JP2008298144A - 転がり接触面の表面加工方法 - Google Patents

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宏樹 藤原
Takatsugu Furubayashi
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Abstract

【課題】転がり接触面に、動圧発生面を形成する微小な浅い凹部2と、この動圧発生面を形成する凹部2よりも深い凹部3を精度よく形成する。
【解決手段】動圧発生面を形成する微小な浅い凹部2をレーザー加工又はエッチング加工により形成し、この動圧発生面を形成する凹部2よりも深い凹部3を、マイクロブラスト加工によって形成することにより、転がり接触面に、二つの異なる深さの凹部2、3を効率的に精度良く配置できるようにした。
【選択図】図1

Description

この発明は、転がりを主体とする相対運動によって摩擦低減を実現する転がり軸受などの機械要素であって、特に、頻繁に起動停止する稼動条件や揺動運動、あるいは低速かつ高荷重といった稼動条件に好適な転がり接触面の表面加工方法に関するものである。
転がり軸受などの転がり接触部では、物体の相対運動によって物体間に介在する流体の動圧効果によって流体潤滑状態とすることにより、物体の直接的な接触を防止して摩擦、摩耗を低減することができる。
ところが、潤滑油が少量の場合や速度が低い場合には、動圧効果が小さく潤滑油膜が形成されないため、固体接触を生じる危険がある。特に、近年は低トルク化のため、低粘度の潤滑油が用いられ、また、外部から供給される潤滑油量も減少しているので、固体接触状態となる可能性がより一層高くなっている。
しかしながら、接触部近傍の潤滑油量が不足していても、接触部の表面が潤滑油を保持していれば潤滑可能であることから、接触面の表面に微細な凹部を多数設けて、この凹部内に潤滑油を保持しようとする技術が特許文献1に開示されている。この技術によって、低速時の境界潤滑性能を向上させることが可能である。
この特許文献1では、バレル加工によって微細な凹部を形成している。バレル加工によって凹部を形成することは、特許文献2にも開示されている。
さらに、ショットブラスト後にバレル加工することにより、転がり部品の表面に微細な凹凸を形成することが、特許文献3に開示されている。
また、特許文献4には、転がり軸受の転動面に凹部を形成する方法として、熱可塑性樹脂と金属粉末を混合し、熱処理時に樹脂を流出させて凹部を形成するという金属粉末射出成形法が紹介されている。
また、特許文献5には、セラミック製転動体の表面のくぼみを潤滑油溜めに用いることが紹介されている。
また、特許文献6には、微小な凸部が形成されたローラを転がり部材の表面に押し当てるローラバニシング加工により、表面に微小な凹部を形成することが紹介されている。
また、特許文献7には、短パルスレーザを照射することにより、転がり摺動面に微小な凹部を形成する方法が紹介されている。
一方、すべり軸受においては、摺動面に油膜厚さ程度の深さの溝を多数形成することによって潤滑性能を向上させる技術が一般的に用いられている。これは、摺動面の深さが溝の存在によって変化するために流体力学的な動圧作用が発生することを利用している。この効果を転がり軸受に適用した例が特許文献8に開示されている。この特許文献8に開示の技術は、相対的に小さい荷重が加わる部位において、すべりが生じる転動体を動圧作用による圧力で軌道輪に押し付け、すべりを防ごうとするものである。ただし、この特許文献8の技術においては、一般の動圧軸受と同様に、接触部には十分な潤滑油が接触部の外部から供給されることが前提となっている。
また、高面圧を支持するスラスト平面すべり軸受に深い凹部を設けた例が非特許文献1に開示されている。これは熱膨張に伴う凹部からの潤滑油の吐出によって、境界潤滑性能を向上させようとするものである。ただし、この技術は流体力学的な動圧効果の発生を目的としたものではない。
特開平02−168021号公報 特開平05−288221号公報 特開平08−232964号公報 特開平10−227313号公報 特開2000−205267号公報 特開2004−116766号公報 特開2005−321048号公報 特開2006−105361号公報 H.Kotera、 A.Mori、 N.Tagawa、 PROPOSAL OF A SEIZURE PREVENTING METHOD IN HEAVILY LOADED SLIDING PAIRS、 Synopses of the International TribologyConferenceKobe、 2005、 D-04
ところで、流体力学的な動圧作用は、主に、流体の粘度、接触面の速度、接触面のくさび形状によって発生する。通常の転がり接触では、部材の接触部は必然的にくさび形状になっているので、一定以上の粘度と速度を与えれば、油膜が形成され、接触面は分離する。
しかしながら、低速での動圧作用を増加させようとするときは、流体の粘度の制御は困難であるから、くさび形状を改善する必要がある。すなわち、マクロな形状によるくさび形状のほかに、ミクロなくさび形状を表面に設けることにより、低速での動圧作用を増加させることが考えられる。
転がり軸受においては、動圧作用を発生する浅い凹部を設けることで、低速での油膜形成性が向上すると考えられる。しかし、低速の場合、接触部への外部からの潤滑油の供給は期待できない。
この発明の発明者らは、頻繁に起動停止する稼動条件や揺動運動、あるいは低速かつ高荷重といった、接触部への外部からの潤滑油の供給が期待できない稼動条件においては、転がり接触部に、潤滑油の存在により動圧作用を発生させる微小な深さの浅い多数の動圧発生凹部を形成し、この動圧発生面に、動圧発生凹部よりも深い潤滑油貯留凹部を設けることにより、深い潤滑油貯留凹部からの潤滑油の供給と浅い微小な多数の動圧発生凹部の動圧作用によって、低速の場合であっても十分な潤滑油膜を形成することができ、接触部の直接接触を防止し、また、極低速でも境界潤滑作用で表面損傷を防ぐことができるということを見出した。
ところが、特許文献1〜8などに記載されている従来の凹部形成方法では、凹部の開口面の大きさや深さをきっちりと制御することができないと共に、凹部の加工部周辺に不要な凸部ができたりする。
したがって、動圧発生面を形成する微小な浅い凹部と、この動圧発生面を形成する凹部よりも深い凹部を、同一の転がり接触面に精度良く設けることができない。
また、凹部を形成する方法として、マイクロブラストと呼ばれる方法もある。この方法は、樹脂や金属で作製したフィルムを加工対象表面にマスキングし、微細砥粒を噴射して加工するものである。この方法では、凹部の形状を精度良く制御することは可能であるが、砥粒の径に対して凹部の直径が十分に大きくなければならない。また、この方法では、マスクがある程度の厚みを持つため、マスクの厚さよりも小さいピッチで凹部を形成しようとすると、マスクのアスペクト比が悪化する。このため、マイクロブラスト加工によって、直径10μm、ピッチ30μmといったオーダーの微小な凹部を作製することはできない。
そこで、この発明は、転がり接触面に、動圧発生面を形成する微小な浅い凹部と、この動圧発生面を形成する凹部よりも深い凹部を精度よく形成することができる表面加工方法を得ようとするものである。
この発明は、動圧発生面を形成する微小な浅い凹部を、レーザー加工又はエッチング加工により形成し、この動圧発生面を形成する凹部よりも深い凹部を、マイクロブラスト加工により形成することにより、転がり接触面に、二つの異なる深さの凹部を効率的に精度良く配置できるようにしたものである。
即ち、二つの異なる深さの凹部の内、浅い凹部をレーザー加工又はエッチング加工により、深い凹部をマイクロブラスト加工により転がり部材の転がり接触面に形成するようにしたのであり、一方の凹部が形成された転がり部材の転がり接触面に、他方の凹部を追加形成するようにしたものである。
位置決め機構を備えたレーザー加工装置により、大きさ、深さ、位置をμm以下のオーダーで精度よく凹部を形成することができ、動圧発生面を形成する微小な浅い凹部であれば短時間での加工が可能である。
エッチング加工は、転がり接触面の表面に、動圧発生凹部の開口パターンが露出し、開口パターン以外の部分がマスキングされたレジストマスクを形成し、次いで、レジストマスクから露出する転がり接触面の表面を、動圧発生凹部の深さまでエッチングした後、レジストマスクを除去して、転がり接触面の表面に動圧発生凹部を形成する方法である。
マイクロブラスト加工による潤滑油貯留凹部の形成方法は、まず、転がり接触面の表面を、潤滑油貯留凹部の開口パターンが露出し、開口パターン以外の部分がマスキングされたマイクロブラスト用マスクによって覆い、マイクロブラスト用マスクから露出する転がり接触面の表面に微細砥粒を噴射するマイクロブラスト加工を行った後、マイクロブラスト用マスクを除去する方法である。
上記動圧発生凹部の加工工程と潤滑油貯留凹部の加工工程とをどちらを先に行うかは自由であるが、動圧発生凹部を先に形成すると、潤滑油貯留凹部の加工工程で、マイクロブラスト用マスクをレジスト液によって形成する場合、動圧発生凹部にマイクロブラスト用マスクを形成するレジスト液が浸入するため、マイクロブラスト用マスクが除去し難くなる。このため、浅い方の動圧発生凹部を後で形成する方が、マイクロブラスト用マスクの除去が容易であるので、まず、深い方の潤滑油貯留凹部を先に形成する方が好ましい。
上記動圧発生凹部の加工工程と潤滑油貯留凹部の加工工程を繰り返すと、3種類以上の凹部を形成することができる。
上記動圧発生凹部と潤滑油貯留凹部の形状としては、独立したポケット形状、溝形状のいずれでも形成することが可能である。
以上のように、この発明によれば、転がり接触面に、動圧発生面を形成する微小な浅い凹部と、この動圧発生面を形成する凹部よりも深い凹部を精度よく形成することができるので、深い潤滑油貯留凹部からの潤滑油の供給と浅い微小な多数の動圧発生凹部の動圧作用によって、低速の場合であっても十分な潤滑油膜の形成能を有し、極低速でも境界潤滑作用で表面損傷が防止された、優れた転がり部材を製造することができる。
転がり部材1の表面に、レーザー加工により動圧を発生させる浅い凹部2を形成し、その後、マイクロブラスト加工により、浅い凹部2が形成された面に、潤滑油貯留凹部となる深い凹部3を形成する、この発明の第1の実施形態を、第1図に基づいて説明する。
まず、第1図(a)に示すように、転がり部材1の表面に、位置決め機構を備えたレーザー加工装置を用いて、レーザー加工により深さ0.1〜1μm程度の浅い凹部2を形成する。
続いて、第1図(b)に示すように、浅い凹部2が形成された転がり部材1の表面に、樹脂製のレジスト膜4を貼り付ける。
この後、第1図(c)に示すように、レジスト膜4の表面を、深い凹部3の開口面のパターン5が印刷されたカバーフィルム6によって覆う。
次に、第1図(d)に示すように、カバーフィルム6の上から紫外線を照射し、カバーフィルム6の光透過部の直下のレジスト膜4を硬化させ、パターン5を印刷した遮光部分の直下のレジスト膜4を未硬化の状態のままにする。この例では、レジスト膜4に紫外線硬化タイプのものを使用したが、逆に、紫外線を照射しない部分が硬化するタイプのレジスト膜を使用してもよく、その場合には、カバーフィルム6のネガとポジを反転したものを使用する。
この後、カバーフィルム6を除去し、レジスト膜4の未硬化部分を除去して、第1図(e)に示すように、転がり部材1の表面に、深い凹部3の開口パターンが露出し、開口パターン以外の部分がマスキングされたマイクロブラスト用マスク7を形成する。
以上の説明では転がり部材1上でマイクロブラスト用マスク7を形成したが、あらかじめ開口パターン部が除去されたシート状のマイクロブラスト用マスク7を転がり部材1に貼り付けてもよい。
次いで、第1図(f)に示すように、マイクロブラスト加工を行い、深い凹部3を形成する。マイクロブラスト加工は、微小砥粒を噴射し、深さ10〜100μm程度の範囲の深い凹部3を形成する方法である。
この後、第1図(g)に示すように、マイクロブラスト用マスク7を除去すると、転がり部材1の表面に、浅い凹部2と深い凹部3が形成される。
次に、転がり部材1の表面に、エッチング加工により動圧を発生させる浅い凹部2を形成し、その後、マイクロブラスト加工により、浅い凹部2が形成された面に、潤滑油貯留凹部となる深い凹部3を形成する、この発明の第2の実施形態を、第2図及び第3図に基づいて説明する。
まず、第2図(a)に示すように、転がり部材1の表面に、レジストを塗布し、予備乾燥させてレジスト膜8を形成する。
この後、第2図(b)に示すように、レジスト膜8の表面を、浅い凹部2の開口面のパターン9が印刷されたカバーフィルム10によって覆う。
次に、第2図(c)に示すように、カバーフィルム10の上から紫外線を照射し、カバーフィルム10の光透過部の直下のレジスト膜8を硬化させ、パターン9を印刷した遮光部分の直下のレジスト膜8を未硬化の状態のままにする。この例では、レジスト膜8に紫外線硬化タイプのものを使用したが、逆に、紫外線を照射しない部分が硬化するタイプのレジスト膜を使用してもよく、その場合には、カバーフィルム10のネガとポジを反転したものを使用する。
この後、カバーフィルム10を除去し、レジスト膜8の未硬化部分を除去して、第2図(d)に示すように、転がり部材1の表面に、浅い凹部2の開口パターンが露出し、開口パターン以外の部分がマスキングされたレジストマスク11を形成する。
次いで、第2図(e)に示すように、エッチング処理を行い、浅い凹部2を形成する。エッチング処理は、エッチング時間、エッチング液濃度、さらに電解エッチングの場合には電圧を制御して、所定の深さの浅い凹部2を形成する。
この後、第2図(f)に示すように、レジストマスク11を除去して、浅い凹部2の形成工程を終了する。
続いて、第3図に示す深い凹部3の形成工程では、第3図(g)に示すように、エッチング加工により浅い凹部2が形成された転がり部材1の表面に、樹脂製のレジスト膜4を貼り付ける。
この後、第3図(h)に示すように、レジスト膜4の表面を、深い凹部3の開口面のパターン5が印刷されたカバーフィルム6によって覆う。
次に、第3図(i)に示すように、カバーフィルム6の上から紫外線を照射し、カバーフィルム6の光透過部の直下のレジスト膜4を硬化させ、パターン5を印刷した遮光部分の直下のレジスト膜4を未硬化の状態のままにする。この例では、レジスト膜4に紫外線硬化タイプのものを使用したが、逆に、紫外線を照射しない部分が硬化するタイプのレジスト膜を使用してもよく、その場合には、カバーフィルム6のネガとポジを反転したものを使用する。
この後、カバーフィルム6を除去し、レジスト膜4の未硬化部分を除去して、第3図(j)に示すように、転がり部材1の表面に、深い凹部3の開口パターンが露出し、開口パターン以外の部分がマスキングされたマイクロブラスト用マスク7を形成する。
次いで、第3図(k)に示すように、マイクロブラスト加工を行い、深い凹部3を形成する。マイクロブラスト加工は、微小砥粒を噴射し、深さ10〜100μm程度の範囲の深い凹部3を形成する方法である。
この後、第3図(l)に示すように、マイクロブラスト用マスク7を除去すると、転がり部材1の表面に、浅い凹部2と深い凹部3が形成される。
この後、第3図(l)に示すように、マイクロブラスト用マスク7を除去して、マイクロブラスト加工を終了する。
以上の浅い凹部2の形成工程と深い凹部3の形成工程により、転がり部材1の表面に、浅い凹部2と深い凹部3の2種類の異なる凹部を規則正しく形成することができる。
上記浅い凹部2の形成工程と深い凹部3の形成工程を適宜繰り返すことにより、転がり部材1の表面に、3種類以上の凹部を形成することもできる。
なお、上記第2の実施形態において、浅い凹部2の開口面のパターンと、深い凹部3の開口面のパターンが同じ場合には、カバーフィルム10と、カバーフィルム6を同じフィルムによって兼用することができる。
この発明の表面形成方法は、円筒ころ軸受のころの転動面、内輪、外輪あるいはころ端面やつば面に適用してもよく、その他、転がり運動するあらゆる機械要素の転がり接触部に適用できる。
以下に、この発明の表面形成方法により、円筒ころ軸受21のころ22の表面に、浅い凹部2として動圧ポケット25を、深い凹部3として潤滑油貯留ポケット24を形成した例について説明する。
上記ころ22の転動面23は、図5又は図6に拡大して示すように、潤滑油の存在により動圧作用を発生させる微小な多数の動圧ポケット25を有する動圧発生面に形成され、この動圧発生面に、上記動圧ポケット25よりも深い潤滑油貯留ポケット24を点在させている。図5又は図6では、動圧ポケット25を白丸で、潤滑油貯留ポケット24を黒丸で表現している。
この図5又は図6の例では、上記浅い動圧ポケット25を、ころ22の転動面23の全面に、均一に配置している。また、図4又は図5では、動圧ポケット25の一部を、潤滑油貯留ポケット24に置き換えたような配置としたが、潤滑油貯留ポケット24並びに動圧ポケット25の互いの位置関係は任意である。
例えば、深い潤滑油貯留ポケット24は、図5に示すように、ころ22の転がりすべり方向(図5の矢印の方向)に、所定間隔で平行に並ぶように点在させてもよいし、図6に示すように、ころ22の転がりすべり方向(図6の矢印の方向)に、所定間隔で千鳥状に点在させてもよい。深い潤滑油貯留ポケット24から吐出された潤滑油26は、ころの転がり運動に伴って、進行方向の後方に移動するので、図5の例のように、潤滑油貯留ポケット24を所定間隔で平行に並ぶように配置すると、潤滑油の表面への分布が、図5に一点鎖線で示すように、平行な筋状になる。また、図6の例のように潤滑油貯留ポケット24を千鳥状に配置すると、図5の例の場合よりも、図6に一点鎖線で示すように、潤滑油26の表面への筋状の分布が概ね倍増する。
また、図5又は図6の例では、潤滑油貯留ポケット24並びに動圧ポケット25の開口面の形状はすべて円形としたが、楕円や多角形などであってもよい。
動圧ポケット25の穴の断面形状及び潤滑油貯留ポケット24の穴の断面形状は、図7に示す通りである。
次に、動圧ポケット25よりも深い潤滑油貯留ポケット24は、潤滑油を貯留することを目的としているので、その体積は大きいほどよい。しかしながら、その開口部では潤滑油に荷重支持に寄与するような動圧は発生しないので、開口部面積は小さい方が望ましい。したがって、転がり軸受に代表される通常の転がり接触機械要素を想定して、潤滑油貯留ポケット24は、小径であって、深穴とする。現在の量産可能な加工技術水準を勘案すれば、直径20〜30μm、深さ100μm程度といった大きさとなる。
一方、動圧ポケット25は、微小な接触領域での動圧の発生を目的としているので、接触部の面積に対して比較的小さく、接触面内に多数あることが望ましい。したがって、直径は20〜30μm以下とする。潤滑油が十分に存在する状態で使用される通常の動圧軸受であれば、動圧作用を効果的に発生させる溝の深さは、油膜厚さ程度の深さであるが、この発明においては、十分な油膜厚さとなっていない運転条件での動圧効果を期待しており、一般的な転がり軸受の場合、十分な油膜が発生した状態であっても油膜厚さは高々数μmであるから、この浅い動圧ポケット25の深さは0.1〜1μm程度とする。動圧ポケット25の底面は必ずしも平坦である必要はないが、肩部はできる限りだれていないほうがよい。
転がり軸受は、運転開始や揺動運動の死点では回転速度は0となり、徐々に所定の、あるいは最大回転速度に達する。速度が0から運動を開始した直後には、外部から潤滑油が供給されず、さらに接触面の速度も低いために油膜が形成されず、固体同士が接触している。接触した状態で運動を継続すると、高摩擦のために熱が発生し、接触面の凹部に保持された潤滑油は膨張する。動圧ポケット25に保持された潤滑油も接触表面に排出され、潤滑に寄与すると考えられるが、深い潤滑油貯留ポケット24にあっては、固体と潤滑油の熱膨張差によって比較的多量の潤滑油が接触表面に吐出されることになる。
転がり接触部の潤滑油が極めて微量の場合には、動圧ポケット25において動圧作用を発生させることはできないが、この発明では、深い潤滑油貯留ポケット24から吐出された潤滑油によって、動圧ポケット25に潤滑油が補充され、転がり接触部に動圧作用による油膜が形成されやすく、接触面が油膜によって分離する。
したがって、この発明によると、速度が小さい運転条件でも接触面の固体接触が防止され、流体潤滑状態を維持することができる。
また、油膜形成が本質的に困難な極低速の場合には、摩擦熱による熱膨張で主に深い潤滑油貯留ポケット24から表面に吐出された油による境界潤滑性により、固体接触が防止される。
次に、深い潤滑油貯留ポケット24に貯留された潤滑油は、主に接触面の発熱に起因した熱膨張によって吐出されるが、接触面の発熱によって、ころの部材も熱膨張し、潤滑油貯留ポケット24の容積も増加するので、潤滑油の吐出量は、潤滑油貯留ポケット24に貯留された潤滑油の体積の膨張分と潤滑油貯留ポケット24の容積の増加分との差となる。
したがって、通常の転がり軸受に使用される鋼の熱膨張係数は約12×10−6−1であるのに対して、窒化珪素の熱膨張係数は約3×10−6−1であり、上記のように、ころの材料の熱膨張係数が小さいほど、潤滑油の吐出効果が高いといえるので、ころをセラミック、特に窒化珪素で形成した場合、潤滑油の吐出が有利になる。
以下に、この発明の表面形成方法により、円筒ころ軸受31のころ32の表面に、浅い凹部2として動圧溝35を、深い凹部3として潤滑油貯留ポケット34を形成した例について説明する。
上記ころ32の転動面33は、図9又は図10に拡大して示すように、潤滑油の存在により動圧作用を発生させる微小な多数の動圧溝35を有する動圧発生面に形成され、この動圧発生面に、上記動圧溝35の深さよりも深い潤滑油貯留ポケット34を点在させている。図9又は図10では、潤滑油貯留ポケット34を黒丸で表現している。
この図9又は図10の例では、上記浅い動圧溝35を、ころ32の転動面33の全面に、潤滑油の流れ方向に直行するように均等に配置している。また、図9又は図10では、動圧溝35と動圧溝35の間に、潤滑油貯留ポケット34を配置したが、動圧溝35と潤滑油貯留ポケット34の互いの位置関係は任意である。
例えば、深い潤滑油貯留ポケットは、図9に示すように、ころ32の転がりすべり方向(図9の矢印の方向)に、所定間隔で平行に並ぶように点在させてもよいし、図10に示すように、ころ32の転がりすべり方向(図10の矢印の方向)に、所定間隔で千鳥状に点在させてもよい。深い潤滑油貯留ポケット34から吐出された潤滑油36は、ころの転がり運動に伴って、進行方向の後方に移動するので、図9の例のように、潤滑油貯留ポケット34を所定間隔で平行に並ぶように配置すると、潤滑油の表面への分布が、図9に一点鎖線で示すように、平行な筋状になる。また、図10の例のように潤滑油貯留ポケット34を千鳥状に配置すると、図9の例の場合よりも、図10に一点鎖線で示すように、潤滑油36の表面への筋状の分布が概ね倍増する。
また、図9又は図10の例では、潤滑油貯留ポケット34の開口面の形状はすべて円形としたが、楕円や多角形などであってもよい。
動圧溝35の断面形状及び潤滑油貯留ポケット34の断面形状は、図11に示す通りである。
次に、動圧溝35よりも深い潤滑油貯留ポケット34は、潤滑油を貯留することを目的としているので、その体積は大きいほどよい。しかしながら、その開口部では潤滑油に荷重支持に寄与するような動圧は発生しないので、開口部面積は小さい方が望ましい。したがって、潤滑油貯留ポケット34は、小径であって、深穴とする。現在の量産可能な加工技術水準を勘案すれば、直径20〜30μm、深さ100μm程度といった大きさとなる。
一方、動圧溝35は、微小な接触領域での動圧の発生を目的としているので、接触部の面積に対して比較的小さく、接触面内に多数あることが望ましい。したがって、転がり軸受に代表される通常の転がり接触機械要素を想定して、溝幅は20〜30μm以下とする。潤滑油が十分に存在する状態で使用される通常の動圧軸受であれば、動圧作用を効果的に発生させる溝の深さは、油膜厚さ程度の深さであるが、この発明においては、十分な油膜厚さとなっていない運転条件での動圧効果を期待しており、一般的な転がり軸受の場合、十分な油膜が発生した状態であっても油膜厚さは高々数μmであるから、この浅い動圧溝35の深さは0.1〜1μm程度とする。動圧溝35の底面は必ずしも平坦である必要はないが、肩部はできる限りだれていないほうがよい。
転がり軸受は、運転開始や揺動運動の死点では回転速度は0となり、徐々に所定の、あるいは最大回転速度に達する。速度が0から運動を開始した直後には、外部から潤滑油が供給されず、さらに接触面の速度も低いために油膜が形成されず、固体同士が接触している。接触した状態で運動を継続すると、高摩擦のために熱が発生し、接触面の凹部に保持された潤滑油は膨張する。動圧溝35に保持された潤滑油も接触表面に排出され、潤滑に寄与すると考えられるが、深い潤滑油貯留ポケット34にあっては、固体と潤滑油の熱膨張差によって比較的多量の潤滑油が接触表面に吐出されることになる。
転がり接触部の潤滑油が極めて微量の場合には、動圧溝35において動圧作用を発生させることはできないが、この発明では、深い潤滑油貯留ポケット34から吐出された潤滑油によって、動圧溝35に潤滑油が補充され、転がり接触部に動圧作用による油膜が形成されやすく、接触面が油膜によって分離する。
したがって、この発明によると、速度が小さい運転条件でも接触面の固体接触が防止され、流体潤滑状態を維持することができる。
また、油膜形成が本質的に困難な極低速の場合には、摩擦熱による熱膨張で主に深い潤滑油貯留ポケット34から表面に吐出された油による境界潤滑性により、固体接触が防止される。
次に、深い潤滑油貯留ポケット34に貯留された潤滑油は、主に接触面の発熱に起因した熱膨張によって吐出されるが、接触面の発熱によって、ころの部材も熱膨張し、潤滑油貯留ポケット34の容積も増加するので、潤滑油の吐出量は、潤滑油貯留ポケット34に貯留された潤滑油の体積の膨張分と潤滑油貯留ポケット34の容積の増加分との差となる。
したがって、通常の転がり軸受に使用される鋼の熱膨張係数は約12×10−6−1であるのに対して、窒化珪素の熱膨張係数は約3×10−6−1であり、上記のように、ころの材料の熱膨張係数が小さいほど、潤滑油の吐出効果が高いといえるので、ころをセラミック、特に窒化珪素で形成した場合、潤滑油の吐出が有利になる。
この発明の表面形成方法の第1実施形態を示す工程説明図である。 この発明の表面形成方法の第2実施形態の浅い凹部を形成する工程説明図である。 この発明の表面形成方法の第2実施形態の深い凹部を形成する工程説明図である。 この発明の表面形成方法を円筒ころ軸受のころに適用した例を示す概念図である。 この発明の表面形成方法により転がり部材の転がり接触部に形成した潤滑油貯留ポケット24と動圧ポケット25の配置例を示す拡大平面図である。 この発明の表面形成方法により転がり部材の転がり接触部に形成した潤滑油貯留ポケット24と動圧ポケット25の他の配置例を示す拡大平面図である。 この発明の表面形成方法により転がり部材の転がり接触部に形成した潤滑油貯留ポケット24と動圧ポケット25の断面形状の一例を図4のA−A線の方向で切断して示す縦断面図である。 この発明の表面形成方法を円筒ころ軸受のころに適用した他の例を示す概念図である。 この発明の表面形成方法により転がり部材の転がり接触部に形成した潤滑油貯留ポケット34と動圧溝35の配置例を示す拡大平面図である。 この発明の表面形成方法により転がり部材の転がり接触部に形成した潤滑油貯留ポケット34と動圧溝35の他の配置例を示す拡大平面図である。 この発明の表面形成方法により転がり部材の転がり接触部に形成した潤滑油貯留ポケット34と動圧溝35の断面形状の一例を図8のA−A線の方向で切断して示す縦断面図である。
符号の説明
1 転がり部材
2 浅い凹部
3 深い凹部
4、8 レジスト膜
5、9 開口面のパターン
6、10 カバーフィルム
7 マイクロブラスト用マスク
11 レジストマスク

Claims (6)

  1. 潤滑油の存在により動圧作用を発生させる微小な多数の動圧発生凹部と、この多数の動圧発生凹部を設けた面に、上記動圧発生凹部よりも深い潤滑油貯留凹部とを形成する転がり接触面の表面加工方法であって、転がり接触面の表面に動圧発生凹部をレーザー加工又はエッチング加工により形成し、この動圧発生凹部を形成する前又は動圧発生凹部を形成した後に、転がり接触面の表面を、潤滑油貯留凹部の開口パターンが露出し、開口パターン以外の部分がマスキングされたマイクロブラスト用マスクによって覆い、マイクロブラスト用マスクから露出する転がり接触面の表面に微細砥粒を噴射するマイクロブラスト加工を行い、転がり接触面の表面に、動圧発生凹部よりも深い潤滑油貯留凹部を形成する転がり接触面の表面加工方法。
  2. 動圧発生凹部よりも深い潤滑油貯留凹部を形成するマイクロブラスト加工を、転がり接触面の表面に動圧発生凹部を形成した後に行う請求項1記載の転がり接触面の表面加工方法。
  3. 上記浅い動圧発生凹部の形成工程と、マイクロブラスト加工による動圧発生凹部よりも深い潤滑油貯留凹部の形成工程とを繰り返すことを特徴とする請求項1又は2に記載の転がり接触面の表面加工方法。
  4. 上記動圧発生凹部と潤滑油貯留凹部がそれぞれポケット形状である請求項1〜3のいずれかに記載の転がり接触面の表面加工方法。
  5. 上記動圧発生凹部を溝形状とし、潤滑油貯留凹部をポケット形状とした請求項1〜3のいずれかに記載の転がり接触面の表面加工方法。
  6. 上記請求項1〜5のいずれかに記載の表面加工方法により、転がり接触面に、潤滑油の存在により動圧作用を発生させる微小な多数の動圧発生凹部と、この多数の動圧発生凹部を設けた面に、上記動圧発生凹部よりも深い潤滑油貯留凹部とを形成した転がり部材。
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