該抗原は、哺乳動物細胞またはトリ細胞株での細胞培養において増殖させたインフルエンザウイルスから調製され、そして、該患者は、インフルエンザウイルスを免疫学的に受容したことがない免疫原性組成物
  2. 患者をインフルエンザウイルスに対して免疫するための免疫原性組成物であって、該免疫原性組成物は、不活性化ウイルスの形態のインフルエンザウイルス抗原を含み、そして、該免疫原性組成物は、ニードルの外側に抗原が直接コーティングされた中実のマイクロニードルのアレイを用いて該患者のランゲルハンス細胞に送達されることを特徴とし、ここで、該抗原は、哺乳動物細胞またはトリ細胞株での細胞培養において増殖させたインフルエンザウイルスから調製され、そして、該患者は、インフルエンザウイルス属および/またはサブタイプを免疫学的に受容したことがない、免疫原性組成物。
  3. 前記患者は、0ヶ月〜18ヶ月の間の年齢の小児である、請求項1に記載の免疫原性組成物
  4. 前記患者が、以下:
    (i)0ヶ月〜12歳の間の年齢の小児;
    (ii)13歳〜19歳の間の年齢の10代;
    (iii)20〜35歳の間の年齢の若年成人;
    (iv)36〜64歳の間の年齢の中年成人;または
    (v)65歳以上の年齢の高齢者;
    である、請求項2に記載の免疫原性組成物。
  5. 前記免疫原性組成物は、アジュバントをさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の免疫原性組成物
  6. 前記免疫原性組成物は、インフルエンザウイルス1株あたり15μgのHAを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の免疫原性組成物
  7. 前記免疫原性組成物は、インフルエンザウイルス1株あたり0.1〜8μgのHAを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の免疫原性組成物
  8. 前記マイクロニードルが25μm〜1mmの範囲の長さである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
  9. 前記マイクロニードルが、ケイ素、生分解性ポリマー、金属またはガラス製である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
  10. 前記マイクロニードルが生分解性ポリマー製である、請求項9に記載の免疫原性組成物。
  11. 前記マイクロニードルのアレイが、マイクロプロジェクションアレイシステムを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
  12. 前記マイクロプロジェクションアレイシステムの突出部が、約100〜500μmの長さを有し、1〜2cm の面積に対して1cm あたり50〜500個のマイクロプロジェクションを有し、そして、抗原でコーティングされる、請求項11に記載の免疫原性組成物。
  13. 患者をインフルエンザウイルスに対して免疫するための医薬の製造における、不活性化ウイルスの形態のインフルエンザウイルス抗原の使用であって、ここで、該抗原は、哺乳動物細胞またはトリ細胞株での細胞培養において増殖させたインフルエンザウイルスから調製され、そして、該医薬は、送達デバイスによってニードルの外側に抗原が直接コーティングされた中実のマイクロニードルのアレイを用いてランゲルハンス細胞に送達されることを特徴とする、使用。
  14. 前記医薬が、少なくとも1種のインフルエンザAウイルス株および/または少なくとも1種のインフルエンザBウイルス株に由来する抗原を含む、請求項13に記載の使用。
  15. 前記インフルエンザウイルス抗原が、完全なウイルス、スプリットウイルスまたはウイルスサブユニットである、請求項13または14のいずれか1項に記載の使用。
  16. 前記哺乳動物細胞がMDCK細胞、Vero細胞またはPER.C6細胞である、請求項13〜15のいずれか1項に記載の使用。
  17. 前記免疫原性組成物が、少なくとも1種のインフルエンザAウイルス株および/または少なくとも1種のインフルエンザBウイルス株に由来する抗原を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
  18. 前記インフルエンザウイルス抗原が、完全なウイルス、スプリットウイルスまたはウイルスサブユニットである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
  19. 前記哺乳動物細胞がMDCK細胞、Vero細胞またはPER.C6細胞である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
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