JP2008309343A - 膨張機構及びこれを備えた冷凍装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】蒸発器を通過する冷媒の流量を増大させて冷凍能力を大幅に高めることができる膨張機構を提供すること。
【解決手段】ボルテックスチューブ13を備え、該ボルテックスチューブ13に凝縮器からの高圧液冷媒を導入してその内部で渦流を発生させ、該渦流によって発生する真空域R1の吸引力によって蒸発器からのガス冷媒をボルテックスチューブ13内に吸引し、該ガス冷媒と前記高圧液冷媒とをミキシングして低温冷媒と高温冷媒とに熱分離するとともに、ボルテックスチューブ13から膨張室S2内の気液分離域R2へと流出した冷媒を液冷媒とガス冷媒とに気液分離して液冷媒を液溜部S3に貯留し、該液冷媒を前記蒸発器に導入し、ガス冷媒を前記圧縮機に導入するようにした膨張機構10において、前記真空域R1と前記気液分離域R2の間に両者を分離するゾーンセパレータ16を設ける。
【選択図】図2

Description

本発明は、ボルテックスチューブを利用した膨張機構及びこれを備えた冷凍装置に関するものである。
冷凍装置は、圧縮機、凝縮器、膨張機構及び蒸発器を冷媒配管で接続して構成され、凝縮器において凝縮した高圧液冷媒を膨張機構によって膨張させて減圧し、この減圧された低圧液冷媒を蒸発器で蒸発させ、そのときの蒸発潜熱によって冷却を行うものである。
ところで、斯かる冷凍装置の膨張機構としては、今までは膨張弁やキャピラリーチューブ等の絞り機構を利用するものが主流であるが、その他としては高速ジェット噴流によって液冷媒を膨張させるエジェクタ、ボルテックスチューブを利用するもの等が知られている。
特許文献1,2には、冷凍サイクルにおける膨張機構にボルテックスチューブを利用した冷凍装置が提案されている。
しかしながら、特許文献1,2に記載された冷凍装置は、何れもボルテックスチューブでの渦流を熱分離の手段として利用しているものの、汎用の冷凍サイクルには利用しづらいという問題を有している。ボルテックスチューブは、渦流によって冷媒を高温と低温に熱分離するものであり、一次冷媒を二分して低温冷媒を生成するために低温冷媒の流量が減少するという欠点を有している。しかも、ボルテックスチューブから出た高温冷媒を凝縮器の上流に戻す構成が採用されているため、圧力の低い方から高い方へ冷媒を戻すという矛盾がある。
そこで、本出願人は、図4に示す膨張機構を備えた冷凍機を先に提案した(特願2006−136502において)。ここで、図4に示す膨張機構について説明する。
図4は従来の膨張機構の縦断面図であり、図示の膨張機構110は、円筒状の外筒112内にボルテックスチューブ113を同心的に組み込んで構成されており、このボルテックスチューブ113は、その上部外周がリング状の支持板114によって外筒112の内周面に支持されている。そして、外筒112内は、前記支持板114とその下方に配されたリング状のバッフル板115とで上方からチャンバS1、膨張室S2、液溜部S3に区画されており、前記ボルテックスチューブ113の下端は膨張室S2内に開口している。
又、ボルテックスチューブ113は、その上端開口部がカバー118によって覆われるとともに、上端外周部には、前記チャンバS1に開口する複数のノズル119が接線方向に設けられている。そして、ボルテックスチューブ113の上部中心部には、吸込管120が外筒112の上壁及び前記カバー118を貫通して上方から挿入されており、この吸込管120の下端はボルテックスチューブ113の内部に開口している。
更に、外筒112の外周部にはチャンバS1に開口するポート121と膨張室S2に開口するポート122が設けられ、外筒112の下端中心部には液溜部S3に開口するポート123が設けられている。
而して、図示しないが、冷凍装置は、圧縮機、凝縮器、蒸発器及び上記膨張機構110を冷媒配管で接続して閉回路である冷媒循環回路を形成することによって構成されており、圧縮機の吐出側から導出する冷媒配管は、凝縮器の入口側に接続され、凝縮器の出口側から導出する冷媒配管は、膨張機構110のポート121に接続されている。又、膨張機構110のポート123から導出する冷媒配管は、蒸発器の入口側に接続され、蒸発器の出口側から導出する冷媒配管は、膨張機構の吸込管120に接続されている。そして、膨張機構110のポート122から導出する冷媒配管は、圧縮機の吸入側に接続されている。
特開平8−303879号公報 特開平8−313072号公報
しかしながら、図4に示す膨張機構110おいては、効果的な真空ポンプ作用が得られず、蒸発器での冷媒流量を大きくすることが難しいために高い冷凍能力を得ることができないという問題があった。以下、その理由を膨張機構110内部での冷媒の挙動を示す図5に基づいて説明する。
冷凍装置の凝縮器において液化した高圧の液体冷媒は、膨張機構110のポート121から外筒112内のチャンバS1内に導入され、複数のノズル119からボルテックスチューブ113内に接線方向に噴流となって噴き出す。この噴流は、ボルテックスチューブ113の内壁に沿って渦を形成し、ボルテックスチューブ113の下端開口部から水平に近い方向へと吹き出す。液体冷媒の渦流が形成されるボルテックスチューブ113内においては、壁面静圧が上昇する反面、中央部は負圧状態となって真空域R1が形成され、この真空域R1が真空ポンプとして作用し、蒸発器において蒸発した低温・低圧のガス冷媒は、吸込管120からボルテックスチューブ113内へと吸引され、このガス冷媒は、ボルテックスチューブ113内で渦流を形成する液冷媒とミキシングされる。
ボルテックスチューブ113の下端開口部より下方の膨張室S2内の気液分離域R2には大きな渦が発生するが、同時にボルテックスチューブ113内へ渦を巻きながら流れ込む上昇気流も発生する。このため、ボルテックスチューブ113の内壁に沿った渦によって生じる真空域R1の真空度が低下し、吸込管120からの吸引力が低下するために蒸発器での冷媒流量が減少し、冷凍能力の低下を招くという問題が発生する。つまり、ボルテックスチューブ113の中心に発生する真空域R1とこれより下流の気液分離域R2とが連続しているため、ポンプ作用と気液分離作用とが干渉し合って冷媒循環量が減少し、冷凍能力の低下を招く。
又、膨張機構110の膨張室S2においては、ボルテックスチューブ113から吹き出した液冷媒が渦を形成し、ポート122に向かう上昇気流も壁面に沿った渦を形成しているために減速せず、ミスト状の冷媒がポート122にキャリーオーバーし、ポート122から圧縮機に戻るガス冷媒にミスト状の冷媒が混入し、この混入したミスト状の冷媒が冷媒配管内で蒸発するために圧縮機の吸込条件が悪化して圧縮機の負荷が増大するという問題も発生する。
ところで、ボルテックスチューブ113内の渦は、外筒112内の膨張室S2に流出すると、該膨張室S2で等エントロピ膨張して急激に流速を落としながら状態変化し、遠心分離作用によって気液分離されて液冷媒とガス冷媒となり、低温・低圧の液冷媒は、バッフル板115を通過して液溜部S3に貯留されるとともに、外筒112の下端に開口するポート123から冷媒配管を通って蒸発器へと導入される。
ところが、液溜部S3内に貯留される液冷媒は旋回運動しているため、ポート123から液冷媒が流出しにくく、蒸発器に供給される液冷媒の流量が減少して冷凍能力の低下を招くという問題も発生する。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、その第1の目的とする処は、蒸発器を通過する冷媒の流量を増大させて冷凍能力を大幅に高めることができる膨張機構及びこれを備えた冷凍装置を提供することにある。
又、本発明の第2の目的とする処は、耐久性に優れ、多種多様な冷媒に適用することができる膨張機構及びこれを備えた冷凍装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、ボルテックスチューブを備え、該ボルテックスチューブに凝縮器からの高圧液冷媒を導入してその内部で渦流を発生させ、該渦流によって発生する真空域の吸引力によって蒸発器からのガス冷媒をボルテックスチューブ内に吸引し、該ガス冷媒と前記高圧液冷媒とをミキシングして低温冷媒と高温冷媒とに熱分離するとともに、ボルテックスチューブから膨張室内の気液分離域へと流出した冷媒を液冷媒とガス冷媒とに気液分離して液冷媒を液溜部に貯留し、該液冷媒を前記蒸発器に導入し、ガス冷媒を前記圧縮機に導入するようにした膨張機構において、前記真空域と前記気液分離域の間に両者を分離するゾーンセパレータを設けたことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記気液分離域とガス冷媒を圧縮機に戻すポートとの間に整流器を設けたことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、複数のスリットが放射状に形成されたバッフル板を前記気液分離域と前記液溜部の間に設けたことを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、前記液溜部に複数枚の邪魔板を放射状に配設したことを特徴とする。
請求項5記載の発明は、圧縮機、凝縮器、膨張機構及び蒸発器を冷媒配管で順次接続して構成される冷凍装置において、前記膨張機構を請求項1〜4の何れかに記載の膨張機構で構成したことを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、ボルテックスチューブ内の真空域と膨張室内の気液分離域とを分離するゾーンセパレータを設けたため、膨張室内に発生する上昇気流のボルテックスチューブ内への流れ込みがゾーンセパレータによって阻止され、ボルテックスチューブの内壁に沿った渦によって生じる真空域の真空度が低下することがない。このため、蒸発器からボルテックスチューブ内へと吸引されるガス冷媒の流量、つまり、蒸発器を流れる冷媒の流量が増大し、蒸発器での吸熱量が増えて冷凍機の冷凍能力が大幅に高められる。
請求項2記載の発明によれば、気液分離域とガス冷媒を圧縮機に戻すポートとの間に整流器を設けたため、膨張室内でポートに向かう上昇気流が整流器を通過することによって減速され、これに含まれるミスト状の冷媒が分離され、ミスト状の冷媒がポートにキャリーオーバーすることがない。このため、ポートから圧縮機に戻るガス冷媒にミスト状の冷媒が混入することがなく、混入したミスト状の冷媒が冷媒配管内で蒸発するために圧縮機の吸込条件が悪化して圧縮機の負荷が増大するという問題の発生が防がれる。
請求項3記載の発明によれば、複数のスリットが放射状に形成されたバッフル板を気液分離域と液溜部の間に設けたため、液溜部に貯留された液冷媒のガス冷媒との再混合が防がれ、圧縮機へのガス冷媒の吸込条件の悪化が防がれる。
請求項4記載の発明によれば、液溜部に複数枚の邪魔板を放射状に配設したため、液溜部内での液冷媒の旋回運動が邪魔板による抵抗によって抑制され、液冷媒がポートから流出し易くなり、蒸発器に供給される液冷媒の流量が増大して冷凍装置の冷凍能力が高められる。
請求項5記載の発明によれば、ボルテックスチューブによる膨張と熱分離及び気液分離機能によって冷媒を等エントロピ膨張させる膨張機構を用いたため、該膨張機構での冷媒の圧力損失が小さく抑えられ、蒸発器へ供給する冷媒の流量を極力減じることなく、冷媒のエンタルピ差をより大きく、且つ、冷媒温度を低くすることができ、冷凍能力が大きくて効率の高い冷凍装置を得ることができる。
又、膨張機構には可動部が存在しないため、該膨張機構の耐久性が高められるとともに、膨張機構において膨張と気液分離を同時に行うようにしたため、冷凍装置の小型化と低コスト化が実現される。
更に、膨張機構は多種多様な冷媒に適用することができ、この膨張機構を用いても、従来の冷凍サイクルを殆どそのまま使用することができるため、現在稼働中の冷凍装置を冷凍能力が大きい高効率なものに改良することも容易に可能である。
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は発明に係る冷凍装置の冷媒回路図、図2は本発明に係る膨張機構の断面図である。
本実施の形態に係る冷凍装置は、図1に示すように、圧縮機1、送風機2aを含む凝縮器2、送風機3aを含む蒸発器3及び本発明に係る膨張機構10を冷媒配管4,5,6,7,8で接続して閉回路である2つの冷媒循環回路A,Bを形成することによって構成されている。ここで、冷媒循環回路Aは、圧縮機1と凝縮器2及び膨張機構10を冷媒配管4,5,8で接続して構成され、冷媒循環回路Bは、膨張機構10と蒸発器3とを冷媒配管6,7で接続して構成されている。
又、冷媒配管5の途中にはプレ膨張弁9が設けられており、蒸発器3の二次側である冷媒配管7には温度検出器11が設けられており、後述のようにプレ膨張弁9の開度は温度検出器11によって検知される冷媒温度に基づいて制御される。
次に、本発明に係る前記膨張機構10の構成の詳細を図2に基づいて説明する。
本発明に係る膨張機構10は、円筒状の外筒12内にボルテックスチューブ13を同心的に組み込んで構成されており、このボルテックスチューブ13は、その上部外周がリング状の支持板14によって外筒12の内周面に支持されている。そして、外筒12内は、前記支持板14とその下方に配されたリング状のバッフル板15とで上方からチャンバS1、膨張室S2、液溜部S3に区画されている。ここで、前記ボルテックスチューブ13の下端は膨張室S2内に開口しており、その開口部にはゾーンセパレータ16が設けられている。このゾーンセパレータ16は、後述のようにボルテックスチューブ13の中心部に形成される真空域R1と膨張室S2のボルテックスチューブ13の開口端よりも下方の気液分離域R2とを分離するものであって、その上端部はボルテックスチューブ13内の下端部に臨み、両者間には円筒状の微小な隙間δが形成されている。
ところで、前記バッフル板15には複数のスリット(不図示)が放射状に形成されており、このバッフル板15の下方の前記液溜部S3内の上部には複数枚の邪魔板17が放射状に配設されている。
又、ボルテックスチューブ13は、その上端開口部がカバー18によって覆われるとともに、上端外周部には、前記チャンバS1に開口する複数のノズル19(図2には1つのみ図示)が接線方向に設けられている。そして、ボルテックスチューブ13の上部中心部には、吸込管20が外筒12の上壁及び前記カバー18を貫通して上方から挿入されており、この吸込管20の下端はボルテックスチューブ13の内部に開口している。
更に、外筒12の外周部にはチャンバS1に開口するポート21と膨張室S2に開口するポート22が設けられ、外筒12の下端中心部には液溜部S3に開口するポート23が設けられており、膨張室S2内の上下方向においてポート22と気液分離ゾーンR2の間のボルテックスチューブ13の外周には整流器24が設けられている。
而して、図1に示すように、前記圧縮機1の吐出側から導出する冷媒配管4は、前記凝縮器2の入口側に接続され、凝縮器2の出口側から導出する冷媒配管5は、前記膨張機構10のポート21に接続されている。又、膨張機構10のポート23から導出する冷媒配管6は、前記蒸発器3の入口側に接続され、蒸発器3の出口側から導出する冷媒配管7は、膨張機構10の前記吸込管17に接続されている。そして、膨張機構10のポート22から導出する冷媒配管8は、圧縮機1の吸入側に接続されている。
次に、以上の構成を有する膨張機構10を備えた冷凍装置の作用を図3に示すモリエル線図を参照しながら以下に説明する。
圧縮機1が駆動源である不図示の電動モータによって駆動されると、該圧縮機1によってガス冷媒が圧縮され(圧縮行程)、図3にaにて示す状態(圧力P2、エンタルピi2)の高温・高圧のガス冷媒が冷媒配管4へと吐出され、このガス冷媒は、冷媒配管4を通って凝縮器2へと導入される。
凝縮器2では、高温・高圧のガス冷媒が外気に凝縮熱Q2を放出して図3のa→bへと状態変化して液化し(凝縮行程)、図3にbにて示す状態(圧力P2、エンタルピi3)の液冷媒となる。尚、このときの放熱量(凝縮熱)Q2は(i2−i3)で表される。
そして、上述のように凝縮器2において液化した高圧の液冷媒は、冷媒配管5を流れる過程でプレ膨張弁9にて断熱膨張して図3に示すb→f(圧力P2’、エンタルピi3)へと状態変化した後(膨張行程)、膨張機構10のポート21から外筒12内のチャンバS1内に導入される。膨張機構10においては、チャンバS1内に導入された高圧の液冷媒は、複数のノズル19からボルテックスチューブ13内に接線方向に噴き出してボルテックスチューブ13の内壁面を高速で回転する渦流を形成する。
液冷媒の渦が形成されるボルテックスチューブ13内においては、壁面静圧が上昇する反面、中央部は負圧状態となって真空域R1が形成され、この真空域R1が真空ポンプとして作用し、後述のように蒸発器3において蒸発して図3にdにて示す状態(圧力P1、エンタルピi1)となった低温・低圧のガス冷媒が冷媒配管7を通って吸込管20からボルテックスチューブ13内へと吸引され、このガス冷媒は、図3のd→fへと状態変化し、ボルテックスチューブ13内で渦流を形成する液冷媒とミキシングされる。
ところで、本実施の形態では、前述のように凝縮器2で凝縮した液冷媒は、プレ膨張弁9にて断熱膨張して図3に示すb→f(圧力P2’、エンタルピi3)へと状態変化した後、膨張機構10へと導入されため、膨張機構10に流入する冷媒の体積が増大することとなり、膨張機構10のノズル19からボルテックスチューブ13内に接線方向に噴き出す冷媒の流速も増大する。この結果、ボルテックスチューブ13内での渦流の流速が増大し、渦流の中心部の負圧も大きくなって真空域R1での真空度が高まり、吸込管20からボルテックスチューブ13へと吸い込まれるガス冷媒の流量が増え、蒸発器3へと導かれて冷却に供せられる冷媒の量が増えるため、当該冷凍装置の冷凍能力が高められる。つまり、図3に示すc→d→fの経路を繰り返しながら冷媒循環回路Bを循環する冷媒の流量が増大して当該冷凍装置の冷凍能力が高められる。
而して、前述のように膨張機構10のボルテックスチューブ13内でミキシングされた冷媒は、ボルテックスチューブ13内で渦流を形成して、ボルテックスチューブ13とゾーンセパレータ16との間の微小隙間δを通って外筒12内の膨張室S2に流出し、該膨張室S2で等エントロピ膨張して急激に流速を落としながら図3のf→c(圧力P1、エンタルピi4)へと状態変化し、膨張室S2内のボルテックスチューブ13の下端開口部の下方に形成された気液分離域R2において遠心分離作用によって気液分離されて状態cの液冷媒とガス冷媒となる。尚、膨張機構として膨張弁等の絞りを用いる場合には、冷媒は図3のb→c’(圧力P1、エンタルピi3)へと状態変化する断熱膨張(等エンタルピ膨張)を行う。
気液分離域において分離された液冷媒は、バッフル板15のスリットを通過してその下の邪魔板17の間から液溜部S3へと落下し、該液溜部S3に貯留されるが、液溜部S3の上方はバッフル板15によって覆われているため、液溜部S3に貯留された液冷媒のガス冷媒との再混合が防がれ、圧縮機1へのガス冷媒の吸込条件の悪化が防がれる。
ところで、気液分離域R2には冷媒の大きな渦が発生すると同時に、ボルテックスチューブ13内へ渦を巻きながら流れ込もうとする上昇気流も発生するが、本実施の形態では、ボルテックスチューブ13内の真空域R1と膨張室S2内の気液分離域R2とを分離するゾーンセパレータ16を設けたため、上昇気流のボルテックスチューブ13内への流れ込みがゾーンセパレータ16によって阻止される。このため、ボルテックスチューブ13の内壁に沿った渦によって生じる真空域R1の真空度が低下することがない。
而して、膨張機構10の液溜部S3に貯留された液冷媒は、外筒12の下端に開口するポート23から冷媒配管6を通って蒸発器3へと導入される。そして、蒸発器3においては、低温・低圧の液冷媒が周囲から蒸発熱Q1を奪って図3のc→dへと状態変化して気化し(蒸発行程)、状態d(圧力P1、エンダルピi1)のガス冷媒となる。
ところで、液溜部S3においては液冷媒は旋回運動するが、本実施の形態では、液溜部S3に複数枚の邪魔板17を放射状に配設したため、液冷媒の旋回運動が邪魔板17による抵抗によって抑制され、液冷媒がポート23から流出し易くなり、蒸発器3に供給される液冷媒の流量が増大して冷凍装置の冷凍能力が高められる。
ここで、蒸発器3における液冷媒の蒸発によって冷却が行われ、蒸発時の吸熱量(蒸発潜熱)Q1は(i1−i4)で表されるが、膨張機構として膨張弁等の絞りを用いた場合には前述のように冷媒は図3のb→c’(圧力P1、エンタルピi3)へと状態変化する断熱膨張(等エンタルピ膨張)を行う。これに対して、本実施の形態では、前述のように冷媒は膨張機構10において等エントロピ膨張して図3のb→c(圧力P1、エンタルピi4)へと状態変化するため、図示のΔi(=i3−i4)だけ吸熱量Q2が増え、その分だけ当該冷凍装置の冷凍能力が高められる。
そして、蒸発器3において蒸発したガス冷媒は、前述のように膨張機構10のボルテックスチューブ13の中心部に形成された真空域R1の負圧に引かれて冷媒配管7を流れ、膨張機構10の吸込管20からボルテックスチューブ13内へと吸引されるが、前述のようにゾーンセパレータ16の作用によって真空域R1の真空度が高められるため、蒸発器3から吸込管20を介してボルテックスチューブ13内へと吸引されるガス冷媒の流量、つまり、蒸発器3を流れる冷媒の流量が増大し、蒸発器3での吸熱量Q1が増えて冷凍能力が高められる。
而して、ボルテックスチューブ13内に吸引されたガス冷媒は、前述のようにボルテックスチューブ13内で渦流を形成する液冷媒とミキシングされ、以後、前記と同様の動作を繰り返す。従って、冷媒循環回路Bにおいては、冷媒は、図3に示すc→d→bの経路を繰り返す。
他方、膨張機構10において、渦流の運動エネルギーの大きな外周部の高温のガス冷媒は、バッフル板15に衝突して跳ね返され、運動エネルギーを失って昇温及び昇圧されて図3のc→e(圧力P1’、エンタルピi1’)へと状態変化し、外筒12の側部に開口するポート22から冷媒配管8を通って圧縮機1の吸入側に戻される。但し、この経路間では外部との熱交換はなされない。
ところで、膨張機構10の膨張室S2においては、ボルテックスチューブ13から吹き出した液冷媒が渦を形成し、ポート22に向かう上昇気流も壁面に沿った渦を形成するが、本実施の形態では、膨張室S2内の気液分離域R2とガス冷媒を圧縮機1に戻すポート22との間に整流器24を設けたため、ポート22に向かう上昇気流が整流器24を通過することによって減速され、これに含まれるミスト状の冷媒が分離され、ミスト状の冷媒がポート22にキャリーオーバーすることがない。このため、ポート22から圧縮機1に戻るガス冷媒にミスト状の冷媒が混入することがなく、混入したミスト状の冷媒が冷媒配管8内で蒸発するために圧縮機1の吸込条件が悪化して圧縮機1の負荷が増大するという問題の発生が防がれる。
圧縮機1においては、図3の状態e(圧力P1’、エンタルピi1’)の高温ガス冷媒は、圧縮機1によって圧縮されて図3のe→a(圧力P2、エンタルピi2)へと状態変化し(圧縮行程)、以後、前記と同様の作用を繰り返す。ここで、圧縮機1の所要動力(モータ出力)Lは、図3において(i2−i1’)で表され、この所要動力Lは、蒸発器3において蒸発したガス冷媒をそのまま圧縮機1に戻す従来の冷凍装置の所要動力L’(=i2−i1)に比して図3に示すΔL(=i1’−i1)だけ小さく抑えられる。
而して、本発明に係る冷凍装置においては、以上説明した冷凍サイクルが繰り返され、蒸発器3での冷媒の蒸発に伴う吸熱によって所要の冷凍が行われるが、本実施の形態によれば、以上説明した効果に加えて以下のような効果が得られる。
即ち、本実施の形態では、ボルテックスチューブ13による膨張と熱分離及び気液分離機能によって冷媒を等エントロピ膨張させる膨張機構10を用いたため、該膨張機構10での冷媒の圧力損失が小さく抑えられ、蒸発器3へ供給する冷媒の流量を極力減じることなく、冷媒のエンタルピ差をより大きく、且つ、冷媒温度を低くすることができ、冷凍能力が大きくて効率の高い冷凍装置を得ることができる。
尚、ボルテックスチューブ13は、一次冷媒の流量を約二分することによって高温冷媒と低温冷媒を生成するものであるため、一般的には冷却に使用され得る冷媒の量は圧縮機1から吐出される冷媒の量よりも少なくなるという欠点を有するが、本実施の形態では、蒸発器3において蒸発したガス冷媒をボルテックスチューブ13内の中心部に形成される真空域R1の負圧によってボルテックスチューブ13に吸引して戻すようにしたため、ボルテックスチューブ13内の冷媒流量が増大し、蒸発器3において冷却に供せられる冷媒の量が減少することがないという効果が得られる。
又、膨張機構10には可動部が存在しないため、該膨張機構10の耐久性が高められるとともに、膨張機構10において膨張と気液分離を同時に行うようにしたため、冷凍装置の小型化と低コスト化が実現される。
更に、膨張機構10は多種多様な冷媒に適用することができ、この膨張機構10を用いても、従来の冷凍サイクルを殆どそのまま使用することができるため、現在稼働中の冷凍装置を冷凍能力が大きい高効率なものに改良することも容易に可能である。
その他、本実施の形態では、プレ膨張弁9の開度を、蒸発器3の二次側である冷媒配管7に設けた温度検出器11によって検出される冷媒温度に基づいて制御するようにしたため、冷媒が蒸発器3で蒸発し切れず、液冷媒のまま膨張機構10に戻されるという不具合の発生を防ぐことができる。尚、本実施の形態では冷媒配管5の途中にプレ膨張弁9を設けたが、このプレ膨張弁9は必須のものではない。
本発明に係る冷凍装置の冷媒回路図である。 本発明に係る膨張機構の縦断面図である。 本発明に係る冷凍装置における冷媒の状態変化を示すモリエル線図である。 従来の膨張機構の縦断面図である。 従来の膨張機構内での冷媒の挙動を示す縦断面図である。
符号の説明
1 圧縮機
2 凝縮器
2a 凝縮器の送風機
3 蒸発器
3a 蒸発器の送風機
4〜8 冷媒配管
9 プレ膨張弁
10 膨張機構
11 温度検出器
12 外筒
13 ボルテックスチューブ
14 支持板
15 バッフル板
16 ゾーンセパレータ
17 邪魔板
18 カバー
19 ノズル
20 吸込管
21〜23 ポート
24 整流器
A,B 冷媒循環回路
R1 真空域
R2 気液分離域
S1 チャンバ
S2 膨張室
S3 液溜部
δ 隙間

Claims (5)

  1. ボルテックスチューブを備え、該ボルテックスチューブに凝縮器からの高圧液冷媒を導入してその内部で渦流を発生させ、該渦流によって発生する真空域の吸引力によって蒸発器からのガス冷媒をボルテックスチューブ内に吸引し、該ガス冷媒と前記高圧液冷媒とをミキシングして低温冷媒と高温冷媒とに熱分離するとともに、ボルテックスチューブから膨張室内の気液分離域へと流出した冷媒を液冷媒とガス冷媒とに気液分離して液冷媒を液溜部に貯留し、該液冷媒を前記蒸発器に導入し、ガス冷媒を前記圧縮機に導入するようにした膨張機構において、
    前記真空域と前記気液分離域の間に両者を分離するゾーンセパレータを設けたことを特徴とする膨張機構。
  2. 前記気液分離域とガス冷媒を圧縮機に戻すポートとの間に整流器を設けたことを特徴とする請求項1記載の膨張機構。
  3. 複数のスリットが放射状に形成されたバッフル板を前記気液分離域と前記液溜部の間に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の膨張機構。
  4. 前記液溜部に複数枚の邪魔板を放射状に配設したことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の膨張機構。
  5. 圧縮機、凝縮器、膨張機構及び蒸発器を冷媒配管で順次接続して構成される冷凍装置において、
    前記膨張機構を請求項1〜4の何れかに記載の膨張機構で構成したことを特徴とする冷凍装置。
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