JP2008512852A - 金属製の基部とグラファイトフィンとを有する複合ヒートシンク - Google Patents
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Abstract
複合ヒートシンク装置(10)は、少なくとも約150W/m°Kの熱伝導率を有する金属製の基部(12)を包含する。金属製の基部(12)は、好ましくは銅又はアルミニウムのいずれかから構成される。ヒートシンク装置(10)は更に、基部(12)に取り付けられた複数のフィン(14A−H)を包含し、これらのフィンは、基部に対して垂直な、比較的高い熱伝導性の方向を有する異方性グラファイト材料から構成される。
Description
本発明は、電子装置のような熱源からの熱を管理することができるヒートシンクに関する。
演算処理速度を高めることができ、高周波数であり、小型でより複雑な電源条件を必要とし、他の技術上の発展を示す、電子及び電気部品及びシステム内、並びに高出力光学装置等の他の装置内のマイクロプロセッサや集積回路等の装置を含む、より精密な電子装置が開発されるのに従って、かなり高い温度が発生するようになっている。しかしながら、マイクロプロセッサ、集積回路及び他の高度な電子装置は通常、所定の閾値温度範囲内にあるときにしか効率的に作動しない。これらの部品の作動中に発生する過剰な熱は、これらの部品それ自体の性能を損なうばかりでなく、システム全体の性能及び信頼性を損ない、場合によってはシステムを故障させてしまう。電子システムが作動することが期待される環境条件の範囲(極端な温度を含む)が広がるのに従って、過剰な熱による悪影響がより悪化している。
マイクロ電子装置からの放熱に対する必要性が増大するのに従って、熱の管理が、電子製品の設計のためのますます重要な要素となってきている。電子機器の性能上の信頼性及び予想寿命の両方が、機器の部品の温度と逆の関連をなしている。例えば、典型的なシリコン半導体などの装置の動作温度が低下すると、処理速度、装置の信頼性及び予想寿命が増大し得る。故に、部品の予想寿命及び信頼性を最大とするには、装置の動作温度を設計者が設定する制限内に制御することが最も重要である。
幾つかのタイプの熱放散部品は、電子装置からの熱放散を促進するために利用される。本発明は、フィン付きヒートシンクに直接適用できる。
これらのヒートシンクは、熱発生電子装置などの熱源の表面からより低温な環境、通常は空気中への熱放散を促進する。ヒートシンクは、主に空気又は他の熱伝達媒体と直接接触している表面積を大きくすることにより、電子装置と周囲の空気との間の熱伝達効率を増大させようとするものである。これにより、より多くの熱が放散され、よって電子装置の作動温度が低下する。熱放散部品の主要な目的は、装置の温度をその設計者/製造者により特定される最大許容温度未満に維持するのを助けることである。
典型的には、ヒートシンクは、金属、特に銅又はアルミニウムから形成される。その理由は、銅などの金属が容易に熱を吸収し、その構造全体に熱を伝達することができるためである。銅製のヒートシンクは、ヒートシンクの表面積を大きくするためにフィン又は他の構造が形成されていることが多く、空気は(例えばファンにより)フィンを横切って、又はフィンを通って強制的に移動させられ、電子部品から、銅製のヒートシンクを通って、空気中へと熱を放散する。
銅製又はアルミニウム製の熱放散部材を使用すると、特に熱放散部品の熱伝達面積が電子装置の熱伝達面積よりもはるかに大きい場合は、金属の重量に起因する問題が生じ得る。例えば、純粋な銅の重量は1立方センチメートル当たり8.96グラム(g/cm3)であり、純粋なアルミニウムの重量は2.70g/cm3である。
例えば、多くの用途では、幾つかのヒートシンクを回路基板などの上に並べ、基板上の様々な構成部品から熱を放散させる必要がある。金属製のヒートシンクを用いる場合、基板上の金属の全体重量のために、基板に亀裂が入ったり、他の同様の望ましくない影響が生じる可能性が高くなり、且つ構成部品自体の重量が増える可能性がある。携帯型電子装置の場合、重量を軽減しつつも熱放散特性を維持する方法が特に望ましい。
ヒートシンクで使用するのに適する他の材料群は、グラファイトとして一般に知られている材料であるが、特に上述の天然グラファイト及びフレキシブルグラファイトをベースとする材料などである。これらの材料は異方性であり、その性質ゆえ、ヒートシンクは選択した方向へ優先的に熱を伝達するように設計可能である。また、グラファイト材料は、銅又はアルミニウムよりもはるかに軽く、故に多くの利点を付与する。
グラファイトは、炭素原子の六角形配列又は網目構造の層面から構成されている。これらの六角形に配列された炭素原子の層面は、実質的に平坦であり、かつ実質的に平行で等距離となるように互いの層面が配向又は配列されている。炭素原子からなる実質的に平坦で平行な等距離の、通常グラフェーン層又は基底面と称されるシート又は層は、互いに連結又は結合され、それらの群はクリスタリット形態で配列されている。高度に配列したグラファイトは、相当大きいクリスタリットからなり、そのクリスタリットは、互いに高度に整列もしくは配向し、よく整列した炭素層を有する。換言すれば、高度に配列したグラファイトは、高いクリスタリット配向度を有する。ここで、グラファイトは、異方性構造を有するため、熱伝導性や導電率及び流体拡散性に高い方向性を有する多数の特性を示すか、又は有している。
簡単に述べると、グラファイトは、炭素の層状構造、即ち、弱いファンデルワールス力により互いに接合した炭素原子の層又は薄層が重なった構造を有することが特徴である。グラファイト構造を考える際、通常、2つの軸(又は方向)、即ち、c軸(又は方向)及びa軸(又は方向)が特筆される。単純化するために、c軸(又は方向)は、炭素層に垂直な方向と考えることができる。a軸(又は方向)は、炭素層に平行な方向、又はc軸方向に垂直な方向と考えることができる。フレキシブルグラファイトシート製造に適するグラファイトは、非常に高い配向度を有している。
上記したように、炭素原子からなる平行な層を共に保持している結合力は、弱いファンデルワールス力のみである。天然グラファイトの処理により、炭素の層又は薄層が重なり合った間隔が相当広くなり、層と垂直な方向、即ちc軸方向に著しく広がるため、炭素層の重なり特性が実質的に保たれたまま、膨張ないし膨大化したグラファイト構造が形成される。
大きく膨張した、より詳細には、もとのc軸方向寸法の約80倍以上もの最終厚さ(又はc軸方向寸法)を有する程度に膨張したグラファイトフレークは、バインダーを使用せずに、例えば、ウエブ、紙、ストリップ、テープ、箔、マット等(一般に「フレキシブルグラファイト」と呼ばれる)の膨張グラファイトの凝集又は一体化したシートに形成される。もとのc軸方向寸法の約80倍以上もの最終厚さ(又はc軸寸法)を有する程度にまで膨張したグラファイト粒子は、大容量化した膨張グラファイト粒子間での機械的な絡み合いや凝集力を有するために、バインダー材料を用いなくとも圧縮して一体化したフレキシブルシートに形成することができると考えられる。
膨張グラファイト粒子やグラファイト層が、非常に高圧縮、例えばロールプレス等から生じるシートの対向面に対して実質的に平行に配向しているため、上記のシート材料は、熱伝導性や導電率及び流体拡散性に関して高い異方性を有することも判明した。このように製造されたシート材料は、優れた可撓性を有し、良好な強度及び非常に高い配向度を有する。
簡単に述べると、フレキシブルでバインダーを必要としない異方性グラファイトシート材料(例えば、ウエブ、紙、ストリップ、テープ、箔、マット等)の製造方法は、もとの粒子寸法の約80倍以上ものc軸方向寸法を有する膨張グラファイト粒子を、バインダーを用いずに所定負荷で圧縮又は圧密化して、実質的に平坦でフレキシブルな一体化したグラファイトシートを形成する工程を含む。その外観が一般的にウォーム様即ち虫状になる膨張グラファイト粒子は、一度圧縮すると圧縮ひずみが残り、対向シート主表面との整列が維持される。シート材料の密度及び厚さは、圧縮の度合いを制御することにより変更できる。シート材料の密度は、約0.04g/cm3〜約2.0g/cm3の範囲とし得る。フレキシブルグラファイトシート材料は、グラファイト粒子がシートの主対向平行表面と平行して整列しているのでかなり高い異方性を示し、シート材料のロールプレスにより異方性の程度が増加して配向も増加する。ロールプレスされた異方性シート材料においては、厚さ、即ち、対向する平行シート表面に垂直な方向はc軸方向を含み、長さ及び幅に沿って広がる方向、即ち、対向主表面に沿った又は平行な方向はa軸方向を含む。また、シートの熱的特性や電気的特性及び/又は流体拡散性は、c軸方向とa軸方向とでは、大きさが何桁も異なる。
従来の設計と比較して、比較的高い熱伝導性及び比較的小さい重量を付与する改良型ヒートシンク設計に対する必要性が連続して存在する。
本発明は、少なくとも約150W/m°Kの熱伝導率を有する金属製の基部と、前記基部に取り付けられた複数のフィンとを含むヒートシンク装置であって、前記フィンが高温で加圧硬化された樹脂含浸グラファイト材料から構成されるヒートシンク装置を提供する。
本発明の特有の実施態様においては、基部は銅又はアルミニウムのいずれかから構成されてもよい。
従って、本発明の目的は、電子装置の熱管理のための改良型ヒートシンク設計を提供することである。
本発明の更に別の目的は、金属製の基部を有すると共に、異方性グラファイト材料から構成されたフィンを有する複合ヒートシンク設計を提供することである。
本発明の別の目的は、グラファイトフィンを備えた銅製の基部を有する複合ヒートシンクであって、全てが銅製のヒートシンクの熱性能と略同等の熱性能を付与しつつも、全てが銅製のヒートシンクよりも軽量であるヒートシンクを提供することである。
本発明の別の目的は、アルミニウム製の基部と、複数のグラファイトフィンとを有するので、同様の大きさの全アルミニウム製のヒートシンクの熱性能よりも高い熱性能を有しつつも、全アルミニウム製のヒートシンクよりも軽量であるヒートシンク装置を提供することである。
当業者は、添付の図面と共に以下の開示を読めば、本発明の他の及び更なる目的、特徴及び利点が容易に明白となるであろう。
上述のように、本発明のヒートシンクが構成され得る1つの材料はグラファイトシート材料である。ヒートシンクの構成を説明する前に、グラファイト及びそのグラファイトからフレキシブルシートを形成する方法を順に簡単に説明する。
フレキシブルグラファイトシートの調製
グラファイトは、原子が平坦層状に共有結合した面同士が、より弱く結合した結晶形態の炭素である。天然グラファイトフレーク等のグラファイト粒子を、例えば、硫酸及び硝酸の溶液からなる挿入物質(インターカラント)で処理することにより、グラファイトの結晶構造が反応してグラファイトとインターカラントとの化合物が形成される。処理したグラファイト粒子を、以下「インターカラントグラファイト粒子」と称する。高温暴露すると、グラファイト内のインターカラントが分解及び揮発して、インターカラントグラファイト粒子が、c軸方向、即ち、グラファイトの結晶面に垂直な方向に、もとの容積の約80倍以上もの寸法に蛇腹状に膨張する。剥離グラファイト粒子は、外観が虫状であるので、一般的にウォームと称されている。ウォームは、共に圧縮してフレキシブルシートとすることができる。フレキシブルシートは、もとのグラファイトフレークとは異なり、種々の形状に形成及び切断できる。
グラファイトは、原子が平坦層状に共有結合した面同士が、より弱く結合した結晶形態の炭素である。天然グラファイトフレーク等のグラファイト粒子を、例えば、硫酸及び硝酸の溶液からなる挿入物質(インターカラント)で処理することにより、グラファイトの結晶構造が反応してグラファイトとインターカラントとの化合物が形成される。処理したグラファイト粒子を、以下「インターカラントグラファイト粒子」と称する。高温暴露すると、グラファイト内のインターカラントが分解及び揮発して、インターカラントグラファイト粒子が、c軸方向、即ち、グラファイトの結晶面に垂直な方向に、もとの容積の約80倍以上もの寸法に蛇腹状に膨張する。剥離グラファイト粒子は、外観が虫状であるので、一般的にウォームと称されている。ウォームは、共に圧縮してフレキシブルシートとすることができる。フレキシブルシートは、もとのグラファイトフレークとは異なり、種々の形状に形成及び切断できる。
本発明で使用するのに好適なグラファイト出発材料としては、熱に暴露したときに有機酸や無機酸だけでなくハロゲンを挿入して膨張させることが可能な、高度に黒鉛化した炭素質材料等がある。これらの黒鉛化度の高い炭素質材料は、最も好ましくは黒鉛化度が約1.0である。この開示で使用される用語「黒鉛化度」とは、下式による値(g)を意味する:
(式中、d(002)は、結晶構造における炭素の黒鉛層間の間隔(単位:オングストローム)である)。グラファイト層間の間隔dは、標準X線回折法により測定される。(002)、(004)及び(006)ミラー指数に対応する回折ピークの位置を測定し、標準最小二乗法を用いてこれらのピークの全てについて全誤差を最小にする間隔を導く。黒鉛化度が高い炭素質材料の例として、種々の原料から得られる天然グラファイトだけでなく、他の炭素質材料、例えば、化学蒸着、ポリマーの高温熱分解、又は溶融金属溶液からの結晶化などにより調製したグラファイトが挙げられる。天然グラファイトが最も好ましい。
本発明に使用されるグラファイト出発材料は、出発材料の結晶構造が所要の黒鉛化度を保ち、かつこれらが剥離し得る限り、非グラファイト成分を含有してもよい。一般的に、結晶構造に必要とされる黒鉛化度を有し、かつ剥離し得るいずれの炭素含有材料も、本発明と共に使用するのに好適である。このようなグラファイトの純度は、好ましくは少なくとも約80重量%である。より好ましくは、本発明に用いられるグラファイトは、少なくとも約94%の純度を有する。最も好ましい実施態様では、用いられるグラファイトは、少なくとも約98%の純度を有する。
グラファイトシートを製造するための一般的な方法が、米国特許第3,404,061号(Shane等)に記載されている。この文献に開示されている内容は、引用することにより本明細書の内容の一部とされる。Shane等の方法の典型的な実施に際して、天然グラファイトフレークを、例えば、硝酸と硫酸の混合物溶液に分散させる、有利には、グラファイトフレーク100重量部当たりインターカラント溶液を約20〜約300重量部(pph)の量で含む溶液に分散させることにより天然グラファイトフレークに物質挿入を行う。インターカレーション溶液は、当該技術分野において既知の酸化剤等のインターカレーション剤を含有する。それらの例として、酸化剤及び酸化性混合物を含有するもの、例えば、硝酸、塩素酸カリウム、クロム酸、過マンガン酸カリウム、クロム酸カリウム、二クロム酸カリウム、過塩素酸等を含有する溶液、又は混合物、例えば、濃硝酸と塩素酸塩の混合物、クロム酸とリン酸の混合物、硫酸と硝酸の混合物、もしくは強有機酸(例えば、トリフルオロ酢酸)とこの有機酸に溶解する強酸化剤との混合物を含有する溶液が挙げられる。別の方法として、電位を使用してグラファイトの酸化を生じさせることができる。電解酸化を用いてグラファイト結晶に導入できる化学種には、硫酸だけでなく他の酸も挙げられる。
好ましい実施態様では、インターカレーション剤は、硫酸又は硫酸及びリン酸と、酸化剤、即ち、硝酸、過塩素酸、クロム酸、過マンガン酸カリウム、過酸化水素、ヨウ素酸若しくは過ヨウ素酸との混合物の溶液等である。あまり好ましくないが、塩化第2鉄等のハロゲン化金属、及び塩化第2鉄と硫酸との混合物、又はハロゲン化物、例えば臭素と硫酸の溶液として、あるいは臭素を有機溶媒に溶解した溶液として臭素を含有できる。
インターカレーション溶液の量は、約20〜約350pphの範囲でよく、より典型的には約40〜約160pphの範囲でよい。フレークに物質挿入した後、過剰の溶液をフレークから取り除いて、フレークを水洗する。別の方法として、インターカレーション溶液の量は、約10〜約40pphに限定してもよい。この量では、米国特許第4,895,713号に教示及び説明されているように、洗浄工程を省略してもよい。上記文献に開示されている内容も、引用することにより本明細書の内容の一部とされる。
インターカレーション溶液で処理したグラファイトフレークの粒子は、必要に応じて、例えば、25℃〜125℃の範囲の温度で酸化性インターカレーション溶液の表面膜と反応するアルコール類、糖類、アルデヒド類及びエステル類から選択された還元性有機剤と混合して接触させることができる。好適な具体的有機剤としては、ヘキサデカノール、オクタデカノール、1−オクタノール、2−オクタノール、デシルアルコール、1,10−デカンジオール、デシルアルデヒド、1−プロパノール、1,3−プロパンジオール、エチレングリコール、ポリプロピレングリコール、デキストロース、フルクトース、ラクトース、スクロース、ジャガイモデンプン、エチレングリコールモノステアレート、ジエチレングリコールジベンゾエート、プロピレングリコールモノステアレート、グリセロールモノステアレート、ジメチルオキシレート、ジエチルオキシレート、メチルホルメート、エチルホルメート、アスコルビン酸、及びリグニン由来化合物、例えば、リグノ硫酸ナトリウムが挙げられる。有機還元剤の量は、グラファイトフレーク粒子の約0.5〜4重量%であるのが好適である。
インターカレーション前、インターカレーション中、もしくはインターカレーション直後に膨張助剤を使用して改善することもできる。これらの改善には、剥離温度の低下及び膨張体積(「ウォーム体積」とも称される)の増加などがある。このための膨張助剤は、インターカレーション溶液に十分溶解して膨張を改善できる有機材料であるのが有利である。より詳細には、この種の有機材料としては、炭素、水素、及び酸素含有物を用いてもよく、このような有機材料のみを用いることが好ましい。カルボン酸がとりわけ有効であることが判明した。膨張助剤として有用である好適なカルボン酸は、炭素原子が少なくとも1個、好ましくは炭素原子が最大約15個である、芳香族、脂肪族又はシクロ脂肪族、直鎖又は分岐鎖、飽和及び不飽和のモノカルボン酸類、ジカルボン酸類並びに多カルボン酸類から選択できるが、このカルボン酸は、1つ以上の剥離面で適度な改善をするのに有効な量のインターカレーション溶液に可溶である。好適な有機溶媒を用いて、インターカレーション溶液への有機膨張助剤の溶解度を改善することができる。
飽和脂肪族カルボン酸類の代表例としては、H(CH2)nCOOH(式中、nは0〜約5の数である)等で表される酸類、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸等が挙げられる。カルボン酸類の代わりに、無水物又は反応性カルボン酸誘導体、例えば、アルキルエステルを用いることもできる。アルキルエステル類の代表例は、ギ酸メチル及びギ酸エチルである。硫酸、硝酸及び他の既知の水性インターカラントは、ギ酸を分解して最終的に水と二酸化炭素とすることができる。このため、ギ酸及び他の敏感な膨張助剤を、グラファイトフレークを水性のインターカラントに浸漬する前にグラファイトフレークと接触させるのが有利である。代表的なジカルボン酸として、炭素原子が2〜12個である脂肪族ジカルボン酸、特にシュウ酸、フマル酸、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、1,5−ペンタンジカルボン酸、1,6−ヘキサンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸、例えば、フタル酸又はテレフタル酸が挙げられる。代表的なアルキルエステルとして、ジメチルオキシレート及びジエチルオキシレートが挙げられる。代表的なシクロ脂肪族酸として、シクロヘキサンカルボン酸が挙げられ、代表的な芳香族カルボン酸として、安息香酸、ナフトエ酸、アントラニル酸、p−アミノ安息香酸、サリチル酸、o−、m−及びp−トリル酸、メトキシ及びエトキシ安息香酸、アセトアセタミド安息香酸類及びアセタミド安息香酸類、フェニル酢酸並びにナフトエ酸類が挙げられる。代表的なヒドロキシ芳香族酸としては、ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、5−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、5−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸及び7−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸が挙げられる。多カルボン酸の中で代表的なものとしては、クエン酸が挙げられる。
インターカレーション溶液は水性であり、剥離を高めるのに有効な量として、好ましくは膨張助剤を約1〜10%の量で含有する。膨張助剤を、インターカレーション水溶液に浸漬する前又は後にグラファイトフレークと接触させる実施態様では、膨張助剤をグラファイトと混合するに際して、典型的には約0.2重量%〜約10重量%の量のグラファイトフレークと、好適な手段、例えばVブレンダーにより混合できる。
グラファイトフレークに物質挿入した後及びインターカラントをコーティングしたインターカラントグラファイトフレークと有機還元剤との混合に続いて、混合物を、25℃〜125℃の範囲の温度に暴露して還元剤とインターカラントコーティングとの反応を促進する。加熱期間は、約20時間以内であり、例えば、上記範囲において高温の場合には、加熱時間は更に短くてもよく、少なくとも約10分間である。より高温では、30分間以下の時間、例えば、10〜25分間程度でよい。
上記のグラファイトフレークに物質挿入する方法、及びその剥離方法は、黒鉛化温度、すなわち、約3000℃以上の温度でグラファイトフレークを前処理したり、滑性添加剤をインターカラントに含有させることにより有利に促進できることがある。
グラファイトフレークの前処理又はアニーリングを行うと、その後にグラファイトフレークに物質挿入したり剥離したりする際に、膨張が顕著に高まる(すなわち、膨張体積が最大300%及びそれ以上増加する)。実際には、膨張の増加が、アニーリング工程を含まない同様の処理と比較して、少なくとも約50%であることが望ましい。アニーリング工程で用いられる温度は、3000℃よりも顕著に低いことがあってはならない。これは、温度がたとえ100℃低くても実質的に膨張が減少するからである。
本発明においては、インターカレーション及びそれに続く剥離によって、フレークの膨張度合いが高くなるのに十分な時間にわたってアニーリングを行う。典型的には、所要時間は、1時間以上、好ましくは1〜3時間必要であり、不活性環境下で行うのが最も有利である。最良の結果を得るには、アニーリングを行ったグラファイトフレークを、当該技術分野において既知の他の工程、すなわち、有機還元剤や有機酸等のインターカレーション助剤の存在下で物質挿入を行ったり、物質挿入に続いて界面活性剤により洗浄を行ったりして膨張度を高める。更に、最良の結果を得るには、物質挿入工程を反復してもよい。
本発明のアニーリング工程は、黒鉛化の分野で既知であり、かつ認識されている誘導炉あるいは他の同様な装置において実施してもよい。黒鉛化を行う3000℃の範囲の温度は、黒鉛化工程で用いられる最も高い温度である。
インターカレーションアニーリングの前工程を施したグラファイトを用いて製造したウォームが「塊」となってしまい、面積重量の均一性に悪影響を及ぼすことがあることが観察される。そのため、「自由流動」ウォームを形成するのに役立つような添加剤を用いることが非常に望ましい。滑性添加剤をインターカレーション溶液に添加することにより、圧縮装置の床(例えば、グラファイトウォームを一体化グラファイト物品に圧縮又は「カレンダー加工」するのに従来から使用されているカレンダーステーションの床)全体にウォームがより均一に分布しやすくなる。従って、得られた物品は、面積重量の均一性が増し、引張り強度がより大きくなる。滑性添加剤は、好ましくは長鎖炭化水素であり、より好ましくは炭素数が少なくとも10個の炭化水素である。たとえ他の官能基が存在しても、長鎖炭化水素基を有する他の有機化合物を用いることもできる。
滑性添加剤は、より好ましくはオイルであり、鉱油が最も好ましい。これはとりわけ、鉱油が油やけや不快な匂いを生じにくい(長期間保存するのに重要な考慮事項であり得る)からである。ここで、上記で詳述した膨張助剤の中には、滑性添加剤の定義を満たすものもある。これらの材料を膨張助剤として使用するとき、インターカラントに別個の滑性添加剤を含有させる必要がない場合もある。
滑性添加剤は、少なくとも約1.4pph、より好ましくは少なくとも約1.8pphの量でインターカラント中に存在する。滑性添加剤の含有量の上限は、下限値ほど重要ではないものの、約4pphを超える量で滑性添加剤を包含しても顕著なさらなる利点は得られないようである。
このように処理されたグラファイト粒子は、「インターカラントグラファイトの粒子」と称されることがある。高温、例えば、少なくとも約160℃の温度、とりわけ約700℃〜1000℃及びそれ以上の温度に暴露すると、インターカラントグラファイトの粒子は、c軸方向、すなわち、構成グラファイト粒子の結晶面に垂直な方向に、蛇腹状にもとの体積の約80〜1000倍以上にも膨張する。膨張、すなわち、剥離したグラファイト粒子は、その外観が虫状であることから、一般的にウォームと称される。ウォームを、共に圧縮成形してフレキシブルシートとすることができる。このフレキシブルシートは、もとのグラファイトフレークとは異なり、種々の形状に形成したり切断できる。
フレキシブルグラファイトシート及び箔は、密着していて取扱い強度が良好であり、好適には、例えばロールプレスにより厚さ約0.075〜3.75mmで一般的密度1立方センチメートル当たり約0.1〜1.5グラム(g/cm3)まで圧縮される。米国特許第5,902,762号(引用することにより本明細書の内容の一部とされる)に記載されているように、約1.5〜30重量%のセラミック添加剤をインターカラントグラファイトフレークと混合し、フレキシブルグラファイトの最終製品における樹脂含浸率を高めることができる。添加剤としては、長さが約0.15〜1.5ミリメートルのセラミック繊維粒子が挙げられる。粒子の幅は、約0.04〜0.004mmであるのが好適である。セラミック繊維粒子はグラファイトに対して非反応性かつ非接着性であり、最大約1100℃、好ましくは約1400℃以上の温度で安定である。好適なセラミック繊維粒子は、細断した石英ガラス繊維、炭素とグラファイトの繊維、ジルコニア、窒化ホウ素、炭化ケイ素とマグネシアの繊維、天然の鉱物繊維、例えばメタケイ酸カルシウム繊維、ケイ酸カルシウムアルミニウム繊維、酸化アルミニウム繊維などから形成される。
また、時に、フレキシブルグラファイトシートを樹脂で処理するのが有利であり、吸収された樹脂は、硬化後、フレキシブルグラファイトシートの耐湿性や取扱い強度、すなわち、剛性を高めるだけでなく、シートの形態を「固定」することができる。好適な樹脂含量は、好ましくは少なくとも約60重量%未満、より好ましくは約35重量%未満であり、最も好ましくは約4重量%〜約15重量%である。本発明の実施にとりわけ有用であることが判明した樹脂としては、アクリル型、エポキシ型及びフェノール型樹脂系、又はそれらの混合物などが挙げられる。好適なエポキシ樹脂系としては、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBA)、及び他の多官能樹脂系などが挙げられる。使用し得るフェノール系樹脂としては、レゾールフェノール樹脂及びノボラックフェノール樹脂などがある。
別の方法として、本発明のフレキシブルグラファイトは、新たに膨張させたウォームではなく再粉砕したフレキシブルグラファイト材料の粒子を利用してもよい。再粉砕材料は、新たに形成した材料、リサイクルした材料、スクラップ材料又は他の好適な原料であってもよい。
また、本発明の方法においては、未使用材料とリサイクル材料との混合物を使用してもよい。
リサイクル材料の原料は、上記のように圧縮成形した物品やその物品の切れ端部分、又は、例えば、前カレンダー加工ロールで圧縮した樹脂未含浸シートであってよい。更に、原料は、樹脂を含浸させてあるが未硬化のものであっても、又は樹脂含浸して硬化させてあってもよい。また、原料は、フローフィールドプレート又は電極等のリサイクルしたフレキシブルグラファイトM燃料電池成分であってもよい。グラファイトの種々の原料を、そのまま使用してもよいし、天然グラファイトフレークと混合して用いてもよい。
フレキシブルグラファイトの原料が得られたら、次いで、ジェットミル、エアーミル、ブレンダー等の既知の方法又は装置により粉砕して粒子を生成することができる。粒子の大部分が20USメッシュを通過するような直径を有することが好ましい。粒子の大部分(約20%を超え、最も好ましくは約50%を超える)が80USメッシュを通過しないような直径を有するものであることがより好ましい。粒子は、粒度が約20メッシュを超えないものであることが最も望ましい。粉砕工程中に樹脂系に対して熱損傷を与えないように、フレキシブルグラファイトの粉砕中に樹脂を含浸させる際にフレキシブルグラファイトを冷却することが望ましいこともある。
粉砕粒子のサイズは、グラファイト物品の機械加工性及び成形性と、所望の熱特性とがバランスするように選択すればよい。従って、粒子が小さいほど、グラファイト物品の機械加工及び/又は成形がより容易となり、一方、粒子が大きいほど、グラファイト物品の異方性が大きくなり、従って、面内の導電率及び熱伝導性がより大きくなる。
原料を粉砕したら(原料に樹脂を含浸させた場合、その後、粒子から樹脂を除去するのが好ましい)、次にそれを再膨張させる。上記の物質挿入方法や剥離工程、並びに米国特許第3,404,061号(Shane等)や米国特許第4,895,713号(Greinke等)に記載されている物質挿入方法や剥離工程を用いることにより、再膨張させてもよい。
典型的には、物質挿入の後、炉においてインターカラント粒子を加熱することにより粒子を剥離する。この剥離工程中、天然のインターカラントグラファイトフレークを、リサイクルしたインターカラント粒子に添加してもよい。再膨張工程中、粒子を膨張させて比容積が少なくとも約100cc/gで最大約350cc/g以上の範囲とすることが好ましい。最終的に、再膨張工程の後、以下で説明するように、再膨張させた粒子を圧縮して密着性シートとすることができる。
上述の記載に従って調製したグラファイト材料は、一般に、剥離グラファイトの圧縮粒子と呼ばれることもある。これらの材料には樹脂を含浸させてあるので、電子熱管理なおdの意図する用途においてシートを使用する前に、シート内の樹脂を硬化させる必要がある。
好ましいグラファイト材料の調製
後述するヒートシンクのグラファイトフィンは、好ましくは、Norleyらが2004年4月23日に出願した、「樹脂含浸フレキシブルグラファイトシート」という名称の米国特許出願(本発明の譲受人に譲渡、文書番号P1048−1/N1169)(この文献に開示されている詳細は、引用することにより本明細書の内容の一部とされる)に記載される方法にて、樹脂含浸グラファイト材料から構成される。
後述するヒートシンクのグラファイトフィンは、好ましくは、Norleyらが2004年4月23日に出願した、「樹脂含浸フレキシブルグラファイトシート」という名称の米国特許出願(本発明の譲受人に譲渡、文書番号P1048−1/N1169)(この文献に開示されている詳細は、引用することにより本明細書の内容の一部とされる)に記載される方法にて、樹脂含浸グラファイト材料から構成される。
Norley等の方法によれば、上述のように調製し、厚さが約4mm〜7mm又はそれ以上であるフレキシブルグラファイトシートに熱硬化樹脂、例えばエポキシ型、アルキル型又はフェノール型樹脂系を含浸させる。好適なエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBA)が挙げられるが、他の多官能エポキシ樹脂系も本発明での使用に好適である。好適なフェノール型樹脂系としては、レゾールフェノール樹脂及びノボラックフェノール樹脂などがある。次いで、シートをカレンダー加工に供して厚さを最大約3mm、より好ましくは約0.35mm〜0.5mmとする。その際、カレンダー加工したエポキシ含浸フレキシブルシートの密度は、約1.4g/cm3〜約1.9g/cm3である。
エポキシ含浸グラファイトシート内の樹脂量は、組み合わせて硬化させた最終積層構造が高密度且つ密着性でありつつも、高密度化グラファイト構造に伴う異方性の熱伝導性には悪影響を及ぼさないことを保証する程度に十分な量であるべきである。好適な樹脂含量は、最終製品に望まれる特性に応じて、好ましくは少なくとも約3重量%、より好ましくは約5〜45重量%である。
典型的な樹脂含浸工程では、フレキシブルグラファイトシートを容器に通し、例えばスプレーノズルから出る樹脂系をフレキシブルグラファイトシートに含浸させる。この樹脂系を、真空チャンバを用いて「マットを通して引張る」のが有利である。典型的には、しかし必ずしもそうでなくてもよいが、樹脂系は溶媒和になり、フレキシブルグラファイトシートへの適用が容易になる。その後、好ましくは樹脂を乾燥させ、樹脂及び樹脂含浸シートの粘着性を低減させる。
樹脂含浸し、カレンダー加工したフレキシブルグラファイト材料を連続的に形成するための装置の1つのタイプが米国特許第6,432,336号(この文献に開示されている内容は、引用することにより本明細書の内容の一部とされる)に示されている。
圧縮工程(例えば、カレンダー加工)の後、含浸材料を好適なサイズの片に切断し、プレス内に載置し、ここで樹脂を高温にて硬化させる。この温度は、硬化圧力下での薄層構造の高密度化を確実に行う程十分であるが、構造の熱特性には悪影響を及ぼさない温度でなければならない。一般に、これには、少なくとも約90℃、一般には最大約200℃の温度が必要とされる。最も好ましくは、硬化は、約150〜200℃の温度で行われる。硬化に用いられる圧力は、ある程度は、使用する温度の関数であるが、構造の熱特性に悪影響を及ぼすことなく薄層構造の高密度化を確実に行う程十分である。一般に、製造の便宜上、所要の程度まで構造を高密度化するのに必要とされる最小圧力が使用される。かかる圧力は、一般に、少なくとも約7メガパスカル(Mpa:1平方インチ当たり約1000ポンドに相当)であり、約35Mpa(約5000psiに相当)を超える必要はなく、より一般的には約7Mpa〜21Mpa(1000psi〜3000psi)である。硬化時間は、樹脂系並びに使用する温度及び圧力に応じて変えてもよいが、一般には約0.5時間〜2時間である。硬化が完了すると、複合体は少なくとも約1.8g/cm3の密度、及び一般的には約1.8g/cm3〜2.0g/cm3の密度を有すると考えられる。
カレンダー加工又は成形によるシート形成は、本発明の実施に際して有用なグラファイト材料を形成する最も一般的な方法であるが、他の形成方法も使用できる。例えば、剥離グラファイト粒子を圧縮成形して、網状にするか、又は網状に近い形状にすることができる。故に、ある形状又は外形を持ったヒートシンク又はヒートスプレッダなどの物品が最終用途で必要となる場合、樹脂含浸の前又は後にグラファイト物品を成形してその形状又は外形にすることができる。その後、同形状を持った金型内で硬化を行う。実際、好ましい実施態様では、圧縮及び硬化を同じ金型内で行う。次いで、最終形状とする機械加工を行うことができる。
図1〜図2の詳細な実施態様
ここで図面、とりわけ図1及び図2を参照すると、ヒートシンク装置が示されており、概ね番号10で示されている。ヒートシンク装置10は、少なくとも150W/m°Kの熱伝導率を有する金属製の基部12を包含する。好ましくは、金属製の基部12は、銅又はアルミニウムのいずれかから構成されている。銅製の基部12は、およそ350W/m°K又はそれ以上の熱伝導率を有する。アルミニウム製の金属基部12は、およそ150W/m°K又はそれ以上の熱伝導率を有する。
ここで図面、とりわけ図1及び図2を参照すると、ヒートシンク装置が示されており、概ね番号10で示されている。ヒートシンク装置10は、少なくとも150W/m°Kの熱伝導率を有する金属製の基部12を包含する。好ましくは、金属製の基部12は、銅又はアルミニウムのいずれかから構成されている。銅製の基部12は、およそ350W/m°K又はそれ以上の熱伝導率を有する。アルミニウム製の金属基部12は、およそ150W/m°K又はそれ以上の熱伝導率を有する。
ヒートシンク装置10は更に、14A−Hのような複数のフィンを包含する。
フィン14は、フレキシブルグラファイトシート材料から構成され、好ましくは、樹脂含浸フレキシブルグラファイトシートから構成される。
上述のように、グラファイトシート材料は異方性であり、且つシートの平面においておよそ400W/m°Kの比較的高い熱伝導率を有し、シートの厚さ方向においては非常に低い熱伝導率を有する。故に、フィンは、シート材料から構成される場合、フィンの平面内に比較的高い熱伝導率を有する。この方向は一般に、基部12の配向に対してほぼ垂直である。
フィンが構成されるグラファイト材料は、同じ大きさの銅製のフィンよりもかなり軽量であり、また、同じ大きさのアルミニウムフィンよりも軽量である。純粋な銅の重量は8.96gm/cm3であり、純粋なアルミニウムの重量は2.70gm/cm3である。一方、グラファイトシート材料の密度は、約0.04g/cm3〜約2.0gm/cm3の範囲であり得る。上述の好ましい樹脂含浸グラファイト材料の密度は、およそ1.94gm/cm3である。
故に、グラファイトフィン14を有する銅製の基部12を使用する場合、ヒートシンク装置10は、全てが銅製のヒートシンクの熱性能と略同等の熱性能を有しつつも、全てが銅製のヒートシンクよりも軽量である。
同様に、グラファイトフィン14を有するアルミニウム製の基部12を利用する場合、ヒートシンク装置10は、同様の大きさを有する全てがアルミニウム製のヒートシンクの熱性能よりも高い熱性能を有しつつも、全てがアルミニウム製のヒートシンクの重量よりも小さく、且つ確実にそれを超えない重量である。
好ましくは、基部12において16A−Hのような複数の溝を機械加工することにより、フィン14を基部12に取り付ける。各フィン14の下縁は、それぞれの溝16内に密接に受容されている。
摩擦による嵌合や熱収縮による嵌合によって、又は接着剤を用いて、フィン14を溝16内の適所に保持してもよい。
ヒートシンク装置10によって冷却されるべき電子装置18が、図2に概略的に示されており、基部12の下側表面と係合している。熱グリース又は接着剤の層により、又はグラファイト材料の薄いシートから構成される熱インターフェース層により、電子装置18を基部12に熱的に接続してもよい。
従って、本発明の装置は、上述の目的及び利点だけでなく、その装置に固有の目的及び利点も容易に達成すると考えられる。本発明の幾つかの好ましい実施態様が本開示の目的で例証され、記載されてきたが、当業者は配置及び構成における多数の変更を行ってもよく、それらの変更も添付の特許請求の範囲に定義されるような本発明の範囲及び精神内に包含される。
Claims (12)
- 少なくとも約150W/m°Kの熱伝導率を有する金属製の基部と、
前記基部に取り付けられた複数のフィンとを含むヒートシンク装置であって、
前記フィンが高温で加圧硬化された樹脂含浸グラファイト材料から構成される、ヒートシンク装置。 - 前記フィンが前記基部に対して垂直である、請求項1に記載の装置。
- 前記基部が銅から構成される、請求項1に記載の装置。
- 前記基部がアルミニウムから構成される、請求項1に記載の装置。
- 前記基部は、その基部中に形成された複数の平行な溝を有し、
前記フィンが平坦なフィンであり、その各々が前記溝の1つの中に密接して収容されている、請求項1に記載の装置。 - 前記フィンが、少なくとも約90℃の温度で、かつ少なくとも約7MPaの圧力で、加圧硬化された樹脂含浸フレキシブルグラファイトシートから構成される、請求項1に記載の装置。
- 銅製の基部と、
前記基部に取り付けられた複数の平坦なグラファイトフィンと、を含むヒートシンク装置であって、
前記グラファイトフィンは、高温で加圧硬化された樹脂含浸グラファイトシート材料から形成され、且つ、前記フィンは、平面方向で相対的に高い熱伝導性を有すると共に、各フィンの厚さ方向で相対的に低い熱伝導性を有することにより、前記ヒートシンク装置は、全てが銅製のヒートシンクの熱性能に略同等の熱性能を有しつつも、全てが銅製のヒートシンクよりも軽量である、ヒートシンク装置。 - 前記グラファイトフィンが、少なくとも約90℃の温度で、かつ少なくとも約7MPaの圧力で、加圧硬化された樹脂含浸フレキシブルグラファイトシートから構成される、請求項7に記載の装置。
- 前記基部が、その基部の中に形成された複数の平行な溝を有し、
前記フィンが平坦なフィンであり、その各々が前記溝の1つの中に密接に収容されている、請求項7に記載の装置。 - アルミニウム製の基部と、
前記基部に取り付けられた複数のグラファイトフィンと、を含むヒートシンク装置であって、
前記グラファイトフィンは、高温で加圧硬化された樹脂含浸グラファイトシート材料から形成されると共に、前記基部から延びており、前記シート材料は、前記シートの平面方向でアルミニウムの熱伝導性よりの相対的に高い熱伝導性の軸を有すると共に、前記シート材料の厚さ方向で相対的に低い熱伝導性を有し、前記グラファイトシート材料がアルミニウムの比重よりも小さい比重を有することにより、前記ヒートシンク装置は、同様の大きさの全てがアルミニウム製のヒートシンクの熱性能よりも高い熱性能を有しつつも、全てがアルミニウム製のヒートシンクよりも軽量である、ヒートシンク装置。 - 前記グラファイトフィンが、少なくとも約90℃の温度で、かつ少なくとも約7MPaの圧力で、加圧硬化された樹脂含浸フレキシブルグラファイトシートから構成される、請求項10に記載の装置。
- 前記基部が、その基部中に形成された複数の平行な溝を有し、
前記フィンが平坦なフィンであり、その各々が前記溝の1つの中に密接に収容されている、請求項10に記載の装置。
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