JP2008296461A - アクリル樹脂積層体とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
十分な帯電防止性を有するとともに、耐擦傷性と透明性にも優れたアクリル樹脂積層体とその製造方法を提供する。
【解決手段】 (a)架橋被膜A、帯電防止層B及びアクリル樹脂Cが、A、B、C又はA、B、C、B、Aの順に積層しているアクリル樹脂積層体。(b)ベースフィルム上に帯電防止層Bを形成する工程(1)と、ベースフィルム上の帯電防止層Bを架橋被膜Aに転写する工程(2)と、前記架橋被膜Aが内表面に形成された前記成形型を少なくとも一部に含む鋳型内に、アクリル樹脂原料を注入し、次いで重合してアクリル樹脂Cを作製し、前記鋳型からアクリル樹脂積層体を剥離する工程(3)とを含むアクリル樹脂積層体の製造方法。
【選択図】 図3
十分な帯電防止性を有するとともに、耐擦傷性と透明性にも優れたアクリル樹脂積層体とその製造方法を提供する。
【解決手段】 (a)架橋被膜A、帯電防止層B及びアクリル樹脂Cが、A、B、C又はA、B、C、B、Aの順に積層しているアクリル樹脂積層体。(b)ベースフィルム上に帯電防止層Bを形成する工程(1)と、ベースフィルム上の帯電防止層Bを架橋被膜Aに転写する工程(2)と、前記架橋被膜Aが内表面に形成された前記成形型を少なくとも一部に含む鋳型内に、アクリル樹脂原料を注入し、次いで重合してアクリル樹脂Cを作製し、前記鋳型からアクリル樹脂積層体を剥離する工程(3)とを含むアクリル樹脂積層体の製造方法。
【選択図】 図3
Description
本発明は、透明性、帯電防止性及び耐擦傷性に優れたアクリル樹脂積層体とその製造方法に関するものである。
アクリル樹脂は、透明性、耐衝撃性、易成形性等の特徴を有し、工業用資材、建築用資材等として広く使用されている。近年では、その透明性と耐衝撃性から、CRTや液晶テレビ等の各種ディスプレーの前面板として使用されている。しかし、アクリル樹脂は、他の樹脂と同様にガラスと比較して柔らかいため、引掻き等による傷が発生しやすいという問題がある。また、アクリル樹脂の体積固有抵抗が高いため、静電気による埃の付着に起因して、透明性が低下しやすいという問題もある。これらの問題を解決するために、従来から多くの試みがなされているが、未だ十分な解決案は提案されていない。
例えば、アクリル樹脂の帯電防止性を改良する方法としては、酸化錫を主成分とする導電性粉末を含有する塗膜をアクリル樹脂に積層する方法が知られており、特許文献1及び特許文献2には、耐擦過傷性と硬度に優れるとともに、導電性と透明性にも優れた塗膜を形成し得る塗料組成物として、平均粒径0.2μm以下の酸化錫を主成分とする導電性粉末を含有する導電性塗料組成物が開示されている。また、特許文献3等には、酸化錫を主成分とする導電性粉末を含有する耐擦過傷被膜形成用の重合性組成物が開示されている。
例えば、アクリル樹脂の帯電防止性を改良する方法としては、酸化錫を主成分とする導電性粉末を含有する塗膜をアクリル樹脂に積層する方法が知られており、特許文献1及び特許文献2には、耐擦過傷性と硬度に優れるとともに、導電性と透明性にも優れた塗膜を形成し得る塗料組成物として、平均粒径0.2μm以下の酸化錫を主成分とする導電性粉末を含有する導電性塗料組成物が開示されている。また、特許文献3等には、酸化錫を主成分とする導電性粉末を含有する耐擦過傷被膜形成用の重合性組成物が開示されている。
しかし、上記のような酸化錫を主成分とする導電性粉末を含有する塗膜をアクリル樹脂に積層する場合、良好な耐擦傷性が得られるまで膜厚を大きくすると、酸化錫粉末による着色が発生したり、表面の凹凸等により透明性が低下するという問題がある。
また、リチウムイオンや界面活性剤を含むようなハードコート組成物の層をアクリル樹脂表面に設けた場合、イオン性物質がハードコート表面や内部に存在するため、裏移りやブリードアウト等により基板等を汚染したり、ショートを起こしやすいという問題がある。
一方、アクリル樹脂の耐擦傷性を向上する方法としては、多官能(メタ)アクリレート等の多官能性単量体を用い、架橋被膜を基材表面に形成する方法が知られているが、従来の架橋被膜は、帯電防止能を全く示さないか、不十分な場合が多かった。また、特許文献4には、十分な帯電防止性、優れた耐擦傷性及び透明性を有するアクリル樹脂積層体を得る方法として、アクリル樹脂板の表面に、5酸化アンチモン微粒子を含有する架橋被膜を形成する方法が開示されている。しかし、表面に存在する5酸化アンチモン微粒子の欠落等により表面の均一性が変化し、このため透明性が低下しやすいという問題がある。
特開昭60-60166号公報
特開昭60−181177号公報
特公平7−31953号公報
特開2001−328220号公報
本発明は、上記の問題を解決し、十分な帯電防止性を有するとともに、耐擦傷性と透明性にも優れたアクリル樹脂積層体とその製造方法を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究した結果、本発明に到達した。 すなわち、本発明は、次の構成を要旨とするものである。
(a)架橋被膜A、帯電防止層B及びアクリル樹脂Cが、A、B、C又はA、B、C、B、Aの順に積層していることを特徴とするアクリル樹脂積層体。
(b)ベースフィルム上に帯電防止層Bを形成する工程(1)と、架橋反応性化合物を含有する架橋被膜形成用塗料を、少なくとも1つの成形型の内表面に塗布し、前記ベースフィルム上に設けた帯電防止層Bと貼り合わせた後、前記架橋反応性化合物を架橋重合させて架橋被膜Aを形成し、次いで、ベースフィルムを剥離することでベースフィルム上の帯電防止層Bを架橋被膜Aに転写する工程(2)と、前記架橋被膜Aが内表面に形成された前記成形型を少なくとも一部に含む鋳型内に、アクリル樹脂原料を注入し、次いで重合してアクリル樹脂Cを作製し、前記鋳型からアクリル樹脂積層体を剥離する工程(3)とを含むことを特徴とするアクリル樹脂積層体の製造方法。
(a)架橋被膜A、帯電防止層B及びアクリル樹脂Cが、A、B、C又はA、B、C、B、Aの順に積層していることを特徴とするアクリル樹脂積層体。
(b)ベースフィルム上に帯電防止層Bを形成する工程(1)と、架橋反応性化合物を含有する架橋被膜形成用塗料を、少なくとも1つの成形型の内表面に塗布し、前記ベースフィルム上に設けた帯電防止層Bと貼り合わせた後、前記架橋反応性化合物を架橋重合させて架橋被膜Aを形成し、次いで、ベースフィルムを剥離することでベースフィルム上の帯電防止層Bを架橋被膜Aに転写する工程(2)と、前記架橋被膜Aが内表面に形成された前記成形型を少なくとも一部に含む鋳型内に、アクリル樹脂原料を注入し、次いで重合してアクリル樹脂Cを作製し、前記鋳型からアクリル樹脂積層体を剥離する工程(3)とを含むことを特徴とするアクリル樹脂積層体の製造方法。
本発明のアクリル樹脂積層体は、表面に架橋被膜Aを有するので、耐擦過傷性と硬度が優れており、さらに、アクリル樹脂Cと架橋被膜Aとの間に帯電防止層Bが存在するので、帯電防止層Bの導電性微粒子が欠落することがなく、十分な帯電防止性と透明性をも有しており、産業上の利用価値が極めて高いものである。
また、本発明の製造方法によれば、上記の利点を有するアクリル樹脂積層体を安定して製造することが可能となる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のアクリル樹脂積層体は、架橋被膜A、帯電防止層B及びアクリル樹脂Cが、A、B、Cの順に積層しているもの、又はA、B、C、B、Aの順に積層しているものである。
また、本発明のアクリル樹脂積層体の製造方法は、まず、工程(1)において、ベースフィルム、好ましくはポリエステル、特に好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に帯電防止層Bを形成する(図1参照)。次に工程(2)において、少なくとも1つの成形型の内表面に架橋反応性化合物を含有する架橋被膜形成用塗料を塗布し、前記ベースフィルム上に設けた帯電防止層Bと貼り合わせた後、架橋被膜形成用塗料に含まれる架橋反応性化合物を架橋重合させて架橋被膜Aを形成した後、ベースフィルムを剥離することでベースフィルム上の帯電防止層Bを架橋被膜Aに転写する(図2参照)。さらに、工程(3)において、帯電防止層Bが転写された架橋被膜Aが内表面に形成された前記成形型を少なくとも一部に含む鋳型内にアクリル樹脂原料を注入し、次いで重合してアクリル樹脂積層体を作製した後、前記鋳型から剥離してアクリル樹脂積層体を得るものである(図3参照)。
上記製造方法の工程(3)において、前記成形型を例えば下面側に配した鋳型内にアクリル樹脂原料を注入すれば、架橋被膜A、帯電防止層B及びアクリル樹脂Cが、A、B、Cの順に積層したアクリル樹脂積層体を得ることができ、また、前記成形型を例えば上、下両面に配して構成された鋳型内に、アクリル樹脂原料を注入すれば、A、B、C、B、Aの順に積層したアクリル樹脂積層体を得ることができる(図3参照)。
本発明のアクリル樹脂積層体は、架橋被膜A、帯電防止層B及びアクリル樹脂Cが、A、B、Cの順に積層しているもの、又はA、B、C、B、Aの順に積層しているものである。
また、本発明のアクリル樹脂積層体の製造方法は、まず、工程(1)において、ベースフィルム、好ましくはポリエステル、特に好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に帯電防止層Bを形成する(図1参照)。次に工程(2)において、少なくとも1つの成形型の内表面に架橋反応性化合物を含有する架橋被膜形成用塗料を塗布し、前記ベースフィルム上に設けた帯電防止層Bと貼り合わせた後、架橋被膜形成用塗料に含まれる架橋反応性化合物を架橋重合させて架橋被膜Aを形成した後、ベースフィルムを剥離することでベースフィルム上の帯電防止層Bを架橋被膜Aに転写する(図2参照)。さらに、工程(3)において、帯電防止層Bが転写された架橋被膜Aが内表面に形成された前記成形型を少なくとも一部に含む鋳型内にアクリル樹脂原料を注入し、次いで重合してアクリル樹脂積層体を作製した後、前記鋳型から剥離してアクリル樹脂積層体を得るものである(図3参照)。
上記製造方法の工程(3)において、前記成形型を例えば下面側に配した鋳型内にアクリル樹脂原料を注入すれば、架橋被膜A、帯電防止層B及びアクリル樹脂Cが、A、B、Cの順に積層したアクリル樹脂積層体を得ることができ、また、前記成形型を例えば上、下両面に配して構成された鋳型内に、アクリル樹脂原料を注入すれば、A、B、C、B、Aの順に積層したアクリル樹脂積層体を得ることができる(図3参照)。
次に、本発明のアクリル樹脂積層体の表面層を形成する架橋被膜Aについて説明する。架橋被膜Aは、分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する架橋反応性化合物の架橋反応物であることが好ましい。(メタ)アクリロイルオキシ基を有する架橋反応性化合物の架橋反応物は、透明性と耐擦傷性に優れ、基材であるアクリル樹脂板との密着性にも優れている。なお、(メタ)アクリとは、アクリ及び/又はメタクリを意味する。
また、30質量%以上の上記架橋反応性化合物と、上記架橋反応性化合物と共重合可能な単量体との混合物から得られる架橋反応物をマトリックス成分とすることもできる。
本発明で使用される、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する架橋反応性化合物においては、各(メタ)アクリロイルオキシ基を結合する残基が、炭化水素又はその誘導体であり、その分子内にエーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合等を含むことができる。
これらの化合物の主な例としては、1モルの多価アルコールと、2モル以上の(メタ)アクリル酸又はそれらの誘導体とから得られるエステル化物や、多価アルコールと多価カルボン酸又はそれの無水物と(メタ)アクリル酸又はそれらの誘導体とから得られる、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する線状のエステル化物等を挙げることができる。
1モルの多価アルコールと、2モル以上の(メタ)アクリル酸とから得られるエステルの例としては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2−ジメチル1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、次の一般式(1)
次に、多価アルコールと多価カルボン酸又はそれの無水物と(メタ)アクリル酸とから得られる1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する線状のエステル化物において、多価アルコールと多価カルボン酸又はそれの無水物と(メタ)アクリル酸の好ましい組合わせとしては、マロン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、コハク酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、コハク酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、コハク酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、コハク酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、セバシン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、セバシン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、セバシン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、セバシン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、フマル酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、フマル酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、フマル酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、フマル酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、イタコン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、イタコン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、イタコン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、イタコン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸等を挙げることができる。
なお、必要に応じて、上記のような架橋反応性化合物を2種類以上使用することもできる。
また、分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する架橋反応性化合物と共重合可能な単量体としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、あるいはこれらジイソシアネート化合物のうち芳香族のイソシアネート類を水添して得られるジイソシアネート化合物(例えば水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフエニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物)、トリフエニルメタントリイソシアネート、ジメチレントリフエニルトリイソシアネート等のような2価、あるいは3価のポリイソシアネート化合物あるいはジイソシアネート化合物を多量化させて得られるポリイソシアネート化合物等と、活性水素を有するアクリルモノマー、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド、1,2,3−プロパントリオール−1,3−ジ(メタ)アクリレート、3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等を常法により反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート、あるいはトリス(2ーヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート等のポリ[(メタ)アクリロイルオキシエチル]イソシアヌレート、さらには公知のエポキシポリアクリレート等を挙げることができる。
他の共重合可能な単量体の例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
なお、必要に応じて、上記の様な架橋反応性化合物を2種類以上使用することもできる。
分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する架橋反応性化合物からなる架橋被膜のマトリックス成分の原料には、シラン化合物、コロイダルシリカ等を含有させることができる。シラン化合物としては、(メタ)アクリル官能性シラン化合物が好ましい。
また、架橋反応性化合物として熱硬化型シリコン系化合物を用いることもできる。その場合、下記一般式(2)で表されるシリコン系化合物が好ましい。
RnSiX(4-n) (2)
(ここでRはメチル基、エチル基、ブチル基等のアルキル基、フエニル基、ビニル基、アリル基等の不飽和炭化水素基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、アミノ基等を示す。Xは炭素数1〜4のアルコキシ基、アセチル基等のアシル基、ハロゲン基を示す。nは0〜3の整数を示す。)
また、シリコン系化合物の加水分解物や、シリコン系化合物とコロイダルシリカとの混合物を加水分解もしくは部分加水分解して得られたものを架橋反応性化合物として使用することもできる。その場合には、架橋反応性化合物の硬化方法としては、80℃以上の温度で縮合重合を行うことによって硬化させる方法が好ましい。
(ここでRはメチル基、エチル基、ブチル基等のアルキル基、フエニル基、ビニル基、アリル基等の不飽和炭化水素基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、アミノ基等を示す。Xは炭素数1〜4のアルコキシ基、アセチル基等のアシル基、ハロゲン基を示す。nは0〜3の整数を示す。)
また、シリコン系化合物の加水分解物や、シリコン系化合物とコロイダルシリカとの混合物を加水分解もしくは部分加水分解して得られたものを架橋反応性化合物として使用することもできる。その場合には、架橋反応性化合物の硬化方法としては、80℃以上の温度で縮合重合を行うことによって硬化させる方法が好ましい。
本発明において、架橋被膜形成用塗料を成形型の内表面に塗布する方法は特に限定されず、刷毛塗り、バーコート、流し塗り、スプレーコート、ナイフコート、ロールコート、ダイコート等を採用することができる。
また、架橋被膜形成用塗料に含まれる架橋反応性化合物を架橋硬化させて架橋被膜Aとする方法としては、熱重合法、紫外線照射による光重合法等を挙げることができる。架橋反応性化合物として熱硬化型シリコン系化合物を用いる場合以外は、紫外線硬化装置は簡便である等の理由により、紫外線照射による架橋硬化が好ましい。
さらに、架橋被膜Aの厚みは、架橋被膜Aにクラックが発生したり、アクリル樹脂積層体の切断時に架橋被膜Aが欠ける等の不具合を抑制するために、50μm以下が好ましく、1μm〜30μmがより好ましい。
架橋反応性化合物の架橋硬化を紫外線によって行なう場合には、400nm以下の波長域において増感作用を有する光増感剤を添加することが好ましい。光増感剤の添加量は、十分な硬化速度と硬化強度を実現するために、100質量部の架橋反応性化合物に対して0.1質量部以上が好ましく、耐候性の低下を抑制するために10質量部以下が好ましい。
光増感剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトイン、ブチロイン、トルオイン、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフォスフィンオキサイド等を例示することができる。
本発明に使用する架橋被膜形成用塗料には、従来から使用されている種々の添加剤を添加してもよい。添加剤としては、界面活性剤、レベリング剤、染料、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、難燃剤、可塑剤等を挙げることができる。
また、架橋被膜形成用塗料は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶剤で希釈して用いてもよい。希釈した場合には、架橋被膜形成用塗料を塗布した後で、溶剤を乾燥させてから架橋被膜形成用塗料を架橋硬化させることが好ましい。
次に、本発明における帯電防止層B用に使用する帯電防止剤は特に限定されるものではないが、架橋皮膜A及びアクリル樹脂Cとの密着性を高めるという理由から、高分子から成るバインダーに導電性微粒子を混合したものが望ましい。
ここで、高分子から成るバインダーとしては、ポリエステル、アクリル、ウレタン、エポキシ、オレフィン、ポリアミド等のバインダーが挙げられる。その中でも、透明性、アクリル樹脂への密着性の優れたアクリルバインダーが好ましい。また、これらは単独で使用し得るほか、必要により2種以上を併用してもよい。
また、上記導電性微粒子としては、酸化錫系、酸化亜鉛系等が挙げられる。酸化錫系としては、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫、インジウムドープ酸化錫、アルミニウムドープ酸化錫、タングステンドープ酸化錫、酸化チタン−酸化セリウム−酸化錫の複合体、酸化チタン−酸化錫の複合体等が挙げられ、なかでも導電性等の性能に優れ、かつそれとコストとがバランスのとれた酸化錫、アンチモンドープ酸化錫、インジウムドープ酸化錫が好ましく用いられる。
また、酸化亜鉛系としては、酸化亜鉛にアルミニウム、チタン、スズ等の金属をドーピングして電子導電性を与えたものが挙げられる。導電性酸化亜鉛をシラン系やチタネート系等のカップリング剤、シリコン油、脂肪酸等で表面処理して有機高分子や溶剤との相互濡れ性を高めたものも好ましく使用される。
帯電防止層Bの厚みは10μm以下が好ましい。さらに、好ましくは、0.1μ〜7μmである。帯電防止層Bの厚みが10μmを超えると帯電防止効果が飽和するだけでなく、着色等による不具合が生じる。
次に、本発明において、アクリル樹脂Cを形成するためのアクリル樹脂原料の重合方法としては、例えば、アクリル樹脂原料をガラス製の成形型で構成された鋳型内に注入して重合硬化させる、いわゆるキャスト重合法を挙げることができる。
この場合は、少なくとも1つの成形型の内表面に架橋反応性化合物を含んだ架橋被膜形成用塗料を塗布し、帯電防止層Bを設けたベースフィルムと貼り合わせて架橋重合硬化させ、帯電防止能を有する架橋被膜Aを予め形成した後、ベースフィルムを剥離し同成形型で構成される鋳型内部にて、アクリル樹脂原料のキャスト重合を行なう。成形型を構成する部材としては、例えばガラス板を使用することができ、表面平滑性の優れた2枚のガラス板の間に、軟質ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等をガスケットとして挟み込み、クランプで固定して、成形型で構成される鋳型を組立てることができる。
また、連続的にキャスト重合する方法として、2枚のスチールベルトの間でアクリル樹脂原料をキャスト重合する方法が知られているが、この場合においてはスチールベルト表面に架橋被膜Aを形成することにより、本発明のアクリル樹脂積層体を得ることができる。
また、射出成形法により、本発明のアクリル樹脂積層体を得ることもできる。この場合、予め成形型の内表面に架橋被膜形成用塗料を塗布し、帯電防止層Bを設けたベースフィルムと貼り合わせ、重合硬化せしめて帯電防止能を有する架橋被膜Aを形成し、ベースフィルムを剥離した後、アクリル樹脂Cを射出成形する。
本発明において、アクリル樹脂Cを形成するためのアクリル樹脂原料としては、(メタ)アクリル酸のエステル類を主成分とする単量体、この単量体の部分重合体を含有するシラップを挙げることができる。また、アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸のエステル類を主な単量体成分とする、単独及び共重合体を例示することができる。なお、(メタ)アクリル酸のエステル類としては、メタクリル酸メチルを例示することができる。
例えば、メタクリル酸メチルを主な単量体成分とする場合、共重合単量体成分としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フエニル、メタクリル酸ペンジル等のメタクリル酸エステル、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物等を挙げることができる。メタクリル酸メチルに一部重合体を含む場合は、メタクリル酸メチルに重合体を溶解させてもよいし、あるいはメタクリル酸メチルを一部重合させてもよい。
本発明のアクリル樹脂積層体においては、必要に応じて、架橋被膜A以外にも、機能薄膜を設けることができる。例えば、架橋被膜Aの上に反射防止膜を形成することができる。反射防止膜を形成する方法は特に限定されるものではないが、旭硝子(株)製「サイトップ」、JSR(株)製「オプスター」等の反射防止用塗料を使用する方法、蒸着法やスパッタリング法等の物理気相堆積法等を例示することができる。
本発明のアクリル樹脂積層体の表面には、内面側に帯電防止層Bが隣接した架橋被膜Aが形成されているため、アクリル樹脂積層体は、透明性、耐擦傷性及び帯電防止性に優れる。そのため、表面抵抗値は、好ましくは1×1012Ω/□以下、より好ましくは1×1011Ω/□以下とすることができ、全光線透過率は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上とすることができ、ヘーズは、好ましくは5%以下、より好ましくは1%以下とすることができる。
以上のような理由により、本発明のアクリル樹脂積層体は、CRT、液晶テレビ、プロジェクションテレビ等の各種ディスプレーの前面板として好適に使用できるものである。
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例で用いた原料と、物性の測定方法は次の通りである。また、特に断りがない限り、試薬は市販の良好品を使用した。
(1)帯電防止層用の塗剤調製に使用した液
・X液:NeoPacE−106(DSM製ウレタンアクリル共重合体ディスパージョン固形分33質量%液)
・Y液:TDL−1(三菱マテリアル製スズ−アンチモン系酸化物水分散液固形分17質量%液)
・Z液:SNウエット366(サンノプコ製非イオン系活性剤の70質量%液)
(2)評価方法
(a)表面抵抗
超絶縁抵抗計(三菱油化製、Hiresta MCP HT−210)を使用し、測定温度23℃、測定湿度50%の条件で印加電圧500Vで表面抵抗値(Ω/□)を測定した。なお、測定用の試料としては、予め23℃、50%相対湿度で1日間調湿したものを用いた。
(b)ヘーズ(%)
日本電色工業製HAZE METER NDH2000を用いて測定した。
(c)耐擦傷性
#000のスチールウールを装着した直径25.4mmの円形パッドをサンプルの塗膜側表面上に置き、9.8Nの荷重下で、20mmの距離を1000回往復擦傷し、擦傷前と擦傷後のヘーズ値の差を下式(S)より求め、擦傷試験の前後におけるヘーズの変化(Δヘーズ)をもって評価した。
[Δヘーズ(%)]=[擦傷後のヘーズ値(%)]−[擦傷前のヘーズ値(%)] (S)
(d)全光線透過率(%)
日本電色工業製HAZE METER NDH2000を用いて測定した。
(実施例1)
X液0.7g、Y液4g及びZ液0.04gを混合し、水5.3gで希釈した後、この液をPETフィルム(ユニチカ社製エンブレットS−25)にバーコーターを用いて塗布し、120℃で10秒間乾燥してフィルム上に帯電防止層Bを形成した(工程1・図1参照)。
(1)帯電防止層用の塗剤調製に使用した液
・X液:NeoPacE−106(DSM製ウレタンアクリル共重合体ディスパージョン固形分33質量%液)
・Y液:TDL−1(三菱マテリアル製スズ−アンチモン系酸化物水分散液固形分17質量%液)
・Z液:SNウエット366(サンノプコ製非イオン系活性剤の70質量%液)
(2)評価方法
(a)表面抵抗
超絶縁抵抗計(三菱油化製、Hiresta MCP HT−210)を使用し、測定温度23℃、測定湿度50%の条件で印加電圧500Vで表面抵抗値(Ω/□)を測定した。なお、測定用の試料としては、予め23℃、50%相対湿度で1日間調湿したものを用いた。
(b)ヘーズ(%)
日本電色工業製HAZE METER NDH2000を用いて測定した。
(c)耐擦傷性
#000のスチールウールを装着した直径25.4mmの円形パッドをサンプルの塗膜側表面上に置き、9.8Nの荷重下で、20mmの距離を1000回往復擦傷し、擦傷前と擦傷後のヘーズ値の差を下式(S)より求め、擦傷試験の前後におけるヘーズの変化(Δヘーズ)をもって評価した。
[Δヘーズ(%)]=[擦傷後のヘーズ値(%)]−[擦傷前のヘーズ値(%)] (S)
(d)全光線透過率(%)
日本電色工業製HAZE METER NDH2000を用いて測定した。
(実施例1)
X液0.7g、Y液4g及びZ液0.04gを混合し、水5.3gで希釈した後、この液をPETフィルム(ユニチカ社製エンブレットS−25)にバーコーターを用いて塗布し、120℃で10秒間乾燥してフィルム上に帯電防止層Bを形成した(工程1・図1参照)。
次いで、ガラス板上に、イソプロパノールを主成分とする溶剤70質量%を含有する、多官能アクリレート系塗料(触媒化成製ELCOM P4560)を、成膜後の厚みが5μmとなるよう、バーコーターを用いて塗布した。塗工面に帯電防止層Bを有する前記PETフィルムの帯電防止面を貼り合わせた後、このガラス板を50℃の熱風乾燥炉で5分間乾燥し、次いで、出力120Wの高圧水銀灯の下を、距離200mm、1.6m/分のスピードで通過させ、PETフィルムを剥離することで帯電防止層Bを有する架橋被膜Aが片面に形成されたガラス板を得た(工程2・図2参照)。
上記で得られた帯電防止層Bが転写した架橋被膜Aを有するガラス板を2枚用意し、帯電防止層Bが内側になるように対向させ、周囲を軟質塩ビ製のガスケットで封じ、注型重合用の鋳型を作製した。
上記で得られた帯電防止層Bが転写した架橋被膜Aを有するガラス板を2枚用意し、帯電防止層Bが内側になるように対向させ、周囲を軟質塩ビ製のガスケットで封じ、注型重合用の鋳型を作製した。
得られた鋳型に、メタクリル酸メチル重合体20質量%とメタクリル酸メチル80質量%とからなるシラップ100質量部と、アゾビスジメチルバレロニトリル0.05質量部と、ジオクチルスルフォサクシネートソーダ塩0.005質量部とからなる原料を注入し、対向するガラス板の間隔を2mmに調整し、80℃の水浴中で1時間、次いで120℃の空気炉で1時間重合した。冷却後、ガラス板から樹脂板を剥離することにより、架橋被膜A、帯電防止層B、アクリル樹脂C、がA、B、C、B、Aの順に積層したアクリル樹脂積層体を得た(工程3・図3参照)。
得られたアクリル樹脂積層体は着色しておらず、全光線透過率92%、ヘーズ0.1%、表面抵抗値1×1010Ω/□であり、透明性と帯電防止性に優れているものであった。また、スチールウール擦傷試験後のΔヘーズは0.1%と小さく、このアクリル樹脂積層体は、耐擦傷性にも優れており、ディスプレー前面板として好適なものであった。
(実施例2)
帯電防止層用塗剤として、X液、Y液、Z液を配合せず、BONDEIP(ALTECH製アクリル系共重合体)4gを水4gで希釈した塗液を帯電防止層用塗剤として用いた以外は、実施例1と同様の方法で、アクリル樹脂積層体を得た。
得られたアクリル樹脂積層体は着色しておらず、全光線透過率92%、ヘーズ0.1%、表面抵抗値1×1010Ω/□であり、透明性と帯電防止性に優れているものであった。また、スチールウール擦傷試験後のΔヘーズは0.1%と小さく、このアクリル樹脂積層体は、耐擦傷性にも優れており、ディスプレー前面板として好適なものであった。
(実施例2)
帯電防止層用塗剤として、X液、Y液、Z液を配合せず、BONDEIP(ALTECH製アクリル系共重合体)4gを水4gで希釈した塗液を帯電防止層用塗剤として用いた以外は、実施例1と同様の方法で、アクリル樹脂積層体を得た。
得られたアクリル樹脂積層体は着色しておらず、全光線透過率91%、ヘーズ0.1%、表面抵抗値2×1010Ω/□であり、透明性と帯電防止性に優れているものであった。また、スチールウール擦傷試験後のΔヘーズは0.1%と小さく、このアクリル樹脂積層体は、耐擦傷性にも優れており、ディスプレー前面板として好適なものであった。
(実施例3)
帯電防止層用塗剤として、Y液の代わりに、インジウムースズ系酸化物塗料X−500(住友金属鉱山製)を用い、X液0.7g、インジウム−スズ系酸化物塗料X−500液4g及びZ液0.04gを混合し、水5.3gで希釈した以外は、実施例1と同様の方法で、アクリル樹脂積層体を得た。
(実施例3)
帯電防止層用塗剤として、Y液の代わりに、インジウムースズ系酸化物塗料X−500(住友金属鉱山製)を用い、X液0.7g、インジウム−スズ系酸化物塗料X−500液4g及びZ液0.04gを混合し、水5.3gで希釈した以外は、実施例1と同様の方法で、アクリル樹脂積層体を得た。
得られたアクリル樹脂積層体は着色しておらず、全光線透過率91%、ヘーズ0.1%、表面抵抗値2×109Ω/□であり、透明性と帯電防止性に優れているものであった。また、スチールウール擦傷試験後のΔヘーズは0.1%と小さく、このアクリル樹脂積層体は、耐擦傷性にも優れており、ディスプレー前面板として好適なものであった。
(比較例1)
ガラス板上に、イソプロパノールを主成分とする溶剤70質量%と、非溶剤成分中に平均粒径20nmの5酸化アンチモン微粒子を25質量%とを含有する、多官能アクリレート系塗料(触媒化成製ELCOM P4560)を、成膜後の厚みが5μmとなるよう、バーコーターを用いて塗布した。このガラス板を50℃の熱風乾燥炉で5分間乾燥した後、出力120Wの高圧水銀灯の下を、距離200mm、1.6m/分のスピードで通過させ、5酸化アンチモン微粒子を含有する架橋被膜が片面に形成されたガラス板を得た。なお、5酸化アンチモン微粒子の架橋被膜に占める割合は25質量%であった。
上記で得られた5酸化アンチモン架橋被膜を有するガラス板を2枚用意し、架橋被膜が内側になるように対向させ、周囲を軟質塩ビ製のガスケットで封じ、注型重合用の鋳型を作製した。
(比較例1)
ガラス板上に、イソプロパノールを主成分とする溶剤70質量%と、非溶剤成分中に平均粒径20nmの5酸化アンチモン微粒子を25質量%とを含有する、多官能アクリレート系塗料(触媒化成製ELCOM P4560)を、成膜後の厚みが5μmとなるよう、バーコーターを用いて塗布した。このガラス板を50℃の熱風乾燥炉で5分間乾燥した後、出力120Wの高圧水銀灯の下を、距離200mm、1.6m/分のスピードで通過させ、5酸化アンチモン微粒子を含有する架橋被膜が片面に形成されたガラス板を得た。なお、5酸化アンチモン微粒子の架橋被膜に占める割合は25質量%であった。
上記で得られた5酸化アンチモン架橋被膜を有するガラス板を2枚用意し、架橋被膜が内側になるように対向させ、周囲を軟質塩ビ製のガスケットで封じ、注型重合用の鋳型を作製した。
得られた鋳型に、メタクリル酸メチル重合体20質量%とメタクリル酸メチル80質量%とからなるシラップ100質量部と、アゾビスジメチルバレロニトリル0.05質量部と、ジオクチルスルフォサクシネートソーダ塩0.005質量部とからなる原料を注入し、対向するガラスの間隔を2mmに調整し、80℃の水浴中で1時間、次いで120℃の空気炉で1時間重合した。冷却後、ガラス板から樹脂板を剥離することにより、両表面に5酸化アンチモン架橋被膜を有するアクリル樹脂積層体を得た(図4参照)。
得られたアクリル樹脂積層体は着色しておらず、全光線透過率92%、ヘーズ0.1%、表面抵抗値1×1010Ω/□であり、透明性と帯電防止性には優れていたが、スチールウール擦傷試験後のΔヘーズは1.0%となり、耐擦傷性が劣るものであった。
(比較例2)
ガラス板上に、多官能アクリレート系塗料(触媒化成製ELCOM P4560)を、成膜後の厚みが5μmとなるよう、バーコーターを用いて塗布した。このガラス板を50℃の熱風乾燥炉で5分間乾燥した後、出力120Wの高圧水銀灯の下を、距離200mm、1.6m/分のスピードで通過させ、架橋被膜Aが片面に形成されたガラス板を得た。以上の方法により作製された、架橋被膜Aを有するガラス板を2枚用意し、架橋被膜Aが内側になるように対向させ、周囲を軟質塩ビ製のガスケットで封じ、注型重合用の鋳型を作製した。
得られた鋳型に、メタクリル酸メチル重合体20質量%とメタクリル酸メチル80質量%とからなるシラップ100質量部と、アゾビスジメチルバレロニトリル0.05質量部と、ジオクチルスルフォサクシネートソーダ塩0.005質量部とからなる原料を注入し、対向するガラスの間隔を2mmに調整し、80℃の水浴中で1時間、次いで120℃の空気炉で1時間重合した。冷却後、ガラス板から樹脂板を剥離することにより、両表面に架橋被膜Aを有するアクリル樹脂積層体を得た(図5参照)。
得られたアクリル樹脂積層体は着色しておらず、全光線透過率92%、ヘーズ0.1%と透明性には優れていたが、表面抵抗値は1×1016Ω/□であり、帯電防止性が劣るものであった。
(比較例3)
メタクリル酸メチル重合体20質量%とメタクリル酸メチル80質量%とからなるシラップ100質量部と、アゾビスジメチルバレロニトリル0.05質量部と、ジオクチルスルフォサクシネートソーダ塩0.005質量部とからなる原料を攪拌機が備わった反応容器に投入し、80℃の水浴中で1時間、次いで120℃の空気炉で1時間重合した。得られたアクリル樹脂を押出機を用いて、シリンダー温度240℃で押出し、ついで射出成形してアクリル樹脂Cを得た。
次いで、X液0.7g、Y液4g及びZ液0.04gを混合し、水5.3gで希釈した後、この液をアクリル樹脂Cにバーコーターを用いて塗布した後、120℃で10秒間乾燥しアクリル樹脂積層体を得た(図6参照)。
得られたアクリル樹脂積層体は着色しておらず、全光線透過率92%、ヘーズ0.1%、表面抵抗値1×1010Ω/□であり、透明性と帯電防止性には優れていたが、スチールウール擦傷試験後のΔヘーズは1.0%となり、耐擦傷性が劣るものであった。
(比較例2)
ガラス板上に、多官能アクリレート系塗料(触媒化成製ELCOM P4560)を、成膜後の厚みが5μmとなるよう、バーコーターを用いて塗布した。このガラス板を50℃の熱風乾燥炉で5分間乾燥した後、出力120Wの高圧水銀灯の下を、距離200mm、1.6m/分のスピードで通過させ、架橋被膜Aが片面に形成されたガラス板を得た。以上の方法により作製された、架橋被膜Aを有するガラス板を2枚用意し、架橋被膜Aが内側になるように対向させ、周囲を軟質塩ビ製のガスケットで封じ、注型重合用の鋳型を作製した。
得られた鋳型に、メタクリル酸メチル重合体20質量%とメタクリル酸メチル80質量%とからなるシラップ100質量部と、アゾビスジメチルバレロニトリル0.05質量部と、ジオクチルスルフォサクシネートソーダ塩0.005質量部とからなる原料を注入し、対向するガラスの間隔を2mmに調整し、80℃の水浴中で1時間、次いで120℃の空気炉で1時間重合した。冷却後、ガラス板から樹脂板を剥離することにより、両表面に架橋被膜Aを有するアクリル樹脂積層体を得た(図5参照)。
得られたアクリル樹脂積層体は着色しておらず、全光線透過率92%、ヘーズ0.1%と透明性には優れていたが、表面抵抗値は1×1016Ω/□であり、帯電防止性が劣るものであった。
(比較例3)
メタクリル酸メチル重合体20質量%とメタクリル酸メチル80質量%とからなるシラップ100質量部と、アゾビスジメチルバレロニトリル0.05質量部と、ジオクチルスルフォサクシネートソーダ塩0.005質量部とからなる原料を攪拌機が備わった反応容器に投入し、80℃の水浴中で1時間、次いで120℃の空気炉で1時間重合した。得られたアクリル樹脂を押出機を用いて、シリンダー温度240℃で押出し、ついで射出成形してアクリル樹脂Cを得た。
次いで、X液0.7g、Y液4g及びZ液0.04gを混合し、水5.3gで希釈した後、この液をアクリル樹脂Cにバーコーターを用いて塗布した後、120℃で10秒間乾燥しアクリル樹脂積層体を得た(図6参照)。
得られたアクリル樹脂積層体は着色しておらず、全光線透過率92%、ヘーズ0.1%、表面抵抗値1×108Ω/□であり、透明性と帯電防止性には優れていた。しかし、スチールウール擦傷試験後のΔヘーズは3.0%であり、耐擦傷性が劣るものであった。
A 架橋皮膜
B 帯電防止層
C アクリル樹脂
B 帯電防止層
C アクリル樹脂
Claims (2)
- 架橋被膜A、帯電防止層B及びアクリル樹脂Cが、A、B、C又はA、B、C、B、Aの順に積層していることを特徴とするアクリル樹脂積層体。
- ベースフィルム上に帯電防止層Bを形成する工程(1)と、架橋反応性化合物を含有する架橋被膜形成用塗料を、少なくとも1つの成形型の内表面に塗布し、前記ベースフィルム上に設けた帯電防止層Bと貼り合わせた後、前記架橋反応性化合物を架橋重合させて架橋被膜Aを形成し、次いで、ベースフィルムを剥離することでベースフィルム上の帯電防止層Bを架橋被膜Aに転写する工程(2)と、前記架橋被膜Aが内表面に形成された前記成形型を少なくとも一部に含む鋳型内に、アクリル樹脂原料を注入し、次いで重合してアクリル樹脂Cを作製し、前記鋳型からアクリル樹脂積層体を剥離する工程(3)とを含むことを特徴とするアクリル樹脂積層体の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2007145216A JP2008296461A (ja) | 2007-05-31 | 2007-05-31 | アクリル樹脂積層体とその製造方法 |
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-
2007
- 2007-05-31 JP JP2007145216A patent/JP2008296461A/ja active Pending
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CN111619185B (zh) * | 2019-02-27 | 2023-06-30 | 株式会社Jsp | 层合泡沫片 |
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