JP2008297649A - 導電・防錆紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】導電性及び防錆性を兼ね備え、かつ紙が包装、梱包材料に適した強度を有する導電・防錆紙を提供する。
【解決手段】原料としてパルプを主原料とする基紙の表面に少なくとも硫化水素ガスを吸着する防錆層を設け、この防錆層の表面に導電性を高める導電層を設け、3時間後に硫化水素ガスを80%以上吸着し、かつ、表面抵抗率を1×10Ω/sq以下とする。また、導電層上に耐摩耗層を設けても良い。
【選択図】なし

Description

本発明は、優れた導電性及び防錆性を有し、例えば半導体や電子部品などの精密機器の包装・梱包材料に用いることができる導電・防錆紙に関する。
LSI、超LSIなどの半導体、電子部品などの精密機器の包装・梱包においては、摩擦によって発生する静電気により電子部品などが帯電し、精密機器などの内容物が破壊される恐れがある。このため、精密機器などの包装・梱包に用いられる紙は静電気を逃がすとともに、静電気の発生を抑えるために導電性を有することが要求されていた。
紙は周知の様に絶縁性の高いセルロース繊維の集合体であり、その表面抵抗率は1×1014Ω/sqである。摩擦による静電気の発生を抑えるには、この表面抵抗率を1×10Ω/sq以下、望ましくは1×10Ω/sq以下に下げる必要がある。
また、特に電子接点などを含む電子部品の輸送に使用される包装・梱包材料として紙が用いられる場合は、紙から発生する硫化水素ガスによって、電子部品等の金属が腐蝕・変色することを防止するため、導電性以外にも防錆性を有することが要求されている。さらに、包装・梱包材料に用いられる紙は、十分な強度を有することも要求されている。
しかしながら、従来の、精密機器などの包装・梱包材料に用いられる導電性を有する紙(導電紙)は、パルプに導電性を有するカーボンブラック、カーボン繊維、金属繊維などを配合したものが殆どであった。カーボンブラックやカーボン繊維、金属繊維自体は結合力あるいはパルプとの接着力は存在しない。このため、紙表面からパルプが離脱し易く、強度が不足するため、包装、梱包材料としては不適当であった。また、金属に対する防錆性については全く考慮されておらず、防錆効果は全く期待できなかった。
一方、包装・梱包材料に用いられる防錆性を有する紙(防錆紙)は、導電性については殆ど考慮されていない。すなわち、包装・梱包材料に用いられる紙は、導電性及び防錆性の両者を有するものではなかったため、導電性及び防錆性の両者を兼ね備える紙が要求されていた。
そこで、例えば特許文献1に示されるように、導電性の化学メッキを施した繊維を含む紙に防錆物質を含浸させることにより、防錆性、導電性、及び防塵性を兼ね備える導電性防錆クリーン紙が開示されている。
しかしながら、特許文献1に示される発明は、無電解メッキ法によって繊維表面を金属薄膜で被覆された特殊な化学メッキ繊維を製造し、配合するものであり、生産性、コスト面において問題があった。また、本発明者らの研究によると、防錆物質を含浸させることにより、化学メッキ繊維を配合することによって得られた導電性が大きく阻害されることがわかった。
また、防錆剤と導電剤とを混合した塗工液を塗工することによって、紙に導電性及び防錆性を付与することも考えられる。しかしながら、このような塗工液を塗工して設けられた導電層は、導電剤の存在密度が低下し、必要な導電性を得ることができず、また防錆性も低下する。すなわち、導電性を保有させると防錆性が低下し、防錆性を保有させると導電性が低下するという問題が生じる。
特開昭62−141196号公報
そこで、本発明は上述したような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、導電性及び防錆性を兼ね備え、かつ紙が包装、梱包材料に適した強度を有する導電・防錆紙を提供することにある。
本発明の上記目的は、原料としてパルプを主原料とする基紙の表面に少なくとも硫化水素ガスを吸着する防錆層を設け、該防錆層の表面に導電性を高める導電層を設けたことを特徴とする導電・防錆紙を提供することによって達成される。
また、本発明の上記目的は、前記導電層の表面に耐摩耗層を設けたことを特徴とする導電・防錆紙を提供することによって、効果的に達成される。
さらにまた、本発明の上記目的は、3時間後に硫化水素ガスを80%以上吸着し、かつ、表面抵抗率が1×10Ω/sq以下であることを特徴とする導電・防錆紙を提供することによって、より効果的に達成される。
本発明に係る導電・防錆紙によれば、導電性及び防錆性を兼ね備えることができるので、半導体、電子部品等の精密機器の包装、梱包材料に用いることができる。
以下、本発明に係る導電・防錆紙について、詳細に説明する。なお、本発明に係る導電・防錆紙は、以下の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲内において、その構成を適宜変更できることはいうまでもない。
本発明に係る導電・防錆紙(以下、「本導電・防錆紙」と言う。)は、基紙と、この基紙の表面に塗工された少なくとも硫化水素ガスを吸着する防錆層と、この防錆層の表面に導電性を高める導電層とにより構成することにより、防錆性と導電性とを兼ね備える導電・防錆紙とすることができる。なお、本導電・防錆紙の防錆層及び導電層は、各々単層から構成されても良く、あるいは2層以上の複数層から構成されても良い。
本導電・防錆紙のように、防錆剤と導電剤とを別々に塗工して、防錆層と導電層とを設ける場合、基紙の表面に防錆層を設け、この防錆層の表面に導電層を設けることにより、はじめて本願の所望とする防錆性と導電性とを兼ね備えることができる。
基紙の表面に導電層を設け、この導電層の表面に防錆層を設けた場合には、導電層が防錆層によって被覆されてしまうため、導電性が大幅に低下してしまい、防錆性と導電性とを兼ね備えることが困難になるという問題が生じる。
本導電・防錆紙の基紙は、原料としてパルプを主原料とする基紙であれば、特に限定されない。従って、例えば上質紙、アート紙、コート紙、片艶紙、含浸紙、板紙などから、本導電・防錆紙の使用用途に応じて適宜選択して使用することができる。
また、本導電・防錆紙が、例えば輸送、保管、保護のための段ボールケース、容器等に加工され、梱包材として用いられる場合は、基紙として、段ボール原紙、厚紙などの板紙を用いることが好ましい。さらに、本導電・防錆紙が電子部品などを梱包した小物製品を包装する梱包材に用いられる場合は、電子部品などを梱包した小物製品を包装する場合には、基紙としてクラフト紙や薄用紙を用いることが好ましい。
本導電・防錆紙は、基紙の表面に少なくとも防錆剤とバインダとを含む塗工液(以下、「防錆層用塗工液」と言う。)を塗工することにより、少なくとも硫化水素ガスを吸着する防錆層が設けられている。すなわち、防錆層は、防錆剤をバインダに混合した防錆層用塗工液を1層塗工または多層塗工することにより基紙の表面上に設けられる。
防錆剤としては、シリカ、アルミナ、金属酸化物で合成された硫化水素ガス吸着性の多孔質珪酸塩鉱物を用いることができる。具体的には、例えばチャバザイト、モルデナイト、エリオナイト、ホージャサイト、クリノプチロライト、A型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、L型ゼオライト、オメガ型ゼオライト等の天然または合成のゼオライト、クリストバライト、セピオライト、モンモリロナイト、キシロタイル、ラフリナイト、パリゴルスカイト、アタパルジャイト、ハイドロタルサイト、ハイドロキシアパタイト等を用いることができる。
本発明者らの鋭意研究の結果、本導電・防錆紙の構成においては、上記硫化水素ガス吸着性の防錆剤の中でも特に、例えばライオン株式会社製の商品名「ライオナイトSF」(シリカ、酸化亜鉛、酸化アルミニウムの中性粉体)が好ましいことが分かった。
ライオナイトSFは、珪酸塩、アルミニウム塩、亜鉛塩の複合化合物で構成され、その1gのもつ吸着表面積は300mに及び、粒子表面には無数の細孔を持っている。このため、一般的な活性炭は吸着のみで飽和量に達すると効力がなくなるのに対し、ライオナイトSFは吸着面積が大きいので硫化水素ガスを多く吸着できること、また、吸着された硫化水素ガス(HS)は、ライオナイト中に複合的に結合した過酸化亜鉛(ZnO)により酸化分解され、硫化亜鉛(ZnS)と水(HO)に分解される化学反応により、より長く有効性が保たれるという点に特徴がある。
なお、防錆剤としては、各種アミンのモノ−及びジ−ニトロ安息香酸塩や、亜硝酸ソーダと安息香酸とアンモニウムとの混合物などの気化性防錆剤もある。しかしながら、本導電・防錆紙は、基紙の表面に防錆層を設け、さらに防錆層の表面上に導電層を設けることから、本発明者らの鋭意研究によると、理由は定かでないが、防錆剤として、上述した硫化水素ガス吸着性の防錆剤、特にシリカ、酸化亜鉛、酸化アルミニウムの複合化合物を用いることが好ましい。
また、防錆層用塗工液にはバインダを含有する。バインダとしては、スチレン−ブタジエン系ラテックス、アクリル系エマルション、アクリル−スチレン系エマルション、酢酸ビニル系エマルション、ウレタン系エマルションなどの水分散系バインダや、デンプン、変性デンプン、ポリビニルアルコール(PVA)、などの水溶性バインダを、単独であるいは組み合わせて用いることができる。
なお、上記ウレタン系エマルションとしては、具体的には、旭電化工業株式会社製のアデカボンタイターHUXシリーズ、東洋インキ製造株式会社製のJW224アクワエコートRSメジウム等を効果的に用いることができる。
なお、防錆層の固形分中には、防錆剤を10〜40質量%含有させることが好ましく、15〜35質量%含有させることがより好ましい。また、防錆層の固形分中にバインダを90〜60質量%含有させることが好ましく、85〜65質量%含有させることがより好ましい。
防錆剤の含有量が10質量%未満であると、本発明の所望とする硫化水素ガスの吸着率を得ることが難しく、一方、40質量%を超えると、塗工液調成時に防錆層用塗工液の粘度が大幅に向上するため粘度調整が難しくなり、塗工ムラ、塗工液粕などの品質、操業性において問題が発生しやすくなる。
なお、防錆層用塗工液は、上述したように少なくとも防錆剤とバインダとが含有されていれば、その他、必要に応じて、顔料、消泡剤、分散剤、粘性調整剤等の公知の種々のものを含有しても良い。
少なくとも防錆剤とバインダとを含む防錆層用塗工液を、基紙の表面に固形分として片面に7〜20g/m塗工することが好ましく、9〜16g/m塗工することがより好ましく、9〜14g/m塗工することが最も好ましい。防錆層用塗工液の塗工量が7g/m未満であると、防錆層の固形分中の防錆剤の含有量を上述したようにしても、所定の硫化水素ガス吸着率を得ることが難しく、本発明の所望とする防錆性を付与することができない。また、塗工量が20g/mを超えても、硫化水素ガス吸着率の向上効果はわずかであり、反面、乾燥性が悪化し、生産性が大幅に低下すると共に、薬品費が増加するため、コストアップを招くこととなる。
防錆層用塗工液を基紙の表面に塗布する方法としては、バーコーター、ロッドコーター、エアナイフなどの公知の塗工手段を用いることができる。また、グラビア印刷機、フレキソ印刷機等の公知の印刷手段により印刷することもできる。
しかしながら、本導電・防錆紙における防錆層用塗工液の塗工量は、一般的な印刷用塗被紙における塗工量よりも多いため、印刷機における複数の印刷ユニットを用いて多層塗工することが好ましい。特に4〜12ユニットの複数の印刷ユニットを持つフレキソ印刷機で基紙の表面に防錆層用塗工液を塗工すると、1工程で多層塗工ができるため、生産性が大幅に向上する。
なお、防錆層用塗工液をフレキソ印刷機で塗工する場合には、防錆層用塗工液は、ザーンカップNo.4(25℃)で測定した粘度を8〜30秒に調整することが好ましく、15〜20秒に調整することがより好ましい。これにより、品質、操業性、コスト等の点で総合的に優れ、所定の硫化水素ガス吸着効果(吸着率)を安定的に得られるという作用効果が得られる点で望ましい。防錆層用塗工液の粘度が30秒を超えると、アニロックスロールへ塗料を均等に供給することが難しく、塗工ムラが発生しやすくなる。一方、防錆層用塗工液の粘度が8秒未満であると、塗料をアニロックスロールで保持することが難しくなり、塗工ムラの発生、塗工量の不足という問題が発生しやすくなる。
本導電・防錆紙は、防錆層の表面に少なくとも導電剤とバインダとを含む塗工液(以下、「導電層用塗工液」と言う。)を塗工することにより、導電層が設けられている。すなわち、導電層は、導電剤をバインダに混合した導電層用塗工液を1層塗工または多層塗工することにより、防錆層の表面上に設けられる。
導電剤としては、カーボンブラックの他に有機合成品としてスルホン化スチレン系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、スチレン系樹脂などを用いることができるが、導電性の点で、カーボンブラックを主成分として用いることが好ましい。
具体的には、例えば、ライオン株式会社製の「ケッチェンブラックEC600JD」、「ケッチェンブラックEC300J」、「カーボンECP」、「カーボンECP600JD」、電気化学工業株式会社製の「デンカブラック」(アセチレンカーボン)、米国CABOT社製の「バルカンXC72」等を用いることができる。これらの中でも、ライオン株式会社製の「ケッチェンブラック」シリーズは他のカーボンブラックと異なり、中空シェル状の構造を持っているため、下記(1)〜(3)の特徴があり、本導電・防錆紙において特に優れた効果を発揮する。
(1)一般的なカーボンブラックに比べて1/2〜1/3の添加量で同等性能を得ることができる。
(2)少量添加で効果が得られるので、バインダや塗工面の物性に与える影響が少ない。
(3)混練による導電性低下が少ない。
また、導電層用塗工液にはバインダを含有する。バインダとしては、スチレン−ブタジエン系ラテックス、アクリル系エマルション、アクリル−スチレン系エマルション、酢酸ビニル系エマルションなどの水分散系バインダや、デンプン、変性デンプン、ポリビニルアルコール(PVA)などの水溶性バインダなどを、単独であるいは組み合わせて用いることができる。
さらにまた、導電層用塗工液に用いられるバインダのガラス転移温度(Tg)が30〜70℃、より好ましくは40〜60℃であると、導電剤の接着性、防錆層との接着性にも優れ、例えば本導電・防錆紙を段ボールシートに貼合する際、コルゲーターの熱板にバインダが取られることがなく、表面強度を向上させることができる。なお、Tgが30℃未満であると、段ボールシートへの貼合時にコルゲーターの熱板にバインダが取られるという問題が発生し易い。一方、Tgが70℃を超えると製函時に罫線割れが発生しやすいという問題が発生しやすい。
なお、導電層の固形分中には、導電剤を1〜30質量%含有させることが好ましく、1〜20質量%含有させることがより好ましい。また、導電層の固形分中に、バインダを99〜70質量%含有させることが好ましく、99〜80質量%含有させることがより好ましく、99〜90質量%含有させることがさらに好ましい。
導電剤の含有量が1質量%未満であると、本発明の所望とする表面抵抗率を得ることが難しく、一方、30質量%を超えると、塗工液調成時に導電層用塗工液の粘度が大幅に向上するため粘度調整が難しくなり、塗工ムラ、塗工液粕などの品質、操業性において問題が発生しやすくなる。また、バインダの含有量が70質量%未満であると、導電剤との接着性が不十分となるため導電剤の離脱が発生しやすく、また、防錆層との接着性も不足する場合がある。一方、バインダの含有量が99質量%を超えると、導電剤の含有量が少なくなりすぎるため、本発明の所望とする表面抵抗率を得ることが難しくなる。
なお、導電層用塗工液は、上述したように少なくとも導電剤とバインダとが含有されていれば、その他、必要に応じて、顔料、消泡剤、分散剤、粘性調整剤等の公知の種々のものを含有しても良い。
少なくとも導電剤とバインダとを含む導電層用塗工液は、防錆層の表面に固形分として3〜20g/m塗工することが好ましく、3〜16g/m塗工することがより好ましく、7〜14g/m塗工することが最も好ましい。これにより品質、操業性、コスト等の点で総合的に優れ、また、所定の表面抵抗率を安定的に得られるという作用効果が得られる。
導電層用塗工液の塗工量が3g/m未満であると、塗工層固形分中には、導電剤含有量を上述したようにしても、所定の表面抵抗率を得ることが難しい。また、塗工量が20g/mを超えても、表面抵抗率の向上効果はわずかであり、反面、乾燥性が悪化し、生産性が大幅に低下すると共に、薬品費が増加するため、コストアップを招くこととなる。
導電層用塗工液を防錆層の表面に塗布する方法としては、バーコーター、ロッドコーター、エアナイフなどの公知の塗工手段を用いることができる。また、グラビア印刷機、フレキソ印刷機等の公知の印刷手段により印刷することもできる。
導電層用塗工液は1回塗工でもよいが、印刷機の複数の印刷ユニットを用いて多層塗工することが好ましい。特に4〜12ユニットの複数の印刷ユニットを持つフレキソ印刷機で防錆層の表面に導電層用塗工液を塗工して導電層を設けることにより、被膜性が向上し、表面抵抗をより向上させることができる。
なお、導電層用塗工液をフレキソ印刷機で塗工する場合には、導電層用塗工液は、ザーンカップNo.4(25℃)で測定した粘度を8〜30秒に調整することが好ましく、15〜20秒に調整することがより好ましい。これにより、品質、操業性、コスト等の点で総合的に優れ、所定の表面低効率を安定的に得られるという作用効果が得られる点で望ましい。導電層用塗工液の粘度が30秒を超えると、アニロックスロールへ塗料を均等に供給することが難しく、塗工ムラが発生しやすくなる。一方、導電層用塗工液の粘度が8秒未満であると、ト量をアニロックスロールで保持することが難しくなり、塗工ムラの発生、塗工量の不足という問題が発生しやすくなる。
上述したようにして得られた本導電・防錆紙は、所定の防錆性と導電性とを兼ね備える。すなわち、本導電・防錆紙は、3時間で高濃度硫化水素ガスを80%以上吸着・除去することができる硫化水素ガス吸着機能を備えながら、JIS−K6911による表面抵抗率(以下、「表面抵抗率」と言う。)が1×10Ω/sq以下という優れた導電性も備える。
このように本導電・防錆紙は、3時間で高濃度硫化水素ガスを80%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上吸着・除去することができるので、金属メッキ製品や、樹脂加工製品、繊維加工製品を包装した場合、紙から発生する硫化水素ガスが多孔質珪酸塩鉱物に吸着・除去されるので、金属メッキ製品および樹脂加工製品、繊維加工製品の変色を効果的に防止することができる。
加えて、本導電・防錆紙は表面抵抗率を1×10Ω/sq以下、好ましくは3×10Ω/sq以下、更に好ましくは1×10Ω/sq以下とすることができ、優れた導電性を有する。
また、基紙の表面上に防錆層を設け、この防錆層の表面上に導電層を設けた本導電・防錆紙が、例えば段ボールケース等の梱包材として使用された場合、段ボールケースに収納された内容物と、本導電・防錆紙の表面(導電層の表面)とが擦れ合ってしまうと、導電層が摩擦により剥がれ落ちてしまうという問題が生じる場合があることから、導電層の表面上に耐摩耗層を設けることが好ましい。
耐摩耗層は、少なくとも耐摩耗剤を含む塗工液(以下、「耐摩耗層用塗工液」と言う。)を導電層の表面上に塗工することにより設けられる。
耐摩耗剤としては、カルナバワックス、木ろう、ラノリン、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの天然ワックス、フィッシャートロプスワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス、ポリアミドワックス、およびシリコーン化合物などの合成ワックス、アクリル系樹脂やウレタン系樹脂等を用いることができる。
また、無機粒子としては、α−アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、ダイヤモンド、硝子等が耐摩耗剤として使用できる。
これらの中でも、アクリル系樹脂またはウレタン系樹脂を用いたメジウム等の透明インキ(例えば、大日精化工業株式会社製のOS−MやOPニス、サカタインクス株式会社製のOP−985、FK−ACV(OPニス)、ニスG790等)や無機質粒子(例えばSiO)を含むマットインキ(例えば、大日精化工業株式会社製のMKマットニス等)などを好適に用いることができる。
耐摩耗層用塗工液は、導電層の表面に固形分として1〜7g/m塗工することが好ましく、1〜5g/m塗工することがより好ましく、2〜4g/m塗工することが最も好ましい。耐摩耗層用塗工液の塗工量が1g/m未満であると、導電層の被覆性に劣るため、本導電・防錆紙の耐摩耗性を向上させ、導電層の剥がれ落ちを防止することができない場合がある。また、塗工量が7g/mを超えると、耐摩耗層が導電層を完全に被覆してしまうため、所定の表面抵抗率を得ることができないという問題が生じる場合がある。
耐摩耗層用塗工液を導電層の表面に塗布する方法としては、バーコーター、ロッドコーター、エアナイフなどの公知の塗工手段を用いることができる。しかしながら、防錆層、導電層、及び耐摩耗層を同一工程で設けることができる点で、グラビア印刷機、フレキソ印刷機等の公知の印刷手段により印刷して耐摩耗層を設けることが好ましい。
本発明に係る導電・防錆紙の効果を確認するため、以下のような各種の試料を作製し、これらの各試料に対する品質を評価する試験を行った。なお、本実施例において、配合等を示す数値は、固形分又は有効成分の質量基準の数値である。また、本実施例で示す基紙・薬品等は一例にすぎないので、本発明はこれらの実施例によって制限を受けるものではなく、適宜選択可能であることはいうまでもない。
本発明に係る31種類の導電・防錆紙(これを「実施例1」ないし「実施例31」とする)と、これらの実施例1ないし実施例31と比較検討するために、2種類の用紙(これを「比較例1」ないし「比較例2」とする)を、表1に示すような構成で作製した。
Figure 2008297649
(実施例1)
以下の基紙を用いて、下記の製造法に従い、基紙表面に少なくとも防錆層と導電層をこの順に設けて、導電・防錆紙を得た。
(1)基紙として、大王製紙株式会社製の坪量が280g/mの「ジャストKライナー」を用いた。
(2)この基紙の表面に防錆層用塗工液を塗工し、塗工層1(防錆層)を設けた。すなわち、防錆剤30質量%とバインダ70質量%とを混合し、ザーンカップNo.4による粘度を15秒に調整して防錆層用塗工液を作成した。この防錆層用塗工液をフレキソ印刷機で基紙の表面に塗工量が12g/mとなるように4回塗工して塗工層1(防錆層)を設けた。なお、防錆剤として、ライオン株式会社製の「ライオナイトSF」を用い、またバインダとして東洋インキ株式会社製の「JW224アクワエコールRSメジウム」を用いた。
(3)次に、塗工層1の表面に導電層用塗工液を塗工し、塗工層2(導電層)を設けた。すなわち、導電剤3質量%とバインダ97質量%とを混合し、ザーンカップNo.4による粘度を15秒に調整して導電層用塗工液を作成した。この導電層用塗工液をフレキソ印刷機で塗工層1(防錆層)の表面に塗工量が5g/mとなるように2回塗工して塗工層2(導電層)を設けた。なお、導電剤として、ライオン株式会社製の「導電性カーボンブラック(ケッチェンブラックEC600JD)」を用い、またバインダとして、御国色素株式会社製のアクリル系エマルション「バインダCF」を用いた。
(4)さらに、塗工層2の表面に耐摩耗層用塗工液を塗工し、塗工層3(耐摩耗層)を設けた。すなわち、耐摩耗剤を含有した水溶液のザーンカップNo.4による粘度を20秒に調整して耐摩耗層用塗工液を作成した。この耐摩耗層用塗工液をフレキソ印刷機で塗工量が2.4g/mとなるように1回塗工して塗工層3(耐摩耗層)を設けた。なお、耐摩耗剤としてサカタインクス株式会社製の「ニスG970」を用いた。
このようにして実施例1に係る導電・防錆紙を作製した。
(実施例2〜7)
防錆層用塗工液の防錆剤及びバインダの含有率を表1に示すとおりに変更したことを除くその他の点は、実施例1と同様にして得た導電・防錆紙。
(実施例8〜14)
防錆層用塗工液の塗工量を表1に示すとおりに変更したことを除くその他の点は、実施例1と同様にして得た導電・防錆紙。
(実施例15〜19)
導電層用塗工液の導電剤及びバインダの含有率を表1に示すとおりに変更したことを除くその他の点は、実施例1と同様にして得た導電・防錆紙。
(実施例20〜24)
導電層用塗工液の塗工量を表1に示すとおりに変更したことを除くその他の点は、実施例1と同様にして得た導電・防錆紙。
(実施例25〜31)
耐摩耗層用塗工液の塗工量を表1に示すとおりに変更したことを除くその他の点は、実施例1と同様にして得た導電・防錆紙。
(比較例1)
防錆用塗工液に防錆剤を含有しなかったことを除くその他の点は、実施例1と同様にして得た用紙。
(比較例2)
導電層用塗工液を導電剤を含有しなかったことを除くその他の点は、実施例1と同様にして得た用紙。
これらの全実施例、比較例について、品質を評価する試験を行った結果は表2に示す通りであった。なお、これらの試験は特に断りの無い限り、JIS−P8111「紙、板紙及びパルプ−調湿及び試験のための標準状態」による標準状態下で行った。
表2中の「表面抵抗率(Ω/sq)」とは導電性を評価したもので、JIS−K6911に準じて塗工層最表面の表面抵抗率を測定した値である。
試験機としては、株式会社アドバンテスト社製の「デジタル超高抵抗/微少電流計 R8340A」、及び「RESISTIVITY CHAMBER R12702A」を使用した。
また、「硫化水素ガス吸着率(%)」とは防錆性を評価したもので、各試料(各実施例及び比較例を65mm×65mmの大きさに裁断したもの)と硫化水素ガス1L(150ppm)とをテドラーバッグに封入し、室温(26.5℃)環境下に静置する。静置3時間後のテドラーバッグ内の硫化水素ガス濃度を検知管で測定し、硫化水素ガスの吸着率を算出した。
「耐摩耗性」とは、JIS−P8136に記載の「板紙の耐摩耗強さ試験方法」に準拠して測定した値であり、その測定方法は以下の通りである。
株式会社日本T・M・C株式会社製の学振型摩擦堅牢度試験機を使用し、500g荷重の摩擦部に基紙を、しゅう台部に実施例、比較例で得たサンプルを取り付け、塗工面と基紙表面(実施例に供した基紙の表面)を荷重500gで接触させ、往復500回の摩耗試験を実施した。
往復500回の摩耗後の、塗工面と基紙表面の状態を以下の評価基準で評価した。
◎:塗工面、基紙表面とも変化なし
○:塗工面にわずかな擦れ傷が見られるが問題なし
△:塗工面に擦れ傷あり
×:塗工面に擦れ傷あり、基紙表面に塗工面の色が付着
Figure 2008297649
表2から、本発明に係る導電・防錆紙、すなわち実施例1〜実施例31に係る導電・防錆紙であると、優れた導電性及び防錆性を兼ね備え、さらに耐摩耗性にも優れることが分かる。

Claims (3)

  1. 原料としてパルプを主原料とする基紙の表面に少なくとも硫化水素ガスを吸着する防錆層を設け、該防錆層の表面に導電性を高める導電層を設けたことを特徴とする導電・防錆紙。
  2. 前記導電層の表面に耐摩耗層を設けたことを特徴とする請求項1に記載の導電・防錆紙。
  3. 3時間後に硫化水素ガスを80%以上吸着し、かつ、表面抵抗率が1×10Ω/sq以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の導電・防錆紙。
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