JP2008303388A - 自己組織化ポリマー膜の可逆的制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリマー分子鎖がらせん構造および光学活性を有するポリマー膜の可逆的制御方法であって、溶媒を用いて濃厚な溶液をスピンコートして製膜すること、またはポリマー膜に対して、溶媒蒸気との接触、熱、光、磁場、及び電場からなる群から選択される刺激の少なくとも1つを付与することにより、膜中に高次の規則構造を誘起させ、膜の光学的異方性を変化および/または増大させる自己組織化ポリマー膜の可逆的制御方法。
【選択図】なし
Description
配向膜はエレクトロニクス材料、光学材料等に有用であり、ポリシラン配向膜などが知られている(例えば特許文献5、非特許文献4参照)。
しかし、近年、光学デバイス、光学メモリ、光学分割剤として、より旋光度や円偏光に二色性の大きな材料がもと求められるようになってきた。
(1)ポリマー分子鎖がらせん構造および光学活性を有するポリマー膜の可逆的制御方法であって、溶媒を用いて濃厚な溶液から製膜すること、またはポリマー膜に対して溶媒蒸気との接触、熱、光、磁場、及び電場からなる群から選択される刺激の少なくとも1つを付与することにより、膜中に高次の規則構造を誘起させ、膜の光学的異方性を変化および/または増大させる自己組織化ポリマー膜の可逆的制御方法、
(2)ポリマー分子鎖がらせん構造および光学活性を有するポリマー膜の可逆的制御方法であって、溶媒を用いて濃厚な溶液から製膜すること、またはポリマー膜に対して溶媒蒸気との接触させることにより、膜中に高次の規則構造を誘起させ、膜の光学的異方性を変化および/または増大させる自己組織化ポリマー膜の可逆的制御方法、
(3)前記ポリマー膜が一般式(1)で表されるらせん構造を有するポリマーからなることを特徴とする(1)または(2)に記載の自己組織化ポリマー膜の可逆的制御方法、
(4)前記ポリマー膜が一般式(2)で表されるらせん構造を有するポリマーからなることを特徴とする請求項1または2記載の自己組織化ポリマー膜の可逆的制御方法、
(5)前記ポリマー膜が一般式(3)で表されるらせん構造を有するポリマーからなることを特徴とする請求項1または2に記載の自己組織化ポリマー膜の可逆的制御方法、
(6)前記ポリマー膜が一般式(4)で表されるらせん構造を有するポリマーからなることを特徴とする請求項1または2に記載の自己組織化ポリマー膜の可逆的制御方法、
(7)前記光学的異方性が膜の旋光度または円偏光二色性であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載の自己組織化ポリマー膜の可逆的制御方法。
及び
(8)ポリマー分子鎖がらせん構造および光学活性を有するポリマー膜の製膜方法であって、溶媒を用いて濃厚な溶液から製膜し、膜中に高次の規則構造を誘起させることを特徴とする自己組織化ポリマー膜の製膜方法
を提供するものである。
本発明において「膜の光学的異方性」とは円偏光に対する吸光度が左右で異なることをいい、例えば、膜の旋光度および円偏光二色性が挙げられる。ここで、旋光度とは、光学活性体が直線偏光の向きを右ないし左に回転させる角度をいい、円偏光二色性とは、旋光性物質の中を円偏光が通過する際左回りと右回りの吸収が異なる現象をいう。
本発明において「高次の規則構造」とは分子鎖同士が規則正しく並んだ構造のことをいう。また、膜中に高次の規則構造が誘起されたことは、X線散乱を測定することで確認される。高次の規則構造とは、2次以上の規則構造をいう。
本発明において「光学活性炭素」とはキラリティを有する炭素のことをいい、好ましくは不斉炭素原子である。
前記ポリマー分子鎖の前記らせん直径は50nm以下であり、0.1〜50nmであることが好ましく、0.5〜10nmであることがより好ましい。
前記ポリマー分子鎖の前記らせんピッチは50nm以下であり、0.1〜50nmであることが好ましく、0.5〜10nmであることがより好ましい。
前記ポリマー分子鎖の前記らせん持続長は10nm以上であり、50nm以上であることが好ましく、50nm〜500nmであることがより好ましい。
本発明において、「らせんピッチ」とは、ポリマーらせんが1回転したときの両ユニット間の距離をいう。前記らせんピッチを変化させる具体例としては、例えば、1.8nmから2.5nmに変化させること、2.5nmから1.8nmに変化させること等が挙げられる。らせんピッチの変化は電子顕微鏡等による直接観察により測定できる。
本発明において、「ポリマーの分子配向」とは、分子のらせん軸が一定の方向を有する構造をいう。前記ポリマーの分子配向を変化させる具体例としては、例えば、無配向から一軸配向に変化させること、一軸配向から無配向に変化させること等が挙げられる。ポリマーの分子配向の変化は、偏光UVスペクトルにおいて、無配向は吸収が膜の向きにかかわらず一定で二色比が1として、一軸配向は延伸方向の偏光の吸収が大きくなとともにこれと垂直方向の偏光の吸収は小さくなり、二色比の増大として測定される。
前記刺激の各々の具体的処理条件は特に制限はないが、例えば下記のような条件が挙げられる。
「溶媒蒸気との接触」については、例えば、クロロホルム、トルエン、テトラヒドロフラン等の任意の溶媒の蒸気を適宜選択した温度、時間条件にて前記ポリマー分子鎖がらせん構造を有するポリマー膜を処理することができる。
「熱」処理については、加熱温度を、好ましくは60〜200℃、より好ましくは100〜150℃とし、加熱時間を、好ましくは1〜60分、より好ましくは3〜30分とする加熱処理が挙げられる。
「光」処理については、例えば、100mJ/1平方cm〜100000mJ/1平方cm、好ましくは500mJ/1平方cm〜10000mJ/1平方cmの光量にて前記ポリマー分子鎖がらせん構造を有するポリマー膜を処理することが挙げられる。
「磁場」処理については、例えば、0.1T〜10T、好ましくは1T〜10Tにて前記ポリマー分子鎖がらせん構造を有するポリマー膜を処理することが挙げられる。
「電場」処理については、例えば、0.01MV/cm〜10MV/cm、好ましくは0.1MV/cm〜1MV/cmにて前記ポリマー分子鎖がらせん構造を有するポリマー膜を処理することが挙げられる。
前記光学的異方性は、例えば、ポリマー膜の色が黄色から赤色へ変化させることができたり、旋光度が正から負へ変化させることができる。例えば、膜の旋光度が正から負へ変化すること、または負から正へ変化することは、膜の旋光性が変化し、逆転することを意味する。また、本発明において、膜の旋光性が増大するとは、旋光度及び/又は円偏光二色性が増大することをいう。「旋光度が増大する」とは旋光度及び/又は円偏光二色性が5倍以上大きくなることをいう。
本発明の方法で製膜もしくは制御された自己組織化ポリマー膜は、粒子、微粒子、粉体及び/又は基板を備える膜に等に適宜調製し、用いことができる。
本発明の方法で制御された自己組織化ポリマー膜は、各種電子・光学デバイスとして使用することができる。
前記電子・光学デバイスの具体例としては、光学メモリ素子、分子メモリ素子等が挙げられる。
本発明に用いられる化合物において、特定の部分を「基」と称した場合には、当該部分は基自体が置換されていなくても、一種以上の(可能な最多数までの)置換基で置換されていても良いことを意味する。例えば、「アルキル基」とは置換または無置換のアルキル基を意味する。また、本発明における基が有してもよい「置換基」は、例えばフェニル基、アルキル基、エステル基、アミド基を挙げることができ、フェニル基、エステル基が好ましい。
また、前記一般式(1)で表されるポリマーの数平均分子量は1000〜1000000が好ましく、10000〜100000がより好ましい。
一般式(1)で表されるポリマーは、一般式(3)で表されるものであってもよい。
R’が示す芳香族基の例としては、炭素数が好ましくは4〜20、より好ましくは6〜14のものであり、具体的にはフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基が挙げられる。脂肪族炭化水素の例としては炭素数が好ましくは1〜18、より好ましくは1〜10のものであり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、2−エチルヘキシル基が挙げられる。
この芳香族基または脂肪族炭化水素基は、前記のような光学活性を有していてもよい。
また、一般式(1)で表されるポリマーは一般式(2)で表されるポリマーであることが好ましい。
X1、X2およびX3のうち少なくとも1つが光学活性炭素を有する基であり、かつそのX1、X2およびX3の組み合わせとして、X1が水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子、X2がアルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基又はアミノ基、X3が水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子の場合が好ましく、X1が水素原子、アルキル基又はハロゲン原子、X2が光学活性アルキル基又は光学活性アルコキシ基、X3が水素原子、アルキル基又はハロゲン原子の場合がより好ましく、X1及びX3が水素原子であり、X2が光学活性アルコキシ基である場合が特に好ましい。
また、一般式(2)で表される化合物としては、下記一般式(4)で表されるものであってもよい。
前記一般式(2)で表されるポリマーは、前記一般式(7)で表されるアセチレン置換体モノマーを重合することにより製造できる。
置換アセチレンモノマーの製造方法は特に限定されないが、例えばR.D’Amato,T.Sone,M.Tabata,M.V.Russo,A.Fdurlaniらによる「Macromolecules」,Vol.31,p.8660(1998)に記載の方法により得ることができる。
ロジウム錯体触媒としては特に限定されないが、[Rh(ノルボルナジエン)Cl]2、[Rh(シクロオクタジエン)Cl]2、[Rh(ビス−シクロオクテン)Cl]2等のジエンおよびモノエン配位子を有するロジウム錯体触媒が挙げられ、特に[Rh(ノルボルナジエン)Cl]2が好ましく用いられる。
本発明に用いられるポリマーの製造方法においては、ロジウム錯体触媒として[Rh(ノルボルナジエン)Cl]2を用い、かつ助触媒としてトリエチルアミンを用いることが好ましい。
ニオブ、タンタル錯体触媒としては特に限定されないが、NbCl5、NbBr5、TaCl5、TaBr5等のハロゲン化物触媒が挙げられ、特にTaCl5が好ましく用いられる。
本発明に用いられるポリマーの製造方法においては、タンタル錯体触媒としてTaCl5を用い、かつ助触媒としてトリエチルシランを用いることが好ましい。
本発明に用いられるポリマーは、前記不斉炭素にOH基を置換することで、水素結合によりらせん構造を安定化できると考えられる。
あるいは、フェノキシ酸素を含む基であってもよい。
本発明に用いられるポリマーの数平均分子量は1000〜1000000が好ましく、4000〜100000がより好ましい。
前記一般式(2)で表されるポリマーは、下記一般式(6)で表されるアセチレン化合物を重合することにより製造できる。
ロジウム錯体触媒としては特に限定されないが、[Rh(ノルボルナジエン)Cl]2、[Rh(シクロオクタジエン)Cl]2、[Rh(ビス−シクロオクテン)Cl]2等のジエンおよびモノエン配位子を有するロジウム錯体触媒が挙げられ、特に[Rh(ノルボルナジエン)Cl]2が好ましく用いられる。また、助触媒としてアルキルアミン類を用いることが好ましく、例えばジエチルアミン、トリブチルアミン、トリエチルアミン等が用いられる。
本発明に用いられるポリマーの製造方法においては、ロジウム錯体触媒として[Rh(ノルボルナジエン)Cl]2を用い、かつ助触媒としてトリエチルアミンを用いることが好ましい。
該ポリマー膜は、上記のポリマーを溶媒に溶解させた濃厚な溶液を、例えば、ガラス等の上にスピンコートして製膜することにより、膜中に高次の規則構造を誘起させることで形成することができる。
溶媒としては、好ましくはクロロホルム等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、ジエチルアミン等のアミン系溶媒、メタノール等のアルコール系溶媒、トルエン等の芳香族系溶媒から選択される1種または2種以上の溶媒が用いられ、より好ましくはクロロホルム、テトラヒドロフラン、ジエチルアミンであり、さらに好ましくはクロロホルムである。
また、本発明において、ポリマーの濃厚な溶液とは、置換基により異なるが、ポリマー濃度が好ましくは0.5〜10質量%であり、0.5〜5質量%がより好ましく、4質量%程度がさらに好ましく、1〜3質量%が特に好ましい。
また、ポリマーがポリ[N−プロパルギル−(S)−1−メチルヘキシルカルバメート]であり、溶媒がクロロホルムである場合には、ポリマーの濃度は0.5〜5質量%が好ましく、1〜3質量%がさらに好ましい。
また、スピンコート後の乾燥条件も、目的とする高次の規則構造を膜中に誘起させることができるものであれば特に限定されるものではないが、温度30〜60℃で、1〜24時間であることが好ましく、温度40〜50℃で、1〜3時間であることがさらに好ましい。
製膜方法は、膜中に高次の規則構造を誘起させるものであれば、スピンコートに限定されるものではなく、例えば通常のキャスト法であってもよい。
ポリマー膜の膜厚は、0.01μm〜1mmが好ましく、0.1〜10μmがより好ましい。
上記有機溶媒の蒸気を本発明のポリマーに接触させる際の条件は、常圧下又は減圧下で0〜50℃の雰囲気で行うことが好ましい。接触時間は10〜90分が好ましい。蒸気温度は、10〜30℃が好ましい。
本発明において、一意的かつ任意にとは、加熱温度等の刺激の種類により吸収のピークトップが制御可能であることを意味する。
ポリ[(S)−1−(4−エチニルフェニル)−1−ドデカノール](数平均分子量30000)のクロロホルム溶液(4質量%)をガラス基板上に1000rpmでスピンコートし、これを40℃、1時間乾燥させて、黄色のポリマー膜を作製した(膜厚0.6μm)。この時の吸光度は1.08であった。得られた膜の吸収スペクトルは350nm付近に吸収極大を示し、溶液中と同様のスペクトルの形を示した。CDスペクトルにおいては320nm付近に負、360nm付近に正、430nm付近に正、470nm付近に負のピークが観測された。320nmのピークは−390mdegであった。ORDスペクトルにおいては340nm付近に負、410nm付近に負、450nm付近に正のピークが観測された。340nmのピークは−430mdegであった。広角X線散乱では28Å付近に鋭いピークが現れ、分子間の規則構造が確認された。
ポリ[(S)−1−(4−エチニルフェニル)−1−ドデカノール](数平均分子量20000)のクロロホルム溶液(4質量%)をガラス基板上に1000rpmでスピンコートし、これを40℃、1時間乾燥させて、黄色のポリマー膜を作製した(膜厚0.6μm)。得られた膜に金蒸着を施し、これを走査電子顕微鏡により10000倍で観察したところ膜の表面に筋状の模様が観察され、高次(3次)の規則構造の存在が示唆された。
ポリ[(S)−1−(4−エチニルフェニル)−1−ドデカノール](数平均分子量20000)の1μg/mLのクロロホルム溶液をガラス基板上に1000rpmでスピンコートし、これを40℃、1時間乾燥させた。これに金蒸着を施して走査電子顕微鏡により100000倍で観察したところ長さ約600nm、幅約80nmの棒状ポリマーが多数観測され、高次(3次)の規則構造の存在が示唆された。
ポリ[N−プロパルギル−(S)−1−メチルヘキシルカルバメート](数平均分子量10000)のクロロホルム溶液(1質量%)を石英基板上に1000rpmでスピンコートし、これを40℃、1時間乾燥させて、無色のポリマー膜を作製した(膜厚0.4μm)。得られた膜の吸収スペクトルは230nm付近に吸収極大を示し、溶液中と同様のスペクトルの形を示した。この時の吸光度は0.5であった。得られた膜のCDスペクトルにおいては220nm付近に正、240nm付近に負、280nm付近に正、320nm付近に負のピークが観測された。240nmのピークは−190mdegであった。ORDスペクトルにおいては250nm付近に負、300nm付近に正のピークが観測された。250nmのピークは−230mdegであった。広角X線散乱では15Å付近に鋭いピークが現れ、分子間の規則構造が確認された。
ポリ[N−プロパルギル−(S)−1−メチルヘキシルカルバメート](数平均分子量10000)のクロロホルム溶液(4質量%)を石英基板上に1000rpmでスピンコートし、これを40℃、1時間乾燥させて、無色のポリマー膜を作製した(膜厚0.4μm)。得られた膜に金蒸着を施し、これを走査電子顕微鏡により10000倍で観察したところ膜の表面に筋状の模様が観察され、高次(3次)の規則構造の存在が示唆された。
ポリ[N−プロパルギル−(S)−1−メチルヘキシルカルバメート](数平均分子量10000)の1μg/mLのテトラヒドロフラン溶液を石英基板上に1000rpmでスピンコートし、これを40℃、1時間乾燥させた。これに金蒸着を施して走査電子顕微鏡により100000倍で観察したところ長さ約500nm、幅約40nmの棒状ポリマーが観測され、高次(3次)の規則構造の存在が示唆された。
ポリ[N−プロパルギル−(S)−1−メチルヘキシルカルバメート](数平均分子量10000)のテトラヒドロフラン溶液(3質量%)を石英基板上に1000rpmでスピンコートし、これを40℃、1時間乾燥させて、無色のポリマー膜を作製した(膜厚0.4μm)。得られた膜のCDスペクトルにおいては240nm付近に負、290nm付近に正のピークが観測された。240nmのピークは−250mdegであった。これを25℃常圧でジエチルアミンの蒸気に10分間接触させると、吸光度は変化せずに240nmのピークは−1000mdegに増大した。
ポリ[(S)−1−(4−エチニルフェニル)−1−ドデカノール](数平均分子量50000)のクロロホルム溶液(4質量%)をガラス基板上に1000rpmでスピンコートし、これを40℃、1時間乾燥させて、黄色のポリマー膜を作製した(膜厚0.9μm)。この時の吸光度は1.8であった。得られた膜の吸収スペクトルは350nm付近に吸収極大を示し、溶液中と同様のスペクトルの形を示した。ORDスペクトルにおいては340nm付近に負、410nm付近に負、450nm付近に正のピークが観測された。340nmのピークは−1200mdegであった。これを25℃常圧でジエチルアミンの蒸気に10分間接触させると、吸光度は変化せずに330nm付近に正、400nm付近に負のピークが観測され、スペクトルは大きく変化した。330nmのピークは140mdegとなり、その絶対値は大きく減少した。実施例1,8より光学的異方性の可逆的な変化が確認された。
ポリ[1−(4−((S)−2−メトキシオクチロキシ)フェニル)−2−フェニルアセチレン](数平均分子量50000)のクロロホルム溶液(2質量%)をガラス基板上に1000rpmでスピンコートし、これを40℃、1時間乾燥させて、黄色のポリマー膜を作製した(膜厚0.4μm)。この時の吸収極大の吸光度は0.5であった。得られた膜の吸収スペクトルは420nm付近に吸収極大を示し、溶液中と同様のスペクトルの形を示した。CDスペクトルにおいては410nm付近に正のピークが観測された。410nmのピークは450mdegであった。これを25℃常圧でクロロホルムの蒸気に15分間接触させると、吸光度はほとんど変化せずに410nmのピークは1900mdegとなり、その絶対値は大きく増大した。
ポリ[1−(4−((S)−2−ヒドロキシオクチロキシ)フェニル)−2−フェニルアセチレン](数平均分子量30000)のクロロホルム溶液(4質量%)をガラス基板上に1000rpmでスピンコートし、これを40℃、1時間乾燥させて、黄色のポリマー膜を作製した(膜厚0.6μm)。この時の吸収極大の吸光度は0.8であった。得られた膜の吸収スペクトルは440nm付近に吸収極大を示し、溶液中と同様のスペクトルの形を示した。CDスペクトルにおいては390nm付近に負のピークが観測された。390nmのピークは−50mdegであった。これを25℃常圧でジエチルアミンの蒸気に1分間接触させると、吸光度は変化せずに400nm付近に負、440nm付近に正のピークが観測され、スペクトルは大きく変化した。400nmのピークは−330mdegとなり、その絶対値は大きく増大した。
ポリ[(S)−1−(4−エチニルフェニル)−1−ドデカノール](数平均分子量20000)のクロロホルム溶液(20質量%)を室温で静置し、これを偏光顕微鏡で観察したところ縞模様が観察されコレステリック液晶構造の形成が確認された。
ポリ[1−(4−((S)−2−ヒドロキシオクチロキシ)フェニル)−2−フェニルアセチレン](数平均分子量30000)のトルエン溶液(12質量%)を室温で静置し、これを偏光顕微鏡で観察したところ縞模様が観察されコレステリック液晶構造の形成が確認された。
ポリ[N−プロパルギル−(S)−1−メチルヘキシルカルバメート](数平均分子量10000)のトルエン溶液(12質量%)を室温で静置し、これを偏光顕微鏡で観察したところ模様が観察され液晶構造の形成が確認された。
ポリ[(S)−1−(4−エチニルフェニル)−1−ドデカノール](数平均分子量20000)のクロロホルム溶液(1質量%)をガラス基板上に1000rpmでスピンコートし、これを40℃、1時間乾燥させて、黄色のポリマー膜を作製した(膜厚0.15μm)。得られた膜の吸収スペクトルでは350nm付近に吸収極大を示し、溶液中と同様のスペクトルの形を示した。この時の吸光度は0.25であった。CDスペクトルにおいては310nm付近に負、360nm付近に正、460nm付近に負のピークが観測された。310nmのピークは−27mdegであった。ORDスペクトルにおいては340nm付近に負、410nm付近に正のピークが観測された。340nmのピークは−22mdegであった。広角X線散乱ではピークは観測されなかった。
ポリ[(S)−1−(4−エチニルフェニル)−1−ドデカノール](数平均分子量20000)のメタノール溶液(1質量%)をガラス基板上に1000rpmでスピンコートし、これを40℃、1時間乾燥させて、黄色のポリマー膜を作製した(膜厚0.2μm)。得られた膜に金蒸着を施し、これを走査電子顕微鏡により10000倍で観察したところ膜の表面は平滑であった。
ポリ[(S)−1−(4−エチニルフェニル)−1−ドデカノール](数平均分子量20000)の1μg/mLのメタノール溶液をガラス基板上に1000rpmでスピンコートし、これを40℃、1時間乾燥させた。これに金蒸着を施して走査電子顕微鏡により100000倍で観察したところ直径10nmのポリマー粒子が観測された。
ポリ[N−プロパルギル−(S)−1−メチルヘキシルカルバメート](数平均分子量10000)のクロロホルム溶液(0.5質量%)をガラス基板上に1000rpmでスピンコートし、これを40℃、1時間乾燥させて、黄色のポリマー膜を作製した(膜厚0.08μm)。得られた膜の吸収スペクトルは230nm付近に吸収極大を示し、溶液中と同様のスペクトルの形を示した。この時の吸光度は0.1であった。CDスペクトルにおいては240nm付近に負、290nm付近に正のピークが観測された。240nmのピークは−14mdegであった。ORDスペクトルにおいては240nm付近に負のピークが観測された。240nmのピークは−37mdegであった。広角X線散乱ではピークは観測されなかった。
ポリ[N−プロパルギル−(S)−1−メチルヘキシルカルバメート](数平均分子量10000)のクロロホルム溶液(0.5質量%)をガラス基板上に1000rpmでスピンコートし、これを40℃、1時間乾燥させて、黄色のポリマー膜を作製した(膜厚0.08μm)。得られた膜に金蒸着を施し、これを走査電子顕微鏡により10000倍で観察したところ膜の表面は平滑であった。
ポリ[N−プロパルギル−(S)−1−メチルヘキシルカルバメート](数平均分子量10000)の1μg/mLのクロロホルム溶液をガラス基板上に1000rpmでスピンコートし、これを40℃、1時間乾燥させた。得られた膜に金蒸着を施して走査電子顕微鏡により10000倍で観察したところ直径10nmのポリマー粒子が観測された。
Claims (8)
- ポリマー分子鎖がらせん構造および光学活性を有するポリマー膜の可逆的制御方法であって、溶媒を用いて濃厚な溶液から製膜すること、またはポリマー膜に対して溶媒蒸気との接触、熱、光、磁場、及び電場からなる群から選択される刺激の少なくとも1つを付与することにより、膜中に高次の規則構造を誘起させ、膜の光学的異方性を変化および/または増大させる自己組織化ポリマー膜の可逆的制御方法。
- ポリマー分子鎖がらせん構造および光学活性を有するポリマー膜の可逆的制御方法であって、溶媒を用いて濃厚な溶液から製膜すること、またはポリマー膜に対して溶媒蒸気との接触させることにより、膜中に高次の規則構造を誘起させ、膜の光学的異方性を変化および/または増大させる自己組織化ポリマー膜の可逆的制御方法。
- 前記光学的異方性が膜の旋光度または円偏光二色性であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の自己組織化ポリマー膜の可逆的制御方法。
- ポリマー分子鎖がらせん構造および光学活性を有するポリマー膜の製膜方法であって、溶媒を用いて濃厚な溶液から製膜し、膜中に高次の規則構造を誘起させることを特徴とする自己組織化ポリマー膜の製膜方法。
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