JP2008300225A - ノンハロゲン難燃電線及びノンハロゲン難燃ケーブル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属導体の外周に絶縁体が被覆されたノンハロゲン難燃電線において、前記絶縁体が、モノマー単位で結晶性ポリプロピレンを51〜85%モル含むリアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂50重量部を超え100重量部未満とポリオレフィンとのブレンド物100重量部に対し、金属水酸化物を40〜300重量部含む。
【選択図】 図1
Description
この知見を基に、以下、本発明を実施するための最良の形態を説明するが、この実施の形態は例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能である。
ノンハロゲン難燃電線・ケーブルは、図1に示すように、断面が丸形状で長尺な金属導体1の外周を、絶縁体の絶縁層2で被覆したものである。なお、ノンハロゲン難燃電線及びノンハロゲン難燃ケーブルの断面形状は丸形状に限らず、板状の銅板よりスリット加工したり、丸線を圧延したりして得た平角状の金属導体に絶縁層を被覆したものでもよい。
また、難燃電線・ケーブルは、金属導体に絶縁体が被覆されていればよく、他の実施形態としては、金属導体1の外周を絶縁層2で被覆し、更にその外周をシース層3で被覆した構造のもの、或いは、図3に示すように、金属導体1を絶縁層2で被覆したものを複数本撚り合わせ、それらの外周をシース層3で被覆した構造のものなどが挙げられる。
特に、結晶性ポリプロピレンの構成比をモノマー単位で51〜85モル%の範囲内にすることにより、得られるリアクターブレンド型の熱可塑性エラストマーは、分散相となる成分が径1μm以下程度に微細に分散され、明確な海島構造を持たずに相互貫入網目構造を持つことができる。これによって性状の異なるポリオレフィンのそれぞれの長所を両立でき、耐油性及び可撓性に優れたベース材料を得ることができる。
ポリオレフィンに結晶性樹脂を選択するときは硬くなり、電線・ケーブルとしたときに可撓性が損なわれるため、リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂60〜90重量部に対してポリオレフィン10〜40重量部でブレンドするのが好ましい。
また、ポリオレフィンに極性ゴムを選択するときは、リアクターブレンド型ポリオレフィン系熟可塑性樹脂50〜90重量部に対してポリオレフィン10〜50重量部であることがより好ましい。
更に、難燃剤として用いる金属水酸化物は、表面にシラン処理を施すことで、樹脂中に分散するときの凝集防止を図れると共に、樹脂との密着性が増し強度の改善を行うことができる。
またポリオレフィンを極性ゴムから選択する際には、リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂とポリオレフィンとの粘度差が大きく、単純ブレンドでは分散が悪くなり、所望の特性を得がたいので、ニーダ、バンバリミキサなどの密閉型混線機を用いてゴムを架橋分散させたものが特性上好ましい。
また、上記樹脂組成物には、必要に応じて酸化防止剤、着色剤、充填剤、滑剤等を適宜加えても良い。
図4には、実施例における絶縁体(樹脂組成物)の組成と各種特性の評価試験の結果を示し、図5には、比較例における絶縁体(樹脂組成物)の組成と各種特性の評価試験の結果を示す。
評価試験に用いた試料は、図4に示す実施例の組成の樹脂組成物、及び図5に示す比較例の組成の樹脂組成物を、厚さ2mmのシート状に押出成形して作製した。これら試料に対して、初期の引張強さ及び引張伸び試験、耐熱性試験、耐油性試験を行った。
また、難燃性、配線性の評価試験に用いた難燃電線は、図1に示す構造であって、7本撚りの銅線で導体外径3.6mmとした金属導体1に、図4及び図5に示す樹脂組成物を押出成形により被覆して外径を12mmの被覆層2を形成した。この難燃電線を用いて配線性試験を行った。
TPO:ポリオレフィン系熱可塑性樹脂
リアクター型TPO−A(密度:0.87g/cm3、MI:7g/10min、結晶性ポリプロピレン単位:51モル%)
リアクター型TPO−B(密度:0.87g/cm3、MI:7g/10min、プロピレン単位:63モル%)
リアクター型TPO−C(密度:0.89g/cm3、MI:7g/10min、プロピレン単位:45モル%)
リアクター型TPO−D(密度:0.89g/cm3、MI:7g/10min、プロピレン単位:90モル%)
直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.92g/cm3、MI:2g/10min)
ランダムタイプポリプロピレン(密度:0.90g/cm3、MI:11g/10min)
アクリロニトリルブタジエンゴム(結合アクリロニトリル量:32%)
難燃剤(水酸化マグネシウム、平均粒子径:1.0μm)
酸化防止剤(フェノール系老化防止剤)
滑剤(脂肪酸アマイド)
(1)初期の引張強さ及び引張伸び試験
JIS C−3005に準拠して厚さ2mmのシート状の試料を用い、500mm/minの速度で引張強さ試験を実施した。初期の引張強さは13MPa以上、引張伸び率は300%以上を目標値とした。
引張伸び率は次式(a)で算出する。
(a)引張伸び率(%)=[(引張試験後の試料長)−(引張試験前の試料長)]×100/(引張試験前の試料長)
上記初期の引張試験に用いた試料を、JIS C−3005に準拠した恒温槽内に100℃で96時間暴露処理した後、冷却した試料に対して、引張試験を行って、引張強さ残率及び引張伸び残率を測定した。引張強さ残率及び引張伸び残率は、60%以上を目標値とした。
引張強さ残率及び引張伸び残率は、次式(b)及び(c)で算出する。
(b)引張強さ残率(%)=(試験後の引張強さ)×100/(試験前の引張強さ)
(c)引張伸び残率(%)=(試験後の引張伸び)×100/(試験前の引張伸び)
上記初期の引張試験に用いた試料を、JIS C−3005に準拠して、120℃に加熱したIRM−902試験油中に4時間浸漬した後、油を拭き取り、室温で4時間冷却した試料に対して引張試験を行って、引張強さ残率及び引張伸び残率を測定した。引張強さ残率及び引張伸び残率は、80%以上を目標値とした。
上述した難燃電線(長さ約300mm)を、JIS C−3005に準拠して水平面から60度傾斜させ、該電線の上端と下端を把持した。そして、バーナー内炎の先端を電線の下端から約20mmの位置に、30秒以内で燃焼するまで当て、バーナーを取り去った後に、燃焼の程度を目視にて確認した。ここで、バーナー炎は、内炎35mm、外炎130mmとした。バーナーを取り去ってから燃焼が継続することなく60秒以内で自己消炎したものを“合格”、60秒以上燃焼が継続するものを“不合格”とした。
上述した難燃電線を、90度に曲げたガス管内に電線を押し込んで、電線の通過性を軟質PVC被覆の難燃電線と比較し、軟質PVC被覆の難燃電線と同等以上なら“○(合格)”、そうでないなら“×(不合格)”とした。
図4に示したように、実施例1〜9における組成物には、オレフィン系ポリマー100重量部に対して、酸化防止剤1重量部と滑剤1重量部が加えられている。
実施例1〜9は、結晶性ポリプロピレンをモノマー単位で51〜85モル%含むリアクター型ポリオレフィン熱可塑性樹脂が用いられている。例えば、実施例1では、リアクター型TPO−Aが、80重量部、ランダムタイプポリプロピレンが20重量部、かつ難燃剤が40重量部の配合組成となっている。
図5に示したように、比較例1〜6における組成物も、オレフィン系ポリマー100重量部に対して、酸化防止剤1重量部及び滑剤1重量部が加えられている。
しかしながら、比較例1〜6では目標とする特性を満足できなかった。
比較例1〜2では、ブレンド物100重量部において、リアクター型ポリオレフィン熱可塑性樹脂50重量部、100重量部であり、耐油性における引張強さ残率が80%未満であり耐油性を満足しなかった。
比較例3のように結晶性ポリプロピレンを51モル%未満しか含んでいないリアクター型TPOを用いたものは、耐油性における引張強さ残率が80%未満であり耐油性を満足しなかった。
比較例4のように結晶性ポリプロピレンを85モル%超えて含んだリアクター型TPOを用いたものは、難燃性及び配線性を満足できなかった。
比較例5では、難燃剤が40〜300重量部の範囲になく、難燃性を満足できなかった。
比較例6では、結晶性ポリプロピレンをモノマー単位で51〜85モル%の範囲で含んでいないリアクター型ポリオレフィン熱可塑性樹脂が用いられ、かつ難燃剤が40〜300重量部の範囲になく、配線性を満足できなかった。
2 絶縁層
3 シース層
Claims (6)
- 金属導体の外周に絶縁体が被覆されたノンハロゲン難燃電線において、前記絶縁体が、モノマー単位で結晶性ポリプロピレンを51〜85%モル含むリアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂50重量部を超え100重量部未満とポリオレフィンとのブレンド物100重量部に対し、金属水酸化物を40〜300重量部含むことを特徴とするノンハロゲン難燃電線。
- 前記ブレンド物が、前記リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂60〜95重量部に対し、前記ポリオレフィンを5〜40重量部含むことを特徴とする請求項1に記載のノンハロゲン難燃電線。
- 前記ポリオレフィンが、結晶性樹脂又は極性ゴムのうち少なくとも1種以上を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のノンハロゲン難燃電線。
- 金属導体の外周に絶縁体が被覆されたノンハロゲン難燃ケーブルにおいて、前記絶縁体が、モノマー単位で結晶性ポリプロピレンを51〜85%モル含むリアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂50重量部を超え100重量部未満とポリオレフィンとのブレンド物100重量部に対し、金属水酸化物を40〜300重量部含むことを特徴とするノンハロゲン難燃ケーブル。
- 前記ブレンド物が、前記リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂60〜95重量部に対し、前記ポリオレフィンを5〜40重量部含むことを特徴とする請求項4に記載のノンハロゲン難燃ケーブル。
- 前記ポリオレフィンが、結晶性樹脂又は極性ゴムのうち少なくとも1種以上を含むことを特徴とする請求項4又は5に記載のノンハロゲン難燃ケーブル。
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