JP2008302294A - 生物処理方法及び生物処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】運転時間の経過とともに処理効率が低下することを抑制し得る生物処理方法ならびに、処理効率の低下が抑制された生物処理装置の提供を課題としている。
【解決手段】中温性微生物と被処理水とが収容されている生物処理槽と、前記被処理水に浸漬された状態で前記生物処理槽内に収容されており酸素を含む気体を散気するための通気孔が前記被処理水に接する表面に複数形成されている散気体が備えられた散気手段とを用いて、該散気手段により前記散気を実施しつつ前記被処理水を中温性微生物で生物学的に処理する生物処理方法であって、散気体の前記表面を所定温度に維持して前記散気を実施させることを特徴とする生物処理方法などを提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、生物処理方法及び生物処理装置に関し、より詳しくは、中温性微生物を用いた生物処理方法及び生物処理装置に関する。
従来、排水処理などにおいて微生物を用いた生物処理が広く行われている。
例えば、有機性排水などの被処理水を好気性微生物とともに生物処理槽に収容させて、該生物処理槽内に空気などの酸素を含む気体の小泡を発生させて好気性微生物に酸素を供給して有機物等を分解させることが行われたりしている。
この生物処理に用いられる好気性微生物としては、生物処理槽内に収容されている被処理水の特別な温度管理を必要とせず、常温に近い15〜30℃の状態で生物処理させることができることなどから、中温性微生物などと呼ばれる生育の至適温度が、25〜40℃の好気性微生物が広く用いられている。
このような生物処理においては、使用動力などを低減させて、より効率良く処理を実施させることが求められている。
ところで、生物処理槽内における空気などの気泡の発生には、通常、散気体を備えた散気手段が用いられている。
この散気体には、散気する気体を通過させるための通気孔が複数形成されたセラミック多孔質体、樹脂製多孔質体、弾性体膜などが用いられている(下記特許文献1参照)。
この散気手段には、通常、この散気体に空気などの気体を供給するブロアなどの送風機が用いられている。
この送風機は、生物処理槽の槽底部に配された散気体から気泡を発生させるべく、散気体が設置されている箇所における水圧と、散気体の圧損とを加えた圧力以上の圧力で気体を送風している。
なお、通常、送風機から散気体までは配管が設けられ、該配管により散気体に気体が供給されているがこの配管部分における圧損は散気体の圧損などに比べごく僅かであり、送風機にかかる負荷は、通常、散気体の圧損と水圧とによって定まる。
散気体は、発生させた気泡を被処理水中により長い間滞留させるべく、通常、生物処理槽の底部に配されているため、水圧を減少させることは実質困難であり、送風機の運転動力を抑制させるためには散気体の圧損を減少させることが有効な手段となる。
ところで、散気体は、通常、セラミック多孔質体、樹脂製多孔質体や弾性体膜の表面を被処理水に接触させた状態で用いられており、通気孔が目詰まりを起こしやすい状態で用いられている。
そのため、散気体の圧損は、通常、運転時間の経過とともに増大している。
この運転時間の経過にともなう圧損の増大については、その運転を止めることなく抑制させる抑制策が確立されてはいない。
すなわち、従来の生物処理においては散気のための動力が運転時間の経過とともに増大されており、処理効率が時間とともに低下するという問題を有している。
特開2003−320388号公報
本発明は、上記問題点に鑑み、運転時間の経過とともに処理効率が低下することを抑制し得る生物処理方法ならびに、処理効率の低下を抑制させ得る生物処理装置の提供を課題としている。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく散気体における目詰まり抑制方法について鋭意検討を行った結果、中温性微生物による生物処理においては、空気などの散気体に供給される気体が加圧された状態で散気体に導入されていることで気体の温度が、通常、60〜100℃程度の高温状態となっており、被処理水と接する散気体の表面温度が、通常、中温性微生物の生育の至適温度となっていること、ならびに、このことで中温性微生物による付着物が多く発生して散気体の圧損を増大させていることを見出した。
また、散気体の表面の温度を、0℃を超え30℃以下に維持して前記散気を実施させることで中温性微生物の付着を抑制させることができ、運転時間の経過にともなう散気体の圧損の上昇を抑制させ得ることを見出し本発明の完成に到ったのである。
すなわち、本発明は、前記課題を解決すべく、中温性微生物と被処理水とが収容されている生物処理槽と、前記被処理水に浸漬された状態で前記生物処理槽内に収容されており酸素を含む気体を散気するための通気孔が前記被処理水に接する表面に複数形成されている散気体が備えられた散気手段とを用いて、該散気手段により前記散気を実施しつつ前記被処理水を中温性微生物で生物学的に処理する生物処理方法であって、前記散気体の前記表面の温度を、0℃を超え30℃以下に維持して前記散気を実施させることを特徴とする生物処理方法を提供する。
また、本発明は、前記課題を解決すべく、被処理水が中温性微生物とともに収容されて前記中温性微生物で生物学的に処理される生物処理槽と、前記被処理水に浸漬された状態で前記生物処理槽内に収容され酸素を含む気体を散気するための通気孔が前記被処理水に接する表面に複数形成されている散気体を有する散気手段とが備えられている生物処理装置であって、散気体の前記表面の温度を、0℃を超え30℃以下に維持して前記散気を実施させ得るように前記表面の温度を調整する温度調整手段がさらに備えられていることを特徴とする生物処理装置を提供する。
本発明によれば、散気体の表面が30℃以下に維持されて散気が実施されることから中温性微生物による付着物が散気体表面に形成されることを抑制でき、生物処理における運転時間の経過にともなう散気体の圧損の上昇を抑制させ得る。
したがって、散気のための動力が運転時間の経過とともに増大することを抑止させることができ生物処理の処理効率が運転時間の経過とともに低下することを抑制させ得る。
また、本発明によれば、運転時間の経過にともなう処理効率の低下が抑制された生物処理装置を提供し得る。
以下に有機性排水を被処理水とした中温性微生物での生物処理を例に、添付図面を参照しつつ、説明する。
まず、生物処理に用いる装置について説明する。
本実施形態の生物処理装置には、有機性排水が中温性微生物(中温性好気性微生物、中温性通性嫌気性微生物等)とともに収容されて前記中温性微生物で生物学的に処理される生物処理槽と、該生物処理槽内で酸素を含む気体を散気するための散気手段とが備えられており、前記散気手段には、前記被処理水に浸漬された状態で前記生物処理槽内に収容されており前記気体を散気するための通気孔が前記被処理水に接する表面に複数形成されている散気体が備えられている。
そして、前記散気体の前記表面を所定温度(0℃を超え30℃以下、好ましくは、0℃を超え25℃以下)に維持して前記散気を実施させ得るように前記表面の温度を調整する温度調整手段がさらに備えられている。
図1は、この生物処理装置の概略を表す斜視図であり、10は、有機性排水Aが中温性微生物とともに収容されて中温性微生物で生物学的に処理される生物処理槽を表しており、11は、有機性排水Aなどを貯留するための槽本体部である。
この生物処理槽10の槽本体部11には、通常、15〜30℃の温度で有機性排水Aが収容されている。
また、この有機性排水Aとともに収容されている中温性微生物は、生育の至適温度が、25〜40℃の好気性微生物である。
この槽本体部11は、槽底12が略平坦に形成されており、この槽底12から上方に立設された側壁13が四面に配されて内部に略直方体形状の収容スペースが形成されている。
また、槽本体部11の収容スペースの上面に相当する部分は、四つの側壁13の上端縁により画定された長方形の開口領域が形成されており、該開口領域は、生物処理装置の運転時には開放状態または覆蓋(図示せず)等で覆われた状態とされる。
20は、散気手段を表しており、21は、ブロアなどの送風機(図示せず)により圧送された空気が流通される本管であり、該本管21は、前記槽本体部11の側壁13の上端部と略同一高さに位置し、槽本体部11の上部開口領域の側方を槽本体部11の一側壁に略平行して水平方向に延在されて配されている。
22は、前記本管21から分岐したライザー管であり、23は、本管21からライザー管22を通じて導入される加圧空気を散気体に分配するためのヘッダー管である。
さらに、24は、該ヘッダー管23に接続された散気体である。
ヘッダー管23には、分岐配管23aが形成されており、前記散気体24は、この分岐配管23aを通じて空気が供給されるべくヘッダー管23に接続されている。
すなわち、本実施形態の生物処理装置における散気手段には、本管21、ライザー管22、ヘッダー管23などといった散気体24に空気を供給するための気体供給配管が備えられている。
また、本実施形態の生物処理装置には、散気体24の表面を所定温度(0℃を超え30℃以下、好ましくは、0℃を超え25℃以下)に維持して散気を実施させるための前記温度調整手段として前記散気体24によって散気される気体を予め冷却する気体冷却機構が備えられている。
この気体冷却機構としては、本実施形態においては、前記送風機から前記散気体24に空気を流通させるための本管21から分岐配管23aにいたる気体供給配管を冷却することにより散気体24に供給する空気を冷却する配管冷却機構が備えられている。
しかも、本実施形態においては、この配管を冷却する機構として、生物処理槽10の槽本体部11に収容されている有機性排水Aで前記ライザー管22を冷却することにより散気体24に供給する空気を冷却する機構が設けられている。
この配管冷却機構について、より詳細に説明すると、生物処理槽10の槽本体部11に収容されている有機性排水Aを散気体24に供給する空気の冷却に利用すべく、前記ライザー管22は、本管21からヘッダー管23にかけて直線的に配置されておらず、有機性排水に浸漬される箇所において槽本体部11の内部を周回した後にヘッダー管23に接続されるように形成されている。
すなわち、前記ライザー管22は、槽本体部11に収容されている有機性排水Aの中に槽本体部11の上方側から進入する箇所においては、本管21に略平行する槽本体部11の一側壁の内壁面に沿って槽底12に向かって垂直に下降する状態に配されている(以下、「第一垂直区間22a」ともいう)。
そして、有機性排水Aの液面Hを通過した後においては、ライザー管22は、その延在方向が略水平方向となるように直角に曲折されている。
この曲折された後には、第一垂直区間22aが配置されている側壁から他の3つの側壁(槽本体部11の内壁面)に沿って周回した後に再び第一垂直区間22aが配置されている側壁の略中央部に到る周回区間が形成されている(以下「周回区間22b」ともいう)。
さらに、この周回区間の終端部からは、再び垂直下方に直角に曲折され、槽底12まで達する垂直区間が形成されている(以下「第二垂直区間22c」ともいう)。
好気的な生物処理に用いられる一般的な生物処理装置においては、通常、ブロアにより水深3〜6m程度の槽底に浸漬された散気体に秒速3〜8mの流速で空気が送風されているが、このときブロアで加圧されることによりブロア通過後の空気の温度は、60〜100℃となる。
従来の生物処理装置においては、この60〜100℃の空気が本管、ライザー管、ヘッダー管を経て散気体に導入されて、散気体の表面温度が高い場合には40℃程度ともなっている。そして、散気体の表面温度が25℃を超え30℃までは、菌類、微生物、微生物代謝物、有機物、無機物等の集合体である汚泥スライムが散気体に若干付着し、30℃を超えるとさらに汚泥スライムの散気体への付着量が大きく増加して、該散気体の通気孔を閉塞させてしまうおそれがある。
すなわち、従来の生物処理装置においては、運転開始後に時間経過に応じて圧損が増大してブロアなどの送風機の動力負荷が増大するおそれがあるが、一方で、本実施形態においては、ライザー管22に周回区間22bが設けられていることから、ヘッダー管23に導入されるまでにライザー管22内部で空気を冷却させることができ散気体24の表面温度を30℃以下に維持しつつ散気を実施させ得る。
したがって、散気体24の通気孔を閉塞させてしまうおそれを低減でき、運転時間の経過に伴う圧損の増大を抑制させ得る。
なお、散気体の表面は、常時、所定温度(0℃を超え30℃以下、好ましくは、0℃を超え25℃以下)に維持されることが好ましいが、必ずしも、常時、所定温度(0℃を超え30℃以下、好ましくは、0℃を超え25℃以下)に維持させなくとも、通常、散気期間(ブロア運転期間)の20%以上の期間、散気体の表面を所定温度(0℃を超え30℃以下、好ましくは、0℃を超え25℃以下)に維持させることで散気体24の通気孔の閉塞を抑制させ得ることができ、好ましくは散気期間(ブロア運転期間)の60%以上の期間、散気体の表面を上記所定温度に維持させることで散気体24の通気孔の閉塞をより抑制させ得る。
なお、通常、散気期間(ブロア運転期間)の20%以上の期間、散気体の表面温度を0℃を超え25℃以下に維持させることで散気体24の通気孔の閉塞をいっそう顕著に抑制させ得る。
このとき、散気を実施する期間中、散気体24の表面温度を、例えば、散気期間(ブロア運転期間)の20%以上の期間、30℃以下に維持しつつ散気を実施させるためには、散気体24からの散気量にもよるが、通常、散気体24に導入される時点の空気の温度を30℃以下とすればよい。
この散気体24に導入される時点の空気の温度を30℃以下とするためには、例えば、内部の直径106.3mm、厚み4mmのステンレス鋼製のライザー管に3.5m/秒の流速で空気を流通させる場合であれば、ライザー管22の水中浸漬部の長さを10〜15mとすればよい。
槽本体部11を一周周回させるだけでは、この求められるライザー管22の全長に至らない場合には、生物処理装置を図2に示すような他の形態とすることも可能である。
この図2は、他の実施の形態にかかる生物処理装置の概略斜視図であり図中に示されているように、周回区間22bが槽本体部11を二周する状態にライザー管22が形成されており、しかも、開閉弁B1、B2、B3が設けられて、ブロアにより供給された空気を槽本体部11内部を一周周回させて散気体24に導入させる場合(開閉弁B1、B3を「閉」、開閉弁B2を「開」)と、槽本体部11内部を二周周回させて散気体24に導入させる場合(開閉弁B1、B3を「開」、開閉弁B2を「閉」)とに空気の流路を切り替え得るようになっている。
この図2に示すような生物処理装置を用いることにより、槽本体部11に収容された有機性排水の温度が上昇して空気の冷却能力が低下した場合や、求められる散気量が増大してライザー管22内の空気の流速を増大させなければならない場合などにおいても、散気体24に供給される空気をより確実に冷却させ得る。
なお、伝熱面積を増大させて、ライザー管22を通過する間の空気の冷却効果を高めるべくライザー管22の内外の壁面に針状あるいは板状の突起を設けることもできる。
また、ライザー管22を構成する管材については、金属製や樹脂製など適用可能であるが、熱伝導率の大きなステンレス等の鋼管を使用すれば単位長さ当りの冷却効果が大きく、樹脂製管等に比べ配管長さが短くて済み、より好ましい。
なお、上記においては、本管21を有機性排水の液面より上に設ける場合を例示しているが、本管21を有機性排水に浸漬させた状態で配置して、有機性排水の液面下でライザー管と接続させることで、散気体24に導入される時点の空気の温度を30℃以下とすることもできる。
すなわち、本管21及びライザー管の両方で気体を冷却するようにしてもよい。
また、上記のように、ライザー管22に、第一垂直区間22a、周回区間22b、第二垂直区間22cを設ける構成に代えて、本管21や、有機性排水の液面に侵入する以前のライザー管22にウォータージャケットなどを設けて配管冷却機構を構成させることもできる。
また、ライザー管22に、第一垂直区間22a、周回区間22b、第二垂直区間22cを設ける構成と、有機性排水の液面に侵入する以前のライザー管22にウォータージャケットなどを設ける構成とを組み合わせて配管冷却機構を構成させることもできる。
さらに、このような配管冷却機構に代えて、ブロア通過後の空気をフィンチューブ式の熱交換器などで冷却する気体冷却機構を採用することもできる。
なお、先述のような配管冷却機構を採用することにより、ブロアの運転開始直後から運転終了までの期間、すなわち、散気が実施される期間において自動的に空気が冷却されることとなる。
特に、ライザー管22の有機性排水に浸漬された区間の長さを通常の生物処理槽に比べて長大なものとして散気する気体の冷却を行う場合や、本管21を有機性排水に浸漬させた状態で配置して散気する気体の冷却を行う場合などにおいては、例えば、冷凍機などを用いて冷却された冷媒をウォータージャケットやフィンチューブ式の熱交換器に流通させる場合に比べて、冷媒が所定温度に冷却されるまでのタイムラグなどを生じることなく、散気を実施する間、常に、散気する気体の冷却が実施されることとなり、散気実施期間中常に散気体表面温度を30℃以下とさせ得る。
また、例えば、ライザー管22の配管長を変更することで散気実施期間中常に散気体表面温度を25℃以下とすることも容易である。
前記散気体24としては、空気などの酸素を含む気体を散気するための通気孔が有機性排水に接する表面に複数形成されているものであればどのようなものであってもよく、例えば、メンブレンなどと呼ばれる弾性体膜や布製の膜を備えたもの、セラミックや硬質樹脂、軟質樹脂により形成された多孔質体、あるいは、スパージャーなどと呼ばれる管体に小孔が複数形成されたものなど種々のものを採用することができる。
なお、要すれば、上記に説明したような気体冷却機構を設ける構成に代えて、例えば、内部に冷媒などの流通流路が形成されたセラミック多孔質体などを用いて、冷媒でセラミック多孔質体を冷却しつつ散気を実施させることにより散気体の表面を所定温度(0℃を超え30℃以下、好ましくは、0℃を超え25℃以下)とさせる温度調整手段を用いることもできる。
なお、ここでは詳述しないが、従来の生物処理装置に用いられている搬送機構、センシング機構、制御機構など種々の構成を本実施形態の生物処理装置にも採用することができる。
次いで、このような生物処理装置を用いて、有機性排水が15〜30℃の温度で水深3〜6m程度に槽本体部に収容されている生物処理槽と、槽底部に浸漬された散気体に秒速3〜8mの流速で空気を送風して散気を実施させる場合を例に生物処理方法を説明する。
まず、中温性微生物が収容されている槽本体部11に有機性排水Aを収容して、ブロアで、本管21、ライザー管22、ヘッダー管23を通じ、さらに、分岐配管23aを通じて散気体24に空気を供給し散気を実施させる。
そして、ブロアから排出される、通常、60〜100℃の空気を、本管21からライザー管22に導入して、このライザー管22の、特に、周回区間22bにおいて冷却させて30℃以下で散気体24の通気孔から散気させる。
そして、この配管冷却機構により、散気体24に導入させる空気を冷却することで散気体24の表面を所定温度(0℃を超え30℃以下、好ましくは、0℃を超え25℃以下)とさせる。
なお、散気体24の目詰まりの発生をいっそう防止させ得る点からは、散気期間の20%以上の時間において、散気体の表面温度を0℃を超え25℃以下の状態としつつ散気を実施させることが好ましい。また、散気体24の目詰まりの発生をよりいっそう防止させ得る点からは、散気期間の60%以上の時間において、散気体の表面温度を0℃を超え25℃以下の状態としつつ散気を実施させることがより好ましい。
この散気体24の表面温度については、例えば、表面温度計などを用いて散気体24の略中央部分の表面温度を測定して求めることができる。
要すれば、散気体24の略中央部分に温度センサーを取り付けておき、有線または無線でこの温度センサーの情報を常時モニタリングさせて、該モニタリング結果に基づいて運転方法を制御して散気を実施させることも可能である。
さらには、散気体24の温度を測定することなく、予め、ブロアから排出される空気の温度、槽本体部11に収容されている有機性排水Aの温度、ライザー管22を通過する空気の流速などと、散気体24の表面温度との関係を求めておいて、ブロアから排出される空気の温度を測定することで散気体24の表面温度をシミュレートし、該シミュレート結果に基づいてライザー管22を通過する空気の温度を気体冷却機構などで調整するなどして散気体24の表面温度を、0℃を超え30℃以下、あるいは、0℃を超え25℃以下となるよう調整して散気を実施させることも可能である。
なお、本実施形態においては、被処理水として有機性排水を例に説明したが、本発明においては被処理水を有機性排水に限定するものではない。
また、散気する気体として空気を例に説明したが、本発明においては、酸素を含む気体を空気に限定するものではない。
また、本実施形態においては、装置構成が従来の生物処理装置に比べて複雑化することを防止でき、しかも、散気する気体の冷却にかかる動力を殆ど必要としない点において、散気体の表面を所定温度(0℃を超え30℃以下、好ましくは、0℃を超え25℃以下)に維持して散気を実施させるための温度調整手段として、主として、生物処理槽に収容された有機性排水で気体供給配管を冷却する冷却機構を例に説明したが、本発明においては、温度調整手段を上記に例示のものに限定するものではない。
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
1)生物処理条件
使用微生物:中温性微生物(中温性好気性微生物等)
散気に用いる気体:空気
生物処理槽内の固形分濃度(MLSS):2000〜4000mg/L
生物処理槽内の有機性排水:液温約18〜28℃
有機性排水:平均滞留時間約13h
2)散気手段
本管:内径500mmのSUS配管、屋内配設区間100m、屋外配設区間39m(合計長さ139m)
ライザー管:内径106.3mm(外径114.3mm)、長さ約4.4m(有機性排水に浸漬されている区間の長さ)
ヘッダー管:全長4m
散気体:ポリエチレン製多孔質散気筒(ヘッダー管の左右に15本ずつ計30本の散気筒を設置)
散気体設置位置:水深4.5mの位置
3)温度調整手段
ライザー管への供給空気を下記表1となるよう冷却して散気を実施した。
4)評価方法
上記条件において散気体表面温度を約23℃に維持して散気を実施して生物処理を実施した。
なお、散気体表面温度は、SUS製ライザー管の熱伝導率を16.3W/(m・K)、生物処理槽内の被処理水の熱伝達率を340W/(m2・K)、ライザー管内空気の熱伝達率を250W/(m2・K)として計算により求めた。
また、上記条件により運転を開始した後、約3ヶ月経過した後の圧損を以下により求めた。
ライザー管内の圧力を測定するための圧力センサーを設置するとともに、生物処理槽の水位センサー指示値から散気体にかかる水圧を算出し、前記圧力センサーの指示値からこの水圧を減じた値を圧力損失(圧損)とした。
結果を表1に示す。
(実施例2)
表1に示す温度の空気をライザー管に供給して、散気体の表面温度を約29℃に維持しつつ生物処理を実施した以外は、実施例1と同様に生物処理を実施して評価を実施した。
結果を表1に示す。
(比較例1)
表1に示す温度の空気をライザー管に供給して、散気体の表面温度を31℃に維持しつつ生物処理を実施した以外は、実施例1と同様に生物処理を実施して評価を実施した。
結果を表1に示す。
この表からも、本発明によれば、中温性微生物を用いた生物処理における運転時間の経過にともなう散気体の圧損の上昇を抑制させ得ることがわかる。
なお、使用前(新品)の散気体の様子を示す外観写真、この散気体を空気の冷却などを実施せずに表面温度が32〜43℃となる状態で約7ヶ月使用した後の様子を示す外観写真をそれぞれ図3、図4に示す。
また、図3に示す散気体と同じ材質で形成された試験片の生物処理槽浸漬前の様子を示す外観写真、ならびに、この試験片を、その表面温度が18〜28℃となる条件で散気体直近に約7ヶ月間配置した後の様子を示す外観写真を図5、図6に示す。
この図3〜6からも、表面温度が32〜43℃となる状態では、散気体全体に付着物が生じて、該付着物により圧損が増大することがわかる。
また、表面温度が18〜28℃となる状態では、付着物が殆ど生じないこともこの図からわかる。
図1は、一実施形態の生物処理装置を示す概略斜視図である。 図2は、他実施形態の生物処理装置を示す概略斜視図である。 使用前の散気体の様子を示す外観写真。 図3の散気体を、空気の冷却などを実施せずに表面温度が32〜43℃となる状態で約7ヶ月使用した後の様子を示す外観写真。 図3に示す散気体と同じ材質で形成された試験片の生物処理槽浸漬前の様子を示す外観写真。 図5の試験片を、その表面温度が18〜28℃となる条件で散気体直近に約7ヶ月間配置した後の様子を示す外観写真。
符号の説明
10:生物処理槽、11:槽本体部、12:槽底、13:側壁、20:散気運転、21:本管、22:ライザー管、22a:第一垂直区間、22b:周回区間、22c:第二垂直区間、23:ヘッダー管、23a:分岐配管、24:散気体、B1、B2、B3:開閉弁、H:液面

Claims (6)

  1. 中温性微生物と被処理水とが収容されている生物処理槽と、前記被処理水に浸漬された状態で前記生物処理槽内に収容されており酸素を含む気体を散気するための通気孔が前記被処理水に接する表面に複数形成されている散気体が備えられた散気手段とを用いて、該散気手段により前記散気を実施しつつ前記被処理水を中温性微生物で生物学的に処理する生物処理方法であって、
    前記散気体の前記表面の温度を、0℃を超え30℃以下に維持して前記散気を実施させることを特徴とする生物処理方法。
  2. 前記散気体の表面温度を、0℃を超え25℃以下に維持して前記散気を実施させる請求項1記載の生物処理方法。
  3. 被処理水が中温性微生物とともに収容されて前記中温性微生物で生物学的に処理される生物処理槽と、前記被処理水に浸漬された状態で前記生物処理槽内に収容され酸素を含む気体を散気するための通気孔が前記被処理水に接する表面に複数形成されている散気体を有する散気手段とが備えられている生物処理装置であって、
    散気体の前記表面の温度を、0℃を超え30℃以下に維持して前記散気を実施させ得るように前記表面の温度を調整する温度調整手段がさらに備えられていることを特徴とする生物処理装置。
  4. 前記温度調整手段には、前記散気前に前記気体を冷却する気体冷却機構が用いられている請求項3記載の生物処理装置。
  5. 前記散気手段には、前記散気体に前記気体を供給するため気体供給配管が備えられており、しかも、前記気体冷却機構として、前記気体供給配管を冷却して該気体供給配管内の前記気体を冷却する配管冷却機構が備えられている請求項4記載の生物処理装置。
  6. 前記生物処理槽に収容された被処理水で前記気体供給配管を冷却する配管冷却機構が備えられている請求項5記載の生物処理装置。
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