JP2008310890A - 磁気記録再生装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】多層膜の任意の薄層部分への磁気記録と読み出しが可能な磁気記録再生装置を提供する。
【解決手段】透明支持体14a上に設けられた、下記化学式Aで表される材料で構成されるチタニアナノシート14bとポリマー層14cからなる積層膜14と、該積層膜14に垂直に磁界を印加する磁界印加手段16と、レーザー光を出射するレーザー光源と、前記レーザー光を前記積層膜14中の任意の位置に集光する集光器12と、前記積層膜14を通過したレーザー光源からの光の偏光面の回転角を計測する回転角計測器18とからなる。
化学式A:Ti2-x4
(ただし、M=V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cuから選ばれる少なくとも1種の遷移金属、0<x<2)
【選択図】図3

Description

本発明は磁気記録再生装置に関し、特に強磁性チタニアナノシートの巨大なファラデー回転角を用いて、チタニアナノシート積層膜の特定部位に高密度に記録および再生する新規な磁気記録再生装置に関する。
磁性体は繰り返し記録・消去が可能なことや、ナノ秒という速い書き換えスピードという特徴があるために、記録媒体としての応用が多くなされてきた。特に光による熱と磁場を用いて記録し、カー効果という反射光の偏光面回転角を検知して再生する光磁気記録媒体は、磁気記録する範囲を極力小さくすることにより、100Gbits/平方インチ以上という面記録密度を達成するに到っている。しかしこの方法は1つの面に記録再生するという制限があるため、高密度化には限界がある。多層化して記録再生するには、光が透過することが必要であるが、透明性の高い磁性材料は少なく、また薄層化して透明性を高めると偏光面回転角(ファラデー回転角)が小さいために検出できないという課題があるために、実用化は困難とされてきた。
また比較的透明性の高い磁性材料としては「希土類鉄ガーネット」があり、磁気光学素子としての提案がある。例えば、「希土類鉄ガーネット薄膜」を用いたもの(特許文献1)や、「希土類鉄ガーネット粉末を塗布膜として」用いたもの(特許文献2)や、「希土類鉄ガーネット単結晶」を用いた磁気光学素子(非特許文献1)が提案されている。しかし「希土類鉄ガーネット薄膜」は成膜のための加熱温度が500℃〜700℃と高いために、使用する支持体が大幅に制限される。また「希土類鉄ガーネット粉末」を用いる場合には、結晶化のための高温は必要ないが、粒界による大きな光散乱のために、実用的な膜厚においては可視光の透明性が得られず、従って光遮断時/光透過時の光量によって示すS/N比が小さく実用的なS/N比は得られなかった。また希土類鉄ガーネット単結晶を多層化して用いることは、大面積化や薄型化にとって困難である。
また、透明磁性体を用いた高密度記録方法としての具体的な提案として、ファラデー回転角を増大させて、多値記録する方法(特許文献3)があるが、多値化は数値まででありやはり大幅な高密度化を得るには限界があった。
また、希土類鉄ガーネット以外では、磁性希土類金属と導電性物質を多層化して、レーザーパワーを変えて多値記録する方法(特許文献4)も提案されている。しかしこの場合の加熱温度は80〜120Kという低温での使用であり実用的ではない。
また、光磁気記録媒体として多層化した記録媒体に記録する方法も多く提案されている(特許文献5〜7)が、各磁性層に個別に記録する方法ではないために記録密度(記録容量)には限界がある。
ところで、光ディスクは光を用いた高密度記録媒体として多く実用化されている。光ディスクにおける高密度化の方法としては、トラックピッチを狭くしたり、トラック線密度を上げたりする方法が検討されている。この他にも多値記録、多重記録、多層記録、超解像記録、近接場記録などの多くの方法が検討されている。しかしながら、これまでの多層光ディスク技術では、さらなる大容量化は難しかった。その理由は以下のとおりである。
すなわち、現在の多層光ディスク技術は、ディスクの記録層を複数設け、任意の記録層だけに光スポットの焦点を合わせ、選択的に記録・再生する方式をとっている。しかしこの方式では、すべての記録層に光吸収が起こるため、ディスクの下側からレーザーを当てると、1層目に光が吸収されて減衰し、2層目に記録したい場合には十分な光が届かない現象が起こっていた。また、2層目の情報を読み出す際も、手前の1層目の情報が見えてしまうため、意図的に層と層の間隔を広げ、手前の層をピンボケ状態にして見えないように工夫している。このため、現行ディスクでは多層化が難しく、原理的にも4層が限界だと指摘されていた。このように、現在の多層光ディスク技術では任意の多層膜部分にのみ記録したり再生したりすることは極めて難しかった。
また、記録密度を向上させる技術としては、記録光源の短波長化や、光ヘッド用レンズの高解像度化があげられる。ブルーレイと呼ばれる新規格光ディスクでは、記録光源に波長400nmの青紫レーザーを採用し、1層あたり約25GB、2層化で約50GBの光ディスクが可能となるはずであるが、こちら側からの技術的アプローチも、おそらくこの2倍程度が限界に近いと考えられる。つまり、さらなる大容量化のためには今まで以上の多層化が必要であるが、そのためには届けたい光が減衰してしまうこと、層と層との間隔を広くとらなければならないことなどの問題点をクリアしなければならなかった。
現行技術では、すべての層に光吸収があることと、記録した層の情報が必要のない場合でも見えてしまうことが多層化のネックとなっていた。なお特許文献8では、多層の記録層を積層して、波長の異なる光を用いて複数の記録層への同時読み取り、同時書き込みする技術が提案されている。しかし多層記録層材料の具体的な例示はなく実現不可能であるし、原理的に数層以上に層数を増やすことは無理である。
このように、磁気記録の場合と同様に、光ディスクにおいても記録膜の高い透明性の確保と、多層膜構造において、特定の光だけを透過させたり、吸収させたりすることは困難であることがわかる。
また、現在実用化されている光記録は二値記録であるが、高密度化を目的として多値記録の開発が進められている。例えば、米国のCalimetrics社は、相変化型において固定長のセルにマークの長さを変えて記録を行うことにより反射率を多段階に変化させ、1つのセルに複数ビットを割り当てる方法を提案しており、八値記録をCD-RW相当の媒体に適用し、光ヘッドの構成を変えることなくCD-RWの約3倍に相当する2GBの容量を実現している。この技術はDVD-RWやブルーレイディスクへの適用も可能であるが、高々3倍の容量しか得られていないのが現実である。
また、多層記録は面密度の向上に加えて深さ方向の次元を利用した大容量化の技術である。まだ基礎的なレベルではあるが、大阪大学によりフォトクロミック材料を用いた五十層記録の実験が行われている。パワー密度が高い集光点のみで吸収が起こる二光子吸収を用いて記録を行うことにより、記録すべき層の手前の層における吸収による光量損失を抑制している。また、反射光の再集光点にピンホールを設ける共焦点光学系を用いて再生を行うことにより、再生すべき層の前後の層からの信号が再生信号に漏れ込む層間クロストークを抑制している。しかしいまだ実用的なデータは得られていないのが現実である。
特公昭56−15125号公報 特開昭62−119758号公報 特開2001−202665号公報 特許第2645770号公報 特開平7−302445号公報 特開平8−106662号公報 特開2006−146994号公報 特許第2689884号公報 特公昭56−15125号公報 J.Appl.Phys.,76,p1910(1994)J-k.Choほか
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、多層膜の任意の薄層部分への磁気記録と読み出しが可能な磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために提供する本発明は、以下の通りである。
(1) 透明支持体上に設けられた、下記化学式Aで表される材料で構成されるチタニアナノシートとポリマー層からなる積層膜と、該積層膜に垂直に磁界を印加する磁界印加手段と、レーザー光を出射するレーザー光源と、前記レーザー光を前記積層膜中の任意の位置に集光する集光器と、前記積層膜を通過したレーザー光源からの光の偏光面の回転角を計測する回転角計測器とからなることを特徴とする磁気記録再生装置。
化学式A:Ti2-x4
(ただし、M=V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cuから選ばれる少なくとも1種の遷移金属、0<x<2)
(2) 前記レーザー光として、前記チタニアナノシートに記録を行うための短波長の光(記録用光)と、該記録用光よりも長波長の再生を行うための光が用いられることを特徴とする前記(1)に記載の磁気記録再生装置。
(3) 前記積層膜は、ファラデー回転角の波長依存性が異なる複数種類のチタニアナノシート部材を含むことを特徴とする前記(1)に記載の磁気記録再生装置。
(4) 前記積層膜は、吸光度の波長依存性が異なる複数種類のチタニアナノシート部材を含むことを特徴とする前記(1)に記載の磁気記録再生装置。
(5) 前記積層膜は、前記透明支持体上に不連続に2次元配置されてなることを特徴とする前記(1)に記載の磁気記録再生装置。
(6) 前記レーザー光源と集光器と磁界印加手段と回転角計測器とが一体化されてユニットとなっており、該ユニットと前記積層膜との相対的な位置移動により該積層膜の記録再生部位を変更することを特徴とする前記(1)に記載の磁気記録再生装置。
(7) 前記回転角計測器は、チタン酸化物膜と共役系高分子の配向薄膜とを組み合わせてなる偏光検出器であることを特徴とする前記(1)に記載の磁気記録再生装置。
本発明の効果として、請求項1の発明によれば、チタニアナノシート及びポリマー層からなる積層膜を、磁気記録・再生用に用いることにより、従来は不可能であったファラデー効果を用いた多層及び多重の記録・再生が可能になる。
また、請求項2の発明によれば、記録時のレーザー波長を短波長とすることにより熱吸収性が高まり、また記録ビット径を小さくすることができて高密度記録に適する。また再生時のレーザー波長を長波長とすることによりチタニアナノシートによるファラデー回転角が大きくなり、検出感度が大幅に向上する。
また、請求項3の発明によれば、再生時にレーザー光波長を選択することにより、再生する超薄層を選択することができる。
また、請求項4の発明によれば、記録時にレーザー光波長を選択することにより、記録する超薄層を選択することができる。このために超多層記録が可能となる。
また、請求項5の発明によれば、記録位置の範囲を限定できるために、レーザー光の回折限界よりも小さな領域に記録できて、より高密度記録可能となる。
また、請求項6の発明によれば、レーザー光源と集光器と磁界印加手段と回転角計測器を一体化したユニットと積層膜との相対的な位置移動により、記録再生部位を変更するので、装置が小形化でき、記録再生を繰り返し容易に行なうことが可能となる。
また、請求項7の発明によれば、記録用に偏光を発生するレーザー素子を併用すれば、偏光子をまったく用いる必要が無くなり、偏光子による光の吸収や反射が無くなって、光の利用効率が大幅に向上する。また薄膜を積み上げただけの構成で済むので、装置を大幅に小形化できるという効果がある。
発明者らは、多層膜構造の任意の薄層部分に磁気記録し、かつ読み出しをするには、磁性層は、(1)透明性が高く、(2)薄くても回転角が読み出せるように、ファラデー回転角が大きくなければならないこと、(3)層別に熱磁気記録を可能とすることが要求される点、さらに記録・再生には(4)記録や再生したい層のみを対象にした記録・再生できる手段が必要である点に留意して、鋭意検討を行った。なお熱磁気記録とは、媒体の光吸収により昇温して磁性体の保磁力が低下して、磁化反転のための磁界強度が少なくて済む方式であり、現在の光磁気ディスクに用いられている方式を指す。
ここで、高密度記録再生装置とするには、1ビット記録面積低減には限界がきているため、記録層の多層化と短波長光記録の組み合わせが必然である。また多層化・光記録の1方式として、光磁気記録方式は非常に有利(繰り返し性、高速性、メモリー性など)な方式であることから、本方式をベースに開発を進めた。このとき、光を媒体面に垂直に入射させて記録するには、2つの相反する点を解決する必要があった。
1.透明性が高く、多層膜すべてを透過し、最下層まで減衰なく届く必要がある点。
2.各層は光吸収性が高く、熱磁気記録するための発熱・昇温が必要である点。
前記2つの相反する点を解決するに当たって、磁気的分離した10層以上の透明磁性体を積層して多層記録する技術はこれまでに無く、10層以上積層した場合に透明である磁性体は存在しないことがネックとなっていた。また、多層膜の1層が薄くても十分読み出せる回転角を有する磁性膜が無かった。さらに、10層以上の多層膜の任意部位に記録・再生する事が困難であった。
発明者らは、特開2006-199556号公報等で開示されているチタニアナノシートに関する知見を応用して鋭意検討を行いこれらの問題の解決を図った。すなわち、特開2006-199556号公報ではチタニアナノシートは1層ずつ、ポリマー層と交互に、電気的なエネルギーを用いて積層していく製膜方法(交互自己組織化技術)(図1)がとられていて、チタニアナノシート/ポリマー層の構成は限りなく繰り返すことができる。またチタニアナノシート分散液に水溶性有機化合物などの各種有機化合物を添加して、スピンコート法などの塗布法を用いて形成することも可能である。このチタニアナノシートは、光吸収に関して図2に示すように可視光域で非常に小さいという特徴を有する。また紫外光に対しては吸収性能が大きいという特性を有する。Co置換とFe置換の2種類のチタニア磁性半導体ナノ薄膜を積層すると、30°/μmの回転角が得られることが既に文献(Adv.Mater.,18,295-299(2006))で報告されている。チタニアナノシート1枚の厚みは1nm程度であるので、1枚あたり約0.03°(波長400nm)という大きな値が得られる。例えば前述した希土類鉄ガーネットの内でも特にBi置換鉄ガーネットは、高い透明性と大きなファラデー回転角のために、代表的な磁気光学材料として用いられるが、それでも厚みを1nmにすると0.007°(波長520nm)である。またチタニアナノシートとポリマー層との交互積層膜であるので、膜厚方向の断熱性に優れており、レーザー光で吸収過熱した場合の上下の温度分布がより急峻となり好ましい。
以上の結果、記録・再生用多層磁性膜を規則正しく配列・積層させ、高い透明性と大きなファラデー回転角を得るために、チタニアナノシートを用いることにより多層記録・再生を達成する本発明を成すに至った。以下に、本発明について説明する。
すなわち、本発明に係る磁気記録再生装置は、レーザー光源と、集光器と、透明支持体上に設けられた、下記化学式Aで表される材料で構成されるチタニアナノシートとポリマー層からなる積層膜と、該積層膜に垂直に磁界を印加する磁界印加手段と、前記積層膜を通過したレーザー光源からの光の偏光面の回転角を計測する回転角計測器とからなることを特徴とするものである。
化学式A:Ti2-x4
(ただし、M=V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cuから選ばれる少なくとも1種の遷移金属、0<x<2)
図3に、本発明に係る磁気記録再生装置の構成例を示す。
本発明に係る磁気記録再生装置10は、図示していない光源と、集光器12と、透明支持体14a上に設けられたチタニアナノシート14bとポリマー層14cからなる積層膜14と、磁界印加手段の一態様であるマグネット16と、回転角計測器18とからなる。
ここで、光源は、ガスレーザー、半導体レーザー、白色光源などを用いることができる。
集光器12は、図3に示したように凸レンズを用いたような集光光学系のことであり、特に0.85というような大きな開口率(NA)を有するものを用いることが好ましい。また、この集光光学系には共焦点顕微鏡に用いられる方法を用いることが好ましい。共焦点顕微鏡とはレーザー光を対物レンズに通し、蛍光を発生させることで試料を極めて小さいスポットで照明してスポットをスキャンし、画像を構成するものであり、スポット前後で生じた蛍光フレア(観察点前後の蛍光)をピンホールの作用で除去し、スポットでの発光のみを検出して試料を観察することができる。例えば、408nm専用光学系(バイオレットオプトシステム)を用いた走査型共焦点顕微鏡が市販されており、短波長光源で発生しやすい収差を抑え、より最適化された円形ピンホールを採用したコンフォーカル光学系、MEMS技術により実現した高速XYスキャナを用いることにより高い分解能を得る事ができている。平面分解能としては0.12μmラインアンドスペースを確実に認識でき、0.01μmの高さ分解能が得られる。
積層膜14は、透明支持体14a上に設けられたチタニアナノシート14bとポリマー層14cからなるものである。図4は、その構成例を示しており、透明支持体14a上に、Fe置換チタニアナノシート14b1と、Co置換チタニアナノシート14b2とをポリマー層14cを間に挟みつつ、交互に積層した積層膜14を示している。なお、より均一な積層膜14を形成するためには、透明支持体14aの直上にポリマー層14cをあらかじめ形成しておくことが重要である。これにより、高い透明性と大きなファラデー回転角が得られる。この場合、チタニアナノシート10層で約10nmの厚みとなる。例えば300nmのレーザー光をチタニアナノシート上で300nm径に集光して吸収させ加熱するが、この場合ファラデー回転角は約30°/μmであるので、15層をレーザー光で熱記録する記録単位とすると、ファラデー回転角は0.45°となる。
チタニアナノシート14bは、本発明者らが発明した透明磁石として有用なチタニアナノシートを用いる。このチタニアナノシート14bは、化学式A:Ti2-x4 (ただし、M=V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cuから選ばれる少なくとも1種の遷移金属、0<x<2)で表され、Ti格子位置に磁性元素が少なくとも1種の金属が置換した層状チタン酸化物微結晶を化学的処理により結晶構造の基本最小単位である層1枚にまで剥離して得られる薄片粒子からなる磁性半導体ナノ薄膜である。以下にこのナノシート作製方法に関して述べる。
まず、層状構造を有するチタン酸化物粉末に塩酸などの酸水溶液を接触させ、生成物をろ過、洗浄後、乾燥させると処理前に層間に存在したアルカリ金属イオンがすべて水素イオンに置き換わり、水素型物質が得られる。次に得られた水素型物質をアミン等の水溶液中に入れ撹拌すると、コロイド化する。このとき、層状構造を構成していた層が1枚1枚にまで剥離することとなる。この前段の酸処理は、特公平6−88786号公報、特許第1966650号及び特公平6−78166号公報、特許第1936988号、特開平9−25123号公報、特許第2671949号に開示されている。
出発化合物である層状チタン酸化物としては、レピドクロサイト型チタン酸塩のTi格子位置に遷移金属元素(V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu)が少なくとも1種置換した層状チタン酸化物Ti2-x4 (ただし、M=V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cuから選ばれる少なくとも1種、0<x<2)などを用いることができる。より好ましくは、Fe又はCo元素を0<x<0.8の範囲に置換することである。室温以上での強磁性特性を誘起する遷移金属元素としては、Fe又はCo元素を0<x<0.8の範囲に置換することが望ましいが、V,Cr,Mn,Fe,Co,Niから選ばれる少なくとも1種の遷移金属濃度の調整、2種以上の金属の組み合わせ、ドーパントの添加などにより強磁性特性、例えば、磁化率、磁気光学特性、磁気転移温度などを調整することが可能となる。
上記の層状チタン酸化物Ti2-x4を酸処理して水素型(H0.8Ti2-xMxO4・nH2O)に変換後、適当なアミンなどの水溶液中で振盪することにより、ゾル化する。このゾル溶液中には母結晶を構成していた層、すなわちナノシートが1枚ずつ水中に分散している。ナノシートの厚みはその出発母結晶の結晶構造に依存するが、1nm前後と極めて薄い。一方、横サイズはμmオーダーであり、非常に高い2次元異方性を有する。
また、チタニアナノシート14bと積層するポリマー層14cは、ポリジメチルジアリルアンモニウム塩化物(PDDA)、ポリエチレンイミン(PEI)、塩酸ポリアリルアミン(PAH)等が好ましく用いられる。
なお、上記チタニアナノシートの積層技術は本発明者らが発明したチタニア超薄膜の製造方法(特開2001-270022号公報)に開示している。
また、透明支持体14aの支持体材料としては、石英ガラス、GGG(ガリウムカドリウムガーネット)、サファイア、リチウムタンタレート、結晶化透明ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、単結晶シリコン、Al23、Al23・MgO、MgO・LiF、Y23・LiF、BeO、ZrO2、Y23、ThO2・CaOなどの透明セラミック材料、無機シリコン等の無機材料を用い得る。更には、MMA、PMMA、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリプロピレン、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、エポキシ樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、フッ素化ポリイミド、フッ素樹脂、フェノキシ樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ナイロン樹脂など有機材料が用いられる。厚みは10〜100μmであると取り扱い上柔軟性があって好ましい。
また本発明達成のためには、透明支持体14aの面精度および平行度が非常に重要である。
面精度とは有効平面の全体を見て、−番高いところと一番低いところの差を表したものである。例えば測定波長(λ)は632.8nmとすると、面精度λ/10の場合、有効表面内で高低差が63.28nmであることを示す。
平行度とは一方の面を基準にした場合、他方の面の傾きを示す。したがって窓板のように透過用として基板を使用する場合は、両面精度面の平行平面基板で平行度が5秒以内のもの、ミラーのように反射用として基板を使用する場合は片面精度面の平面基板で平行度が3分以内のものを使用する。
本発明に用いる偏光面の回転角計測器18は、できる限り小さな回転角を検知できなければならない。例えば0.01°程度の角度分解能が必要となる。これには市販の評価装置が適用できる。例えばネオアーク社の紫外分光式光磁気光学効果測定装置(BH−M800V)では0.001°程度の角度分解能を有し、好ましく用いることができる。
以上のように構成された本発明の磁気記録再生装置の重要ポイントは2つある。
第一のポイントは、チタニアナノシート14b及びポリマー層14cからなる積層膜14を、磁気記録・再生用の積層膜として用いることである。また、本発明では、レーザー加熱時には同時にまたは常時チタニアナノシート14bの面に垂直に、チタニアナノシート14bの保磁力程度以下の磁界を印加する磁気コイルまたは永久磁石からなる磁界印加手段16を設けることも重要である。加熱によってチタニアナノシート14bの保磁力は低下しているので、例えば数十ガウス程度の磁場で磁気記録(上向きか下向きに磁化する)することが可能となる。さらに本発明では、レーザー光が積層膜14を透過して任意の点に記録できる最も好ましい手段であると同時に、磁性体(チタニアナノシート14b)を加熱して保磁力を低下させ、磁場発生装置(磁界印加手段16)を小形化するという大きな効果を合わせ有する。
なお再生においては、レーザー光を同様にしてチタニアナノシート14bに垂直に入射させて、回転角計測器18で偏光面の回転角が+方向か−方向かを検査する。このとき、再生用レーザー光の光源として、直線偏光を発生するLDやLEDを用いることもできるが、円偏光を出射するレーザー光源の場合には、チタニアナノシート14bの入射前に直線偏光とする偏光子を設けた構成としてもよい。
本発明の第二のポイントは、記録・再生装置として、高さ分解能が10nmという装置を用いることである。
本発明の磁気記録再生装置10では、以上の第一と第二のポイントの組み合わせにより、積層膜が数十層、例えば50層という多層構造でも、容易に任意の層に記録再生が可能である。
また、上記磁気記録再生装置10において記録用レーザー波長は、チタニアナノシート14bの吸光度特性から短波長、具体的には400nm未満の紫外光が好ましい。この選択により、記録時の熱吸収性が高まり、また記録ビット径を小さくすることができて高密度記録に適する。また再生時のレーザー波長は長波長、具体的には400nm以上の可視光(波長依存性のピークが好ましい)が好ましい。
この選択によりチタニアナノシート14bによるファラデー回転角が大きくなり、検出感度が向上する。ただし記録波長と再生波長の比(再生波長/記録波長)が大きすぎると、レーザー光の照射面積に違いが発生して、クロストーク(隣接ビットの影響)が発生するので求める記録密度との関係でこの比が選択される。具体的には1/1〜2/1が好ましい。
また、上記磁気記録再生装置10において、積層膜14は、ファラデー回転角の波長依存性が異なる複数種類のチタニアナノシート14bを含むことが好ましい。これにより、特定の積層膜を任意に選択して再生することが可能となる。
チタニアナノシート14bのファラデー回転角における波長依存性は、置換原子の種類や置換量または置換原子の種類数等によって変えることができる。例えば、図5に示すように、種類Aのチタニアナノシート14bを積層してある膜厚の単位(記録単位)のチタニアナノシート群144とし、種類Aのチタニアナノシート14bとはファラデー回転角の波長依存性が異なる種類Bのチタニアナノシート14bを積層してある膜厚の単位(記録単位)のチタニアナノシート群145として、チタニアナノシート群144とチタニアナノシート群145を積層すると、再生時にレーザー光波長を選択することにより、再生する層を選択することができる。勿論同時に多波長で再生することも可能である。また上記で説明した記録単位の間に、非磁性、透明で断熱性の高い別の中間層を追加して設けることも可能である。
また、上記磁気記録再生装置10において、積層膜14は、吸光度の波長依存性が異なる複数種類のチタニアナノシート14bを含むことが好ましい。これにより、記録する層を選択して加熱することができる。
チタニアナノシート14bの吸光度における波長依存性は、置換原子の種類や置換量または置換原子の種類数等によって変えることができる。従って複数種類のチタニアナノシートをそれぞれある膜厚を単位(記録単位)として積層すると、記録時にレーザー光波長を選択することにより、記録する層を選択することができる。勿論同時に多波長で記録することも可能である。なお、ポリマー層14cの吸光度の波長依存性を変化させることも可能であるが、ポリマー層14cはチタニアナノシート14bとのマッチングの課題があり(チタニアナノシートは電気的にマイナスであり、ポリマー層選択には制限が多い)チタニアナノシート14bの吸光度を変更する方が容易である。
また、上記磁気記録再生装置10において、図6に示すように、支持体25中に、前記チタニアナノシート14bと同じ材料からなるチタニアナノシートと前記ポリマー層14cと同じ材料からなるポリマー層との積層膜で構成されるチップ24が不連続に2次元配置(支持体25の水平方向に配置)されてなる構成としてもよい。これにより、記録位置を限定できて、且つレーザー光の回折限界よりも小さな領域に記録が可能となり、より高密度記録ができるようになる。例えば波長300nmの紫外光を用いて記録する場合に、記録ビット径は約300nmΦになるが、このような方法を用いると100〜200nmΦも可能になり、より高密度に記録することが可能になる。また所謂超解像技術を用いれば更に高密度化が可能である。
このようなチタニアナノシートとポリマー層の積層膜のチップ24を不連続に2次元配置する作製方法としては、支持体25上に凹凸を規則的に設けて、その凹部にチタニアナノシート及びポリマー層との積層膜を製膜する方法が好ましく用いられるが、勿論連続に製膜した後、ガスなどを用いたエッチング法によっても良い。またアルミニウムの円盤上に微細孔(数十ナノメートル径)を設けて利用しても良い。
また、上記磁気記録再生装置10において、レーザー光源と集光器12と磁界印加手段16と回転角計測器18とが一体化されてユニットとなっており、該ユニットと積層膜である積層膜14との相対的な位置移動により積層膜14の記録再生部位を変更することが好ましい。図7にその構成例を示す。
レーザー光源11と集光器(図示せず)と磁界印加手段16と回転角計測器18を記録再生ヘッド100として一体化し、積層膜14を含む磁気記録媒体140の上を移動させることにより、記録再生部位の変更が可能となる。このような構成は、積層膜14の全膜厚が薄いこと、積層膜14の記録部位が小さくて良く記録の熱効率が高いこと、及び加熱手段によって保磁力低下する技術を追加することによって磁界印加手段16を非常に小形化することができたことによって達成できた。この場合、磁気記録媒体140には、記録再生における位置決めのためのガイド(ライン)を設けることは、より高いS/Nを得るためなどに有効である。
また、上記磁気記録再生装置10において、回転角計測器18は、チタン酸化物膜と共役系高分子の配向薄膜とを組み合わせてなる偏光検出器であることが好ましい。これにより、薄膜の積層構造で形成できて、本磁気記録再生装置を非常にコンパクトに構成することができる。
その構成例を図8に示す。回転角計測器18は、支持体18a上に、電極18e、高分子配向膜18b、チタン酸化物膜18c、電極18eのこの順番で積層されてなる。ここで、チタン酸化物膜18cは、スパッタ法を用いて200nm程度の厚みで形成される。また、共役系高分子からなる薄膜(高分子配向膜)18bは、ポリフェニレン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、ポリシランあるいはその誘導体であり、摩擦転写よって形成される(特許第3694738号公報)。
回転角計測器18における起電力発生のメカニズムは、光照射により例えばポリパラフェニレンビニレン(PPV)分子が励起されて励起子が薄膜18b内に形成される。次にチタン酸化物膜18cとの界面で電荷分離が起こり、電子が陽極へ、正孔が陰極へ移動して光起電力が生じ、光電流が発生する。このとき摩擦転写の掃引方向に平行な偏光の場合は、光エネルギーの吸収率が高く、従って発生する励起子が多い。このために垂直な偏光の場合よりも高い光起電力が発生するために、平行と垂直の偏光面の違いを明確に検知することができる。
チタン酸化物と共役系高分子の配向薄膜を組み合わせた偏光検出器(回転角計測器18)は、偏光子を用いることなく偏光面を検出できるために、記録用に偏光を発生するレーザー素子を用いれば、偏光子を用いる必要が無くなり、偏光子による光の吸収や反射が無くなって、光の利用効率が大幅に向上する。このことにより検出感度が向上する。
以下、本発明を実施した例について説明する。
(実施例1)
まず以下のようにしてチタニアナノシートとポリマーからなる積層膜を形成した。
炭酸カリウム(K2CO3)、二酸化チタン(TiO2)、酸化コバルト(CoO)、酸化鉄(Fe2O3)をK0.8Ti1.4Fe0.2Co0.3O4のモル比になるように秤量、混合し、800℃で40時間焼成して磁性元素置換チタン酸カリウム(K0.8Ti1.4Fe0.2Co0.3O4)を合成した。
ついで、合成した磁性元素置換チタン酸カリウム(K0.8Ti1.4Fe0.2Co0.3O4)を粉末1gに対して1規定の塩酸溶液100cm3の割合で接触させ、時々撹拌しながら室温で反応させた。1日毎に新しい塩酸溶液に取り替える操作を3回繰り返した後、固相を濾過水洗して風乾した。
得られた層状チタン酸粉末(H0.8Ti1.4
Fe0.2Co0.3O4・nH2O)0.5gをテトラブチルアンモニウム水酸化物溶液100cm3に加えて室温で1週間振盪(150rpm)し、乳白色のチタニアゾルを得た。
これを50倍に希釈した溶液と、2wt%のポリ・ジアリル・ジメチル・アンモニウム(PDDA)塩化物水溶液を調製し、そのpHを9に調整した。
なお以下では、H0.8Ti1.4 Fe0.2Co0.3O4・nH2OからなるシートをCoFe同時置換ナノシートと表す。またH0.8Ti1.4
Fe0.2Co0.3O4・nH2Oの分散液をCoFe置換ナノシート分散液と表す。
支持体としては、面精度λ/20、平面平行度が5秒とした面積5cm×1cm石英ガラス板を用いた。石英ガラス板をメルク製ExtranMA02 2%液にて洗浄した後、濃硫酸、ついでメタノール:濃塩酸の1:1溶液に浸漬した。ついで30分後溶液より取り出し、Milli-Q純水で充分に洗浄した。次に、この基板を濃度0.25wt%のポリエチレンイミン水溶液中に20分間浸漬し、Milli-Q純水で充分に洗浄した。
このようにして洗浄・前処理を行った基板を
(1)上記のチタニアゾル溶液に浸漬した。
(2)20分経過後Milli-Q純水で充分に洗浄し、アルゴン気流を吹きつけて乾燥させた。
(3)次に、この基板を上記のPDDA溶液に20分間浸漬し、
(4)続いてMilli-Q純水で充分に洗浄した。
以上の(1)〜(4)の操作を反復することにより、チタニアナノシート積層体形成を行った。
次いで図7に示すようなパーマロイを用いて形成した磁芯(コア)16aとその周りに銅線を巻いてコイル16bを形成した。この磁芯16aとコイル16bを一体化した磁界印加手段16 を、作製したチタニアナノシート積層体(記録媒体)を上下に配置して挟むようにした。また、磁芯の中心には穴を設けて、レーザー光が通過できるようにした。
つぎに、レーザー光波長が300nmとなるように共焦点顕微鏡を改造した光記録再生装置を用いて、上記チタニアナノシート積層体の上から10層を単位として選択して、焦点を選択して熱を吸収させ、磁界(50 Oe)を記録媒体上向きに印加して、熱磁気記録させた。更に上記レーザー光の照射位置を移動して熱磁気記録を続けた。磁界の向きは上または下向きとして、任意に変化させた。レーザー光の照射面積は約300nmであった。
ついで波長520nmのレーザー光を用いて、記録部位のスピン配列方向を検査するために同様にして上記チタニアナノシート積層体の上から10層を単位として選択して、焦点を選択して回転角計測器(ファラデー回転角測定装置)18を用いて測定した。10層毎の各記録単位の記録方向(磁化の向き)が上向きの場合にはプラスの値(回転角)を、下向きの場合にはマイナスの値を個別に確認することができた。
(実施例2)
以下のようにしてチタニアナノシートとポリマーからなる積層膜を形成した。
炭酸カリウム(K2CO3)、二酸化チタン(TiO2)、酸化コバルト(CoO)、酸化鉄(Fe2O3)をK0.8Ti1.6Co0.4O4、K0.8Ti1.2Fe0.8O4のモル比になるように秤量、混合し、800℃で40時間焼成して磁性元素置換チタン酸カリウム(K0.8Ti1.6Co0.4O4、K0.8Ti1.2Fe0.8O4)を合成した。合成した磁性元素置換チタン酸カリウム(K0.8Ti1.6Co0.4O4、K0.8Ti1.2Fe0.8O4)を粉末1gに対して1規定の塩酸溶液100cm3の割合で接触させ、時々撹拌しながら室温で反応させた。1日毎に新しい塩酸溶液に取り替える操作を3回繰り返した後、固相を濾過水洗して風乾した。
得られた層状チタン酸粉末(H0.8Ti1.6 Co0.4O4・nH2O、H0.8Ti1.2Fe0.8O4・nH2O)0.5gをテトラブチルアンモニウム水酸化物溶液100cm3に加えて室温で1週間程度振盪(150rpm)し、乳白色のチタニアゾルを得た。
これらを50倍に希釈した溶液と、2wt%のポリ・ジアリル・ジメチル・アンモニウム(PDDA)塩化物水溶液を調製し、そのpHを9に調整した。
なお以下では、H0.8Ti1.6 Co0.4O4・nH2OからなるシートをCo置換ナノシートと記し、H0.8Ti1.2Fe0.8O4・nH2OからなるシートをFe置換ナノシート表す。
実施例1と同じ、5cm×1cm程度の石英ガラス板をメルク製ExtranMA02 2%液にて洗浄した後、濃硫酸、ついでメタノール:濃塩酸の1:1溶液に浸漬した。30分後溶液より取り出し、Milli-Q純水で充分に洗浄した。次に、この基板を濃度0.25wt%のポリエチレンイミン水溶液中に20分間浸漬し、Milli-Q純水で充分に洗浄した。
このようにして洗浄・前処理を行った基板を
(1)上記のPDDA溶液に20分間浸漬し、PDDAの層を形成した。
(2)上記のCo置換ナノシート溶液に浸漬した。
(3)20分経過後、Milli-Q純水で充分に洗浄し、アルゴン気流を吹きつけて乾燥させた。
(4)次に、この基板を上記のPDDA溶液に20分間浸漬し、
(5)続いて、Milli-Q純水で充分に洗浄した。
次いで同様にして、Fe置換ナノシート溶液に浸漬して、Co/Fe/Co/Feの順で各層形成を5回づつ合計10回繰り返して、50層の記録層を形成した。上記CoとFe置換ナノシート積層体のファラデー回転角の波長依存性を測定したところ、ピーク波長は約450nmにあり、520nmでは回転角ゼロであった。
ついで実施例1と同様にして、CoFe同時置換ナノシート50層の形成を行なった。このとき、CoFe同時置換ナノシート積層体のファラデー回転角の波長依存性を測定したところ、比較的平坦で、全体的に大きかった。波長520nmでは15°/μmであった。
ついで(Co/Fe)を繰り返した10層積層体とCoFe同時置換ナノシート10層積層体を、(Co/Fe)/(CoFe同時置換)/(Co/Fe)/(CoFe同時置換)・・・・・・と言うように順次積層して、25回づつ合計50回繰り返して、合計500層の積層体を形成した。
実施例1と同様にしてレーザー記録を行なった後、再生する際に、レーザー光波長を450nmと520nmで行なったところ、記録単位ごとの記録方向が実施例1よりも明確に確認することができた。
(実施例3)
実施例2で形成したCoFe同時置換チタニアナノシートの吸光度では、260nmにピークが認められた。また、(Co置換ナノシート/Fe置換ナノシート)積層体の吸光度では、340nmにピークが認められた。そこで、光記録する場合の波長を260nmと340nmとして各記録単位に記録した後、実施例1と同様にして各記録単位の記録方向(スピンの向き)を調べると、各層の積層数が5層ずつでも検出することが可能であった。
(実施例4)
フォトリソグラフィー法を用いて図6に示したような、直径200nm、深さ100nmの穴を300nm周期でガラス基板上に設けた。このガラス基板上に実施例1と同様に、チタニアナノシートとPDDAの膜を1層ずつ形成する処理を行った後、穴以外に形成された膜を機械的に削り取った。この場合のCoFe同時置換体の縦と横の寸法は100nm以下となるようにして作製した。またガラス基板には3テスラの磁場を基板面に平行になるように印加しつづけて、チタニアナノシートが基板面に平行に積層するようにした。この処理を繰り返し行い、CoFe同時置換体の積層構造として合計50層のものを形成した。
実施例1ではレーザー光の照射面積は約300nmΦであったが、上記のような構成の記録媒体とすると、照射面積を200nmΦと減少させることができて、より高密度に記録することができた。
(実施例5)
実施例1のファラデー回転角測定装置では、記録部位ごとに上向き又は下向きに磁化することにより、偏光面の回転方向が逆転するので、偏光子の通過面をどちらか一方に固定しておけば、通過する光強度を測定することにより回転方向を検知することができた。しかし高精度な偏光子は高価であるので、偏光子を用いない方法が望ましい。
そこで、偏光を発生するレーザー光源を用い、チタン酸化物と共役系高分子の配向薄膜を組み合わせた偏光検出器を図7に示す位置に設けると、偏光子を用いることなく高感度に薄膜の積層体だけを用いて、磁化方向を検知することができ、大幅に小形化した超高密度磁気記録再生装置とすることができた。
なお、これまで本発明を図面に示した実施形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
チタニアナノシートとポリマー層との積層膜の構成を示す概略図である。 チタニアナノシートの吸光特性を示す図である。 本発明に係る磁気記録再生装置の構成を示す断面図である。 本発明で用いる積層膜の積層構造を示す断面図である。 本発明で用いる異種ナノシート積層膜の積層構造を示す断面図である。 積層膜のチップの2次元配置の状態を示す平面図及び断面図である。 レーザー光源と集光器と磁界印加手段と回転角計測器とが一体化された記録再生ヘッドの構成を示す断面図である。 回転角計測器の構成を示す断面図である。
符号の説明
10 磁気記録再生装置
11 レーザー光源
12 集光器
14,24 積層膜
14a 透明支持体
14b チタニアナノシート
14b1 Fe置換チタニアナノシート
14b2 Co置換チタニアナノシート
14c ポリマー層
144,145 チタニアナノシート群
16 磁界印加手段
16a 磁心
16b コイル
18 回転角計測器
18a 支持体
18b 高分子配向膜
18c チタン酸化物膜
18e 電極
25 支持体
100 記録再生ヘッド
140 記録媒体

Claims (7)

  1. 透明支持体上に設けられた、下記化学式Aで表される材料で構成されるチタニアナノシートとポリマー層からなる積層膜と、該積層膜に垂直に磁界を印加する磁界印加手段と、レーザー光を出射するレーザー光源と、前記レーザー光を前記積層膜中の任意の位置に集光する集光器と、前記積層膜を通過したレーザー光源からの光の偏光面の回転角を計測する回転角計測器とからなることを特徴とする磁気記録再生装置。
    化学式A:Ti2-x4
    (ただし、M=V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cuから選ばれる少なくとも1種の遷移金属、0<x<2)
  2. 前記レーザー光として、前記チタニアナノシートに記録を行うための短波長の光(記録用光)と、該記録用光よりも長波長の再生を行うための光が用いられることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録再生装置。
  3. 前記積層膜は、ファラデー回転角の波長依存性が異なる複数種類のチタニアナノシート部材を含むことを特徴とする請求項1に記載の磁気記録再生装置。
  4. 前記積層膜は、吸光度の波長依存性が異なる複数種類のチタニアナノシート部材を含むことを特徴とする請求項1に記載の磁気記録再生装置。
  5. 前記積層膜は、前記透明支持体上に不連続に2次元配置されてなることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録再生装置。
  6. 前記レーザー光源と集光器と磁界印加手段と回転角計測器とが一体化されてユニットとなっており、該ユニットと前記積層膜との相対的な位置移動により該積層膜の記録再生部位を変更することを特徴とする請求項1に記載の磁気記録再生装置。
  7. 前記回転角計測器は、チタン酸化物膜と共役系高分子の配向薄膜とを組み合わせてなる偏光検出器であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録再生装置。
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