JP2008308414A - 顎関節症治療剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 顎関節症治療剤を提供すること。
【解決手段】 グルコサミンを含有することを特徴とする顎関節症治療剤によって達成される。このとき、グルコサミンと、サメ軟骨またはメチルスルフォニルメタンから選択される一つの物質を含むことが好ましい。また、グルコサミンが、グルコサミン塩酸塩または植物由来のものであることが好ましい。
【選択図】 図2

Description

本発明は、顎関節症治療剤に関する。
顎関節は、頭蓋の側頭骨と下顎骨とを繋いでいる関節であり、左右両耳の直下に1個ずつ、計2個が存在する。顎関節は、体の関節の中でも最も複雑なものの一つであり、蝶番のように開閉する動作に加え、引き戸のように左右に移動することができる。
顎関節症とは、顎関節の雑音、関節痛、または開口障害の主要3症状が、単独または複数で、同時または定期的に発現する症状を有している。これらの症状のうち、関節雑音は、「クリック音」または「捻髪音」と呼ばれる特徴的な音を主とする。顎関節症は、子供から大人まで幅広く発生するが、特に20歳代〜30歳代の女性に多く発症し、高齢者では逆に減少することが知られている。
顎関節症の治療は、原因を除去する治療法が主となり、顎の安静や咬合異常の整復を目的としたものが存在する。例えば、噛み合せの調整のための器具を用いるスプリント療法、顎の筋肉の緊張緩和のためのシクロベンザプリン・ベンズアミド化合物による薬物療法(特許文献1、2)、その他に理学療法などが併用される。
関節症の一つとして良く知られている変形性関節症は、慢性の関節炎を伴う関節疾患で、関節の構成要素の退行変性により、軟骨の破壊と、骨・軟骨の増殖性変化を来たす疾患である。変形性関節症は、高齢者に多く発生し、その機序及び病状は、顎関節症のものとは異なることから、同じ薬剤が両関節症に適用できるわけではない。
特開2007−106769号公報 特表2006−514056号公報
上記のように、顎関節症の治療剤に関する研究開発が進んでいるものの、未だに決定的な治療剤は提供されていない。
本発明は上記した事情に鑑みたものであり、その目的は、有効な顎関節症治療剤を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、グルコサミンを単独、またはサメ軟骨もしくはメチルスルフォニルメタン(MSM)と併用することにより、顎関節症の症状を緩和できることを見出し、基本的には本発明を完成するに至った。
こうして、上記目的を達成するための発明に係る顎関節症治療剤は、グルコサミンを含有することを特徴とする。
本発明において、サメ軟骨またはMSMから選択される少なくとも一つの物質を含むことが好ましい。
本発明において、グルコサミンは塩酸塩であることが好ましい。また、グルコサミンは植物由来のものであることが好ましい。このとき、植物由来のグルコサミンの塩酸塩であることが好ましい。
本発明によれば、従来には有効な治療法が少なかった顎関節症を治療するための治療剤が提供される。
次に、本発明の実施形態について、図表を参照しつつ説明するが、本発明の技術的範囲は、これらの実施形態によって限定されるものではなく、発明の要旨を変更することなく様々な形態で実施することができる。また、本発明の技術的範囲は、均等の範囲にまで及ぶものである。
グルコサミン(GlcN)とは、2−アミノ−2−デオキシグルコースを意味し、キトサミンとも称する。ヘキソサミンの一種であり、代表的な天然アミノ糖である。自然界には、例えばN−アセチル体として、動植物または微生物の複合糖質として存在し、結合組織や軟骨を形成するプロテオグリカンなどを構成する。このプロテオグリカンは、各組織においてコラーゲン繊維、水分などと共同し、強度・柔軟性・弾力性などに寄与する。グルコサミンには、軟骨生成促進作用(特開2004−10533)に加え、血流改善作用(特開2002−97143)、好中球を介した抗炎症作用(特開2002−265365)などの生理作用が知られている。
グルコサミンは、甲殻類・昆虫類などの節足動物、頭足類・腹足類などの軟体動物、或いは微生物が持つキチンの酸加水分解物として得られる。本発明に用いるグルコサミンは、上記動物・微生物から得られた粗精製物、単離精製などのいずれの形態でもよい。また、本発明に用いるグルコサミンの形態は、特に限定されないが、グルコサミン、グルコサミン塩酸塩、グルコサミン硫酸塩、またはN−アセチルグルコサミンなどを用いることができる。
グルコサミンは、エビ・カニなどの甲殻類の殻に多く含まれるキチンを塩酸で加水分解することで、塩酸塩として得られる。この方法で得られたグルコサミン塩酸塩は、従来から最もよく利用されており、安定的かつ比較的安価に供給できることから、好適な実施形態となる。本発明においては、甲殻類から得られたグルコサミン塩酸塩を用いることができる。
一方、近年には、植物を微生物で処理することにより、微生物キチンからグルコサミンを製造する方法が知られている。エビ・カニ由来のグルコサミンでは、アレルギー表示の点から特定原材料の表示が必要であるが、植物由来のグルコサミンでは、特定原材料の表示が不要となるので、好適な実施形態となる。本発明においては、植物由来のグルコサミンも用いることができる。
サメ軟骨には、コラーゲンなどのタンパク質、ムコ多糖の一種であるコンドロイチン硫酸、カルシウムなどが含有されている。サメには、ネコザメ目、テンジクザメ目、ネズミザメ目、メジロザメ目、カグラザメ目、キクザメ目、ツノザメ目、カスザメ目、ノコギリザメ目などの目が含まれるが、本発明においては、いずれの目に属するサメから得られた軟骨でも用いることができる。また、サメ軟骨の調製方法には依らず、本発明に用いることができる。
MSM(Methyl Sulfonyl Methane:メチルスルフォニルメタン)は、CH−SO−CHで示される化合物であり、牛乳・コーヒー・トマト・ビールなどの食品中にも含まれている。また、MSMはヒト体内に存在する有機硫黄成分の一つであり、関節、筋肉、皮膚、髪、爪などに含まれている。MSMは、鎮痛作用、抗炎症作用などを有することが知られている。本発明においては、MSMの由来、及び精製方法には依らずに使用することができる。
特に限定されるものではないが、本発明においては、グルコサミンの用量は500mg/日/人〜3000mg/日/人、サメ軟骨の用量は1000mg/日/人〜6000mg/日/人、MSMの用量は100mg/日/人〜3000mg/日/人程度に設定することができる。また、グルコサミンとサメ軟骨とを併用する場合には、その質量比は1:1〜1:10の範囲で適当に設定することができる。また、グルコサミンとMSMとを併用する場合には、その質量比は5:1〜1:5の範囲で適当に設定することができる。
なお、本発明の顎関節症治療剤は、上記材料のみから構成することもできるし、更に補助資材(賦形剤、栄養剤、増量剤、甘味剤、香料、着色料、防腐剤、乳化剤、芳香剤など)を単独で、或いは適当に組み合わせて用いることもできる。このとき、芳香剤として、特に限定されないが、例えば柑橘系芳香剤(グレープフルーツ、ベルガモット、レモン、レモングラス、スイートオレンジ、マンダリンレッドなど)、ハーブ系芳香剤(クラリセージ、ペパーミント、ローズマリー・カンファー、マージョラムなど)、樹木系芳香剤(テイートリー、ユーカリ・グロブレス、ユーカリ・ラジアタ、レモンユーカリ、ジュニパー(ベリー)、ローズウッド、サイプレス、シダーウッドなど)、エキゾチック系芳香剤(サンダルウッド、イランイランなど)、フローラル系芳香剤(ラベンダー、ゼラニウムブルボン、カモミール・ローマン、ローズオットー、ラバンジン(スーパー)など)などを用いることができる。
本発明の顎関節症治療剤は、例えば錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤などに加工して用いることもできる。
次に、本発明を実施例を用いつつ更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は、下記実施例によって限定されない。
<実施例1>
[対象]
下記1及び2の条件を満足する5例とした。
1.顎関節内障(顎関節症の一つ)と診断した有痛性症例(IIIa:1例、IIIb:4例の全例女性、平均年齢35.4歳)
2.長期継続投与が可能で服薬指示が確実に実行でき、フォローへの対応も確実な患者
[投与剤]
被験者一人あたり1日量として、下記用量とした。
グルコサミン塩酸塩 1,500mg
サメ軟骨 9,000mg
トレハロース 10,000mg
II型コラーゲン 100mg
[投与方怯]
錠剤1回6錠および粉末1包を7時、11時、15時、及び19時の1日4回服用した。また、服用時には、チェック表にその旨を記入することとした。
[評価方法]
1.投与前にMRIによる顎関節の画像診断を施行した。
2.投与前に血液データより生化学、血算スクリーニングで異常のないことを確認した。
3.疼痛は、顎運動時疼痛(Visual Analog Scale:VAS 1−10)にて評価した。
4.他の効果および副作用等を聴取した。
5.上記1、2については―定期間での再評価を行った。
[その他の治療]
当科より他剤の服用指示は行わなかった。また、スプリント(顎関節症治療用器具)は、服用中にも継続使用を指導した。
[症例1] 50歳、女性、Bt−IIIb:投与開始より1年7か月経過
(1)MRIについては、投与前および投与後に変化なし
(2)投与前採血および投与後採血については、問題なし
(3)投与前VAS2から投与現在VAS0に改善
(4)左肩こりが緩和された。頬部の緊張感がやわらいだ。
[症例2] 35歳、女性、Lt−IIIb:投与開始より5か月経過
(1)投与前MRIにおいて、滑膜増殖(Synovial Proliferation:SP)及び関節滲出液(Joint Effusion:JE)を認めた。
投与前治療:バンピング施行
(2)投与前採血:問題なし
(3)投与前VAS2から投与現在VAS0に改善
(4)特に著変なし
[症例3] 36歳、女性、Rt−IIIb:投与開始より5か月経過
(1)投与前MRIにおいて、SPを認めた。
投与前治療:内視鏡による洗浄療法施行
(2)投与前採血:問題なし
(3)投与前VAS6から投与現在VAS0に改善
(4)特に著変なし
[症例4] 33歳、女性、Rt−IIIb:投与開始3か月経過後、疼痛が上昇したため投与を中止
(1)投与前MRIにおいて、SPを認めた。
投与前治療:スプリント
(2)投与前採血:問題なし
(3)投与前VAS7から投与中VAS2に改善、現在VAS4
(4)片頭痛あり
[症例5] 23歳、女性、BI−IIIa:投与開始3か月経過
(1)投与前MRIにおいて、右側にJEを認めた。
投与前治療:スプリント
(2)投与前採血:問題なし
(3)投与前VAS2から投与中VAS0に改善
(4)毛髪と全身肌につやがでた。
[結果およびまとめ]
図1には、本実施例におけるVAS変化をまとめた。
本実施例の治療剤を投与することにより、1例を除き投与中、疾痛の改善を認めた。また、消化器症状等副作用は認められなかった。
<実施例2>
[材料と方法] 対象者は三重大学医学部附属病院歯科・口腔外科にて顎関節内障(顎関節症のうちの一つ)と診断された患者とした。各対象者に対して、本実施例の治療剤を用いるため、下記の説明を行い、同意を得た者を被験者とした。
1.評価の目的および投与期間
2.予想される効果および副作用
3.本実施例の治療剤の使用に同意しない場合であっても、治療上の不利益を受けないこと
4.本実施例の治療剤の使用に同意した場合であっても、いつでもこれを撤回できること
5.個人の記録の秘密を守ること
被験者を対照群(プラセボ投与群)と、本実施例の治療剤を投与する群とに分けた。対照群には、プラセボ用食品の投与を行った。本実施例の治療剤とプラセボの投与群は、それぞれ無作為に抽出した。内服方法は、食中に4カプセル、1日12カプセルの服用とし、自己確認表に内服確認を記載するものとした。投与期間中は、鎮痛薬の服用を中止した。評価方法は、可能な限り投与前にMRIによる病態評価を行った症例を含め、全例投与前に顎運動時疼痛、圧痛、開口量、関節雑音、筋電図、特定項目を指定した採血を行い、6週間投与後に同内容の評価を行った。
[投与剤]
被験者一人あたり1日量(12カプセル分)として、下記用量の治療剤を処方した。
グルコサミン 2,000mg
エリンギ粉末 500mg
αリポ酸 100mg
ヒアルロン酸 100mg
ビタミンC 300mg
合 計 3,000mg
また、対照用のプラセボとして、麦芽糖を用いた。
[結果]
顎関節症患者25例のうち、14例を本実施例の治療剤投与群(以下、「HA−F投与群」という)、11例を対照群(以下、「プラセボ投与群」という)とし、6週間に亘って投与した。疼痛改善度で顎運動時痛では、HA−F投与群およびプラセボ投与群ともに有意な改善を認めたが、顎関節部圧痛では、プラセボ投与群のみに有意な改善効果を認めた。最大開口量は、HA−F投与群およびプラセボ投与群ともに統計的に有意な改善効果は認められなかったものの、改善した平均開口量は両群共に増大し、数mmではあるもののプラセボ投与群がHA−F投与群を上回った。関節雑音はHA−F投与群では14.3%の雑音の消失に対し、プラセボ投与群では9.1%で雑音症状の悪化が認められた。投与中の不快症状は、HA−F投与群およびプラセボ投与群ともに消化器症状が主であり、重篤なものは認められなかった。また、プラセボ投与群に皮疹が18.2%認められた一方、HA−F投与群には認められなかった。
[考察]
疼痛改善度で顎運動時痛では、HA−F投与群およびプラセボ投与群ともに有意な改善を認めたが、顎関節部圧痛では、プラセボ投与群のみに有意な改善効果を認めた。これは6週間での短期間投与のため、顎関節症の病態に起因する顎運動の安静に伴う疼痛症状の改善(natural history)や精神的因子に起因するものとも考えられた。最大開口量は、HA−F投与群およびプラセボ投与群ともに有意な改善効果は認められなかったが、改善した平均開口量が数mmではあるものの、プラセボ投与群がHA−F投与群を上回った。これはプラセボ投与群での圧痛の改善が関連しているものと考えられた。
関節雑音の改善では、HA−F投与群では14.3%の雑音消失を認めているのに対し、プラセボ投与群では9.1%で雑音症状の悪化を認めた。これはHA−F投与によるコラーゲン再生等に伴う関節周囲組織の改善傾向の徴候を示唆するとも考えられた。投与中の不快症状は、HA−F投与群およびプラセボ投与群ともに消化器症状が主なものであり、重篤なものは認められなかった。しかし、プラセボ投与群に皮疹が18.2%認められたのに対し、HA−F投与群には認められなかった。このことから、HA−Fは顎関節症治療剤として安全であることが判った。
本実施例では、6週間の短期間投与にもかかわらず、変化する指標(特に、顎運動時の疼痛)が認められた。このため、HA−Fについて、更に血流改善のためビタミンEなどを添加することにより効果促進が期待された。また、本実施例の治療剤の長期投与で、滑膜肥厚や軟骨変形等の改善におよぶ症状や病態の変化が認められれば、ビタミンDやカルシウムの追加を考慮できる。この点において、関節雑音の改善は注目すべき項目と考えられた。そこで、疼痛除去を目的とした物質(例えば、MSM)とグルコサミンとを併用することが考えられた。
<実施例3>
[材料と方法] 対象者は、三重大学医学部附属病院歯科・口腔外科にて顎関節内障(顎関節症のうちの一つ)と診断された患者とした。各対象者に対して、本実施例の治療剤を用いるため、実施例2と同じ説明を行い、同意を得た者を被験者とした。
被験者を対照群(プラセボ投与群)と、本実施例の治療剤を投与する群とに分けた。対照群には、プラセボ用食品の投与を行った。本実施例の治療剤とプラセボの投与群は、それぞれ無作為に抽出した。内服方法は、食中に4カプセル、1日12カプセルの服用とし、自己確認表に内服確認を記載するものとした。投与期間中は、鎮痛薬の服用を中止した。評価方法は、全例投与前に顎運動時疼痛(VAS)、圧痛、開口量(上下切歯間距離mm)、関節雑音、投与期間中の不快症状とした。治療剤またはプラセボ用食品の6週間投与後に、同内容の評価を行った。更に口頭において、本実施例の治療剤に対して、剤型および芳香について聞き取りを行った。
[投与剤]
被験者一人あたり1日量(12カプセル分)として、下記用量の治療剤を処方した。
植物由来グルコサミン塩酸塩 1,500mg
MSM 1,500mg
ラベンダー粉末 100mg
ビタミンC 500mg
合 計 3,600mg
また、対照用のプラセボとして、麦芽糖を用いた。
[結果]
顎関節症患者41例のうち、24例を本実施例の治療剤投与群(以下、「改良HA−F投与群」という)、17例を対照群(以下、「プラセボ投与群」という)とし、投与中止例を除いて、それぞれ6週間に亘って投与した。顎運動時痛の疼痛改善を、プラセボ投与群と比較したところ、改良HA−F投与群はVASが2.2から1.1へ減少し、有意な改善を認めた(図2)。顎関節部圧痛においても、改良HA−F投与群に改善傾向を認めた(図3)。また、最大開口量は、改良HA−F投与群およびプラセボ投与群ともに統計的に有意な改善効果は認められなかったものの、改善した平均開口量は両群ともに増大し、2mmではあるものの改良HA−F投与群がプラセボ投与群を上回った(図4)。
関節雑音は、改良HA−F投与群では2例が消失を認めたが、プラセボ投与群では消失はなく、悪化したものが1例認められた(図5)。投与中の不快症状は、改良HA−F投与群においては悪心、消化器の不快症状、軟便、便秘と様々であり、軽度症状の3例は6週間の継続投与を行ったが、他の3例(12.5%)については症状出現時に服用の中止を指示した。一方、プラセボ投与群では中止症例は5例(29.4%)と多く、悪心や皮膚症状などがみられたが、いずれの症状も重篤なものは認められなかった(図6)。口頭による聞き取りでは、改良HA−Fの服用に際し、カプセルサイズ(17.8mm×6.4mm)が比較的小さく服用しやすいと回答した者が多かった。また、サプリメントの芳香が気になると答えた人がかなり多く認められた。
[考察]
VASによる疼痛改善度で、顎運動時痛においては、改良HA−F投与群はプラセボ投与群と比較し、有意な改善を認めたが、他の検討では有意な改善は認められなかった。全体としては、実施例2とほぼ同様の結果であった。これは、今回も6週間の短期間投与であり短期間投与のため、顎関節症の病態に起因する顎運動の安静に伴う疼痛症状の改善(natural history)や、精神的因子に起因するとも考えられた。また、最大開口量は、改良HA−F投与群およびプラセボ投与群ともに有意な改善効果は認められなかったが、改善した平均開口量が数mmではあるものの、改良HA−F投与群がプラセボ投与群を上回った。これは実施例2と同様に、改良HF−A投与群でも圧痛への改善に対する治療剤の効果が関連しているものと考えられた。
関節雑音の改善では、改良HA−F投与群では2例の雑音消失を認めた一方、プラセボ投与群では雑音症状の悪化を1例認めた。これは実施例2と同様に、改良HA−F投与によるコラーゲン再生等に伴う関節周囲組織の改善傾向の徴候を示唆するものと考えた。投与中の不快症状は、改良HA−F投与群では悪心、消化器症状、軟便、便秘など様々であった。その症状から3例(12.5%)の投与中止を行った。しかし、プラセボ投与群は、やや強固な悪心のほかに便秘や重篤には至らなかったものの掻痒感を含む皮膚症状で中止症例が5例(29.4%)と改良HA−F投与群より多く認められた。実施例2のHA−F投与群では、中止症例は9%であったのに対し、本実施例では改良HA−F投与群もプラセボ投与群もともに高い不快感の発生率を示した。
これは新たに添加した芳香剤(ラベンダー粉末)の香りが気になると回答した者がかなり多く、芳香剤の成分にも大きく関与している可能性が示唆された。このため、ラベンダー粉末量の減少(1日量あたり、20mg〜50mg程度への減少)、または前述の芳香剤から選択した少なくとも1つのもの(特に、レモンユーカリ、ジュニパー(ベリー)が好ましく使用できる。このとき、使用量としては、上記ラベンダー粉末量と同程度の量が使用できる)を用いることができる。
本実施例においても、顎運動時痛の減少が著名であった。これは、顎関節内障にみられる滑膜炎やさらに軟骨の退行性変性が生じると滑液中のヒアルロン酸量の低下やヒアルロン酸の低分子化が認めるとされるが、この症状の改善に寄与していると考えられた。このように、改良HA−Fは、良好な顎関節症治療剤として使用できることが明らかとなった。
このように、本実施例によれば、従来には有効な治療法が少なかった顎関節症を治療するための治療剤が提供された。
実施例1におけるVAS変化をまとめたグラフである。 実施例3における顎運動時の疼痛の変化をまとめたグラフである。 実施例3における顎関節部圧痛症例の変化をまとめた表である。 実施例3における最大開口量の変化をまとめたグラフである。 実施例3における関節雑音の変化をまとめた表である。 実施例3において、投与期間中の不快症状および投与中止症例をまとめたグラフである。

Claims (4)

  1. グルコサミンを含有することを特徴とする顎関節症治療剤。
  2. サメ軟骨またはメチルスルフォニルメタンから選択される少なくとも一つの物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の顎関節症治療剤。
  3. グルコサミンが、グルコサミン塩酸塩であることを特徴とする請求項1または2に記載の顎関節症治療剤。
  4. グルコサミンが、植物由来のものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の顎関節症治療剤。
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