JP2008512120A - 癌−精巣抗原 - Google Patents

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Abstract

本発明は、癌−精巣抗原、および癌−精巣抗原をコードする核酸分子に関する。本発明は、さらに、癌などの疾患の診断および処置のための方法および組成物における、上記の核酸分子、ポリペプチド、およびそれらのフラグメントの使用に関する。より具体的には、本発明は、新規の癌−精巣(CT)抗原の発見に関する。

Description

関連出願
本願は、合衆国法典第35巻第119条(e)下において、2004年9月8日に出願された米国仮出願第60/607,821号および2005年3月24日に出願された米国仮出願第60/664,791号の利益を主張し、これらの仮出願の内容は、本明細書においてその全体が参考として援用される。
発明の分野
本発明は、癌−精巣抗原およびそれらをコードする核酸分子に関する。本発明は、さらに、癌などの疾患の診断及び処置のための方法及び組成物における、上記の核酸分子、ポリペプチド、およびそれらのフラグメントの使用に関する。さらに具体的には、本発明は、新規の癌/精巣(C/T)抗原の発見に関する。
発明の背景
超並列的遺伝子ビーズクローン解析(MPSS)法は、近年開発された技術であり、所与の細胞株または組織サンプルから、転写物の3’末端の近位で、数百万個のサイン(signature)タグを生成することができる(Jongeneel, V.C.ら、2003, Proc Natl Acad Sci USA, 100(8):4702-4705)。細胞1個あたり200,000〜300,000種類の異なる転写物種が存在することが推定されているので、この方法論によって、分析される特定の細胞株または組織において発現される全ての異なるmRNA種を、真に重複して対象範囲とすることが可能となる。これらのMPSSタグのほとんどが、それらの対応する遺伝子まで追跡され得、各々の遺伝子によって表わされるタグの数は、分析される細胞集団中のその遺伝子のmRNAの豊富さのレベルをほぼ反映する。
異なる組織由来のMPSSのデータセットを比較することによって、一つの組織においては発現されるが他の組織においては発現されない遺伝子を同定することが可能となり、従って、MPSSは、発現が組織によって制限される遺伝子を定義するための理想的なツールであると考えられる。組織特異的発現を分析するための別の有益な方法は、発現遺伝子配列断片(expressed sequence tag:EST)のデータベース中のESTを、精巣において主に発現する遺伝子について分析し、その後、腫瘍におけるそれらの発現をRT−PCR分析によって調査することである。
かかる精巣特異的発現パターンを有する重要な遺伝子群として、癌−精巣(CT)遺伝子、すなわち、CT抗原をコードする遺伝子がある。CT抗原は、タンパク質抗原であって、通常は生殖細胞において(とりわけ、精巣において)のみ発現されるが、種々の癌細胞において活性化されて発現されることが見いだされる。これは、おそらくは、低メチル化後の遺伝子抑制解除の結果である。多数のCT抗原が、ヒト患者において免疫原性であることが示されており、従って癌ワクチンの主要な標的と考えられるので、これらの遺伝子は、腫瘍免疫学者らにとって特に重要である。
従って、さらなる癌抗原、特に癌−精巣抗原を同定する必要性が存在する。特定の組織において発現される癌遺伝子の検出を可能にする方法によって、癌を診断および処置する上で有用である遺伝子を同定するための、有益なツールが提供される。癌−精巣遺伝子を同定し、単一またはいくつかの組織におけるそれらの発現レベルを決定する能力は、癌を診断および処置する上で有用である遺伝子を選択するための、重要なツールを提供する。
発明の要旨
超並列的遺伝子ビーズクローン解析(massively parallel signature sequencing:MPSS)法の技術は、いくつかの組織における癌遺伝子を同定するために使用されてきた。加えて、ESTデータベースが、精巣において主に発現する遺伝子について分析され、その後、腫瘍におけるそれらの発現がPT−PCR分析によって調査された。いくつかの癌−精巣(CT)抗原および癌−精巣様抗原が、これらの方法を使用して同定されている。本発明は、とりわけ、単離された核酸分子、それらの分子を含む発現ベクター、およびそれらの分子で形質移入された宿主細胞を提供する。本発明はまた、単離されたタンパク質およびペプチド、これらのタンパク質及びペプチドに対する抗体、ならびにこれらのタンパク質およびペプチドを認識するCTLを提供する。また、機能的フラグメントおよびこれらの変異体を含むフラグメントも提供される。上述の分子を含むキットが、さらに提供される。これらは、一種以上の癌−精巣抗原または癌−精巣様抗原の発現を特徴とする疾患の、診断、モニタリング、研究、または処置において使用され得る。
本発明は、これらの技術が、特定の組織においては発現されるが他の組織においては発現されない癌−精巣遺伝子および癌−精巣様遺伝子(すなわち、組織特異的な遺伝子)を同定するために使用され得るという発見に関連する。本発明は、新たな癌抗原を診断するための方法を提供する。また、単一またはいくつかの組織において同定される、癌−精巣遺伝子の発現レベルを決定する能力を可能とする方法が、提供される。
本発明の一局面によれば、被験体において癌を診断する方法が提供される。この方法は、被験体から単離される生物学的サンプル中の、配列番号3として示されるアミノ酸配列またはそのフラグメントをコードする核酸分子の存在または量を決定する工程を包含し、ここで、この生物学的サンプル中のこの核酸分子の存在または量は、この被験体における癌の存在を示す。
いくつかの態様において、上記の核酸分子は、配列番号1もしくは配列番号2として示されるヌクレオチド配列のコード配列、または配列番号1もしくは配列番号2として示されるヌクレオチド配列のコード配列と少なくとも約90%同一なヌクレオチド配列番号を含む。好ましくは、上記の核酸分子は、配列番号1もしくは配列番号2として示されるヌクレオチド配列のコード配列、または配列番号1もしくは配列番号2として示されるヌクレオチド配列を含む。
他の態様において、配列番号3として示されるポリペプチド配列番号のフラグメントは、配列番号4または配列番号6を含む。
さらに他の態様において、上記の核酸分子の存在または量を決定する工程は、上記の生物学的サンプルと上記核酸分子に選択的に結合する薬剤とを接触させる工程を包含する。好ましくは、上記の選択的に結合する薬物は、別の核酸分子である。特定の態様において、上記の核酸分子の存在または量を決定する工程は、核酸ハイブリダイゼーションまたは核酸増幅を包含する。好ましくは、上記の核酸増幅は、PCRであるか、あるいは、上記の核酸ハイブリダイゼーションは核酸マイクロアレイを使用して行われる。この方法において使用される好ましいプライマーは、配列番号22および/または配列番号23である。好ましくは、cDNAが検出される。
さらに他の態様において、上記の生物学的サンプルは、組織、細胞、および/または血液である;この生物学的サンプルは、好ましくは、精巣組織を含まない。さらなる態様において、この生物学的サンプル中の上記の核酸分子の存在または量は、癌を罹患しない被験体由来の生物学的サンプル中のこの核酸分子の存在または量と比較される。
本発明の別の局面によれば、被験体において癌を診断する方法が提供される。この方法は、被験体から単離される生物学的サンプル中の、配列番号3として示されるアミノ酸配列またはそのフラグメントを含む、CT45ポリペプチド分子の存在または量を決定する工程を包含し、ここで、この生物学的サンプル中のこのCT45ポリペプチド分子の存在または量は、この被験体における癌の存在を示す。特定の態様において、上記の生物学的サンプルは、CT45ポリペプチドまたはそのフラグメントに特異的に結合する薬剤と、接触させられる。好ましい態様において、このCT45ポリペプチド分子のフラグメントは、配列番号4または配列番号6として示されるアミノ酸配列を含む。
他の態様において、上記の選択的に結合する薬剤は、抗体またはその抗原結合フラグメントである。好ましくは、この抗体またはそのフラグメントは、モノクローナル抗体;キメラ抗体、ヒト抗体、もしくはヒト化抗体;一本鎖抗体;またはF(ab’)、Fab、Fd、もしくはFvフラグメントである。好ましくは、この抗体または抗原結合フラグメントは、検出可能な標識物で標識される。好ましい検出可能な標識物として、蛍光分子、放射性分子、酵素、金属、ビオチン分子、化学発光分子、生物発光分子、または発色団分子が挙げられる。
さらに他の態様において、上記の生物学的サンプルは、組織、細胞、および/または血液である;この生物学的サンプルは、好ましくは精巣組織を含まない。さらなる態様において、上記のCT45ポリペプチド分子の存在または量は、癌を罹患していない被験体由来の生物学的サンプル中の、そのCT45ポリペプチド分子の存在または量と比較される。
本発明のさらなる局面によれば、被験体において癌を診断するための方法が提供される。この方法は、被験体から単離される生物学的サンプル中の、配列番号3として示されるアミノ酸配列またはそのフラグメントを含むCT45ポリペプチド分子に、特異的に結合する抗体の存在または量を決定する工程を包含し、ここで、この生物学的サンプル中のこの抗体の存在または量は、この被験体における癌の存在を示す。特定の態様において、抗体の存在または量を決定する工程は、上記の生物学的サンプルと、配列番号3として示されるアミノ酸配列またはそのフラグメントを含むCT45ポリペプチド分子とを接触させる工程、および、この抗体へのこのCT45ポリペプチド分子の特異的結合を決定する工程を包含する。好ましくは、このCT45ポリペプチド分子は、基質に結合され、かつ/または検出可能な標識物を含む。好ましい検出可能な標識物として、蛍光分子、放射性分子、酵素、金属、ビオチン分子、化学発光分子、生物発光分子、または発色団分子が挙げられる。好ましい態様において、このCT45ポリペプチド分子のフラグメントは、配列番号4または配列番号6として示されるアミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、上記の方法は、上記の生物学的サンプルと、CT45ポリペプチド分子に結合する検出可能な二次抗体とを接触させる工程をさらに包含する。さらに他の態様において、上記の生物学的サンプルは、組織、細胞、および/または血液である;この生物学的サンプルは、好ましくは精巣組織を含まない。
本発明のさらなる局面において、被験体を処置するための方法が提供される。この方法は、癌を罹患しているかまたは癌を罹患していることを疑われる被験体に、配列番号3として示されるアミノ酸配列を含むCT45ポリペプチド分子に特異的に結合する抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または好ましくは8個以上のアミノ酸長であるその免疫原性フラグメントの有効量を投与する工程を包含する。特定の態様において、上記の抗体またはそのフラグメントは、モノクローナル抗体;キメラ抗体、ヒト抗体、もしくはヒト化抗体;一本鎖抗体;(一本鎖)ドメイン抗体もしくは他の細胞内抗体;またはF(ab’)、Fab、Fd、もしくはFvフラグメントである。好ましい態様において、上記のCT45ポリペプチド分子のフラグメントは、配列番号4または配列番号6として示されるアミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、抗体または抗原結合フラグメントは、細胞傷害性薬剤に結合される。好ましくは、この細胞傷害性薬剤は、カリチアマイシン、エスペラミシン、メトトレキサート、ドキソルビシン、メルファラン、クロランブシル、ARA−C、ビンデシン、マイトマイシンC、シスプラチン、エトプシド、ブレオマイシン、および/または5−フルオロウラシルである。他の好ましい細胞傷害性薬剤としては、放射性同位元素が挙げられ、放射性同位元素として、α放射線、β放射線、またはγ放射線を放出するものが挙げられる。好ましい放射性同位元素としては、以下が挙げられる:225Ac、211At、212Bi、213Bi、186Rh、188Rh、177Lu、90Y、131I、67Cu、125I、123I、77Br、153Sm、166Bo、64Cu、212Pb、224Ra、および/または223Ra。
本発明のさらに別の局面によれば、被験体において免疫応答を誘導する方法が提供される。この方法は、かかる処置の必要性を有する被験体に、アミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを、この被験体において免疫応答を誘導するために有効な量で投与する工程を包含し、ここで、このアミノ酸配列は、配列番号3、配列番号4、配列番号6、またはそれらの免疫原性フラグメントである。この免疫原性フラグメントは、好ましくは、8アミノ酸長または9アミノ酸長以上である。いくつかの態様において、上記の被験体は、癌を罹患しているか、または癌を罹患していることを疑われるが、予防的な免疫応答の誘導もまた企図される。好ましい態様において、上記の癌は、メラノーマ、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、結腸癌、肉腫、または膀胱癌である。
特定の態様において、上記の免疫応答は、上記の単離されたポリペプチドに結合する抗体、および/またはMHC分子によって提示される上記の単離されたポリペプチドのエピトープを認識するT細胞を含む。
上記の方法はまた、被験体に抗原提示細胞を投与する工程を包含し得る。好ましい抗原提示細胞は、樹状細胞または自家細胞である。この樹状細胞は、自家細胞であってもよい。
本発明のさらなる局面において、アミノ酸配列を含む単離されたCT45ポリペプチドを含む組成物が提供され、ここで、このアミノ酸配列は、配列番号3、配列番号4、配列番号6、またはこれらの免疫原性フラグメントである。この組成物は、必要に応じて、薬学的に受容可能なキャリア、および/または抗原提示細胞を含む。好ましい態様において、この抗原提示細胞は、樹状細胞または自家細胞である。この樹状細胞は、自家細胞であってもよい。
好ましい態様において、上記の組成物は、免疫応答を誘導するために有効な量の上記の単離されたポリペプチド、または癌の処置を誘導するために有効な量の上記の単離されたポリペプチドを含む。
本発明のさらなる局面によれば、被験体において癌を診断するための方法が提供される。この方法は、被験体から単離される生物学的サンプル中の、配列番号25として示されるアミノ酸配列またはそのフラグメントをコードするCT46核酸配列の存在または量を決定する工程を包含する。この生物学的サンプル中のこの核酸分子の存在または量は、この被験体における癌の存在を示す。特定の態様において、この核酸分子は、配列番号26として示されるヌクレオチド配列のコード配列、または配列番号26として示されるヌクレオチド配列のコード配列と少なくとも約90%同一なヌクレオチド配列を含む。いくつかの好ましい態様において、この核酸分子は、配列番号26として示されるヌクレオチド配列のコード配列を含むか、配列番号26として示されるヌクレオチド配列のコード配列からなるか、または配列番号26として示されるヌクレオチド配列である。
特定の態様において、上記の核酸分子の存在または量を決定する工程は、上記の生物学的サンプルと上記の核酸分子に選択的に結合する薬剤とを接触させる工程を包含する。この選択的に結合する薬剤は、別の核酸分子であってもよい。好ましくは、上記の核酸分子の存在または量を決定する工程は、核酸ハイブリダイゼーションまたは核酸増幅を包含する。核酸増幅の好ましい方法は、PCRであり、好ましい方法において、核酸ハイブリダイゼーションは、核酸マイクロアレイを使用して行われる。好ましくは、cDNAが検出される。
いくつかの態様において、上記の生物学的サンプルは、組織、細胞、および/または血液である;この生物学的サンプルは、好ましくは、精巣組織を含まない。さらに他の態様において、この生物学的サンプル中の核酸分子の存在または量は、癌を罹患していない被験体由来の生物学的サンプル中のこの核酸分子の存在または量と比較される。
本発明の別の局面によれば、被験体において癌を診断する方法が提供される。この方法は、被験体から単離される生物学的サンプル中の、配列番号25、配列番号31、もしくは配列番号32として示されるアミノ酸配列またはそれらのフラグメントを含むCT46ポリペプチド分子の存在または量を決定する工程を包含する。この生物学的サンプル中のCT46ポリペプチド分子の存在または量は、この被験体における癌の存在を示す。好ましい態様において、このCT46ポリペプチド分子は、配列番号25、配列番号31、もしくは配列番号32として示されるアミノ酸配列からなる。特定の態様において、この生物学的サンプル中のCT46ポリペプチド分子の存在または量は、癌を罹患していない被験体由来の生物学的サンプル中の、このCT46ポリペプチド分子の存在または量と比較される。この方法が行われるサンプルとして、組織、細胞、および血液が挙げられる。
いくつかの態様において、上記の生物学的サンプルは、CT46ポリペプチド分子またはそのフラグメントに、選択的に結合する薬剤と接触させられる。この薬剤は、好ましくは、抗体またはその抗原結合フラグメントである。より好ましくは、この抗体は、モノクローナル抗体、特に、キメラ抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、または一本鎖抗体である。好ましい抗原結合フラグメントとして、F(ab’)、Fab、Fd、Fvフラグメントが挙げられる。
特定の態様において、上記の抗体または抗原結合フラグメントは、検出可能な標識物で標識される。好ましい検出可能な標識物として、蛍光分子、放射性分子、酵素、金属、ビオチン分子、化学発光分子、生物発光分子、または発色団分子が挙げられる。
本発明のさらに別の局面によれば、被験体において癌を診断するための方法が提供される。この方法は、被験体から単離される生物学的サンプル中の、配列番号25、配列番号31、もしくは配列番号32として示されるアミノ酸配列またはそのフラグメントを含むCT46ポリペプチド分子に特異的に結合する抗体の存在または量を決定する工程を含む。この生物学的サンプル中のこの抗体の存在または量は、この被験体における癌の存在を示す。この方法はまた、この生物学的サンプルと、このCT46ポリペプチド分子に結合する検出可能な二次抗体と接触させる工程を包含してもよい。
いくつかの態様において、抗体の存在または量を決定する工程は、上記の生物学的サンプルと、配列番号25、配列番号31、もしくは配列番号32として示されるアミノ酸配列、またはそのフラグメントを含む、CT46ポリペプチド分子とを接触させる工程、および、この抗体へのこのCT46ポリペプチド分子の特異的結合を決定する工程を包含する。このCT46ポリペプチド分子は、必要に応じて基質に結合され、また必要に応じて検出可能な標識物を含む。好ましい検出可能な標識物として、蛍光分子、放射性分子、酵素、金属、ビオチン分子、化学発光分子、生物発光分子、または発色団分子が挙げられる。
いくつかの態様において、上記の方法は、上記の生物学的サンプルと、上記のCT46ポリペプチド分子に結合する検出可能な二次抗体とを接触させる工程を、さらに包含する。さらに他の態様において、この生物学的サンプルは、組織、細胞、および/または血液である;この生物学的サンプルは、好ましくは精巣組織を含まない。
また、本発明のさらなる局面において、被験体を処置するための方法が提供される。この方法は、癌を罹患しているかまたは癌を罹患していることを疑われる被験体に、配列番号25、配列番号31、もしくは配列番号32として示されるアミノ酸配列、または好ましくは8アミノ酸長または9アミノ酸長以上であるその免疫原性フラグメントを含む、CT46ポリペプチド分子に、特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントの、有効量を投与する工程を包含する。
特定の態様において、上記の抗体またはそのフラグメントは、モノクローナル抗体;キメラ抗体、ヒト抗体、もしくはヒト化抗体;一本鎖抗体;(一本鎖)ドメイン抗体、もしくは他の細胞内抗体;またはF(ab’)、Fab、Fd、もしくはFvフラグメントである。
上記の抗体またはその抗原結合フラグメントは、必要に応じて、細胞傷害性薬剤、好ましくは、カリチアマイシン、エスペラミシン、メトトレキサート、ドキソルビシン、メルファラン、クロランブシル、ARA−C、ビンデシン、マイトマイシンC、シスプラチン、エトプシド、ブレオマイシン、5−フルオロウラシル、または放射性同位元素と結合される。好ましい放射性同位元素は、α放射線、β放射線、γ放射線、またはそれらの組み合わせを放出する。好ましい放射性同位元素としては、以下が挙げられる:225Ac、211At、212Bi、213Bi、186Rh、188Rh、177Lu、90Y、131I、67Cu、125I、123I、77Br、153Sm、166Bo、64Cu、212Pb、224Ra、および223Ra。
また、本発明の別の局面において、被験体において免疫応答を誘導する方法が提供される。この方法は、かかる処置を必要とする被験体に、配列番号25、配列番号31、配列番号32として示されるアミノ酸配列またはその免疫原性フラグメントを含む単離されたCT46ポリペプチド分子を、この被験体において免疫応答を誘導するための有効量で投与する工程を包含する。この疫原性フラグメントは、好ましくは、8アミノ酸長または9アミノ酸長以上である。この被験体は、好ましくは、癌を罹患しているか、または癌を罹患していることを疑われるが、予防的な免疫応答の誘導も、また企図される。いくつかの態様において、この癌は、メラノーマ、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、結腸癌、肉腫、膀胱癌、乳癌、食道癌、または子宮内膜癌である。
いくつかの態様において、上記の免疫応答は、単離されたポリペプチドに結合する抗体を包含するが、他の態様においては、上記の免疫応答は、MHC分子によって提示される単離されたポリペプチドのエピトープを認識するT細胞を包含する。
さらなる態様において、上記の方法は、抗原提示細胞(好ましくは樹状細胞または自家細胞)を投与する工程を包含する。
本発明の他の局面によれば、配列番号31または配列番号32のアミノ酸配列をコードする、核酸分子が提供される。好ましくは、この核酸分子は、CT46転写変異体2(配列番号30)を含む。
本発明は、他の局面において、CT46転写変異体2によってコードされるアミノ酸配列(配列番号31および/または配列番号32を含む)を含む、単離されたポリペプチドを提供する。また、これらのポリペプチド、配列番号25を含むポリペプチド、またはこれらのいずれかの免疫原性フラグメントを含む、組成物が提供され、この組成物は、薬学的に受容可能なキャリア(単数または複数)および/または抗原提示細胞(単数または複数)を含む。この抗原提示細胞は、好ましくは樹状細胞であり、自家細胞であってもよい。
好ましい態様において、上記の組成物は、免疫応答を誘導するために有効な量の単離されたポリペプチド、または癌の処置を誘導するために有効な量の単離されたポリペプチドを含む。
また、疾患、特に癌の処置のための医薬の調製における上述の組成物の使用が、本発明によって提供される。
本発明のこれらの局面および他の局面、ならびにそれらの種々の態様は、本発明の図面および詳細な説明への参照によって、より明らかとなる。
表の簡単な説明
表1−CT遺伝子およびCT様遺伝子の染色体配置。
表2−正常組織におけるCT遺伝子およびCT様遺伝子の発現。
表3−異なる細胞株におけるCT遺伝子およびCT様遺伝子のmRNA発現。
表4−CT遺伝子の定量RT−PCRのために使用されるプライマーおよびプローブの配列。配列は:THEGの順方向プライマー、逆方向プライマー、およびプローブは、それぞれ配列番号10〜12;NALP4の順方向プライマー、逆方向プライマー、およびプローブは、それぞれ配列番号13〜15;COXVIB2の順方向プライマー、逆方向プライマー、およびプローブは、それぞれ配列番号16〜18;LOC348120の順方向プライマー、逆方向プライマー、およびプローブは、それぞれ配列番号19〜21;ならびにCT45の順方向プライマー、逆方向プライマー、およびプローブは、それぞれ配列番号22〜24。
表5−RT−PCR評価のために選択されたCT候補遺伝子。
表6−正常組織におけるCT候補遺伝子の発現。
表7−「CTリッチ」細胞株パネルにおけるCT候補遺伝子の発現。
配列の説明
配列番号1−CT45転写変異体1の全長cDNA配列(NM_152582.3):コード配列は、ヌクレオチド残基246で開始し、ヌクレオチド残基815で終了する。
配列番号2−CT45転写変異体2の全長cDNA配列(AK098689.1)。コード配列は、ヌクレオチド残基91で開始し、ヌクレオチド残基660で終了する。
配列番号3−CT45の予測されるタンパク質配列(仮説上のタンパク質MGC27005)。
配列番号4−CT45タンパク質DEADボックスヘリカーゼドメインのアミノ酸配列、残基65〜185。
配列番号5−LOC203522タンパク質の一部のアミノ酸配列。
配列番号6−CT45タンパク質の残基126からの部分のアミノ酸配列。
配列番号7−CT45様タンパク質LOC203522のアミノ酸配列(NM_182540)。
配列番号8−DDX26についてのアミノ酸配列(NM_012141)。
配列番号9−SAGEタンパク質のアミノ酸配列(NP_061136.1)。
配列番号10−順方向プライマーTHEGについてのヌクレオチド配列。
配列番号11−逆方向プライマーTHEGについてのヌクレオチド配列。
配列番号12−プローブTHEGについてのヌクレオチド配列。
配列番号13−順方向プライマーNALP4についてのヌクレオチド配列。
配列番号14−逆方向プライマーNALP4についてのヌクレオチド配列。
配列番号15−プローブNALP4についてのヌクレオチド配列。
配列番号16−順方向プライマーCOXVIB2についてのヌクレオチド配列。
配列番号17−逆方向プライマーCOXVIB2についてのヌクレオチド配列。
配列番号18−プローブCOXVIB2についてのヌクレオチド配列。
配列番号19−順方向プライマーLOC348120(Hs.116287)についてのヌクレオチド配列。
配列番号20−逆方向プライマーLOC348120(Hs.116287)についてのヌクレオチド配列。
配列番号21−プローブLOC348120(Hs.116287)についてのヌクレオチド配列。
配列番号22−順方向プライマーCT45についてのヌクレオチド配列。
配列番号23−逆方向プライマーCT45についてのヌクレオチド配列。
配列番号24−プローブCT45についてのヌクレオチド配列。
配列番号25−CT46タンパク質についてのアミノ酸配列(NM_032132)。
配列番号26−CT46タンパク質をコードするヌクレオチド配列(NM_173493.1)。
配列番号27−HORMAドメインについてのアミノ酸配列(KOG4652)。
配列番号28−DDX26タンパク質の残基810からの部分のアミノ酸配列。
配列番号29−SAGEタンパク質の残基880からの部分のアミノ酸配列。
配列番号30−CT46転写変異体2についてのヌクレオチド配列。
配列番号31−転写変異体1(配列番号26)において使用されるものと同じ開始コドンからCT46転写変異体2によってコードされる60アミノ酸のポリペプチドのアミノ酸配列。
配列番号32−代替的な開始コドンからCT46転写変異体2によってコードされる323アミノ酸のポリペプチドのアミノ酸配列。
配列番号33−MGC26710タンパク質をコードするヌクレオチド配列(NM_152510)。
配列番号34−MGC26710タンパク質のアミノ酸配列(NM_152510)。
配列番号35−KOG4652、HORMAドメインのアミノ酸配列。
本研究の第一部において、本発明者らは、精巣にのみ存在するが他の正常体性組織においては存在しない超並列的遺伝子ビーズクローン解析(MPSS)タグを有する遺伝子を同定し、次いで、正常組織および癌細胞株におけるこれらの遺伝子のmRNA発現パターンを、RT−PCRによって調査した。このアプローチによって、本発明者らは、12個より多くの癌−精巣(CT)遺伝子およびCT様遺伝子を同定し、癌ワクチンのための標的を提供した。本発明者らはまた、ESTデータベースの記録を精巣に主に発現する遺伝子について分析し、その後、腫瘍におけるそれらの遺伝子の発現をRT−PCR分析によって調査することによって、CT遺伝子およびCT様遺伝子について検索した。別のCT遺伝子が、この方法を使用して同定された。
32個の正常組織についてのMPSSデータを分析し、組みあわされた2個の精巣サンプルにおいて10以上のMPSSタグを示した遺伝子からなる、精巣特異的遺伝子のリストを蓄積した。このリストは、合計1056個の遺伝子を含み、そのうち39個の遺伝子が染色体X上に位置する。染色体X上の遺伝子のうちには、NY-ESO-1、LAGE1、MAGE-B1、MAGE-B2、およびMAGE-B4、GAGE1、GAGE2、およびPAGE5を含む、いくつかの公知のCT遺伝子ファミリーがあり、新たなCT抗原遺伝子を見いだす上でのこの技術の可能性の有効性を確認した。
第一に、公共のデータベース中の対応するEST配列を検索することによって、染色体X上の公知の遺伝子をさらに評価した。遺伝子が、a)精巣、卵巣、および/または胎盤、b)任意の腫瘍(生殖細胞の腫瘍を除く)、ならびにc)2種類以下の体性組織に由来するESTを有する場合、その遺伝子をCT候補遺伝子と見なした。次いで、これらのCT候補遺伝子のエキソン−イントロン構造を、BLASTNによって定義した。トランスイントロン(trans-intronic)PCRプライマー対を各々の遺伝子について作製し、次いで、正常組織および癌細胞株におけるこれらの遺伝子のmRNA発現を、RT−PCR分析によって実験的に評価した。二つのRNAパネルを、連続的に試験した:第一のパネルは16種類の正常組織からなり、第二のパネルは21種類の癌細胞株からなった。試験した正常組織は、脳、結腸、心臓、腎臓、白血球、肝臓、肺、卵巣、膵臓、胎盤、前立腺、骨格筋、小腸、脾臓、胸腺、および精巣であった。試験した癌細胞株は、7株のメラノーマ(SK-MEL-10、-24、-37、-49、-55、-80、-128)、4株の小細胞肺癌(NCI-H82、-H128、-H187、-H740)、3株の非小細胞性肺癌(SK-LC-5、-14、-17)、3株の結腸癌(SW403、HCT15、LS174T)、1株の腎臓癌(SK-RCC-1)、1株の肝細胞癌(SK-HEP-1)、1株の膀胱癌(T24)、および1株の肉腫(SW982)を含んだ。これらの細胞株を、「CTリッチ」パネルとして選択し、これらの各々は、特徴が公知の1個以上のCT遺伝子について陽性であった。
これらのスクリーニング方法を使用して、X染色体中の2個の遺伝子が、新たなCT遺伝子として明らかになった。これらの遺伝子を、提案されるCT命名系に従って、CT45およびCT46として指定した。CT46/HORMAD1(Hs.160594、NM_173493.1、配列番号25および配列番号26)は、Xq28上の単一コピー遺伝子であるが、仮説上のタンパク質MGC27005(Hs.460933、NM_152582.3、配列番号1〜3)をコードするCT45は、Xq26.3上に位置し、多重遺伝子族であることが見出された。CT46/HORMAD1の選択的転写物(alternative transcript)(転写変異体2:配列番号30)、ならびにこの選択的転写物の2種類の翻訳産物(配列番号31および配列番号32)を同定した。これらは、本明細書において癌−精巣抗原として言及される。
本発明は、部分的に、本明細書において定義される癌−精巣抗原、およびそれらをコードする核酸分子に関する。本発明は、さらに、癌などの疾患の診断および処置のための方法および組成物における、これらの核酸分子、ポリペプチド、およびそれらのフラグメントの使用に関する。
本発明は、1種類以上の本発明の癌−精巣抗原に対する免疫応答の存在または量を決定することによる、被験体における癌の診断またはモニタリングに関する。好ましい態様において、この決定は、被験体から得られる生物学的サンプル(好ましくは、血清、血液、またはリンパ節液)を、本明細書において記載される癌−精巣抗原に対する抗体の存在についてアッセイすることによって行われる。この決定は、また、被験体由来の組織または細胞を、本明細書において記載される1種類以上の癌−精巣抗原(またはこれらの抗原をコードする核酸分子)の存在についてアッセイすることによって行われてもよい。別の態様において、少なくとも1種類のさらなる癌抗原に対する抗体の存在が、癌の診断のために決定される。このさらなる抗原は、本明細書において記載される癌−精巣抗原であっても、いくつかの他の癌関連高原であってもよい。従って、この被験体由来の組織または細胞は、複数の癌−精巣抗原の存在についてアッセイされてもよい。
連続的決定による癌−精巣抗原の一つに対する免疫応答の長期にわたる測定によって、疾患をモニタリングすること、および/または処置の経過の効果をモニタリングすることが可能になる。例えば、血清、血液、またはリンパ節液などのサンプルを被験体から得、癌−精巣抗原の一つに対する免疫応答について試験し、続く第二の時期に、別のサンプルをこの被験体から得て同様に試験してもよい。第一および第二の(または続く)試験の結果を、癌の発症、退行、または進行の尺度として、比較してもよく、あるいは、サンプル採取の間の間期に癌の処置が行われる場合、2回の試験の結果を比較することによって、処置の効果を評価してもよい。好ましい態様において、癌−精巣抗原は、基質に結合される。他の好ましい態様において、これらの癌−精巣抗原に対する生物学的サンプルの免疫応答は、ELISAを用いて決定される。他の方法は、当業者には明らかである。
本発明の診断方法はまた、本明細書において記載される1種類以上の癌−精巣抗原またはそれらをコードする核酸分子の異常発現を決定する工程を包含する。かかる決定は、ポリメラーゼ連鎖反応、またはハイブリダイゼーションプローブ(これは、標識されていてもよい)を用いるアッセイを含む、任意の標準的な核酸アッセイを介して行ってもよく、あるいは生物学的サンプルを標準的な方法を使用して癌−精巣抗原についての結合パートナー(例えば、抗体)についてアッセイすることによって行われてもよい。
本発明の診断方法は、癌−精巣分子の異常発現と関連する疾患の存在を検出するために、ならびに、処置(例えば、化学療法、放射線)に応答してなどの、疾患の進行および/または退行を評価するために使用されてもよい。本発明のこの局面によれば、癌−精巣分子の異常発現を特徴とする疾患を診断するための方法は、以下:被験体から得られる第一の生物学的サンプル中の癌−精巣分子の発現を検出する工程を包含し、ここで、コントロールサンプルと比較して異なる癌−精巣分子の発現が、この被験体が、癌などの癌−精巣分子の異常発現を特徴とする疾患を罹患することを示す。
本明細書において使用される場合、癌−精巣抗原の「異常発現」とは、期待される発現の量と統計学的に有意な量で異なる任意の発現を含むことを意図される。例えば、ある癌−精巣分子を発現することが予測されていない組織におけるその癌−精巣分子の発現(すなわち、癌−精巣抗原またはその癌−精巣抗原をコードする核酸分子)は、「異常発現」の定義に含められる。同様に、期待されるレベルより有意に高いまたは低いレベルで発現されることが決定される癌−精巣分子の発現もまた、含められる。従って、一種類以上の癌−精巣抗原および/またはそれらをコードする核酸分子の発現レベル(すなわち、存在または量)の決定は、発現レベルがその組織型について決定される基線レベルより上である場合、癌の診断指標となる。発現の基線レベルは、当業者に公知の標準的な方法を使用して決定され得る。そのような方法として、例えば、臨床学的に正常である(すなわち、その組織型における癌の臨床的兆候を有さない)被験体由来の多数の組織学的に正常な組織サンプルをアッセイし、それらのサンプルについての平均発現レベルを決定することが挙げられる。
本発明の核酸分子、またはそれらの核酸分子がコードする抗原の発現レベルは、その発現レベルがその組織においてコントロールサンプルより有意に高い場合、その組織における癌を示す。いくつかの態様において、その組織において、コントロール組織における発現レベルより、少なくとも、約5%、も約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約150%、約200%、約250%、約300%、約400%、または少なくとも約500%高い発現レベルが、その組織における癌を示す。あるいは、精巣における発現のレベルの、少なくとも約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、より好ましくは、少なくとも、約1.0%、約2.0%、約3.0%、約4.0%、約5.0%、約6.0%、約7.0%、約8.0%、約9.0%、または、最も好ましくは、少なくとも、約10.0%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、もしくは少なくとも約20%の、非精巣組織におけるCT抗原またはCT核酸の発現が、その組織における癌を示す。
本明細書において使用される場合、用語「コントロール」とは、前もって決定される値を意味し、また、実験材料と平行して試験される材料のサンプルを意味する。例として、コントロール集団由来のサンプル、または製造を通して生成されて実験用サンプルと平行して試験される、コントロールサンプルが挙げられる。
本明細書において使用される場合、用語「コントロール」は、正または負のコントロールを含み、これは、前もって決定される値であり、種々の形態をとり得る。コントロール(単数または複数)は、中間値もしくは平均値などの単一のカットオフ値であってもよく、または、本発明の癌−精巣分子の正常量を有する群および本発明の癌−精巣分子の異常量を有する群のような対照群に基づいて確立されてもよい。対照群の別の例として、特定の疾患、状態、および/または症状を有する群、ならびにその疾患、状態、および/または症状を有さない群が挙げられる。別の対照群として、特定の疾患の家族歴を有する群およびかかる特定の疾患の家族歴を有さない群がある。前もって決定されるコントロール値は、例えば、一つの試験集団を、低リスク群、中リスク群、および高リスク群などの複数の群に等割(または不等割)するように準備してもよい。または、一つの試験集団を、四分割もしくは五分割して、最も下位の四分割群もしくは五分割群が、最も低いリスクを有する個体群もしくは癌においてアップレギュレートされる本発明の癌−精巣分子の発現レベルが最も低い個体群であり、最も高位の四分割群もしくは五分割群が、最も高いリスクを有する個体群もしくは癌においてアップレギュレートされる本発明の癌−精巣分子の発現レベルが最も高い個体群であるように、準備してもよい。
前もって決定されるコントロールの値は、特定の選択された集団に依存する。例えば、明らかに健常である集団は、ある癌−精巣分子の異常な発現を特徴とする状態を有することがわかっている集団とは異なる、その癌−精巣分子の「正常」発現レベルの範囲を有する。従って、前もって決定される値の選択は、個体が該当するカテゴリーを考慮してもよい。好適な範囲およびカテゴリーは、当業者によって慣例的な実験のみを用いて選択され得る。代表的には、コントロールは、好適な年齢層における明らかに健常である個体に基づく。本明細書において使用される場合、用語「増大された発現」とは、選択されたコントロールに対して相対的に高い発現のレベルを意味する。
本発明は、いくつかの局面において、一種類以上の癌−精巣核酸分子の発現レベル(すなわち、存在または量)を決定し、および/またはそれらの核酸分子がコードする一種類以上の癌−精巣ポリペプチドの発現レベル(すなわち、存在または量)を決定することによって、癌を診断またはモニタリングする工程を包含する。いくつかの重要な態様において、この決定は、被験体由来の組織サンプルを、一種類以上の癌−精巣核酸分子の発現レベルについて、または本発明の核酸分子によってコードされる一種類以上の癌−精巣ポリペプチドの発現レベルについて、アッセイすることによって行われる。
本発明の分子の発現は、当業者に公知の慣例的な方法を使用して決定されてもよい。これらの方法として、以下が挙げられるが、それらに限定されない:直接的RNA増幅、RNAからcDNAへの逆転写、リアルタイムRT−PCR、cDNAの増幅、ハイブリダイゼーション、および免疫学に基づくアッセイ方法。免疫学に基づくアッセイ方法として、免疫組織化学法、抗体サンドイッチキャプチャー(sandwich capture)アッセイ、ELISA、酵素結合免疫スポットアッセイ(EliSpotアッセイ)が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、被験体または組織における本発明の核酸分子の存在のレベルの決定は、ポリメラーゼ連鎖反応、または標識ハイブリダイゼーションプローブによるアッセイを含む、任意の標準的な核酸決定アッセイを介して行われ得る。かかるハイブリダイゼーション方法としては、マイクロアレイ技術が挙げられるが、これに限定されない。
細胞および組織における本発明の分子の存在および/またはレベルを決定するこれらの方法は、本発明の分子の存在をモニタリングするための標識物の使用を包含してもよい。かかる標識物として、放射性標識物または化学発光標識物が挙げられ得るが、これらに限定されない。本発明の分子が細胞または組織において発現されるか否かを決定するために、および、細胞または組織における発現のレベルを決定するために、これらを利用してもよい。例えば、本発明のポリペプチドに選択的に結合する蛍光標識抗体または放射性標識抗体を、インビトロまたはインビボでこのポリペプチドを可視化するために、組織または細胞と接触させてもよい。本発明の核酸分子およびポリペプチド分子の存在を決定するための、これらのおよび他のインビトロおよびインビボのイメージング方法は、当業者に周知である。
本発明は、癌−精巣抗原、および/または癌−精巣ポリペプチドに特異的に結合する抗体の存在をアッセイするためのキットを包含する。かかるキットの例としては、基質(例えば、被験体の血液サンプルまたは体液サンプル中に浸漬される計深棒)に結合された上述のポリペプチドが挙げられ得る。次いで、この被験体のサンプル中でこれらのポリペプチドと薬剤(例えば、抗体)との間に特異的結合が起こったか否かをアッセイするために、当業者に周知の手順を使用してこの基質の表面を処理してもよい。例えば、手順として、二次抗体との接触、または特異的結合の存在を示す他の方法が挙げられるが、これらに限定されない。
キットの別の例として、癌−精巣抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントが挙げられ得る。これらの抗体またはその抗原結合フラグメントを、癌を罹患する患者由来の組織または細胞サンプルに適用して、次いで、これらの抗体と抗原またはこのサンプルの他の成分との間に特異的結合が起こったか否かをアッセイするために、このサンプルを処理してもよい。加えて、これらの抗体またはその抗原結合フラグメントを、癌を罹患していると疑われるか、癌を診断されるか、または癌を罹患してないと考えられる被験体由来の血清などの体液サンプルに適用してもよい。当業者に理解されることであるが、かかる結合アッセイはまた、溶液中にある抗体および/または癌−精巣抗原と接触させられるサンプルまたは物体を用いて行ってもよい(例えば、96ウェルプレート中で、または物体表面に直接的に適用される)。
本発明のキットの別の例は、一種類以上の本発明の癌−精巣核酸分子の発現レベルを決定するために必要な成分を提供するキットである。かかる成分としては、一種類以上の癌−精巣核酸分子の増幅のために有用なプライマー、および/またはPCR増幅のための他の化学薬品が挙げられ得る。
本発明のキットの別の例は、ハイブリダイゼーションの方法を使用して、一種類以上の本発明の癌−精巣核酸分子の発現レベルを決定するために必要な成分を提供するキットである。
前述のキットは、取扱説明書、またはそのキットの種々の成分を診断目的のために使用する方法についての他の印刷物を含んでもよい。
本明細書において使用される場合、「〜をコードする核酸分子」とは、癌−精巣ポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントをコードする核酸分子を意味する。これらの核酸分子は、DNAであっても、RNA(例えば、mRNA)であってもよい。本発明の癌−精巣核酸分子はまた、本明細書において記載される核酸分子の変異体を含む。これらの変異体は、提供される特定の配列のスプライスバリアントまたは対立遺伝子変異体であってもよい。本発明の核酸分子の変異体は、以下にさらに記載されるホモログおよび対立遺伝子を含むことを意図される。さらに、本明細書において使用される場合、用語「癌−精巣分子」は、癌−精巣抗原(ポリペプチドおよびそのフラグメント)、ならびに癌−精巣核酸を含む。全ての態様において、ヒト癌−精巣抗原およびそれらをコードする核酸分子が好ましい。
一局面において、本発明は、本明細書において定義される癌−精巣抗原をコードする単離された核酸分子を提供する。本発明のこの局面の単離された核酸分子は、以下を含む:(a)配列番号1、配列番号2、および配列番号26として示されるヌクレオチド配列からなる群より選択されるヌクレオチド配列、(b)高ストリンジェンシー条件下において(a)の核酸分子にハイブリダイズする単離された核酸分子であって、癌−精巣抗原をコードする核酸分子、(c)遺伝子コードの縮重(degeneracy)に起因して(a)または(b)と異なる核酸分子、ならびに(d)(a)、(b)、または(c)の相補物(complement)。特定の好ましい態様において、上記の核酸分子は、配列番号3において示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドもしくはそのフラグメントをコードする核酸分子、または、配列番号3をコードするヌクレオチド配列と、少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約93%、より好ましくは少なくとも約95%、より好ましくは少なくとも約97%、さらにより好ましくは少なくとも約99%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸分子である。
本明細書において使用される場合、用語「単離された核酸分子」とは、以下を意味する:(i)例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってインビトロで増幅されるもの;(ii)クローニングによって組み替え的に生成されるもの;(iii)切断およびゲル分離などによって精製されるもの;または、(iv)例えば化学合成によって合成されるもの。単離された核酸は、当該分野において周知の組み替えDNA技術によって容易に操作可能なものである。従って、ベクターに含まれるヌクレオチド配列であって、5’および3’の制限部位が公知であるか、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマー配列が開示されているものが、単離されたと考えられるが、天然の宿主中で天然の状態で存在する核酸配列は、単離されたと考えられない。単離された核酸配列は、実質的に精製されてもよいが、その必要はない。例えば、クローニングまたは発現ベクター中で単離された核酸は、純粋ではなく、その核酸が存在する細胞内の物質のうちの僅かな割合のみを占め得る。しかし、かかる核酸は、本明細書において使用される用語として、単離されている。なぜならば、この核酸は、当業者に公知の標準的な技術によって容易に操作可能であるからである。
本発明の癌−精巣核酸分子はまた、従来技術によって同定可能なホモログおよび対立遺伝子を含むことを意図される。癌−精巣ポリペプチドのヒトのホモログまたは他の生物のホモログ(すなわち、オルトログ)の同定は、当業者によく知られている。一般に、核酸ハイブリダイゼーションが、公知の配列に対応する別の種(例えば、ヒト、ウシ、ヒツジ)の相同配列の同定のために好適な方法である。標準的な核酸ハイブリダイゼーション手順が、選択されるパーセント同一性の関連する核酸配列を同定するために使用され得る。例えば、選択される組織のmRNAから逆転写されたcDNAのライブラリーを構築し、本明細書において同定される癌−精巣抗原をコードする核酸を、そのライブラリーを関連するヌクレオチド配列についてスクリーニングするために使用することが可能である。このスクリーニングは、高い配列同一性で関連する配列を同定するために、好ましくは高ストリンジェンシー条件を使用して行われる。そのように同定された核酸を、ポリペプチドに翻訳してもよく、そのポリペプチドを、活性について試験してもよい。
用語「高ストリンジェンシー」とは、本明細書において使用される場合、当該技術においてよく知られているパラメーターを指す。核酸ハイブリダイゼーションのパラメーターは、かかる方法をまとめた引用文献において見出され得る(例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, J. Sambrookら編、第二版、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, 1989、またはCurrent Protocols in Molecular Biology, F.M. Ausubelら編、John Wiley & Sons, Inc., New York)。より具体的には、高ストリンジェンシー条件とは、本明細書において使用される場合、例えば、ハイブリダイゼーション緩衝液(3.5×SSC、0.02%フィコール、0.02%ポリビニルピロリドン、0.02%ウシ血清アルブミン、2.5mM NaHPO(pH7)、0.5% SDS、2mM EDTA)中で65℃でのハイブリダイゼーションを指す。SSCは、0.15M塩化ナトリウム/0.015Mクエン酸ナトリウム(pH7)であり;SDSは、ドデシル硫酸ナトリウムであり;およびEDTAは、エチレンジアミンテトラ四酢酸である。ハイブリダイゼーション後、DNAが移動したメンブレンを、例えば、2×SSC中で室温で洗浄し、次いで0.1〜0.5×SSC/0.1×SDS中で、68℃までの温度で洗浄する。洗浄の温度を、異なるレベルのストリンジェンシーを提供するために調節してもよい。例えば、洗浄を、42℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、または68℃の温度で行ってもよい。当業者は、必要とされる至適温度を決定するために、この温度を調節することができる。
使用され得る他の条件、試薬などで同様の程度のストリンジェンシーをもたらすものが存在する。当業者は、かかる条件に精通しており、従って、それらはここでは述べない。しかし、当業者が、本発明の癌−精巣核酸のホモログおよび対立遺伝子の明確な同定を可能にする様式において(例えば、より低いストリンジェンシー条件を使用することによって)、条件を操作し得ることが理解される。当業者はまた、かかる分子の発現について細胞およびライブラリーをスクリーニングし、次いでかかる分子を慣例的に単離し、その後に関連する核酸分子を単離してシークエンシングするための方法に精通している。
比較のための配列の至適アラインメントを、代替的に、米国国立医学図書館のウェブサイトで公共で利用可能なBLASTなどのプログラムを使用して行ってもよい。UniGene(米国国立医学図書館のウェブサイト)、SAGE Anatomic ReviewerおよびそのVirtual Northernツール(The Cancer Genome Anatomy Project:CGAPウェブサイト)などの他のプログラムもまた、公共で利用可能である。好ましくは、「配列同一性のパーセンテージ」は、二つの至適にアラインメントされた配列を少なくとも20個の位置の比較枠で比較することによって決定され、ここで、この比較枠におけるポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の一部は、二つの配列の至適アラインメントのためには、(付加または欠失を含まない)基準配列と比較して、20%以下(通常は5〜15%、または10〜12%)の付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含んでもよい。このパーセンテージは、両方の配列において同一な核酸塩基またはアミノ酸残基が現れる位置の数を決定して、マッチした位置の数を得、そのマッチした位置の数を基準配列中の位置の総数(すなわち、枠の大きさ)で除算し、その結果を100で乗算して配列同一性のパーセンテージを得ることによって、計算される。
一般に、ホモログおよび対立遺伝子は、代表的には、癌−精巣核酸および癌−精巣ポリペプチドの配列と、各々少なくとも90%のヌクレオチド同一性および/または少なくとも95%のアミノ酸同一性を共有し、いくつかの例においては、少なくとも95%のヌクレオチド同一性および/または少なくとも97%のアミノ酸同一性を共有し、他の例においては、少なくとも97%のヌクレオチド同一性および/または少なくとも98%のアミノ酸同一性を共有し、他の例においては、少なくとも99%のヌクレオチド同一性および/または少なくとも99%のアミノ酸同一性を共有し、他の例においては、少なくとも99.5%のヌクレオチド同一性および/または少なくとも99.5%のアミノ酸同一性を共有する。NCBI(Bethesda, Maryland)によって開発され、インターネットを通じて入手可能な、種々の公共に利用可能なソフトウェアツールを使用して、ホモロジーを計算してもよい。例示的なツールとしては、米国立衛生研究所の米国国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のウェブサイトから利用可能なBLASTシステムが挙げられる。ペアワイズ(pairwise)アラインメントおよびClustalWアラインメント(BLOSUM30マトリックス配列(matrix setting))ならびに、Kyte-Doolittleのヒドロパシー分析(hydropathic analysis)は、MacVector配列分析ソフトウェア(Oxford Molecular Group)を使用して得ることができる。また、前述の核酸のワトソン−クリック相補物(complements)も、本発明によって包含される。
本発明の別の局面において、本発明のヌクレオチド配列およびその相補物の特有のフラグメントを含む、特有のフラグメントが提供される。本発明は、好ましい態様において、配列番号1、配列番号2、配列番号26、または配列番号30の特有のフラグメント、およびそれらの相補物を提供する。特有のフラグメントとは、より大きな核酸についての「シグネチャー(signature)」であるフラグメントである。このフラグメントは、例えば、その正確な配列が、上記で定義される癌−精巣抗原をコードする核酸分子以外の分子中に見出されないことを確実にするのに十分に長い。当業者は、慣例的な手順のみを適用して、あるフラグメントがヒトゲノム中で特有であるか否かを決定することができる。本発明のペプチド(例えば、配列番号3、配列番号25、配列番号31、配列番号32)について、上記のフラグメントは、少なくとも、約5個、約6個、約7個、約8個、約9個、約10個、約11個、約12個、約13個、約14個、約15個、約16個、約17個、約18個、約19個、約20個、約25個、約30個、約35個、約40個、約45個、約50個、約75個、または約100個のアミノ酸長であってもよい。
かかる核酸分子を同定するためにサザンブロットアッセイにおいてプローブとして使用されても、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用する増幅アッセイなどの増幅アッセイにおいてプローブとして、特有のフラグメントを使用してもよい。PCRとして、RT−PCRおよびRT−リアルタイムPCRが挙げられるが、それらに限定されない。当業者に公知であるように、サザンブロットなどの特定の用途のためには、200ヌクレオチド以上の大きなプローブが好ましいが、PCRなどの用途のためには、より小さいフラグメントが好ましい。また、抗体を生成するためもしくはポリペプチドフラグメントの結合を決定するため、または免疫アッセイ成分を生成するための、融合タンパク質を生成するために、特有のフラグメントを使用してもよい。同様に、例えば抗体の調製においてまたは免疫アッセイにおいて有用な、癌−精巣ポリペプチドの非融合フラグメントを生成するために、特有のフラグメントを使用してもよい。
癌−精巣抗原遺伝子についてのスクリーニングにおいて、前述の条件を、検出可能に標識されたプローブ(例えば、放射性プローブまたは化学発光プローブ)とともに使用して、サザンブロットを行ってもよい。DNAが最終的に移動したメンブレンの洗浄の後で、これらの検出可能に標識されたプローブからのシグナルは、例えば、このメンブレンをX線フィルムに対して静置することによって、または検出可能シグナルを検出するためのホスフォイメージャー(phosphorimager)デバイスを使用して分析することによって、検出され得る。癌−精巣抗原核酸の発現についてのスクリーニングにおいて、癌患者または異常な細胞増殖または新形成を特徴とする状態を有することが疑われる被験体から採取されたサンプルに対して、前述の条件を使用するノーザンブロットハイブリダイゼーションを行ってもよい。提示される配列に対してハイブリダイズするプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応などの増幅プロトコルもまた、癌−精巣抗原遺伝子またはそれらの発現を検出するために使用され得る。
関連する配列の同定はまた、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、および関連する核酸配列をクローニングするために好適な他の増幅技術を使用して達成されてもよい。好ましくは、PCRプライマーは、核酸配列のうち保存されていると考えられる部分(例えば、触媒ドメイン、DNA結合ドメインなど)を増幅するように選択される。やはり、核酸は、好ましくは組織(例えば、精巣)特異的ライブラリーから増幅される。
本発明はまた、ネイティブな材料中に存在するコドンに対して代替的なコドンを含む縮重(degenerate)核酸を包含する。例えば、セリン残基は、TCA、AGT、TCC、TCG、TCT、およびAGCのコドンによってコードされる。6個のコドンの各々は、セリン残基をコードする目的のためには等価である。従って、インビトロまたはインビボで、タンパク質合成装置を、伸長する癌−精巣ポリペプチド中にセリン残基を組み込むように導くために、セリンをコードするヌクレオチドトリプレットのうちのいずれが使用されてもよいことは、当業者には明らかである。同様に、他のアミノ酸残基をコードするヌクレオチド配列トリプレットとして、以下が挙げられるが、それらに限定されない:CCA、CCC、CCG、およびCCT(プロリンのコドン);CGA、CGC、CGG、CGT、AGA、およびAGG(アルギニンのコドン);ACA、ACC、ACG、およびACT(スレオニンのコドン);AACおよびAAT(アスパラギンのコドン);ATA、ATC、およびATT(イソロイシンのコドン)。他のアミノ酸残基もまた、同様に複数のヌクレオチド配列によってコードされ得る。従って、本発明は、遺伝子コードの縮重に起因して生物学的に単離される核酸とコドン配列が異なる、縮重核酸を包含する。
本発明はまた、改変された核酸分子を提供する。改変された核酸分子として、一個以上のヌクレオチド(好ましくは、1〜20ヌクレオチド)の付加、置換、および欠失が挙げられる。好ましい態様において、これらの改変された核酸分子、および/またはこれらがコードするポリペプチドは、未改変の核酸分子および/またはポリペプチドの少なくとも一種類の活性または機能(例えば、抗原性、レセプター結合など)を保持する。特定の態様において、これらの改変された核酸分子は、改変されたポリペプチドをコードし、好ましくは、本明細書において他の箇所に記載されるものような保存的アミノ酸置換を有するポリペプチドをコードする。これらの改変された核酸分子は、未改変の核酸分子に構造的に関連し、好ましい態様においては、改変された核酸分子と未改変の核酸分子とが、当業者に公知のストリンジェントな条件下においてハイブリダイズするのに十分に、未改変の核酸分子に構造的に関連する。
例えば、単一のアミノ酸変化を有するポリペプチドをコードする改変された核酸分子を調製してもよい。これらの核酸分子の各々は、本明細書において記載されるような遺伝子コードの縮重に対応するヌクレオチド変化を除く、1個、2個、または3個のヌクレオチド置換を有し得る。同様に、2個のアミノ酸変化を有するポリペプチドをコードする改変された核酸分子を調製してもよく、これは、例えば、2〜6個のヌクレオチド変化を有する。これらの核酸分子のような多数の改変された核酸分子(例えば、アミノ酸2およびアミノ酸3、アミノ酸2およびアミノ酸4、アミノ酸2およびアミノ酸5、ならびにアミノ酸2およびアミノ酸6などをコードするコドンにおけるヌクレオチドの置換)が、当業者によって容易に想起され得る。前述の例において、2個のアミノ酸の各々の組み合わせは、改変された核酸分子のセット、ならびにアミノ酸置換をコードする全てのヌクレオチド置換に含まれる。また、さらなる置換(すなわち、3個以上)、付加、欠失(例えば、停止コドンまたはスプライス部位の導入によるもの)を有するポリペプチドをコードするさらなる核酸分子を調製してもよく、当業者によって容易に想起されるものとして、本発明によって包含される。前述の核酸またはポリペプチドのいずれも、本明細書において開示される核酸および/またはポリペプチドに対する活性または構造的関連について、慣例的実験によって試験することが出来る。本明細書において使用される場合、用語:「欠失」、「付加」、および「置換」とは、本発明の配列の、約1個、約2個、約3個、約4個、約5個、約6個、約7個、約8個、約9個、約10個、約11個、約12個、約13個、約14個、約15個、約16個、約17個、約18個、約19個、約20個、約21個、約22個、約23個、約24個、約25個、約26個、約27個、約28個、約29個、約30個、または30個より多くの核酸に対する、欠失、付加、および置換の変化を意味する。
本発明のさらに別の局面によれば、本発明の単離された核酸分子のうちの任意のものを含む発現ベクターであって、好ましくはプロモーターと作動的に結合されたものが、提供される。関連する局面において、かかる発現ベクターを用いて形質転換または形質移入された宿主細胞もまた提供される。本明細書において使用される場合、「ベクター」とは、異なる遺伝子的環境間での移動のため、または宿主細胞における発現のための、制限酵素切断(restriction)およびライゲーションによって所望の配列が挿入され得る多数の核酸分子うちの、いずれであってもよい。ベクターは、代表的には、DNAからなるが、RNAベクターもまた、利用可能である。ベクターとしては、プラスミド、ファージミド、およびウイルスゲノムが挙げられるが、これらに限定されない。クローニングベクターは、宿主細胞中で複製が可能なものであり、一つ以上のエンドヌクレアーゼ制限部位をさらに特徴とする。このエンドヌクレアーゼ制限部位において、このベクターは、決定可能な様式において切断され得、新たな組み替えベクターが宿主細胞中で複製する能力を保持するように、所望のDNA配列がライゲーションされ得る。プラスミドの場合、所望の配列の複製は、宿主菌体中でのプラスミドのコピー数が増加するにつれて、多くの回数で起こり得るか、または、宿主が有糸分裂によって増殖する前に、宿主一個体当たり一回だけ起こり得る。ファージの場合、複製は、溶菌期において能動的に起こり得るか、または溶原期の間に受動的に起こり得る。発現ベクターは、所望のDNA配列が、調節配列に作動的に結合されてRNA転写物のように発現され得るように、制限酵素切断およびライゲーションによって挿入され得るベクターである。ベクターは、そのベクターによって形質転換もしくは形質移入された細胞、または形質転換もしくは形質移入されなかった細胞の同定における使用に好適な、一種類以上のマーカー配列をさらに含む。マーカーとして、例えば、抗生物質または他の化合物に対する耐性または感受性のいずれかを増大または低下させるタンパク質をコードする遺伝子、その活性が当該分野において公知の標準的なアッセイによって検出可能である酵素(例えば、−ガラクトシダーゼまたはアルカリホスファターゼ)をコードする遺伝子、および形質転換または形質移入された細胞、宿主、コロニー、もしくはプラークの表現形に対して目に見えるように影響を及ぼす遺伝子(例えば、緑色蛍光タンパク質)が挙げられる。好ましいベクターは、自己複製と、それらのベクターが作動的に結合されたDNAセグメント中に存在する構造遺伝子産物の発現とが可能なベクターである。
本明細書において使用される場合、コード配列と調節配列とは、コード配列の発現または転写を調節配列の影響下または制御下に位置づけるように共有結合される場合、「作動的に結合される」と言われる。本明細書において使用される場合、「作動的に結合される(operatively joined)」と「作動的に結合される(operatively linked)」とは、交換可能に使用され、同じ意味を有すると解釈されるべきである。コード配列が機能的タンパク質へ翻訳されることが望ましい場合、以下の場合に二つのDNA配列は作動的に結合されると言われる:5’調節配列中のプロモーターの誘導がコード配列の転写をもたらす場合、および、二つのDNA配列の間の結合の性質が、(1)フレームシフト変異の誘導をもたらさないか、(2)そのプロモーター領域がコード配列の転写を誘導する能力を妨げないか、または(3)対応するRNA転写物がタンパク質に翻訳される能力を妨げない場合。従って、プロモーター領域が、そのDNA配列の転写をもたらし得、その結果生じる転写物が所望のタンパク質またはポリペプチドに翻訳され得る場合、そのプロモーター領域はコード配列に作動的に結合される。
遺伝子発現のために必要とされる調節配列の正確な性質は、種間および細胞型の間で変化し得るが、一般に、必要に応じて、各々転写および翻訳の開始に関与する、5’非転写配列および5’非翻訳配列(TATAボックス、キャッピング配列、CAAT配列など)が挙げられる。しばしば、かかる5’非転写調節配列は、プロモーター領域を含み、このプロモーター領域は、作動的に結合された遺伝子の転写の制御のためのプロモーター配列を含む。調節配列はまた、所望の場合、エンハンサー配列または上流のアクチベーター配列を含んでもよい。本発明のベクターは、必要に応じて、5’のリーダー配列またはシグナル配列を含み得る。好適なベクターの選択および設計は、当業者の能力および裁量の範囲内である。
また、本発明が、癌−精巣核酸分子および発現ベクターのゲノム配列、ならびに形質移入宿主の細胞および細胞株の使用を包含することも、理解される。これらの細胞および細胞株は、原核生物(例えば、E.coli)または真核生物(例えば、CHO細胞、COS細胞、酵母発現系、および昆虫細胞における組み替えバキュウロウイルス発現)の細胞または細胞株である。特に有用であるのは、ヒト、マウス、ハムスター、ブタ、ヤギ、霊長類などの哺乳動物細胞である。これらは、肥満細胞、繊維芽細胞、卵母細胞、リンパ球細胞を含む、広範な細胞型の哺乳動物細胞であり得、初代培養の細胞および細胞株であってもよい。具体的な例としては、樹状細胞、末梢血白血球、骨髄幹細胞、および胚性幹細胞が挙げられる。発現ベクターは、好適な配列(すなわち、上述の核酸の配列)がプロモーターに作動的に結合されることを必要とする。
また、本発明は、一局面において、細胞におけるおよび動物における、癌−精巣抗原遺伝子の「ノックアウト」および「ノックイン」の構築を可能とし、癌および癌に対する免疫系応答の特定の局面を研究するための材料を提供する。
発現のための全ての必要なエレメントを含む発現ベクターは、市販されており、当業者に公知である。例えば、Sambrookら(Molecular Cloning: A Laboratory Manual,第二版、Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)を参照されたい。細胞は、その細胞中への、癌−精巣抗原、変異体癌−精巣抗原、それらのフラグメントまたは変異体をコードする、異種性のDNAまたはRNAの導入によって遺伝子操作される。異種性のDNAまたはRNAは、宿主細胞中における異種性DNAの発現が可能となるように、転写エレメントの作動的制御下におかれる。
哺乳動物細胞におけるmRNA発現のための好ましい系は、(安定に形質移入された細胞株の選択を促進する)選択マーカーを含み、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)エンハンサー−プロモーター配列を含む、pcDNA/V5-GW/D-TOPO(登録商標)およびpcDNA3.1(Invitrogen)などの系である。さらに、霊長類またはイヌの細胞株における発現のために好適であるのは、pCEP4ベクター(Invitrogen)であり、これは、エプスタイン・バーウイルス(EBV)の複製起点を含み、プラスミドを多重コピーの染色体外エレメントとして維持することを促進する。別の発現ベクターは、インビトロでの転写を効率的に刺激するポリペプチド伸長因子1(Elongation Factor 1)のプロモーターを含む、pEF-BOSプラスミドである。このプラスミドは、MizushimaおよびNagata(Nuc. Acids Res. 18:5322, 1990)によって記載され、その形質移入実験における使用は、例えば、Demoulin(Mol. Cell. Biol. 16:4710-4716, 1996)によって開示される。さらに別の好ましい発現ベクターは、アデノウイルスであって、Stratford-Perricaudetによって記載される。アデノウイルスは、E1タンパク質およびE3タンパク質を欠損している(J. Clin. Invest. 90:626-630, 1992)。P1Aに対する免疫のためのマウスの皮内注射におけるAdeno.P1A組み替え体としてのアデノウイルスの使用は、Warnierらによって記載される(Int. J. Cancer, 67:303-310, 1996)。
本発明はまた、発現キットと称されるキットを包含し、このキットは、当業者が所望の発現ベクター(単数または複数)を調製することを可能にする。かかる発現キットは、少なくとも、上記のコード配列の各々の別個の部分を含む。所望の場合、必要とされる上記の配列が含まれる限りは、他の成分が加えられてもよい。
本発明はまた、癌−精巣抗原核酸の増幅のためのキットを包含し、このキットは、癌−精巣核酸にハイブリダイズする少なくとも一対の増幅プライマーを含む。これらのプライマーは、好ましくは、約12個、約13個、約14個、約15個、約16個、約17個、約18個、約19個、約20個、約21個、約22個、約23個、約24個、約25個、約26個、約27個、約28個、約29個、約30個、約31個、または約32個のヌクレオチド長であって、「プライマーダイマー」の形成を防ぐために、非重複である。これらのプライマーの一つは、癌−精巣核酸の一本の鎖にハイブリダイズし、第二のプライマーは、その癌−精巣核酸の増幅を可能にする配置において、その癌−精巣核酸の相補鎖にハイブリダイズする。好適なプライマー対の選択は、当該分野において標準的である。例えば、この選択は、かかる目的のために設計されたコンピュータープログラムの補助によって行われてもよく、必要に応じて、その後にそのプライマーを増幅特異性及び増幅効率について試験することによって行われてもよい。
本発明は、別の局面において、前述の癌−精巣核酸によってコードされる単離されたポリペプチド(完全なタンパク質および部分的なタンパク質を含む)を提供する。前述の癌−精巣核酸によってコードされるアミノ酸配列の例は、配列番号3、配列番号4、配列番号6、配列番号25、配列番号31、および配列番号32として示される。本発明のアミノ酸はまた、本明細書において提供される核酸配列の異なる読み枠における翻訳から生じるアミノ酸配列を含むことを意図される。本発明の好ましい態様において、配列番号3、配列番号4、配列番号6、または配列番号25として示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドが提供される。特に好ましい態様において、配列番号3として示されるアミノ酸配列またはそのフラグメントを含むポリペプチドが提供される。別の特に好ましい態様において、このフラグメントは、8個以上のアミノ酸を含む。さらに特に好ましい態様において、配列番号4、配列番号6、または配列番号25として示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドが提供される。かかるポリペプチドは、例えば、単独で、または抗体を生成するための融合タンパク質として有用であり、さらに免疫アッセイまたは診断アッセイの成分として有用である。免疫原性の癌−精巣ポリペプチドは、組織または細胞のホモジェネートを含む生物学的サンプルから単離してもよく、また、種々の原核生物または真核生物の発現系において、その発現系に好適な発現ベクターを構築し、その発現ベクターをその発現系に導入し、組み替え的に発現されたタンパク質を単離することによって、組み替え的に発現させてもよい。
免疫原性癌−精巣ポリペプチド(免疫原性ペプチドを含む)のフラグメントはまた、ペプチド合成のよく確立された方法を使用して、化学的に合成してもよい。このように、開示されるポリペプチドのフラグメントは、免疫応答を惹起するために、および、抗体または他の同様の分子(T細胞レセプターなど)の存在についてアッセイするために、有用である。一局面において、少なくとも8個のアミノ酸長であり免疫原性を示す、配列番号3を含むポリペプチドのフラグメントが提供される。これらのフラグメントは、8アミノ酸からポリペプチドの全長サイズより1アミノ酸短い長さまでの任意の長さであり得る。特定の態様は、配列番号4または配列番号6として示されるポリペプチド配列を含む、ポリペプチドのフラグメントを提供する。同様の性質の他の態様において、少なくとも8アミノ酸長であり、免疫原性を示す、CT46ポリペプチドのフラグメント(配列番号25、配列番号31、配列番号32)が提供される。
ポリペプチドのフラグメントは、好ましくは、そのポリペプチドの特徴的な機能的能力を維持するフラグメントである。フラグメントにおいて維持され得るポリペプチドの機能的能力としては、抗体またはMHC分子との相互作用(例えば、免疫原性フラグメント)、他のポリペプチドまたはそれらのフラグメントとの相互作用、核酸またはタンパク質の選択的結合、および酵素活性が挙げられる。一つの重要な活性は、被験体において免疫応答を引き起こす能力である。当業者によって理解されることだが、免疫応答を誘導するために使用され得るフラグメントの大きさは、抗体によって認識されるエピトープが直鎖状エピトープであるか構造的エピトープであるか、または、そのフラグメントに結合して提示する特定のMHC分子(例えば、HLAクラスIもしくはII)などの要因に依存する。従って、癌−精巣ポリペプチドのいくつかの免疫原性フラグメントは、より長いセグメントからなるが、他のフラグメントはより短いセグメントからなる(例えば、約8個、約9個、約10個、約11個、約12個、約13個、約14個、約15個、約16個、または17個以上のアミノ酸長であり、その癌−精巣ポリペプチドの全長までの各整数を含む)。当業者は、ポリペプチドの免疫原性フラグメントを選択するための方法に精通している。
本発明は、上記の癌−精巣ポリペプチドの変異体を包含する。本明細書において使用される場合、癌−精巣抗原ポリペプチドの「変異体」とは、癌−精巣ポリペプチドの一次アミノ酸配列への1個または2個以上の改変を含むポリペプチドである。癌−精巣抗原変異体を作り出す改変は、癌−精巣ポリペプチドに対して、1)癌−精巣ポリペプチドの活性を低下させるかまたは取り除くため;2)癌−精巣ポリペプチドの特性(発現系におけるタンパク質の安定性もしくはタンパク質−タンパク質結合の安定性など)を増強するため;3)癌−精巣ポリペプチドに新規の活性または特性を提供(抗原性エピトープの付加もしくは検出可能部分の付加など)するため;または、4)MHCに対する等価のまたは改善された結合を提供するために、行われる。
癌−精巣ポリペプチドに対する改変は、代表的には、癌−精巣ポリペプチドをコードする核酸に対して行われ、そのような改変として、欠失、点変異、短縮(truncation)、アミノ酸置換、およびアミノ酸または非アミノ酸部分の付加が挙げられ得る。あるいは、改変は、例えば、切断、リンカー分子の付加、ビオチンなどの検出可能部分の付加、脂肪酸の付加などによって、そのポリペプチドに対して直接的に行われ得る。改変はまた、癌−精巣抗原アミノ酸配列の全部または一部を含む融合タンパク質を包含する。当業者は、タンパク質構造に対するタンパク質配列の変化の効果を予測するための方法に精通し、従って、公知の方法に従って変異体の癌−精巣ポリペプチドを「設計」することができる。かかる方法の一例は、DahiyatおよびMayoによってScience 278:82-87, 1997において記載されており、これによって、タンパク質を新規に設計することができる。この方法を公知のタンパク質に適用して、そのポリペプチド配列の一部のみを変化させることができる。DahiyatおよびMayoの計算方法を適用することによって、癌−精巣ポリペプチドの特定の変異体を提案し、その変異体が所望の構造を保持するか否かを試験して決定することができる。
一般に、変異体は、特にそのポリペプチドの所望の生理学的活性とは無関係の特徴を変化させるために改変された、癌−精巣ポリペプチドを包含する。例えば、好ましくないジスルフィド架橋を防ぐために、システイン残基を置換または欠失させてもよい。同様に、発現系(例えば、KEX2プロテアーゼ活性が存在する酵母発現系における二塩基アミノ酸残基)におけるプロテアーゼタンパク質分解を消失させることによって、癌−精巣ポリペプチドの発現を増強するために、特定のアミノ酸を変化させてもよい。
癌−精巣ポリペプチドをコードする核酸分子の変異は、コード配列のアミノ酸読み枠を保存することが好ましく、その変異体ポリペプチドの発現に対して有害であり得るハイブリダイズして二次構造を形成し得る領域(ヘアピンまたはループなど)を核酸中に作り出さないことが好ましい。
アミノ酸置換を選択することによって、またはそのポリペプチドをコードする核酸において選択される部位のランダム変異誘発によって、変異を行ってもよい。次いで、変異体ポリペプチドを発現させて、一種類または2種類以上の活性について試験し、どの変異が所望の特性を有する変異体ポリペプチドを提供するかを決定する。そのポリペプチドのそのアミノ酸配列に関してサイレントであるが、特定の宿主における翻訳のために好ましいコドンを提供する変異体(または未変異癌−精巣ポリペプチド)に対して、さらなる変異を行ってもよい。例えば、E.coliにおける核酸の翻訳のために好ましいコドンは、当業者に周知である。その発現を増強するために、癌−精巣抗原遺伝子の非コード配列またはcDNAクローンに対して、さらに他の変異を行ってもよい。癌−精巣ポリペプチドの変異体の活性は、その変異体癌−精巣ポリペプチドをコードする遺伝子を、細菌または哺乳動物の発現ベクターにクローニングし、そのベクターを好適な宿主細胞に導入し、変異体癌−精巣ポリペプチドを発現させ、そして本明細書において開示されるような癌−精巣ポリペプチドの機能的能力について試験することによって、試験されてもよい。例えば、変異体癌−精巣ポリペプチドを、自家血清または同種血清との反応について試験してもよい。当業者に周知のことであるが、他の変異体ポリペプチドの調製物には、他の活性の試験が適する可能性がある。
当業者はまた、免疫原性癌−精巣ポリペプチドにおいて、前述のポリペプチドの機能的に等価な変異体またはホモログ(すなわち、その変異体が、その免疫原性癌−精巣ポリペプチドの機能的能力を保持する)を提供するために、保存的アミノ酸置換が行われ得ることに気づく。本明細書において使用される場合、「保存的アミノ酸置換」とは、そのアミノ酸置換が行われるタンパク質の相対的な電荷または大きさの特徴を変化させない、アミノ酸置換を指す。変異体は、ポリペプチド配列を変化させるための、当業者に公知の方法に従って調製され得る。そのような方法は、そのような方法をまとめた文献(例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, J. Sambrookら編、第二版、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, 1989、またはCurrent Protocols in Molecular Biology, F.M. Ausubelら編、John Wiley & Sons, Inc., New York)において見出される。癌−精巣ポリペプチドの例示的な機能的に等価な変異体またはホモログとして、本明細書において開示されるタンパク質のアミノ酸配列における保存的アミノ酸置換が挙げられる。アミノ酸の保存的置換として、以下の群中のアミノ酸の中で行われる置換が挙げられる:(a)M、I、L、V;(b)F、Y、W;(c)K、R、H;(d)A、G;(e)S、T;(f)Q、N;および(g)E、D。従って、本明細書において開示される癌−精巣抗原のアミノ酸配列に対して保存的アミノ酸置換を行い、その抗原の特異的な抗体結合特性を保持することができる。
同様に、癌−精巣ポリペプチドに由来するペプチドがMHC分子によって提示され、抗体またはTリンパ球(例えば、ヘルパーT細胞またはCTL)によって認識されることを決定する上で、そのペプチドのアミノ酸配列に対して、特にMHC分子と直接接触する点ではないと考えられる残基において、保存的アミノ酸置換を行ってもよい。例えば、StromingerおよびWucherpfennigの公開されたPCT出願(PCT/US96/03182)において、HLAクラスII結合ペプチドの機能的変異体を同定するための方法が提供される。また、合成の前に、例えば、D’AmaroおよびDrijfhout (D’Amaroら、Human Immunol. 43:13-18, 1995; Drijfhout ら、Human Immunol. 43:1-12, 1995)によって記載されるコンピュータープログラムを使用して、1個または2個以上のアミノ酸置換を有するペプチドを、公知のHLA/MHCモチーフとの一致について試験してもよい。置換されたペプチドを、次いで、MHC分子に対する結合について、および抗体に夜認識またはMHCに結合した場合はTリンパ球による認識について、試験してもよい。これらの変異体を、安定性の改善について試験してもよく、これは、とりわけ、ワクチン組成物において有用である。
癌−精巣ポリペプチドの機能的に等価な変異体を提供するための、癌−精巣ポリペプチドのアミノ酸配列における保存的アミノ酸置換は、代表的には、癌−精巣ポリペプチドをコードする核酸の改変によって行われる。かかる置換は、当業者に公知の種々の方法によって行われ得る。例えば、PCRによって誘導される変異によってアミノ酸置換を行っても、Kunkelの方法(Kunkel, Proc. Nat. Acad. Sci. U.S.A. 82: 488-492, 1985)による部位特異的変異誘発によってアミノ酸置換を行っても、または癌−精巣ポリペプチドをコードする遺伝子の化学合成によってアミノ酸置換を行ってもよい。癌−精巣ポリペプチドの小さい特有のフラグメント(自家もしくは同種の血清もしくはTリンパ球によって認識される抗原性エピトープなど)に対してアミノ酸置換を行う場合、直接的にペプチドを合成することによってこの置換を行ってもよい。改変された癌−精巣ポリペプチドをコードする遺伝子を、細菌または哺乳動物のベクターにクローニングし、そのベクターを好適な宿主細胞に導入し、改変されたポリペプチドを発現させ、そして本明細書において開示されるような癌−精巣ポリペプチドの機能的能力について試験することによって、癌−精巣ポリペプチドの機能的に等価な変異体の活性を試験してもよい。化学的に合成されたペプチドは、直接的に機能について(例えば、関連抗原を認識する抗血清に対する結合について)試験してもよい。
本明細書において使用される場合、「被験体」とは、好ましくはヒト、非ヒト霊長類、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、または齧歯類である。全ての態様において、ヒト被験体が好ましい。いくつかの態様において、被験体は、癌を罹患していることを疑われるかまたは癌を診断されている。癌−精巣核酸または癌−精巣ポリペプチドが異なる形式で発現される癌として、精巣癌、メラノーマ、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、結腸癌、腎臓癌、膀胱癌、および肉腫が挙げられる。本発明の方法を使用して診断および/または処置され得るさらなる癌は、さらに以下に記載される。
本明細書において使用される場合、生物学的サンプルとして以下が挙げられるが、それらに限定されない:組織、細胞、および/または体液(例えば、血清、血液、リンパ節液など)。液体のサンプルは、細胞および/または液体(fluid)を含み得る。組織および細胞は、被験体から得られても、(例えば、細胞株由来の)培養において増殖されてもよい。本明細書において使用される場合、生物学的サンプルは、関連する医学分野の当業者に周知の方法を使用して被験体から得られる体液、組織、または細胞である。この生物学的サンプルは、好ましくは、精巣組織を含まない。
本発明は、別の局面において、本明細書において記載される癌関連抗原の単離を可能にする。当業者に周知の種々の方法が、単離された癌−精巣抗原を得るために利用され得る。タンパク質は、そのタンパク質を天然に産生する細胞から、クロマトグラフィーの手段または免疫学的認識によって精製されてもよい。あるいは、発現ベクターを細胞に導入してそのタンパク質を産生させてもよい。別の方法において、細胞にmRNA転写物を微量注入するかまたは他の方法で導入して、コードされるタンパク質を産生させてもよい。網状赤血球溶解系などの細胞フリーな抽出物中でのmRNAの翻訳もまた、タンパク質を産生するために使用され得る。当業者はまた、癌−精巣抗原を単離するための公知の方法に容易に追随することができる。これらの方法として、免疫クロマトグラフィー、HPLC、サイズ選択(size-exclusion)クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、および免疫アフィニティークロマトグラフィーなどの、クロマトグラフィー技術が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明はまた、癌−精巣抗原に結合するポリペプチドなどの薬剤の使用を包含する。癌の診断および/または処置を包含する本発明の方法において、かかる薬剤を使用してもよい。例えば、癌−精巣抗原の存在または非存在を決定するためのスクリーニングアッセイにおいて、および生物学的サンプルおよび細胞中での発現のレベルを決定するための定量的結合アッセイにおいて、かかる結合薬剤を使用してもよい。また、例えば、かかるポリペプチドに対する結合によって癌−精巣ポリペプチドの生来の活性を阻害するために、かかる薬剤を使用してもよい。
この局面によれば、上記の結合ポリペプチドは、本発明の単離された核酸またはタンパク質(それらの特有のフラグメントを含む)に結合する。好ましくは、これらの結合ポリペプチドは、癌−精巣ポリペプチドまたはその特有のフラグメントに結合する。
好ましい態様において、上記の結合ポリペプチドは、抗体または抗体フラグメントであって、より好ましくは、抗体のFabまたはF(ab)フラグメントである。代表的には、このフラグメントは、癌−精巣抗原について選択的であるCDR3領域を含む。ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、およびキメラ抗体を含む、種々の型の抗体いずれがこの目的のために用いられてもよい。
従って、本発明は、本発明の癌−精巣核酸分子によってコードされる癌−精巣抗原に結合する薬剤を提供し、特定の態様において、好ましくは癌−精巣ポリペプチドの特有のフラグメントに結合する薬剤を提供する。かかる結合パートナーを、癌−精巣抗原の存在または非存在を決定するためのスクリーニングアッセイにおいて使用しても、かかる癌−精巣抗原を単離するための精製プロトコルにおいて使用してもよい。同様に、かかる結合パートナーを、薬物、トキシン、または他の分子(検出可能な診断分子を含む)を、癌−精巣抗原を発現する細胞に選択的にターゲティングするために使用してもよい。この様式において、例えば、癌−精巣タンパク質を発現する固形腫瘍または非固形腫瘍(non-solid tumor)において存在する細胞を、癌−精巣分子(核酸および/または抗原)について選択的である細胞傷害性化合物を用いて処置してもよい。また、例えば、これらの分子の機能をさらに特徴づけるために、その癌−精巣抗原の生来の活性を阻害するために、かかる結合薬剤を使用してもよい。
本発明の抗体は、タンパク質、タンパク質のフラグメント、そのタンパク質またはそのフラグメントを発現する細胞などを動物に投与してポリクローナル抗体を誘導する工程を含む、種々の方法のいずれかによって調製される。本発明はまた、本明細書において記載される本発明の癌−精巣分子に対するモノクローナル抗体を産生する方法を提供する。モノクローナル抗体の産生は、当該分野において周知の技術に従って行われる。本明細書において記載されるように、かかる抗体を、例えば、タンパク質を発現する組織を同定するために使用しても、またはタンパク質を精製するために使用してもよい。抗体はまた、特定の標識剤またはイメージング剤と結合されてもよい。そのような標識剤またはイメージング剤として、好ましくは、蛍光分子、酵素分子、放射性分子、ビオチン分子、化学発光分子、生物発光分子、発色団分子、または呈色分子などからなる群より選択される分子が挙げられるが、これらに限定されない。本発明のいくつかの局面において、標識物は、前述の分子型の組み合わせであってもよい。
重要なこととして、当該分野において周知のことだが、抗体のほんの小さな部分であるパラトープが、エピトープに対する抗体の結合に関与する(一般に、Clark, W.R. (1986) The Experimental Foundations of Modern Immunology Wiley & Sons, Inc., New York; Roitt, I. (1991) Essential Immunology, 7th Ed., Blackwell Scientific Publications, Oxfordを参照のこと)。例えば、pFc’領域およびFc領域は、補体カスケードの効果器であるが、抗原結合には関与しない。pFc’領域が酵素切断されている抗体、またはpFc’領域なしで産生された抗体は、F(ab’)フラグメントと称され、完全な抗体の抗原結合部位の両方を保持する。同様に、Fc領域が酵素切断されている抗体、またはFc領域なしで産生された抗体は、Fabフラグメントと称され、完全な抗体分子の抗原結合部位の一つを保持する。Fabフラグメントは、共有結合した、抗体軽鎖と、Fdと表記される抗体重鎖の一部とからなる。このFdフラグメントは、抗体特異性の主要な決定要因であり(単一のFdフラグメントは、抗体特異性を変化させることなく10個までの異なる軽鎖と関連する)、Fdフラグメントは、単離されてもエピトープ結合能力を保持する。
当該分野において周知であることだが、抗体の抗原結合部分内において、抗原のエピトープと直接的に相互作用する相補性決定領域(CDR)、およびパラトープの三次構造を維持するフレームワーク領域(FR)が存在する(一般に、Clark, 1986; Roitt, 1991を参照のこと)。重鎖Fdフラグメントと軽鎖IgG免疫グロブリンとの両方において、4個のフレームワーク領域(FR1〜FR4)が存在し、各々、3個の相補性決定領域(CDR1〜CDR3)によって分離される。これらのCDR、特にCDR3領域、さらに特定的には重鎖CDR3が、主として抗体特異性の原因である。
哺乳動物抗体の非CDR領域が、元の抗体のエピトープ特異性を保持しながら、非特異的または異種特異的な抗体の同様の領域で置換され得ることは、当該分野において現在よく確立されている。このことは、非ヒトCDRがヒトFR領域および/またはヒトFc/pFc’領域に共有結合して機能的抗体を産生する、「ヒト化」抗体の開発および使用において、最も明らかに明示される。例えば、米国特許第4,816,567号、同第5,225,539号、同第5,585,089号、同第5,693,762号、および同第5,859,205を参照のこと。
完全にヒトのモノクローナル抗体もまた、ヒト免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の遺伝子座の大部分について遺伝子導入されたマウスを免役することによって、調製され得る。これらのマウス(例えば、XenoMouse(Abegenix)、HuMAbマウス(Medarex/GenPharm))の免疫の後で、標準的なハイブリドーマ技術に従って、モノクローナル抗体を調製してもよい。これらのモノクローナル抗体は、ヒト免疫グロブリンアミノ酸配列を有し、従って、ヒトに投与された場合、ヒト抗マウス抗体(HAMA)応答を誘発しない。
従って、当業者に明らかであるように、本発明はまた、以下を提供する:F(ab)、Fab、Fv、およびFdフラグメント;Fc領域および/またはFR領域および/またCDR1領域および/またCDR2領域および/または軽鎖CDR3領域が、相同なヒト配列または非ヒト配列によって置換されている、キメラ抗体;FR領域および/またはCDR1領域および/またはCDR2領域および/または軽鎖CDR3領域が、相同なヒト配列または非ヒト配列によって置換されている、キメラのF(ab)フラグメント抗体;FR領域および/またはCDR1領域および/またはCDR2領域および/または軽鎖CDR3領域が、相同なヒト配列または非ヒト配列によって置換されている、キメラのFabフラグメント抗体;ならびに、FR領域および/またはCDR1領域および/またはCDR2領域が、相同なヒト配列または非ヒト配列によって置換されている、キメラのFdフラグメント抗体。本発明はまた、いわゆる一本鎖抗体(例えば、ScFv)、(一本鎖)ドメイン抗体、および/または他の細胞内抗体を包含する。
従って、本発明は、癌−精巣抗原に特異的に結合する、多種類の大きさおよび型のポリペプチドを包含する。これらのポリペプチドは、抗体技術の他の供給源からも得ることができる。例えば、かかるポリペプチド結合薬剤は、固定形態において、またはファージディスプレイライブラリーとして、溶液中で容易に調製され得る縮重(degenerate)ペプチドライブラリーによって提供され得る。また、1個以上のアミノ酸を含むペプチドから、コンビナトリアルライブラリーを合成してもよい。さらに、ペプチド合成部分と非ペプチド合成部分とから、ライブラリーを合成してもよい。
本発明の癌−精巣抗原は、本発明の癌−精巣抗原のペプチド結合パートナーを同定および選択するための、ファージディスプレイライブラリーを含むペプチドライブラリーのスクリーニングに使用されてもよい。かかる分子は、記載されるように、スクリーニングアッセイのために使用されても、診断アッセイのために使用されても、精製プロトコルのために使用されても、または、薬物、トキシン、および/または標識剤(例えば、放射性同位元素、蛍光分子など)を、癌−精巣分子を発現する細胞(異常な癌−精巣発現を有する癌細胞など)にターゲティングするために使用されてもよい。
ファージディスプレイは、本発明に関して有用である結合ペプチドの同定において、特に効果的であり得る。簡単に述べると、従来の手順を使用して、(例えば、m13ファージ、fdファージ、またはラムダファージを使用して)4個〜約80個のアミノ酸残基の挿入断片を呈示する、ファージライブラリーを調製する。この挿入断片は、例えば、完全に縮重するアレイ(degenerate array)またはバイアスされたアレイ(biased array)を表す。次いで、癌−精巣抗原に結合する、ファージが運搬する挿入断片を選択することができる。このプロセスを数回にわたって繰り返し、癌−精巣ポリペプチドに結合するファージの再選択してもよい。繰り返しは、特定の配列を運搬するファージの濃縮をもたらす。発現されたポリペプチドの配列を同定するために、DNA配列分析を行ってもよい。癌−精巣ポリペプチドに結合する配列の最小直鎖部分を決定してもよい。この最小直鎖部分の一部または全部とその上流または下流の1個以上のさらなる縮重残基とを含む挿入断片を含有する、バイアスされたライブラリー(biased library)を使用して、この手順を繰り返してもよい。また、酵母ツーハイブリッドスクリーニング法を、癌−精巣抗原に結合するポリペプチドを同定するために使用してもよい。
本明細書において詳述されるように、前述の抗体および他の結合分子を、癌−精巣抗原の正常または異常な発現を有する組織を同定するために使用してもよい。また、標準的な結合手順に従って、正常もしくは異常な癌−精巣抗原発現を有する細胞および/もしくは組織のイメージングのための特定の診断標識剤、または治療上有用な薬剤に、抗体を結合させてもよい。本明細書において使用される場合、「治療上有用な薬剤」は、望ましくは、選択的に異常な癌−精巣発現を有する細胞または組織に選択的にターゲティングされる、任意の治療分子を含む。
インビボ使用のための診断用薬剤として、以下が挙げられるが、それらに限定されない:硫酸バリウム、ヨーセタム酸、イオパノ酸、カルシウムイポデート(ipodate calcium)、ジアトリゾ酸ナトリウム(diatrizoate sodium)、ジアトリゾ酸メグルミン、メトリザミド、チロパノ酸ナトリウム(tyropanoate sodium)、ならびに、以下を含む放射性診断薬(radiodiagnostic):フッ素−18および炭素−11などのポジトロン放射体、ヨウ素−123、テクニチウム−99、ヨウ素−131、およびインジウム−111などのガンマ放射体、ならびに、フッ素およびガドリニウムなどの核磁気応答のための核種。本発明において有用な他の診断用薬剤は、当業者に公知である。
また、癌−精巣抗原を治療としてターゲティングするために、本発明の抗体は使用されてもよい。好ましい態様において、細胞表面に発現される抗原をターゲティングするために、抗体を使用してもよい。これらの抗体を、検出可能なマーカーのみならず、抗腫瘍剤または免疫モジュレーターにも結合させてもよい。抗腫瘍剤として、細胞傷害性薬剤、および腫瘍新生脈管構造(neovasculature)に作用する薬剤が挙げられ得る。検出可能なマーカーとして、例えば、放射性マーカーまたは蛍光マーカーが挙げられる。細胞傷害性薬剤として、細胞傷害性放射性核種、化学トキシン、およびタンパク質トキシンが挙げられる。
上記の細胞傷害性放射性核種または放射療法(radiotherapeutic)アイソトープは、好ましくは、225Ac、211At、212Bi、213Bi、212Pb、224Ra、または223Raなどのα放出性アイソトープである。あるいは、上記の細胞傷害性放射性核種は、186Rh、188Rh、177Lu、90Y、131I、67Cu、64Cu、153Sm、または166Hoなどのβ放出性アイソトープであってもよい。さらに、上記の細胞傷害性放射性核種は、オージェ電子および低エネルギー電子を放出してもよく、そのような核種として、以下のアイソトープ:125I、123I、または77Brが挙げられる。
好適な化学トキシンまたは化学治療剤として、カリチアマイシンおよびエスペラミシンなどのエンジインファミリー分子のメンバーが挙げられる。化学トキシンはまた、以下:メトトレキサート、ドキソルビシン、メルファラン、クロランブシル、ARA−C、ビンデシン、マイトマイシンC、シスプラチン、エトプシド、ブレオマイシン、および5−フルオロウラシルからなる群より選んでもよい。本発明の抗体と結合され得る他の抗新生物剤として、ドラスタチン(米国特許第6,034,065号、および同第6,239,104号)、ならびにその誘導体が挙げられる。特に重要であるのは、ドラスタチン10(ドラバリン(dolavaline)−バリン−ドライソロイシン(dolaisoleuine)−ドラプロリン(dolaproine)−ドラフェニン(dolaphenine))、ならびにその誘導体であるオーリスタチン(auristatin)PHE(ドラバリン−バリン−ドライソロイシン−ドラプロリン−フェニルアラニン−メチルエステル)(Pettit, G.Rら、Anticancer Drug Des. 13(4):243-277, 1998; Woyke, T.ら、Antimicrob. Agents Chemother. 45(12):3580-3584, 2001)およびオーラスタチン(aurastatin)Eなどである。本発明の組成物および方法においてより好ましくないトキシンとして、毒性のレクチン類、リシン、アブリン、モデクシン(modeccin)などの植物トキシン、ボツリヌス(botulina)毒およびジフテリア毒が挙げられる。勿論、種々のトキシンの組み合わせもまた、一つの抗体分子に結合させられ得、それによって、多様な細胞傷害性を提供し得る。他の化学治療剤は、当業者に公知である。
腫瘍脈管構造に作用する薬剤として、コンブレタスタチン(combretastatine)A4(Griggsら、Lancet Oncol. 2:82, 2001)などのチューブリン結合剤、アンジオスタチンおよびエンドスタチン(Rosen, Oncologist 5:20, 2000において概説され、本明細書において参考として援用される)、インターフェロン誘導タンパク質10(米国特許第5,994,292号)が挙げられ得る。現在臨床試験中の多数の血管新生抑制剤もまた、企図される。現在臨床試験中の薬剤として、以下が挙げられる:2ME2、アンジオスタチン、Angiozyme、Anti-VEGF RhuMAb、Apra (CT-2584)、Avicine、Benefin、BMS275291、カルボキシアミドトリアゾール(Carboxyamidotriazole)、CC4047、CC5013、 CC7085、CDC801、CGP-41251 (PKC 412)、CM101、コンブレスタチン(Combretastatin)A-4 のプロドラッグ、EMD 121974、エンドスタチン、フラボピリドール(Flavopiridol)、ゲニステイン(GCP)、緑茶抽出物、IM-862、ImmTher、インターフェロンアルファ、インターロイキン−12、イレッサ(ZD1839)、Marimastat、Metastat (Col-3)、Neovastat、Octreotide、パクリタキセル、ペニシラミン、フォトフリン、Photopoint、PI-88、Prinomastat (AG-3340)、PTK787 (ZK22584)、RO317453、Solimastat、スクアラミン、SU 101、SU 5416、SU-6668、Suradista (FCE 26644)、スラミン(Metaret)、テトラチオモリブデート(Tetrathiomolybdate)、サリドマイド、TNP-470およびVitaxin。さらなる抗血管新生剤は、Kerbel(J. Clin. Oncol. 19(18s):45s-51s, 2001)によって記載され、この文献は、本明細書において参考として援用される。上記の抗体への結合に好適な免疫モジュレーターとして、α−インターフェロン、γ−インターフェロン、および腫瘍壊死因子α(TNFα)が挙げられる。
1種類または2種類以上のトキシン分子の抗体に対する結合は、多くの化学機構(例えば、共有結合、アフィニティー結合、インターカレーション、配位結合(coordinate binding)、および錯体形成)を包含するように計画される。免疫トキシンを調製するために使用される上記の毒性化合物は、当該分野において公知の標準的なプロトコルによって、抗体またはそれらの抗原結合フラグメントに結合される。
本明細書において記載されるように、癌−精巣分子および抗体および他の結合分子は、診断、予後の決定、および疾患の処置のために使用されてもよい。「疾患」とは、本明細書において使用される場合、上記の癌−精巣抗原が異常発現される任意の病理学的状態を指す。かかる疾患の一例は、癌である。ヒトの癌について、さらなる特定の例として、以下が挙げられる:胆道癌;膀胱癌;乳癌;神経膠芽腫および骨芽腫を含む脳癌;子宮頸部癌;絨毛癌;結腸直腸癌を含む結腸癌;子宮内膜癌;食道癌;胃癌;頭頸部癌;急性リンパ性白血病および急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、AIDS関連白血病、および成人T細胞白血病リンパ腫を含む血液腫瘍;ボーエン病およびパジェット病を含む上皮内新生物;肝癌;小細胞肺癌および非小細胞肺癌を含む肺癌;ホジキン病およびリンパ球性リンパ腫を含むリンパ腫;神経芽細胞腫;扁平上皮癌を含む口腔癌;骨肉腫;上皮細胞、間質細胞、生殖細胞、および間葉系細胞から生じるものを含む卵巣癌;膵臓癌、前立腺癌;直腸癌;平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、繊維肉腫、滑膜肉腫、神経繊維肉腫(neurosarcoma)、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性繊維性組織球腫、グリオーマ、食道癌、肝細胞腫、および骨肉腫を含む肉腫;メラノーマ、カポジ肉腫、基底細胞癌、および扁平上皮癌を含む皮膚癌;セミノーマ、非セミノーマ(テラトーマ、絨毛癌)、間質性癌(stromal tumor)、および生殖細胞癌などの胚腫瘍を含む精巣癌;精巣癌;甲状腺の腺癌および髄様癌(medullar carcinoma)を含む甲状腺癌;腺癌およびウィルムス腫瘍を含む移行性癌(transitional cancer)および腎臓癌。
癌についての従来の処置として、外科的介入、化学治療、放射線治療、およびアジュバント全身治療が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の一つの局面において、処置は、癌−精巣抗原に特異的に結合する抗体などの結合ポリペプチドを投与する工程を包含してもよい。これらの結合ポリペプチドを、必要に応じて、上記のような一種類以上の検出可能なマーカー、抗腫瘍剤、または免疫モジュレーターに結合させてもよい。
本発明の別の局面において、癌の処置は、癌−精巣分子がアップレギュレートされるかまたは異常に過剰発現される癌を罹患する被験体において、本発明の癌−精巣ポリペプチドの発現レベルおよび/または機能レベルを低下させるために、アンチセンス分子またはRNAi分子を投与する工程を包含する。RNA干渉または「RNAi」の使用は、遺伝子発現を遮断するための二本鎖RNA(dsRNA)の使用を包含する(Sui, G, et al, Proc Natl. Acad. Sci U.S.A. 99:5515-5520,2002を参照のこと)。当業者は、本発明の態様においてRNAi戦略を適用する方法を理解する。
癌−精巣ポリペプチドの発現を低下させるために、分子干渉RNA(siRNA)分子が使用される方法を使用してもよい。一局面において、一種類以上の癌−精巣ポリペプチドの発現を低下させるRNA干渉(RNAi)をもたらすために、細胞を、siRNA分子と接触させる。このsiRNA分子は、癌−精巣ポリペプチドをコードする核酸(例えば、非翻訳領域および翻訳領域を含むRNA転写物)に対して指向される。本発明の好ましい局面において、癌−精巣ポリペプチドは、CT45である。さらに好ましい局面において、癌−精巣ポリペプチドは、CT46ポリペプチドである。標的となる癌−精巣ポリペプチドの発現レベルは、タンパク質発現のレベルを決定するためのウェスタンブロッティング、および標的遺伝子のmRNA転写物のレベルを決定するためのノーザンブロッティングまたはRT−RCRなどの周知の方法を使用して決定してもよい。
本明細書において使用される場合、「siRNA」分子は、センス鎖とアンチセンス鎖とからなる二本鎖RNA分子(dsRNA)、またはdsRNA成分(例えば、自己とハイブリダイズするその分子のセクション(例えば、「ヘアピン」構造))を有する一本鎖分子である。このsiRNA分子のアンチセンス鎖は、センス鎖の相補物である(Tuschl, T.ら、1999, Genes & Dev., 13:3191-3197; Elbashir, S.M.ら、2001, EMBO J., 20:6877-6888;本明細書において参考として援用される)。一つの態様において、アンチセンス鎖の3’末端の最後のヌクレオチドは、任意のヌクレオチドであってよく、その標的遺伝子のその領域に対して相補的である必要はない。siRNA分子は、19〜23ヌクレオチド長であってもよく、ヘアピン構造を形成してもよい。一つの好ましい態様において、siRNA分子は、センス鎖上に2ヌクレオチドの3’突出を含む。第二の好ましい態様において、この2ヌクレオチドの突出は、チミジン−チミジン(TT)である。siRNA分子は、標的遺伝子の少なくとも一部に対応する。一態様において、siRNA分子は、cDNA標的遺伝子から選択される、開始コドンの50〜100ヌクレオチド下流で始まる領域に対応する。好ましい態様において、siRNA分子の第一のヌクレオチドは、プリンである。
siRNA分子は、プラスミドベースであってもよい。好ましい方法において、癌−精巣ポリペプチドをコードする核酸配列は、周知のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を使用して増幅される。ポリペプチドをコードする配列全体を使用する必要はない;当該分野において周知であるように、ポリペプチドをコードする配列の一部が、RNA干渉のために十分である。当業者に周知の慣例的な技術を使用して、RCRフラグメントがベクターに挿入される。一局面において、ヌクレオチドコード配列は、CT45のコード配列である。別の好ましい局面において、ヌクレオチドコード配列は、CT46のコード配列である。これらの組み合わせを、細胞に導入される単一のベクターから発現させても、複数のベクターから発現させてもよい。
本発明の一局面において、本発明のヌクレオチドコード配列のいずれかを含む哺乳動物ベクターが提供される。これらの哺乳動物ベクターとして、pSUPER RNAiベクター(Brummelkamp, T.R.ら、2002, Science, 296:550-553;本明細書において参考として援用される)が挙げられるが、これらに限定されない。一態様において、制限部位を使用してステムループ構造を作製し、ヌクレオチドコード配列を哺乳動物ベクターに挿入してもよい。第二の態様において、哺乳動物ベクターは、ポリメラーゼIII H1−RNA遺伝子プロモーターを含んでもよい。ポリメラーゼIII H1−RNAプロモーターは、ポリアデノシン末端を欠失し、周知の転写開始シグナルと一列の5個のチミジンからなる終止シグナル(T5)とを有する、RNA転写物を生成する。終止部位での転写物の切断は、第二のウリジンの後で起こり、2個の3’突出のTヌクレオチドまたはUヌクレオチドを含む、合成siRNAの末端に類似する転写物を生じる。このsiRNA分子のアンチセンス鎖は、その標的遺伝子のmRNAの対応する領域にハイブリダイズする。
哺乳動物細胞におけるmRNA発現のための好ましい系は、Brummelkampら(2002, Science, 296:550-553)において記載されるようなpSUPER RNAi系などである。他の例として、pSUPER.neo、pSUPER.neo+gfp、pSUPER.puro、BLOCK-iT T7-TOPOリンカー、pcDNA1.2/V5-GW/lacZ、pENTR/U6、pLenti6-GW/U6-laminshrna、および pLenti6/BLOCK-iT-DESTが挙げられるが、これらに限定されない。これらのベクターは、Invitrogenなどの供給源から入手可能であり、当業者はこれらを入手して使用することができる。
本明細書において記載されるような癌−精巣ポリペプチドはまた、本発明の一局面において、免疫応答を導入または増強するために使用されてもよい。本開示に基づくいくつかの治療的アプローチは、一種類以上の本発明の癌−精巣抗原を呈示する癌細胞などの抗原呈示細胞の溶解をもたらす、被験体の免疫系による応答を前提とする。一つのかかるアプローチは、目的の表現型が異常な細胞を有する被験体に対する、癌−精巣抗原/MHC複合体に特異的な自家性CTLの投与である。かかるCTLをインビトロで開発することは、当業者の能力の範囲内である。T細胞分化のための方法の例は、国際出願番号PCT/US96/05607において表される。一般に、被験体から採取された細胞のサンプル(血球細胞など)を、上記の複合体を呈示し、CTLを刺激して増殖させ得る細胞と、接触させる。標的細胞は、COS細胞などの形質移入体であってもよい。あるいは、COS細胞に形質移入する代わりに、PBMCから精製される樹状細胞(DC)などの自家性APCを使用してもよい。DCは、抗原によって形質移入されても、抗原をパルス移入(pulse)されてもよく、この抗原は、全長タンパク質またはペプチド抗原のいずれでもよい(Ayyoub, M.ら、J. Immunol 2004 172:7206-7211, Ayyoub M.ら、J Clin Invest 2004 113:1225-33)。これらの形質移入体は、それらの表面の所望の複合体を呈示し、目的のCTLと組み合わされる場合、その増殖を刺激する。COS細胞は広く入手可能であり、他の好適な宿主細胞も同様である。CTLクローンの特異的な産生は、当業者に周知である。次いで、クローンとして増殖された自家性CTLを、被験体に投与する。
抗原特異的CTLクローンを選択するための別の方法は、記載されており(Altmanら、Science 274:94-96, 1996; Dunbarら、Curr. Biol. 8:413-416, 1998)、ここで、MHCクラスI分子/ペプチド複合体の蛍光発生テトラマーまたは蛍光発生マルチマーが、特異的なCTLクローンを検出するために使用される。簡単に述べると、可溶性MHCクラスI分子を、β−マイクログロブリンとクラスI分子に結合するペプチド抗原との存在下においてインビトロで折り畳む。精製後、このMHC/ペプチド複合体を精製し、ビオチンで標識する。ビオチン化されたペプチド−MHC複合体と標識されたアビジン(例えば、フィコエリスリン)とを4:1のモル濃度比で混合することによって、テトラマーを形成させる。次いで、テトラマーと、末梢血またはリンパ節などのCTL供給源とを接触させる。これらのテトラマーは、ペプチド抗原/MHCクラスI複合体を認識するCTLと結合する。これらのテトラマーによって結合される細胞を、蛍光によって活性化される細胞分類によって分類し、反応性のCTLを単離する。次いで、本明細書において記載されるような用途のために、単離されたCTLを、インビトロで増殖させてもよい。テトラマーとしてのMHCクラスII分子の使用は、最近Crawfordら(Immunity 8:675-682, 1998)によって示された(Dunbar and Ogg, J. Immunol. Methods 268(1):3-7, 2002; Arnoldら、J. Immunol. Methods 271(1-2):137-151, 2002も参照のこと)。マルチマーの可溶性MHCクラスII分子は、共有結合するペプチド(これは、リンカー分子によって結合しても、リンカー分子なしで結合してもよい)と複合体形成するが、ペプチドをクラスII分子上にロード(load)することもできる。クラスIIのテトラマーは、特定のT細胞に好適な特異性およびアフィニティーで結合することが示された。従って、ワクチン接種プロトコルに対するCD4細胞およびCD8細胞の両方の応答をモニタリングするために、テトラマーを使用することができる。MHCクラスII分子のマルチマー複合体の調製のための方法は、Huguesら、J. Immunological Meth. 268: 83- 92 (2002)において記載され、この文献において引用される引用文献は、その各々が参考として援用される。
アミノ酸置換を選択するための計算方法(双方向コンピューター構造モデル化(interactive computer structural modeling)など)もまた、変異体を調製するために、当業者によって行われ得る。HLAクラスII結合ペプチドの機能的変異体は、主要組織適合複合体HLA−DRタンパク質の結合ドメインもしくは結合ポケット、および/またはHLAクラスII結合ペプチドのT細胞レセプター(「TCR」)接触ポイントの分析によって開発され得る。HLAクラスII結合ポケットの形成に関与する残基の詳細な構造分析を提供することによって、あらゆるHLAクラスIIタンパク質に対するペプチドの結合についての、配列モチーフを予測することができる。
上記の配列モチーフを、検索基準、評価基準、または設計基準として使用して、特定のHLA分子に結合する妥当な可能性、およびT細胞と相互作用してT細胞応答を誘導する妥当な可能性を有するペプチドのクラスを同定することができる。これらのペプチドを合成して、本明細書において記載されるような活性について試験してもよい。純粋な配列相同性(これは、抗原性は類似するが配列が明らかに異なる多数のペプチドを除外する)、または無制限に「保存的」置換を有する配列相同性(これは、保存性の高い重要な部位が異なる多数のペプチドを許容する)とは対照的なこれらのモチーフの使用は、当業者が、ペプチドを疾患の処置における適用の可能性について評価し得る代表的な方法である。
StromingerおよびWucherpfennigのPCT出願(PCT/US96/03182)、ならびにこの出願において引用される文献(それらの全てが参考として援用される)は、HLAクラスII、およびHLAクラスIIペプチドの残基と接触するTCR結合ポケットを記載する。HLAクラスIIおよび/もしくはTCR結合ポケットにおいて結合し得る残基を一定に保つことによって、または、特定の置換のみを許容することによって、HLAクラスIIおよびT細胞レセプターへの結合を保持するHLAクラスII結合ペプチドの機能的変異体を調製することができる。
養子移入として言及される一治療的方法(Greenberg, J. Immunol. 136(5): 1917, 1986; Riddelら、Science 257: 238, 1992; Lynchら、Eur. J. Immunol. 21: 1403-1410,1991; Kastら、Cell 59: 603-614, 1989)において、所望の複合体を呈示する細胞(例えば、樹状細胞)は、CTLと組み合わされて、それらに特異的なCTLの増殖をもたらす。次いで、増殖したCTLは、特定の複合体を呈示する異常細胞のうち特定のものを特徴とする細胞の異常を有する被験体に投与される。次いで、CTLは、異常細胞を溶解し、それによって、所望の治療目的を達成する。
前述の治療は、被験体の異常細胞のうちの少なくとも一部が、好適なHLA/癌関連抗原複合体を呈示することを前提とする。このことは、非常に容易に決定され得る。なぜならば、特定のHLA分子を呈示する細胞を同定するための方法、ならびに、関連する配列(この場合は、癌−精巣抗原の配列)のDNAを発現する細胞を同定する方法は、当該分野において非常によく知られているからである。前述のスクリーニング方法を介して好適な複合体を呈示する細胞が同定した後、これらの細胞を、CTLを含む被験体由来のサンプルと組み合わせてもよい。複合体を呈示する細胞が、混合されたCTLサンプルによって溶解される場合、癌−精巣抗原が呈示されていること、および被験体が上記の治療的アプローチについての好適な候補であることが推測され得る。
養子移入は、本発明によって利用可能な治療の唯一の形態ではない。多数のアプローチを使用して、CTLをインビボで誘導してもよい。一つのアプローチは、上記の複合体を発現する非増殖性細胞の使用である。このアプローチにおいて使用される細胞は、その複合体を通常発現する細胞(照射された腫瘍細胞、またはその複合体の呈示のために必要な遺伝子(すなわち、抗原ペプチドおよびそれを呈示するMHC分子)の一方もしくは両方を形質移入された細胞など)であってよい。Chenら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 110-114,1991)は、このアプローチを例示し、治療レジメンにおける、HPV E7ペプチドを発現する形質移入された細胞の使用を示す。種々の細胞型が使用され得る。同様に、目的の遺伝子の一方または両方を運搬するベクターが使用されてもよい。ウイルスベクターまたは細菌ベクターが、特に好ましい。例えば、癌−精巣ポリペプチドをコードする核酸を、特定の組織型または細胞型においてその癌−精巣抗原ポリペプチドの発現を誘導するプロモーター配列およびエンハンサー配列に、作動的に結合させてもよい。これらの核酸を、発現ベクターに組み込んでもよい。
発現ベクターは、未改変の染色体外核酸であっても、外因性核酸(本明細書において他の箇所に記載されるような癌−精巣抗原をコードする核酸など)の挿入を可能にするために構築または改変されたプラスミドまたはウイルスゲノムであってもよい。また、癌−精巣抗原をコードする核酸をレトロウイルスのゲノムに挿入して、それによって標的の組織または細胞の型のゲノムへのその核酸の組み込みを促進してもよい。これらの系において、目的の遺伝子は、微生物(例えば、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルス、レトロウイルス、またはアデノウイルス)、および事実上宿主に「感染」する物質によって、運搬される。生じる細胞は、目的の複合体を呈示し、自家性CTLによって認識され、次いで、この自家性CTLが増殖する。
癌−精巣ポリペプチドまたはその刺激性フラグメントと、アジュバントとを組み合わせて、インビボでの抗原呈示細胞への組み込みを促進することによって、同様の効果が得られる。癌−精巣ポリペプチドは、MHC分子のペプチドパートナーを得るために処理されるが、癌−精巣フラグメントは、さらなる処理を必要とせずに呈示され得る。一般に、被験体は、有効量の癌−精巣抗原の、皮内注射、静脈内注射、皮下注射、または筋肉内注射を受け得る。当該分野において標準的な免疫プロトコルに従って、初期用量の後に、二週間毎(bi-weekly)または三週間毎(tri-weekly)、一週間毎または一ヶ月毎の、追加免疫用量を続けてもよい。好ましい癌−精巣抗原として、自然に誘導された免疫または自発的に誘導された免疫の証拠が観察され得るものが挙げられる。このことは、抗原特異的なCD8 T細胞またはCD4 T細胞が、抗原を発現する腫瘍を有する癌患者に頻出することの証明、または、かかる癌患者における自家性抗原特異的抗体の存在の証明であり得、好ましくはその両方であり得る(Jagerら、PNAS 2000 97:4700-5; Gnjatic et al PNAS 2003 100:8862-7)。
本発明は、被験体を「免疫」するため、または「ワクチン」としての、本明細書において開示される種々の材料の使用を包含する。本明細書において使用される場合、「免疫」または「ワクチン接種」とは、ある抗原に対する免疫応答を増大させるかまたは活性化することを意味する。これは、ある状態の消失または根絶を必要としないが、むしろ、ある抗原に対するある免疫応答の臨床的に好ましい増強を企図する。癌−精巣核酸を使用しての癌に対する免疫を試験するために、一般的に許容される動物モデルを使用してもよい。例えば、ヒト癌細胞をマウスに導入して、腫瘍を作り出してもよく、一種類以上の癌−精巣核酸を、本明細書において記載される方法によって送達してもよい。癌細胞に対する効果(例えば、腫瘍の大きさの減少)を、癌−精巣核酸免疫の有効性の指標として評価してもよい。勿論、より従来的な免疫方法を使用する前述の動物モデルの試験は、免疫応答を後押しするための一種類以上のアジュバントおよび/またはサイトカインと必要に応じて組み合わされる、一種類以上の癌−精巣ポリペプチドまたはそれらに由来するフラグメントの投与を含む。
ワクチン組成物の処方および用量の選択、投与経路および投与計画(例えば、初回用量、および一回以上の追加免疫用量)を包含する免疫のための方法は、当該分野において周知である。また、ヒトにおいてこれらの試験を行ってもよく、ここで、エンドポイントは、抗原を運ぶ細胞に対する循環CTLが増強したレベルで存在することについて試験すること、抗原に対する循環抗体のレベルについて試験すること、抗原を発現する細胞の存在について試験することなどである。
免疫組成物の一部として、一種類以上の癌−精巣ポリペプチドまたはそれらの免疫原性フラグメントは、免疫応答を誘導するため、または免疫応答を増大するための、一種類以上のアジュバントとともに投与される。アジュバントは、抗原に組み込まれるか、または抗原とともに投与される物質であって、免疫応答を増強する。アジュバントは、(細胞外で、またはマクロファージ内で)抗原の蓄積物を提供し、マクロファージを活性化して特定のセットのリンパ球を刺激することによって、免疫学的応答を増強する。他種類のアジュバントが、当該分野において周知である。アジュバントの特定の例として、以下が挙げられる:一リン酸化脂質A(monophosphoryl lipid A:MPL, SmithKline Beecham)、Salmonella minnesota Re 595リポ多糖の精製および酸による加水分解の後で得られる同類物;QS21(SmithKline Beecham)を含むサポニン、キラヤ(Quillja saponaria)抽出物から精製される純粋なQA-21サポニン;PCT出願WO96/33739において記載されるDQS21(SmithKline Beecham)、Quillaia saponaria molinaの木の樹皮に由来するISCOM(CSL Ltd., Parkville, Victoria, Australia);QS-7、QS-17、QS-18およびQS-L1(Soら、Mol. Cells 7:178-186, 1997);フロイント不完全アジュバント;フロイント完全アジュバント;モンタナイド(montanide);ミョウバン;CpGオリゴヌクレオチド(例えば、Kreigら、Nature 374:546-9, 1995;米国特許第6,207,646号を参照のこと)、および他の免疫刺激性オリゴヌクレオチド;生分解性の油(スクアランおよび/またはトコフェロールなど)から調製される種々の油中水型乳濁剤;皮膚の外側部分において見出される特定の免疫細胞上のいわゆる「トール様受容体7」によって吸収される因子(イミキモド(imiquimod)(3M, St. Paul, Minnesota)など)。好ましくは、抗原は、DQS21/MPLの組み合わせと混合されて投与される。MPLに対するQS21の比は、代表的には、約1:10〜約10:1であり、好ましくは約1:5〜約5:1であり、より好ましくは、約1:1である。代表的には、ヒト投与のために、DQS21およびMPLは、ワクチン処方物中に、約1μg〜約100μgの範囲で存在する。他のアジュバントが当該分野において公知であり、それらを本発明において使用してよい(例えば、Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, 2nd Ed., 1986を参照のこと)。ポリペプチドとアジュバントとの混合物または乳濁剤を調整するための方法は、ワクチン接種の分野において周知である。
また、被験体の免疫応答を刺激する他の薬剤を、被験体に投与してもよい。例えば、他のサイトカインもまた、そのリンパ球調節特性の結果として、ワクチン接種プロトコルのために有用である。かかる目的のために有用な多数のサイトカインが、当業者に公知であり、そのようなサイトカインとして、ワクチンの保護的作用を増強することが示されているインターロイキン−12(IL-12)(例えば、Science 268: 1432-1434, 1995を参照のこと)、GM-CSF、IL-18、およびIL-15(Klebanoffら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2004 101:1969-74)が挙げられる。従って、サイトカインを、抗原およびアジュバントと組み合わせて投与し、その抗原に対する免疫応答を増大させてもよい。
ワクチン接種プロトコルにおいて使用することができる多数の免疫応答増強化合物が存在する。これらは、タンパク質または核酸のいずれかの形態において提供される共刺激分子を含む。かかる共刺激分子として、樹状細胞(DC)上に発現されて、T細胞上に発現されるCD28分子と相互作用する、B7-1分子およびB7-2分子(それぞれ、CD80およびCD86)が挙げられる。この相互作用は、抗原/MHC/TCR(シグナル1)によって刺激されたT細胞に対する共刺激(シグナル2)を提供し、T細胞の増殖と効果器機能を増強させる。B7はまた、T細胞上のCTLA4(CD152)と相互作用し、CTLA4リガンドおよびB7リガンドに関与する研究は、B7−CTLA4相互作用が抗腫瘍免疫およびCTL増殖を増強し得ることを示す(Zheng P.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95 (11):6284-6289 (1998))。
B7は、代表的には、腫瘍細胞においては発現されないので、T細胞のための効率的な抗原呈示細胞(APC)ではない。B7発現の誘導は、腫瘍細胞がより効率的にCTLの増殖および効果器機能を刺激することを可能にする。B7/IL-6/IL-12共刺激の組み合わせは、T細胞集団においてIFN−γおよびTh1サイトカインのプロフィールを誘導し、さらに増強されたT細胞活性をもたらすことが示されている(Gajewskiら、J. Immunol, 154:5637-5648 (1995))。B7による腫瘍細胞の形質移入は、Wangら(J. Immunol., 19:1-8 (1986))による養子移入免疫治療のためのインビトロのCTL増殖との関連において考察されてきた。B7分子のための他の送達機構として、核酸(ネイキッド(naked)DNA)免疫(Kim J.ら、Nat. Biotechnol., 15:7:641-646 (1997))、ならびに、アデノおよびポックスなどの組み替えウイルス(Wendtnerら、Gene Ther., 4:7:726-735 (1997))が挙げられる。これらの系は、全て、B7と、選択される他の分子(本明細書において考察される抗原または抗原のフラグメント(ポリトープ(polytope)を含む)、またはサイトカインなど)との共発現のための、発現カセットの構築および使用を受け容れることができる。これらの送達系を、インビトロでの好適な分子の誘導のため、およびインビボでのワクチン接種の場合のために使用してもよい。インビボおよびインビトロで直接的にT細胞を刺激するための抗CD28抗体の使用もまた、考えられ得る。同様に、前述の抗原に対するT細胞応答を誘導する、誘導可能な共刺激分子であるICOSを、例えば、抗ICOS抗体(Hutloffら、Nature 397:263-266, 1999)の使用によって、調節してもよい。
リンパ球機能関連抗原−3(LFA-3)は、APCおよびいくつかの腫瘍細胞上に発現され、T細胞上に発現されるCD2と相互作用する。この相互作用が、T細胞のIL-2およびIFN−γの産生を誘導し、従って、B7/CD28共刺激相互作用を補完することができるが、置換することはできない(Parra et al., J. Immunol., 158:637-642 (1997), Fenton et al., J. Immunother., 21:2:95-108 (1998))。
リンパ球機能関連抗原−1(LFA-1)は、白血球上に発現され、APCおよびいくつかの腫瘍細胞上に発現されるICAM-1と相互作用する。この相互作用が、T細胞のIL-2およびIFN−γの産生を誘導し、従って、B7/CD28共刺激相互作用を補完することができるが、置換することはできない(Fentonら、J. Immunother., 21:2:95-108 (1998))。従って、LFA-1は、上記の種々の方法におけるB7のためのワクチン接種プロトコルにおいて提供され得る共刺激分子のさらなる例である。
完全なCTLの活性化および効果器機能は、Th細胞のCD40(CD40リガンド)分子と、DCによって発現されるCD40分子との間の相互作用を介する、Th細胞の補助を必要とする(Ridgeら、Nature, 393:474 (1998)、Bennettら、Nature, 393:478 (1998)、Schoenbergerら、Nature, 393:480 (1998))。この共刺激シグナルのこの機構は、B7のアップレギュレーションおよび関連するDC(APC)によるIL-6/IL-12産生と関連し得る。上記のCD40−CD40L相互作用は、従って、シグナル1(抗原/MHC−TCR)およびシグナル2(B7−CD28)相互作用を補完する。
DC細胞を直接的に刺激するための抗CD40抗体の使用は、通常は炎症反応の構成物の外側で接触されるか、または専門でないAPC(腫瘍細胞)によって呈示される、腫瘍抗原に対する応答を増強することが予測される。これらの場合において、Thの補助およびB7共刺激シグナルは、提供されない。
本発明は、ワクチン接種のための核酸、ポリペプチド、またはそれらのフラグメントの送達を企図する。ポリペプチドおよびそれらのフラグメントの送達は、当該分野において周知である標準的なワクチン接種プロトコルに従って達成され得る。別の態様において、核酸の送達は、エキソビボの方法、すなわち、細胞を被験体から取り除き、その細胞を、癌−精巣ポリペプチドを含むように遺伝子操作し、そして操作された細胞を被験体に再導入することによって、達成される。かかる手順の一例は、米国特許第5,399,346号、およびその特許の出願ヒストリー中に提出された付属書において要約され、それらの全てが公共で入手可能な書類である。概して、これは、遺伝子の機能的コピーを被験体の細胞内へインビトロ導入すること、および、遺伝子操作された細胞を被験体へ戻すことに関連する。この遺伝子の機能的コピーは、遺伝子操作された細胞におけるこの遺伝子の発現を可能にする調節エレメントの作動可能な制御下にある。多数の形質転換技術および形質導入技術、ならびに好適な発現ベクターが、当業者に周知であり、そのうちのいくつかは、PCT出願WO95/00654において記載される。ウイルスおよびターゲティング化されたリポソームなどのベクターを使用するインビボでの核酸送達もまた、本発明によって企図される。
癌−精巣ポリペプチドをコードする核酸を送達するためのウイルスベクターは、以下からなる群より選択される:アデノウイルス類、アデノ随伴ウイルス類、ワクシニアウイルス類および弱毒ポックスウイルス類を含むポックスウイルス類、セムリキ森林ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、レトロウイルス類、シンドビスウイルス、ならびにTyウイルス様粒子。外因性核酸を送達するために使用されてきたウイルス類およびウイルス様粒子の例として、以下が挙げられる:複製欠損アデノウイルス類(例えば、Xiangら、Virology 219:220-227, 1996;Eloitら、J. Virol. 7:5375-5381, 1997;Chengalvalaら、Vaccine 15:335-339, 1997)、改変型レトロウイルス(Townsendら、J. Virol. 71:3365-3374, 1997)、非複製的レトロウイルス(Irwinら、J. Virol. 68:5036-5044, 1994)、複製欠損セムリキ森林ウイルス(Zhaoら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:3009-3013, 1995)、カナリアポックスウイルスおよび微弱毒(highly attenuated)ワクシニアウイルス類縁体(Paoletti, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:11349-11353, 1996)、非複製的ワクシニアウイルス(Moss, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:11341-11348, 1996)、複製的ワクシニアウイルス(Moss, Dev. Biol. Stand. 82:55-63, 1994)、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(Davisら、J. Virol. 70:3781-3787, 1996)、シンドビスウイルス(Pugachevら、Virology 212:587-594, 1995)、ならびにTyウイルス様粒子(Allsoppら、Eur. J. Immunol 26:1951-1959, 1996)。好ましいウイルスベクターは、アデノウイルスである。
好ましくは、前述の核酸送達ベクターは:(1)哺乳動物細胞において転写されて翻訳されることが出来、宿主において免疫応答を誘導することが出来る、外因性遺伝物質を含み、かつ(2)標的細胞(哺乳動物細胞など)の表面上のレセプターに選択的に結合し、それによってその標的細胞内へ進入し得る、表面リガンドを含む。
本発明の核酸を細胞内へ導入するために、その核酸がインビトロで導入されるか宿主においてインビボで導入されるかに依存して、種々の技術が使用され得る。かかる技術として、核酸−CaPO沈殿物の移入、DEAEと結合した核酸の移入、目的の核酸を含む前述のウイルスを用いる移入または感染、リポソーム媒介移入などが挙げられる。特定の用途については、核酸を特定の細胞にターゲティングすることが好ましい。かかる場合においては、本発明の核酸を細胞内へ送達するために使用されるビヒクル(例えば、レトロウイルスまたは他のウイルス;リポソーム)は、それらに結合するターゲティング分子を有してもよい。例えば、標的細胞上の表面膜タンパク質に対して特異的な抗体などの分子、または、標的細胞上のレセプターのリガンドを、核酸送達ビヒクルに結合してもよく、またはその中に組み込んでもよい。好ましい抗体として、単独で、またはMHC分子との複合体として、癌−精巣抗原に選択的に結合する抗体が挙げられる。特に好ましいのは、モノクローナル抗体である。本発明の核酸を送達するためにリポソームが使用される場合、エンドサイトシスと関連する表面膜タンパク質に結合するタンパク質を、ターゲティングのために、および/または取り込みを促進するために、そのリポソーム処方物に組み込んでもよい。かかるタンパク質として、特定の細胞型に対して向性を有するキャプシドタンパク質またはそれらのフラグメント、サイクリングにおいて内在化(internalization)を起こすタンパク質に対する抗体、細胞内局在をターゲティングし、細胞内半減期を延長するタンパク質などが挙げられる。当業者に公知のことであるが、ポリマー性送達系もまた、核酸を細胞内へ送達するために首尾よく使用されてきた。かかる系は、核酸の経口送達すら可能にする。
本発明のさらなる局面によれば、本発明の核酸分子、タンパク質、および結合ポリペプチドを含有する組成物が提供される。これらの組成物は、前述の核酸分子、タンパク質、および結合ポリペプチドのうちのいずれかを(治療剤として)、必要に応じて薬学的に受容可能なキャリア中に、含有する。従って、関連する局面において、本発明は、医薬の形成のための方法を提供し、この方法は、一回以上の用量を形成するために、治療有効量の治療剤を、薬学的に受容可能なキャリア中に加える工程を包含する。本発明の処置方法または予防方法の有効性は、本明細書において記載される標準的な診断方法を使用して決定され得る。
投与される場合、本発明の治療用組成物は、薬学的に受容可能な調製物中で投与される。かかる調製物は、慣例的に、薬学的に受容可能な濃度の塩、緩衝剤、保存剤、適合性キャリア、補足的な免疫増強剤(アジュバントおよびサイトカインなど)、ならびに必要に応じて他の治療剤を含有する。
本明細書において使用される場合、用語「薬学的に受容可能」とは、活性成分の生物学的活性の有効性を妨げない非毒性物質を意味する。用語「生理学的に受容可能」とは、生物学的な系(細胞、細胞培養物、組織、または生物など)と適合性である非毒性物質を指す。キャリアの特徴は、投与経路に依存する。生理学的に受容可能かつ薬学的に受容可能なキャリアとして、希釈剤、充填剤(filler)、塩、緩衝剤、安定化剤、可溶化剤、および当該分野において周知の他の物質が挙げられる。用語「キャリア」は、投与を容易にするために活性成分が組み合わされる、天然または合成の有機または無機の成分を示す。薬学的組成物の成分はまた、所望の薬学的効力を実質的に損なう相互作用が存在しないような様式において、本発明の分子と混合されること、および互いに混合されることが可能である。
本発明の治療薬は、注射、または長時間にわた段階的注入を含む、任意の従来の経路によって投与されてよい。投与は、例えば、経口、静脈内、腫瘍内、腹腔内、筋肉内、腔内(intracavity)、皮下、または経皮であってもよい。抗体が治療として使用される場合、好ましい投与経路は、肺でのアエロゾルによるものである。抗体を含有するアエロゾル送達系を調製するための技術は、当業者に周知である。一般に、かかる系は、その抗体の生物学的特性(パラトープ結合能力など)を著しく損なうことのない成分を利用するべきである(例えば、Sciarra and Cutie, “Aerosols,” in Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th edition, 1990, pp 1694-1712を参照のこと)。当業者は、過分の実験なしに、抗体アエロゾルを製造するための種々のパラメーターおよび条件を容易に決定することが出来る。本発明のアンチセンス調製物を使用する場合、徐放静脈内投与が好ましい。
本発明の組成物は、有効量において投与される。「有効量」とは、単独で、またはさらなる用量と組み合わされて、所望の応答(例えば、その癌−精巣ポリペプチドに対する免疫応答の増大)をもたらす、癌−精巣ポリペプチド組成物の量である。一種類以上の癌−精巣ポリペプチドの発現を特徴とする特定の疾患または状態(癌など)を処置する場合において、望ましい応答は、その疾患の進行を阻害することである。これは、単にその疾患の進行を一時的に遅延させることを意味してもよいが、より好ましくは、その疾患の進行を持続的に停止させることを意味する。このことを、慣例的方法によってモニタリングしても、本明細書において考察される診断方法に従ってモニタリングしてもよい。この疾患または状態の処置に対する望ましい応答は、この疾患または状態の開始を遅延させることであってもよく、または予防することですらあり得る。
かかる量は、勿論、処置されている特定の状態、その状態の重篤度、個々の患者のパラメーター(年齢、身体的状態、大きさ、および体重を含む)、その処置の期間、併用治療(あれば)の性質、特定の投与経路、ならびに保健実施者の知識および専門的技術の範囲内の要因などに依存する。これらの要因は、当業者に周知であり、慣例的な実験のみを用いて取り組むことが出来る。個々の成分またはそれらの組み合わせの最大用量が使用されることが一般に好ましい。この最大用量は、確立された医学的判断に従う最も高い安全な用量である。しかし、患者が、医学的理由、精神的理由、または実質的に何らかの他の理由のために、より低い用量または耐容量を主張し得ることが、当業者に理解される。
前述の方法において使用される薬学的組成物は、好ましくは滅菌であり、所望の応答をもたらすための有効量の癌−精巣ポリペプチドまたは癌−精巣ポリペプチドをコードする核酸を、患者への投与のための好適な重量または容積の単位において、含有する。この応答を、例えば、この癌−精巣ポリペプチド組成物の投与の後で、レポーター系を介して遺伝子発現などの下流の効果を測定することにより免疫応答を決定することによって、または、この癌−精巣ポリペプチド組成物の生理学的効果(腫瘍の退行もしくは疾患の症状の減少)を測定することによって、測定してもよい。他のアッセイは、当業者に公知であって、この応答のレベルを測定するために使用されてもよい。
被験体に投与される癌−精巣ポリペプチド組成物(例えば、ポリペプチド、ペプチド、抗体、細胞、または核酸)の用量は、異なるパラメーターに従って、特に、使用される投与の様式およびその被験体の状態に従って、選択され得る。他の要因として、所望の処置期間が挙げられる。被験体における応答が、適用された初回用量では不十分である場合、より多い用量(または、別の、より局在化した送達経路による、効果がより高い用量)を、患者の耐性が許容する範囲まで使用してもよい。
一般に、免疫応答を惹起または増大させるための処置のために、癌−精巣抗原の用量は、当該分野における任意の標準的な手順に従って、1ngと1mgとの間の用量において処方されて投与され、より好ましくは、10ngと100μgとの間の用量において処方されて投与される。癌−精巣ポリペプチドをコードする核酸またはそれらの変異体が使用される場合、標準的な手順に従って、1ngと0.1mgとの間の用量が、一般的に処方されて投与される。癌−精巣ポリペプチド組成物の投与のための他のプロトコルは、当業者に公知であり、それらのプロトコルにおいて、用量、注射の計画、注射の部位、投与の様式(例えば、腫瘍内)などは、前述のものから変化する。例えば、試験目的または獣医学的治療目的のための、ヒト以外の哺乳動物に対する癌−精巣ポリペプチド組成物の投与は、上記のものと実質的に同じ条件下において行われる。
癌−精巣ポリペプチドがワクチン接種のために使用される場合、その癌−精巣ポリペプチドとアジュバントとを効果的に送達し、その結果そのポリペプチドに対する免疫応答が増大されるような投与の様式が使用され得る。アジュバント中の癌−精巣ポリペプチドの投与については、好ましい方法として、皮内投与、静脈内投与、筋肉内投与、および皮下投与が挙げられる。これらは好ましい態様であるが、本発明は、本明細書において開示される特定の投与の様式によって制限されない。当該分野における標準的な文献(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th edition, 1990)は、投与の様式、および、アジュバントを用いるかまたは非アジュバントキャリア中での免疫原の送達のための処方を提供する。
上記の薬学的組成物は、好適な緩衝剤を含有してもよい。そのような緩衝剤として、酢酸の塩;クエン酸の塩;ホウ酸の塩;およびリン酸の塩が挙げられる。
上記の薬学的組成物はまた、必要に応じて、好適な保存剤(塩化ベンザルコニウム;クロロブタノール;パラベンおよびチメロサールなど)を含有してもよい。
薬学的組成物は、便宜上、単位投与量形態で提示され得、薬学の分野において周知の任意の方法によって調製され得る。全ての方法は、活性薬剤を、一種類以上の副成分から構成されるキャリアと結合させる工程を包含する。一般に、上記の組成物は、活性化合物を、液体キャリア、微細に分割された固体キャリア、またはこれらの両方と、均一におよび密に(intimately)結合させ、必要な場合はその後に製品を成形することによって、調製される。
経口投与のために好適な組成物は、カプセル、錠剤、ロゼンジなどの分散型単位として提示され、各々が、前もって決定された量の活性化合物を含有する。他の組成物として、シロップ、エリキシル剤、または乳濁液などの、水性の液体または非水性の液体中の懸濁液が挙げられる。
非経口投与のための組成物として、滅菌の水性または非水性の、溶液、懸濁液、および乳濁液が挙げられる。非水性溶媒の例として、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、および、オレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルがある。水性キャリアとして、食塩水および緩衝化された溶媒を含む、水、アルコール性/水性溶液、乳濁液、または懸濁液が挙げられる。非経口ビヒクルとして、塩化ナトリウム溶液、リンガーブドウ糖液、ブドウ糖および塩化ナトリウム、ならびに乳酸加リンガー液、または固化油(fixed oil)が挙げられる。静脈内ビヒクルとして、体液補給剤および栄養補給剤、電解質補給剤(リンガーブドウ糖液ベースのものなど)などが挙げられる。例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、および不活性ガスなどの、保存剤および他の添加物が存在してもよい。
本発明の薬剤は、単独で投与されても、互いに組み合わされて投与されても、ならびに/または、他の抗癌薬治療および/または処置と組み合わされて投与されてもよい。これらの治療および/または処置として、外科的介入、化学療法、放射線療法、およびアジュバント全身治療が挙げられるが、これらに限定されない。
発明はまた、本発明の薬学的化合物または薬剤の一種類以上を含有する一個以上の容器を含む、薬学的キットを提供する。本発明の任意のまたは全てのキット中に、さらなる材料が含まれてもよく、そのような材料として、緩衝液、水、酵素、管、コントロール分子などが挙げられるが、これらに限定されない。このキットはまた、一種類以上の本発明の薬学的化合物または薬剤を、癌の処置のために使用するための、説明書を含んでもよい。
本発明は、癌−精巣抗原またはそのような抗原をコードする核酸の発現を分析するための、核酸マイクロアレイまたはタンパク質マイクロアレイ(抗体アレイを含む)を、さらに含む。本発明のこの局面において、癌−精巣抗原の発現を評価するため、および/またはそのような抗原に結合する生物学的成分を同定するために、マイクロアレイテクノロジーの標準的技術が利用される。生物学的サンプルの成分として、抗体、リンパ球(Tリンパ球を含む)などが挙げられる。マイクロアレイの基質として、ガラス、シリカ、アルミノシリケート、ボロシリケート、アルミナおよびニッケル酸化物などの金属酸化物、種々の粘土、ニトロセルロース、またはナイロンが挙げられるが、これらに限定されない。マイクロアレイの基質を、その基質上でのプローブ(ペプチドまたは核酸)の合成を亢進するための化合物で被覆してもよい。第一のヌクレオチドまたはアミノ酸を基質に共有結合させるために、その基質上でカップリング剤またはカップリング基を使用してもよい。種々のカップリング剤またはカップリング基が、当業者に公知である。このようにして、ペプチドプローブまたは核酸プローブを、前もって決定されたグリッドにおいて、基質上で直接的に合成することができる。あるいは、ペプチドプローブまたは核酸プローブを、基質上にスポッティングしてもよく、そのような場合において、この基質を、この基質に対するこのプローブの結合を亢進するための化合物で被覆してもよい。この態様において、前もって合成されるプローブを、量およびグリッドパターンが前もって正確に決定された基質に適用する。好ましくは、コンピューター制御されたロボットを利用して、インクジェット送達または圧電送達などの、接触−印刷(contact-printing)様式において、または非接触様式において、プローブを基質に適用する。プローブを、基質に共有結合してもよい。核酸プローブは、好ましくは、UV照射または熱を使用して結合される。
タンパク質マイクロアレイテクノロジーは、タンパク質チップテクノロジーおよび固相タンパク質アレイテクノロジーを含む他の名称でも知られており、当業者に周知である。タンパク質マイクロアレイテクノロジーは、同定されたペプチドまたはタンパク質のアレイを固定された基質上で得る工程、標的分子または生物学的成分をそのペプチドに結合させる工程、およびそのような結合を評価する工程に基づくが、これらに限定されない。例えば、G. MacBeathおよびS.L. Schreiber(“Printing Proteins as Microarrays for High-Throughput Function Determination,” Science 289(5485):1760-1763, 2000)を参照のこと。
標的物は、ペプチドまたはタンパク質であって、天然であっても、合成であってもよい。組織は、被験体から得ても、培養中で(例えば、細胞株から)増殖させてもよい。
本発明のいくつかの態様において、一種類以上のコントロールのペプチド分子またはタンパク質分子が、上記の基質に結合される。好ましくは、コントロールのペプチド分子またはタンパク質分子が、ペプチドまたはタンパク質の質および結合特性、試薬の質および有効性、ハイブリダイゼーションの成功、および分析の限界および成功などの要因の決定を可能にする。
核酸アレイ、特に癌−精巣抗原をコードする核酸に結合するアレイを、また、診断用途のため(異常な癌−精巣抗原発現を特徴とする状態を有する被験体を同定するためなど)に使用してもよい。核酸マイクロアレイテクノロジーは、また、DNAチップテクノロジー、遺伝子チップ(gene chip)テクノロジー、および固相核酸アレイテクノロジーを含む他の名称でも知られており、当業者に周知である。核酸マイクロアレイテクノロジーは、同定された核酸プローブのアレイを固定された基質上で得る工程、標的分子をレポーター分子(例えば、放射性タグ、化学発光タグ、または、フルオレセイン、Cye3−dUTP、Cye5−dUTPなどの蛍光タグ)で標識する工程、標的核酸を上記プローブにハイブリダイズさせる工程、ならびに、標的物−プローブハイブリダイゼーションを評価する工程に基づくが、これらに限定されない。標的配列に完全にマッチする核酸配列を有するプローブは、一般に、より不完全なマッチを有するプローブより強いレポーター分子シグナルの検出をもたらす。核酸マイクロアレイテクノロジーにおいて利用される多くの成分および技術は、The Chipping Forecast, Nature Genetics, Vol.21, Jan 1999において表され、この文献の全ての内容は、本明細書において参考として援用される。
本発明によれば、プローブは、以下:DNA、ゲノムDNA、cDNA、およびオリゴヌクレオチドを含む核酸の群より選択されるが、それらに限定されず、天然であっても合成であってもよい。オリゴヌクレオチドプローブは、好ましくは、20〜25塩基長のオリゴヌクレオチドであり、DNA/cDNAプローブは、好ましくは、500〜5000塩基長であるが、また、他の長さを使用してもよい。好適なプローブの長さは、当業者によって、当該分野において公知の以下の手順によって決定され得る。一態様において、好ましいプローブは、本明細書において記載されるような癌−精巣核酸分子の一種類以上のセットである。ゲル濾過または沈殿などの当業者に公知の標準的な方法を使用して、プローブを精製し、夾雑物を除去してもよい。
一態様において、上記のマイクロアレイの基質を、この基質上でのプローブの合成を亢進するための化合物で被覆してもよい。かかる化合物として、オリゴエチレングリコールが挙げられるが、これに限定されない。別の態様において、第一のヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドをこの基質に共有結合させるために、この基質上でカップリング剤またはカップリング基を使用してもよい。これらのカップリング剤またはカップリング基として、例えば、アミノ基、ヒドロキシ基、ブロモ基、およびカルボキシ基が挙げられ得る。これらの反応性の基は、好ましくは、ヒドロカルビル(hydrocarbyl)ラジカル(一荷電部位が鎖式結合によって占められ、残りが反応性の基に結合される、アルキレン二価ラジカルまたはフェニレン二価ラジカルなど)を介して、基質に結合される。これらのヒドロカルビル基は、約10個までの炭素原子、好ましくは約6個までの炭素原子を含有してもよい。アルキレンラジカルは、通常は、2個〜4個の炭素原子を主鎖に含んでいることが好ましい。このプロセスのこれらの詳細およびさらなる詳細は、例えば、米国特許第4,458,066号において開示され、この文献は、その全体が参考として援用される。
一態様において、核酸プローブは、光誘導化学合成、光化学脱保護、または基質へのヌクレオチド前駆体の送達およびその後のプローブ生成などの方法を使用して、上記の基質上で前もって決定されたグリッドパターンにおいて直接的に合成される。
マイクロアレイの標的物は、DNA、ゲノムDNA、cDNA、RNA、mRNAを含む(これらに限定されない)群より選択される核酸であって、天然であっても合成であってもよい。全ての態様において、ヒトの組織由来の核酸標的分子が好ましい。この組織は、被験体から得てもよく、培養中で(例えば、細胞株から)増殖させてもよい。
本発明の態様において、一種類以上のコントロール核酸分子が上記の基質に結合される。好ましくは、コントロール核酸分子が、核酸の質および結合特性、試薬の質および有効性、ハイブリダイゼーションの成功、ならびに分析の限界および成功などの因子の決定を可能にする。コントロール核酸として、ハウスキーピング遺伝子またはそれらのフラグメントなどの遺伝子の発現産物が挙げられ得るが、これらに限定されない。
実施例
例1:CT45
材料と方法
腫瘍組織および腫瘍細胞株
腫瘍組織の標本は、コーネル大学ウェイル医学校(Weill Medical College)およびメモリアル・スローン・ケタリング癌センター(Memorial Sloan-Kettering Cancer Center)の病理学部から得た。細胞株は、ルドウィグ癌研究所ニュー・ヨーク支部(Ludwig Institute of Cancer Research, New York Branch, New York, N.Y.)によって維持される細胞株バンクから得た。
MPSS
プールされた正常ヒト組織RNA調製物を、Clontech (PaloAlto, CA)から購入した。さらに、標準的なプロトコルを使用して、2株の癌細胞株、SK-MEL-37およびSK-LU-17からmRNAを精製した。DNase処理およびポリ(A)+RNAの単離の後、これらのサンプルを使用して、Megacloneのプロトコル(Brenner, S., Williamsら、(2000), Proc Natl Acad Sci U.S.A., 97:1665-70)に従って、cDNAライブラリーを生成し、ポリ(A)に近接するDpnII制限部位に隣接するシグネチャー配列を、連続的な切断およびデコードアダプター(decording adapter)のライゲーション(Brenner, S., Johnsonら、(2000), Nat. Biotechnol., 18:630-4)によって得た。各々のシグネチャーは、DpnII認識配列(GATC)を含む17個のヌクレオチドを含んだ。各々のサンプルから、2個のヌクレオチドをずらした2個の読み枠において、200万個と300万個との間のタグをシークエンシングした。2回の独立したシークエンシングの実施において見られ、かつ少なくとも一つのサンプル中で、100万個あたり最小でも5個の転写物において存在したシグネチャーのみを、分析のために保持した。
ヒト転写物に対するシグネチャーのマッピングを、本質的には先(Jongeneel, C. V.ら、(2003), Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 100:4702-5)に記載されるように、米国国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のヒトゲノムのアセンブリ(assembly)33を使用して行った。EST配列において存在するがゲノムの基準配列においては存在しない配列多型を、マッピングに取り入れた。転写領域と明白にマッチするシグネチャーを保持した。複数のシグネチャーが同じ遺伝子にマッピングした場合、計数をプールした。
インシリコ(in silico)分析
MPSSによって決定された1056個の精巣特異的遺伝子のリストから候補のCT遺伝子を同定するために、正常組織および腫瘍組織における各々の遺伝子の発現プロフィールを、SAGE Anatomic ViewerおよびそのVirtual Northernツール(SAGEおよびAnatomic viewerについては、The Cancer Genome Anatomy Project CGAPのウェブサイト:cgap.nci.nih.gov/SAGE/AnatomicViewerを参照のこと)と、BLASTNを使用するデータベース検索(BLASTについては、米国国立医学図書館のウェブサイト:ncbi.nlm.nih.gov/BLASTを参照のこと)との組み合わせを使用して評価した。分析の焦点は、精巣および非生殖細胞腫瘍に由来し発現が体性細胞に制限されるESTを含む、Unigeneクラスターを同定することであった。あるUnigeneクラスターがCT候補であり得ると考えられた場合は、対応する遺伝子のイントロン−エキソン構造を、NCBIウェブサイト上のツール(米国国立医学図書館のウェブサイト:ncbi.nlm.nih.govを参照のこと)を使用して決定した。次いで、この情報を使用して、RT−PCRのためのトランスイントロンプライマーを設計した。
いくつかの遺伝子(例えば、CT45(以下を参照のこと))について、タンパク質の類似度検索、保存されるドメインの同定、染色体の位置、DNA連結断片の位置、および転写物/タンパク質の予測のために、NCBIウェブサイト(ncbi.nlm.nih.gov)を使用した。MyHitsデータベース(スイス・バイオインフォマティクス研究所のウェブサイト:myhits.isb-sib.chを参照のこと)を使用して、あり得るタンパク質ドメインを検索した。一貫した名付け規則を維持するために、Ensemblデータベース(ウェルカムトラスト・サンガー研究所のウェブサイト:ensembl.orgを参照のこと)から遺伝子識別子(gene identifier)を回収し、このプロジェクトにおいて同定された各々のまだ特徴づけられていない遺伝子に対して、可能な場合はヒト遺伝子命名法委員会(HGNC)によって承認された記号を使用して、短い名称を割り当てた。
定性(qualitative)RT−PCR
脳、結腸、心臓、腎臓、白血球、肝臓、肺、卵巣、膵臓、胎盤、前立腺、骨格筋、小腸、脾臓、胸腺、および精巣を含む、正規化されたcDNAパネル(MTCパネルIおよびII、BD Biosciences, Franklin Lakes, NJ)を使用した。腫瘍細胞株における発現を評価するために、標準的なグアニジウムチオシアネート−CsCl勾配法によって、RNAを調製した。20μlの逆転写反応に全RNA(2μg)を使用し、25μlのPCRにつき2μlのcDNAを使用した。Invitrogen Platinum Taq Supermixを使用して、35サイクルのPCRを行い、それらのサイクルの各々は、94℃で15秒間、60℃で1分間、72℃で1分間からなった。PCR産物を、1%アガロースゲル電気泳動で、臭化エチジウム染色によって可視化した。
定量RT−PCR
PRISM 7000配列検出システム(Applied Biosystems, Foster City, CA)を使用して、定量RT−PCRを行った。正常精巣RNAをAmbion(Austin, Texas)から得た。腫瘍組織由来のRNAを、TriZol試薬(Life Technologies, Carlsbad, CA)を使用することによって調製した。20μlの逆転写反応1回につき2μgの全RNAを使用し、各25μlのPCRにつき2μlのcDNAを使用した。各反応を2回づつ行い、精巣の調製物に対して相対的に発現のレベルを決定した。精巣cDNAを4倍の段階希釈で使用することによって、各々のPCRプレートについての標準曲線を確立した。45回の2ステップサイクル増幅を行い、各々のサイクルは、95℃で15秒間、および60℃で1分間からなった。細胞株および組織のRNAのクオリティを、β−グルクロニダーゼ(glucuromidase:GUS)およびGAPDHの増幅によって評価した。最終分析において含まれた全ての標本は、4サイクル未満しか異ならないサイクルタイム(Ct)値を有し、このことは、使用されたcDNAの質および量が類似することを示す。
結果
候補CT遺伝子の同定
2種類の別個の精巣調製物および胎盤調製物、ならびに2種類のCTリッチ細胞株(SK-MEL-37およびSK-LC-17)を含む、32種類の正常組織からMPSSデータを得た。精巣中の対応するMPSSタグの数が、全ての体性組織中のタグを組み合わせた数より少なくとも2倍大きい場合に、遺伝子が精巣に主として発現すると考える。精巣に主として発現する全1056個のかかる遺伝子を同定した(表1)。そのうちの39個が、X染色体上に位置する。X染色体は、多数のCT抗原遺
伝子を含むことが知られている染色体である(Scanlan, M. J.ら、 (2004), Cancer Immun., 4:1)。これらの39個の遺伝子のうちの9個が、公知のCT抗原であるNY-ESO-1、LAGE1、CT10、MAGE-B1、MAGE-B2およびMAGE-B4、GAGE1、GAGE2、およびPAGE5をコードし、このことは、このアプローチが、CT抗原をコードする新たな遺伝子を、強力に同定し得ることを示している。1,056個の遺伝子リスト中の他のCT抗原をコードする遺伝子として、SCP1(染色体1)、CT9/BRDT(染色体1)、OY-TES-1/ACRBP(染色定12)、ADAM2(染色体8)、ADAM21(染色体14)および、TPTE(染色体21)が挙げられる。
Figure 2008512120
公知のCT遺伝子に対応しなかった1,041個の遺伝子を、SK-MEL-37およびSK-LC-17由来のMPSSデータ、ならびに公共のデータベースからのESTを使用することによって分析した。候補のCT遺伝子として、癌組織または細胞株(生殖細胞または精巣腫瘍を除く)由来のESTまたはMPSSタグを有しており、2種類より多い体性組織(胎性組織およびプールされた組織を除く)においてESTが見出されなかったものを取得した。プールされた組織は、しばしば精巣を含むので除外し、胎性組織は、CT抗原を発現する能力がまだ決定されていないので除外した。
これらの基準に基づき、202個の遺伝子を同定し、それらのうち36個がイントロンを含まない(intronless)遺伝子であることを見出し、それらをさらなる分析から除外した。残りの166個の遺伝子について、トランスイントロンプライマーを設計した。
正常組織および細胞株におけるCT候補遺伝子のmRNA発現
上記の166個の選択された遺伝子に対応するmRNAの正常組織中での存在を、正常組織に由来するcDNAパネルを使用して評価した(材料と方法を参照のこと)。166個の遺伝子のうちの144個について、首尾よいRT−PCR増幅を達成し、そのうちの41個は試験された組織の大多数において発現を示し、32個は選択的発現を示したが、3種類以上の体性組織において発現を示し、71個は、精巣、卵巣、および/もしくは胎盤においてのみ発現を示す(71個のうちの41個)か、または、これらの組織および2種類以下の他の体性組織において発現を示した(71個のうち30個)。
精巣に主として発現する上記の71個の遺伝子の発現を、以下の21株の癌細胞株において、RT−PCRによって評価した:7株はメラノーマ由来(SK-MEL-10、SK-MEL-24、SK-MEL-37、SK-MEL-49、SK-MEL-55、SK-MEL-80、SK-MEL-128)、4株は小細胞肺癌由来(NCI-H82、NCI-H128、NCI-H187、NCI-H740)、3株は非小細胞性肺癌由来(SK-LC-5、SK-LC-14、SK-LC-17)、3株は結腸癌由来(SW403、SW15、LS174T)、1株は腎臓癌由来(SK-RCC-1)、1株は肝細胞癌由来(SK-HEP-1)、1株は膀胱癌由来(T24)、および1株は肉腫由来(SW982)。これらの細胞株の各々が、少なくとも1個の公知のCT遺伝子を発現する(データは示さず)。
これらの71個の遺伝子は、使用される癌細胞株におけるそれらの発現に基づいて、3個の群に分類される。41個の遺伝子は、上記の細胞株のいずれにおいても、検出可能な発現を示さず、10個は、(精巣における発現レベルと比較して)非常に低いレベルの発現のみ示し、20個は、少なくとも1株の細胞株において、中程度から強度の発現を示した。全スクリーニングプロセスを、図1に要約する。表2は、20個のCT遺伝子およびCT様遺伝子の最終群、ならびに正常組織におけるそれらの発現を列記し、表3は、21株の細胞株におけるそれらの発現を示す。
Figure 2008512120
Figure 2008512120
腫瘍標本における選択的CT遺伝子の定量RT−PCR
20個のCT様遺伝子のうち7個が、試験された21細胞株(表3)のうちの少なくとも5株(〜25%)において、発現を示した。これらのうち2個(ENSG00000117148(LOC81569, UniGene Hs.2149; NM_030812)およびENSG00000140481(Hs.383206; FLJ32855))は、各々、膵臓および肺において強い発現を示し、このことは、ワクチンとしてのそれらの潜在的有用性を限定している。これらの2個の遺伝子は、実際に、各々膵臓および肺の分化抗原をコードし得、同時に精巣にも発現する。この見地は、FLJ32855を発現する5癌細胞株のうち4株が、小細胞肺癌株であったという観察、および、この遺伝子に対応する16個のESTのうちの4個が、肺に由来し、残りが、精巣、胎盤、または脳に由来するという観察によって、強化された。対照的に、NM_030812に由来するESTは、精巣に加えて脳および子宮頸部において見出された。このことは、この遺伝子が、おそらく少なくともいくつかの体性組織において発現されることを示す。
他の5個の遺伝子、ENSG00000105549 (THEG)、ENSG00000187262 (MGC27005)、ENSG00000160505 (NALP4)、ENSG00000160471 (COXVIB2)、およびLOC348120(Ensembl識別子なし;Unigene Hs.116287)は、以前は同定されていなかったCT遺伝子である。次いで、これらの発現を、29個の肺腫瘍、および11個の乳癌において、リアルタイムRT−PCRによって測定した。表4は、使用されたプライマーおよびプローブの配列を列記する。図2は、これらの標本におけるこれら5個の遺伝子のmRNAレベル分布を示し、これらの遺伝子の精巣での発現に対して相対的なパーセンテージとして表す。
表4.CT遺伝子の定量RT−PCRのためのプライマーおよびプローブの配列
Figure 2008512120
THEG、NALP4、COXVIB2、およびLOC348120
THEGは、マウスのTheg(精巣ハプロイド発現遺伝子)のヒトのオルトログである(Mannan, A., et al., (2000), Cytogenet. Cell Genet., 91:171-9)。RT−PCRおよびDNA発現は、公知の379アミノ酸および344アミノ酸のスプライスバリアントの両方が、精巣および癌において発現されることを示した。この遺伝子は、定性RT−PCRによって試験された21細胞株のうちの15細胞株において発現された。リアルタイムRT−PCRによって、29個の肺腫瘍のうち4個、および11個の乳癌のうち1個においては、精巣での発現レベルの10%より強く発現が検出され、各々、29個のうち9個、および11個のうち7個においては、精巣での発現の1%より強い発現が検出された。
NALP4は、994残基のタンパク質をコードし、アポトーシス関連タンパク質、および主要組織適合遺伝子の転写活性に関与するタンパク質において見出されるNTPaseのNACHTドメイン、ならびに、おそらくはタンパク質−タンパク質相互作用に関与するロイシンリッチ反復配列を含む(Tschopp, J.ら、(2003), Nat. Rev. Mol. Cell Biol., 4:95-104)。NALP4およびNALP7の両方を、本研究において、CT遺伝子であり得るとして同定した。しかし、NALP7は、3株の細胞株において微弱に発現されるのみであることを見出した。対照的に、NALP4は、上記の株のうち7株において、中程度から強い強度で発現された。さらに、29個の肺腫瘍標本のうち11個、および11個の乳癌標本のうち1個が、NALP4を、精巣での発現の1%より強く発現した。しかし、1個の乳癌サンプルのみにおいて、精巣での発現の10%より強い発現を検出した。
COXVIB2は、精巣特異的チトクロムcオキシダーゼサブユニットVIbをコードし(Huttemann, M.ら、(2003), Mol. Reprod. Dev., 66:8-16)、29個の肺腫瘍のうち7個において発現され、11個の乳腺腫瘍のうち1個は、COXVIB2を精巣での発現レベルの1%より強く発現するが、どの腫瘍においても、精巣での発現レベルの10%より強くは発現されなかった。
LOC348120は、117アミノ酸の推定のタンパク質をコードし、この推定のタンパク質は、同定可能な機能的ドメインを有さないが、マウスのTLR11(toll様レセプター11)遺伝子と著しい類似性を示す。これは、29個の肺腫瘍のうち1個においてのみ発現され、11個の乳腺腫瘍のうち1個は、LOC348120を、精巣の発現レベルの1%より強く発現したが、精巣の発現レベルの10%より強い発現を示すものはなかった。
Xq26上の特徴的なCT多重遺伝子ファミリー
MGC27005(Hs. 460933, NM_152582)の転写物は、染色体Xq26.3にマッピングされ、試験された21細胞株のうちの13株において発現することが見出された。この13株のうちの8株は、中程度から強い程度の発現を示した。定量RT−PCRによって測定されるように、これらの8細胞株における発現レベルは、精巣における発現の0.0168〜16.2倍の範囲にわたった。リアルタイムRT−PCRによって、29個の肺癌のうち4個が、MGC27005を、精巣の発現レベルの10%より強く発現した(しかし、11個の乳癌はいずれも発現しなかった)。一方、29個の肺腫瘍標本のうち8個、11個の乳腺腫瘍標本のうち1個は、各々、精巣発現レベルの1%より強いレベルでのMGC27005発現を示した。
BLASTNによるMGC27005の全長配列(GenBank登録番号NM_152582.3)とヒトゲノムとの比較によって、X染色体上の極めて類似した遺伝子(Ensemblゲノムブラウザ上でのヌクレオチド133550000〜133700000)の6個の完全なコピーを同定した。このうち5個は、以下の先に割り当てられたEnsembl遺伝子エントリーを有した:ENSG00000187262、ENSG00000187264、ENSG00000187265、ENSG00000187267およびENSG00000187245。この遺伝子ファミリーを、本発明者らが提案したCT命名法(Scanlan, M. J. et al., (2004), Cancer Immun., 4:1)に従って、本明細書によって、CT45と名付ける。全てのCT45遺伝子メンバーは、新たな遺伝子複製(recent gene duplication)のイベントの産物であり、各1.0kbの転写配列中に2bp〜12bpの差異のみを有する(GenBank登録番号AY743709〜AY743714)。従って、RT−PCRによって検出されるこれらのCT45転写物は、CT45遺伝子ファミリーの集積した発現を表す。各々の遺伝子は、8〜9kbの長さであり、これらの遺伝子は、125kbの領域内で直列して位置される(図3)。3個のセントロメア性遺伝子は、セントロメアからテロメアに向かう方向に転写されるが、3個のテロメア性遺伝子は、反対の方向に転写される。
転写変異体2(以下を参照のこと)のcDNA配列に対応する、CT45のイントロンを含まないコピーを、染色体5上で同定した。このことは、染色体5上のこのコピーがレトロ遺伝子であることを示す。この遺伝子中のORFは、CT45と同じ翻訳開始部位を利用するが、未熟な終止コドンが存在し、(189アミノ酸に対して)短縮された160アミノ酸のタンパク質を生じる。染色体5上のこのCT45のコピーは、偽遺伝子であり得、転写されるかもしれないし、転写されないかもしれない。
これらの完全なコピーに加えて、失敗した複製イベントから生じる、数個の部分的な遺伝子コピーを、Xq26.3領域内で同定した。そのような失敗した重複イベントは、他のCT遺伝子ファミリーについてもまた見出されている(X染色体でのSSXなど:Gure, A. O.ら、(1997), Int. J. Cancer, 72:965-71)(Cancer Immunity CT Gene Databaseウェブサイトを参照のこと)。
CT45の2個の転写変異体は、個々のEST配列を、全長CT45 mRNA配列(GenBank登録番号NM_152582)に対してアラインメントすることによって、同定され得る。RT−PCR分析およびDNAシークエンシングによって、精巣および細胞株において両方の転写物を確認し、また、第3の転写変異体を同定した(図3)。3個の転写物の全てが、5個のエキソンに由来するが、エキソン1は、完全に、85bpと256bpとの間で変化する5’非翻訳配列からなる。従って、これらのCT45転写物は、ポリA末端を除いて、90bp〜261bpの範囲にわたる5’非翻訳領域、570bpのコード領域、および292bpの3’非翻訳領域を含む。CT45タンパク質は、189アミノ酸からなり、そのC末端の120アミノ酸に限って、公知の遺伝子産物と配列類似性を有する。重要なことに、2個の最も類似のタンパク質であるLOC203522 (RefSeq NM_182540)およびSAGE (RefSeq NM_018666)の遺伝子は、両方ともXq26にマッピングする(以下を参照のこと)。
CT45は特徴的なタンパク質ファミリーに属する
LOC203522は、最も類似の遺伝子であり、別のCT遺伝子であるSAGE(Martelange, V.ら、(2000), Cancer Res., 60:3848-55)、および、一部の癌において検出されることが見出されている13q14の領域中の遺伝子によってコードされるDEADボックス含有タンパク質であるDDX26(RefSeq NM_012141;配列番号8;シノニム:DICE1、Notch12、HDB、DBI-1)とも、著しい類似性が見られる(図4)。これら4個のタンパク質は、長さが異なる。CT45(配列番号3)は、189アミノ酸を含み、DDX26(配列番号8)は、887アミノ酸を含み、SAGE(配列番号9)は、904アミノ酸を含む。LOC203522(配列番号7)は、いくつかの推定されるタンパク質産物を有し、308アミノ酸の産物(GenBank登録番号AK123209)が、CT45と相同性を示す。これら4個のタンパク質間で観察されるアミノ酸類似性は、それらのカルボキシル末端に限定される。LOC203522とDDX26との両方が、CT45中には存在しないフォン・ウィルブランド因子のA型ドメインを、N末端付近に含む。
LOC203522は、CT45遺伝子ファミリーより約130kbセントロメア側に位置するが、SAGEは、CT45遺伝子のすぐ(4.6kb)テロメア側である。LOC203522に対応するESTは、複数の体性組織に由来し、RT−PCR分析によって、この遺伝子は、正常組織においてユビキタスに発現するが(データは示さず)、一方、SAGE遺伝子およびCT45遺伝子は、どちらもCT遺伝子であることを確認した。
組み替えCT45タンパク質の生成および精製
組み替えCT45タンパク質を生成するために、精巣RNAからのRT−PCR増幅によって全長CT45 cDNA(RefSeq NM_152582のヌクレオチド246〜816に対応する)を得、pQE30(Qiagen)のBamHIおよびKpnIの部位へクローニングし、E.coli株M15(pREP4)を形質転換するために使用した。挿入されたCT45 cDNAを、DNAシークエンシングによって確認した。
pQE30プラスミドに由来する5’ヒスチジンタグを有するCT45タンパク質を、次いで、形質転換されたE.coliのオーバーナイト培養物のIPTG誘導によって生成した。細菌の溶菌の後で、pH勾配を使用した変性条件下におけるニッケルイオンアフィニティークロマトグラフィーによって、CT45タンパク質を精製した。溶出したCT45は、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分析された場合、銀染色によって31kDaに主要なタンパク質種を示し、このことは、予測された分子量と一致した。
抗Hisタグ抗体を使用して行ったウェスタンブロッティングによって、この主要なバンドが、組み替えCT45タンパク質であることを確認し、精製されたこのタンパク質を、免疫およびモノクローナル抗体産生に使用した。
CT45タンパク質は、癌患者において免疫原性である
非小細胞肺癌(NSCLC)患者由来の血清を、組み替えCT45タンパク質と反応性の抗体の存在についてアッセイすることによって、CT45の免疫原性を試験した。これらのサンプルを、以下の文献において記載されるプロトコルに従って試験した:Stockertら、A survey of the humoral immune response of cancer patients to a panel of human tumor antigens. J Exp Med. 1998. 187(8):1349-54、および Atanackovicら、Vaccine-induced CD4+ T cell responses to MAGE-3 protein in lung cancer patients. J Immunol. 2004. 172(5):3289-96。
血漿サンプルを、1/200および1/1000の2種類の希釈で、抗CT45抗体の存在について試験した。
図8において示すように、試験された175個のサンプルのうちのいくつかの血清は、CT45に対する反応性を有した。
考察
主に精巣に由来するMPSSタグによって最初に同定された1056個の遺伝子のうち、大部分が精巣特異的であることを、RT−PCR分析によって検証した。この知見は、MPSSが、新規分化抗原の同定のための強力なツールであることを示した。この点において、MPSSは、組織特異的自己免疫が主要な懸案でない腫瘍の型(メラノーマおよび卵巣癌または前立腺癌など)についての、系統特異的な癌ワクチン標的を同定するために、極めて有用となるはずである。
本発明者らのここでの第一の目的は、ヒトの癌における使用のための免疫治療剤として潜在的に価値があるCT遺伝子を同定することである。最初のいくつかのCT抗原(MAGE、BAGE、およびGAGE遺伝子ファミリーを含む)は全て、それらが癌患者において惹起した、自家性CD8+T細胞応答に基づいて発見された(van der Bruggen, P.ら、(2002), Immunol. Rev., 188:51-64)。その後、組み替え発現腫瘍cDNAライブラリーの血清学的分析(SEREX)によって、さらなる一連のCT抗原遺伝子が同定された(Sahin, U. et al., (1995), Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 92:11810-3)。SEREXによって定義されたCT抗原として、SSXファミリー、SCP1、NY-ESO-1、CT7、CT8/HOM-TES-85、CAGE、CAGE1、およびNY-SAR-35が挙げられる。より最近になって、CT抗原は、それらの免疫原性に無関係に、制限酵素切断される癌/精巣mRNA発現パターンを有する遺伝子を同定することによって、探求されてきた。このプロセスは、RDA分析(representational difference analysis)によって、LAGE-1、CT9、CT10、およびSAGEの同定をもたらし(Martelange, V.ら、(2000), Cancer Res., 60:3848-55; Lethe, B.ら、(1998), Int. J. Cancer, 76:903-8; Scanlan, M. J.ら、(2000), Cancer Lett., 150:155-64; Gure, A. O.ら、(2000), Int. J. Cancer, 85:726-32)、ESTデータベースの発掘によって、CT15、CT16、FATE、およびTPTEの同定をもたらした(Scanlan, M. J.ら、(2002), Int. J. Cancer, 98:485-92; Dong, X. Y.ら、(2003), Br. J. Cancer, 89:291-7)。MPSSを使用して、潜在的な治療能力を有する組織特異的遺伝子を同定する本研究は、配列に基づく転写のデータを使用して、CT抗原をコードする遺伝子を同定するという概念の直接的延長である。
正常組織での発現を評価するために、本発明者らは、市販の正規化された16個の正常組織のcDNAパネル(BD Biosciences, San Jose, CA)を使用することを選択した、これが、本研究全体にわたる標準化をもたらした。しかし、本発明者らは、後に、精巣に制限されることを確認するために、第二のRNA源をも使用することに価値があることを見出した。例えば、THEGは、供給源が異なるRNA(Ambion, Austin, TX)から合成された正規化されていないcDNAに対して試験される場合、低いレベルにも関わらず、いくつかの体性組織において発現を示す。かかる不一致は、この種類の研究においては珍しくなく、CT遺伝子の発現は、最終的には、タンパク質発現のデータによって検証されるべきである。CT45のmRNAは、両方の核酸源において、精巣に制限されたままであり、この転写物のタンパク質産物に対する抗体試薬の生成は、上記のように行った。
本研究において同定された精巣特異的遺伝子は、3つの群を形成する。第一にして最大の群は、精巣および生殖細胞の腫瘍に著しく制限される発現を示し、体性組織におけるまたは非生殖細胞の癌における発現の証拠がない遺伝子からなる。この遺伝子群は、真の精巣分化抗原をコードし、これらの一部は、公知の生殖細胞の機能的タンパク質であり、豊富なmRNAからしばしば発現される。例として、プロタミン(PRM)2、PRM1、およびYBX2が挙げられ、これらは、各々、100万個あたり、35,089個、19,397個、および5036個の、対応するMPSSタグを有する(Steger, K.ら、(2000), Mol. Hum. Reprod., 6:219-25; Gu, W. et al., (1998), Biol. Reprod., 59:1266-74)。第二群は、一部の癌において強い発現を有する、真のCT遺伝子を表す。CT45遺伝子ファミリーは、この群に属する。第三群は、精巣での強い発現を示すが、癌においては辺縁性の低レベル発現のみを示す遺伝子からなる。生殖細胞において作動する遺伝子発現の調節の勾配が存在することは明らかであり、このことは、おそらく、転写制御機能の多重性を反映している。第一の遺伝子群は、最も厳密に制御され、生殖細胞系統以外の癌において発現されることは見出されていない。一方、上記のCT遺伝子は、おそらく低メチル化またはヒストン脱アセチル化を介して、癌において最も頻繁に活性化される(De Smet, C.ら、(1996), Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 93:7149-53; Gure, A. O.ら、(2002), Int. J. Cancer, 101:448-53)。
しかし、この群のうちですら、遺伝子が癌において発現される頻度には広い範囲が明らかに存在し、例えば、ここで考察される21細胞株の同じパネル中の20個のCT遺伝子またはCT様遺伝子については、>50%〜<5%である。第3群中の遺伝子もまた、厳密に制御されるが、癌において時々の「漏出的(leaky)」発現を示す。機能的分類の点では、この第三群をCT遺伝子のカテゴリーに含めることが有用であるか否かは、検出可能である。また、選択される体性組織においていくつかの「CT遺伝子」が発現されるという事実によって、カテゴリー化は複雑化する。潜在的な治療上の有用性の観点から、癌において実質的なmRNAおよびタンパク質の発現を示すCT抗原が、最も重要である。腫瘍における生殖系遺伝子の活性化および発現の現象は、非常に重要であり、徹底した研究の価値があるが、本発明者らの取り組みは、真に免疫治療の潜在能力を有するCT抗原の同定に主に焦点を当ててきた。最近作製されたCTデータベース(Scanlan, M. J.ら、(2004), Cancer Immun., 4:1)における44個のCT遺伝子/遺伝子ファミリーのうち、本発明者らは、おそらく12個未満がこの群に該当し、興味深いことに、そのほとんど(MAGE、NY-ESO-1、SSX、CT7、CT10、XAGE、CAGE、およびSPANX)が、X染色体上に存在すると推測する。この群は、現在、CT45の発見によって拡大される。
CT45は、他の古典的なCT遺伝子と、多数の特徴を共有する:a)Xq局在(これは、CT7(Xq26)、SAGE(Xq26)、CT10(Xq27)、MAGE-A(Xq28)、NY-ESO-1(Xq28)、およびHOM-TES-85(Xq24)と同じである);b)多重遺伝子ファミリー(MAGE、GAGE、NY-ESO-1、およびSSXと同じである);ならびに、c)新たな遺伝子複製(recent gene duplication)を示す、同一またはほぼ同一な遺伝子コピー(これは、NY-ESO-1(Alpen, B.ら、(2002), Gene, 297:141-9)、SSX2およびSSX7(Gure, A. O.ら、(2002), Int. J. Cancer, 101:448-53)についてもまた記載された)。
CT45配列を使用するタンパク質類似性の検索は、Xq26.3上の2個の隣接する遺伝子であるSAGEおよびLOC203522を、CT45と類似のタンパク質をコードするものとして同定した。このことは、これら3個の遺伝子が、進化的に関連し得ることを示唆する。しかし、これら3個の遺伝子のエキソン−イントロン構造は、保存されておらず、遺伝子およびタンパク質の大きさは、非常に異なっている。従って、これらの遺伝子は、関連しているかもしれないが、著しく異なっており、その結果、それらの遺伝子産物は、もはや機能的には重複していないことが考えられる。この点において、SAGEとCT45との間の関係は、2個の他のX染色体CT抗原遺伝子である、CT7(MAGE-C1)とMAGE-Aとの間の関係と類似する。CT7タンパク質は、1115アミノ酸長であり、そのN末端は、10個の35アミノ酸縦列反復を含み、カルボキシル末端の配列は、非反復性である。代表的には約310残基の大きさであり反復性N末端配列を欠失する他のMAGEタンパク質との類似性を有するのは、後者の領域である(Chen, Y. T.ら、(1998), Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 95:6919-23)。一方、SAGEは、13個の47アミノ酸の縦列反復を含む904アミノ酸のタンパク質であり、やはり、CT45と類似性を示すカルボキシル末端の非反復性部分である。
例2:CT46/HORMAD1(Hs.298312, NM_032132)
本研究において、本発明者らは、精巣で主に発現する遺伝子についてESTデータベースを分析し、その後、腫瘍におけるそれらの発現をRT−PCR分析によって調査することによる、新たなCT抗原についての検索を続けた。分析された20個の候補遺伝子のうち、本発明者らは、CT46/HORMAD1を、減数分裂関連タンパク質をコードする新規のCT抗原遺伝子として同定した。
材料と方法
腫瘍組織および細胞株
腫瘍組織の標本は、コーネル大学ウェイル医学校およびメモリアル・スローン・ケタリング癌センターの病理学部から得た。細胞株は、ルドウィグ癌研究所(LICR)のニュー・ヨーク支部によって維持される細胞株バンクから得た。
癌/精巣優位な発現パターンを有する遺伝子のESTに基づく同定
LICRのTranscriptomeデータベースを使用して、癌/精巣優位な発現パターンを示す遺伝子(本明細書において以下CT様遺伝子として言及される)について検索した。このリレーショナル(relational)なデータベースは、ゲノムに対してアラインメントされる転写物の配列のクラスター(ESTを含む)、およびそれらが由来する遺伝子の微細な構造を提供する(Stevensonら、J Infect Dis, 187 Suppl 2: S308-314, 2003)。このデータベースに寄与しているESTライブラリーの起源を記載するために、制御された語彙のeVOCセット(Kelsoら、Genome Res, 13: 1222-1230, 2003)が使用され、特定の組織発現パターンを有する遺伝子についての信頼し得る検索を可能とする。本研究の間に使用したTranscriptome DBのバージョンは、NCBIのヒトゲノムのアセンブリのBuild 30に基づいた。
ESTの3個のプールは、上記のデータベースに由来する。プールAは、精巣、卵巣、胎盤を除く正常成人組織、プールされた正常組織、および起源が未知である正常組織のcDNAライブラリーに由来するESTを含んだ。プールBは、精巣を除く任意の癌の型のライブラリー由来のESTを含んだ。最後に、プールCは、正常な精巣由来のライブラリーを含んだ。代表的でないESTデータを避けるために、正規化されたライブラリーおよび減算されたライブラリー、ならびに小さいライブラリー(600個未満のEST)を除いた。
正常組織(プールA)において、正常精巣(プールC)において観察されるレベルの5%より低い発現レベルを示すが、癌(プールB)においても見出される遺伝子を、回収した。推定されるCT遺伝子について、プールAとプールCとの間で観察されるRDAの差(representational difference)が有意であるかを試験するために、Fisherの正確確率検定を適用し、P値が0.05未満である遺伝子を保持した。このリストは、371個の候補を含み、そのうちの7個の遺伝子は、既にCTデータベース(Scanlanら、(Cancer Immun. 2004. 4:1); cancerimmunity.org/CTdatabase/)において列記されていた:SPANXA1/CT11.1, MAGEA2/CT1.2、GAGED2/CT12.1、BORIS/CT27、HAGE/CT13、AF15q14/CT29、およびTDRD1/CT41.1。
インシリコ分析
同定された371個のCT遺伝子のうちで最も可能性の高い候補を選択するために、正常組織および腫瘍組織における各々の遺伝子の発現プロフィールを、SAGE Anatomic ReviewerおよびそのVirtual Northernツール(cgap.nci.nih.gov/SAGE/AnatomicViewer)、ならびにBLASTN(ncbi.nlm.nih.gov/BLAST)を使用するデータベース検索を用いて評価した。この分析の目的は、精巣に由来するEST、ならびに非生殖細胞腫瘍に由来するESTを含むが、体性組織においては限定的な発現を有する、Unigeneクラスターを同定することである。あるUnigeneクラスターがCT候補であり得ると考えられる場合、対応する遺伝子のイントロン−エキソン構造を、NCBIウェブサイト上のツールを使用して決定する。次いで、この情報を使用して、RT−PCRのためのトランスイントロンプライマーを設計する。
目的の特定の遺伝子(例えば、CT46(以下を参照のこと))について、タンパク質の類似性検索、保存されるドメインの同定、ならびに、可能な転写変異体およびタンパク質の予測のために、NCBIウェブサイト上の種々のツールを使用した。一貫した名付け規則を維持するために、Ensemblデータベース(ensembl.org)から遺伝子識別子を回収した;このプロジェクトにおいて同定された各々の新規の遺伝子に対して、可能な場合はヒト遺伝子命名法委員会(HGNC)によって承認された記号を使用して、短い名称を割り当てた。
定性RT−PCR
正常組織での発現のRT−PCR分析のために、16種類の正常組織に由来する、正規化されたcDNAパネル(MTCパネルIおよびII、BD Biosciences, Franklin Lakes, NJ)を使用した。このパネルに含まれる組織は、脳、結腸、心臓、腎臓、白血球、肝臓、肺、卵巣、膵臓、胎盤、前立腺、骨格筋、小腸、脾臓、胸腺、および精巣を含んだ。腫瘍細胞株における遺伝子発現を評価するために、標準的なグアニジウムチオシアネート−CsCl勾配法によって、全RNAを調製し、2μgを、20μlの逆転写反応に使用した。合成されたcDNAのうち2μlを、25μlのPCR毎に使用した。市販のマスターミックス(Platinum Taq Supermix, Invitrogen, Carlsbad, CA)を使用して、35サイクルの増幅を備えたPCRを設定し、それらのサイクルの各々は、94℃で15秒間、60℃で1分間、72℃で1分間からなった。PCR産物を、1%アガロースゲル電気泳動および臭化エチジウム染色によって可視化した。
定量RT−PCR
ABI PRISM 7000配列検出システム(Applied Biosystems, Foster City, CA)を使用して、定量RT−PCRを行った。正常精巣の全RNAを市販(Ambion, Austin, Texas)で入手した。腫瘍組織由来のRNAを、Trizol試薬(Invitrogen)を使用して調製した。20μlの逆転写反応1回につき2μgの全RNAを使用し、次いで、各25μlのPCRにつき2μlのcDNAを使用した。各反応を2回のセットで設定し、精巣の調製物中の量(abundance)に対して相対的な量として、発現のレベルを決定した。この目的のために、4倍の段階希釈における精巣cDNAからなる、各々のPCRプレートについての標準曲線を確立した。45回の2ステップサイクル増幅を行い、各々のサイクルは、95℃で15秒間、および60℃で1分間からなった。細胞株および組織のRNAのクオリティを、GUSおよびGAPDHの転写物を別々のコントロール増幅によって評価した。最終分析において含まれた全ての標本は、4サイクル未満しか異ならないCt値を有し、このことは、cDNAの質および量が類似することを示す。
結果
ESTに基づくデータベース分析によるCT候補遺伝子の選択
LICRのTranscriptomeデータベースを分析し、精巣のESTに対する体性組織のESTの比が5%(統計学的p値が0.05)未満である転写物を選択し、その結果371個の遺伝子のリストをもたらした。これら371個の遺伝子のうち12個は、癌/精巣発現パターンを有するものとして、既に文献において記載されており、最近構築されたCTデータベース(cancerimmunity.org/CTdatabase/)において列記される7個(例えば、GAGE-D2/CT12.1、BORIS/CT27、SPANX-A1/CT11.1、MAGE-A2/CT1.2、HAGE/CT13、AF15q14/CT29 、およびTDRD1/CT41.1)を含む。残りの359個の遺伝子を、ウェブサイトのバイオインフォマティクスのツールを用いて、マニュアルで評価し、そのmRNA転写物の精巣特異性を確認し、癌細胞株および癌組織における発現の証拠を探求した。230個の遺伝子が、2種類より多くの体性組織において存在するESTを有するか、任意の癌cDNAライブラリー(生殖細胞の腫瘍を除く)におけるESTを有さないか、またはこのデータベースにおいて利用可能な適切でないデータを有することを見出した。すべてのかかる遺伝子を除外した。次いで、より高い精巣/正常EST比を有すること、および、1種類以上の型の癌由来のESTが存在することに基づいて、20個の遺伝子のサンプルを、残りの129個の遺伝子から選択し、正常組織におけるこれらの遺伝子のmRNA分布を、RT−PCRによって分析した(表5)。
Figure 2008512120
Figure 2008512120
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RT−PCRによる4個のCT遺伝子およびCT様遺伝子の同定
10個の選択された遺伝子は、試験された12種類の正常組織において、ユビキタスな発現を示し、3個の遺伝子は、差次的な発現を示し、2種類以上の体性組織において、少なくとも中程度に発現していた(表6)。7個の遺伝子は、潜在的なCT遺伝子でありつづけ、4個の真の精巣特異的遺伝子(BOLL、PRM2、LOC440934 / Hs.238964、LOC151273 / Hs.24478)、ならびに、3個の発現が限定された遺伝子および/または発現が微弱な遺伝子(CPXCR1、C10orf94(以前はHs.117226)および HORMAD1/NOHMA)を含む。
次いで、これら7個の遺伝子の発現を、29株の細胞株において評価した。これら29株の細胞株は、15株のメラノーマ、4株の小細胞肺癌(NCI-H82、NCI-H128、NCI-H187、NCI-H740)、3株の非小細胞肺癌(SK-LC-5、SK-LC-14、SK-LC-17)、3株の結腸癌(SW403、HCT15、LS174T)、1株の腎臓癌(SK-RCC-1)、1株の肝細胞癌(SK-HEP-1)、1株の膀胱癌(T24)、および1株の肉腫(SW982)を含む。メラノーマは、公知のCT遺伝子を、ほとんどの他の腫瘍型より高い頻度で発現する(Scanlan, et al. Cancer Immun, 4: 1, 2004)。他の細胞株は、先に分類されており、1種類以上の公知のCT遺伝子を発現することが示されている(データは示さず)。
この選択された「CTリッチ」細胞株パネルにおける7個の潜在的CT遺伝子の発現プロフィールを、表7においてまとめる。3個の遺伝子(BOLL、PRM2、およびLOC151273 (Hs.244783))は、29細胞株のいずれにおいても発現を示さなかった。このことは、これらの遺伝子は、GenBankにおいて癌由来ESTを有するが、癌においてほとんど発現されないことを示す。他の4個の遺伝子(CPXCR1、C10orf94、LOC440934 (Hs.238964)、およびHORMAD1)は、1種類以上の細胞株において少なくとも中程度から強度の発現を示し、これらの4個の遺伝子を、新規のCT遺伝子またはCT様遺伝子として同定した。上記の20個の遺伝子のRT−PCR分析の全プロセスを、図5においてまとめる。
これら4個の遺伝子のうち、CPXCR1およびC10orf94は、RT−PCRによって、正常脳において、中程度から強度のmRNA発現を示した。LOC440934 (Hs.238964)は、肺癌(小細胞肺癌を含む)に由来する7細胞株のうち5株においてのみ、発現されたが、他の細胞株由来の他の22細胞株のいずれにおいても発現されなかった。従って、CPXCR1、C10orf94、およびLOC440934 (Hs.238964)は、CT遺伝子というよりはむしろ、精巣において同時に強く発現するが、他の体性組織においては発現しない、分化抗原であり得る。この現象は、例えば、NY-BR-1の場合において、先に観察されている。NY-BR-1は、胸部の分化抗原であって、精巣においてもまた発現される(Jagerら、Cancer Res, 61: 2055-2061, 2001)。CPXCR1およびC10orf94の産物は、癌ワクチンの標的としては有用ではなさそうである。なぜならば、同時性の脳での発現が、抗神経性自己免疫の懸念を生じるからである。一方、LOC440934 (Hs.238964)の遺伝子産物は、肺ガンのためのワクチンの標的として、価値があり得る。
これら3個の遺伝子と比較して、HORMAD1(Hs.298312、NM_032132;CT46タンパク質(NM_032132)についてのアミノ酸配列である配列番号25;CT46タンパク質(NM_173493.1)についてのヌクレオチド配列である配列番号26を参照のこと)は、3株のメラノーマ細胞株および2株の非メラノーマ細胞株において発現され、従って、新規のCT遺伝子であると考えられる。この遺伝子を、本発明者らの提案するCT命名系(Scanlan, et al., Cancer Immun, 4: 1, 2004)に従って、CT46と名付けた。
CT46発現の定量RT−PCR分析
細胞株での定量RT−PCRのデータを確認し、腫瘍組織におけるCT46/HORMAD1の発現をさらに評価するために、定量RT−PCR(qRT−PCR)を行った。定量RT−PCR(表6)によって、精巣における強度の発現に加えて、脳、胸部、結腸、脾臓、および胎盤における、CT46/HORMAD1の微弱な発現が示された。このデータを、qPCRによって確認した。11種類の非精巣正常組織のうち、胎盤において最も強い発現(精巣での発現の0.76%のレベル)が見られ、次いで、脾臓(0.55%)および結腸(0.23%)が続いた。他の正常組織は、CT46/HORMAD1のmRNAを、精巣での発現の0.1%未満のレベルで発現し、そのような正常組織として、胸部(0.046%)、および脳(0.044%)が挙げられる。
細胞株での定量RT−PCR(qRT−PCR)によって、同様に、定性PCRのデータを確認した。従って、試験された15細胞株のメラノーマのうち、3株の陽性株(SK-MEL-12、SK-MEL-24、およびSK-MEL-80)は、各々、精巣での発現レベルの2.85%、6.39%、および8.33%で、CT46/HORMAD1を発現した。定性RT−PCRによって陰性であることが見出された全ての他のメラノーマ株は、CT46/HORMAD1のmRNAレベルが、精巣での発現レベルの0.02%未満であった。従って、定性RT−PCRの結果と定量RT−PCRの結果との間で、100%の一致が存在する。これら2種類のアッセイは、遺伝子の異なる領域に由来するプライマーを利用するので、このデータは、正常組織および細胞株におけるCT46/HORMAD1の発現データの有効性を確認した。
次いで、さらなる腫瘍細胞株および腫瘍標本におけるCT46/HORMAD1の発現を、qRT−PCRによって試験した。これを、表6においてまとめる。本発明者らは、定性RT−PCRによる微弱、中程度、および強度のCT46/HORMAD1の発現が、qRT−PCRによって測定された精巣での発現の、>0.1%、>1%、および>10%と、ほぼ等価であることを観察した。これらのカットオフ値に基づいて、30個の非小細胞肺癌標本のうち14個(47%)、11個の乳癌標本のうち4個(36%)、20個の食道癌標本のうち7個(35%)、18個の子宮内膜癌標本のうち5個(28%)、15個の膀胱癌標本のうち3個(20%)、および15個の結腸癌標本のうち1個(7%)において、中程度から強度のCT46/HORMAD1の発現(精巣でのレベルの1%より強い)が観察された。また、12株の小細胞肺癌株のうち4株(25%)、および17株の結腸癌細胞株のうち2株(12%)において、同様のレベルでの発現が観察されたが、神経芽細胞腫細胞株においては発現が観察されなかった(0/5)。全体において、109個の腫瘍標本のうち34個(31%)が、精巣でのレベルの1%より強いCT46/HORMAD1の発現を示し、109個のうち12個(11%)が、強い(>10%)CT46/HORMAD1の発現を示した。
CT46/HORMAD1タンパク質は癌患者において免疫原性である
特許データベースに対するCT46/HORMAD1の配列のBLAST分析によって、部分的なCT46/HORMAD1のcDNA配列が、Obataら(GenBank登録番号AX053429)によって、自家性の患者の血清を用いる乳癌のSEREX分析によって、先に同定されたことが示された。このことは、CT46/HORMAD1が免疫原性であり、癌患者において自発性抗体応答を惹起し得ることを示す。
このことを、非小細胞肺癌(NSCLC)患者由来の血清を、組み替えCT46/HORMAD1タンパク質と反応性の抗体の存在について試験することによって、さらに確認した。以下:Stockertら(A survey of the humoral immune response of cancer patients to a panel of human tumor antigens. J Exp Med. 1998. 187(8):1349-54)およびAtanackovicら(Vaccine-induced CD4+ T cell responses to MAGE-3 protein in lung cancer patients. J Immunol. 2004. 172(5):3289-96)において記載されるプロトコルに従って、サンプルを試験した。
全部で219個の血漿サンプルを、1/200および1/1000の2種類の希釈で、抗CT46抗体の存在について試験した。
CT46について先に試験された肺癌患者(LU−68)を、CT46についての正のコントロールとして使用した。
結果を、図9に示す。175個の血清のうち少なくとも6個は、CT46に対して著しい反応性を有した:境界線の力価を含める場合、さらなる血清が、CT46と反応性であった。
CT46/HORMAD1の遺伝子および遺伝子産物
CT46/HORMAD1は、単一コピー遺伝子であり、染色体1q21.3上に位置し、22.8kbにわたり、1880bpのmRNA(ポリA末端を除く)をコードする。また、イントロンを含まない偽遺伝子も、染色体6q12−14.1上で同定され(GenBank登録番号AL132673)、CT46/HORMAD1のcDNA配列と、93%の配列同一性を有する。
精巣のCT46/HORMAD1のcDNAのRT−PCRおよびDNAシークエンシングによって、2個の転写変異体が明らかにされた。主要な全長CT46/HORMAD1転写物(配列番号26)は、13個のエキソンからなるが、一方、選択的転写変異体(alternative transcript variant)(配列番号30)は、エキソン4(64bp)を欠失する。主要な転写物は、394アミノ酸の推定のタンパク質(配列番号25)をコードし、エキソン2中に翻訳開始部位を有する。転写変異体2について同じ開始部位が使用される場合、コードされるタンパク質は、失われた64bpから生じる読み枠におけるフレームシフトに起因して、わずか60アミノ酸長である(配列番号31)。あるいは、この少数のより短い転写物が、エキソン3中の新たな開始部位から翻訳され得、その推定のタンパク質は、323アミノ酸を含み(配列番号32)、そのカルボキシルの313残基は、主要な産物の配列と同一である。
保存されたタンパク質ドメインについての検索によって、全長で394アミノ酸配列の全長を含むHORMAドメイン(KOG4652, HORMAドメイン;およびpfam02301, HORMAドメイン)が同定された(図7A)。実際に、本研究が行われていた間、ヒト遺伝子解析機構(HUGO)が、この遺伝子をHORMAD1と命名し、HORMAドメイン含有タンパク質として認識した。HORMA(Hop1p、Rev7p、およびMAD2を示す)ドメインタンパク質は、クロマチンの構造および動態の調節に関与する。具体的には、HORMAドメインは、DNAの二本鎖の開列または紡錘体への非結合から生じるクロマチンの状態を認識し、他のタンパク質を補充するためのアダプターとして作用することが、提案されている(AravindおよびKoonin, Trends Biochem Sci, 23: 284-286, 1998)。プロトタイプHORMAドメインタンパク質であるHop1は、酵母の減数分裂特異的タンパク質であり、その215個のアミノ酸配列にわたって、CT46/HORMAD1が25.8%の相同性を共有する。CT46/HORMAD1がヒトのHop1ホモログであるか否かは不明であるが、HORMAドメインの存在、Hop1とasy1(シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の減数分裂非対合(meiotic asynaptic)変異体タンパク質、260残基にわたり27.65%の類似性)との類似性、ならびに生殖細胞に制限されるCT46/HORMAD1の発現は、全て、CT46/HORMAD1が減数分裂関連タンパク質であることを示す。
CT46/HORMAD1は、種間にわたって高く保存される
予測されるCT46/HORMAD1タンパク質配列を使用する相同性検索によって、他の霊長類(Macaca fascicularis、GenPept登録番号BAB63133)、ならびに齧歯類(Mus musculus、RefSeq登録番号NP_080765;Rattus norvegicus、RefSeq 登録番号XP_228333)におけるオルトログを同定した。全ては、cDNAから予測される仮説上のタンパク質である。これらのcDNAの各々は、精巣に由来し、このことは、保存的な精巣特異的転写を示す。
入手可能なサルcDNA配列(GenBank登録番号AB070034)は、カルボキシルの298残基をコードする部分配列であって、ヒトCT46/HORMAD1と、98.3%(293/298)の配列同一性を有する。マウスおよびラットの対応物は、全長配列であって、各々、374アミノ酸および391アミノ酸のタンパク質が予測される。このマウスのタンパク質は、CT46/HORMAD1と78%の配列同一性(保存的アミノ酸変化を許容する場合、89%類似性)を示し、ラットのタンパク質は、CT46/HORMAD1と72%の同一性を有し、保存的変化を含める場合、83%の配列類似性を有する。
これらのオルトログ遺伝子の同定に加え、タンパク質相同性検索によって、イネ(Oryza sativa(日本栽培種)由来のGenPept登録番号BAD00095)、およびカイラン(Chinese kale)由来のAsy1減数分裂タンパク質(GenPept登録番号AAN37925)を含む、さらなる減数分裂対合タンパク質が同定され、このことは、CT46/HORMAD1が、進化的に保存された減数分裂タンパク質であるという仮説を、さらに支持する。
MGC26710(CT46/HORMAD1と相同であるヒトタンパク質)
ヒトのタンパク質のうちで、MGC26710が、CT46/HORMAD1に最も類似している。MGC26710の遺伝子は、染色体22q12上に位置し、307アミノ酸の推定のタンパク質をコードする(RefSeq登録番号NM_152510;配列番号33、MGC26710のヌクレオチド配列;配列番号34、MGC26710のアミノ酸配列)。そのCT46/HORMAD1との類似性は、N末端のHORMAドメインに起因し、最初の240残基において54%の配列同一性を有し、これは、保存的変化を含めると、72%の類似性を有する(図7B)。
正常組織におけるMGC26710のmRNA発現を、定性RT−PCRによって評価した。その結果は、組織限定的発現を示し、精巣、肝臓、および脳において強い発現を有し、腎臓において微弱な発現を有し、8種類の他の正常組織においては、発現しないかまたは最低限の発現を有した。癌細胞株の試験によって、試験された21細胞株のうち3株(NCI-H82、SK-LC-14、およびT24)において、中程度から強度の発現が示され、このことは、CT46/HORMAD1の発現と一致しなかった。従って、MGC26710は、差次的に発現される遺伝子であるが、その正常組織および/または腫瘍組織の発現プロフィールは、CT46/HORMAD1と異なる。
考察
精巣において主に発現する遺伝子の分析を介して、本発明者らは、CT46/HORMAD1を、新規のCT遺伝子として同定した。CT46/HORMAD1に対応する、正常組織由来の27個のESTが、GenBankにおいて見出され、そのうち23個は精巣に由来し、4個は脳組織に由来する。比較によって、生殖細胞腫瘍に由来する4個、乳癌に由来する4個、および肺癌に由来する1個を含む、腫瘍組織に由来する9個のESTを見出した。従って、EST分布によって、CT46/HORMAD1が、非生殖細胞悪性病変において活性化され得る生殖細胞特異的遺伝子であることが示唆された。これは、CT抗原遺伝子の特徴である。本発明者らの実験データによって、この所感が確認され、肺、胸部、食道、子宮内膜、膀胱、および結腸におけるCT46の発現が明らかになった。定量RT−PCRによって、いくつかの体性組織において増幅産物が検出されたが、本発明者らは、このことが混入ゲノムDNAの増幅の結果であるという可能性を正式に除外することができなかった。なぜならば、イントロンを含まない偽遺伝子は、トランスイントロンプライマーおよびトランスイントロンプローブが由来する領域においてすら、相同性が高いからである。本発明者らのデータは、mRNAが体性組織において発現される場合ですら、その発現レベルは、精巣での発現の1%未満であることを示した。また、同様の低レベルの発現が、他のCT抗原についても観察されており(Scanlan, et al., Immunol Rev, 188: 22-32, 2002)、これは、癌ワクチンの標的としてのそれらの使用を妨げない。
CT抗原は、X染色体上に位置するか否かに基づいて、2群に分けられ得ることが観察された。X染色体は、異常に多い数の精巣特異的遺伝子を含むことが、示されており(Wangら、Nat Genet, 27: 422-426, 2001; Warburtonら、Genome Res, 14: 1861-1869, 2004)、そのうちのいくつかは、CT抗原遺伝子である。この群に属するCT抗原遺伝子として、上記のように、MAGE、GAGE、NY-ESO-1、SSX、XAGE、SPANX、およびCT45が挙げられる。これらの遺伝子は、ほとんど常に、新たな遺伝子複製のイベントに由来する著しく類似するメンバーを有する、多重遺伝子ファミリーのメンバーである。対照的に、ほとんどのX染色体上に位置しないCT抗原遺伝子は、単一コピー遺伝子である。CT46/HORMAD1は、後者の群の新規メンバーである。
CT46/HORMAD1の機能は、まだ実験的に確認されるべきであるが、予測されるタンパク質はHORMAドメインを含み、従って、クロマチンの構造および動態の調節に関与し得る。より具体的には、CT46/HORMAD1は、減数分裂タンパク質に著しく類似し、その生殖細胞における組織特異的発現と一致する。減数分裂との関連があり得ることは、特に重要である。なぜならば、他の減数分裂関連タンパク質もまたCT抗原であることが見出されているからである。そのようなタンパク質として、Spo11およびSCP-1(シナプトネマ構造タンパク質1)(Tureciら、Proc Natl Acad Sci U S A, 95: 5211-5216, 1998)が挙げられる。本発明者らは、体性組織におけるかかる減数分裂特異的タンパク質の発現が、ゲノムの不安定性をもたらし得、従って、腫瘍の進行に寄与することを推測した(Old, Cancer Immun, 1: 1, 2001)。
当業者は、本明細書において記載される本発明の特定の態様に対する多数の等価物を、認識するか、または、慣例的な実験のみを使用して確認することが出来る。かかる等価物は、添付の特許請求の範囲によって包含されることを意図される。
本明細書において開示される全ての引用文献は、その全体が参考として援用される。
図1は、本研究の各工程において分析された遺伝子の模式的要約である。各々のカテゴリーにおける遺伝子数を、括弧内に示す。 図2は、肺癌および乳癌における、5個のCT抗原遺伝子の発現を示す。非小細胞肺癌(X)および乳癌(O)におけるこれらのCT遺伝子のmRNA発現を、リアルタイムRT−PCRによって試験した。各々の記号が、1つの症例を表す。100%での破線は、腫瘍での発現レベルが比較された、精巣での発現レベルを示す。 図3は、CT45の遺伝子ファミリーおよび転写変異体を示す。X染色体上での、6コピーのCT45遺伝子の位置、およびLOC203522遺伝子およびSAGE遺伝子とのそれらの関係が示され、矢印によって転写の方向が示される。CT45の3個の転写変異体を模式的に示し、ここで、ボックスはエキソンを示す。5’末端および3’末端での非翻訳領域(UT)は、斜線をしたボックスとして示される。翻訳開始部位(ATG)および終止コドン()が示される。 図4は、SAGE(配列番号29)、DDX26(配列番号28)、LOC203522(配列番号5)、およびCT45(配列番号6)の間で保存された領域の、多重配列アラインメントである。同一の配列を、黒色で示し、一方、保存的変化を灰色で示す。各々の遺伝子についての、この保存されたセグメントの開始点におけるアミノ酸番号を示す。 図5は、20個のCT候補遺伝子の分析フローチャートである。正常組織および癌細胞株における遺伝子発現を、定性RT−PCRによって評価した。ユビキタスな発現は、アガロースゲルでの臭化エチジウム染色によって判断された、ほとんどまたは全ての試験された正常組織において強度が類似するPCR産物の存在に対応した。多様な発現とは、少なくともいくつかの正常組織における著しい発現を意味し、精巣特異的または精巣優位な発現とは、精巣においてのみ、または精巣および最大2種類までのさらなる正常組織においてのみ、顕著なPCR産物が観察されることを意味する(表6も参照のこと)。 図6は、腫瘍細胞株および腫瘍標本におけるCT46のmRNA発現を示す。発現レベルを、リアルタイムRT−PCRによって決定し、精巣での発現レベルのサンプルのパーセンテージとして表した。各々の白丸が、1個のサンプルを表す。細胞株は、メラノーマ、小細胞肺癌(SCLC)、神経芽細胞種、および結腸癌についてのものであり、一方、主要な腫瘍標本由来のRNAは、非小細胞肺癌(NSCLC)、乳癌、膀胱癌、食道癌、子宮内膜癌、および結腸癌由来のものであった。
図7は、アミノ酸配列アラインメントを示す。図7Aは、CT46(配列番号25のアミノ酸15〜394)と、プロトタイプHORMAドメイン含有タンパク質であるKOG4652(配列番号35)との間のアラインメントを示す。同一の配列が表示され、保存的アミノ酸変化は+として示され、ギャップは破線で示される。 図7は、アミノ酸配列アラインメントを示す。図7Bは、CT46(配列番号25のアミノ酸1〜241)と、相同なMGC26710の仮説上のタンパク質(配列番号34のアミノ酸1〜249)との間のアラインメントを示す。同一の配列を示し、保存的アミノ酸変化を+として示し、ギャップを破線で示す。 図8は、非小細胞肺癌患者の血清中の抗体と、CT45タンパク質との反応性を示す。 図8は、非小細胞肺癌患者の血清中の抗体と、CT45タンパク質との反応性を示す。 図8は、非小細胞肺癌患者の血清中の抗体と、CT45タンパク質との反応性を示す。 図8は、非小細胞肺癌患者の血清中の抗体と、CT45タンパク質との反応性を示す。 図8は、非小細胞肺癌患者の血清中の抗体と、CT45タンパク質との反応性を示す。 図9は、非小細胞肺癌患者の血清中の抗体と、CT46−HORMAD1タンパク質との反応性を示す。 図9は、非小細胞肺癌患者の血清中の抗体と、CT46−HORMAD1タンパク質との反応性を示す。 図9は、非小細胞肺癌患者の血清中の抗体と、CT46−HORMAD1タンパク質との反応性を示す。 図9は、非小細胞肺癌患者の血清中の抗体と、CT46−HORMAD1タンパク質との反応性を示す。 図9は、非小細胞肺癌患者の血清中の抗体と、CT46−HORMAD1タンパク質との反応性を示す。

Claims (146)

  1. 被験体において免疫応答を誘導する、以下を含む方法:
    かかる処置を必要とする被験体に、単離されたポリペプチドを投与する工程であって、該単離されたポリペプチドは、配列番号3、配列番号4、配列番号6として示されるアミノ酸配列またはそれらの免疫原性フラグメントを、該被験体において免疫応答を誘導するために有効な量で含む、前記工程。
  2. 免疫原性フラグメントが、8アミノ酸長または9アミノ酸長以上である、請求項1に記載の方法。
  3. 被験体が癌を罹患しているかまたは癌を罹患していることを疑われる、請求項1に記載の方法。
  4. 癌が、メラノーマ、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、結腸癌、肉腫、または膀胱癌である、請求項3に記載の方法。
  5. 免疫応答が、単離されたポリペプチドに結合する抗体を含む、請求項1に記載の方法。
  6. 免疫応答が、MHC分子によって提示される単離されたポリペプチドのエピトープを認識するT細胞を含む、請求項1に記載の方法。
  7. 抗原提示細胞を投与する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  8. 抗原提示細胞が、樹状細胞である、請求項7に記載の方法。
  9. 抗原提示細胞が、自家細胞である、請求項7に記載の方法。
  10. 被験体を処置するための、以下を含む方法:
    癌を罹患しているかまたは癌を罹患していることが疑われる被験体に、CT45ポリペプチド分子に特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントの有効量を投与する工程であって、該CT45ポリペプチド分子は、配列番号3に示されるアミノ酸配列またはその免疫原性フラグメントを含む、前記工程。
  11. 免疫原性フラグメントが、8アミノ酸長または9アミノ酸長以上である、請求項10に記載の方法。
  12. 抗体が、モノクローナル抗体である、請求項10に記載の方法。
  13. 抗体が、キメラ抗体、ヒト抗体、またはヒト化抗体である、請求項10に記載の方法。
  14. 抗体が、一本鎖抗体である、請求項10に記載の方法。
  15. 抗体が、(一本鎖)ドメイン抗体または他の細胞内抗体である、請求項10に記載の方法。
  16. 抗体結合フラグメントが、F(ab’)、Fab、Fd、またはFvフラグメントである、請求項10に記載の方法。
  17. 抗体またはその抗体結合フラグメントが、細胞傷害性薬剤と結合されている、請求項10に記載の方法。
  18. 細胞傷害性薬剤が、カリチアマイシン、エスペラミシン、メトトレキサート、ドキソルビシン、メルファラン、クロランブシル、ARA−C、ビンデシン、マイトマイシンC、シスプラチン、エトプシド、ブレオマイシン、および/または5−フルオロウラシルである、請求項17に記載の方法。
  19. 細胞傷害性薬剤が、放射性同位元素である、請求項17に記載の方法。
  20. 放射性同位元素が、α放射線を放出する、請求項19に記載の方法。
  21. 放射性同位元素が、β放射線を放出する、請求項19に記載の方法。
  22. 放射性同位元素が、γ放射線を放出する、請求項19に記載の方法。
  23. 放射性同位元素が、225Ac、211At、212Bi、213Bi、186Rh、188Rh、177Lu、90Y、131I、67Cu、125I、123I、77Br、153Sm、166Bo、64Cu、212Pb、224Ra、および/または223Raである、請求項19に記載の方法。
  24. CT45ポリペプチド分子のフラグメントが、配列番号4として示されるアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の方法。
  25. CT45ポリペプチド分子のフラグメントが、配列番号6として示されるアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の方法。
  26. アミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを含有する組成物であって、
    ここ、該アミノ酸配列は、配列番号3、配列番号4、配列番号6、またはそれらの免疫原性フラグメントである、
    組成物。
  27. 免疫応答を誘導するために有効な量の単離されたポリペプチドを含む、請求項26に記載の組成物。
  28. 癌の処置を誘導するために有効な量の単離されたポリペプチドを含む、請求項26に記載の組成物。
  29. 薬学的に受容可能なキャリアをさらに含む、請求項26に記載の組成物。
  30. 抗原提示細胞をさらに含む、請求項26に記載の組成物。
  31. 抗原提示細胞が、樹状細胞である、請求項30に記載の組成物。
  32. 抗原提示細胞が、自家細胞である、請求項30に記載の組成物。
  33. 被験体において癌を診断する、以下を含む方法:
    該被験体から単離される生物学的サンプル中の配列番号3として示されるアミノ酸配列またはそのフラグメントをコードする核酸分子の存在または量を決定する工程であって、該生物学的サンプル中の該核酸分子の存在または量が、該被験体における癌の存在を示す、前記工程。
  34. 核酸分子が、配列番号1として示されるヌクレオチド配列のコード配列、または配列番号1として示されるヌクレオチド配列のコード配列と少なくとも約90%同一のヌクレオチド配列を含む、請求項33に記載の方法。
  35. 核酸分子が、配列番号1として示されるヌクレオチド配列のコード配列を含む、請求項34に記載の方法。
  36. 核酸分子が、配列番号1として示されるヌクレオチド配列を含む、請求項34に記載の方法。
  37. 核酸分子が、配列番号2として示されるヌクレオチド配列のコード配列、または配列番号2として示されるヌクレオチド配列のコード配列と約90%同一なヌクレオチド配列を含む、請求項33に記載の方法。
  38. 核酸分子が、配列番号2として示されるヌクレオチド配列のコード配列を含む、請求項37に記載の方法。
  39. 核酸分子が、配列番号2として示されるヌクレオチド配列を含む、請求項37に記載の方法。
  40. 配列番号3として示されるポリペプチド配列のフラグメントが、配列番号4を含む、請求項33に記載の方法。
  41. 配列番号3として示されるポリペプチド配列のフラグメントが、配列番号6を含む、請求項33に記載の方法。
  42. 核酸分子の存在または量を決定する工程が、生物学的サンプルと該核酸分子に選択的に結合する薬剤とを接触させる工程を含む、請求項33に記載の方法。
  43. 選択的に結合する薬剤が別の核酸分子である、請求項42に記載の方法。
  44. 核酸分子の存在または量を決定する工程が、核酸ハイブリダイゼーションまたは核酸増幅を含む、請求項42に記載の方法。
  45. 核酸増幅がPCRである、請求項44に記載の方法。
  46. 核酸ハイブリダイゼーションが、核酸マイクロアレイを使用して行われる、請求項44に記載の方法。
  47. 使用されるプライマーが、配列番号22および/または配列番号23である、請求項44に記載の方法。
  48. cDNAが検出される、請求項44に記載の方法。
  49. 生物学的サンプルが、組織、細胞、および/または血液である、請求項33に記載の方法。
  50. 生物学的サンプルが精巣組織を含まない、請求項33に記載の方法。
  51. 生物学的サンプル中の核酸分子の存在または量が、癌を罹患していない被験体由来の生物学的サンプル中の該核酸分子の存在または量と比較される、請求項33に記載の方法。
  52. 被験体において癌を診断する、以下を含む方法:
    該被験体から単離される生物学的サンプル中の、配列番号3として示されるアミノ酸配列またはそのフラグメントを含むCT45ポリペプチド分子の存在または量を決定する工程であって、該生物学的サンプル中の該CT45ポリペプチド分子の存在または量は、該被験体における癌の存在を示す、前記工程。
  53. CT45ポリペプチド分子のフラグメントが、配列番号4として示されるアミノ酸配列を含む、請求項52に記載の方法。
  54. CT45ポリペプチド分子のフラグメントが、配列番号6として示されるアミノ酸配列を含む、請求項52に記載の方法。
  55. 生物学的サンプルが、CT45ポリペプチド分子またはそのフラグメントに選択的に結合する薬剤と接触させられる、請求項52に記載の方法。
  56. 選択的に結合する薬剤が、抗体またはその抗原結合フラグメントである、請求項55に記載の方法。
  57. 抗体が、モノクローナル抗体である、請求項56に記載の方法。
  58. 抗体が、キメラ抗体、ヒト抗体、またはヒト化抗体である、請求項56に記載の方法。
  59. 抗体が、一本鎖抗体である、請求項56に記載の方法。
  60. 抗原結合フラグメントが、F(ab’)、Fab、Fd、またはFvフラグメントである、請求項56に記載の方法。
  61. 抗体または抗原結合フラグメントが、検出可能な標識物で標識される、請求項56に記載の方法。
  62. 検出可能な標識物が、蛍光分子、放射性分子、酵素、金属、ビオチン分子、化学発光分子、生物発光分子、または発色団分子である、請求項61に記載の方法。
  63. 生物学的サンプルが、組織、細胞、および/または血液である、請求項52に記載の方法。
  64. 生物学的サンプルが、精巣組織を含まない、請求項52に記載の方法。
  65. 生物学的サンプル中のCT45ポリペプチド分子の存在または量が、癌を罹患していない被験体由来の生物学的サンプル中のCT45ポリペプチド分子の存在または量と比較される、請求項52に記載の方法。
  66. 被験体において癌を診断するための、以下を含む方法:
    該被験体から単離される生物学的サンプル中の配列番号3として示されるアミノ酸配列またはそのフラグメントを含むCT45ポリペプチド分子に、特異的に結合する抗体の存在または量を決定する工程であって、該生物学的サンプル中の該抗体の存在または量は、該被験体における癌の存在を示す、前記工程。。
  67. 抗体の存在または量を決定する工程が、
    生物学的サンプルと配列番号3として示されるアミノ酸配列またはそのフラグメントを含むCT45ポリペプチド分子とを接触させる工程、
    および、該抗体への該CT45ポリペプチド分子の特異的結合を決定する工程
    を含む、請求項66に記載の方法。
  68. CT45ポリペプチド分子が、基質に結合される、請求項67に記載の方法。
  69. CT45ポリペプチド分子が、検出可能な標識物を含む、請求項67に記載の方法。
  70. 検出可能な標識が、蛍光分子、放射性分子、酵素、金属、ビオチン分子、化学発光分子、生物発光分子、または発色団分子である、請求項69に記載の方法。
  71. 生物学的サンプルと、CT45ポリペプチド分子に結合する検出可能な二次抗体とを接触させる工程をさらに含む、請求項67に記載の方法。
  72. CT45ポリペプチド分子のフラグメントが、配列番号4として示されるアミノ酸配列を含む、請求項67に記載の方法。
  73. CT45ポリペプチド分子のフラグメントが、配列番号6として示されるアミノ酸配列を含む、請求項67に記載の方法。
  74. 生物学的サンプルが、組織、細胞、および/または血液である、請求項66に記載の方法。
  75. 生物学的サンプルが、精巣組織を含まない、請求項66に記載の方法。
  76. 被験体において免疫応答を誘導する、以下を含む方法:
    かかる処置を必要とする被験体に単離されたCT46ポリペプチド分子を投与する工程
    であって、該CT46ポリペプチド分子は、配列番号25、配列番号31、配列番号32として示されるアミノ酸配列またはそれらの免疫原性フラグメントを、該被験体において免疫応答を誘導するために有効な量で含む、前記工程。
  77. 免疫原性フラグメントが、8アミノ酸長または9アミノ酸長以上である、請求項76に記載の方法。
  78. 被験体が、癌を罹患しているかまたは癌を罹患していることを疑われる、請求項76に記載の方法。
  79. 癌が、メラノーマ、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、結腸癌、膀胱癌、乳癌、食道癌、または子宮内膜癌である、請求項78に記載の方法。
  80. 免疫応答が、単離されたポリペプチドに特異的に結合する抗体を含む、請求項76に記載の方法。
  81. 免疫応答が、MHC分子によって提示される単離されたポリペプチドのエピトープを認識するT細胞を含む、請求項76に記載の方法。
  82. 抗原提示細胞を投与する工程をさらに含む、請求項76に記載の方法。
  83. 抗原提示細胞が、樹状細胞である、請求項82に記載の方法。
  84. 抗原提示細胞が、自家細胞である、請求項82に記載の方法。
  85. 被験体を処置するための、以下を含む方法:
    癌を罹患しているかまたは癌を罹患していることが疑われる被験体に、CT46ポリペプチド分子に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合フラグメントの有効量を投与する工程であって、該CT46ポリペプチド分子は、配列番号25、配列番号31、もしくは配列番号32として示されるアミノ酸配列、またはそれらの免疫原性フラグメントを含む、前記工程。
  86. 免疫原性フラグメントが、8アミノ酸長または9アミノ酸長以上である、請求項85に記載の方法。
  87. 抗体が、モノクローナル抗体である、請求項85に記載の方法。
  88. 抗体が、キメラ抗体、ヒト抗体、またはヒト化抗体である、請求項85に記載の方法。
  89. 抗体が、一本鎖抗体である、請求項85に記載の方法。
  90. 抗体が、(一本鎖)ドメイン抗体または他の細胞内抗体である、請求項85に記載の方法。
  91. 抗原結合フラグメントが、F(ab’)、Fab、Fd、またはFvフラグメントである、請求項85に記載の方法。
  92. 抗体またはその抗原結合フラグメントが、細胞傷害性薬剤に結合される、請求項85に記載の方法。
  93. 細胞傷害性薬剤が、カリチアマイシン、エスペラミシン、メトトレキサート、ドキソルビシン、メルファラン、クロランブシル、ARA−C、ビンデシン、マイトマイシンC、シスプラチン、エトプシド、ブレオマイシン、および/または5−フルオロウラシルである、請求項92に記載の方法。
  94. 細胞傷害性薬剤が、放射性同位元素である、請求項92に記載の方法。
  95. 放射性同位元素が、α放射線を放出する、請求項94に記載の方法。
  96. 放射性同位元素が、β放射線を放出する、請求項94に記載の方法。
  97. 放射性同位元素が、γ放射線を放出する、請求項94に記載の方法。
  98. 放射性同位元素が、225Ac、211At、212Bi、213Bi、186Rh、188Rh、177Lu、90Y、131I、67Cu、125I、123I、77Br、153Sm、166Bo、64Cu、212Pb、224Ra、および/または223Raである、請求項94に記載の方法。
  99. 配列番号31のアミノ酸配列をコードする、単離された核酸分子。
  100. 配列番号32のアミノ酸配列をコードする、単離された核酸分子。
  101. 配列番号30を含む、請求項99または請求項100に記載の単離された核酸分子。
  102. 配列番号31のアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド。
  103. 配列番号32のアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド。
  104. アミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを含有する組成物であって、
    該アミノ酸配列が、配列番号25、配列番号31、配列番号32、またはそれらの免疫原性フラグメントである、
    組成物。
  105. 免疫応答を誘導するために有効な量の単離されたポリペプチドを含む、請求項104に記載の組成物。
  106. 癌の処置を誘導するために有効な量の単離されたポリペプチドを含む、請求項104に記載の組成物。
  107. 薬学的に受容可能なキャリアをさらに含む、請求項104に記載の組成物。
  108. 抗原提示細胞をさらに含む、請求項104に記載の組成物。
  109. 抗原提示細胞が、樹状細胞である、請求項108に記載の組成物。
  110. 抗原提示細胞が、自家細胞である、請求項108に記載の組成物。
  111. 被験体において癌を診断する、以下を含む方法:
    該被験体から単離された生物学的サンプル中の、配列番号25として示されるアミノ酸配列またはそのフラグメントをコードする核酸分子の存在または量を決定する工程であって、該生物学的サンプル中の該核酸分子の存在または量が、該被験体における癌の存在を示す、前記工程。
  112. 核酸分子が、配列番号26として示されるヌクレオチド配列のコード配列、または配列番号26として示されるヌクレオチド配列のコード配列と少なくとも約90%同一なヌクレオチド配列を含む、請求項111に記載の方法。
  113. 核酸分子が、配列番号26として示されるヌクレオチド配列のコード配列を含む、配列番号112に記載の方法。
  114. 核酸分子が、配列番号26として示されるヌクレオチド配列を含む、請求項112に記載の方法。
  115. 核酸分子が、配列番号26として示されるヌクレオチド配列のコード配列からなる、配列番号112に記載の方法。
  116. 核酸分子が、配列番号26として示されるヌクレオチド配列からなる、配列番号112に記載の方法。
  117. 核酸分子の存在または量を決定する工程が、生物学的サンプルと該核酸分子に選択的に結合する薬剤とを接触させる工程を含む、請求項111に記載の方法。
  118. 選択的に結合する薬剤が別の核酸分子である、請求項117に記載の方法。
  119. 核酸分子の存在または量を決定する工程が、核酸ハイブリダイゼーションまたは核酸増幅を含む、請求項117に記載の方法。
  120. 核酸増幅が、PCRである、請求項119に記載の方法。
  121. 核酸ハイブリダイゼーションが、核酸マイクロアレイを使用して行われる、請求項119に記載の方法。
  122. cDNAが検出される、請求項119に記載の方法。
  123. 生物学的サンプルが、組織、細胞、および/または血液である、請求項111に記載の方法。
  124. 生物学的サンプルが、精巣組織を含まない、請求項111に記載の方法。
  125. 生物学的サンプル中の核酸分子の存在または量が、癌を罹患していない被験体由来の生物学的サンプル中の該核酸分子の存在または量と比較される、請求項111に記載の方法。
  126. 被験体において癌を診断する、以下を含む方法:
    該被験体から単離される生物学的サンプル中の、配列番号25、配列番号31、もしくは配列番号32として示されるアミノ酸配列、またはそれらのフラグメントを含む、CT46ポリペプチド分子の存在または量を決定する工程であって、該生物学的サンプル中の該CT46ポリペプチド分子の存在または量は、該被験体における癌の存在を示す、前記工程
  127. CT46ポリペプチド分子が、配列番号25、配列番号31、または配列番号32として示されるアミノ酸配列からなる、請求項126に記載の方法。
  128. 生物学的サンプルが、CT46ポリペプチド分子またはそのフラグメントと選択的に結合する薬剤と接触させられる、請求項128に記載の方法。
  129. 選択的に結合する薬剤が、抗体またはその抗原結合フラグメントである、請求項126に記載の方法。
  130. 抗体がモノクローナル抗体である、請求項129に記載の方法。
  131. 抗体が、キメラ抗体、ヒト抗体、またはヒト化抗体である、請求項129に記載の方法。
  132. 抗体が一本鎖抗体である、請求項129に記載の方法。
  133. 抗原結合フラグメントが、F(ab’)、Fab、Fd、またはFvフラグメントである、請求項129に記載の方法。
  134. 抗体または抗原結合フラグメントが、検出可能な標識物で標識される、請求項129に記載の方法。
  135. 検出可能な標識物が、蛍光分子、放射性分子、酵素、金属、ビオチン分子、化学発光分子、生物発光分子、または発色団分子である、請求項134に記載の方法。
  136. 生物学的サンプルが、組織、細胞、および/または血液である、請求項126に記載の方法。
  137. 生物学的サンプルが、精巣組織を含まない、請求項126に記載の方法。
  138. 生物学的サンプル中のCT46ポリペプチド分子の存在または量が、癌を罹患していない被験体由来の生物学的サンプル中の該CT46ポリペプチド分子の存在または量と比較される、請求項126に記載の方法。
  139. 被験体において癌を診断するための、以下を含む方法:
    該被験体から単離される生物学的サンプル中の、配列番号25、配列番号31、もしくは配列番号32として示されるアミノ酸配列またはそれらのフラグメントを含むCT46ポリペプチド分子に特異的に結合する抗体の存在または量を決定する工程であって、該生物学的サンプル中の該抗体の存在または量は、該被験体における癌の存在を示す前記工程。
  140. 抗体の存在または量を決定する工程が、以下を含む、請求項139に記載の方法:
    生物学的サンプルを、配列番号25、配列番号31、もしくは配列番号32として示されるアミノ酸配列またはそれらのフラグメントを含むCT46ポリペプチド分子と接触させる工程、および、該抗体への該CT46ポリペプチド分子の選択的結合を決定する工程。
  141. CT46ポリペプチド分子が、基質に結合される、請求項140に記載の方法。
  142. CT46ポリペプチド分子が、検出可能な標識物を含む、請求項140に記載の方法。
  143. 検出可能な標識物が、蛍光分子、放射性分子、酵素、金属、ビオチン分子、化学発光分子、生物発光分子、または発色団分子である、請求項142に記載の方法。
  144. 生物学的サンプルと、CT46ポリペプチド分子に結合する検出可能な二次抗体とを接触させる工程をさらに含む、請求項142に記載の方法。
  145. 生物学的サンプルが、組織、細胞、および/または血液である、請求項139に記載の方法。
  146. 生物学的サンプルが、精巣組織を含まない、請求項139に記載の方法。
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