JP2008311079A - 燃料電池モジュール及び燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】性能を向上させることが可能な燃料電池モジュール、及び、当該燃料電池モジュールを備える燃料電池を提供する。
【解決手段】中空形状の膜電極構造体と、膜電極構造体の内周面側に配設される内部集電体と、膜電極構造体の外周面側に配設される外部集電体とを備えるチューブ型燃料電池セル、チューブ型燃料電池セルと熱交換可能な熱媒体が流通する熱媒体管、並びに、チューブ型燃料電池セル及び熱媒体管を収容するケース部材を備え、二以上の熱媒体管が一のチューブ型燃料電池セルと接触し、一のチューブ型燃料電池セルと接触する二以上の熱媒体管に、熱媒体の流通方向が互いに異なる複数の熱媒体管が備えられ、ケース部材の中央部に収容されるチューブ型燃料電池セルと交換される熱量と、ケース部材の端部に収容されるチューブ型燃料電池セルと交換される熱量との間に差を設ける熱交換量制御手段が備えられる、燃料電池モジュールとする。
【選択図】図3

Description

本発明は、中空形状の膜電極構造体を有するチューブ型燃料電池セルを備える燃料電池モジュール、及び、該燃料電池モジュールを備える燃料電池に関する。
燃料電池は、電解質層(以下「電解質膜」という。)と、電解質膜の両面側にそれぞれ配設される電極(アノード及びカソード)とを備える膜電極構造体(以下「MEA」という。)における電気化学反応により発生した電気エネルギーを、MEAの両側にそれぞれ配設される集電体を介して外部に取り出す装置である。燃料電池の中でも、家庭用コージェネレーション・システムや自動車等に使用される固体高分子型燃料電池(以下「PEFC」という。)は、低温領域での運転が可能である。このPEFCは、高いエネルギー変換効率を示し、起動時間が短く、かつシステムが小型軽量であることから、電気自動車の動力源や携帯用電源として注目されている。
単位体積当たりの発電量を向上させること等を目的として、近年、単セルが柱状のPEFC(以下「チューブ型PEFC」という。)に関する研究が進められている。チューブ型PEFCのユニットセル(以下において、「チューブ型燃料電池セル」又は単に「セル」ということがある。)は、一般に、中空形状の電解質膜と当該電解質膜の内周面側及び外周面側にそれぞれ配設される触媒層とを備える中空形状のMEA、を具備する。そして、例えば、当該MEAの内周面側に水素含有ガスを、外周面側に酸素含有ガスをそれぞれ供給することにより電気化学反応を起こし、この電気化学反応により発生した電気エネルギーを、MEAの内周面側及び外周面側にそれぞれ配設される集電体を介して外部に取り出している。すなわち、チューブ型PEFCでは、各チューブ型燃料電池セルに備えられるMEAの内周面側に一方の反応ガス(例えば、水素含有ガス)を、外周面側に他方の反応ガス(例えば、酸素含有ガス)を供給することにより発電エネルギーを取り出すので、隣り合う2つのチューブ型燃料電池セルの外周面側に供給される反応ガスを同一とすることができる。したがって、チューブ型PEFCによれば、従来の平板型PEFCではガス遮蔽性能をも併せ持っていたセパレータが不要となるため、単位体積当たりの発電量を向上させることが容易になる。
このようなチューブ型PEFCに関する技術として、例えば、特許文献1には、底面の中心が正六角形の各頂点位置に配置された6個のチューブ型燃料電池セルと、当該6個のチューブ型燃料電池セルが正六角形の各頂点位置に配置されることによってその中心部に形成された間隙に挿入された冷却媒体流通管とを有する、燃料電池スタックに関する技術が開示されている。かかる形態の燃料電池スタックによれば、高電流及び高電圧を得ることが可能で、しかも、小型かつ軽量である燃料電池スタックが提供される、としている。また、特許文献2には、積層方向に沿ったセル間の温度を均一にし、燃料電池を小型化することを目的とした技術が開示されている。
特開2004−158335号公報 特開平7−142078号公報
しかし、特許文献1に開示されている技術では、チューブ型燃料電池セルの長手方向で温度差が生じやすく、性能が低下しやすいという問題があった。また、特許文献2に開示されている技術は、従来の平板型PEFCに関するものであるため、当該技術をそのまま転用して、複数のチューブ型燃料電池セルを備える燃料電池モジュールの性能を向上させることは困難であるという問題があった。
そこで本発明は、性能を向上させることが可能な燃料電池モジュール、及び、該燃料電池モジュールを備える燃料電池を提供することを課題とし、特に、セルの温度分布を低減することにより性能を向上させることが可能な燃料電池モジュール、及び、当該燃料電池モジュールを備える燃料電池を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段をとる。すなわち、
第1の本発明は、中空形状の膜電極構造体と、膜電極構造体の内周面側に配設される内部集電体と、膜電極構造体の外周面側に配設される外部集電体とを備えるチューブ型燃料電池セル、チューブ型燃料電池セルと熱交換可能な熱媒体が流通する熱媒体管、並びに、チューブ型燃料電池セル及び熱媒体管を収容するケース部材、を備える燃料電池モジュールであって、二以上の熱媒体管が一のチューブ型燃料電池セルと接触し、一のチューブ型燃料電池セルと接触する二以上の熱媒体管に、内部を流通する熱媒体の流通方向が互いに異なる複数の熱媒体管が備えられ、ケース部材の中央部に収容されるチューブ型燃料電池セルと熱媒体との間で交換される熱量と、ケース部材の端部に収容されるチューブ型燃料電池セルと熱媒体との間で交換される熱量との間に差を設ける、熱交換量制御手段が備えられることを特徴とする、燃料電池モジュールである。
ここに、「膜電極構造体の内周面側に配設される内部集電体」とは、中空形状の膜電極構造体(以下「MEA」という。)と内部集電体との間に拡散層や撥水層が備えられる場合には、当該拡散層又は撥水層と接触するように、内部集電体が配設されることを意味する。これに対し、MEAと内部集電体との間に拡散層及び撥水層が備えられない場合には、MEAの内周面と内部集電体とが接触する形態で、内部集電体が配設されることを意味する。さらに、「膜電極構造体の外周面側に配設される外部集電体」とは、MEAと外部集電体との間に拡散層や撥水層が備えられる場合には、当該拡散層又は撥水層と接触するように、外部集電体が配設されることを意味する。これに対し、MEAと外部集電体との間に拡散層や撥水層が備えられない場合には、MEAの外周面と外部集電体とが接触する形態で、外部集電体が配設されることを意味する。さらに、「熱媒体」とは、燃料電池モジュールの運転時に、チューブ型燃料電池セルとの間で熱交換をすることにより、チューブ型燃料電池セルの温度を制御可能な、冷熱媒体(以下「冷媒」という。)又は温熱媒体を意味する。本発明の燃料電池モジュールで使用可能な冷媒の具体例としては、冷却水のほか、LLC(「LLC」は株式会社デンソーの登録商標。以下同じ。)等を挙げることができる。また、本発明の燃料電池モジュールで使用可能な温熱媒体の具体例としては、温水等を挙げることができる。さらに、本発明における「熱媒体管」は、熱媒体を流通させる空間を有し、かつ、燃料電池モジュールの運転時にチューブ型燃料電池セルと熱交換し得る熱伝導性能を有する材料により構成される。さらに、「二以上の熱媒体管が一のチューブ型燃料電池セルと接触し」とは、ケース部材に収容される複数のチューブ型燃料電池セルのそれぞれと、二以上の熱媒体管とが接触することを意味する。一のチューブ型燃料電池セルと接触する熱媒体管の数は、二以上であれば、特に限定されるものではない。さらに、「熱媒体の流通方向が互いに異なる複数の熱媒体管」とは、例えば、一のチューブ型燃料電池セルと二の熱媒体管(以下、本段落において「第1熱媒体管」及び「第2熱媒体管」という。)とが接触する場合には、第1熱媒体管の内部を流通する熱媒体の流通方向と、第2熱媒体管の内部を流通する熱媒体の流通方向とが異なることを意味する。本発明において、例えば、一のチューブ型燃料電池セルと四の熱媒体管とが接触する場合には、当該四の熱媒体管の中に、一の方向に熱媒体を流通させる一又は二の熱媒体管と、他の方向に熱媒体を流通させる三又は二の熱媒体管とが備えられる形態とすることができる。さらに、「ケース部材の中央部」とは、ケース部材の幅方向の中央部という意味、及び、ケース部材の厚み方向の中央部という意味を含む概念である。さらに、「ケース部材の端部」とは、ケース部材の幅方向の端部という意味、及び、ケース部材の厚み方向の端部という意味を含む概念である。
上記第1の本発明において、熱交換量制御手段が、下記(1)乃至(3)の少なくとも一以上であることが好ましい。(1)ケース部材の中央部に収容されるチューブ型燃料電池セルと接触する熱媒体管の内径をR1、ケース部材の端部に収容されるチューブ型燃料電池セルと接触する熱媒体管の内径をR2とするとき、R1>R2とする。(2)ケース部材の中央部に収容されるチューブ型燃料電池セルに備えられる膜電極構造体の電極の体積をV1、ケース部材の端部に収容されるチューブ型燃料電池セルに備えられる膜電極構造体の電極の体積をV2とするとき、V1<V2とする。(3)ケース部材の中央部に収容されるチューブ型燃料電池セルと、該チューブ型燃料電池セルと接触する熱媒体管との接触面積をS1、ケース部材の端部に収容されるチューブ型燃料電池セルと、該チューブ型燃料電池セルと接触する熱媒体管との接触面積をS2とするとき、S1>S2とする。
ここに、「熱媒体管の内径」とは、熱媒体管に備えられる、熱媒体を流通させ得る中空部の直径を意味する。さらに、「電極の体積」とは、チューブ型燃料電池セルのMEAに備えられるアノードの体積とカソードの体積との総和を意味する。また、上記第1の本発明において、熱交換量制御手段として、上記(1)乃至(3)に加え、又は、上記(1)乃至(3)のほかに、下記(4)乃至(6)の少なくとも一以上が備えられていても良い。
(4)ケース部材の中央部に収容されるチューブ型燃料電池セルと接触する熱媒体管の本数を、ケース部材の端部に収容されるチューブ型燃料電池セルと接触する熱媒体管の本数よりも多くする。(5)ケース部材の中央部に収容されるチューブ型燃料電池セルと接触する熱媒体管を流通する熱媒体の単位時間当たりの流量を、ケース部材の端部に収容されるチューブ型燃料電池セルと接触する熱媒体管を流通する熱媒体の単位時間当たりの流量よりも多くする。(6)ケース部材の中央部に収容されるチューブ型燃料電池セルと接触する熱媒体管を流通する熱媒体の温度を、ケース部材の端部に収容されるチューブ型燃料電池セルと接触する熱媒体管を流通する熱媒体の温度よりも低くする。
また、上記第1の本発明において、複数のチューブ型燃料電池セルを配列して構成される二以上のセル列が、ケース部材に収容されるとともに、該ケース部材の厚み方向に、複数の熱媒体管とセル列とが交互に配置され、一のセル列に備えられるチューブ型燃料電池セルの、厚み方向の一端側の表面と接触する、熱媒体管の内部を流通する熱媒体の流通方向と、該一のセル列に備えられるチューブ型燃料電池セルの、厚み方向の他端側の表面と接触する、熱媒体管の内部を流通する熱媒体の流通方向とが異なることが好ましい。
ここに、「ケース部材の厚み方向に、複数の熱媒体管とセル列とが交互に配置され」とは、ケース部材の厚み方向が重力方向である場合には、例えば、ケース部材の最下部に複数の熱媒体管を配置して第1の熱媒体管列を形成した後、当該第1の熱媒体管列の上面側表面と接触するように複数のチューブ型燃料電池セルを配置して第1のセル列を形成し、さらに、第1のセル列の上面側表面と接触するように複数の熱媒体管を配置して第2の熱媒体管列を形成した後、当該第2の熱媒体管列の上面側表面と接触するように複数のチューブ型燃料電池セルを配置して第2のセル列を形成し、さらに、第2のセル列の上面側表面と接触するように複数の熱媒体管を配置して第3の熱媒体管列を形成する等の方法により、熱媒体管列とセル列とが交互に積層された形態で配置されることを意味する。さらに、「一のセル列に備えられるチューブ型燃料電池セルの、厚み方向一端側の表面と接触する熱媒体管の内部を流通する熱媒体の流通方向と、該一のセル列に備えられるチューブ型燃料電池セルの、厚み方向他端側の表面と接触する熱媒体管の内部を流通する熱媒体の流通方向とが異なる」とは、上記の例で言えば、第2熱媒体管列を構成する各熱媒体管の内部を流通する熱媒体の流通方向と、第1熱媒体管列を構成する各熱媒体管及び第3熱媒体管列を構成する各熱媒体管の内部を流通する熱媒体の流通方向とが異なることを意味する。
第2の本発明は、電気的に直列に接続される複数の燃料電池モジュールと、複数の燃料電池モジュールを収容する外部ケース部材とを備え、該燃料電池モジュールが、上記第1の本発明にかかる燃料電池モジュールであることを特徴とする、燃料電池である。
第1の本発明によれば、一のチューブ型燃料電池セルと接触する、第1熱媒体管の内部を流通する熱媒体の流通方向と、第2熱媒体管の内部を流通する熱媒体の流通方向とが異なるので、燃料電池モジュールの運転時に、チューブ型燃料電池セルの長手方向における温度分布を低減できる。さらに、第1の本発明によれば、燃料電池モジュールの運転時に、ケース部材の中央部に収容されたチューブ型燃料電池セルと熱媒体管との間で交換される熱量を、ケース部材の端部に収容されたチューブ型燃料電池セルと熱媒体管との間で交換される熱量よりも多くすることができる。ここで、複数のチューブ型燃料電池セルを備える燃料電池モジュールでは、例えば定常運転時に、ケース部材の中央部に配置されたチューブ型燃料電池セルが、ケース部材の端部に配置されたチューブ型燃料電池セルよりも高温になりやすい。ところが、第1の本発明によれば、例えば定常運転時に、ケース部材の中央部に配置されたチューブ型燃料電池セルを、他の部位に配置されたチューブ型燃料電池セルよりも積極的に冷却することにより、ケース部材に収容された複数のチューブ型燃料電池セルの温度分布を低減できる。したがって、第1の本発明によれば、チューブ型燃料電池セルの温度分布を低減することにより、性能を向上させることが可能であり、安定した性能を発現させることが可能な、燃料電池モジュールを提供できる。
第1の本発明において、熱交換量制御手段として、上記(1)乃至(3)の少なくとも一以上が備えられる形態とすることにより、チューブ型燃料電池セルの温度分布を低減して性能を向上させることが可能であり、安定した性能を発現させることが可能な燃料電池モジュールを、容易に提供できる。
第1の本発明において、ケース部材の厚み方向に、熱媒体管列とセル列とが交互に積層され、セル列の一面側と接触する熱媒体管列の内部を流通する熱媒体の流通方向と、同他面側と接触する熱媒体管列の内部を流通する熱媒体の流通方向とが異なる形態とすることにより、複数のセル列を備える燃料電池モジュールにおいても、ケース部材の内側で発生し得る温度分布を低減できる。したがって、かかる形態とすることにより、温度分布を低減して性能を向上させることが可能であり、安定した性能を発現させることが可能な、燃料電池モジュールを提供できる。
第2の本発明によれば、第1の本発明にかかる燃料電池モジュールが備えられるので、チューブ型燃料電池セルの温度分布を低減することにより、性能を向上させることが可能であり、安定した性能を発現させることが可能な、燃料電池を提供できる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の燃料電池モジュール及び燃料電池について具体的に説明する。以下の説明では、MEAの外周面側へ酸素含有ガス(以下「空気」という。)が供給されるとともに、MEAの内周面側へ水素含有ガス(以下「水素」という。)が供給される形態を例示するが、本発明は当該形態に限定されるものではなく、水素のシール性を確保するための構成を適宜変更する等により、例えば、MEAの外周面側へ水素が供給されるとともに、MEAの内周面側へ酸素が供給される形態とすることも可能である。また、以下の説明では、熱媒体管に冷媒が供給される形態を例示するが、本発明の燃料電池モジュール及び燃料電池は、例えば寒冷地における始動時等に、低温始動性を向上させる等の目的で、熱媒体管に温熱媒体を供給することも可能である。なお、以下の図では、水素用マニホールドの記載を省略することがあるが、本発明の燃料電池モジュールは、水素用マニホールドを介して供給された水素が、ケース部材内側の水素流通部へと流入し、反応で使用されずに残った水素が、水素流通部及び水素用マニホールドを介して排出されて回収される。
1.燃料電池モジュール
1.1.第1実施形態
図1は、第1実施形態にかかる本発明の燃料電池モジュールの形態例を簡略化して示す平面図である。図1の紙面上下方向がセル及び熱媒体管の長手方向、図1の紙面左右方向がケース部材の幅方向、図1の紙面奥/手前方向がケース部材の厚み方向である。図2は、第1実施形態にかかる本発明の燃料電池モジュールの形態例を簡略化して示す正面図である。図2の紙面奥/手前方向がセル及び熱媒体管の長手方向、図2の紙面左右方向がケース部材の幅方向、図2の紙面上下方向がケース部材の厚み方向である。図3は、第1実施形態にかかる本発明の燃料電池モジュールのケース部材に収容されたセル及び熱媒体管の形態を示す概念図である。図3の紙面上下方向がセル及び熱媒体管の長手方向、図3の紙面左右方向がケース部材の幅方向、図3の紙面奥/手前方向がケース部材の厚み方向である。セル及び熱媒体管の形態を理解しやすくするため、図3では冷媒流通部の記載を省略している。図3の直線矢印は、冷媒の流通方向を示している。図4は、第1実施形態にかかる本発明の燃料電池モジュールのケース部材に収容されたセル及び熱媒体管の形態を示す断面図である。図4の紙面奥/手前方向がセル及び熱媒体管の長手方向、図4の紙面左右方向がケース部材の幅方向、図4の紙面上下方向がケース部材の厚み方向である。図5は、第1実施形態にかかる本発明の燃料電池モジュールに備えられるセルの形態例を概略的に示す断面図であり、図5の紙面奥/手前方向が、セルの長手方向である。図6は、第1実施形態にかかる本発明の燃料電池モジュールに備えられる冷媒マニホールドの形態例を概略的に示す平面図である。図6において、図1及び図2と同様の構成を採るものには、これらの図で使用した符号と同符号を付す。図7は、図6のVII−VII矢視図である。図8は、図6のVIII−VIII矢視図である。なお、第1実施形態にかかる本発明の燃料電池モジュールには、二の冷媒マニホールドが備えられ、これら二の冷媒マニホールドは、互いに同じ形態である。そのため、図6乃至図8では、一方の冷媒マニホールドについての符号とともに、他方の冷媒マニホールドについての符号を括弧書きにて付記する。以下、図1乃至図8を参照しつつ、第1実施形態にかかる本発明の燃料電池モジュールについて説明する。
図1及び図2に示すように、第1実施形態にかかる本発明の燃料電池モジュール100(以下「燃料電池モジュール100」という。)は、冷媒マニホールド10及び冷媒マニホールド20と、ケース部材30を備える。燃料電池モジュール100の運転時には、冷媒マニホールド10へと供給された冷媒が、ケース部材30の内側へと流入し、ケース部材30から冷媒マニホールド20へと排出された冷媒が、冷媒マニホールド20の外へと排出されて回収される。すなわち、ケース部材30の内側において、冷媒は、冷媒マニホールド10から冷媒マニホールド20へ向かって流通する。
図3及び図4に示すように、燃料電池モジュール100では、ケース部材30に、複数のセル8、8、…、及び、熱媒体管9、9、…(以下「冷却管9」等ということがある。)が収容される。ケース部材30の内側の空間は、隔壁33、33によって、セル8、8、…、及び、冷却管9、9、…の長手方向中央部が配設される空気流通部31と、セル8、8、…の長手方向端部が収容されるとともに、冷却管9、9、…が貫通する水素流通部32、32(以下において図3の紙面上側に位置する水素流通部を「水素流通部32a」、図3の紙面下側に位置する水素流通部を「水素流通部32b」ということがある。)と、に区分けされている。
図5に示すように、燃料電池モジュール100に備えられるセル8は、導電性材料からなる複数の導電線1e、1e、…を縒り線形状とすることにより構成される内部集電体1と、該内部集電体1の外周面に形成された中空形状の第1触媒層2と、第1触媒層2の外周面に形成された中空形状の電解質膜3と、電解質膜3の外周面に形成された中空形状の第2触媒層4と、第2触媒層4の外周面に巻回された外部集電体6と、を備え、第1触媒層2、電解質膜3、及び、第2触媒層4によって、中空形状のMEA5が構成されている。燃料電池モジュール100の運転時には、水素流通部32aへと供給された水素が、内部集電体1と第1触媒層2との間の空隙7、7、…へと流入し、水素流路として機能する当該空隙7、7、…を介して、第1触媒層2へ水素が供給される。このようにして第1触媒層2へと供給された水素は、第1触媒層2に分散された触媒(例えば、Pt等。以下同じ。)の作用下で、プロトン及び電子に分離する。第1触媒層2で生じたプロトンは、第1触媒層2、電解質膜3、及び、第2触媒層4に含有されるプロトン伝導体(例えば、プロトン伝導性ポリマー等)を介して、第2触媒層4へと伝導され、第1触媒層2で生じた電子は、外部回路を経由して第2触媒層4へと伝導される。一方、燃料電池モジュール100の運転時には、空気流通部31へと流入した空気が第2触媒層4へと供給される。そして、第2触媒層4へと伝導されたプロトン及び電子と、第2触媒層4へと供給された空気に含まれる酸素とが、第2触媒層4に分散された触媒の作用下で電気化学反応することにより、水が生成される。このように、燃料電池モジュール100の運転時には、水素と酸素とが反応して水が生成され、その反応の過程において、電子やプロトンが伝導される際の抵抗等に起因して、熱が発生する。セル8に備えられるプロトン伝導体は、例えば80[℃]程度の温度環境下で含水状態に保たれることによりプロトン伝導性能を発現するため、セル8から電気エネルギーを取り出すためには、セル8の温度が過度に上昇しないよう、その温度を制御する必要がある。それゆえ、燃料電池モジュール100には、過度の温度上昇を防止して、セル8、8、…の温度を最適な状態に制御すべく、セル8、8、…と熱交換する熱媒体(例えば、冷媒)を流通させる冷却管9、9、…が、セル8、8、…と接触する形態で備えられている。
ケース部材(燃料電池モジュール100ではケース部材30。後述する燃料電池モジュール300ではケース部材30b。以下同じ。)に収容されたセル8、8、…のうち、ケース部材の幅方向中央部に収容されたセル8、8、…(以下「セル8x」等という。)は、冷却管9、9、…(以下「冷却管9x」等という。)と、同幅方向端部に収容されたセル8、8、…(以下「セル8z」等という。)は、冷却管9、9、…(以下「冷却管9z」等という。)と、同幅方向中央部と端部との間に収容されたセル8、8、…(以下「セル8y」という。)は、冷却管9、9、…(以下「冷却管9y」等という。)と、それぞれ接触している。燃料電池モジュール100において、冷却管9xの中空部の内径は、冷却管9y及び冷却管9zの中空部の内径よりも大きく、冷却管9yの中空部の内径は、冷却管9zの中空部の内径よりも大きい。それゆえ、燃料電池モジュール100の運転時には、セル8x、8x、…と接触する冷却管9x、9x、…の内部を多量の冷媒が流通する一方、セル8z、8z、…と接触する冷却管9z、9z、…の内部には、冷却管9x、9x、…、及び、冷却管9y、9y、…よりも少量の冷媒が流通し、セル8y、8y、…と接触する冷却管9y、9y、…には、冷却管9x、9x、…よりも少なく冷却管9z、9z、…よりも多い量の冷媒が流通する。そのため、燃料電池モジュール100の運転時には、ケース部材30の内側において、セル8x、8x、…と冷却管9x、9x、…との間で交換される熱量が最大になるとともに、セル8z、8z、…と冷却管9z、9z、…との間で交換される熱量が最小になる。かかる形態とすることにより、幅方向中央部に配置されて最も高温状態に曝されやすいセル8x、8x、…を、他のセル8y、8y、…、セル8z、8z、…よりも重点的に冷却することで、ケース部材30に収容された各セル8、8、…の温度分布が生じにくい形態としている。
一方、図6乃至図8に示すように、燃料電池モジュール100に備えられる冷媒マニホールド10は、冷媒流通部10aと、高さの異なる位置に設けられた冷媒流通部10b、及び、冷媒流通部10cと、備え、冷媒マニホールド20は、冷媒流通部20aと、高さの異なる位置に設けられた冷媒流通部20b、及び、冷媒流通部20cと、を備える。冷媒マニホールド10へと供給された冷媒は、まず、冷媒流通部10aへと流入し、その後、冷媒流通部10b及び冷媒流通部10cへと分岐する。ここで、長手方向中央部がケース部材30に収容された冷却管9、9、…の冷媒流入口は、冷媒流通部10b及び冷媒流通部10cと連通する形態で配置され、冷却管9、9、…の冷媒流出口は、冷媒流通部20b及び冷媒流通部20cと連通する形態で配置される。そのため、冷媒流通部10b又は冷媒流通部10cへと分岐した冷媒は、冷却管9、9、…の内部へと流入し、冷却管9、9、…の冷媒流出口側へと移動する間に、セル8、8、…と熱交換することにより、セル8、8、…の過度の温度上昇を防止する。そして、冷却管9、9、…の冷媒流出口へと達した冷媒は、その後、冷却管9、9、…の冷媒流出口と連通している冷媒流通部20b及び冷媒流通部20cへと排出される。このようにして冷媒流通部20b及び冷媒流通部20cへと達した冷媒は、その後、冷媒流通部20aへと達し、冷媒流通部20aの外へと排出されて回収される。
かかる形態の冷媒マニホールド10、20が備えられる形態とすれば、一のセル8と接触する二の冷却管9、9のうち、一方の冷却管9の冷媒流入口及び冷媒流出口を冷媒流通部10b及び冷媒流通部20bと連通させ、他方の冷却管9の冷媒流入口及び冷媒流出口を冷媒流通部10c及び冷媒流通部20cと連通させる形態で配置することにより、二の冷却管9、9の内部を流通する冷媒の流通方向を、互いに逆方向とすることができる。すなわち、燃料電池モジュール100では、ケース部材30の厚み方向略中央にセル8、8、…が一列に配列され、当該セル8、8、…の一方の表面と接触するように配設された冷却管9、9、…が、冷媒流通部10b及び冷媒流通部20bにその長手方向両端面が収容される形態で配置され、セル8、8、…の他方の表面と接触するように配設された冷却管9、9、…が、冷媒流通部10c及び冷媒流通部20cにその長手方向両端面が収容される形態で配置される。
このように、ケース部材30に収容された各セル8、8、…は、二の冷却管9、9、…とそれぞれ接触し、一のセル8と接触する一の冷却管9の内部を流通する冷媒の方向が、当該一のセル8と接触する他の冷却管9の内部を流通する冷媒の方向と逆方向とされる。通常、冷却管9の冷媒流入口から冷却管9へと流入した冷媒は、セル8との間で熱交換することにより暖められるので、冷却管9の冷媒流出口から流出する冷媒の温度は、冷却管9へと流入した冷媒の温度よりも高い。それゆえ、一の冷却管9のみが一のセル8と接触する場合には、冷媒の入口と対応するセル8の長手方向一端面側の温度が、冷媒の出口と対応するセル8の長手方向他端面側の温度よりも低く、セル8の長手方向で温度分布が生じやすい。ところが、燃料電池モジュール100に備えられる各セル8、8、…は、冷媒が互いに逆方向へ流通する二の冷却管9、9と接触しているので、セル8の長手方向における温度分布が生じにくい形態とされる。すなわち、燃料電池モジュール100では、一のセル8と二の冷却管9、9とが接触する形態とし、かつ、ケース部材30の幅方向中央部から幅方向端部へと向かうにつれて冷却管の中空部の内径が小さくなるように複数の冷却管9、9、…が配置される形態とする熱交換量制御手段が備えられることにより、ケース部材30に収容されたセル8、8、…の温度の均一化を図っている。このようにして、ケース部材30に収容されたセル8、8、…の温度を均一にすると、燃料電池モジュール100に備えられるセル8、8、…の発電状態を均一にすることが可能になり、その結果、燃料電池モジュール100の性能を向上させること、及び、燃料電池モジュール100の性能を長期間に亘って安定化することが可能になる。したがって、かかる形態とすることにより、性能を向上させ性能を安定化させることが可能な、燃料電池モジュール100を提供できる。
1.2.第2実施形態
図9は、第2実施形態にかかる本発明の燃料電池モジュールのケース部材に収容されたセル及び熱媒体管の様子を示す概念図である。図9の紙面上下方向がセル及び熱媒体管の長手方向、図9の紙面左右方向がケース部材の幅方向、図9の紙面奥/手前方向がケース部材の厚み方向である。図9は図3と対応する図であり、図9では、ケース部材の幅方向中央部、端部、及び、中央部と端部との間にそれぞれ備えられるセル並びに熱媒体管の形態を理解しやすくするため、一部のセル及び熱媒体管を拡大して示し、他のセル及び熱媒体管の記載を省略している。また、図9では、図3と同様に、冷媒マニホールドの記載を省略し、図9の直線矢印は冷媒の流通方向を示している。図10は、第2実施形態にかかる本発明の燃料電池モジュールの形態例を簡略化して示す平面図である。図10の紙面上下方向がセル及び熱媒体管の長手方向、図10の紙面左右方向がケース部材の幅方向、図10の紙面奥/手前方向がケース部材の厚み方向である。図9及び図10において、図1乃至図8と同様の構成を採るものには、これらの図で使用した符号と同符号を付し、その説明を適宜省略する。以下、図1乃至図10を参照しつつ、第2実施形態にかかる本発明の燃料電池モジュールについて説明する。
図9に示すように、第2実施形態にかかる本発明の燃料電池モジュール200(以下「燃料電池モジュール200」という。)は、ケース部材30aの幅方向中央部に配置されたセル8、8、…(以下、第2実施形態の説明において「セル8a」等ということがある。)、同幅方向端部に配置されたセル8、8、…(以下、第2実施形態の説明において「セル8c」等ということがある。)、及び、同幅方向中央部と端部との間に収容されたセル8、8、…(以下、第2実施形態の説明において「セル8b」等ということがある。)と、冷却管9、9、…と、を備える。上記燃料電池モジュール100と異なり、燃料電池モジュール200では、各冷却管9、9、…の中空部の内径が略同一とされるのに対し、ケース部材30aの幅方向中央部から幅方向端部へ向かうにつれてセル8、8、…の径が太くなる形態とされる。これにより、セル8a、8a、…に備えられる第1触媒層2及び第2触媒層4の体積の総和(以下「電極体積」という。)を、セル8b、8b、…、及び、セル8c、8c、…の電極体積よりも小さくすることができ、さらに、セル8b、8b、…の電極体積を、セル8c、8c、…の電極体積よりも小さくすることができる。かかる熱交換量制御手段が備えられる形態とすることにより、ケース部材30aの幅方向中央部に配置されて最も高温状態に曝されやすいセル8a、8a、…における電気化学反応の発生頻度を、同幅方向端部に配置されたセル8c、8c、…における電気化学反応の発生頻度よりも小さくすることができる。それゆえ、ケース部材30aに収容された各セル8、8、…の温度分布が生じにくい形態とすることができる。
図10に示すように、燃料電池モジュール200は、冷媒マニホールド10及び冷媒マニホールド20と、ケース部材30aと、を備える。そして、図9に示すように、ケース部材30aに収容された一のセル8と二の冷却管9、9とが接触し、燃料電池モジュール100と同様に、一のセル8と接触する一の冷却管9の内部を流通する冷媒の流通方向と、当該一のセル8と接触する他の冷却管9の内部を流通する冷媒の流通方向とが逆方向となるように、構成されている。かかる形態とすることにより、セル8の長手方向における温度分布の発生を抑制することができる。したがって、第2実施形態によっても、各セル8、8、…の温度の均一化を測ることにより、性能を向上させ性能を安定化させることが可能な、燃料電池モジュール200を提供できる。
1.3.第3実施形態
図11は、第3実施形態にかかる本発明の燃料電池モジュールに備えられるセル及び熱媒体管の様子を示す概念図である。図11の紙面上下方向がセル及び熱媒体管の長手方向、図11の紙面左右方向がケース部材の幅方向、図11の紙面奥/手前方向がケース部材の厚み方向である。図11は図3及び図9と対応する図であり、図11では、ケース部材の幅方向中央部、端部、及び、中央部と端部との間にそれぞれ備えられるセル並びに熱媒体管の形態を理解しやすくするため、一部のセル及び熱媒体管を拡大して示し、他のセル及び熱媒体管の記載を省略している。また、図11では、図3及び図9と同様に、冷媒マニホールドの記載を省略し、図11の直線矢印は冷媒の流通方向を示している。図12は、第3実施形態にかかる本発明の燃料電池モジュールの形態例を簡略化して示す平面図である。図12の紙面上下方向がセル及び熱媒体管の長手方向、図12の紙面左右方向がケース部材の幅方向、図12の紙面奥/手前方向がケース部材の厚み方向である。図11及び図12において、図1乃至図8と同様の構成を採るものには、これらの図で使用した符号と同符号を付し、その説明を適宜省略する。以下、図1乃至図12を参照しつつ、第3実施形態にかかる本発明の燃料電池モジュールについて説明する。
図11に示すように、第3実施形態にかかる本発明の燃料電池モジュール300(以下「燃料電池モジュール300」という。)は、セル8x、8x、…、セル8y、8y、…、及び、セル8z、8z、…と、中空部の内径が略同一である冷却管9、9、…と、を備える。燃料電池モジュール300において、セル8z、8z、…と接触する冷却管9、9、…(以下「冷却管9c」等ということがある。)は、直線状の管状部材により構成される。これに対し、セル8y、8y、…と接触する冷却管9、9、…(以下「冷却管9b」等ということがある。)、及び、セル8x、8x、…と接触する冷却管9、9、…(以下「冷却管9a」等ということがある。)は、その少なくとも一部がセル8y、8y、…、又は、セル8x、8x、…に巻回され、冷却管9a、9a、…とセル8x、8x、…との接触面積が、冷却管9b、9b、…とセル8y、8y、…との接触面積よりも大きくなる形態とされている。かかる形態とすることにより、一のセル8xと冷却管9a、9aとの接触面積を、一のセル8yと冷却管9b、9bとの接触面積よりも大きくすることができ、さらに、一のセル8yと冷却管9b、9bとの接触面積を、一のセル8zと冷却管9c、9cとの接触面積よりも大きくすることができる。燃料電池モジュール300において、各冷却管9、9、…の中空部の内径は略同一であるので、各冷却管9、9、…を流通する冷媒の流量を略同一とすることにより、一のセル8xと冷却管9a、9aとの間で交換される熱量をX、一のセル8yと冷却管9b、9bとの間で交換される熱量をY、一のセル8zと冷却管9c、9cとの間で交換される熱量をZとするとき、X>Y>Zとすることができる。かかる熱交換量制御手段が備えられる形態とすることにより、ケース部材30bの幅方向中央部に配置されて最も高温に曝されやすいセル8x、8x、…を、他のセル8y、8y、…、セル8z、8z、…よりも重点的に冷却することができるので、ケース部材30bに収容された各セル8、8、…の温度分布が生じにくい形態とすることができる。
図12に示すように、燃料電池モジュール300は、冷媒マニホールド10及び冷媒マニホールド20と、ケース部材30bと、を備える。そして、図11に示すように、ケース部材30bに収容された一のセル8と二の冷却管9、9とが接触し、燃料電池モジュール100及び燃料電池モジュール200と同様に、一のセル8と接触する一の冷却管9の内部を流通する冷媒の流通方向と、当該一のセル8と接触する他の冷却管9の内部を流通する冷媒の流通方向とが逆方向となるように、構成されている。かかる形態とすることにより、セル8の長手方向における温度分布の発生を抑制することができる。したがって、第3実施形態によっても、各セル8、8、…の温度の均一化を測ることにより性能を向上させ、性能を安定化させることが可能な、燃料電池モジュール300を提供できる。
本発明の燃料電池モジュール100、200、300に関する上記説明では、ケース部材30、30a、30bの厚み方向略中央にセル8、8、…が一列に配置され、同厚み方向中央よりも厚み方向一端側及び他端側へずれた位置に配置された冷却管9、9、…が備えられる形態を例示したが(図4参照)、本発明の燃料電池モジュールは当該形態に限定されるものではない。そこで、本発明の燃料電池モジュールが採り得る他の形態について、以下に説明する。
1.4.第4実施形態
図13は、第4実施形態にかかる本発明の燃料電池モジュールの形態例を簡略化して示す平面図である。図13の紙面上下方向がセル及び熱媒体管の長手方向、図13の紙面左右方向がケース部材の幅方向、図13の紙面奥/手前方向がケース部材の厚み方向である。図14は、第4実施形態にかかる本発明の燃料電池モジュールの形態例を簡略化して示す正面図である。図14の紙面左右方向がセル及び熱媒体管の長手方向、図14の紙面奥/手前方向がケース部材の幅方向、図14の紙面上下方向がケース部材の厚み方向である。図15は、第4実施形態にかかる本発明の燃料電池モジュールのケース部材に収容されたセル及び熱媒体管の形態を示す断面図である。図15の紙面奥/手前方向がセル及び熱媒体管の長手方向、図15の紙面左右方向がケース部材の幅方向、図15の紙面上下方向がケース部材の厚み方向である。図15において、図3と同様の構成を採るものには、これらの図で使用した符号と同符号を付し、その説明を適宜省略する。図16は、第4実施形態にかかる本発明の燃料電池モジュールに備えられる冷媒マニホールドの形態例を概略的に示す平面図である。図16において、図13及び図14と同様の構成を採るものには、これらの図で使用した符号と同符号を付す。図17は、図16のXVII−XVII矢視図である。図18は、図16のXVIII−XVIII矢視図である。なお、第4実施形態にかかる本発明の燃料電池モジュールにも、上記第1乃至第3実施形態にかかる本発明の燃料電池モジュールと同様に、二の冷媒マニホールドが備えられ、これら二の冷媒マニホールドは、互いに同じ形態である。そのため、図16乃至図18では、一方の冷媒マニホールドについての符号とともに、他方の冷媒マニホールドについての符号を括弧書きにて付記する。以下、図1乃至図18を参照しつつ、第4実施形態にかかる本発明の燃料電池モジュールについて説明する。
図13及び図14に示すように、第4実施形態にかかる本発明の燃料電池モジュール400(以下「燃料電池モジュール400」という。)は、冷媒マニホールド11及び冷媒マニホールド21と、ケース部材30cを備える。燃料電池モジュール400の運転時には、冷媒マニホールド11へと供給された冷媒が、ケース部材30cの内側へと流入し、ケース部材30cから冷媒マニホールド21へと排出された冷媒が、冷媒マニホールド21の外へと排出されて回収される。すなわち、ケース部材30cの内側において、冷媒は、冷媒マニホールド11から冷媒マニホールド21へ向かって流通する。
図15に示すように、燃料電池モジュール400では、ケース部材30cに、複数のセル8、8、…、及び、冷却管9、9、…が収容される。上記燃料電池モジュール100、200、300とは異なり、燃料電池モジュール400では、ケース部材30cに、セル8、8、…が三層に配列され、一のセル8と二の冷却管9、9とが接触するように、冷却管9、9、…が四層に配列されている。すなわち、ケース部材30cの内側において、セル列と冷却管列とが交互に積層されている。ケース部材30cに収容されたセル8、8、…は、その全てのセルが略同一形状である一方、ケース部材30cに収容された冷却管9、9、…は、ケース部材30cの幅方向中央に配設されたセル8、8、8と接触する冷却管9x、9x、…の中空部内径が最大であって、ケース部材30cの幅方向端部に配設されたセル8、8、…と接触する冷却管9z、9z、…の中空部内径が最小となるように配置されている。かかる形態とすることにより、ケース部材30cの幅方向中央に配置されるセル8と、当該セル8と接触する冷却管9x、9xとの間で交換される熱量を、他のセル8y、8y、…及びセル8z、8z、…と、他の冷却管9y、9y、…及び冷却管9z、9z、…との間で交換される熱量よりも多くすることができるので、ケース部材30cに収容されたセル8、8、…の温度分布の均一化を図ることが可能になる。
図16乃至図18に示すように、燃料電池モジュール400に備えられる冷媒マニホールド11は、冷媒流通部11aと、高さの異なる位置にそれぞれ設けられた冷媒流通部11b、冷媒流通部11c、冷媒流通部11d、及び、冷媒流通部11eと、を備える。同様に、燃料電池モジュール400に備えられる冷媒マニホールド21は、冷媒流通部21aと、高さの異なる位置にそれぞれ設けられた冷媒流通部21b、冷媒流通部21c、冷媒流通部21d、及び、冷媒流通部21eと、を備える。冷媒マニホールド11へと供給された冷媒は、まず、冷媒流通部11aへと流入し、その後、冷媒流通部11b、冷媒流通部11c、冷媒流通部11d、及び、冷媒流通部11eへと分岐する。ここで、長手方向中央部がケース部材30cに収容された冷却管9、9、…の冷媒流入口は、冷媒流通部11b、冷媒流通部11c、冷媒流通部11d、及び、冷媒流通部11eと連通する形態で配置され、当該冷却管9、9、…の冷媒流出口は、冷媒流通部21b、冷媒流通部21c、冷媒流通部21d、及び、冷媒流通部21eと連通する形態で配置される。そのため、冷媒流通部11b、冷媒流通部11c、冷媒流通部11d、及び、冷媒流通部11eへと分岐した冷媒は、冷媒流入口から冷却管9、9、…へと流入し、冷却管9、9、…の冷媒流出口側へと移動する間に、セル8、8、…と熱交換することにより、セル8、8、…の過度の温度上昇を防止する。そして、冷却管9、9、…の冷媒流出口へと達した冷媒は、その後、冷却管9、9、…の冷媒流出口と連通している冷媒流通部21b、冷媒流通部21c、冷媒流通部21d、及び、冷媒流通部21eへと排出される。このようにして冷媒流通部21b、冷媒流通部21c、冷媒流通部21d、及び、冷媒流通部21eへと達した冷媒は、その後、冷媒流通部21aへと達し、冷媒流通部21aの外へと排出されて回収される。
かかる形態の冷媒マニホールド11、21が備えられる形態とすれば、一のセル8と接触する二の冷却管9、9のうち、一方の冷却管9の冷媒流入口及び冷媒流出口を例えば冷媒流通部11c及び冷媒流通部21cと連通させ、他方の冷却管9の冷媒流入口及び冷媒流出口を冷媒流通部11d及び冷媒流通部21dと連通させる形態で配置することにより、一のセル8と接触する二の冷却管9、9の内部を流通する冷媒の流通方向を、互いに逆方向とすることができる。
このように、燃料電池モジュール400においても、上記燃料電池モジュール100、200、300と同様に、ケース部材30cに収容された各セル8、8、…は、二の冷却管9、9、…とそれぞれ接触し、一のセル8と接触する一の冷却管9の内部を流通する冷媒の方向が、当該一のセル8と接触する他の冷却管9の内部を流通する冷媒の方向と逆方向とされる。それゆえ、ケース部材30cに収容された全てのセル8、8、…が、その長手方向で温度分布が生じにくい形態とされる。すなわち、燃料電池モジュール400では、一のセル8と二の冷却管9、9とが接触する形態とし、かつ、ケース部材30c内側の中央から端部へと向かうにつれて冷却管の中空部の内径が小さくなるように複数の冷却管9、9、…が配置される形態とする熱交換量制御手段が備えられることにより、ケース部材30cに収容されたセル8、8、…の温度の均一化を図っている。このようにして、ケース部材30cに収容されたセル8、8、…の温度を均一にすると、燃料電池モジュール400に備えられるセル8、8、…の発電状態を均一にすることが可能になり、その結果、燃料電池モジュール400の性能を向上させること、及び、燃料電池モジュール400の性能を長期間に亘って安定化することが可能になる。したがって、かかる形態とすることにより、性能を向上させ性能を安定化させることが可能な、燃料電池モジュール400を提供できる。
本発明の燃料電池モジュール100、200、300、400(以下これらをまとめて「本発明の燃料電池モジュール」という。)において、セル8は、中空形状のMEA5と、中空形状のMEA5の内周面側に配設される内部集電体と、中空形状のMEA5の外周面側に配設される外部集電体と、を備えていればその形態は特に限定されるものではない。上記説明では、内部集電体として、複数の導電線1e、1e、…を縒り線形状とすることにより構成される内部集電体1を例示したが、本発明は当該形態に限定されるものではなく、例えば、中空形状のMEA5によって周囲を囲まれた中空部を略完全に塞ぎ得る柱状の導電性部材の表面に、反応ガス流路として機能する凹部が形成された形態の内部集電体を用いることも可能である。また、上記説明では、外部集電体として、中空形状のMEA5の外周面に巻回される形態の外部集電体6を例示したが、本発明は当該形態に限定されるものではなく、中空形状のMEA5へと反応ガスを供給可能であり、かつ、第2触媒層4側の集電を行い得る形態であれば、他の形態の外部集電体が備えられていても良い。本発明の燃料電池モジュールにおいて、内部集電体及び外部集電体は、良好な電子伝導性を有する材料によって構成されることが好ましい。当該材料の具体例としては、銅、銀、金、白金等の金属を挙げることができる。なお、内部集電体及び/又は外部集電体の構成材料として銅が用いられる場合には、耐酸性を向上させるため、その表面を銀、金、白金等によって被覆することが好ましい。
本発明の燃料電池モジュールにおいて、ケース部材30、30a、30b、30c(以下「ケース部材」という。)に収容されるセルの数は、それぞれのセルを電気的に並列に接続することにより、本発明の燃料電池モジュールに必要とされる電流値に到達し得る数であれば、特に限定されるものではない。ケース部材に収容されるセルの数は、例えば、数十〜百数十程度とすることができる。さらに、本発明の燃料電池モジュールに関する上記説明では、ケース部材に収容されるセル8、8、…が一層(一列)又は三層(三列)に配置される形態を例示したが、本発明は当該形態に限定されるものではなく、ケース部材に収容されるセルは、任意の形態で配置することができる。
一方、中空形状のMEA5は、プロトン伝導性ポリマーを含有する中空形状の電解質膜3と、電解質膜3の内周面側に形成される中空形状の第1触媒層2と、電解質膜3の外周面に形成される中空形状の第2触媒層4と、を備えていれば、その形態は特に限定されるものではない。電解質膜3に含有されるプロトン伝導性ポリマーの具体例としては、含フッ素高分子を骨格として少なくともスルホン酸基、ホスホン酸基、及びリン酸基のうち一種を有するフッ素系のポリマーや、ポリオレフィンのような炭化水素を骨格とする炭化水素系のポリマー等を挙げることができる。上記フッ素系のポリマーを含有する電解質膜の具体例としては、Nafion(「Nafion」は米国デュポン社の登録商標)やフレミオン(「フレミオン」は旭硝子株式会社の登録商標)等を挙げることができる。一方、上記炭化水素系のポリマーを含有する電解質膜の具体例としては、セレミオン等(「セレミオン」は旭硝子株式会社の登録商標)を挙げることができる。
中空形状のMEA5に備えられる中空形状の第1触媒層2及び中空形状の第2触媒層4は、それぞれ、アノード及びカソードとして機能する。それゆえ、第1触媒層2及び第2触媒層4は、アノード及びカソードで生じる電気化学反応の触媒として機能する物質(触媒)と、当該電気化学反応で生じるプロトンを伝導させ得る物質(プロトン伝導性物質)とを含有していれば、その形態は特に限定されるものではない。第1触媒層2及び第2触媒層4に含有される触媒の具体例としては、Ptのほか、Co、Ru、Ir、Au、Ag、Cu、Ni、Fe、Cr、Mn、V、Ti、Mo、Pd、Rh、Wからなる群より選択される1以上の金属とPtとを有するPt合金等を挙げることができる。また、第1触媒層2及び第2触媒層4に含有されるプロトン伝導性物質の具体例としては、上記電解質膜に含有され得る上記プロトン伝導性ポリマー等を挙げることができる。
本発明の燃料電池モジュールにおいて、ケース部材は、複数のセルや冷却管を収容可能であり、かつ、燃料電池モジュールの運転時の環境に耐え得る性質(例えば、耐熱性、耐水性等。以下同じ。)を備えていれば、その形態は特に限定されるものではない。ケース部材を構成する材料の具体例としては、金属や絶縁性樹脂のほか、内表面に絶縁被覆が施された金属等を挙げることができる。
また、本発明の燃料電池モジュールにおいて、冷却管9、9、…は、燃料電池モジュールの運転時にセル8、8、…と熱交換することによりセル8、8、…の温度を制御可能な熱伝導性能を有する材料によって構成され、かつ、燃料電池モジュールの運転時の環境に耐え得る性質を有する材料によって構成されていれば、その構成材料は特に限定されない。ただし、冷却管9、9、…を集電体としても機能させることにより、集電効率を向上させ得る形態の燃料電池モジュールを提供可能とする等の観点からは、導電性材料によって構成されることが好ましい。当該導電性材料の具体例としては、内部集電体及び/又は外部集電体を構成し得る上記材料を例示することができる。なお、冷却管を導電性材料で構成する場合には、燃料電池モジュールの運転時における漏電を防止する等の観点から、その内部に絶縁性の熱媒体(例えば、LLC等)を流通させることが好ましい。
また、本発明の燃料電池モジュールに関する上記説明では、一のセル8と二の冷却管9、9とが接触する形態を例示したが、本発明は当該形態に限定されるものではなく、一のセルと三以上の冷却管とが接触する形態とすることも可能であり、この場合、三以上の冷却管に、一の方向へ冷媒を流通させる冷却管と、他の方向へ冷媒を流通させる冷却管とが備えられていれば良い。一の方向へ冷媒を流通させる冷却管N本と、他の方向へ冷媒を流通させる冷却管M本とが、一のセルと接触している場合、N=Mであれば、セルの長手方向における温度分布を低減するため、当該一のセルと接触する全ての冷却管の内部を流れる冷媒の単位時間当たりの流量は、同一とすることが好ましい。これに対し、N>Mである場合には、セルの長手方向における温度分布を低減するため、M本の冷却管の内部を流通する冷媒の単位時間当たりの流量を、N本の冷却管の内部を流通する冷媒の単位時間当たりの流量よりも多くすることが好ましい。
また、本発明の燃料電池モジュールにおいて、熱媒体管の長手方向端部で隣接する一の冷媒マニホールドと他の冷媒マニホールドとの間における熱交換を抑制して、ケース部材に収容された全セルの温度の均一化を図りやすくする等の観点からは、熱媒体管の長手方向端部において、一の冷媒マニホールドと他の冷媒マニホールドとの間に断熱材を配設することが好ましい。当該断熱材は、燃料電池モジュールの運転時の環境に耐え得る性質を有していれば、その形態は特に限定されるものではない。
また、本発明の燃料電池モジュールに関する上記説明では、第1触媒層2と接触する形態で内部集電体1が配設されるとともに、第2触媒層4と接触する形態で外部集電体6が配設される形態を例示したが、本発明は当該形態に限定されるものではない。第1触媒層2及び第2触媒層4へ水素及び空気を均一に拡散させるとともに、第1触媒層2及び第2触媒層4におけるフラッディングの発生を抑制する等の観点からは、第1触媒層2の内周面側及び第2触媒層4の外周面側に、拡散層及び撥水層が備えられることが好ましい。拡散層は、例えば、カーボンペーパーやカーボンクロス等により構成することができる。一方、撥水層は、内部集電体1や拡散層の表面に撥水性のスプレーを塗布する等の方法により形成することができる。
また、本発明の燃料電池モジュールに関する上記説明では、熱交換量制御手段として、上記(1)乃至(3)から選択された一の熱交換量制御手段のみが備えられる形態を例示したが、本発明は当該形態に限定されるものではなく、上記(1)乃至(3)から選択された二の熱交換量制御手段が備えられる形態や、上記(1)乃至(3)の全ての熱交換量制御手段が備えられる形態とすることも可能である。
また、本発明の燃料電池モジュールに関する上記説明では、熱交換量制御手段として、上記(1)乃至(3)を例示したが、本発明は当該形態に限定されるものではなく、上記(1)乃至(3)に加えて、又は、上記(1)乃至(3)に代えて、上記(4)乃至(6)の少なくとも一以上が備えられる形態とすることにより、セルの温度分布を低減し得る燃料電池モジュールとすることも可能である。上記(4)にかかる熱交換量制御手段が備えられる場合には、例えば、ケース部材の中央部に収容される各セル(以下「中央セル」という。)と四の熱媒体管とが接触し、ケース部材の端部に収容される各セル(以下「端部セル」という。)と二の熱媒体管とが接触するとともに、ケース部材の中央部と端部との間に収容される各セル(以下「中間セル」という。)と三の熱媒体管とが接触するように、セル及び熱媒体管を配置することができる。さらに、上記(5)にかかる熱交換量制御手段が備えられる場合には、例えば、セルと接触する熱媒体管を流通する熱媒体の単位時間当たりの流量(以下「流量」という。)を、流量調整弁等を用いて制御することにより、中央セルと接触する熱媒体管を流通する熱媒体の流量を、端部セルと接触する熱媒体管を流通する熱媒体の流量よりも多くすることができる。加えて、上記(6)にかかる熱交換量制御手段が備えられる場合には、例えば、中央セルと接触する熱媒体管から排出された熱媒体を、端部セルと接触する熱媒体管へと供給する等の方法により、中央セルと接触する熱媒体管を流通する熱媒体の温度を、端部セルと接触する熱媒体管を流通する熱媒体の温度おりも低くすることができる。
2.燃料電池
図19は、本発明の燃料電池の形態例を示す正面図であり、複数の燃料電池モジュールと、冷媒用配管及び水素用配管と、エンドプレートと、電極素子との配置を概略的に示している。図19の直線矢印は、重力方向を示している。図20は、本発明の燃料電池の形態例を示す平面図であり、複数の燃料電池モジュールと、冷媒用配管及び水素用配管と、電極素子と、外部ケース部材等の配置を概略的に示している。図20の点線矢印は、空気の流れ方向を示している。図19及び図20において、図1乃至図8と同様の構成を採るものには、図1乃至図8で使用した符号と同符号を付し、その説明を省略する。以下、図1乃至図8、図19、及び、図20を参照しつつ、本発明の燃料電池について説明する。
図19及び図20に示すように、本発明の燃料電池スタック1000は、電気的に直列に接続された複数の燃料電池モジュール100、100、…と、マニホールド一体型エンドプレート505(以下「マニホールド505」ということがある。)及びエンドプレート506と、電極素子601、602と、を備え、マニホールド505には、冷媒用配管501、502、及び、水素用配管503、504が接続されている。そして、複数の燃料電池モジュール100、100、…の積層方向両端側から、圧力付与手段(不図示)によって、燃料電池モジュール間の接触抵抗を低減させ得る圧力が付与されている。燃料電池1000では、水素用配管503を介して供給された水素が、マニホールド505を介して、燃料電池モジュール100、100、…へと供給され、発電に利用される。そして、燃料電池モジュール100、100、…から排出された水素は、マニホールド505、及び、水素用配管504を介して回収される。一方、冷媒用配管501を介して供給された冷媒は、マニホールド505を介して燃料電池モジュール100、100、…へと供給され、燃料電池モジュール100、100、…から排出された冷媒は、マニホールド505、及び、冷媒用配管502を介して回収される。そして、電気的に直列に接続された燃料電池モジュール100、100、…の最も外側(図19及び図20の紙面左側)に位置する燃料電池モジュール100に備えられる、外部集電体6と通電している部材と、電極素子601とが接続されている。さらに、電極素子601が接続された上記燃料電池モジュール100と反対側の最も外側(図19及び図20の紙面右側)に位置する燃料電池モジュール100に備えられる、内部集電体1と通電している部材と、電極素子602とが接続されている。したがって、燃料電池1000によれば、電極素子601及び電極素子602を介して電気エネルギーを取り出すことができる。
図20に示すように、燃料電池1000は、外部ケース部材700を備え、当該外部ケース部材700に、図19で示した各部材が収容される。外部ケース部材700には、空気を透過可能な開口部701、701、…が備えられ、当該開口部701、701、…を透過した空気が、燃料電池モジュール100、100、…へと供給される。
このように、本発明の燃料電池1000は、複数のセル8、8、…の温度を均一化することが可能な燃料電池モジュール100、100、…が備えられる。それゆえ、本発明によれば、性能を向上させ性能を安定化させることが可能な、燃料電池1000を提供できる。
なお、本発明の燃料電池1000に関する上記説明では、燃料電池モジュール100、100、…が一列に積層される形態を例示したが、本発明の燃料電池は当該形態に限定されるものではなく、電気的に直列に接続される形態で、2列以上に積層することも可能である。
また、本発明の燃料電池1000に関する上記説明では、マニホールド一体型エンドプレート505が備えられる形態を例示したが、本発明の燃料電池スタックは当該形態に限定されるものではなく、マニホールドとエンドプレートとが別体に構成され、冷媒及び水素が互いに流入・流出可能なように連結される形態のマニホールド及びエンドプレートが備えられる形態とすることも可能である。
また、本発明の燃料電池1000に関する上記説明では、燃料電池モジュール100、100、…が備えられる形態を例示したが、本発明の燃料電池スタックは当該形態に限定されるものではない。上記形態のほか、燃料電池モジュール200、200、…、燃料電池モジュール300、300、…、又は、燃料電池モジュール400、400、…のみが備えられる形態や、燃料電池モジュール100、100、…と、燃料電池モジュール200、200、…と、燃料電池モジュール300、300、…と、燃料電池モジュール400、400、…とが備えられる形態等とすることも可能である。
以下、実施例を参照しつつ、本発明について説明する。
1.発電性能評価試験
長手方向長さが150[mm]である中空形状のMEAを備え、当該MEAの内周面側に内部集電体を、同外周面側に外部集電体をそれぞれ配置したチューブ型燃料電池セル(外径1[mm])の外周面に、表面に金めっきを施した外径0.6[mm]、内径0.4[mm]の銅製の冷却管(冷却管A、冷却管B)を2本接触させた。そして、冷却管Aの内部を流通する冷却水の流通方向と、冷却管Bの内部を流通する冷却水の流通方向とを逆方向とした状態で、チューブ型燃料電池セルを運転し、その発電性能を評価した(実施例)。一方、冷却管A及び冷却管Bの内部を流通する冷却水の流通方向を同じ方向としたほかは、実施例と同様の条件にてチューブ型燃料電池セルを運転し、その発電性能を評価した(比較例)。
ここで、冷却管A及び冷却管Bへ供給した冷却水の温度及び流量は、80[℃]、4[ml/min]とした。また、チューブ型燃料電池セルは、中空形状の電解質膜の内周面側に形成された触媒層へ水素を供給するとともに、電解質膜の外周面側に形成された触媒層へ空気を供給した状況下で運転した。水素の流量は100[ml/min]、水素の温度は80[℃](バブラ温度)、空気の流量は500[ml/min]、空気の温度は80[℃](バブラ温度)とした。さらに、チューブ型燃料電池セルの運転は、0.2[A/cm]の定電流にて行い、定常状態になった時のMEA温度(冷却管A及び冷却管Bから最も離れた部位のMEAの表面温度)、及び、電圧値を測定した。実験に供したチューブ型燃料電池セル及び冷却管の形態を図21に、実施例並びに比較例にかかるMEA温度の測定結果を図22に、それぞれ示す。図21の直線矢印は、冷却水の流通方向を示している。図22の縦軸はMEA温度、同横軸はMEA位置であり、このMEA位置は、図21にXで示す位置からの距離を示している。
2.結果
図22より、実施例にかかるチューブ型燃料電池セルでは、MEAの長手方向における一端側と他端側との温度差が0.2[℃]以下となり、0.2[A/cm]定電流発電時における電圧が0.65[V]であった。これに対し、比較例にかかるチューブ型燃料電池セルでは、MEAの長手方向における一端側と他端側との温度差が約2[℃]となり、0.2[A/cm]定電流発電時における電圧が0.51[V]であった。すなわち、本発明の燃料電池モジュールと同様の形態で冷却水を供給した実施例にかかるチューブ型燃料電池セルによれば、比較例にかかるチューブ型燃料電池セルよりも、出力(電圧値)が約27%向上した。したがって、温度分布を低減することによる、チューブ型燃料電池セルの発電性能の向上が確認できた。
燃料電池モジュール100の形態例を示す平面図である。 燃料電池モジュール100の形態例を示す正面図である。 セル8、8、…及び冷却管9、9、…の形態を示す概念図である。 セル8、8、…及び冷却管9、9、…の形態を示す断面図である。 セル8の形態例を示す断面図である。 冷媒マニホールド10、20の形態例を示す図である。 冷媒マニホールド10、20の形態例を示す図である。 冷媒マニホールド10、20の形態例を示す図である。 セル8、8、…及び冷却管9、9、…の形態を示す概念図である。 燃料電池モジュール200の形態例を示す平面図である。 セル8、8、…及び冷却管9、9、…の形態を示す概念図である。 燃料電池モジュール300の形態例を示す概念図である。 燃料電池モジュール400の形態例を示す平面図である。 燃料電池モジュール400の形態例を示す正面図である。 セル8、8、…及び冷却管9、9、…の形態を示す断面図である。 冷媒マニホールド11、21の形態例を示す図である。 冷媒マニホールド11、21の形態例を示す図である。 冷媒マニホールド11、21の形態例を示す図である。 燃料電池1000の形態例を示す側面図である。 燃料電池1000の形態例を示す平面図である。 チューブ型燃料電池セル及び冷却管の配置形態を示す概念図である。 発電性能評価結果を示す図である。
符号の説明
1…内部集電体
1e…導電線
2…第1触媒層(電極)
3…電解質膜
4…第2触媒層(電極)
5…MEA(膜電極構造体)
6…外部集電体
7…空隙
8…セル(チューブ型燃料電池セル)
8a、8b、8c…セル(チューブ型燃料電池セル)
8x、8y、8z…セル(チューブ型燃料電池セル)
9…冷却管(熱媒体管)
9a、9b、9c…冷却管(熱媒体管)
9x、9y、9z…冷却管(熱媒体管)
10、11…冷媒マニホールド
10a、10b、10c…冷媒流通部
11a、11b、11c、11d、11e…冷媒流通部
20、21…冷媒マニホールド
20a、20b、20c…冷媒流通部
21a、21b、21c、21d、21e…冷媒流通部
30、30a、30b、30c…ケース部材
31…空気流通部
32、32a、32b…水素流通部
33…隔壁
100、200…燃料電池モジュール
300、400…燃料電池モジュール
1000…燃料電池

Claims (4)

  1. 中空形状の膜電極構造体と、前記膜電極構造体の内周面側に配設される内部集電体と、前記膜電極構造体の外周面側に配設される外部集電体とを備えるチューブ型燃料電池セル、前記チューブ型燃料電池セルと熱交換可能な熱媒体が流通する熱媒体管、並びに、前記チューブ型燃料電池セル及び前記熱媒体管を収容するケース部材、を備える燃料電池モジュールであって、
    二以上の前記熱媒体管が一の前記チューブ型燃料電池セルと接触し、
    一の前記チューブ型燃料電池セルと接触する二以上の前記熱媒体管に、内部を流通する前記熱媒体の流通方向が互いに異なる複数の前記熱媒体管が備えられ、
    前記ケース部材の中央部に収容される前記チューブ型燃料電池セルと前記熱媒体との間で交換される熱量と、前記ケース部材の端部に収容される前記チューブ型燃料電池セルと前記熱媒体との間で交換される熱量との間に差を設ける、熱交換量制御手段が備えられることを特徴とする、燃料電池モジュール。
  2. 前記熱交換量制御手段が、下記(1)乃至(3)の少なくとも一以上であることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池モジュール。
    (1)前記ケース部材の前記中央部に収容される前記チューブ型燃料電池セルと接触する前記熱媒体管の内径をR1、前記ケース部材の前記端部に収容される前記チューブ型燃料電池セルと接触する前記熱媒体管の内径をR2とするとき、R1>R2とする。
    (2)前記ケース部材の前記中央部に収容される前記チューブ型燃料電池セルに備えられる前記膜電極構造体の電極の体積をV1、前記ケース部材の前記端部に収容される前記チューブ型燃料電池セルに備えられる前記膜電極構造体の電極の体積をV2とするとき、V1<V2とする。
    (3)前記ケース部材の前記中央部に収容される前記チューブ型燃料電池セルと、該チューブ型燃料電池セルと接触する前記熱媒体管との接触面積をS1、前記ケース部材の前記端部に収容される前記チューブ型燃料電池セルと、該チューブ型燃料電池セルと接触する前記熱媒体管との接触面積をS2とするとき、S1>S2とする。
  3. 複数の前記チューブ型燃料電池セルを配列して構成される二以上のセル列が、前記ケース部材に収容されるとともに、前記ケース部材の厚み方向に、複数の前記熱媒体管と前記セル列とが交互に配置され、
    一の前記セル列に備えられる前記チューブ型燃料電池セルの、前記厚み方向の一端側の表面と接触する、前記熱媒体管の内部を流通する前記熱媒体の流通方向と、該一の前記セル列に備えられる前記チューブ型燃料電池セルの、前記厚み方向の他端側の表面と接触する、前記熱媒体管の内部を流通する前記熱媒体の流通方向とが異なることを特徴とする、請求項1又は2に記載の燃料電池モジュール。
  4. 電気的に直列に接続される複数の燃料電池モジュールと、複数の前記燃料電池モジュールを収容する外部ケース部材とを備え、前記燃料電池モジュールが、請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池モジュールであることを特徴とする、燃料電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011060747A (ja) * 2009-09-14 2011-03-24 Samsung Electro-Mechanics Co Ltd 固体酸化物燃料電池
KR20140035903A (ko) * 2011-05-23 2014-03-24 더 유럽피안 유니언, 레프레젠티드 바이 더 유럽피안 커미션 미세-관형 고체 산화물 연료 전지 장치

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