JP2008290345A - 樹脂材料の設計方法、樹脂材料の設計プログラム、樹脂、及び樹脂製品 - Google Patents

樹脂材料の設計方法、樹脂材料の設計プログラム、樹脂、及び樹脂製品 Download PDF

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康仁 丹羽
Masaaki Tsutsubuchi
雅明 筒渕
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Abstract

【課題】射出成形により樹脂製品を製造するにあたり、樹脂の流動特性パラメータの最適値を効率よく決定できる樹脂材料の設計方法及び樹脂材料の設計プログラム等を提供する。
【解決手段】樹脂B〜Dの粘度特性データが樹脂Aの粘度特性データとフィッティングするときの樹脂B〜Dの補正係数Sをそれぞれ求めるステップと、樹脂A〜Dの補正係数SとMFRとの相関関係を求めるステップと、樹脂Xが任意のMFRを有する場合の射出成形解析を行うステップと、MFRに基づいて評価関数の値を求めるステップと、最適化手法に従って一部ステップを反復実行し、射出成形解析の結果から算出される制約関数が制約条件を満たし且つ評価関数の値が最適となるMFRを特定するステップとを有し、射出成形解析を行うステップでは、上述の相関関係から推定される樹脂Xの粘度とせん断速度との関係に基づいて射出成形解析を行う。
【選択図】図2

Description

本発明は、樹脂材料の設計方法、樹脂材料の設計プログラム、樹脂、及び樹脂製品に関する。
樹脂を射出成形するのに最適な成形条件を決定する方法として、例えば特許文献1記載の技術が知られている。特許文献1記載の技術では、流動解析を実行することにより、キャビティへの樹脂材料の流入量を時系列的に設定する製造パラメータ等の最適値を求めている。またこの技術では、最適値を効率よく求める目的で、流動解析を最適化手法と組み合わせて実行している。
特開2004−314625号公報
特許文献1記載の技術は成形条件にかかる最適値を求めるものであるが、金型に充填する樹脂の流動特性パラメータ(例えばMFRなど)についても最適値を求めておくことが望ましい。樹脂の流動特性パラメータが変わると、この樹脂を射出成形してなる樹脂製品の強度も変わるからである。しかしながらこれまで、成形条件にかかる最適値を効率よく決定する技術は存在していたものの、樹脂の流動特性パラメータについて最適値を効率よく決定する技術は存在しなかった。
そこで本発明は、射出成形により樹脂製品を製造するにあたり、樹脂の流動特性パラメータの最適値を効率よく決定できる樹脂材料の設計方法及び樹脂材料の設計プログラムと、この設計方法を用いた樹脂及び樹脂製品とを提供することを目的とする。
本発明に係る樹脂材料の設計方法は、射出成形により樹脂製品を製造するにあたり、射出成形に用いる成形用樹脂の流動特性パラメータの最適値を求める樹脂材料の設計方法であって、成形用樹脂と同一種類で且つ流動特性パラメータが互いに異なる複数の樹脂それぞれについて、粘度とせん断速度との組み合わせからなる複数のデータを用意すると共に、複数の樹脂のうちから基準となる樹脂を1つ定める第1の準備ステップと、複数の樹脂のうち基準となる樹脂を除く樹脂のデータを、補正係数Sを用いて粘度を1/S倍し且つせん断速度をS倍することによって補正し、当該補正したデータが基準となる樹脂のデータとフィッティングするときの複数の樹脂の補正係数Sをそれぞれ求める第2の準備ステップと、複数の樹脂の補正係数Sと複数の樹脂の流動特性パラメータとの相関関係を求める第3の準備ステップと、成形用樹脂が任意の流動特性パラメータを有する場合について射出成形解析を行う解析ステップと、流動特性パラメータに基づいて所定の評価関数の値を求める評価ステップと、最適化手法に従って成形用樹脂の流動特性パラメータを変更して解析ステップ及び評価ステップを反復実行することによって、射出成形解析の結果から算出される制約関数の値が所定の制約条件を満たし且つ評価関数の値が最適となるような、流動特性パラメータを特定し、当該流動特性パラメータを成形用樹脂における最適値とする最適化ステップと、を有し、解析ステップでは、第3の準備ステップにて取得された相関関係に基づいて、成形用樹脂がそれぞれの流動特性パラメータを有する場合における当該成形用樹脂の粘度とせん断速度との関係を推定し、当該推定された粘度とせん断速度との関係に基づいて射出成形解析を行うことを特徴とする。
本発明に係る樹脂材料の設計方法では、最適化手法に従って、樹脂の流動特性パラメータの変更、射出成形解析、及び評価関数の計算を反復実行する。最適化手法を用いるので、制約条件を満たし且つ評価関数の値が最適となるような、流動特性パラメータを効率よく求めることができる。射出成形解析は、成形用樹脂の粘度とせん断速度との関係に基づいて行われる。本発明ではこの関係を、データから直接求めるのではなく、第1〜第3の準備ステップで得られた情報を基に推定する。つまり本発明の解析ステップでは、「成形用樹脂の流動特性パラメータを変更するたびに、予め求めておいた補正係数Sと流動特性パラメータとの相関関係から、成形用樹脂の粘度とせん断速度との関係を予測する」のであって、「成形用樹脂の流動特性パラメータを変更するたびに、成形用樹脂の粘度−せん断速度のデータを実測定により取得し、この測定データから成形用樹脂の粘度とせん断速度との関係を求める」のではない。測定ではなく推定をすることにより、成形用樹脂の流動特性パラメータを種々の値に変更した場合でも柔軟に対応でき、且つ迅速に成形用樹脂の粘度とせん断速度との関係を求めることが可能となる。よって、極めて効率よく流動特性パラメータの最適値を求めることができる。
また、本発明の樹脂材料の設計方法では、第2の準備ステップでは、基準となる樹脂のデータに基づき、当該樹脂の粘度とせん断速度との関係を示す近似式として下記式(1)を導出し、基準となる樹脂を除く樹脂について、下記式(1)に基づく下記式(2)においてTの値が最も小さくなるような補正係数Sを求めることが好ましい。



なお、式中、ηは基準となる樹脂の粘度、γは基準となる樹脂のせん断速度、mは基準となる樹脂を除く樹脂におけるデータの数、ηbiは基準となる樹脂を除く樹脂におけるデータのうちi番目のデータに示された粘度、γbiは基準となる樹脂を除く樹脂におけるデータのうちi番目のデータに示されたせん断速度を示す。この場合には、より適切な補正係数Sを得ることができる。
また、本発明の樹脂材料の設計方法では、第2の準備ステップでは、基準となる樹脂のデータに基づき、当該樹脂の粘度とせん断速度との関係を示す近似式として下記式(3)を準備し、基準となる樹脂を除く樹脂について、下記式(3)に基づく下記式(4)からTを求め、基準となる樹脂について、下記式(3)に基づく下記式(5)からTを求め、基準となる樹脂を除く樹脂のTを総和した値とTとの和が最も小さくなるよう、基準となる樹脂を除く樹脂の補正係数Sと下記式(3)に含まれる定数とをそれぞれ求めるとしてもよい。




なお、式中、ηは基準となる樹脂の粘度、γは基準となる樹脂のせん断速度、mは基準となる樹脂を除く樹脂におけるデータの数、ηbiは基準となる樹脂を除く樹脂におけるデータのうちi番目のデータに示された粘度、γbiは基準となる樹脂を除く樹脂におけるデータのうちi番目のデータに示されたせん断速度、nは前記基準となる樹脂における前記データの数、ηaiは基準となる樹脂におけるデータのうちi番目のデータに示された粘度、γaiは基準となる樹脂におけるデータのうちi番目のデータに示されたせん断速度を示す。この場合には、補正係数Sと上記式(3)に含まれる定数とを同時に求めることが可能となるため、適切な補正係数S及び上記式(3)の定数をより効率よく取得することができる。
また、本発明の樹脂材料の設計方法では、第3の準備ステップでは、相関関係を求めると共に、相関関係と複数の樹脂のうち所定の樹脂における流動特性パラメータとに基づいて、所定の樹脂の補正係数Sを求め、更に所定の樹脂のデータに基づき所定の樹脂の粘度とせん断速度との関係を示す近似式として下記式(6)を導出し、解析ステップは、第3の準備ステップにて取得された相関関係に基づいて、成形用樹脂が任意の流動特性パラメータを有する場合の当該成形用樹脂の補正係数Sを求めるステップと、成形用樹脂が任意の流動特性パラメータを有する場合の当該成形用樹脂の補正係数Sと、第3の準備ステップにて得られた所定の樹脂の補正係数Sと、下記式(6)と、から導出される下記式(7)に基づいて、成形用樹脂が任意の流動特性パラメータを有する場合の当該成形用樹脂の粘度とせん断速度との関係を推定するステップと、を含むことが好ましい。



なお、式中、ηは所定の樹脂の粘度、γは所定の樹脂のせん断速度、ηは成形用樹脂が任意の流動特性パラメータを有する場合の当該成形用樹脂の粘度、γは成形用樹脂が任意の流動特性パラメータを有する場合の当該成形用樹脂のせん断速度、Sは成形用樹脂が任意の流動特性パラメータを有する場合の当該成形用樹脂の補正係数、Sは所定の樹脂の補正係数を示す。この場合には、成形用樹脂の粘度とせん断速度との関係を示す近似式を得ることができる。
また、本発明の樹脂材料の設計方法では、上記式(6)は、Crossモデル又はCarreau−Yasudaモデルに基づくことが好ましい。この場合には、成形用樹脂の粘度とせん断速度との関係をより適切に示す近似式を得ることができる。
また、本発明の樹脂材料の設計方法では、第3の準備ステップでは、相関関係を示す下記式(8)を導出するとしてもよい。


なお、式中、pは複数の樹脂の流動特性パラメータ、α,βは定数を示す。この場合には、複数の樹脂における補正係数Sと流動特性パラメータとの相関関係をより適切に求めることができる。
また、本発明の樹脂材料の設計方法では、解析ステップでは、成形用樹脂が任意の流動特性パラメータを有する場合について射出成形解析を行うと共に、成形用樹脂の流動特性パラメータが所定のばらつきを有する場合を考慮して、成形用樹脂の流動特性パラメータをサンプリングして射出成形解析を行い、評価ステップでは、成形用樹脂が有する任意の流動特性パラメータと成形用樹脂の流動特性パラメータが有する所定のばらつきとに基づいて、評価関数の値を求め、最適化ステップでは、最適化手法に従って成形用樹脂の流動特性パラメータを変更して解析ステップ及び評価ステップを反復実行することによって、成形用油脂が任意の流動特性パラメータを有する場合の射出成形解析の結果と、成形用樹脂の流動特性パラメータが所定のばらつきを有する場合を考慮して成形用樹脂の流動特性パラメータをサンプリングして行った射出成形解析の結果とから算出される制約関数の値が所定の制約条件を満たし且つ評価関数の値が最適となるような、成形用樹脂の任意の流動特性パラメータを特定し、特定された成形用樹脂の任意の流動特性パラメータを成形用樹脂における最適値とすることが好ましい。この場合には、ばらつきを考慮した上で最適な流動特性パラメータの値を取得することができる。
また、本発明の樹脂材料の設計方法では、最適化ステップでは、多目的遺伝的アルゴリズムを用いた最適化手法に従って成形用樹脂の流動特性パラメータを変更して解析ステップ及び評価ステップを反復実行し、最適な評価関数の値の集合であるパレート最適解を取得することが好ましい。この場合には、成形用樹脂の流動特性パラメータの最適値を複数得ることができる。
また、本発明の樹脂材料の設計方法では、流動特性パラメータは、メルトフローレート、メルトインデックス、及びメルトフローインデックスのいずれであることが好ましい。この場合には、成形用樹脂の流動特性パラメータの最適値を確実に求めることができる。
ところで、本発明は、上記のように樹脂材料の設計方法の発明として記述できる他に、以下のように樹脂材料の設計プログラムの発明としても記述することができる。これらはカテゴリが異なるだけで、実質的に同一の発明であり、同様の作用及び効果を奏する。
すなわち、本発明に係る樹脂材料の設計プログラムは、射出成形により樹脂製品を製造するにあたり、情報処理装置に、樹脂の流動特性パラメータの最適値を求める処理をさせる樹脂材料の設計プログラムであって、情報処理装置に、成形用樹脂と同一種類で且つ流動特性パラメータが互いに異なる複数の樹脂それぞれについて、粘度とせん断速度との組み合わせからなる複数のデータを用意すると共に、複数の樹脂のうちから基準となる樹脂を1つ定める第1の準備処理と、複数の樹脂のうち基準となる樹脂を除く樹脂のデータを、補正係数Sを用いて粘度を1/S倍し且つせん断速度をS倍することによって補正し、当該補正したデータが基準となる樹脂のデータとフィッティングするときの複数の樹脂の補正係数Sをそれぞれ求める第2の準備処理と、複数の樹脂の補正係数Sと複数の樹脂の流動特性パラメータとの相関関係を求める第3の準備処理と、成形用樹脂が任意の流動特性パラメータを有する場合について射出成形解析を行う解析処理と、流動特性パラメータに基づいて所定の評価関数の値を求める評価処理と、最適化手法に従って成形用樹脂の流動特性パラメータを変更して解析処理及び評価処理を反復実行することによって、射出成形解析の結果から算出される制約関数の値が所定の制約条件を満たし且つ評価関数の値が最適となるような、流動特性パラメータを特定し、当該流動特性パラメータを成形用樹脂における最適値とする最適化処理と、を実行させ、解析処理では、第3の準備処理にて取得された相関関係に基づいて、成形用樹脂がそれぞれの流動特性パラメータを有する場合における当該成形用樹脂の粘度とせん断速度との関係を推定し、当該推定された粘度とせん断速度との関係に基づいて射出成形解析を行うことを特徴とする。
また、本発明に係る樹脂は、上述した樹脂材料の設計方法により特定された流動特性パラメータを有することを特徴とする。本発明によれば、射出成形に最適な流動特性パラメータを有する樹脂を得ることが可能となる。
また、本発明に係る樹脂製品は、上述した樹脂材料の設計方法により特定された流動特性パラメータを有する樹脂を用いて射出成形されたことを特徴とする。本発明によれば、射出成形に最適な流動特性パラメータを有する樹脂を用いているため、強度に優れた樹脂製品を得ることが可能となる。
本発明によれば、射出成形により樹脂製品を製造するにあたり、樹脂の流動特性パラメータの最適値を効率よく決定できる樹脂材料の設計方法及び樹脂材料の設計プログラムと、この設計方法を用いた樹脂及び樹脂製品とを提供することができる。
以下、図面とともに本発明に係る樹脂材料の設計方法および樹脂材料の設計プログラムの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態に係る樹脂材料の設計方法は、射出成形により樹脂製品を製造するにあたり、樹脂の流動特性パラメータの最適値を求めるものであって、ワークステーションやPC(Personal Computer)等の情報処理装置により実行される。情報処理装置30としては、例えば、図1に示すようなハードウェア構成のものが用いられる。図1に示すように、情報処理装置30は、中央処理装置(CentralProcessing Unit:CPU)31と、プログラムやデータを格納するためのハードディスク装置32と、主メモリ33と、キーボードやマウス等の入力装置34と、CRT(CathodeRay Tube)等の表示装置35と、磁気テープやROM等の記録媒体37を読み取る読取装置36とを含んで構成されている。ハードディスク装置32、主メモリ33、入力装置34、表示装置35、及び読取装置36は、何れも中央処理装置31に接続されている。この情報処理装置30では、プログラムを格納した記録媒体37が読取装置36に装着され、記録媒体37からプログラムが読み出されてハードディスク装置32に格納される。続いて、ハードディスク装置32に格納されたプログラムが、中央処理装置31により主メモリ33上に展開して実行されて、本実施形態に係る樹脂材料の設計方法が実行される。なお、本実施形態に係る樹脂材料の設計方法は、上記のようにプログラムによるものでなく装置のみで実行されるものであってもよい。また、以下に述べる一連の処理全てが情報処理装置にて実行されるとしてもよいし、一連の処理のうちの一部が情報処理装置にて実行されるとしてもよい。
以下、図2のフローチャートを用いて、本実施形態に係る樹脂材料の設計方法を説明する。この設計方法は大きく分けて、射出成形解析のための準備を行うステップS01と、樹脂X(成形用樹脂)を用いて射出成形解析を実施し、樹脂XのMFRの最適値を特定するステップS02と、を有している。
最初に、図3のフローチャートを用いつつ、射出成形解析のための準備を行うステップについて詳細に説明する。ここではまず、ステップS10に示すように、複数の樹脂の粘度特性データを用意する(第1の準備ステップ、第1の準備処理)。
例えば本実施形態では、樹脂A,B,C,Dの粘度特性データを用意する。粘度特性データとは、粘度とせん断速度との関係を示すデータであり、より具体的にはせん断速度と粘度との組み合わせ(γ,η)からなるデータである。樹脂Aの粘度特性データ、樹脂Bの粘度特性データ、樹脂Cの粘度特性データ、及び樹脂Dの粘度特性データは、それぞれ複数用意される。図4は、樹脂A〜Dの粘度特性データを示すグラフである。図4に示すように、本実施形態では、樹脂A〜Dの粘度特性データは8〜10個ずつ用意される。なお、樹脂A〜Dの粘度特性データはハードディスク装置32あるいは記録媒体37に予め格納されたものであってもよいし、本ステップにおいてユーザにより入力されたものであってもよい。
樹脂A〜Dは、射出成形に用いる樹脂Xと同一種類の樹脂である。同一種類とは、分子量の分布形状が同一であることを指し、より具体的には同一の触媒を用い且つ同一の製造プロセスで製造されていることを指す。樹脂A〜D及び樹脂Xは、例えば、ホモポリプロピレン(ホモPP)、エチレン−プロピレンランダムコポリマー(ランダムPP)、エチレン−プロピレンブロックコポリマー(ブロックPP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)からなる群から選択される。例えば本実施形態では、樹脂A〜D及び樹脂Xとしてポリプロピレン樹脂を用いる。
樹脂A〜Dは、流動特性パラメータが互いに異なっている。本実施形態における流動特性パラメータとは、メルトフローレート(以下、MFRと呼ぶ)である。樹脂A〜Dは、分子量の分布形状は同一であるもののMFRが互いに異なっているために、分子量のピーク位置が互いにシフトした関係となっている。例えば本実施形態では、樹脂AのMFRを2.6とし、樹脂BのMFRを8.3とし、樹脂CのMFRを14.0とし、樹脂DのMFRを65.0とする。
樹脂A〜Dの粘度特性データを用意したら、ステップS11に示すように、樹脂A〜Dの中から基準となる樹脂を1つ定める(第1の準備ステップ、第1の準備処理)。本実施形態では、樹脂Aを基準となる樹脂とする。なお、基準となる樹脂は、樹脂B〜Dのいずれかであってもよい。
基準となる樹脂を定めた後、ステップS12に示すように、樹脂B〜Dにおける粘度特性データを、補正係数Sを用いて粘度を1/S倍し且つせん断速度をS倍することによって補正し、当該補正した粘度特性データが樹脂Aにおける粘度特性データとフィッティングするときの樹脂B〜Dの補正係数Sを求める(第2の準備ステップ、第2の準備処理)。
より具体的には、補正係数Sを用いて、樹脂B〜Dの各粘度特性データの粘度を1/S倍し且つせん断速度をS倍することで、樹脂B〜Dの各粘度特性データを補正する。つまり、図5に示すように、補正後の樹脂B〜Dの粘度特性データをグラフ上にプロットすると、かかる粘度特性データと樹脂Aの粘度特性データとが略同一線上に位置するよう、樹脂B〜Dの補正係数Sを決定する。
樹脂B〜Dの補正係数Sを導出する方法は種々考えられるが、その一つとして以下の方法を適用することができる。
すなわち、樹脂Aの粘度特性データから、樹脂Aにおける粘度とせん断速度との関係を示す近似式として、Carreau−Yasudaモデルを用いて下記式(9)を導出する。


式中、ηは樹脂Aの粘度、γは樹脂Aのせん断速度を示し、η,λ,y,Nはそれぞれ定数である。例えば本実施形態では、図4に示す樹脂Aの粘度特性データから、η(単位Pas)は25000、λ(単位s)は0.55、N(単位なし)は0.5、y(単位なし)は0.25となった。
そして、上記式(9)を導出したのち、上記式(9)から下記式(10)を得る。


式中、mは樹脂Bにおける粘度特性データの数(本実施形態ではm=10)を示し、ηBiは樹脂Bの粘度特性データのうちi番目の粘度特性データに示された粘度を示し、γbiは樹脂Bの粘度特性データのうちi番目の粘度特性データに示されたせん断速度を示す。
上記式(10)に樹脂Bの粘度特性データを代入して、Tの値が最も小さくなるときの補正係数Sを求める。これを樹脂Bの補正係数Sとする。樹脂Bと同様にして、樹脂C,Dについても補正係数Sをそれぞれ求める。補正を行わない樹脂Aについては、補正係数Sを1とする。
なお、上述した補正係数Sの決定方法では、上記式(9)の定数η,λ,y,Nを図4に示す樹脂Aの粘度特性データから取得するとしたが、以下の方法で定数η,λ,y,Nを樹脂B〜Dの補正係数Sと同時に取得するとしてもよい。すなわち、上記式(10)に樹脂Bの粘度特性データを代入したときのTをT、上記式(10)に樹脂Cの粘度特性データを代入したときのTをT、上記式(10)に樹脂Dの粘度特性データを代入したときのTをTとする。更に、上記式(9)から得られる下記式(11)よりTを求める。なおこのとき、上記式(9)の定数η,λ,y,Nの値は未定とする。


式中、nは樹脂Aにおける粘度特性データの数を示し、ηAiは樹脂Aの粘度特性データのうちi番目の粘度特性データに示された粘度を示し、γAiは樹脂Aの粘度特性データのうちi番目の粘度特性データに示されたせん断速度を示す。
続いて、T+T+T+Tの総和値が最も小さくなるような、樹脂B〜Dの補正係数Sおよび定数η,λ,y,Nを求める。この場合、樹脂B〜Dの補正係数Sおよび定数η,λ,y,Nは全て変数として扱われる。変数が多いので各変数値の算出はやや複雑になるが、樹脂B〜Dの補正係数Sおよび定数η,λ,y,Nをいちどきに求めることが可能となるため、適切な値をより効率よく取得することができる。
樹脂A〜Dの補正係数Sを取得したら、ステップS13に示すように、樹脂A〜Dの補正係数Sと樹脂A〜DのMFRとの相関関係を求める(第3の準備ステップ、第3の準備処理)。
より具体的には、樹脂A〜Dの補正係数Sと樹脂A〜DのMFRとに基づき、これらの相関関係を示す近似式として、下記式(12)を導出する。


式中、pはMFRを示し、α,βは定数を示す。
定数α,βは、pに樹脂A〜DのMFRを代入した時に、ステップS12で決定された樹脂A〜Dの補正係数Sと10(−αlogp+β)との差が最も小さくなるよう、最小二乗近似によって導出される。例えば本実施形態では、α=1.0084となり、β=0.4211となった。したがって本実施形態において、上記式(12)は下記式(13)で表すことができる。

図6は、樹脂A〜DのMFRとステップS12で得られた樹脂A〜Dの補正係数Sとの組み合わせを点で示し、更に上記式(13)から求められる補正係数Sと樹脂A〜DのMFRとの関係を線で示したグラフである。
補正係数SとMFRとの相関関係を求めたら、ステップS14に示すように、樹脂A(所定の樹脂)の粘度特性データから、Carreau−Yasudaモデルを用いて、樹脂Aにおける粘度とせん断速度との関係を示す近似式(14)を導出する(第3の準備ステップ、第3の準備処理)。


上記式(14)は上記式(9)と同一の式であるため、ステップS12にて上記式(9)を導出した場合には、ここで上記式(14)をあらためて導出する必要はなく、上記式(9)を用いることができる。
上記式(14)を導出して、射出成形解析の準備を行うステップ(図1のステップS01)は終了する。
射出成形解析の準備を行うステップが終了したら、ステップS02に示すように、射出成形解析を行って樹脂XのMFRの最適値を特定する。このステップでは、後述する一連の処理を最適化手法に従って反復実行することにより、射出成形に最適な樹脂XのMFRを特定する。本実施形態では、最適化支援ソフトウエアと射出成形解析ソフトウエアとを組み合わせて実行することで最適なMFRを得ることとし、例えば射出成形解析ソフトウエアにはMoldflow Plastics Insight version 6.1(Moldflow Corporation製、簡易解析にて実施)を用い、最適化支援ソフトウエアにはiSIGHTversion 10.0 (Engineous Software Inc.製)を用いる。
図7のフローチャートを参照しつつ、ステップS02について詳細に説明する。まず、図7のステップS20に示すように、射出成形過程における樹脂Xの流れを解析するための解析用形状モデルを作成する。
本実施形態の解析用形状モデルは、図8に示すような長方形(縦横比=4/5)且つ平板状を呈した、内部にキャビティを有する部材50である。かかる部材50の一隅部分には、長方形の開口部が形成されており、これによってキャビティ内で樹脂が均等に流れにくい形状となっている。例えば、部材50の外形は800mm×1000mmとなっており、開口部の大きさは100mm×400mmとなっている。また、部材50のキャビティは図9に示すような厚み分布を有している。部材50主面のほぼ中央と、開口部付近に位置する部材50側面のほぼ中央とには樹脂の注入口が配置されており、各注入口には、テーパ付きスプルー51及びホットランナー52を介して、また場合によっては更にコールドランナーを介して、射出機(図示せず)から樹脂Xが供給される。なお、部材50の形状は上記のものに限定されない。
解析用形状モデルを作成したら、ステップS21に示すように、最適化手法に従って解析を行うための各種条件を設定する。より具体的には、設計変数、評価関数、成形条件、制約条件、初期条件、信頼性評価手法、及び最適化手法を設定する。本実施形態で設定した各種条件を表1に示す。

表1に示すように、本実施形態では、MFRを設計変数とし、3σのばらつきを考慮したMFRを評価関数としている。
各種条件を設定したら、ステップS22に示すように、設計変数すなわち樹脂XのMFRが初期値である場合における、樹脂Xの粘度とせん断速度との関係を推定する(解析ステップ、解析処理)。
図10は、ステップS22の詳細なフロー図である。樹脂Xの粘度とせん断速度との関係を推定するには、まず、ステップS31に示すように、設計変数値およびサンプリング値を決定する。表1からわかるように、サンプリング点は(MFR+3σ)であるから、設計変数値を30とした場合には、サンプリング値は32.7となる。
次に、ステップS32に示すように、ステップS13で導出した、樹脂A〜Dにおける補正係数SとMFRとの相関関係を示す近似式(12)と、ステップS31で決定された設計変数値とから、第1の補正係数S1を特定する。例えば設計変数値が30である場合には、下記式(15)で示すような第1の補正係数S1が求められる。

また、上記式(12)とステップS31で決定されたサンプリング値とから、第2の補正係数S2を特定する(ステップS33)。
このようにして、設計変数すなわち樹脂XのMFRが任意の値(この場合は30)である時の補正係数S1と、樹脂XのMFRがサンプリング値(この場合は32.7)である時の補正係数S2とが取得される。
続いて、ステップS34に示すように、ステップS32で得た第1の補正係数S1と、ステップS12で得た樹脂Aの補正係数S(ここではSとする)と、と、ステップS14で導出した樹脂Aにおける粘度とせん断速度との関係を示す近似式(14)とから、下記式(16)を導出する。


式中、ηは樹脂Xの粘度、γは樹脂Xのせん断速度、Sは樹脂Aの補正係数を示す。
ステップS12で説明したように、本実施形態においてSは1、ηは25000、λは0.55、Nは0.5、yは0.25である。また、ステップS32で説明したように、設計変数値が30のときの第1の補正係数S1は0.085である。このことから、本実施形態において上記式(16)は下記式(17)で表すことができる。

また、ステップS35に示すように、ステップS33で得た第2の補正係数S2と、ステップS12で得た樹脂Aの補正係数S(ここではSとする)と、ステップS14で導出した樹脂Aにおける粘度とせん断速度との関係を示す近似式(14)とから、下記式(18)を導出する。

ステップS31〜S35によって、設計変数すなわち樹脂XのMFRが任意の値(この場合は30)である時の樹脂Xの粘度とせん断速度との関係を示す式と、樹脂XのMFRがサンプリング値(この場合は32.7)である時の樹脂Xの粘度とせん断速度との関係を示す式とが取得される。
上記式(16),(18)を取得したら、図7のステップS23に示すように、部材50を用いて射出成形解析を行う。このとき、設計変数すなわち樹脂XのMFRが任意の値(この場合は30)である場合について射出成形解析を行うと共に、樹脂XのMFRがサンプリング値(この場合は32.7)である場合についても射出成形解析を行う(解析ステップ、解析処理)。より具体的には、上記式(16)を用いて射出成形解析を行い、設計変数すなわち樹脂XのMFRが任意の値(この場合は30)である時の型締力を求める。また、上記式(18)を用いて射出成形解析を行い、樹脂XのMFRがサンプリング値(この場合は32.7)である時の型締力を求める。そして、これらの型締力から、Taylor一次近似によりMCF及びSCFを算出する。なお、MCFは樹脂充填率98%時型締力の平均値であり、SCFは樹脂充填率98%時型締力の標準偏差である。
続いてステップS24に示すように、評価関数の値を求める(評価ステップ、評価処理)。樹脂XのMFRを下記式(19)に代入し、評価関数EFの値を算出する。設計変数すなわち樹脂XのMFRが30の場合、評価関数の値は32.7となる。

以降、ステップS25に示すように、最適化手法に従って、設計変数を変更しステップS22〜S24の一連の工程を反復実行する(最適化ステップ、最適化処理)。例えば本実施形態では、Sequential Quadric Programming -NLPQLを用いた最適化手法に従って、設計変数を変更しステップS22〜S24を、制約条件を満たし且つ最適な評価関数値が得られるまで、もしくは、400回まで反復実行する。なお設計変数は、表1に示すように例えば5以上70以下の範囲で変更される。
制約条件は、下記式(20)によって算出される制約関数SLを用いた下記式(21)で表される。制約関数は、SL(シグマレベル)を求めるものである。式中、Φ(単位z)は標準正規累積分布関数を示す。LCFは樹脂充填率98%時型締力の上限値であって、本実施形態では2000[ton]となっている。MCF及びSCFの値は、ステップS23で算出された値を用いる。本実施形態では、反復実行中に得られた評価関数のうち、対応する制約関数の値が3以上となり且つ評価関数の値が最小のものを選択する。




ステップS25で評価関数の最適値を取得した後、ステップS26に示すように、この値を求める際に用いた設計変数の値を特定する(最適化ステップ、最適化処理)。ここで特定された値が、樹脂XのMFRの最適値となる。樹脂XのMFRの最適値を取得したら、最適化結果を表示装置35に表示する。これにより、最適化支援ソフトウエア及び射出成形解析ソフトウエアの実行が終了する。表2は最適化結果を示すものである。

例えば本実施形態では、表2に示すように、樹脂XのMFRの最適値のほか、樹脂XのMFRが最適値である時のMCF及びSCFを応答値として表示する。
以上述べたように、本実施形態に係る樹脂材料の設計方法では、最適化手法に従って、樹脂XのMFRの値の変更、射出成形解析、及び評価関数の値の算出を反復実行する。最適化手法を用いるので、制約条件を満たし且つ評価関数の値が最適となるようなMFRを効率よく求めることができる。射出成形解析は、樹脂Xの粘度とせん断速度との関係に基づいて行われる。本実施形態ではこの関係を、データから直接求めるのではなく、上記式(12),(14)を基に推定する。つまり本実施形態では、「最適化手法に従って樹脂XのMFRを変更するたびに、上記式(12),(14)を基に、樹脂Xの粘度とせん断速度との関係を示す上記式(16)を導出する」のであり、「最適化手法に従って樹脂XのMFRを変更するたびに、このMFRを有する樹脂Xの粘度−せん断速度のデータを実測定により取得し、測定データから樹脂Xの粘度とせん断速度との関係を求める」のではない。よって、樹脂XのMFRを種々の値に変更した場合には、柔軟に対応でき、且つ迅速に樹脂Xの粘度とせん断速度との関係を求めることが可能となる。その結果、評価関数の最適値を極めて効率よく求めることができる。また、上述の方法で求められたMFRを有する樹脂Xからは、強度に優れた樹脂製品を得ることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば本実施形態では、設計変数すなわち樹脂XのMFRが任意の値である場合について射出成形解析を行うと共に、樹脂XのMFRが3σのばらつきを有する場合を考慮し、サンプリングして射出成形解析を行うとした。これを、樹脂XのMFRが任意の値である場合についてのみ射出成形解析を行うとしてもよい。この場合には、第2の補正値S2の取得(ステップS33)、上記式(18)の導出(ステップS35)、及びSLの算出は実施されない。また、表1に示す制約条件も適宜変更される。
また、評価関数の種類及び数は上述したものに限られない。例えば、評価関数が上述したもののほかに複数存在する場合には、最適化手法として、多目的遺伝的アルゴリズムを適用することが好ましい。この場合には評価関数の値としてパレート最適解を取得することになり、その結果、樹脂XのMFRの最適値を複数得ることが可能となる。
また、本実施形態のステップS14では、樹脂Aにおける粘度とせん断速度との関係を示す近似式(14)を導出するとしたが、樹脂B〜Dのいずれかについて近似式を導出するとしてもよい。例えば樹脂Bについて粘度とせん断速度との関係を示す近似式を導出した場合には、上記式(16)では樹脂Aの補正係数Sに代わり樹脂Bの補正係数Sが用いられることになる。
また、本実施形態のステップS06において、樹脂Aにおける粘度とせん断速度との関係を示す近似式をCarreau−Yasudaモデルを用いて導出するとしたが、Crossモデルを用いて導出するとしてもよい。この場合には、上記式(9),(14)に代わって下記式(22)を導出することとなる。


式中、ηは樹脂Aの粘度、γは樹脂Aのせん断速度を示し、η,K,Nはそれぞれ定数である。
また、本実施形態では、流動特性パラメータとしてMFRを用いるとしたが、流動特性パラメータとしてメルトインデックス又はメルトフローインデックスを用いるとしてもよい。
また、本実施形態のステップS23では、Taylor一次近似によりMCF及びSCFを算出しているが、モンテカルロ法やその他のサンプリング方法によりMCF及びSCFを算出するとしてもよい。
また、本実施形態のステップS25では、設計変数を変更してステップS22〜S24を400回反復実行し、この結果に基づいて評価関数の最適値を取得するとしたが、反復実行する回数は400回に限られず、400回よりも多くあるいは少なくしてもよい。また、ステップS24を実行するたびに出力される評価関数の値が十分に小さくなった時点で反復実行を終了するとしてもよい。
また、本実施形態のステップS10では、4つの樹脂A〜Dの粘度特性データを用意するとしたが、樹脂の数がこれに限られないことはいうまでもない。また、樹脂A〜Dの粘度特性データを8〜10個ずつ用意するとしたが、粘度特性データの数がこれに限られないことはいうまでもない。
次に、上述した一連の処理を情報処理装置30に実行させるための樹脂材料の設計プログラムについて説明する。図11に示すように、樹脂材料の設計プログラム71は、情報処理装置により読取可能な、あるいは情報処理装置に備えられる、記録媒体70に形成されたプログラム格納領域70a内に格納される。なお、記録媒体70が情報処理装置により読取可能なものである場合、かかる記録媒体70は図1に示す記録媒体37に相当する。
樹脂材料の設計プログラム71は、樹脂材料の設計方法を統括的に制御するメインモジュール71aと、樹脂A〜Dそれぞれについて、粘度とせん断速度との関係を示すデータを用意すると共に、樹脂A〜Dの中から基準となる樹脂を1つ定める第1の準備モジュール71bと、樹脂A〜Dのうちから基準となる樹脂を除く樹脂における粘度特性データを、補正係数Sを用いて粘度を1/S倍し且つせん断速度をS倍することによって補正し、当該補正した粘度特性データが基準となる樹脂における粘度特性データとフィッティングするときの樹脂A〜Dの補正係数Sを求める第2の準備モジュール71cと、樹脂A〜Dの補正係数Sと樹脂A〜DのMFRとの相関関係を求める第3の準備モジュール71dと、樹脂Xが任意のMFRを有する場合の射出成形解析を行う解析モジュール71eと、MFRに基づいて所定の評価関数の値を求める評価モジュール71fと、最適化手法に従って樹脂XのMFRを変更し射出成形解析及び評価関数値の算出を反復実行することによって、射出成形解析の結果から算出される制約関数の値が所定の制約条件を満たし且つ評価関数の値が最適となるようなMFRを特定し、当該MFRを最適値とする最適化モジュール71gと、を備えて構成される。
すなわち、第1の準備モジュール71bは上記の実施形態におけるステップS10,S11を実現させ、第2の準備モジュール71cはステップS12を実現させ、第3の準備モジュール71dはステップS13,S14を実現させ、解析モジュール71eはステップS20〜S23を実現させ、評価モジュール71fはステップS24を実現させ、最適化モジュール71gはステップS25,S26を実現させる。なお、樹脂材料の設計プログラム71は、その一部若しくは全部が、通信回線等の伝送媒体を介して伝送され、他の機器により受信されて記録(インストールを含む)される構成としてもよい。
本実施形態に係る樹脂材料の設計方法が実行される情報処理装置のハードウェア構成を示す図である。 本実施形態に係る樹脂材料の設計方法を示すフローチャートである。 射出成形解析のための準備ステップを示すフローチャートである。 樹脂A〜Dの粘度特性データを示すグラフである。 補正後の樹脂B〜Dの粘度特性データと、樹脂Aの粘度特性データとを示すグラフである。 樹脂A〜DのMFRと補正係数Sの樹脂A〜Dの補正係数Sとの組み合わせを点で示し、上記式(13)から求められるMFRと補正係数Sとの関係を線で示したグラフである。 射出成形解析を行って樹脂XのMFRの最適値を特定するステップを示すフローチャートである。 本実施形態の解析用形状モデルを示す図である。 本実施形態の解析用形状モデルにおけるキャビティの厚み分布を示す図である。 樹脂Xの粘度とせん断速度との関係を推定するステップを示すフローチャートである。 本実施形態に係る樹脂材料の設計プログラムの構成を示す図である。
符号の説明
30…情報処理装置、31…中央処理装置、32…ハードディスク装置、33…主メモリ、34…入力装置、35…表示装置、36…読取装置、37…記録媒体、50…部材、51…スプルー、52…ホットランナー、53…ゲート、70…記録媒体、70a…プログラム格納領域、71…設計プログラム、71a…メインモジュール、71b…第1の準備モジュール、71c…第2の準備モジュール、71d…第3の準備モジュール、71e…解析モジュール、71f…評価モジュール、71g…最適化モジュール。

Claims (12)

  1. 射出成形により樹脂製品を製造するにあたり、射出成形に用いる成形用樹脂の流動特性パラメータの最適値を求める樹脂材料の設計方法であって、
    前記成形用樹脂と同一種類で且つ流動特性パラメータが互いに異なる複数の樹脂それぞれについて、粘度とせん断速度との組み合わせからなる複数のデータを用意すると共に、前記複数の樹脂のうちから基準となる樹脂を1つ定める第1の準備ステップと、
    前記複数の樹脂のうち前記基準となる樹脂を除く樹脂の前記データを、補正係数Sを用いて粘度を1/S倍し且つせん断速度をS倍することによって補正し、当該補正したデータが前記基準となる樹脂の前記データとフィッティングするときの前記複数の樹脂の補正係数Sをそれぞれ求める第2の準備ステップと、
    前記複数の樹脂の補正係数Sと前記複数の樹脂の流動特性パラメータとの相関関係を求める第3の準備ステップと、
    前記成形用樹脂が任意の流動特性パラメータを有する場合について射出成形解析を行う解析ステップと、
    前記流動特性パラメータに基づいて所定の評価関数の値を求める評価ステップと、
    最適化手法に従って前記成形用樹脂の流動特性パラメータを変更して前記解析ステップ及び前記評価ステップを反復実行することによって、前記射出成形解析の結果から算出される制約関数の値が所定の制約条件を満たし且つ前記評価関数の値が最適となるような、前記流動特性パラメータを特定し、当該流動特性パラメータを前記成形用樹脂における最適値とする最適化ステップと、
    を有し、
    前記解析ステップでは、前記第3の準備ステップにて取得された前記相関関係に基づいて、前記成形用樹脂がそれぞれの流動特性パラメータを有する場合における当該成形用樹脂の粘度とせん断速度との関係を推定し、当該推定された粘度とせん断速度との関係に基づいて前記射出成形解析を行うことを特徴とする樹脂材料の設計方法。
  2. 前記第2の準備ステップでは、前記基準となる樹脂の前記データに基づき、当該樹脂の粘度とせん断速度との関係を示す近似式として下記式(1)を導出し、前記基準となる樹脂を除く樹脂について、下記式(1)に基づく下記式(2)においてTの値が最も小さくなるような前記補正係数Sを求めることを特徴とする請求項1に記載の樹脂材料の設計方法。



    η:前記基準となる樹脂の粘度
    γ:前記基準となる樹脂のせん断速度
    m:前記基準となる樹脂を除く樹脂における前記データの数
    ηbi:前記基準となる樹脂を除く樹脂における前記データのうちi番目のデータに示された粘度
    γbi:前記基準となる樹脂を除く樹脂における前記データのうちi番目のデータに示されたせん断速度
  3. 前記第2の準備ステップでは、前記基準となる樹脂の前記データに基づき、当該樹脂の粘度とせん断速度との関係を示す近似式として下記式(3)を準備し、前記基準となる樹脂を除く樹脂について、下記式(3)に基づく下記式(4)からTを求め、前記基準となる樹脂について、下記式(3)に基づく下記式(5)からTを求め、前記基準となる樹脂を除く樹脂のTを総和した値とTとの和が最も小さくなるよう、前記基準となる樹脂を除く樹脂の前記補正係数Sと下記式(3)に含まれる定数とをそれぞれ求めることを特徴とする請求項1に記載の樹脂材料の設計方法。




    η:前記基準となる樹脂の粘度
    γ:前記基準となる樹脂のせん断速度
    m:前記基準となる樹脂を除く樹脂における前記データの数
    ηbi:前記基準となる樹脂を除く樹脂における前記データのうちi番目のデータに示された粘度
    γbi:前記基準となる樹脂を除く樹脂における前記データのうちi番目のデータに示されたせん断速度
    n:前記基準となる樹脂における前記データの数
    ηai:前記基準となる樹脂における前記データのうちi番目のデータに示された粘度
    γai:前記基準となる樹脂における前記データのうちi番目のデータに示されたせん断速度
  4. 前記第3の準備ステップでは、前記相関関係を求めると共に、前記相関関係と前記複数の樹脂のうち所定の樹脂における前記流動特性パラメータとに基づいて、前記所定の樹脂の補正係数Sを求め、更に前記所定の樹脂の前記データに基づき前記所定の樹脂の粘度とせん断速度との関係を示す近似式として下記式(6)を導出し、
    前記解析ステップは、
    前記第3の準備ステップにて取得された前記相関関係に基づいて、前記成形用樹脂が任意の流動特性パラメータを有する場合の当該成形用樹脂の補正係数Sを求めるステップと、
    前記成形用樹脂が任意の流動特性パラメータを有する場合の当該成形用樹脂の補正係数Sと、前記第3の準備ステップにて得られた前記所定の樹脂の補正係数Sと、下記式(6)と、から導出される下記式(7)に基づいて、前記成形用樹脂が任意の流動特性パラメータを有する場合の当該成形用樹脂の粘度とせん断速度との関係を推定するステップと、
    を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂材料の設計方法。



    η:前記所定の樹脂の粘度
    γ:前記所定の樹脂のせん断速度
    η:前記成形用樹脂が任意の流動特性パラメータを有する場合の当該成形用樹脂の粘度
    γ:前記成形用樹脂が任意の流動特性パラメータを有する場合の当該成形用樹脂のせん断速度
    :前記成形用樹脂が任意の流動特性パラメータを有する場合の当該成形用樹脂の補正係数
    :前記所定の樹脂の補正係数
  5. 上記式(6)は、Crossモデル又はCarreau−Yasudaモデルに基づくことを特徴とする請求項4に記載の樹脂材料の設計方法。
  6. 前記第3の準備ステップでは、前記相関関係を示す下記式(8)を導出することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂材料の設計方法。


    p:前記複数の樹脂の流動特性パラメータ
    α,β:定数
  7. 前記解析ステップでは、前記成形用樹脂が任意の流動特性パラメータを有する場合について前記射出成形解析を行うと共に、前記成形用樹脂の流動特性パラメータが所定のばらつきを有する場合を考慮して、前記成形用樹脂の流動特性パラメータをサンプリングして前記射出成形解析を行い、
    前記評価ステップでは、前記成形用樹脂が有する任意の流動特性パラメータと前記成形用樹脂の流動特性パラメータが有する前記所定のばらつきとに基づいて、前記評価関数の値を求め、
    前記最適化ステップでは、最適化手法に従って前記成形用樹脂の流動特性パラメータを変更して前記解析ステップ及び前記評価ステップを反復実行することによって、前記成形用油脂が任意の流動特性パラメータを有する場合の前記射出成形解析の結果と、前記成形用樹脂の流動特性パラメータが前記所定のばらつきを有する場合を考慮して前記成形用樹脂の流動特性パラメータをサンプリングして行った前記射出成形解析の結果とから算出される制約関数の値が所定の制約条件を満たし且つ前記評価関数の値が最適となるような、前記成形用樹脂の任意の流動特性パラメータを特定し、特定された前記成形用樹脂の任意の流動特性パラメータを前記成形用樹脂における最適値とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂材料の設計方法。
  8. 前記最適化ステップでは、多目的遺伝的アルゴリズムを用いた最適化手法に従って前記成形用樹脂の流動特性パラメータを変更して前記解析ステップ及び前記評価ステップを反復実行し、最適な前記評価関数の値の集合であるパレート最適解を取得することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂材料の設計方法。
  9. 流動特性パラメータは、メルトフローレート、メルトインデックス、及びメルトフローインデックスのいずれであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の樹脂材料の設計方法。
  10. 射出成形により樹脂製品を製造するにあたり、情報処理装置に、樹脂の流動特性パラメータの最適値を求める処理をさせる樹脂材料の設計プログラムであって、
    前記情報処理装置に、
    前記成形用樹脂と同一種類で且つ流動特性パラメータが互いに異なる複数の樹脂それぞれについて、粘度とせん断速度との組み合わせからなる複数のデータを用意すると共に、前記複数の樹脂のうちから基準となる樹脂を1つ定める第1の準備処理と、
    前記複数の樹脂のうち前記基準となる樹脂を除く樹脂の前記データを、補正係数Sを用いて粘度を1/S倍し且つせん断速度をS倍することによって補正し、当該補正したデータが前記基準となる樹脂の前記データとフィッティングするときの前記複数の樹脂の補正係数Sをそれぞれ求める第2の準備処理と、
    前記複数の樹脂の補正係数Sと前記複数の樹脂の流動特性パラメータとの相関関係を求める第3の準備処理と、
    前記成形用樹脂が任意の流動特性パラメータを有する場合について射出成形解析を行う解析処理と、
    前記流動特性パラメータに基づいて所定の評価関数の値を求める評価処理と、
    最適化手法に従って前記成形用樹脂の流動特性パラメータを変更して前記解析処理及び前記評価処理を反復実行することによって、前記射出成形解析の結果から算出される制約関数の値が所定の制約条件を満たし且つ前記評価関数の値が最適となるような、前記流動特性パラメータを特定し、当該流動特性パラメータを前記成形用樹脂における最適値とする最適化処理と、
    を実行させ、
    前記解析処理では、前記第3の準備処理にて取得された前記相関関係に基づいて、前記成形用樹脂がそれぞれの流動特性パラメータを有する場合における当該成形用樹脂の粘度とせん断速度との関係を推定し、当該推定された粘度とせん断速度との関係に基づいて前記射出成形解析を行うことを特徴とする樹脂材料の設計プログラム。
  11. 請求項1〜9のうちのいずれか一項に記載の樹脂材料の設計方法により特定された流動特性パラメータを有することを特徴とする樹脂。
  12. 請求項1〜9のうちのいずれか一項に記載の樹脂材料の設計方法により特定された流動特性パラメータを有する樹脂を用いて射出成形されたことを特徴とする樹脂製品。
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