JP2008309023A - キャビテーション検知方法、評価方法、コンピュータプログラム、及び、キャビテーション検知装置 - Google Patents
キャビテーション検知方法、評価方法、コンピュータプログラム、及び、キャビテーション検知装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】キャビテーションを適切に検知することができるキャビテーション検知方法等を実現することにある。
【解決手段】液体を備えた対象設備、に発生するキャビテーションを検知するためのキャビテーション検知方法であって、前記対象設備の振動データを取得するステップと、取得された該振動データをフーリエ変換して、周波数スペクトルを得るステップと、該周波数スペクトルの強さをP個に分割された分割周波数帯毎に求めるステップと、P個に分割された前記分割周波数帯の各々に対応した周波数及び前記周波数スペクトルの強さに基づいて、キャビテーションの発生により変動する、前記振動データの乱れ度合い、を求めるステップと、前記乱れ度合いと基準量との離れ度合いを求めるステップと、当該は離れ度合いを閾値と比較してキャビテーションの発生有無および発生程度を判定するステップと、を有することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、キャビテーション検知方法、評価方法、コンピュータプログラム、及び、キャビテーション検知装置に関する。
ポンプ等の液体を備えた設備、に発生するキャビテーションという現象は、既によく知られている。当該現象について説明すると、インペラー等の回転部材が回転すること等により、液体内にその圧力が当該液体の飽和蒸気圧よりも小さくなる領域が生じ、当該領域に気泡が発生する。そして、当該気泡が移動して、液体内の圧力の高い領域に至ると、気泡が破裂し、気泡の当該破裂により、衝撃波が発生する。そして、当該衝撃波は、前記設備を構成する構成部材を損傷させる。
このように、キャビテーションは、液体を備えた設備に悪影響を及ぼす。例えば、当該設備がポンプである場合に、キャビテーションは、インペラー等の部品の寿命短縮やポンプ効率の低下という弊害を引き起こす。したがって、液体を備えた設備にキャビテーションが発生していることを適切に検知することが要請される。
特開平11−294711号公報
このように、キャビテーションは、液体を備えた設備に悪影響を及ぼす。例えば、当該設備がポンプである場合に、キャビテーションは、インペラー等の部品の寿命短縮やポンプ効率の低下という弊害を引き起こす。したがって、液体を備えた設備にキャビテーションが発生していることを適切に検知することが要請される。
また、振動データから周波数領域での特徴量を指標としたキャビテーション検知手法の提案や同振動特徴量からキャビテーション強度を推定し、当該強度レベルと持続時間との積和が、ある閾値を超えたときに損傷が発生すると判定する提案があるが、具体的な手法の開示がなされていないので、液体を備えた設備にキャビテーションが発生していること、当該キャビテーションによる損傷程度を適切に予測することが要請される。
講演要旨;第45回設備管理全国大会(「ポンプ統括的診断装置(PPM)の開発」、主催:社団法人日本プラントメンテナンス協会、平成17年11月16,17日)
講演要旨;第45回設備管理全国大会(「ポンプ統括的診断装置(PPM)の開発」、主催:社団法人日本プラントメンテナンス協会、平成17年11月16,17日)
キャビテーションの検知方法としては、幾つかの方法が考えられる。例えば、キャビテーションが発生すると騒音が生ずることに着目して、前記設備から音を拾って、当該音の大きさに基づいてキャビテーションを検知する方法が考えられる。また、他の方法として、前述した衝撃波が設備を振動させることに着目して、前記設備の振動データを取得し、取得された振動データの振幅の大きさに基づいてキャビテーションを検知する方法が考えられる。また、振動データの周波数領域での特徴量に基づきキャビテーション発生有無を検知し、さらにその発生程度を推定するという方法が提案されている。
しかしながら、これらの方法の検知精度は不十分なものであり、これらの方法は、キャビテーションの進行程度に応じて適切に検知しているとは言えなかった。また、当該キャビテーションの発生による機器の構成材料等の損傷予測も困難であった。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、キャビテーションを適切に検知することができるキャビテーション検知方法等を実現し、当該キャビテーションにより生じる材料の損傷予測の方法等を実現することにある。
しかしながら、これらの方法の検知精度は不十分なものであり、これらの方法は、キャビテーションの進行程度に応じて適切に検知しているとは言えなかった。また、当該キャビテーションの発生による機器の構成材料等の損傷予測も困難であった。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、キャビテーションを適切に検知することができるキャビテーション検知方法等を実現し、当該キャビテーションにより生じる材料の損傷予測の方法等を実現することにある。
主たる本発明は、液体を備えた対象設備、に発生するキャビテーションを検知するためのキャビテーション検知方法であって、前記対象設備の振動データを取得するステップと、取得された該振動データをフーリエ変換して、周波数スペクトルを得るステップと、該周波数スペクトルの強さをP個に分割された分割周波数帯毎に求めるステップと、P個に分割された前記分割周波数帯の各々に対応した周波数及び前記周波数スペクトルの強さに基づいて、キャビテーションの発生により変動する、前記振動データの乱れ度合いとして3つの特徴量、を求めるステップと、前記乱れ度合いと基準量との離れ度合いを求めるステップと、当該は離れ度合いを閾値と比較してキャビテーションの発生有無および発生程度を判定するステップと、を有することを特徴とするキャビテーション検知方法である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
液体を備えた対象設備、に発生するキャビテーションを検知するためのキャビテーション検知方法であって、前記対象設備の振動データを取得するステップと、取得された該振動データをフーリエ変換して、周波数スペクトルを得るステップと、該周波数スペクトルの強さをP個に分割された分割周波数帯毎に求めるステップと、P個に分割された前記分割周波数帯の各々に対応した周波数及び前記周波数スペクトルの強さに基づいて、キャビテーションの発生により変動する、前記振動データの乱れ度合い、を求めるステップと、前記乱れ度合いと基準量との離れ度合いを求めるステップと、当該は離れ度合いを閾値と比較してキャビテーションの発生有無および発生程度を判定するステップと、を有することを特徴とするキャビテーション検知方法。
かかるキャビテーション検知方法によれば、キャビテーションを適切に検知することができる。
液体を備えた対象設備、に発生するキャビテーションを検知するためのキャビテーション検知方法であって、前記対象設備の振動データを取得するステップと、取得された該振動データをフーリエ変換して、周波数スペクトルを得るステップと、該周波数スペクトルの強さをP個に分割された分割周波数帯毎に求めるステップと、P個に分割された前記分割周波数帯の各々に対応した周波数及び前記周波数スペクトルの強さに基づいて、キャビテーションの発生により変動する、前記振動データの乱れ度合い、を求めるステップと、前記乱れ度合いと基準量との離れ度合いを求めるステップと、当該は離れ度合いを閾値と比較してキャビテーションの発生有無および発生程度を判定するステップと、を有することを特徴とするキャビテーション検知方法。
かかるキャビテーション検知方法によれば、キャビテーションを適切に検知することができる。
また、前記振動データの乱れ度合いを求めるステップにおいては、該乱れ度合いを表す量を、下記式(1)により算出することとしてもよい。
また、前記振動データの乱れ度合いを求めるステップにおいては、該乱れ度合いを示す量を、下記式(2)により算出することとしてもよい。
また、前記振動データの乱れ度合いを求めるステップにおいては、該乱れ度合いを示す量を、下記式(3)により算出することとしてもよい。
上記する式(1)、式(2)、式(3)において、キャビテーション現象の初期から中期を経て本格期全体における進行程度に対して単調的に変化するので、キャビテーション発生の検知用指標として式(1)が有効であること、中期では式(2)が検知感度が最も高く有効であるが本格期では逆に鈍くなること、本格期では、式(3)が検知感度が最も高いが初期、中期では感度が鈍くなること、から前記3つの乱れ度合いを表す式(1)、式(2)、式(3)を適用することが有効である。
また、前記振動データの乱れ度合いを求めるステップにおいては、該乱れ度合いを示す量を、下記式(2)により算出することとしてもよい。
また、前記振動データの乱れ度合いを求めるステップにおいては、該乱れ度合いを示す量を、下記式(3)により算出することとしてもよい。
上記する式(1)、式(2)、式(3)において、キャビテーション現象の初期から中期を経て本格期全体における進行程度に対して単調的に変化するので、キャビテーション発生の検知用指標として式(1)が有効であること、中期では式(2)が検知感度が最も高く有効であるが本格期では逆に鈍くなること、本格期では、式(3)が検知感度が最も高いが初期、中期では感度が鈍くなること、から前記3つの乱れ度合いを表す式(1)、式(2)、式(3)を適用することが有効である。
また、前記振動データの乱れ度合いを求めるステップにおいて算出された前記乱れ度合いを示す量と、前記対象設備にキャビテーションが発生していないときに取得された振動データ、に基づいて予め算出しておいた前記乱れ度合いを示す基準量と、の離れ度合いを求めるステップ、を有することとしてもよい。
かかる場合には、キャビテーションの検知がより正確に行われる。
かかる場合には、キャビテーションの検知がより正確に行われる。
また、キャビテーションの発生の有無を判定するために、求められた前記離れ度合いを、予め定められた閾値と比較するステップ、を有することとしてもよい。
かかる場合には、キャビテーションの検知がより簡便に行われる。
また、キャビテーションの発生程度を判定するために、求められた前記離れ度合いを、前記閾値の他に別途用意された他の閾値と比較するステップ、を有することとしてもよい。
かかる場合には、キャビテーションの発生の有無を把握するのみならず、キャビテーションの発生程度の把握も行える。
かかる場合には、キャビテーションの検知がより簡便に行われる。
また、キャビテーションの発生程度を判定するために、求められた前記離れ度合いを、前記閾値の他に別途用意された他の閾値と比較するステップ、を有することとしてもよい。
かかる場合には、キャビテーションの発生の有無を把握するのみならず、キャビテーションの発生程度の把握も行える。
また、前記する3つの乱れ度合いの定量化指標として、キャビテーションの進行程度に応じて使い分ける、つまり初期には式(1)を、中期には式(2)を、本格期には式(3)を用いることとしてもよい。
かかる場合には、キャビテーションの発生程度をより精密に把握することができ、対象設備の構成部品の損傷程度の予測が可能となる。
かかる場合には、キャビテーションの発生程度をより精密に把握することができ、対象設備の構成部品の損傷程度の予測が可能となる。
また、前記振動データを取得するステップにおいては、複数個の期間において、複数個の前記振動データを取得し、前記振動データの乱れ度合いを求めるステップにおいては、複数個の前記振動データの各々に対して、前記乱れ度合いを求めることとしてもよい。
かかる場合には、キャビテーションの検知結果の信頼性が向上する。
かかる場合には、キャビテーションの検知結果の信頼性が向上する。
また、上述したキャビテーション検知方法による検知結果を累積して、キャビテーションの、液体を備えた対象設備への影響、を評価することを特徴とする評価方法も実現可能である。
かかる評価方法によれば、キャビテーションが継続して発生することにより対象設備の構成部品が損傷すること等を、未然に防止することが可能となる。
かかる評価方法によれば、キャビテーションが継続して発生することにより対象設備の構成部品が損傷すること等を、未然に防止することが可能となる。
また、上述したキャビテーション検知方法を実現するためのコンピュータプログラムも実現可能である。
かかるコンピュータプログラムによれば、キャビテーションを適切に検知することができる。
かかるコンピュータプログラムによれば、キャビテーションを適切に検知することができる。
また、液体を備えた対象設備の振動データを取得するためのセンサ、メイン計算機、及び、表示装置を備えた、前記対象設備に発生するキャビテーションを検知するためのキャビテーション検知装置であって、上述したキャビテーション検知方法を実行することを特徴とするキャビテーション検知装置も実現可能である。
かかるキャビテーション検知装置によれば、キャビテーションを適切に検知することができる。
かかるキャビテーション検知装置によれば、キャビテーションを適切に検知することができる。
先ず、図1乃至図6を用いて、キャビテーション検知方法に係る実施形態について説明する。図1は、キャビテーション検知方法に係る実施形態を示すフローチャートである。図2は、振動データを取得する期間を説明するための説明図である。図3は、振動データと振動データをフーリエ変換することにより得られる周波数スペクトルの一例を示した模式図である。なお、図4、図5及び図6については、後述する。また、本項では、前述した液体を備えた対象設備として、ポンプを例に挙げて説明する。
本フローチャートは、ポンプの振動データを、センサにより取得することから始まる(ステップS2)。なお、本実施の形態においては、複数個(N個)の期間において、複数個(N個)の振動データを取得する。これについて、図2を用いて、具体的に説明する。図2には、ポンプの動作期間が時間軸で示されており、当該動作期間の一部を、前記振動データを取得する取得期間としている。そして、当該取得期間がN等分されたN個の期間(第一時間帯、第二時間帯、第三時間帯、・・・、第N時間帯)において、N個の振動データを取得する。
次に、取得された振動データをフーリエ変換して、周波数スペクトルを得る(ステップS4)。さらに、周波数スペクトルの強さをP個に分割された分割周波数帯毎に求める(ステップS6)。
図3には、取得されたN個の振動データのうちのj番目の振動データ(図3の上図)と、当該j番目の振動データをフーリエ変換することにより得られる周波数スペクトル(図3の下図)が示されている。そして、図3の下図に示すように、周波数スペクトルが得られたらP個の分割周波数帯B1、B2、・・・、Bpを設定し、当該分割周波数帯B1、B2、・・・、Bpの各々に対応した周波数スペクトルの強さF1、F2、・・・、Fpを求める。
本フローチャートは、ポンプの振動データを、センサにより取得することから始まる(ステップS2)。なお、本実施の形態においては、複数個(N個)の期間において、複数個(N個)の振動データを取得する。これについて、図2を用いて、具体的に説明する。図2には、ポンプの動作期間が時間軸で示されており、当該動作期間の一部を、前記振動データを取得する取得期間としている。そして、当該取得期間がN等分されたN個の期間(第一時間帯、第二時間帯、第三時間帯、・・・、第N時間帯)において、N個の振動データを取得する。
次に、取得された振動データをフーリエ変換して、周波数スペクトルを得る(ステップS4)。さらに、周波数スペクトルの強さをP個に分割された分割周波数帯毎に求める(ステップS6)。
図3には、取得されたN個の振動データのうちのj番目の振動データ(図3の上図)と、当該j番目の振動データをフーリエ変換することにより得られる周波数スペクトル(図3の下図)が示されている。そして、図3の下図に示すように、周波数スペクトルが得られたらP個の分割周波数帯B1、B2、・・・、Bpを設定し、当該分割周波数帯B1、B2、・・・、Bpの各々に対応した周波数スペクトルの強さF1、F2、・・・、Fpを求める。
なお、本実施の形態においては、図3の下図に示すように、分割周波数帯B1、B2、・・・、Bpに対応した周波数スペクトルの強さF1、F2、・・・、Fpを、分割周波数帯の中心周波数における周波数スペクトルの強さとしているが、これに限定されるものではなく、例えば、周波数スペクトルの強さの、分割周波数帯における平均値、としてもよい。また、各々の分割周波数帯B1、B2、・・・、Bpの周波数帯幅を同じ大きさとしているが、これに限定されるものではなく、異なる大きさとしてもよい。また、分割周波数帯B1、B2、・・・、Bpは、前記センサの性能が保証されている周波数範囲、の中から選択することが望ましい。
次に、P個に分割された前記分割周波数帯B1、B2、・・・、Bpの各々に対応した前記周波数スペクトルの強さF1、F2、・・・、Fpと当該分割周波数帯B1、B2、・・・、Bpの各々に対応した周波数f1、f2、・・・、fp(本実施の形態においては、図3の下図に示すように、当該周波数f1、f2、・・・、fpを分割周波数帯B1、B2、・・・、Bpの中心周波数としているが、これに限定されるものではない)とに基づいて、キャビテーションの発生により変動する、振動データの乱れ度合い、を求める(ステップS8)。
次に、P個に分割された前記分割周波数帯B1、B2、・・・、Bpの各々に対応した前記周波数スペクトルの強さF1、F2、・・・、Fpと当該分割周波数帯B1、B2、・・・、Bpの各々に対応した周波数f1、f2、・・・、fp(本実施の形態においては、図3の下図に示すように、当該周波数f1、f2、・・・、fpを分割周波数帯B1、B2、・・・、Bpの中心周波数としているが、これに限定されるものではない)とに基づいて、キャビテーションの発生により変動する、振動データの乱れ度合い、を求める(ステップS8)。
本発明者等は、鋭意検討を行った結果、分割周波数帯B1、B2、・・・、Bpの各々に対応した周波数f1、f2、・・・、fp及び周波数スペクトルの強さF1、F2、・・・、Fpに基づいて求められる、振動データの乱れ度合いを表す量が、キャビテーションの発生により顕著に変動することを見出した。これについて、図4、図5及び図6を用いて説明する。
前記本発明者等は、ポンプを運転させながらポンプの入口側のバルブを絞っていき、ポンプ内の液体(ここでは、水)の圧力を徐々に減少させることにより、ポンプ内にキャビテーションを意図的に発生させ、かつ、当該キャビテーションの発生程度を大きくさせつつ、ポンプ本体に取り付けられた加速度センサにより振動データを取得し、取得した当該振動データに基づいて前記量を算出する実験を行った。図4、図5及び図6は、かかる実験の実験結果を示した図であり、キャビテーションの発生程度(横軸に取っている)と前記量(縦軸に取っている)との関係を示した図である。ここで、当該実験においては、分割周波数帯の各々に対応した周波数及び周波数スペクトルの強さに基づいて求められる、振動データの乱れ度合いを表す量、として、三種類の量、すなわち、式(1)により算出される特徴量Bと、下記式(2)により算出される特徴量E、下記式(3)により算出される特徴量Aとを用いており、図4、図5および図6は、図4においては特徴量Bを縦軸に、図5においては特徴量Eを縦軸に、図6においては特徴量Aを縦軸に取っている点で相違している。
前記本発明者等は、ポンプを運転させながらポンプの入口側のバルブを絞っていき、ポンプ内の液体(ここでは、水)の圧力を徐々に減少させることにより、ポンプ内にキャビテーションを意図的に発生させ、かつ、当該キャビテーションの発生程度を大きくさせつつ、ポンプ本体に取り付けられた加速度センサにより振動データを取得し、取得した当該振動データに基づいて前記量を算出する実験を行った。図4、図5及び図6は、かかる実験の実験結果を示した図であり、キャビテーションの発生程度(横軸に取っている)と前記量(縦軸に取っている)との関係を示した図である。ここで、当該実験においては、分割周波数帯の各々に対応した周波数及び周波数スペクトルの強さに基づいて求められる、振動データの乱れ度合いを表す量、として、三種類の量、すなわち、式(1)により算出される特徴量Bと、下記式(2)により算出される特徴量E、下記式(3)により算出される特徴量Aとを用いており、図4、図5および図6は、図4においては特徴量Bを縦軸に、図5においては特徴量Eを縦軸に、図6においては特徴量Aを縦軸に取っている点で相違している。
ここで、図4、図5及び図6を見ると、いずれにおいても、前記特徴量がキャビテーションの発生により顕著に変動する傾向が現れている。したがって、当該特徴量を求めれば、キャビテーションの発生を適切に検知できることがわかる。
具体的な検知方法について説明するために、図1に示されたフローチャートに戻る。ステップS8において、分割周波数帯B1、B2、・・・、Bpの各々に対応した周波数f1、f2、・・・、fp及び周波数スペクトルの強さF1、F2、・・・、Fpに基づいて、前記乱れ度合いを示す特徴量(例えば、前記特徴量Bや前記特徴量Eや特徴量A)を求めたら(以下では、前記3つの特徴量B,E,Aを代表してXとして説明する)、当該量Xと、ポンプにキャビテーションが発生していないときに取得された振動データに基づいて予め算出しておいた前記乱れ度合いを示す基準量Xbと、の離れ度合いを求める(ステップS10)。
ここで、基準量Xbについて説明する。当該基準量Xbは、ポンプにキャビテーションが発生していないときに取得された振動データに基づいて予め算出された量Xである。(例えば、振動データを取得する際に、ポンプにキャビテーションが発生していないことを確認した上で、基準量Xbを、取得した振動データに基づいて求める)。より具体的には、ポンプにキャビテーションが発生していないときに、上述したステップS2〜ステップS8を実行して、基準量Xbを予め求めておく。
ここで、基準量Xbについて説明する。当該基準量Xbは、ポンプにキャビテーションが発生していないときに取得された振動データに基づいて予め算出された量Xである。(例えば、振動データを取得する際に、ポンプにキャビテーションが発生していないことを確認した上で、基準量Xbを、取得した振動データに基づいて求める)。より具体的には、ポンプにキャビテーションが発生していないときに、上述したステップS2〜ステップS8を実行して、基準量Xbを予め求めておく。
次に、量Xと基準量Xbとの離れ度合いを求める方法の一例について説明する。前述したとおり、本実施の形態においては、ステップS2において、N個の振動データを取得するため、取得されたN個の振動データに対してステップS4〜ステップS8が実行された結果、N個の量X1、X2、・・・、Xnが得られる。また、基準量Xbを求めるときにも、ステップS2〜ステップS8が実行されるため、N個の基準量Xb1、Xb2、・・・、Xbnが得られる。かかる状況で、量X1、X2、・・・、Xnと基準量Xb1、Xb2、・・・、Xbnとから、双方の離れ度合いの指標としてのDI値を求める。DI値は、N個の量X1、X2、・・・、Xnの平均値とN個の基準量Xb1、Xb2、・・・、Xbnの平均値との差の絶対値を、N個の量X1、X2、・・・、Xnの分散とN個の基準量Xb1、Xb2、・・・、Xbnの分散との和の平方根で除する(割る)ことにより、算出される。
なお、前記離れ度合いを求める方法は、上述に限定されるものではなく、例えば、離れ度合いを、N個の量X1、X2、・・・、Xnの平均値とN個の基準量Xb1、Xb2、・・・、Xbnの平均値との差の絶対値としてもよいし、双方の量の相関係数としてもよい。
なお、前記離れ度合いを求める方法は、上述に限定されるものではなく、例えば、離れ度合いを、N個の量X1、X2、・・・、Xnの平均値とN個の基準量Xb1、Xb2、・・・、Xbnの平均値との差の絶対値としてもよいし、双方の量の相関係数としてもよい。
次に、算出されたDI値を、予め定められた閾値と比較することにより、キャビテーションの発生の有無を判定する(ステップS12)。すなわち、DI値>閾値であれば、キャビテーションが発生していると判定される。
また、本実施の形態においては、キャビテーションの発生程度を判定するために、算出されたDI値を、前記閾値の他に別途用意された他の閾値と比較する(ステップS14)。ここでは、当該他の閾値として、ステップS12で用いる閾値よりも大きい二種類の閾値(以下、ステップS12で用いる閾値を記号Th1、当該二種類の閾値を記号Th2、Th3で表し、これらの大小関係を、閾値Th1<閾値Th2<閾値Th3とする)を準備し、算出されたDI値を、閾値Th1だけでなく、閾値Th2、閾値Th3とも比較する。このことにより、キャビテーションの発生程度が、閾値Th1<DI値≦閾値Th2であれば小規模、閾値Th2<DI値≦閾値Th3であれば中規模、閾値Th3<DI値であれば大規模と判定されることとなる。そして、例えば、キャビテーションの発生程度が小規模と判定された際には、「注意」をポンプの管理者に報知し、中規模と判定された際には、「警告」を当該管理者に報知し、大規模と判定された際には、「停止」を当該管理者に促すような運用が可能となる。
また、本実施の形態においては、キャビテーションの発生程度を判定するために、算出されたDI値を、前記閾値の他に別途用意された他の閾値と比較する(ステップS14)。ここでは、当該他の閾値として、ステップS12で用いる閾値よりも大きい二種類の閾値(以下、ステップS12で用いる閾値を記号Th1、当該二種類の閾値を記号Th2、Th3で表し、これらの大小関係を、閾値Th1<閾値Th2<閾値Th3とする)を準備し、算出されたDI値を、閾値Th1だけでなく、閾値Th2、閾値Th3とも比較する。このことにより、キャビテーションの発生程度が、閾値Th1<DI値≦閾値Th2であれば小規模、閾値Th2<DI値≦閾値Th3であれば中規模、閾値Th3<DI値であれば大規模と判定されることとなる。そして、例えば、キャビテーションの発生程度が小規模と判定された際には、「注意」をポンプの管理者に報知し、中規模と判定された際には、「警告」を当該管理者に報知し、大規模と判定された際には、「停止」を当該管理者に促すような運用が可能となる。
発明が解決しようとする課題の項で述べたとおり、キャビテーションの検知方法としては、幾つかの方法が考えられる。例えば、キャビテーションが発生すると騒音が生ずることに着目して、ポンプから音を拾って、当該音の大きさに基づいてキャビテーションを検知する方法が考えられる。また、他の方法として、前述した衝撃波がポンプを振動させることに着目して、前記ポンプの振動データを取得し、取得された振動データの振幅の大きさに基づいてキャビテーションを検知する方法が考えられる。また、振動データの周波数領域での特徴量に基づきキャビテーション発生有無を検知し、さらにその発生程度を推定するという方法が提案されている。
しかしながら、これらの方法の検知精度は不十分なものであり、これらの方法は、キャビテーションを適切に検知しているとは言えなかった。
これに対し、本発明者等は、分割周波数帯B1、B2、・・・、Bpの各々に対応した周波数f1、f2、・・・、fp及び周波数スペクトルの強さF1、F2、・・・、Fpに基づいて求められる、振動データの乱れ度合いが、キャビテーションの発生により顕著に変動することに着目し、ポンプ等の液体を備えた対象設備、に発生するキャビテーションを検知するためのキャビテーション検知方法であって、前記対象設備の振動データを取得するステップと、取得された該振動データをフーリエ変換して、周波数スペクトルを得るステップと、該周波数スペクトルの強さをP個に分割された分割周波数帯毎に求めるステップと、P個に分割された前記分割周波数帯の各々に対応した周波数及び前記周波数スペクトルの強さに基づいて、キャビテーションの発生により変動する、前記振動データの乱れ度合いとして3つの特徴量、を求めるステップと、前記乱れ度合いと基準量との離れ度合いを求めるステップと、当該は離れ度合いを閾値と比較してキャビテーションの発生有無および発生程度をを判定するステップと、を有するキャビテーション検知方法を見出した。そして、当該キャビテーション検知方法によれば、キャビテーションを適切に検知することが可能となる。
これに対し、本発明者等は、分割周波数帯B1、B2、・・・、Bpの各々に対応した周波数f1、f2、・・・、fp及び周波数スペクトルの強さF1、F2、・・・、Fpに基づいて求められる、振動データの乱れ度合いが、キャビテーションの発生により顕著に変動することに着目し、ポンプ等の液体を備えた対象設備、に発生するキャビテーションを検知するためのキャビテーション検知方法であって、前記対象設備の振動データを取得するステップと、取得された該振動データをフーリエ変換して、周波数スペクトルを得るステップと、該周波数スペクトルの強さをP個に分割された分割周波数帯毎に求めるステップと、P個に分割された前記分割周波数帯の各々に対応した周波数及び前記周波数スペクトルの強さに基づいて、キャビテーションの発生により変動する、前記振動データの乱れ度合いとして3つの特徴量、を求めるステップと、前記乱れ度合いと基準量との離れ度合いを求めるステップと、当該は離れ度合いを閾値と比較してキャビテーションの発生有無および発生程度をを判定するステップと、を有するキャビテーション検知方法を見出した。そして、当該キャビテーション検知方法によれば、キャビテーションを適切に検知することが可能となる。
次に、キャビテーションの対象設備への影響を評価するための評価方法について述べる。
キャビテーションが発生すると、気泡が破裂し、気泡の当該破裂により発生した衝撃波が、ポンプ等の液体を備えた設備を構成する構成部材を損傷させることについては、背景技術の項で説明したとおりであるが、キャビテーションが発生しても、その発生程度が小規模である場合には、構成部材の損傷までには至らないことも多い。
しかしながら、発生するキャビテーションが、前記構成部材を損傷させない小規模のものであっても、構成部材を疲労させるから、当該キャビテーションが継続して発生すると、やがて、疲労した構成部材が損傷することとなる。
キャビテーションが発生すると、気泡が破裂し、気泡の当該破裂により発生した衝撃波が、ポンプ等の液体を備えた設備を構成する構成部材を損傷させることについては、背景技術の項で説明したとおりであるが、キャビテーションが発生しても、その発生程度が小規模である場合には、構成部材の損傷までには至らないことも多い。
しかしながら、発生するキャビテーションが、前記構成部材を損傷させない小規模のものであっても、構成部材を疲労させるから、当該キャビテーションが継続して発生すると、やがて、疲労した構成部材が損傷することとなる。
かかる事項を鑑みると、前項で説明したキャビテーション検知方法による検知結果を累積して、キャビテーションの、液体を備えた対象設備への影響、を評価する評価方法が有効である。以下において、当該評価方法について、図7を用いて説明する。図7は、キャビテーションの対象設備への影響を評価するための評価方法を説明するための説明図である。
先ず、図7の上図について説明すると、当該上図は、前項で説明したキャビテーション検知方法をポンプに対し継続して適用することにより得られたデータを示した図である。当該上図の横軸には、経過時間を、縦軸には、前述したDI値を、それぞれ取っており、当該上図は、前述したDI値の変遷が表された図となっている。
先ず、図7の上図について説明すると、当該上図は、前項で説明したキャビテーション検知方法をポンプに対し継続して適用することにより得られたデータを示した図である。当該上図の横軸には、経過時間を、縦軸には、前述したDI値を、それぞれ取っており、当該上図は、前述したDI値の変遷が表された図となっている。
ここで、当該上図について考察すると、8月10日0時に、ポンプの運転及び当該ポンプに発生するキャビテーションを検知するためのキャビテーション検知方法の実行が開始されている。そして、徐々にDI値が増加し、やがて、DI値が、時間t1で閾値Th1を超え、時間t2で閾値Th2を超えることとなっている。その後、DI値は、一旦、減少したが、再度、増加に転じ、8月12日に、DI値が、時間t5で閾値Th1を超え、時間t6で閾値Th2を、時間t7で閾値Th3を超えることとなっている。
次に、図6の下図について説明する。当該下図は、キャビテーション検知方法による検知結果を累積することにより算出された、キャビテーションのポンプへの影響度合いを示すパラメータ(以下、当該パラメータを累積量Zと呼ぶ)の変遷を示した図である。当該下図の横軸には、前述した上図と同スケールで経過時間を、縦軸には、累積量Zを、それぞれ取っている。
次に、図6の下図について説明する。当該下図は、キャビテーション検知方法による検知結果を累積することにより算出された、キャビテーションのポンプへの影響度合いを示すパラメータ(以下、当該パラメータを累積量Zと呼ぶ)の変遷を示した図である。当該下図の横軸には、前述した上図と同スケールで経過時間を、縦軸には、累積量Zを、それぞれ取っている。
ここで、当該累積量Zの算出方法について説明する。累積量Zを算出するに当たっては、先ず、キャビテーション発生の有無及び程度に基づいてキャビテーション発生状況を4段階にレベル分けする。より具体的には、DI値≦閾値Th1である状況(すなわち、キャビテーションが発生していないと認められる状況)をレベル0、閾値Th1<DI値≦閾値Th2である状況(すなわち、小規模のキャビテーションが発生していると認められる状況)をレベル1、閾値Th2<DI値≦閾値Th3である状況(すなわち、中規模のキャビテーションが発生していると認められる状況)をレベル2、閾値Th3<DI値である状況(すなわち、大規模のキャビテーションが発生していると認められる状況)をレベル3、とそれぞれ定義する。
次に、キャビテーション現象における気泡破裂の際に生じる衝撃エネルギEPは、個々の崩壊パルスの作用力Fの2乗に比例する。したがって、キャビテーションレベルをmとするとキャビテーション衝撃エネルギによる材料損傷のグレードは、m2となる。
そこで、累積量Zを、4段階にレベル分けされた前記状況、の継続時間と当該状況のレベルに対応した損傷グレード値との積が累積された値とする。具体的には、レベル0では損傷が発生しないので損傷グレード値は0、レベル1では損傷グレード値1、レベル2では損傷グレード4、およびレベル3では損傷グレード9となる。例えば、図7の下図に示された時間txにおける累積量Z(tx)は、以下のように算出される。図7の下図における前記状況については、時間t1までがレベル0、時間t1から時間t2までがレベル1、時間t2から時間t3までがレベル2、時間t3から時間t4までがレベル1、時間t4から時間t5までがレベル0、時間t5から時間t6までがレベル1、時間t6から時間t7までがレベル2、時間t7から時間t8までがレベル3、時間t8から時間txまでがレベル2となっている。したがって、累積量Zは、
そこで、累積量Zを、4段階にレベル分けされた前記状況、の継続時間と当該状況のレベルに対応した損傷グレード値との積が累積された値とする。具体的には、レベル0では損傷が発生しないので損傷グレード値は0、レベル1では損傷グレード値1、レベル2では損傷グレード4、およびレベル3では損傷グレード9となる。例えば、図7の下図に示された時間txにおける累積量Z(tx)は、以下のように算出される。図7の下図における前記状況については、時間t1までがレベル0、時間t1から時間t2までがレベル1、時間t2から時間t3までがレベル2、時間t3から時間t4までがレベル1、時間t4から時間t5までがレベル0、時間t5から時間t6までがレベル1、時間t6から時間t7までがレベル2、時間t7から時間t8までがレベル3、時間t8から時間txまでがレベル2となっている。したがって、累積量Zは、
Z(tx)=0×t1+1×(t2−t1)+4×(t3−t2)+1×(t4−t3)+0×(t5−t4)+1×(t6−t5)+4×(t7−t6)+9×(t8−t7)+4×(tx−t8) となる。
このようにして算出された累積量Zは、キャビテーションのポンプへの影響度合いを表している。すなわち、累積量Zが大きければ大きいほど、キャビテーションがポンプへ悪影響を与えていることとなり、したがって、ポンプの構成部材の疲労が大きいこととなる。図7の下図には、時間が経過していくにつれて、累積量Zの値が大きくなっていく様子が示されている。したがって、当該下図には、前記構成部材の疲労が進んでいく様子が示されているとも言える。
そして、上述した方法で、累積量Zを求め、当該累積量Zを評価することとすれば、キャビテーションがどれだけポンプに悪影響を与えているか(ポンプの構成部品の疲労がどれだけ進んでいるか)を把握することができる。したがって、キャビテーションが継続して発生することによりポンプの構成部品が損傷すること等を、未然に防止することが可能となる。
そして、上述した方法で、累積量Zを求め、当該累積量Zを評価することとすれば、キャビテーションがどれだけポンプに悪影響を与えているか(ポンプの構成部品の疲労がどれだけ進んでいるか)を把握することができる。したがって、キャビテーションが継続して発生することによりポンプの構成部品が損傷すること等を、未然に防止することが可能となる。
また、当該累積量Zに対し、閾値を設定することとすれば、より適切な評価が可能となる。例えは、図7の下図に示すように、閾値を3段階に設定し、累積量Zが、閾値Th´1を超えた際には、「注意」をポンプの管理者に報知し、閾値Th´2を超えた際には、「警告」を当該管理者に報知し、閾値Th´3を超えた際には、構成部品の「検査」を当該管理者に促すような運用が可能である。
次に、上述したキャビテーション検知方法を実行するためのキャビテーション検知装置102の一例について、図8を用いて説明する。図8は、キャビテーション検知装置102の一例を示す概念図である。
キャビテーション検知装置102は、センサの一例としての加速度センサ104と、メイン計算機114と、表示装置116とを備えている。
本実施の形態に係るキャビテーション検知装置102には、センサとして、加速度センサ104が設けられているが、液体を備えた対象設備2の振動データを取得するためのセンサであれば、どのようなものでもよく、かかるセンサの他の例としては、AEセンサ(Acoustic Emission Sensor)を挙げることができる。
メイン計算機114は、上述したキャビテーション検知方法を実現するためのコンピュータプログラム114aを有しており、当該コンピュータプログラムをメイン計算機114に設けられたCPU114bが処理することにより、上述したキャビテーション検知方法が実行される。前記コンピュータプログラムは、上述したキャビテーション検知方法を実行するためのコードから構成されている。
表示装置116は、前記対象設備の管理者等に各種情報を与える機能を有するものである。例えば、前述した「注意」[警告]「停止」「検査」等の情報が、当該表示装置116に表示されることとすれば、より好ましい(ただし、これらの情報は、必ずしも、表示装置116における表示により前記管理者等に報知される必要はなく、例えば、メイン計算機114からの音声により報知されることとしてもよい)。
キャビテーション検知装置102は、センサの一例としての加速度センサ104と、メイン計算機114と、表示装置116とを備えている。
本実施の形態に係るキャビテーション検知装置102には、センサとして、加速度センサ104が設けられているが、液体を備えた対象設備2の振動データを取得するためのセンサであれば、どのようなものでもよく、かかるセンサの他の例としては、AEセンサ(Acoustic Emission Sensor)を挙げることができる。
メイン計算機114は、上述したキャビテーション検知方法を実現するためのコンピュータプログラム114aを有しており、当該コンピュータプログラムをメイン計算機114に設けられたCPU114bが処理することにより、上述したキャビテーション検知方法が実行される。前記コンピュータプログラムは、上述したキャビテーション検知方法を実行するためのコードから構成されている。
表示装置116は、前記対象設備の管理者等に各種情報を与える機能を有するものである。例えば、前述した「注意」[警告]「停止」「検査」等の情報が、当該表示装置116に表示されることとすれば、より好ましい(ただし、これらの情報は、必ずしも、表示装置116における表示により前記管理者等に報知される必要はなく、例えば、メイン計算機114からの音声により報知されることとしてもよい)。
以上、上記実施の形態に基づき本発明に係るキャビテーション検知方法等を説明したが、上記発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
なお、上記実施の形態においては、液体を備えた対象設備としてポンプを例にとって説明したが、本発明は、キャビテーションが発生し得る液体を備えた対象設備、であればどのようなもの(例えば、水道のバルブ、プラントの冷却装置、プロペラを備えた推進装置等)にも適用可能である。
なお、上記実施の形態においては、液体を備えた対象設備としてポンプを例にとって説明したが、本発明は、キャビテーションが発生し得る液体を備えた対象設備、であればどのようなもの(例えば、水道のバルブ、プラントの冷却装置、プロペラを備えた推進装置等)にも適用可能である。
また、上記実施の形態においては、振動データの乱れ度合いを求めるステップにおいて算出された前記乱れ度合いを示す量(例えば、量X)と、前記対象設備にキャビテーションが発生していないときに取得された振動データ、に基づいて予め算出しておいた前記乱れ度合いを示す基準量(例えば、基準量Xb)と、の離れ度合い(例えば、DI値)を求めるステップ、を有することとしたが、これに限定されるものではない。例えば、当該離れ度合いを求めずに、前記乱れ度合いを示す量(例えば、量X)の大きさのみに基づいて、キャビテーションの検知を行ってもよい。
ただし、キャビテーションの検知がより正確に行われる点で、上記実施の形態の方が望ましい。
ただし、キャビテーションの検知がより正確に行われる点で、上記実施の形態の方が望ましい。
また、上記実施の形態においては、キャビテーションの発生の有無を判定するために、求められた前記離れ度合い(例えば、DI値)を、予め定められた閾値Th1と比較するステップ、を有することとしたが、これに限定されるものではない。例えば、離れ度合いを閾値と比較することなく、離れ度合いの大きさのみに基づいて、キャビテーションの検知を行ってもよい。
ただし、キャビテーションの検知がより簡便に行われる点で、上記実施の形態の方が望ましい。
ただし、キャビテーションの検知がより簡便に行われる点で、上記実施の形態の方が望ましい。
また、上記実施の形態においては、キャビテーションの発生程度を判定するために、求められた前記離れ度合い(例えば、DI値)を、前記閾値Th1の他に別途用意された他の閾値Th2、Th3と比較するステップ、を有することとしたが、これに限定されるものではなく、当該ステップが存在しないこととしてもよい。
ただし、キャビテーションの発生の有無を把握するのみならず、キャビテーションの発生程度の把握も行える点で、上記実施の形態の方が望ましい。
ただし、キャビテーションの発生の有無を把握するのみならず、キャビテーションの発生程度の把握も行える点で、上記実施の形態の方が望ましい。
また、前記振動データを取得するステップにおいては、複数個(N個)の期間において、複数個(N個)の振動データを取得し、前記振動データの乱れ度合いを求めるステップにおいては、複数個(N個)の前記振動データの各々に対して、前記乱れ度合いを求める(例えば、量X1、X2、・・・、Xnを算出する)こととしたが、これに限定するものではない。例えば、単一の振動データを取得し、取得された当該単一の振動データに対して前記乱れ度合いを求めることとしてもよい。
ただし、キャビテーションの検知結果の信頼性が向上する点で、上記実施の形態の方が望ましい。
ただし、キャビテーションの検知結果の信頼性が向上する点で、上記実施の形態の方が望ましい。
2 液体を備えた対象設備
102 キャビテーション検知装置
104 加速度センサ
114 メイン計算機
114a コンピュータプログラム
114b CPU
116 表示装置
102 キャビテーション検知装置
104 加速度センサ
114 メイン計算機
114a コンピュータプログラム
114b CPU
116 表示装置
Claims (12)
- 液体を備えた対象設備、に発生するキャビテーションを検知するためのキャビテーション検知方法であって、
前記対象設備の振動データを取得するステップと、
取得された該振動データをフーリエ変換して、周波数スペクトルを得るステップと、
該周波数スペクトルの強さをP個に分割された分割周波数帯毎に求めるステップと、
P個に分割された前記分割周波数帯の各々に対応した周波数及び前記周波数スペクトルの強さに基づいて、
キャビテーションの発生により変動する、前記振動データの乱れ度合い、
を求めるステップと、
を有することを特徴とするキャビテーション検知方法。 - 請求項2又は請求項3又は請求項4に記載のキャビテーション検知方法において、
前記振動データの乱れ度合いを求めるステップにおいて算出された前記乱れ度合いを示す量と、
前記対象設備にキャビテーションが発生していないときに取得された振動データ、に基づいて予め算出しておいた前記乱れ度合いを示す基準量と、
の離れ度合いを求めるステップ、
を有することを特徴とするキャビテーション検知方法。 - 請求項5に記載のキャビテーション検知方法において、
キャビテーションの発生の有無を判定するために、求められた前記離れ度合いを、予め定められた閾値と比較するステップ、を有することを特徴とするキャビテーション検知方法。 - 請求項6に記載のキャビテーション検知方法において、
キャビテーションの発生程度を判定するために、求められた前記離れ度合いを、前記閾値の他に別途用意された他の閾値と比較するステップ、を有することを特徴とするキャビテーション検知方法。 - 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のキャビテーション検知方法において、
前記振動データを取得するステップにおいては、複数個の期間において、複数個の前記振動データを取得し、
前記振動データの乱れ度合いを求めるステップにおいては、複数個の前記振動データの各々に対して、前記乱れ度合いを求めることを特徴とするキャビテーション検知方法。 - 請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のキャビテーション検知方法において、
前記対象設備は、ポンプであることを特徴とするキャビテーション検知方法。 - 請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のキャビテーション検知方法による検知結果を累積して、キャビテーションの、液体を備えた対象設備への影響、を評価することを特徴とする評価方法。
- 請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のキャビテーション検知方法を実現するためのコンピュータプログラム。
- 液体を備えた対象設備の振動データを取得するためのセンサ、メイン計算機、及び、表示装置を備えた、前記対象設備に発生するキャビテーションを検知するためのキャビテーション検知装置であって、
請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のキャビテーション検知方法を実行することを特徴とするキャビテーション検知装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007156088A JP2008309023A (ja) | 2007-06-13 | 2007-06-13 | キャビテーション検知方法、評価方法、コンピュータプログラム、及び、キャビテーション検知装置 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102022348A (zh) * | 2010-12-07 | 2011-04-20 | 北京航空航天大学 | 一种水泵汽蚀测量方法 |
KR101145858B1 (ko) * | 2009-09-30 | 2012-05-21 | 한국수력원자력 주식회사 | 실시간 감시를 통한 유체기기의 캐비테이션 손상을 예측하기 위한 시스템 |
US8277571B2 (en) | 2010-08-24 | 2012-10-02 | General Electric Company | Methods and apparatus for detecting pump cavitation in a dishwasher using frequency analysis |
-
2007
- 2007-06-13 JP JP2007156088A patent/JP2008309023A/ja active Pending
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CN102022348A (zh) * | 2010-12-07 | 2011-04-20 | 北京航空航天大学 | 一种水泵汽蚀测量方法 |
CN102022348B (zh) * | 2010-12-07 | 2013-04-24 | 北京航空航天大学 | 一种水泵汽蚀测量方法 |
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