JP2008514580A - 酵素阻害剤造影剤 - Google Patents

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Abstract

本発明は、造影基で標識されたヒドロキサメートクラスの特定の種類のマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤(MMPi)を含む造影剤が、哺乳類の体のインビボ画像解析及び診断のための有用な診断用造影剤であることを開示する。
【選択図】 図1

Description

本発明はインビボイメージング用の画像診断造影剤に関する。本造影剤は、インビボ画像診断に適した造影基で標識されたメタロプロテイナーゼ阻害剤を含む。
マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)は、細胞外マトリックス(ECM)の分解又はリモデリングを媒介する20種以上の亜鉛依存性エンドペプチダーゼ酵素のファミリーである[Massova et al, FASEB J 12 1075(1998)]。MMPファミリーに属するものはいずれも血管壁のすべての成分を分解することができるため、ECM成分の分解を伴う生理現象及び病理現象のいずれにおいても重要な役割を果たす。MMPは、細胞の挙動を制御する細胞−マトリックス相互作用に干渉することができるため、その活性は細胞の分化、遊走、増殖及びアポトーシスのような多岐にわたるプロセスに影響を与える。生理的状況下でのMMP活性を細かく制御する負の調整制御は必ずしもうまく機能するわけではない。MMP活性の不適切な発現は、幾つかの病態における病理機序の一部をなすと考えられている。そのため、MMPは、多くの炎症性、悪性及び変性疾患の治療用メタロプロテイナーゼ阻害剤(MMPi)のターゲットとされている[Whittaker et al, Chem.Rev.99,2735(1999)]。
従って、合成MMP阻害剤は多くの炎症性、悪性及び変性疾患の治療に有用であると考えられる。さらに、MMP阻害剤がこれらの疾患の診断に有用であることも示唆されている。米国特許第5183900号には、MMPに関連した疾患の治療用化合物として次式の化合物が開示されている。
Figure 2008514580
式中、RはHであり、Rはアルキル(C3〜8)であるか、或いはRとRとが一体として−(CH−を形成するものであり(n=3−5である。)、RはH又はアルキル(C1〜4)であり、Rは縮合又は結合した非置換又は置換ビシクロアリールメチレンであり、XはOR又はNHRであって、RはH、置換もしくは非置換アルキル(C1〜12)、アリール(C6〜12)又はアリールアルキル(C6〜16)であるか、或いはXはアミノ酸残基又はそのアミドであるか、或いはXは環状アミン又は複素環式アミンの残基である。米国特許第5183900号には、これらの化合物を99Tcや131Iのようなシンチグラフィー標識で標識すると、生体内における過剰量のMMPの位置を決定できると記載されているが、そうした標識化をどのように達成するかについては教示も示唆もされていない。
国際公開第01/60416号には、広範な種々異なるマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)阻害剤並びに診断用金属との金属錯体の調製におけるその使用が開示されている。記載されたMMP阻害剤には、ある種のスクシニルヒドロキサメートを始めとするヒドロキサメート類が含まれている(第86頁30行〜第89頁9行)。これらの化合物は、アテローム性動脈硬化症、心不全及び再狭窄のような細胞外マトリックス分解に関連した循環器病の診断に有用であると提案されている。好ましいMMP阻害剤、キレーター及びリンカーが記載されている。Zhengらの報文[Nucl.Med.Biol.29 761〜770(2002)]には、陽電子放射断層撮影(PET)トレーサー11C及び18Fで標識したヒドロキサメート系MMP阻害剤の合成が記載されている。同報文に記載された化合物は、乳癌の非侵襲イメージングに有用であると記載されている。
米国特許第5183900号明細書 国際公開第01/60416号パンフレット Massova et al, FASEB J 12 1075(1998) Whittaker et al, Chem. Rev.99,2735(1999) Zheng et al, Nucl.Med.Biol.29 761−770(2002)
今回、造影基で標識した特定の種類のスクシニルヒドロキサメートマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤(MMPi)が、哺乳類のインビボイメージング及び哺乳類の診断に有用な診断用造影剤であることが判明した。これらの化合物は、ゼラチナーゼ(MMP−2及びMMP−9)及びコラゲナーゼ(MMP−1、MMP−8及びMMP−13)に対してナノモル未満の範囲のKiで、優れたMMP阻害活性を示す。本発明のMMPiの尿中排泄特性は、適切なリンカー基、特にポリエチレングリコール(PEG)、アミノ酸又は糖含有リンカー基の使用によって調節できる。
本発明の造影剤は、特定のマトリックスメタロプロテイナーゼが関与することが知られているある範囲の病態(炎症性、悪性及び変性疾患)のインビボ画像診断に有用である。これらの病態としては、以下のものが挙げられる。
(a)各種MMPが過剰発現するアテローム性動脈硬化症。ヒトのアテローム性動脈硬化症巣でMMP−1、3、7、9、11、12、13及びMT1−MMPレベルの上昇が検出されている[S.J.George、Exp.Opin.Invest.Drugs、9(5)、993−1007(2000)及び同報文中の参照文献]。ヒトアテロームでのMMP−2の発現[Z.Li et al, Am.J.Pathol.、148、121−128(1996)]及びMMP−8の発現[M.P.Herman et al, Circulation、104、1899−1904(2001)]も報告されている。コラゲナーゼはVPに特に重要であると考えられている[Sukhova et.al., Circulation, 1999, 99, 2503;上掲のHerman et.al., Circulation, 2001, 104, 1899; Axisa et.al., Stroke, 2002, 33, 2858; Fricker, C., Drug Discovery Today, 2002, 7, 86]。
(b)慢性心不全[Peterson,J.T.et al, Matrix metalloproteinase inhibitor development for the treatment of heart failure、Drug Dev.Res.(2002)、55(1)、29−44には、心不全においてMMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−8、MMP−9、MMP−13及びMMP−14が上方制御されると報告されている]。
(c)癌[Vihinen et al, Int.J.Cancer 99、p157−166(2002)では、MMPの癌への関与が概説されており、特にMMP−2、MMP−3、MMP−7及びMMP−9が強調されている]。
(d)関節炎[Jacson et al, Inflamm.Res.50(4)、p183−186(2001)“Selective matrix metalloproteinase inhibition in rheumatoid arthritis−targeting gelatinase A activation”では、特にMMP−2について論じられている]。
(e)筋萎縮性側索硬化症[Lim et al, J.Neurochem、67、251−259(1996)には、MMP−2及びMMP−9の関与が記載されている]。
(f)MMP−2、MMP−9及びMMP−13が関係すると報告されている脳腫瘍転移[Spinale、Circul.Res.、90、520−530(2002)]。
(g)MMP−2及びMMP−9が関与すると報告されている脳血管疾患[Lukes et al, Mol.Neurobiol.、19、267−284(1999)]。
(h)MMP−2及びMMP−9が患部組織中で同定されているアルツハイマー病[Backstrom et al, J.Neurochem.、58、983−992(1992)]。
(i)MMP−2、MMP−3及びMMP−9が関与する神経炎症性疾患[Mun−Bryce et al, Brain.Res.、933、42−49(2002)]。
(j)MMP−1、MMP−2、MMP−8及びMMP−9が上方制御されると報告されているCOPD(即ち、慢性閉塞性肺疾患)[Segura−Valdez et al, Chest、117、684−694(2000)]。
(k)眼病[Kurpakus−Wheater et al, Prog.Histo.Cytochem.、36(3)、179−259(2001)]。
(l)皮膚疾患[Herouy,Y.、Int.J.Mol.Med.、7(1)、3−12(2001)]。
本発明のスクシニルヒドロキサメートMMPiは、他の同程度の効力のMMPiよりも親水性が高い。これらは、生体内でのバックグラウンド組織からのクリアランスに優れ、柔軟性に富んだ合成経路で入手でき、広範な造影基を容易に組み込むことができる。
第一の態様では、本発明は、X、X、X、X又はYの位置で造影基で標識された以下の式(I)のメタロプロテイナーゼ阻害剤を含む造影剤であって、哺乳類生体内への標識マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤の投与後に造影基を検出することができる造影剤を提供する。
Figure 2008514580
式中、
はH、C1〜3アルキル又はC1〜3フルオロアルキルであり、
はH、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル又はC1〜6フルオロアルキルであり、
はX基、NH、C1〜10アミノ又は−NH(CO)Xであって、XはC1〜6アルキル、C3〜12アリール又はC5〜15アラルキルであり、
はC1〜6アルキル、Ar又は−(C1〜3アルキル)Arであって、ArはC3〜12アリールもしくはヘテロアリール基又は−(CHCONHYであり、wは1又は2の整数であり、
及びYは独立にY基であって、YはC1〜10アルキル、C3〜10シクロアルキル、C1〜10フルオロアルキル、Ar基又は−(C1〜3アルキル)Arであるが、
(iii)XとXが共にHとはならないこと、
(iv)XがHであり、XがH又はC1〜3アルキルであり、XがC1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル又はC1〜6フルオロアルキルであり、XがC1〜6アルキル、フェニル又はベンジルであるとき、造影基はキレート剤を含まないこと
を条件とする。
式(I)において、Xは最も好ましくはHである。
は好ましくはH、C1〜4アルキル又はC1〜4フルオロアルキルであり、最も好ましくはH、C2〜4アルキル又はC2〜4フルオロアルキルであり、Xが−CHCH(CHであるのが特に好ましい。
がX基であるとき、Xは好ましくはH、C1〜4アルキル又はC1〜4フルオロアルキルであり、最も好ましくはH、C2〜4アルキル又はC2〜4フルオロアルキルである。Xがアミン基を含むとき、Xは、(例えば、還元的アミド化又はN−アルキル化によって)その位置で造影基を容易に結合できるように、好ましくは−NH又は−(CHNH(qは1〜4の整数である。)のような第一級アミン基を含むものである。さらに好ましいアミン含有X基は、−NH(C1〜4アルキル)、特に−CHCH(CH基のN含有類似体である−NHCH(CHである。式(I)の最も好ましい化合物はXがX基であるものである。
式(I)において、XとXが共にHとなることはなく、XとXの両方の位置に置換基が存在することも本発明の技術的範囲に属する。好ましい組合せはXとXの一方がHで、他方がH以外のものである。この組合せではXとXの一方がHで、他方が−CHCH(CHであるのが特に好ましい。本発明者らは、Xの位置での置換が強いMMP阻害剤を与えるという予想外の知見を得た。そこで、最も好ましい組合せは、XがHで、Xが上述の好ましいX基であり、XがHである。XとXが共にHで、Xが−CHCH(CHであるのが最も特に好ましい。
は好ましくは−CHAr又は(CH)CONHYである。Xが−CHArのとき、Arは最も好ましくはインドリル基であり、特に次式の−CH(3−インドリル)である。
Figure 2008514580
は好ましくはC1〜10アルキル、C1〜10フルオロアルキル又は−(CHCONHYであり、最も好ましくはC1〜4アルキル、C1〜4フルオロアルキル又は−(CH)CONHYであり、Yが−CH又は−(CH)CONHArであるのが特に好ましい。
本発明のヒドロキサメートマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤は、好適には100〜3000ダルトン、好ましくは150〜600ダルトン、最も好ましくは200〜500ダルトンの分子量を有する。阻害剤は、好ましくは合成品である。
「標識」という用語は、MMPi自体が造影基を含んでいるか、或いは造影基が以下の式IIに示すように追加の化学種として適宜リンカー基を介して結合していることを意味する。MMPi自体が造影基を含む場合、「造影基」がMMPiの化学構造の一部を形成し、その天然の存在量よりも格段に高レベルで存在する放射性又は非放射性同位体であることを意味する。こうした同位体の高レベル又は濃縮レベルは、その同位体の天然存在量の好適には5倍以上、好ましくは10倍以上、最も好ましくは20倍以上、理想的には50倍以上、或いはその同位体の濃縮度が90%〜100%となるレベルで存在する。「造影基」を含むMMPiの例を以下に記載するが、造影基がMMPiの化学構造中の同位体標識13C、11C又は18Fであるように、13C又は11Cレベルを高めたCH基及び18Fレベルを高めたフルオロアルキル基も含まれる。「造影基」は哺乳類の体外から検出できるもの又はインビボ用に設計された検出器を用いて検出され、例えば血管内照射又は光学的検出器、例えば内視鏡検査又は術中使用のために設計された放射能検出器で検出し得る。好ましい造影基は生体内投与後に非侵襲的方法で外部から検出できるものである。最も好ましい造影基は、放射性、特に放射性金属イオン、γ線放出型放射性ハロゲン及び陽電子放出型放射性非金属、特にSPECT又はPETを用いた造影に適したものである。
「造影基」は、好ましくは以下の(i)〜(vii)から選択される。
(i)放射性金属イオン、
(ii)常磁性金属イオン、
(iii)γ線放出型放射性ハロゲン、
(iv)陽電子放出型放射性非金属、
(v)過分極NMR活性核種、
(vi)インビボ光学イメージングに適したレポーター、
(vii)血管内検出に適したβ線放射体。
造影基が放射性金属イオン、即ち放射性金属である場合、好適な放射性金属は、64Cu、48V、52Fe、55Co、94mTc又は68Gaのような陽電子放射体、99mTc、111In、113mIn又は67Gaのようなγ線放射体である。好ましい放射性金属は99mTc、64Cu、68Ga及び111Inである。最も好ましい放射性金属はγ放射体、特に99mTcである。
造影基が常磁性金属イオンである場合、かかる金属イオンの好適なものとして、Gd(III)、Mn(II)、Cu(II)、Cr(III)、Fe(III)、Co(II)、Er(II)、Ni(II)、Eu(III)又はDy(III)が挙げられる。好ましい常磁性金属イオンはGd(III)、Mn(II)及びFe(III)であり、Gd(III)が特に好ましい。
造影基がγ線放出型放射性ハロゲンである場合、放射性ハロゲンは好適には123I、131I又は77Brから選択される。好ましいγ線放出型放射性ハロゲンは123Iである。
造影基が陽電子放出型放射性非金属である場合、かかる陽電子放射体の好適なものとして、11C、13N、15O、17F、18F、75Br、76Br又は124Iが挙げられる。好ましい陽電子放出型放射性非金属は11C、13N、18F及び124Iであり、特に好ましくは11C及び18Fであり、最も好ましくは18Fである。
造影基が過分極NMR活性核種である場合、かかるNMR活性核種はゼロ以外の核スピンを有し、13C、15N、19F、29Si及び31Pが挙げられる。これらのうち、13Cが好ましい、「過分極」という用語は、NMR活性核種の分極の程度がその平衡分極を超えていることを意味する。13Cの天然存在量(12Cに対して)は約1%であり、適当な13C標識化合物は過分極する前に好適には5%以上、好ましくは50%以上、最も好ましくは90%以上の存在量となるように濃縮される。本発明のメタロプロテイナーゼ阻害剤の1以上の炭素原子は好適には13Cで濃縮され、これを次いで過分極させる。
造影基がインビボ光学イメージングに適したレポーターである場合、レポーターは光学イメージング法で直接又は間接的に検出できる部分であればよい。レポーターは光散乱体(例えば着色又は未着色粒子)でも、光吸収体でも、光放射体でもよい。さらに好ましくは、レポーターは発色団又は蛍光化合物のような色素である。色素は紫外乃至近赤外域の波長を有する電磁スペクトルの光と相互作用する色素であればよい。最も好ましくはレポーターは蛍光特性を有する。
好ましい有機発色団及び蛍光団レポーターとしては、広範な非局在化電子系を有する基、シアニン、メロシアニン、インドシアニン、フタロシアニン、ナフタロシアニン、トリフェニルメチン、ポルフィリン、ピリリウム色素、チアピリリウム色素、スクアリリウム色素、クロコニウム色素、アズレニウム色素、インドアニリン、ベンゾフェノキサジニウム色素、ベンゾチアフェノチアジニウム色素、アントラキノン、ナフトキノン、インダスレン、フタロイルアクリドン、トリスフェノキノン、アゾ色素、分子内及び分子間電荷移動色素及び色素鎖体、トロポン、テトラジン、ビス(ジチオレン)鎖体、ビス(ベンゼン−ジチオレート)鎖体、ヨードアニリン色素、ビス(S,O−ジチオレン)鎖体が挙げられる。蛍光タンパク質、例えば緑色蛍光タンパク質(GFP)及び吸収/発光特性の異なるGFPの修飾体も有用である。ある種の希土類金属(例えばユーロピウム、サマリウム、テルビウム又はジスプロシウム)の鎖体も、蛍光ナノ結晶(量子ドット)のような特定の状況で用いられる。
使用し得る発色団の具体例としては、フルオレセイン、スルホローダミン101(テキサスレッド)、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン19、インドシアニングリーン、Cy2、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7、マリーナブルー、パシフィックブルー、オレゴングリーン88、オレゴングリーン514、テトラメチルローダミン及びAlexa Fluor 350、Alexa Fluor 430、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 555、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 700及びAlexa Fluor 750が挙げられる。
特に好ましいのは、400nm〜3μm、特に600〜1300nmの可視又は近赤外域に吸収極大を有する色素である。光学イメージングモダリティ及び測定法としては、例えば、発光イメージング、内視鏡検査、蛍光内視鏡検査、光干渉断層撮影、透過イメージング、時間分解透過イメージング、共焦点イメージング、非線形顕微鏡、光音響イメージング、音響光学イメージング、分光法、反射分光法、干渉分光法、コヒーレンス干渉法、拡散光トモグラフィー及び蛍光媒介拡散光トモグラフィー(連続波、時間領域及び周波数領域システム)、並びに光散乱、吸収、偏光、発光、蛍光寿命、量子収率及び消光の測定が挙げられる。
造影基が血管内検出に適したβ線放射体である場合、かかるβ線放射体の好適なものとして、放射性金属の67Cu、89Sr、90Y、153Sm、186Re、188Re又は192Ir並びに非金属の32P、33P、38S、38Cl、39Cl、82Br及び83Brが挙げられる。
本発明のMMPiはXを有する炭素原子とX及び/又はX置換基を有する炭素原子の位置、さらにおそらくは他の位置にキラル中心を有する。本発明は、ラセミ混合物並びに実質的に純粋な光学異性体(つまり鏡像異性体)又はジアステレオマーを始めとする、あらゆる純度の立体異性体を包含する。式Iの好ましい立体異性体を以下の式Ia及びIbに示す。
Figure 2008514580
本発明の造影剤は、好ましくは次の式(II)のものである。
Figure 2008514580
式中、
{阻害剤}は式(I)のメタロプロテイナーゼ阻害剤であり、
−(A)−はリンカー基であって、各Aは独立に−CR−、−CR=CR−、−C≡C−、−CRCO−、−COCR−、−NRCO−、−CONR−、−NR(C=O)NR−、−NR(C=S)NR−、−SONR−、−NRSO−、−CROCR−、−CRSCR−、−CRNRCR−、C4〜8シクロへテロアルキレン基、C4〜8シクロアルキレン基、C5〜12アリーレン基もしくはC3〜12へテロアリーレン基、アミノ酸、糖又は単分散ポリエチレングリコール(PEG)構成単位であり、
RはH、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、C1〜4アルコキシアルキル又はC1〜4ヒドロキシアルキルからは独立に選択され、
nは0〜10の整数であり、
はH、OH、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルコキシアルキル、C1〜4ヒドロキシアルキル又は式(I)で定義したAr基であり、
「造影基」は上記の式(I)で定義した通りであって、X、X、X、X又はYの位置に結合している。
「アミノ酸」という用語は、Lアミノ酸又はDアミノ酸、アミノ酸類似体(例えば、ナフチルアラニン)又はアミノ酸模倣体を意味し、天然のものでも純粋な合成品であってもよく、光学的に純粋つまり単一の光学異性体(従ってキラルなもの)であってもよいし、光学異性体の混合物であってもよい。好ましくは、本発明のアミノ酸は光学的に純粋である。
「糖」という用語は、単糖類、二糖類又は三糖類を意味する。好適な糖としては、グルコース、ガラクトース、マルトース、マンノース及びラクトースが挙げられる。糖は、アミノ酸との結合を容易にするため適宜官能化してもよい。例えば、アミノ酸のグルコサミン誘導体は、ペプチド結合を介して他のアミノ酸に結合させることができる。アスパラギンのグルコサミン誘導体(Novabiochem社から市販)はその一例である。
Figure 2008514580
造影基は、好ましくは式(I)のMMPiのX13、X又はYの位置に結合し、最も好ましくはX又はYの位置に結合し、XはHである。造影基が−(CH(CO)NHY基のY基に結合又はY基を含んでいるのが特に好ましい。
式(II)のリンカー基−(A)−の役割としてメタロプロテイナーゼ阻害剤の活性部位から造影基を遠ざけることも想定される。これは、造影基が比較的嵩高い(例えば金属鎖体)場合にMMP酵素への阻害剤の結合が損なわれないようにするため特に重要である。これは、嵩高い基が活性部位から遠ざかる自由度をもつようにするための柔軟性(例えば単純なアルキル鎖)及び/又は金属錯体を活性部位から遠ざけるシクロアルキル又はアリールのスペーサーのような剛直性の組合せによって達成することができる。
リンカー基の性状は造影剤の生体分布を変化させるのにも利用できる。例えば、リンカーにエーテル基を導入すると、血漿タンパク質の結合を最小限にするのに役立つ。−(A)−が単分散ポリエチレングリコール(PEG)構成単位又はアミノ酸残基1〜10個のペプチド鎖を含むと、リンカー基は生体内での造影剤の薬物動態及び血中クリアランスを変化させる機能をもつことがある。かかる「バイオモディファイアー」のリンカー基は筋肉や肝臓のようなバックグランド組織及び/又は血液からの造影剤のクリアランスを加速し、バックグラウンドの干渉の低減による良好な診断画像を得ることができる。バイオモディファイアーリンカー基は、肝臓を経る場合とは異なり、例えば腎臓を経る排出の特定の経路を優先するためにも使用し得る。
−(A)−がアミノ酸残基1〜10個のペプチド鎖を含む場合、アミノ酸残基は好ましくはグリシン、リジン、アスパラギン酸又はセリンから選択される。−(A)−がPEG部分を含む場合、好ましくは、以下の式IIIA又は式IIIBの単分散PEG様構造のオリゴマー化で得られる単位、即ち式IIIAの17−アミノ−5−オキソ−6−アザ−3,9,12,15−テトラオキサヘプタデカン酸を含む。
Figure 2008514580
式中、pは1〜10の整数であり、C末端単位()は造影基に連結している。別法では、次の式IIIBのプロピオン酸誘導体に基づくPEG様構造も使用できる。
Figure 2008514580
式中、pは式IIIAで定義した通りであり、qは3〜15の整数である。式IIIBにおいて、pは好ましくは1又は2であり、qは好ましくは5〜12である。
リンカー基がPEG又はペプチド鎖を含まない場合、好ましい−(A)−基は原子が連結した主鎖を有し、2〜10原子、最も好ましくは2〜5原子、特に好ましくは2又は3原子の−(A)−部分をなす。2原子の最小のリンカー基主鎖は造影基がメタロプロテイナーゼ阻害剤から十分離隔され、いかなる相互作用も最小限となるという利点を与える。
アルキレン基又はアリーレン基のような非ペプチドリンカー基は、それが結合したMMP阻害剤と顕著な水素結合相互作用をもたず、MMP阻害剤にリンカーが巻きつかないという利点を有する。好ましいアルキレンスペーサー基は−(CH−であり、dは2〜5である。好ましいアリーレンスペーサーは次式のものである。
Figure 2008514580
式中、a及びbは独立に0、1又は2である。
リンカー基−(A)−は好ましくはジグリコール酸基、マレイミド基、グルタル酸、コハク酸、ポリエチレングリコール系単位又は式IIIA又はIIIBのPEG様単位を含む。
造影基が金属イオンを含む場合、金属イオンは金属鎖体として存在する。かかるメタロプロテイナーゼ阻害剤と金属イオンとのコンジュゲートは好適には次の式IIaのものである。
Figure 2008514580
式中、A及びnは上記の式IIで定義した通りである。
「金属鎖体」という用語は、金属イオンと1以上のリガンドとの配位鎖体を意味する。金属鎖体は「トランスキレート化に耐性」、つまり金属の配位部位に対する他の潜在的な競合リガンドとのリガンド交換を容易に起こさないことが極めて好ましい。潜在的な競合リガンドには、ヒドロキサム酸MMPi部分自体及びインビトロ標品中の他の賦形剤(製剤に使用される例えば放射能保護物質又は抗菌保存剤)又は生体の内在性化合物(例えばグルタチオン、トランスフェリン又は血漿タンパク質)がある。
式IIaの金属鎖体は次の式IIbのコンジュゲート(つまり金属−配位リガンドコンジュゲート)から誘導される。
Figure 2008514580
式中、A及びnは上記の式IIで定義した通りである。
トランスキレート化に耐性である金属鎖体を形成する本発明の使用に適したリガンドとしては、(金属ドナー原子同士が炭素原子又は非配位ヘテロ原子の非配位骨格で連結されていることによって)五又は六員キレート環が形成されるように2〜6個、好ましくは2〜4個の金属ドナー原子が配列したキレート剤、又はイソニトリル、ホスフィン又はジアゼニドなどの金属イオンに強く結合するドナー原子を含む単座リガンドが挙げられる。
キレート剤の部分として金属に良好に結合するドナー原子の例は、アミン、チオール、アミド、オキシム及びホスフィンである。ホスフィン類は強い金属鎖体を形成し、単座又は二座ホスフィンであっても適当な金属鎖体を形成する。イソニトリル及びジアゼニドの線状構造は、それらがキレート剤に容易に取り込まれないようにするためであり、従って、典型的には単座リガンドとして使用される。適当なイソニトリルの例としては、t−ブチルイソニトリルのような単純なアルキルイソニトリル及びmibi(即ち、1−イソシアノ−2−メトキシ−2−メチルプロパン)のようなエーテル置換イソニトリルが挙げられる。適当なホスフィンの例としては、テトロホスミン及び単座ホスフィン類、例えばとリス(3−メトキシプロピル)ホスフィンが挙げられる。適当なジアゼニドの例としては、リガンドのHYNIC系列、即ちヒドラジン置換ピリジン又はニコチンアミドが挙げられる。
トランスキレート化に耐性の金属鎖体を形成するテクネチウムの適当なキレート剤の例としては、特に限定されないが、以下の(i)〜(v)が挙げられる。
(i)次式のジアミンジオキシム。
Figure 2008514580
式中、E〜Eは各々独立にR′基であり、
各R′はH又はC1〜10アルキル、C3〜10アルキルアリール、C2〜10アルコキシアルキル、C1〜10ヒドロキシアルキル、C1〜10フルオロアルキル、C2〜10カルボキシアルキル又はC1〜10アミノアルキルであるか、或いは2個以上のR′がそれらと結合した原子と共に炭素環、複素環、飽和環又は不飽和環を形成するもので、R′基の1以上がMMP阻害剤に結合しており、
Qは式−(J)−の架橋基であり、
fは3、4又は5であり、各Jは独立に−O−、−NR′−又は−C(R′)−であるが、ただし、−(J)−が、−O−又は−NR′−であるJ基を最大1個しか含まないことを条件とする。
好ましいQ基は以下のものである。
Q=−(CH)(CHR′)(CH)−、即ちプロピレンアミンオキシムつまりPnAO誘導体、
Q=−(CH(CHR′)(CH−、即ちペンチレンアミンオキシムつまりPentAO誘導体、
Q=−(CHNR′(CH−。
〜Eは、好ましくはC1〜3アルキル、アルキルアリールアルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、フルオロアルキル、カルボキシアルキル又はアミノアルキルから選択される。最も好ましくは、各E〜E基はCHである。
MMP阻害剤は好ましくはE又はEのR′基或いはQ部分のR′基のいずれかで結合する。最も好ましくは、MMP阻害剤はQ部分のR′基に結合する。MMP阻害剤がQ部分のR′基に結合する場合、R′基は好ましくは橋頭位にある。かかる場合、Qは好ましくは−(CH)(CHR′)(CH)−、−(CH(CHR′)(CH−又は−(CHNR′(CH−、最も好ましくは−(CH(CHR′)(CH−である。特に好ましい二官能性ジアミンジオキシムキレーターは次式のものであり、MMP阻害剤は橋頭の−CHCHNH基を介して結合している。
Figure 2008514580
(ii)チオールトリアミドドナーセットを有するNSリガンド、例えばMAG(メルカプトアセチルトリグリシン)及び関連リガンド、又はジアミドピリジンチオールドナーセットを有するもの、例えばPica。
(iii)ジアミンジチオールドナーセットを有するNリガンド、例えばBAT又はECD(即ちエチルシステイネート二量体)又はアミドアミンジチオールドナーセットを有するもの、例えばMAMA。
(iv)テトラミン、アミドトリアミン又はジアミンジアミンドナーセットを有する開環又はマクロ環状リガンドであるNリガンド、例えばサイクラム、モノオキシサイクラム又はジオキシサイクラム。
(v)ジアミンジフェノールドナーセットを有するNリガンド。
上述のリガンドは特にテクネチウム、例えば94mTc又は99mTcとの錯形成に適しており、Jurisson et al[Chem.Rev.,99,2205−2218(1999)]にさらに詳細に記載されている。これらのリガンドは、他の金属、例えば銅(64Cu又は67Cu)、バナジウム(例えば48V)、鉄(例えば52Fe)又はコバルト(例えば55Co)にも有用である。他の適当なリガンドとしては、Sandozの国際公開第91/01144号に記載されたものがあり、インジウム、イットリウム及びガドリニウムに特に適したリガンド、特にマクロ環アミノカルボキシレート及びアミノホスホン酸リガンドが挙げられる。ガドリニウムの非イオン系(即ち中性)金属鎖体を形成するリガンドは公知であり、米国特許第4885363号に記載されている。放射性金属イオンがテクネチウムである場合、リガンドは好ましくは四座キレート剤である。テクネチウムに対する好ましいキレート剤はジアミンジオキシム又は上記N又はNSのドナーセットを有するものである。
多座ヒドロキサム酸はキレート剤であり、99mTcを始めとする放射性金属と金属錯体を形成することが知られている[Safavy et al, Bioconj.Chem.,4,194〜198(1993)]。しかし、本発明者らは、単座ヒドロキサム酸では[例えば、式(I)のXがHのとき]、ヒドロキサム酸MMPiが放射性金属の結合リガンドと効果的に競争し得ることを見出した。従って、XがHである場合、リガンドの選択には特別な注意が必要である。即ち、望ましくない[ヒドロキサム酸]−[放射性金属]の金属錯体の形成を避けるため、放射性金属のヒドロキサム酸MMPiと効果的に競争するリガンドを選択することが必要である。かかるリガンドの適当なものとしては、ホスフィン;イソニトリル;テトラミン、アミドトリアミン又はジアミドジアミンドナーセットを有するNキレート剤;チオールトリアミンドナー又はジアミドピリジンチオールドナーセットを有するNSキレート剤;或いはBATなどのジアミンジチオールドナーセット又はMAMAなどのアミドアミンジチオールドナーセットを有するNキレート剤が挙げられる。かかるリガンドの好ましいものとしては、上述のN、NS及びNキレート剤、最も好ましくはNテトラミン及びNジアミンジチオール又はジアミドジチオールキレート剤、特にBATとして知られるNジアミンジチオールキレーターが挙げられる。
Figure 2008514580
マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤は、結合が血中で容易に代謝されない態様で金属鎖体に結合するのが極めて好ましい。かかる代謝が起これば標識メタロプロテイナーゼ阻害剤が所望の生体内標的部位に到達する前に金属鎖体が切断されるからである。従ってマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤は好ましくは容易に代謝されない結合を介して本発明の金属鎖体に共有結合する。造影基がヨウ素のような放射性ハロゲンである場合、MMP阻害剤は好適には、ヨウ化又は臭化アリールのような非放射性ハロゲン原子(放射性ヨウ素交換を可能とするため)、活性化アリール環(例えばフェノール基)、有機金属前駆体化合物(例えばトリアルキルスズ又はトリアルキルシリル)、トリアゼンのような有機前駆体、或いはヨードニウム塩のような求核置換反応のための良好な脱離基を含むように選択される。放射性ハロゲン(例えば123I及び18F)の導入法は、Bolton[J.Lab.Comp.Radiopharm.,45,485−528(2002)]に記載されている。放射性ハロゲン、特にヨウ素を結合させることのできる適当なアリール基の例を以下に示す。
Figure 2008514580
これらはいずれも芳香環で容易に放射性ヨウ素置換できる置換基を含んでいる。放射性ヨウ素を含む別の置換基は、放射性ハロゲン交換、例えば次式を経る直接ヨウ素化によって合成することができる。
Figure 2008514580
造影基がヨウ素の放射性同位体である場合、放射性ヨウ素原子は好ましくはベンゼン環のような芳香族環又はビニル基に共有結合で直接結合する。飽和脂肪族系に結合したヨウ素原子は生体内代謝を受けやすく、放射性ヨウ素が消失しやすいことが知られているからである。
造影基がフッ素の放射性同位体(例えば18F)を含む場合、放射性ヨウ素原子は、アルキルブロマイド、アルキルメシレート又はアルキルトシレートのような良好な脱離基を有する適当な前駆体と18F−フルオライドとの反応を用いた直接標識によって実施し得る。18Fは、N−(CH 18Fを得るための18F(CHOMs(Msはメシレート)のようなアルキル化剤を用いたアミン前駆体のN−アルキル化、或いは18F(CHOMs又は18F(CHBrを用いたヒドロキシル基のO−アルキル化によって導入することもできる。18Fは、18F(CHOH反応物を用いたN−ハロアセチル基のアルキル化によって導入することもでき、−NH(CO)CHO(CH 18F誘導体を生じる。アリール系に関しては、アリールジアゾニウム塩からの窒素の18F−フルオライド求核置換、アリールニトロ化合物又はアリール第四級アンモニウム塩がアリール−18F誘導体への可能な経路である。
第一級アミンを含む式(I)のMMPiは、Kahn他[J.Lab.Comp.Radiopharm.45,1045−1053(2002)]及びBorch他[J.Am.Chem.Soc.93,2897(1971)]に教示されているように、還元的アミド化によって、例えば以下の通り18F標識することができる。
Figure 2008514580
この方法は、フェニル−NH又はフェニル−CHNH基を含む化合物のようなアリール第一級アミンにも有効に応用することができる。
式(I)のアミン含有MMP阻害剤は、次式のような18F標識活性エステルとの反応で18Fで標識することもでき、アミド結合で結合した生成物を生じる。
Figure 2008514580
上記N−ヒドロキシスクシンイミドエステル及びペプチド標識におけるその使用は、Vaidyanathan他[Nucl.Med.Biol.,19(3),275〜281(1992)]及びJohnstrom他[Clin.Sci.,103(Suppl.48),45〜85(2002)]に教示されている。18F標識誘導体の合成経路の詳細は、Bolton,J.Lab.Comp.Radiopharm.,45,485〜528(2002)に記載されている。
位置でのPET放射性同位体標識の導入は、例えばFei他[J.Lab.Comp.Radiopharm.,46,343〜351(2003)]又はZheng他[Nucl.Med.Biol.,30,753〜760(2003)]に教示されているような11CHOSOCFのようなトリフレート誘導体又は上述の18FO−アルキル化剤を用いた対応ヒドロキサム酸誘導体(X=H)のO−アルキル化によって達成し得る。11CPET放射性標識は、Zheng他[Nucl.Med.Biol.,31,77〜85(2004)]に教示されているように、上記トリフレート誘導体を用いたフェノール性水酸基のアルキル化によっても導入できる。11Cでのその他の標識法は、Antoni他[「Handbook of Radiopharmaceuticals」、M.J.Welch及びC.S.Redvanly(編者)、Wiley(2003)、第5章、141〜194]に教示されている。
本発明のマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤の好ましいクラスは次の式IVのものである。
Figure 2008514580
式中、
、X及びXは上記の式(I)で定義した通りであり、
は上記の式(I)で定義したY基である。
式(IV)において、Yは好ましくはC1〜10アルキル、C1〜10フルオロアルキル又は−(CHCONHYであり、最も好ましくはC1〜4アルキル、C1〜4フルオロアルキル又は(CH)CONHYであり、Yが−CH又は−(CH)CONHArであるのが特に好ましい。
式IVの化合物は、好ましくは式Ia及びIb(上記)に相当する立体化学を有する。式(IV)の好ましいX、X及びX置換基は、式(I)で好ましいものとして挙げたものである。式IVのXは最も好ましくはHである。
造影剤が式IVのMMP阻害剤を含み、造影基がγ線放出型放射性ハロゲンである場合、造影基は好ましくはY又はXのいずれかの置換基、最も好ましくはY置換基に結合する。造影基が陽電子放出型放射性非金属である場合、造影基は好ましくはX、X又はY、最も好ましくはY又はX、特にYの位置に結合する。XがHであるとき、陽電子放出型放射性非金属は好ましくはY又はX、最も好ましくはYの位置に結合する。
造影基が放射性又は常磁性金属イオンである場合、Y又はXの一方の置換基は好ましくは造影基に結合又は造影基を含む。最も好ましくは、式IVのY置換基が放射性又は常磁性金属イオン造影基に好ましくは結合しているか、或いは造影基を含む。
本発明の好ましいマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤の別の群は、次の式Vのものである。
Figure 2008514580
式中、
、X及びXは上記の式(I)で定義した通りであり、
は上記の式(I)で定義したY基である。
式(V)において、Yは好ましくはC1〜10アルキル又はC1〜10フルオロアルキルであり、最も好ましくはC1〜4アルキル又はC1〜4フルオロアルキルであり、Yが−CHであるのが特に好ましい。
式Vの化合物は好ましくは式Ia及びIb(上記)に相当する立体化学を有する。式(V)の好ましいX、X及びX置換基は、式(I)で好ましいものとして挙げたものである。式VのXは最も好ましくはHである。
造影剤が式VのMMP阻害剤を含み、造影基がγ線放出型放射性ハロゲンである場合、造影基は好ましくはY、Y又はXのいずれかの置換基、最も好ましくはY又はY置換基、特にYに結合する。造影基が陽電子放出型放射性非金属である場合、造影基は好ましくはX、X、Y又はYの位置、最も好ましくはY又はY置換基、特にYに結合する。XがHである場合、陽電子放出型放射性非金属は好ましくはY又はX、最も好ましくはYの位置に結合する。
造影基が放射性又は常磁性金属イオンである場合、Y又はYの一方の置換基は好ましくは造影基に結合又は造影基を含む。最も好ましくは、式VのY置換基が放射性又は常磁性金属イオン造影基に好ましくは結合しているか、或いは造影基を含む。
本発明の造影剤が放射性又は常磁性金属イオンを含む場合、金属イオンは好適には金属錯体として存在する。かかる金属錯体は好適には式IIbのコンジュゲートと適当な金属イオンとの反応で調製される。式IIbのMMP阻害剤のリガンドコンジュゲート又はキレーターコンジュゲートは二官能性キレート法で調製できる。例えば、官能基を結合したリガンド又はキレート剤(それぞれ「二官能性リンカー」又は「二官能性キレート」)の調製は周知である。結合させた官能基としては、アミン、チオシアネート、マレイミド及び活性エステル、例えばN−ヒドロキシスクシンイミド又はペンタフルオロフェノールが挙げられる。本発明のキレーター1はアミン官能化二官能性キレートの一例である。BATキレーターコンジュゲートの調製に使用できるチオラクトン系二官能性キレートについては、Baidoo他[Bioconj.Chem.,5,114〜118(1994)]に記載されている。テクネチウム又はレニウムトリカルボニルコアの錯化に適した二官能性キレートは、Stichelberger他[Nucl.Med.Bol.,30,465〜470(2003)]に記載されている。二官能性HYNICリガンドは、Edwards他[Bioconj.Chem.,8,146(1997)]に記載されている。かかる二官能性キレートは、所望のコンジュゲートを形成するためのマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤の適当な官能基と反応させることができる。阻害剤上のかかる適当な官能基としては、以下のものが挙げられる。カルボキシル類(アミンで官能化した二官能性キレーターとのアミド結合形成用)、アミン類(カルボキシル又は活性エステルで官能化した二官能性キレーターとのアミド結合形成用)、ハロゲン類、メシレート類及びトシレート類(アミンで官能化した二官能性キレーターのN−アルキル化用)、及びチオール類(マレイミドで官能化した二官能性キレーターとの反応用)。
本発明のMMP阻害剤の放射標識は「前駆体」を用いて好適に実施できる。造影基が金属イオンを含む場合、かかる前駆体は以下の第四の実施形態で説明する通り、好適にはMMP阻害剤とリガンドとの「コンジュゲート」を含む。造影基が非金属放射性同位体、即ちγ線放出型放射性ハロゲン又は陽電子放出型放射性非金属を含む場合、かかる「前駆体」は好適には非放射性物質を含み、所望の非金属放射性同位体の好適な化学的形態との化学反応を最小限の段階数(理想的には一段階)で実施でき、多大な精製を必要性とせず(理想的にはそれ以上精製せず)に所望の放射能をもつ生成物を得ることができるように設計される。かかる前駆体は好適には良好な化学純度で得ることができ、適宜滅菌形態で供給される。
本発明のMMP阻害剤の放射標識のための「前駆体」(リガンドコンジュゲートを含む)は以下の通り製造できると考えられる。
−N(CHOH又は−N(CHOH誘導体の末端−OH基をトシル又はメシル基又はブロモ誘導体に転化し、次にこれを用いてアミノ官能化キレーターを結合すればよい。18F標識PET造影剤を得るため、上記前駆体のトシレート、メシレート又はブロモ基を[18F]フルオライドで置き換えてもよい。
放射性ヨウ素誘導体は対応するフェノール前駆体から調製することができる。アルキルブロミド誘導体は、アミン官能化キレーターのN−アルキル化に使用することができる。ヨウ化フェニル誘導体もまた、放射性ヨウ素化合物の有機金属前駆体、例えばトリアルキルスズ又はトリメチルシリル(TMS)前駆体に転化することができる。ヨウ化フェニル誘導体は、また、18Fフルオライドによる放射性フッ素化のためのアリールヨードニウム前駆体に転化することもできる。
第一級アミン官能化MMP阻害剤を酸無水物と反応させると、−N(CO)(CHCOHのタイプのN官能性前駆体を得ることができ、次いでこれを二官能性アミン含有リガンドに結合させることができる。かかる第一級アミンで置換されたMMPiは、ベンジルアミンを用いてブロモ誘導体をアルキル化した後、パラジウム触媒担持木炭を用いた水素化のような標準的な条件下でベンジル保護基を除去することによって調製することができる。
アミン官能化MMPiは、カルボキシル又は活性エステルで官能化した二官能性キレーターと直接又はリンカーを介して結合させることができる。かかる化合物を、18F(CHOTs(Tsはトシレート基である)又は18F(CHOMs(Msはメシレート基である)のような、18Fでの標識化に適するアルキル化剤と反応させて、−N(CH 18F置換基を有する対応するN官能性アミン誘導体を得ることもできる。或いは、アミンを最初に塩化クロロアセチルと反応させて、N誘導化アミド−N(CO)CHClを得た後、HS(CH 18F又はHO(CH 18Fと反応させて、それぞれ−N(CO)CHS(CH 18F及び−N(CO)CHO(CH 18F生成物を得ることができる。
本発明の放射性金属鎖体は、適当なpHで式IIbのリガンドコンジュゲートに適当な酸化状態の放射性金属の溶液を反応させることによって調製できる。溶液は好ましくは金属と弱く錯形成するリガンド(例えばグルコン酸塩又はクエン酸塩)を含み、即ち放射性金属鎖体はリガンドの交換又はトランスキレート化によって調製される。かかる条件は金属イオンの加水分解のような不都合な副反応を抑制するのに有用である。放射性金属イオンが99mTcである場合、通常の出発原料は99Moジェネレータから得られる過テクネチウム酸ナトリウムである。テクネチウムは、比較的反応性の低いTc(VII)の酸化状態の99mTc−過テクネチウム酸塩として存在する。そのため、酸化状態の低いTc(I)〜Tc(V)のテクネチウム錯体の調製には、通常、錯形成を促すため亜ジチオン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、アスコルビン酸、ホルムアミジンスルフィン酸、第一スズイオン、Fe(II)又はCu(I)のような薬学的に許容される還元剤の添加が必要とされる。薬学的に許容される還元剤は好ましくは第一スズ塩であり、最も好ましくは塩化第一スズ、フッ化第一スズ又は酒石酸第一スズである。
造影基が、過分極13C原子のような過分極NMR活性核種である場合、所望の過分極化合物は適当な13C富化ヒドロキサム酸誘導体への過分極ガス(例えば129Xe又はHe)からの分極交換によって調製することができる。
本発明のメタロプロテイナーゼ阻害剤の幾つか(例えば、化合物17、Galardin(商標)Sigma−Aldrich、M5939)は市販されている。他のものは、Levy他[J.Med.Chem.,41,199−223(1998)]及びGalardy[Drugs Future,18,1109−1111(1993)]の方法で合成できる。合成に関するそれ以上の詳細は、スキーム1〜4(以下)及び実施例に例示する。Xがアミノ基を含む場合、−NHCH(X)−CO−残基はアミノ酸に相当するので、P.Lloyd−Williams、F.Albericio及びE.GiraldのChemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins,CRC Press,1997に記載されているように、従来の固相ペプチド合成でNHCH(X)−CO−アミノ酸残基に結合させることができる。
固相ペプチド合成はまた、スキーム5に示す有用な合成断片を提供すると思われる。その段階は次のようになるはずである。
(i)Rink amide−Resin(Novabiochem社から市販)アミノキシ官能基は、市販の誘導体Fmoc−Ams(Boc)−OH(Novabiochem社、ただしAmsはアミノセリン)つまりFmoc(NH)−CH(COH)CHO−NH(Boc)を用いて直接導入することができ、
(ii)Rの位置で一群の置換基が可能となるFmoc−AA−OHとして示す保護アミノ酸(AA)−を結合し(スキーム5参照)、
(iii)標準L−トリプトファンを結合し、
(iv)t−ブチル保護ヒドロキサメート成分を結合し、
(v)4−[18F]フルオロベンズアルデヒドを結合して最終生成物とする。
段階(i)の代替法は、適切に保護したリジン誘導体を使用することであり、εアミノ基が修飾されてアミノ酸側鎖−(CHNH(CO)CHO−NH(Boc)が得られる。
以下の略語を使用する。
Boc=t−ブチルオキシカルボニル、
DIC=塩化2−(ジメチルアミノ)イソプロピル塩酸塩、
DIEA=ジイソプロピルエチルアミン、
DMF=N,N′−ジメチルホルムアミド、
HBTU=O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、
RCP=放射化学的純度、
TES=N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸、
TFA=トリフルオロ酢酸。
Figure 2008514580
Figure 2008514580
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Figure 2008514580
Figure 2008514580
第二の態様では、本発明は哺乳類への投与に適した形態の生体適合性担体と共に上記造影剤を含む医薬組成物を提供する。「生体適合性担体」とは、造影剤を懸濁又は好ましくは溶解できる流体、特に液体であって、組成物が生理学的に認容できるもの、つまり毒性も耐え難い不快感も伴わずに哺乳類の身体に投与することができるようなものである。生体適合性担体は好適には注射可能な担体液であり、例えば、発熱物質を含まない注射用の滅菌水、食塩液のような水溶液(これは注射用の最終製剤が等張性又は非低張性となるように調整するのに都合がよい)、1種以上の張度調節物質(例えば血漿陽イオンと生体適合性対イオンとの塩)、糖(例えばグルコース又はスクロース)、糖アルコール(例えばソルビトール又はマンニトール)、グリコール(例えばグリセロール)その他の非イオン性ポリオール材料(例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコールなど)の水溶液である。
第三の態様では、本発明は、哺乳類への投与に適した形態の生体適合性担体(上記で定義)と共に造影基が放射性である上記造影剤を含む医薬組成物を提供する。かかる放射性医薬品は、好適には、無菌状態を維持したまま皮下注射針で一回又は複数回穿刺するのに適したシール(例えばクリンプオン式セプタムシール蓋)を備えた容器に入れて供給される。かかる容器には、1回又は複数回分の用量を入れることができる。好ましい多用量用容器は、複数回分の用量を収容した単一バルクバイアル(例えば容積10〜30cmのもの)からなり、臨床症状に応じて製剤の有効期間中様々な時間間隔で1回分の用量を臨床グレードの注射器に引き出すことができる。プレフィルド型注射器は1回分の用量を収容するように設計され、そのため好ましくは使い捨て又はその他臨床用に適した注射器である。プレフィルド型注射器は、適宜、オペレーターを放射能から保護するための注射器シールドを備えていてもよい。かかる適当な放射性医薬品注射器シールドは当技術分野で公知であり、好ましくは鉛又はタングステンからなる。
造影基が99mTcを含む場合、画像診断用放射性医薬品に適した放射能含量は、生体内の撮像部位、取込み量及び標的/バックグラウンド比に応じて、180〜1500MBqの99mTcである。
第四の態様では、本発明は式(I)のマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤とリガンドのコンジュゲートを提供する。リガンドコンジュゲートは放射性金属イオン又は常磁性金属イオンのいずれかで標識されたマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤の製造に適している。好ましくはリガンドコンジュゲートは上記で定義した式IIaを有する。最も好ましくはリガンドコンジュゲートのMMP阻害剤は上記で定義した式IVを有する。本発明の第四の態様のコンジュゲートのリガンドは、好ましくはキレート剤である。好ましくはキレート剤は、ジアミンジオキシム、N又はNSドナーセットを有する。
第五の態様では、本発明は、造影基が非金属放射性同位体即ちγ線放射性ハロゲン同位体又は陽電子放射性非金属を含む放射性医薬品の製造に有用な前駆体を提供する。かかる「前駆体」は、所望の放射能をもつ生成物を生じさせるための所望の非金属放射性同位体の好適な化学的形態との化学反応が最少の段階数(理想的には一段階)と大した精製を必要とせず(理想的にはそれ以上精製せず)に実施できるように設計されたマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤の非放射性誘導体を含む。かかる前駆体は、良好な化学的純度で都合よく得ることができる。適当な前駆体は、BoltonのJ.Lab.Comp.Radiopharm.,45,485−528(2002)に記載の実施例から得ることができる。
この実施形態の好ましい前駆体には、求電子又は求核ハロゲン化のいずれかを起こす誘導体、アルキルハライド、フルオロアルキルハライド、トシレート、トリフレート(即ち、トリフルオロメタンスルホネート)又はメシレートから選択されるアルキル化剤で容易にアルキル化される誘導体、或いはチオール部分をアルキル化してチオエーテル連鎖を形成する誘導体が包含される。第一のカテゴリーの例は、以下の(a)〜(c)である。
(a)トリアルキルスタンナン(例えば、トリメチルスタンニル又はトリブチルスタンニル)又はトリアルキルシラン(トリメチルシリル)のような有機金属誘導体、
(b)ハロゲン交換のための非放射性ヨウ化アルキル又は臭化アルキル並びに求核ハロゲン化のためのアルキルトシレート、メシレート又はトリフレート、
(c)求電子ハロゲン化に向けて活性化された芳香環(例えばフェノール)及び求核ハロゲン化に向けて活性化された芳香環(例えばアリールヨードニウム、アリールジアゾニウム、ニトロアリール)。
容易にアルキル化される好ましい誘導体は、アルコール、フェノール又はアミン基、特にフェノール及び立体障害のない第一級アミン又は第二級アミンである。
チオール含有放射性同位体反応体をアルキル化する好ましい誘導体は、N−ハロアセチル基、特にN−クロロアセチル及びN−ブロモアセチル誘導体である。
したがって、式IのXがHである場合、式IのMMPiの適当な前駆体はXがヒドロキサム酸部分の保護基(P)である誘導体を含む。
「保護基」という用語は、不都合な化学反応は阻害又は抑制するが、分子の残りの部分を修飾しない十分穏和な条件下で当該官能基から開裂できる十分な反応性をもつように設計された基を意味する。脱保護後に、所望の生成物が得られる。保護基は当業者に周知であり、好適には好適には以下のものから選択される。アミン基に対しては:Boc(Bocは、tert−ブチルオキシカルボニルである。)、Fmoc(Fmocは、フルオレニルメトキシカルボニルである。)、トリフルオロアセチル、アリルオキシカルボニル、Dde[即ち、1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキシリデン)エチル]又はNpys(即ち、3−ニトロ−2−ピリジンスルフェニル);及びカルボニル基に対しては:メチルエステル、tert−ブチルエステル又はベンジルエステルである。ヒドロキシ基に対する適当な保護基は、ベンジル、アセチル、ベンゾイル、トリチル(Trt)又はテトラブチルジメチルシリルのようなトリアルキルシリルである。チオール基に対する適当な保護基は、トリチル及び4−メトキシベンジルである。ヒドロキサメート部分のヒドロキシ基に対する好ましい保護基は、ベンジル又はトリアルキルシリルである。その他の保護基の使用については、‘Protective Groups in Organic Synthesis’,Theorodora W.Greene and Peter G.M.Wuts(Third Edition、John Wiley & Sons,1999)に記載されている。
望ましい非金属放射性同位体の好ましい好適な化学形態としては、以下のものが挙げられる。
(a)ハライドイオン(例えば、123Iヨーダイド又は18Fフルオライド)で特に置換反応のために水性媒体中のもの、
(b)11C−ヨウ化メチル又はブロマイド、メシレートもしくはトシレートのような良好な脱離基を有する18Fフルオロアルキレン化合物、
(c)N−クロロアセチル又はN−ブロモアセチル誘導体のようなアルキル化前駆体とのS−アルキル化反応のためのHS(CH 18F。
適当な上記「前駆体」の例及びそれらの調製方法は、第一の実施形態(上記)に記載されている。
第六の態様では、本発明は、リガンドと式(I)のマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤とのコンジュゲートを含む放射性医薬組成物を調製するための非放射性キットであって、造影基が放射性金属を含む非放射性キットを提供する。放射性金属が99mTcである場合、キットは好適にはさらに生体適合性の還元剤を含む。リガンドコンジュゲート及びその好ましい態様は、上記の第四の態様に記載されている。
かかるキットは例えば血流中への直接注射によるヒトへの投与に適した滅菌放射性医薬品を与えるように設計される。99mTc用には、キットは好ましくは凍結乾燥したもので、99mTc放射性同位体ジェネレータからの無菌99mTc−過テクネチウム酸(TcO )で再構成すればそれ以上操作しなくてもヒトへの投与に適した溶液が得られるように設計される。適当なキットは、リガンド又は遊離塩基もしくは酸塩の形態のキレーターコンジュゲートを亜ジチオン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、アスコルビン酸、ホルムアミジンスルフィン酸、第一スズイオン、Fe(II)又はCu(I)のような生体適合性還元剤と共に収容した容器(例えばセプタムシールバイアル)を備える。生体適合性還元剤は、好ましくは塩化第一スズや酒石酸第一スズのような第一スズ塩である。或いは、キットは、放射性金属の添加時にトランスメタレーション(金属交換)を起こして所望の生成物を与える金属錯体を適宜含んでいてもよい。
非放射性キットはさらに、トランスキレーター、放射線防護剤、抗菌保存剤、pH調節剤又は充填剤のような追加成分を適宜含んでいてもよい。「トランスキレーター」とは、テクネチウムと迅速に反応して弱い錯体を形成し、次に上記リガンドで置換される化合物である。
これはテクネチウム錯体化と競合する過テクネチウム酸塩の迅速な還元に起因した還元型加水分解テクネチウム(RHT)が形成するおそれを最小限に抑制する。かかる適当なトランスキレーターは、弱有機酸(つまりpKaが3〜7の範囲内にある有機酸)と生体適合性陽イオンとの塩である。かかる適当な弱有機酸は、酢酸、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、グルコヘプトン酸、安息香酸、フェノール又はホスホン酸である。従って、適当な塩は、酢酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、グルコン酸塩、グルコヘプトン酸塩、安息香酸塩、フェノラート又はホスホン酸塩である。好ましい塩は、酒石酸塩、グルコン酸塩、グルコヘプトン酸塩、安息香酸塩又はホスホン酸塩であり、最も好ましくはホスホン酸塩、特にジホスホン酸塩である。好ましいトランスキレーターは、MDP(メチレンジホスホン酸)と生体適合性陽イオンとの塩である。
「放射線防護剤」という用語は、水の放射線分解で生成する含酸素フリーラジカルのような反応性の高いフリーラジカルを捕捉することによって、酸化還元過程のような分解反応を阻害する化合物をいう。本発明の放射線防護剤は、好適には、アスコルビン酸、パラアミノ安息香酸(即ち4−アミノ安息香酸)、ゲンチシン酸(即ち2,5−ジヒドロキシ安息香酸)並びにこれらと生体適合性陽イオンとの塩から選択される。
「抗菌保存剤」という用語は、細菌、酵母又はカビなどの有害微生物の増殖を阻害する薬剤を意味する。抗菌保存剤は、濃度に応じてある程度の殺菌作用を示すこともある。本発明の抗菌保存剤の主な役割は、再構成後の放射性医薬組成物(つまり、放射性診断薬自体)での微生物の増殖を阻害することである。ただし、抗菌保存剤は、再構成前の本発明の非放射性キットの1以上の成分における有害微生物の増殖の防止にも適宜使用できる。適当な抗菌保存剤としては、パラベン類、即ちメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン又はこれらの混合物、ベンジルアルコール、フェノール、クレゾール、セトリミド及びチオメルサールが挙げられる。好ましい抗菌保存剤はパラベン類である。
「pH調節剤」という用語は、再構成したキットのpHが、ヒト又は哺乳類への投与に関する許容範囲(約pH4.0〜10.5)内に収まるようにするのに有用な化合物又は化合物の混合物を意味する。かかる適当なpH調節剤としては、トリシン、リン酸塩又はTRIS(即ちトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)のような薬学的に許容される緩衝剤、並びに炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム又はこれらの混合物などの薬学的に許容される塩基が挙げられる。コンジュゲートを酸塩の形態で用いる場合、キットのユーザーが多段階法の一部としてpHを調節できるようにpH調節剤を適宜別のバイアル又は容器で提供してもよい。
「充填剤」という用語は、製造時及び凍結乾燥時の材料の取扱いを容易にする薬学的に許容される増量剤を意味する。適当な充填剤としては、塩化ナトリウムのような無機塩並びに水溶性糖類又は糖アルコール、例えばスクロース、マルトース、マンニトール又はトレハロースが挙げられる。
第七の態様では、本発明は造影基が非金属放射性同位体、即ちγ線放出型放射性ハロゲン又は陽電子放出型放射性非金属を含む放射性医薬組成物の製造用キットを提供する。かかるキットは第五の実施形態の「前駆体」を、好ましくは滅菌放射性同位体源との反応によって最小限の操作で所望の放射性医薬品が得られるように発熱物質を含まない無菌状態で含む。かかる事項は、放射性同位体が比較的短い半減期を有する放射性医薬品では特に重要であり、取り扱いの容易さと放射性薬剤師に対する放射線量の低減という点でも重要である。したがって、かかるキットの再構成のための反応媒体は、好ましくは水性で、哺乳類への投与に適した形態である。
キットの「前駆体」は、好ましくは固体担体マトリックスに共有結合した形態で供給される。こうすれば、所望の放射性薬剤生成物は溶液中で形成され、出発原料及び不純物は固相に結合したままとなる。18F−フルオライドによる固相求電子的フッ素化のための前駆体は、国際公開第03/002489に記載されている。18Fフルオライドによる固相求核的フッ素化のための前駆体は、国際公開第03/002157に記載されている。したがって、キットは、適切に適合化した自動化合成装置に挿入できるカートリッジを備えていてもよい。カートリッジは、固体担体に結合した前駆体の他に、不要なフッ素イオンを除去するためのカラム及び反応混合物を蒸発させることができて必要に応じて生成物を製剤化できるように接続された適切な容器を備えていてもよい。反応体及び溶媒その他合成に必要な消耗品を、放射能濃度、容積、送付時刻などの顧客要件を満たすように合成装置を操作できるソフトウェアを格納したコンパクトディスクと共に備えていてもよい。好適には、各作業間の汚染の可能性を最小限に抑え、無菌で品質が保証されるように、キットのすべての構成要素が使い捨てであると便利である。
第八の態様では、本発明は、アテローム性動脈硬化症、特に脆弱な不安定プラークの画像診断のための、上述のマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤造影剤の使用に関する。
さらに別の態様では、本発明は、他の炎症性疾患、癌又は変性疾患の画像診断のための上述のマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤造影剤の使用に開する。
さらに別の態様では、本発明は、アテローム性動脈硬化症、特に脆弱な不安定プラークの、近接検出を用いた血管内検出のための上述のマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤造影剤使用に開する。かかる近接検出は、カテーテルのような血管内器具又は手術中にハンドヘルド式検出器(例えば、γ線検出器)を用いて達成できる。かかる血管内検出は、造影基がインビボ光学イメージングに適したレポーター基又はβ線放射体である場合、かかる基は哺乳類の体外では簡単には検出できなくても、近接検出には適しているので、特に有用である。
本発明を以下の非限定的な実施例で例証する。実施例1では、2種類のヨウ素含有MMPi誘導体(化合物2及び3)の合成について記載する。実施例2、4、5及び7では、放射性ハロゲン化、特に放射性ヨウ素化に有用な各種トリブチルスズ前駆体の合成について記載する。実施例3では、式(IV)の2種類のインドリル化合物(化合物6及び7)の合成について記載する。実施例6では、Xの位置にリンカー基が結合した誘導体の合成について記載する。実施例8では、Yの位置にリンカー基が結合した誘導体の合成について記載する。実施例9では、化合物1,1,1−トリス(2−アミノエチル)メタンの合成について記載する。実施例10では、潜在的に危険なアジド中間体を使用しない1,1,1−トリス(2−アミノエチル)メタンの代替合成法について記載する。実施例11では、クロロニトロソアルカン前駆体の合成について記載する。実施例12では、本発明の好ましいアミノ置換二官能性ジアミンジオキシム(キレーター1)の合成について記載する。実施例13では、N−アルキル化に適当な18F誘導体の合成について記載する。実施例14では、S−アルキル化に適した18Fチオール誘導体の合成について記載する。実施例15では、放射性同位体123Iによるトリアルキルスズ前駆体の放射性ヨウ素化法について記載する。実施例16では、放射性同位体99mTcによるMMPi−キレーターコンジュゲートの放射性標識法について記載する。
実施例17では、インビトロMMPiの阻害アッセイと、本発明の数種類の化合物に関してMMP−1、MMP−2、MMP−9及びMMP−12効力の結果について記載する。この結果から、一群のMMP阻害剤について[nM乃至nM未満の範囲での]高い効力が確認される。かかる「幅広い」効力は、ある種のMMPは疾患進行過程で上方調節されるので、アテローム性動脈硬化症における脆弱プラークのようなある種の疾患のターゲティングに特に有益である。これらのMMP(特にコラゲナーゼ及びゼラチナーゼ)に対する本明細書に記載のMMPiのターゲティング能力から、MMPiの蓄積は病変部位で最大となる。
実施例18では、活性MMPを発現することが知られている生体内病変部(ルイス肺癌、LLCと略す。)における本発明の代表的な123I−標識化合物(化合物2A)の動物生体内分布データについて記載する。化合物2Aは、腫瘍取り込み及び注射後5〜120分間の保持を示し、MMP発現腫瘍組織での特有の保持と一貫していた。対照的に、正常組織(例えば、血液その他のバックグラウンド組織)からのクリアランスは、注入後5〜120分の間で起こり、MMP発現腫瘍に特有の標的機序を裏付けていた。
実施例19では、ApoE結紮MMP発現動物モデルにおける化合物2A、6A及び18Aの動物生体内分布データについて記載する。化合物2Aは、頚動脈取り込み及び注入後5〜120分の間の保持を示し、MMPの豊富な病変組織に特有の保持と一貫していた。対照的に、正常組織(例えば、血液その他のバックグラウンド組織)からのクリアランスは顕著であり、良好な頚動脈/血液比を有し、MMP発現病変に特有の標的機序を示していた。実施例20〜24は、化合物9、10、13、14及び18〜21の合成について記載する。
図1は、本発明の数種の化合物の化学構造を示す図である。
実施例1:化合物2及び3の合成
化合物3は、スキーム1によって調製した。Boc−pI−Phe−OHとMeNH・HClの、DIEA存在下でHBTUをカップリング剤として使用するカップリングで完全に保護されたフェニルアラニンを得た。酸分解(ジオキサン中HCl)によるBoc基の除去に続いて(R)−2−イソブチルコハク酸−4−t−ブチルエステル(実施例3参照)によるカップリングによって示されている中間体を得た。酸性条件下(TFA/TES/CHCl)でのt−ブチル基の開裂に続いてカルボン酸を、ヨードメタンを使用してメチルエステルに転化させた。メチルエステルを、塩基性条件下(部分的なラセミ化が観察された)においてヒドロキシルアミンで処理して固体(粗収率54.1%)を得た。粗製品をRP−HPCLによりTFA/水/アセトニトリルを溶媒として使用して精製した。純粋な画分を集めて凍結乾燥して白色固体を得た(全収率27.7%)。HPLC分析93%。
化合物2は、類似の方法で調製した。粗収率38.3%、全収率16.4%、HPLC分析95%
実施例2:トリブチルスズ前駆体化合物1及び4の合成
化合物3(精製)を出発原料として使用し、反応は窒素雰囲気下で行った。化合物3を、Pd(PPhを触媒として使用して、ビス(トリブチルスズ)で処理した。反応混合物をトルエン/アセトニトリル(3/25)混合物中で加熱還流した。粗生成物を固体として単離した(粗収率57.5%)。粗化合物4をRP−HPLCによってAcONH /HO/アセトニトリルを溶媒として使用して精製した(全収率4.2%)。HPLC分析90.2%
化合物1は、類似の方法で化合物2から調製した。粗収率65.5%、全収率11.2%、HPLC分析98.8%
実施例3:化合物6及び7の合成
化合物7は、スキーム1によって調製した。Boc−Trp−OHと4−ヨードベンジルアミンの、DIEA存在下でHBTUをカップリング剤として使用するカップリングで完全に保護されたトリプトファンを得た。酸分解(ジオキサン中HCl)によるBoc基の除去に続いて(R)−2−イソブチルコハク酸−4−t−ブチルエステル[Levy,D.F.et al.,J.Med.Chem.,41,199−223(1998)の方法によって調製した]によるカップリングによって示されている中間体を得た。酸性条件下(TFA/TES/CHCl)でのt−ブチル基の開裂に続いて、ヨードメタンを使用してカルボン酸をメチルエステルに転化させた。メチルエステルを塩基性条件下においてヒドロキシルアミンで処理して固体(粗収率62.8%)を得た。粗製品をRP−HPCLによりTFA/HO/アセトニトリルを溶媒として使用して精製した。純粋な画分を集めて凍結乾燥して白色固体を得た(全収率21.6%)。HPLC分析93.3%。
化合物6は、類似の方法で調製した。粗収率70.4%、全収率44.9%、HPLC分析95%
実施例4:トリアルキルスズ前駆体化合物5及び8の合成
化合物7(粗)を、Pd(PPhを触媒として使用して、ビス(トリブチルスズ)を用いて窒素雰囲気下で実施例21と類似の方法で処理した。反応混合物をトルエン/アセトニトリル(3/25)混合物中で加熱還流した。粗生成物を固体として単離した(粗収率59.1%)。粗化合物8をRP−HPLCによってAcONH /HO/アセトニトリルを溶媒として使用して精製した(全収率2%)。HPLC分析84.7%
化合物5は、類似の方法で化合物6から調製した。反応中に生成物の多少の分解が観察された。RP−HPLC精製を試みたが溶解性(DMSOに可溶、アセトニトリル及びメタノールに不溶)の故に無効であった。粗収率68%、全収率12.5%、HPLC分析57.4%
実施例5:化合物11の合成
精製された化合物12を、Pd(PPhを触媒として使用して、ビス(トリブチルスズ)を用いて窒素雰囲気下で処理した。反応混合物をトルエン/アセトニトリル(3/25)混合物中で加熱還流した。粗生成物を油として単離した(粗収率100%)。粗生成物をRP−HPLCによってAcONH /HO/アセトニトリルを溶媒として使用して精製した(全収率16.6%)。HPLC分析45.6%
この化合物は油として得られ、凍結乾燥の間に多少分解した。
実施例6:化合物12の合成
この化合物は、固相合成を使用して調製された保護断片を使用して、溶液中カップリングによって合成された。
段階(a):保護ペプチド断片の固相合成
アミノ酸のカップリングは、クロロトリチルPS樹脂(0.8ミリ当量/g)上で1段階ずつ実行した。Fmoc−PEG−OHを、DMF中、DIEAの存在下でクロロトリチルPS樹脂にカップリングさせた。脱保護/カップリングサイクルを以下に記載した。
Fmoc−アミノ酸2当量及びHOBt2当量をDMF(アミノ酸1mmol当たり2〜3ml)に溶解させた。溶液を、樹脂を収容している反応容器に注いだ。DIC2当量を加えた。
Figure 2008514580
ペプチドの樹脂からの開裂はCHCl中の1%TFAを使用して行った。
粗生成物は油として得られた。粗収率60.7%
段階(b):溶液中合成
段階(a)からの生成物を、DIEAの存在下で、HBTUをカップリング剤として使用して、4−ヨードベンジルアミンとカップリングさせた。t−ブチル基の酸性条件下(TFA/TES/CHCl)での除去に続いて、ヨードメタンを使用してカルボン酸をメチルエステルに転化させた。メチルエステルを塩基性条件下においてヒドロキシルアミンで処理した。粗生成物を油として単離した(粗収率72.5%)。粗製品をRP−HPCLによりTFA/HO/アセトニトリルを溶媒として使用して精製した。純粋な画分を集めて凍結乾燥して油を得た(全収率18.5%)。HPLC分析98.3%
実施例7:化合物15の合成
精製された化合物16を、Pd(PPhを触媒として使用して、ビス(トリブチルスズ)を用いて窒素雰囲気下で処理した。反応混合物をトルエン/アセトニトリル(3/25)混合物中で加熱還流した。粗生成物を油として単離した(粗収率100%)。粗生成物をRP−HPLCによってAcONH /HO/アセトニトリルを溶媒として使用して精製し、油を得た(全収率14.4%)。HPLC分析91.3%
化合物18Aのトリブチルスズ前駆体は、化合物18から類似の方法で調製した。HPLC純度=93.3%、ESI−MS:m/z=714.5[M−H]
実施例8:化合物16の合成
化合物16は、スキーム4によって調製した。化合物16は、固相合成を使用して調製された保護ペプチド断片を使用して、溶液中カップリングによって合成された。
段階(a):保護ペプチド断片の固相合成
アミノ酸のカップリングは、クロロトリチルPS樹脂(0.8ミリ当量/g)上で1段階ずつ実行した。Fmoc−PEG−OHを、DMF中、DIEAの存在下でクロロトリチルPS樹脂にカップリングさせた。脱保護/カップリングサイクルを以下に記載する。
Fmoc−アミノ酸2当量及びHOBt2当量をDMF(アミノ酸1mmol当たり2〜3ml)に溶解させた。溶液を、樹脂を収容している反応容器に注いだ。DIC2当量を加えた。
Figure 2008514580
ペプチドの樹脂からの開裂はCHCl中の1%TFAを使用して行った。
粗生成物は油として得られた。粗収率100%
段階(b)溶液中合成
段階(a)からの保護ペプチド形態を、DIEAの存在下で、HBTUをカップリング剤として使用して、4−ヨードベンジルアミンとカップリングさせて化合物12を得た。t−ブチル基の酸性条件下(TFA/TES/CHCl)での除去に続いて、ヨードメタンを使用してカルボン酸をメチルエステルに転化させた。メチルエステルを塩基性条件下においてヒドロキシルアミンで処理した。粗生成物を油として得た(粗収率43.1%)。粗製品をRP−HPCLによりTFA/HO/アセトニトリルを溶媒として使用して精製した。純粋な画分を集めて凍結乾燥して化合物16を油として得た(全収率6%)。HPLC分析87.7%
実施例9:1,1,1−トリス(2−アミノエチル)メタンの合成
(段階a):3−(メトキシカルボニルメチレン)グルタル酸ジメチルエステル
トルエン(600ml)中のカルボメトキシメチレントリフェニルホスホラン(167g、0.5mol)を、ジメチル3−オキソグルタレート(87g、0.5mol)で処理し、反応物を窒素雰囲気下、120℃の油浴で100℃に36時間加熱した。次に反応物を真空下で濃縮し、油状残留物を40/60石油エーテル/ジエチルエーテル1:1、600mlと共に砕いた。トリフェニルホスフィンオキシドが析出し、上澄み液をデカンテーション/ろ別した。真空蒸発残留物を、高真空、沸点(オーブン温度180〜200℃、0.2torr)で、クーゲルロール蒸留して3−(メトキシカルボニルメチレン)グルタル酸ジメチルエステルを得た(89.08g、53%)。
NMR H(CDCl):δ3.31(2H,s,CH)、3.7(9H,s,3×OCH)、3.87(2H,s,CH)、5.79(1H,s,=CH,)ppm。
NMR 13C(CDCl)、δ36.56、CH、48.7、2×CH、52.09及び52.5(2×CH);122.3及び146.16 C=CH;165.9、170.0及び170.5 3×COO ppm。
(段階b):3−(メトキシカルボニルメチレン)グルタル酸ジメチルエステルの水素化
メタノール(200ml)中の3−(メトキシカルボニルメチレン)グルタル酸ジメチルエステル(89g、267mmol)を(10%パラジウム担持木炭:水50%)(9g)と共に水素ガス雰囲気下(3.5bar)で30時間振とうした。溶液を、珪藻土を通してろ過し、真空で濃縮して3−(メトキシカルボニルメチル)グルタル酸ジメチルエステルを油として得た、収量(84.9g、94%)。
NMR H(CDCl)、δ2.48(6H,d,J=8Hz,3×CH)、2.78(1H,六重線,J=8Hz CH,)3.7(9H,s,3×CH)。
NMR 13C(CDCl)、δ28.6、CH;37.50、3×CH;51.6、3×CH;172.28、3×COO。
(段階c):トリメチルエステルのトリアセテートへの還元及びエステル化
窒素雰囲気下の2L三口丸底フラスコ中で、テトラヒドロフラン(400ml)中のリチウムアルミニウムハイドライド(20g、588mmol)をテトラヒドロフラン(200ml)中のトリス(メトキシカルボニルメチル)メタン(40g、212mmol)で注意深く1時間かけて処理した。強く発熱する反応が起こり、溶媒を強く還流させた。反応物を90℃の油浴で加熱して3日間還流させた。反応物を、酢酸(100ml)を注意深く水素の発生が止むまで滴下することによってクエンチした。攪拌した反応混合物を無水酢酸溶液(500ml)で、穏やかな還流を起こすような速度で注意深く処理した。フラスコに蒸留の備えをして攪拌し、次に90℃(油浴温度)で加熱してテトラヒドロフランを留出させた。酢酸(300ml)を追加し、反応器を還流構成に戻して攪拌し、140℃の油浴で5時間加熱した。反応物を放冷してろ過した。酸化アルミニウム沈殿を酢酸エチルで洗浄し、合わせたろ液をロータリーエバポレーター中で、水浴温度50℃、真空(5mmHg)で濃縮して油を得た。油を酢酸エチル(500ml)中に溶解させ、飽和炭酸カリウム溶液で洗浄した。酢酸エチル溶液を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空で濃縮して油を得た。油をクーゲルロールで高真空蒸留してトリス(2−アセトキシエチル)メタン(45.3g、96%)を油として得た。沸点220℃、0.1mmHg。
NMRH(CDCl)、δ1.66(7H,m,3×CH,CH)、2.08(1H,s,3×CH);4.1(6H,t,3×CHO)。
NMR 13C(CDCl)、δ20.9、CH;29.34、CH;32.17、CH;62.15、CHO;171、CO。
(段階d):トリアセテートからの酢酸基の取り外し
メタノール(200ml)中のトリス(2−アセトキシエチル)メタン(45.3g、165mmol)及び880アンモニア(100ml)を80℃の油浴で2日間加熱した。反応物を追加の880アンモニア(50ml)で処理し、油浴中、80℃で24時間加熱した。さらに880アンモニア(50ml)を追加し、反応物を80℃で24時間加熱した。次に反応物を真空で濃縮し、すべての溶媒を除去して油を得た。これを880アンモニア(150ml)に溶解させ、80℃で24時間加熱した。次に反応物を真空濃縮し、すべての溶媒を除去して油を得た。クーゲルロール蒸留でアセトアミドを得た、沸点170〜180 0.2mm。アセトアミドを収容している球状部をきれいに洗浄してから蒸留を続けた。トリス(2−ヒドロキシエチル)メタン(22.53g、92%)が、沸点220℃、0.2mmで留出した。
NMR H(CDCl)、δ1.45(6H,q,3×CH)、2.2(1H,五重線,CH);3.7(6H,t 3×CHOH);5.5(3H,brs,3×OH)。
NMR 13C(CDCl)、δ22.13、CH;33.95、3×CH;57.8、3×CHOH。
(段階e):トリオールのトリス(メタンスルホネート)への転化
攪拌され、氷冷されているジクロロメタン(50ml)中のトリス(2−ヒドロキシエチル)メタン(10g、0.0676mol)に、メタンスルホニルクロライド(40g、0.349mol)のジクロロメタン(50ml)溶液を、窒素下で温度が15℃を超えて上昇しないような速度でゆっくり滴下した。次いでジクロロメタン(50ml)に溶解させたピリジン(21.4g、0.27mol、4当量)を、温度が15℃を超えて上昇しないような速度で滴下した(発熱反応)。反応物を室温で24時間攪拌させ、次に5N塩酸溶液(80ml)で処理し、層分離した。水層を追加のジクロロメタン(50ml)で抽出し、有機抽出液を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、真空濃縮して過剰のメタンスルホニルクロライドで汚染されているトリス[2−(メチルスルホニルオキシ)エチル]メタンを得た。理論量は25.8gであった。
NMR H(CDCl)、δ4.3(6H,t,2×CH)、3.0(9H,s,3×CH)、2(1H,六重線,CH)、1.85(6H,q,3×CH)。
(段階f):1,1,1−トリス(2−アジドエチル)メタンの調製
攪拌されたトリス[2−(メチルスルホニルオキシ)エチル]メタン[段階1(e)からのもの、過剰のメタンスルホニルクロライドで汚染されていた](25.8g、67mmol、理論量)の乾燥DMF(250ml)溶液を、窒素下でナトリウムアジド(30.7g、0.47mol)を少しずつ加えて15分間かけて処理した。発熱が観察され、反応物を氷浴で冷却した。30分後に、反応混合物を50℃の油浴で24時間加熱した。反応物は茶色になった。反応物を放冷し、希薄な炭酸カリウム溶液(200ml)で処理し、40/60石油エーテル/ジエチルエーテル10:1(3×150ml)で3回抽出した。有機抽出液を水(2×150ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。石油/エーテル溶液に、トリアジドを溶液で保つためにエタノール(200ml)を加え、真空で200mlを下回らないように減容した。エタノール(200ml)を加え、真空で再濃縮して最後の痕跡の石油を除去し、200mlを下回らないエタノール溶液を残した。トリアジドのエタノール溶液はそのまま、段階1(g)で使用した。
注意:アジドは爆発性がありうるので溶媒を全部除去してはいけない。常に希薄な溶液に保つこと。
0.2ml未満の溶液を真空で蒸発させてエタノールを除去し、この少量の試料についてNMRを行った。
NMR H(CDCl)、δ3.35(6H,t,3×CH)、1.8(1H,七重線,CH,)、1.6(6H,q,3×CH)。
(段階g):1,1,1−トリス(2−アミノエチル)メタンの調製
エタノール(200ml)中のトリス(2−アジドエチル)メタン(15.06g、0.0676mol)(前の反応から収率100%を仮定)を、10%パラジウム担持木炭(2g、水50%)で処理し、12時間水素化した。反応から生じる窒素を除去するために、2時間毎に反応容器を真空にしてから再度水素を満たした。トリアジドのトリアミンへの完全な転化を確認するためにNMR分析用の試料を採取した。
注意:未反応のアジドは蒸留の際に爆発することがありうる。反応物は、触媒を除去するためにセライトパッドを通してろ過し、真空濃縮してトリス(2−アミノエチル)メタンを油として得た。これは、クーゲルロール蒸留(沸点180〜200℃、0.4mm/Hg)によってさらに精製して無色の油を得た(8.1g、トリオールからの全収率82.7%)。
NMR H(CDCl)、2.72(6H,t,3×CHN)、1.41(H,七重線,CH)、1.39(6H,q,3×CH)。
NMR 13C(CDCl)、δ39.8(CHNH)、38.2(CH.)、31.0(CH)。
実施例10:1,1,1−トリス(2−アミノエチル)メタンの代替調製法
(段階a):トリメチルエステルのp−メトキシ−ベンジルアミンとのアミド化
トリス(メチルオキシカルボニルメチル)メタン[2g、8.4mmol;前記段階1(b)のように調製された]をp−メトキシ−ベンジルアミン(25g、178.6mmol)に溶解させた。装置を蒸留用に組み立て、窒素流の下に120℃で24時間加熱した。反応の進行を集められたメタノールの量によって監視した。反応混合物を周囲温度まで冷却し、酢酸エチル30mlを加え、次いで沈殿したトリアミド生成物を30分間攪拌した。トリアミドをろ過によって単離し、フィルターケーキを十分な量の酢酸エチルで数回洗浄して過剰のp−メトキシ−ベンジルアミンを除去した。乾燥後、4.6g、100%の白色粉末を得た。この高度に不溶性の生成物は、これ以上の精製又はキャラクタリゼーションをせず、そのまま次の段階において使用した。
(段階b):1,1,1−トリス[2−(p−メトキシベンジルアミノ)エチル]メタンの調製
氷水中で冷却した1000mlの三口丸底フラスコに、段階2(a)からのトリアミド(10g、17.89mmol)を、1Mボラン溶液250ml(3.5g、244.3mmol)ボランに注意深く加える。添加完了後、氷水浴を取り除き、反応混合物を60℃までゆっくり加熱する。反応混合物を60℃で20時間攪拌した。反応混合物の試料(1ml)を抜き出し、5NのHCl0.5mlと混合し、30分間置いた。試料に50NaOH0.5mlを加え、続いて水2mlを加え、溶液をすべての白色沈殿が溶解するまで攪拌した。溶液をエーテル(5ml)で抽出し、蒸発させた。残留物をアセトニトリルに1mg/mlの濃度で溶解させ、MSによって分析した。MSスペクトル中にモノアミン及びジアミン(M+H/z=520及び534)が見られる場合は、反応は完結していない。反応を完結させるためには、さらに1MボランTHF溶液100mlを加え、反応混合物を60℃でさらに6時間攪拌し、前記のサンプリング手順にしたがって新たな試料を抜き出す。トリアミンへの転化が完結するまで、必要に応じて1MボランTHF溶液の追加を続ける。
反応混合物を周囲温度まで冷却し、5NのHClをゆっくり加える[注意:活発な発泡が起こる!]HClは、それ以上ガスの発生が見られなくなるまで加えた。混合物を30分間攪拌し、次いで蒸発させた。ケーキをNaOH水溶液(20〜40%;1:2重量/容積)中に懸濁させて30分間攪拌した。混合物を水(3倍容)で希釈した。次に混合物をジエチルエーテル(2×150ml)で抽出した[注意:ハロゲン化溶媒を使用しないこと]。合わせた有機相を、次いで水(1×200ml)、食塩水(150ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。油として蒸発後収量:7.6g、84%。
NMR H(CDCl)、δ:1.45、(6H,m,3×CH;1.54、(1H,七重線,CH);2.60(6H,t,3×CHN);3.68(6H,s,ArCH);3.78(9H,s,3×CHO);6.94(6H,d,6×Ar)。7.20(6H,d,6×Ar)。
NMR 13C(CDCl)、δ:32.17、CH;34.44、CH;47.00、CH;53.56、ArCH;55.25、CHO;113.78、Ar;129.29、Ar;132.61;Ar;158.60、Ar;
(段階c):1,1,1−トリス(2−アミノエチル)メタンの調製
1,1,1−トリス[2−(p−メトキシベンジルアミノ)エチル]メタン(20.0g、0.036mol)をメタノール(100ml)に溶解させ、Pd(OH)(5.0g)を加えた。混合物を水素化し(3bar、100℃オートクレーブ中)、5時間攪拌した。10時間後及び15時間後にPd(OH)をさらに2部(2×5g)に分けて加えた。反応混合物をろ過し、ろ液をメタノールで洗浄した。合わせた有機相を蒸発させ、残留物を真空蒸留(1×10−2、110℃)して2.60g(50%)の先に記載した実施例1と同一の1,1,1−トリス(2−アミノエチル)メタンを得た。
実施例11:3−クロロ−3−メチル−2−ニトロソブタンの調製
2−メチルブト−2−エン(147ml、1.4mol)及びイソアミルニトリル(156ml、1.16mol)の混合物をドライアイスとメタノール浴中で−30℃まで冷却し、オーバーヘッドエアスターラーで激しく攪拌し、濃塩酸(140ml)を温度が−20℃未満に維持される速度で滴下処理した。顕著な発熱があるので、これには約1時間を要し、過熱を避けるように注意しなければならない。添加の終わりに形成されるスラリーの粘度を低下させるためにエタノール(100ml)を加え、反応を完結させるために、反応混合物を−20〜−10℃でさらに2時間攪拌した。真空ろ過によって沈殿を集め、冷(−20℃)エタノール4×30ml及び氷水100mlで洗浄し、真空乾燥して3−クロロ−3−メチル−2−ニトロソブタンを白色固体として得た。エタノールろ液及び洗浄液を合わせて水(200ml)で希釈し、冷却して−10℃で1時間放置すると追加の3−クロロ−3−メチル−2−ニトロソブタンが析出した。沈殿をろ過によって集め、最小限の水で洗浄し、真空乾燥して3−クロロ−3−メチル−2−ニトロソブタンの合計収量(115g、0.85mol、73%)、NMRによる純度>98%を得た。
NMR H(CDCl)、異性体の混合物として(異性体1,90%)1.5 d、(2H,CH)、1.65 d、(4H,2×CH)、5.85、q及び5.95、q、全体で1H(異性体2,10%)、1.76 s、(6H,2×CH)、2.07(3H,CH)。
実施例12:ビス[N−(1,1−ジメチル−2−N−ヒドロキシイミンプロピル)2−アミノエチル]−(2−アミノエチル)メタン(キレーター1)の合成
トリス(2−アミノエチル)メタン(4.047g、27.9mmol)の乾燥エタノール(30ml)溶液に、無水炭酸カリウム(7.7g、55.8mmol、2当量)を室温で窒素雰囲気下で活発に攪拌しながら加えた。3−クロロ−3−メチル−2−ニトロソブタン(7.56g、55.8mol、2当量)の溶液を乾燥エタノール(100ml)に溶解させ、この溶液75mlを反応混合物にゆっくり滴下した。反応は、シリカプレート上のTLC[ジクロロメタン、メタノール、濃(比重0.88)アンモニア、100/30/5で展開、TLCプレートはニンヒドリンをスプレーして加熱することによって発色させた]によって追跡した。モノ−、ジ−、トリ−アルキル化生成物は、この順序で増加するRFで見られる。分析用HPLCは、RPR逆相カラムを使用して3%アンモニア水中7.5〜75%アセトニトリルの勾配で行った。反応物を真空濃縮してエタノールを除去し、水(100ml)に再懸濁させた。この水性スラリーをエーテル(100ml)で抽出してトリアルキル化された化合物の一部及び親油性の不純物を除去し、モノ及び所望のジアルキル化生成物を水層に残した。良好なクロマトグラフィーを確保するために水溶液を酢酸アンモニウム(2当量、4.3g、55.8mmol)で緩衝化した。自動化分取HPLCによって精製するまで、水溶液を4℃で一晩貯蔵した。
収量(2.2g、6.4mmol、23%)。
質量分析;正イオン10Vコーン電圧。分析値:344;計算値M+H=344
NMR H(CDCl)、δ1.24(6H,s,2×CH)、1.3(6H,s,2×CH)、1.25〜1.75(7H,m,3×CH,CH)、(3H,s,2×CH)、2.58(4H,m,CHN)、2.88(2H,t CH)、5.0(6H,s,NH,2×NH,2×OH)。
NMR H((CDSO)δ1.1 4×CH;1.29、3×CH;2.1(4H,t,2×CH);
NMR 13C((CDSO)、δ9.0(4×CH)、25.8(2×CH)、31.0 2×CH、34.6 CH、56.8 2×CHN;160.3、C=N。
HPLC条件:流速8ml/分25mmPRPカラム使用
A=3%アンモニア溶液(比重=0.88)/水;B=アセトニトリル
時間 %B
0 7.5
15 75.0
20 75.0
22 7.5
30 7.5
1回のラン当り水溶液3mlをロードし、12.5〜13.5分の時間枠で回収する。

実施例13:N−アルキル化のための 18 F−標識誘導体の合成
3−[18F]フルオロプロピルトシレートの合成
Figure 2008514580
ガラスバイアル中で調製した、アセトニトリル(300μl)中のKryptofix222(10mg)及び水(300μl)中の炭酸カリウム(4mg)を、プラスチックの注射器(1ml)を使用し、二股栓を経由して、真ちゅう製ヒーター中に置かれたカーボングラス製反応容器に移した。次にターゲット水(0.5〜2ml)中の18F−フルオライド(185〜370MBq)を、二股栓を通して加えた。ヒーターを125℃に設定し、タイマーをスタートさせた。15分後、アセトニトリル(0.5ml)を3分割して1分間隔で加えた。18F−フルオライドを合計40分間以内で乾燥させた。40分後、ヒーターを圧縮空気で冷却し、ポットのふたを取り外して1,3−プロパンジオール−ジ−p−トシレート(5〜12mg)及びアセトニトリル(1ml)を加えた。ポットのふたを戻してすべてのラインを栓で閉じた。ヒーターを100℃に設定し、100℃で10分間標識化した。標識化後、3−[18F]フルオロプロピルトシレートを、Gilson RP HPLCによって以下の条件を使用して単離した。
カラム u−bondapak C18 7.8×300mm
溶出液 水(ポンプA):アセトニトリル(ポンプB)
ループサイズ 1ml
ポンプ速度 4ml/分
波長 254nm
勾配 20分で5〜90%の溶出液B
生成物Rt 12分。
単離されたら、切り出した試料(約10ml)を水(10ml)で希釈し、調整済みのC18 Sep Pakに装填した。Sep Pakは、窒素で15分間乾燥し、有機溶媒、ピリジン(2ml)、アセトニトリル(2ml)又はDMF(2ml)で追い出した。
アミンをN−アルキル化するためには、3−[18F]フルオロプロピルトシレートを、ピリジン中で還流することによって使用する。
実施例14:S−アルキル化のための[ 18 F]−チオール誘導体
段階(a):3−[ 18 F]フルオロ−トリチルスルファニル−プロパンの調製
Figure 2008514580
ガラスバイアル中で調製したアセトニトリル(800μl)中のKryptofix222(10mg)及び水(50ml)中の炭酸カルシウム(1mg)を、プラスチックの注射器(1ml)を使用し、二股栓を経て、真ちゅう製ヒーター中のカーボングラス反応容器に移した。次にターゲット水(0.5〜2ml)中の18F−フルオライド(185〜370MBq)も、二股栓を通じて加えた。ヒーターを125℃に設定し、タイマーをスタートさせた。15分後に、アセトニトリル(0.5ml)を3部に分けて1分間隔で加えた。18F−フルオライドを、合計40分間まで乾燥した。40分後に、ヒーターを圧縮空気で冷却し、ポットのふたを取り外し、トリメチル−(3−トリチルスルファニル−プロポキシ)シラン(1〜2mg)及びDMSO(0.2ml)を加えた。ポットのふたを戻し、ラインに栓をして閉め切った。ヒーターを80℃に設定し、80℃で5分間標識した。標識後、反応混合物をRP HPLCによって以下のHPLC条件を使用して分析した。
カラム u−bondapak C18 7.8×300mm
溶出液 01.%TFA/水(ポンプA):0.1%TFA/アセトニトリル(ポンプB)
ループサイズ 100μl
ポンプ速度 4ml/分
波長 254nm
勾配 1分 40%B
15分 40〜80%B
5分 80%B。

反応混合物を、DMSO/水(1:1v/v、0.15ml)で希釈し、調整されたt−C18 Sep−Pakに装填した。カートリッジを水(10ml)で洗浄し、窒素で乾燥し、3−[18F]フルオロ−1−トリチルスルファニル−プロパンを、アセトニトリル(1部0.5ml)4部で溶出した。
段階(b)3−[ 18 F]フルオロ−プロパン−1−チオールの調製
Figure 2008514580
3−[18F]フルオロ−トリチルスルファニル−プロパンのアセトニトリル(1〜2ml)溶液を、100℃の窒素流を使用して10分間蒸発乾固させた。TFA(0.05ml)、トリイソプロピルシラン(0.01ml)及び水(0.01ml)の混合物を加え、次に80℃で10分間加熱して3−[18F]フルオロ−プロパン−1−チオールを生成させた。
段階(c):−N(CO)CH Cl前駆体との反応
クロロアセチル前駆体を標識する一般的手順は、段階(b)からの3−[18F]フルオロ−1−メルカプト−プロパンを収容している反応器を圧縮空気で冷却すること及び次いでアンモニア(水中27%、0.1ml)及び水(0.05ml)中の前駆体(1mg)を加えることである。混合物は、80℃で10分間加熱する。
実施例15:トリブチルスズ前駆体の 123 I放射能標識
以下の一般的に適用可能な方法を使用した。
0.01M NaOH中の1mM Na127I 10μlを、0.2M NHOAc(pH4)200μlに加えた。次にこのNa127I/NHOAc溶液を、0.05M NaOH中のNa123I 25.0μl(約500MBq;Amersham Cygne)に加えた。合わせた溶液を、ガラス製の小さな円錐形挿入物を収容しているシラン化されたプラスチックバイアルに移した。このプラスチックバイアルは、SIGMACOTE(商標)(ヘプタン中の塩素化有機ポリシロキサン;Sigma Chemicals)を使用してシラン化されていた。過酢酸36〜40%の酢酸溶液10μlをHO5mlに加えることによって過酢酸溶液を調製した。次に希釈過酢酸溶液100μlをHO 900μlに加え、次にこの希釈液10μlをNa123/127Iを収容しているバイアルに加えた。最後に、シラン化されたプラスチックバイアル中のトリブチルスズ前駆体(化合物1)の1.5mM溶液64μlを、反応混合物に加え、溶液を3分間置いた。
123I化合物2を、γ検出器及びUV検出器並びに逆相Phenomenex C18(2)Luna 5μ、150×4.6mmカラムを備えた勾配HPLCクロマトグラフィーを使用して精製した。
HPLC条件 溶出液A:HO中0.1%TFA
溶出液B:CHCN中0.1%TFA
12分間30〜70%の溶出液B
13分間100%B
25分間100%B
25.5分間30%B
流速: 1ml/分
λ: 254 nm。
このように、反応混合物260μlをHPLCに注入して123I化合物2(保持時間7.3分)に対応するピークをMeOH 200μl中の4−アミノ安息香酸200μgに精製した。HPLCによるRCPは47%であった。有機溶媒を真空で除去後、容積を50mMリン酸緩衝液(pH7.4)で1.6mlとした。73.75MBq/mlを含有している最終溶液は、7〜7.5のpHを有していた(比放射能=48MBq/nmol)。室温で198分間放置後、HPLCは、精製された123I化合物2のRCPが94%であることを示した。
反応で形成された123I生成物(R=7.3分)はHPLCによって127I化合物2のcold standardと共溶出する。反応は上記と同様に、但し今回は0.05M NaOH中にNa123Iは不在で、繰り返した。反応混合物を、電子スプレー質量分析を使用する陽イオンモードのLCMSによって分析した。HPLC条件は上記と同様であったが、今回は溶出液Aとして水中の0.01%TFA及び溶出液BとしてCHCN中の0.01%TFAを使用した。生成物は真正の非放射性化合物2の場合と同じ保持時間を有していた。反応混合物から得た5.85分のピークの質量分析は、質量480.75(100%)に主ピークを与えた。
実施例16: 99m Tc放射能標識(一般法)
99mTc錯体は、窒素パージされたP46バイアルに以下のものを加えることによって調製することができる。
パージしたMeOH 1ml、
100μlのMeOH中の100μgのリガンド−MMPiコンジュゲート、
0.5mlのNaCO/NaHCO緩衝液(pH9.2)、
Tcジェネレータからの0.5mlのTcO
0.1mlのSnCl/MDP溶液(10.2mgのSnCl及び101mgのメチレンジホスホン酸を含有する100mlのNパージした生理食塩水中の溶液)。

RCPを決定するためにはITLC(インスタント薄層クロマトグラフィー)を使用した。SGプレート及びMeOH/(NHOAc 0.1M)1:1移動層は、RHT(還元加水分解Tc)を原点に、過テクネチウム酸塩を溶媒先端に及びテクネチウム錯体を中間Rfに示す。反応混合物は、逆相HPLC(XterraカラムRP18 3.5μm、100mm×4.6mm)によっても、0.07%アンモニアを溶出液Aとし、アセトニトリルを溶出液Bとして使用して分析することができる。
実施例17:インビトロメタロプロテイナーゼ阻害アッセイ
化合物を次の市販の生体分子アッセイキットを使用してスクリーニングを行った。
MMP−1比色定量アッセイキット−カタログ番号AK−404、
MMP−2比色定量アッセイキット−カタログ番号AK−408、
MMP−8比色定量アッセイキット−カタログ番号AK−414、
MMP−9比色定量アッセイキット−カタログ番号AK−410、
MMP−12比色定量アッセイキット−カタログ番号AK−402、
これらは、Affiniti Research Products Ltd.(Palatine House、Matford Court、Exeter、EX2 8NL、UK)から入手できる。
(a)試験化合物の調製
阻害剤を粉末形態で準備し、4℃で貯蔵した。各阻害剤について、DMSO中の1mM保存液を調製し、20μlの一定分量に分配し、それらの一定分量を−20℃で貯蔵した。保存液を希釈して、8段階の阻害剤濃度(推奨:50μM、5μM、500nM、50nM、5nM、500pM、50pM及び5pM)を得た。希釈は、キットのアッセイ緩衝液で行った。アッセイウェルに加えられると、阻害剤貯蔵物は5倍に希釈され、したがって最終濃度範囲は10μM〜1pMであった。
(b)実験手順
詳細は、市販のキットにより提供されるが、次のように要約することができる。
− 上記の通り試験化合物の希釈物を用意する、
− アッセイ緩衝液をプレートに加える、
− 試験化合物をプレートに加える、
− 標準キット阻害剤NNGHを用意する(希釈係数はキットを参照)、
− NNGHを対照阻害剤ウェルに加える、
− MMP酵素を用意する(希釈係数はキットを参照)、
− MMPをプレートに加える、
− プレートを37℃で約15分インキュベートする、
− チオペプトリド(thiopeptolide)基質を用意する(希釈係数はキットを参照)、
− 基質をプレートに加える、
− LabsystemsiEMSプレートリーダーで37℃、414nmを、1時間にわたり2分毎にカウントする(MMP−1については30秒毎に20分間カウントする)、

(c)結果
結果を表1に示す。
Figure 2008514580
実施例18:MMP発現の動物腫瘍モデルにおける放射ヨウ素標識された誘導体化合物2Aの体内分布
その腫瘍中で幾つかのMMPの再現性が上方制御されるために、インビボのLewis肺[LLC]癌腫瘍モデルがMMPiのスクリーニングに使用されている。それなりに、このモデルは、MMPを発現させる病変のインビボ標的指向化のためのMMPiの効力について優れた評価をもたらす。文献の報告では、LLC細胞が、プロMMP−2、活性MMP−2、プロMMP−9、並びにLLC腫瘍MMP−2及びMMP−9(プロ又は活性として分類されない)を発現させることが示されている[Baeら、Drugs Exp Clin Res.29(1):15−23(2003)]。
結果
結果の概要を表2に示す。
Figure 2008514580
実施例19:MMP発現のApoE結紮動物モデルにおける放射ヨウ素標識された誘導体化合物2A、6A及び18Aの体内分布
ApoE結紮モデルについても研究した。ApoEマウスは、ApoE遺伝子を欠いており、したがって、その血漿コレステロールレベルを調節することができないトランスジェニックノックアウトマウスである。そのため、ApoEマウスは、動脈硬化性病変、即ち高脂肪食の摂取と共に加速される過程を起こす。病変発生のさらなる促進は、外科手術及び高脂肪食摂取から4週間以内に進行型の病変形成をもたらす頚動脈の結紮によって実現することができる。このモデルは、マクロファージ及びMMPの発現が高度であり、組織リモデリングのレベルが高いことが示されており、Ivanら[Circulation.105,2686−2691(2002)]によって記述されている。結果の概要を表3に示す。
Figure 2008514580
実施例20:化合物14及び21の合成
Figure 2008514580
この化合物は、保護断片化合物Aを使用して、溶液中カップリングによって合成した。化合物Aは、固相合成を使用して調製した。アミノ酸のカップリングは、クロロトリチルPS樹脂(0.8ミリ当量/g)上で段階的に行った。
段階(a):化合物Aの合成
Fmoc−PEG−OHを、DMF中でDIEAの存在下において、クロロトリチルPS樹脂にカップリングさせた。脱保護/カップリングサイクルを以下に記載する。
Fmocアミノ酸2当量及びHOBt 2当量を、DMF(アミノ酸1mmol当たり2〜3ml)に溶解させた。溶液を、樹脂を収容している反応容器に注いだ。DIC 2当量を加えた。
Figure 2008514580
段階(b):溶液中合成
DIEAの存在下でHBTUをカップリング剤として使用する、化合物Aと4−ヨードベンジルアミンのカップリングにより、化合物Bを得た。化合物Bを、塩基性条件下において、ヒドロキシルアミンで処理した。粗生成物は油として得た(粗収率91.6%)。粗生成物を、RP−HPLCによってTFA/HO/アセトニトリルを溶媒として使用して精製した。純粋な画分を集め、凍結乾燥して油を得た(全収率28.3%)。HPLC分析90%
化合物21は、類似の方法で調製した。
HPLCによる純度=90%
ESI−MS:m/z=1789.6[MH]
実施例21:化合物13の合成
精製した化合物14を出発原料として使用した。反応は窒素雰囲気で行った。化合物14を、Pd(PPh(0.05当量)を触媒として使用して、ビス(トリブチルスズ)(1.5当量)で処理した。反応混合物を、トルエン/アセトニトリル(3/25)混合物中、還流下で加熱した。粗生成物を油として単離した(粗収率100%)。粗生成物を、RP−HPLCによってAcONH /HO/アセトニトリルを溶媒として用いて精製して油を得た(全収率6.85%)。HPLC分析44%。この化合物は、油として得たが、凍結乾燥を試みる間に分解した。凍結乾燥前のHPLC分析は90.2%であった。
実施例22:化合物10の合成
Figure 2008514580
この化合物は、保護断片化合物Cを使用する、溶液中カップリングによって合成した。化合物Cは固相合成を使用して調製した。アミノ酸のカップリングは、クロロトリチルPS樹脂(0.8ミリ当量/g)上で、段階的に行った。
段階(a):化合物Cの合成
Fmoc−PEG−OHを、DMF中、DIEAの存在下において、クロロトリチルPS樹脂にカップリングさせた。脱保護/カップリングサイクルを以下に記載する。
Fmocアミノ酸2当量及びHOBt 2当量を、DMF(アミノ酸1mmol当たり2〜3ml)に溶解させた。溶液を、樹脂を収容している反応容器に注いだ。DIC 2当量を加えた。
Figure 2008514580
ペプチドの樹脂からの開裂は、DCM中の1%TFAを使用して行った。
粗生成物は、油として得た。粗収率40.7%
段階(b):溶液中合成
DIEAの存在下にHBTUをカップリング剤として使用する、化合物Cと4−ヨードベンジルアミンのカップリングは、化合物Dを得た。化合物Dを、塩基性条件下において、ヒドロキシルアミンで処理した。粗生成物は油として得た(粗収率93.1%)。粗生成物10を、RP−HPLCによってTFA/HO/アセトニトリルを溶媒として使用して精製した。純粋な画分を集め、凍結乾燥して油を得た(全収率25%)。HPLC分析87.2%
実施例23:化合物9の合成
精製した化合物10を出発原料として使用した。反応は窒素雰囲気で行った。化合物10を、Pd(PPh(3×0.05当量)を触媒として使用して、ビス(トリブチルスズ)(2×1.5当量)で処理した。反応混合物を、トルエン/アセトニトリル(3/25)混合物中、還流下で加熱した。粗生成物を油として単離した(粗収率100%)。粗生成物を、RP−HPLCによって、AcONH /HO/アセトニトリルを溶媒として用いて、精製した(全収率15%)。HPLC分析78.8%。
実施例24:化合物18〜20の合成
化合物19は、DIEAの存在下で、HBTUをカップリング剤として使用する、Boc−Phe−OHとp−I−ベンジルアミンHClの、完全に保護されたフェニルアラニンを与えるカップリングによって調製された。酸分解(ジオキサン中のHCl)によるBoc基の除去に続いて(R)−2−イソブチルコハク酸−1−t−ブチルエステルとのカップリングは、コハク酸エステル−Phe−pI−ベンジルアミン断片を与えた。酸性条件下のt−ブチル基の開裂(TFA/TES/DCM)に続いて、このカルボン酸を、ヨードメタンを使用して、メチルエステルに転化させた。メチルエステルを、塩基性条件下においてヒドロキシルアミンで処理して固体を得た。粗生成物を、RP−HPLCによってTFA/水/アセトニトリルを溶媒として使用して精製した。純粋な画分を集め、凍結乾燥して白色結晶を得た。
HPLCによる純度=90.1%、ESI−MS:m/z=551.9[MH]
化合物18及び20は、類似の方法で調製した。
化合物18:HPLCによる純度=91%、ESI−MS:m/z=475.9[MH]
化合物20:HPLCによる純度=96.1%、ESI−MS:m/z=516.3[MH]
本発明の数種の化合物の化学構造を示す図。

Claims (35)

  1. 、X、X、X又はYの位置で造影基で標識された以下の式(I)のメタロプロテイナーゼ阻害剤を含む造影剤であって、哺乳類生体内への標識マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤の投与後に造影基を検出することができる造影剤。
    Figure 2008514580
    式中、
    はH、C1〜3アルキル又はC1〜3フルオロアルキルであり、
    はH、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル又はC1〜6フルオロアルキルであり、
    はX基、NH、C1〜10アミノ又は−NH(CO)Xであって、XはC1〜6アルキル、C3〜12アリール又はC5〜15アラルキルであり、
    はC1〜6アルキル、Ar又は−(C1〜3アルキル)Arであって、ArはC3〜12アリールもしくはヘテロアリール基又は−(CHCONHYであり、wは1又は2の整数であり、
    及びYは独立にY基であって、YはC1〜10アルキル、C3〜10シクロアルキル、C1〜10フルオロアルキル、Ar基又は−(C1〜3アルキル)Arであるが、
    (iii)XとXが共にHとはならないこと、
    (iv)XがHであり、XがH又はC1〜3アルキルであり、XがC1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル又はC1〜6フルオロアルキルであり、XがC1〜6アルキル、フェニル又はベンジルであるとき、造影基はキレート剤を含まないこと
    を条件とする。
  2. がHである、請求項1記載の造影剤。
  3. 又はXがC1〜4アルキルである、請求項1又は請求項2記載の造影剤。
  4. がX基である、請求項3記載の造影剤。
  5. が−CHArである、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の造影剤。
  6. がインドール基を含む、請求項5記載の造影剤。
  7. 当該造影剤が次の式IIのものである、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の造影剤。
    Figure 2008514580
    式中、{阻害剤}は請求項1の式(I)のメタロプロテイナーゼ阻害剤であり、
    −(A)−はリンカー基であって、各Aは独立に−CR−、−CR=CR−、−C≡C−、−CRCO−、−COCR−、−NRCO−、−CONR−、−NR(C=O)NR−、−NR(C=S)NR−、−SONR−、−NRSO−、−CROCR−、−CRSCR−、−CRNRCR−、C4〜8シクロヘテロアルキレン基、C4〜8シクロアルキレン基、C5〜12アリーレン基、C3〜12ヘテロアリーレン基、アミノ酸、糖又は単分散ポリエチレングリコール(PEG)構成単位であり、
    RはH、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、C1〜4アルコキシアルキル又はC1〜4ヒドロキシアルキルからは独立に選択され、
    nは0〜10の整数であり、
    はH、OH、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルコキシアルキル、C1〜4ヒドロキシアルキル又は請求項1で定義したAr基である。
  8. 前記造影基がメタロプロテイナーゼ阻害剤のX又はYの位置に結合している、請求項7記載の造影剤。
  9. 前記造影基が、
    (i)放射性金属イオン、
    (ii)常磁性金属イオン、
    (iii)γ線放出型放射性ハロゲン、
    (iv)陽電子放出型放射性非金属、
    (v)過分極NMR活性核種、
    (vi)インビボ光学イメージングに適したレポーター、
    (vii)血管内検出に適したβ線放射体
    から選択される、請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載の造影剤。
  10. 前記マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤がリガンドに結合しており、リガンドが放射性金属イオン又は常磁性金属イオンと金属錯体を形成している、請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の造影剤。
  11. 前記リガンドがキレート剤である、請求項10記載の造影剤。
  12. 前記放射性金属イオンがγ線放射体又は陽電子放射体である、請求項10又は11記載の造影剤。
  13. 前記放射性金属イオンが99mTc、111In、64Cu、67Cu、67Ga又は68Gaである、請求項12記載の造影剤。
  14. 前記γ線放出型放射性ハロゲン造影基が123Iである、請求項9記載の造影剤。
  15. 前記陽電子放出型放射性非金属が18F、11C、13N又は124Iから選択される、請求項9記載の造影剤。
  16. 前記マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤が次の式IVのものである、請求項1乃至請求項15のいずれか1項記載の造影剤。
    Figure 2008514580
    式中、X、X及びXは請求項1で定義した通りであり、
    は請求項1で定義したY基である。
  17. 前記マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤が次の式Vのものである、請求項1乃至請求項15のいずれか1項記載の造影剤。
    Figure 2008514580
    式中、X、X、X、Y及びwは請求項1で定義した通りであり、
    は請求項1で定義したY基である。
  18. 請求項1乃至請求項17のいずれか1項記載の造影剤を生体適合性担体と共に哺乳類への投与に適した形態で含む医薬組成物。
  19. 請求項1乃至請求項17のいずれか1項記載の造影剤を生体適合性担体と共に哺乳類への投与に適した形態で含み、造影基が放射性である、放射性医薬組成物。
  20. 前記造影基が放射性金属イオンを含む、請求項19記載の放射性医薬組成物。
  21. 前記造影基が陽電子放出型放射性非金属又はγ線放出型放射性ハロゲンを含む、請求項19記載の放射性医薬組成物。
  22. 放射性又は常磁性金属イオンと金属錯体を形成することのできるリガンドと請求項1乃至請求項6で定義した式(I)のマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤とのコンジュゲート。
  23. 当該コンジュゲートが次の式IIbのものである、請求項22記載のコンジュゲート。
    Figure 2008514580
    式中、{阻害剤}、A、n及びmは請求項7で定義した通りである。
  24. 前記マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤が請求項16又は請求項17記載の式Ia又はIbのものである、請求項22又は請求項23記載のコンジュゲート。
  25. 前記リガンドがキレート剤である、請求項22乃至請求項24のいずれか1項記載のコンジュゲート。
  26. 請求項21記載の放射性医薬組成物の調製用前駆体であって、当該前駆体が請求項1乃至請求項17のいずれか1項記載のマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤の非放射性誘導体を含み、非放射性誘導体が陽電子放出型放射性非金属源又はγ線放出型放射性ハロゲン源との反応によって所望の放射性医薬品を与える、前駆体。
  27. 前記陽電子放出型放射性非金属源又はγ線放出型放射性ハロゲン源が、
    (i)ハライドイオン又はFもしくはI、或いは
    (ii)アルキルハライド、フルオロアルキルハライド、トシレート、トリフレート又はメシレートから選択されるアルキル化剤
    から選択される、請求項26記載の前駆体。
  28. 前記非放射性誘導体が、
    (i)トリアルキルスタンナン又はトリアルキルシランのような有機金属誘導体、
    (ii)求核置換のためのアルキルハライド、アルキルトシレート又はアルキルメシレートを含む誘導体、
    (iii)求核又は求電子置換のため活性化された芳香環を有する誘導体、
    (iv)容易にアルキル化を起こす官能基を有する誘導体、
    (v)チオール含有化合物とのアルキル化によってチオエーテル含有生成物を与える誘導体
    から選択される、請求項26又は請求項27記載の前駆体。
  29. 請求項22乃至請求項25のいずれか1項記載のコンジュゲートを含む、請求項20記載の放射性医薬組成物の調製用キット。
  30. 前記放射性金属イオンが99mTcであり、さらに生体適合性還元剤を含む、請求項29記載のキット。
  31. 請求項26乃至請求項28のいずれか1項記載の前駆体を含む、請求項21記載の放射性医薬組成物の調製用キット。
  32. 前記前駆体が固相に結合している、請求項31記載のキット。
  33. アテローム性動脈硬化症の画像診断のための請求項1乃至請求項17のいずれか1項記載の造影剤の使用。
  34. 不安定プラークの画像診断のための請求項1乃至請求項17のいずれか1項記載の造影剤の使用。
  35. アテローム性動脈硬化症の血管内検出のための請求項1乃至請求項17のいずれか1項記載の造影剤の使用。
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