JP2008290315A - 射出成形機の材料供給方法 - Google Patents

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Tokukazu Shimomura
徳和 下村
Koji Shimizu
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Abstract

【課題】安価な材料供給機構を備えた射出成形機の材料供給方法を提供することを課題とする。
【解決手段】材料供給機構を用いて、間欠的に供給しながら、可塑化・計量工程を実施する(ST23)。スクリューが後退して、計量位置が計量完了位置に到達したら(ST24)、このときの計量時間Tact2を記録し(ST25)、射出工程を実行し(ST26)、成形品を取得する(ST27)。
【効果】材料供給機構は、いわゆるオンオフ制御により成形材料を、成形材料を加熱筒へ間欠的に供給する。オンオフ制御は、連続制御に比較して格段に簡単であり、安価に構成することができる。この結果、材料供給機構の低コスト化が可能となり、射出成形機の設備コストを低減することができる。
【選択図】図12

Description

本発明は、加熱筒へ、材料供給路を介して成形材料を供給する射出成形機の材料供給方法に関する。
加熱筒にホッパを備え、ホッパに蓄えた成形材料を、加熱筒に供給する形式の射出成形機は、広く実用に供されている。加熱筒にはスクリューが内蔵され、このスクリューを所定方向に一定の速度で回転させる。これで、ホッパに蓄えた成形材料が、徐々に加熱筒へ導かれる。導かれた成形材料は、スクリューで加熱筒の先端部へ送られる。
加熱筒の先端部に成形材料が溜まった分だけ、スクリューは後退する。この後退が所定位置に達したら、計量工程は終了する。次に、スクリューの回転を止め、スクリューを直線的に前進させることで射出工程が実施される。
前記計量工程では、成形材料は加熱筒の熱及びスクリューによる剪断圧縮熱で、軟らかくなり、液状になる。そこで、計量工程は、以下、可塑化・計量工程と呼ぶことにする。
ところで、成形材料には、溶融状態になると水蒸気やガスを多く発生する類のものがある。この類の成形材料を、単に可塑化・計量工程を経て射出すると、成形品に気泡が内在し好ましくない。可塑化・計量工程中にガス抜きが図られることが望まれる。
可塑化・計量工程中にガス抜きを図る技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平1−171830号公報(第4頁、第5頁、第1図)
特許文献1の第5頁右上欄第1行〜第12行に「・・・計量時間は、成形開始時点に15秒であったものが最終的に12秒に短縮された。その結果、成形品にソリ、ヒケ等を生じて外観が不均一になり、更には、引張、曲げ、衝撃等の成形品物性値も不均一となった。そこで、この発明を適用し、基準計量時間Tを10秒、修正係数Kを0.5に設定して、成形を行った。その結果、実際の計量時間Tは、14.6〜15.4秒の間で変動したのみであり、得られた成形品の外観及び成形品の強度等は良好であり、品質は、一定の良好な範囲におさまった。」の記載がある。
すなわち、従来の計量時間は12秒であったものを、発明を適用することで約15秒に延ばした。約3秒の延長により、ガス抜きなどが図れ、成形品の品質を高めることができた。
ところで、特許文献1の第1図に、補正手段5の制御信号(t)により制御される駆動装置32が示されている。この開示から、計量時間の増減は、供給スクリュ33の回転速度を連続制御することで行うことが分かる。連続制御のためには、回転速度が精密に制御できる制御モータなどを駆動装置32に適用する必要がある。制御モータは高価であるため、射出成形機の設備コストが嵩むという、第1の欠点がある。
また、基準計量時間Tの決め方は、特許文献1の第4頁左下欄第19行〜右下欄第13行に説明されている。この説明によれば、αやβを人為的に推定することや、「正確に重量測定した成形材料Mg」(右下欄第8行)を材料供給部21へ供給する必要がある。
しかし、「正確に重量測定した成形材料Mg」を材料供給部21へ供給することは、簡単ではない。具体的な供給方法は説明されていないので、供給方法を推定すると次の通りになる。
例えば、特許文献1の第1図において、先ず、ホッパ31及び供給スクリュ33廻りを空にする。次に、「正確に重量測定した成形材料Mg」をホッパ31に投入する。そして、供給スクリュ33を回して、成形材料を材料供給部21へ供給する。
しかし、成形材料の全てが材料供給部21へ供給できたか否かは、確認が難しい。ホッパ31から覗いても材料供給部21が見えないからである。そして、構造的には供給スクリュ33廻りに成形材料の一部が残留する可能性が高い。加えて、人為的に推定するαやβも基準計量時間の誤差要因となる。
したがって、基準計量時間Tの精度が悪いという第2の欠点がある。
そこで、上記第1の欠点及び第2の欠点が解消できる射出成形機の材料供給方法が求められる。
本発明は、安価な材料供給機構を備え、サイクル時間(基準計量時間に対応する時間)を精度良く定めることができる射出成形機の材料供給方法を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、可塑化・計量、射出を行う加熱筒へ、材料供給路を介して成形材料を供給する射出成形機の材料供給方法において、前記材料供給路に備えられている材料供給機構を用いて、前記加熱筒へ成形材料を定量供給する供給モードと、成形材料の供給を休止する休止モードとを交互に繰り返すことで、成形材料を加熱筒へ間欠的に供給することを特徴とする。
請求項2に係る発明では、前記供給モードを1回実施する供給時間に、前記休止モードを1回実施する休止時間を加えてなるサイクル時間は、次の手順で決定されることを特徴とする。
手順1:前記材料供給機構を用いないで、前記射出成形機により射出成形を実行し、この実行に要した計量時間及び実行で得られた成形品の質量を計測する。
手順2:前記計量時間に1.0を超える値を乗じて、望ましい計量時間を定める。
手順3:前記材料供給機構を用いるが、この材料供給機構の出口は秤に臨ませる。
手順4:間欠的な供給を実行し、材料供給機構で成形材料を切出し、1回当たりの切出し質量を求める。
手順5:手順1で計測した成形品の質量を、手順4で求めた1回当たりの切出し質量で割ることで、必要な切出し回数を求める。
手順6:手順2で定めた望ましい計量時間を、手順5で求めた切出し回数で割ることで、サイクル時間を定める。
請求項3に係る発明では、手順6で定めたサイクル時間で、可塑化・計量工程を実施し、このときの計量時間を記録し、この記録した計量時間が前記望ましい計量時間より小さいときにはサイクル時間を長めのサイクル時間に修正し、記録した計量時間が望ましい計量時間より大きいときにはサイクル時間を短めのサイクル時間に修正することを特徴とする。
請求項4に係る発明は、材料供給機構に、ピストンが後退したときに供給モードが得られ、ピストンが前進したときに休止モードが得られるピストン式機構を採用したことを特徴とする。
請求項5に係る発明は、材料供給機構に、切出しスクリューが回転したときに供給モードが得られ、前記切出しスクリューが停止したときに休止モードが得られるスクリュー式機構を採用したことを特徴とする。
請求項1に係る発明では、材料供給路に備えられている材料供給機構を用いて、加熱筒へ成形材料を定量供給する供給モードと、成形材料の供給を休止する休止モードとを交互に繰り返すことで、成形材料を加熱筒へ間欠的に供給する。材料供給機構は、いわゆるオンオフ制御により、成形材料を加熱筒へ間欠的に供給する。オンオフ制御は、連続制御に比較して格段に簡単であり、安価に構成することができる。この結果、材料供給機構の低コスト化が可能となり、射出成形機の設備コストを低減することができる。
請求項2に係る発明では、手順3で、材料供給機構の出口に秤を望ませ、手順4で、材料供給機構から切出しされた成形材料を秤量する。材料供給機構の出口で秤量するため、材料供給機構内部に成形材料が残留するか否かに拘わらず、正確にサイクル時間を定めることができる。
請求項3に係る発明では、サイクル時間の微調整の方法を示した。サイクル時間を微調整することにより、サイクル時間の精度を向上させることができる。
請求項4に係る発明によれば、材料供給機構に、ピストン式機構を採用した。ピストン式機構はオンオフ制御に適しており、安価である。
請求項5に係る発明によれば、材料供給機構に、スクリュー式機構を採用した。スクリュー式機構は、入手が容易であって、安価である。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。また、以下に述べる射出成形機は、射出機、射出機構又は射出装置とも呼ばれる。
図1は本発明に係る射出成形機の側面図であり、射出成形機10は、スクリュー11を回転自在及び移動自在に収納した加熱筒12と、この加熱筒12を支える筒支持台13と、前記スクリュー11に直結した射出プレート14と、この射出プレート14に設けたボールナット15と、このボールナット15にねじ込んだボールねじ16と、このボールねじ16を回す射出モータ17と、筒支持台13の載せたレール18と、このレール18に載せたスライドブロック19(詳細後述)とからなる。
図2は図1の2−2線断面図であり、スライドブロック19には、加熱筒12へ成形材料を供給するために第1の材料供給路21と、第2の材料供給路22とが、一定の間隔を置いて縦向きに貫通して形成されている。
そして、第1の材料供給路21の上部に第1ホッパ23が設けられ、第1の材料供給路21の途中にシャッタ板24が設けられている。このシャッタ板24は、シャッタ開閉機構25で駆動される。
また、第2の材料供給路22の上部に第2ホッパ26が設けられ、第2の材料供給路22の途中に材料供給機構30(詳細後述)が設けられている。27は秤である。
そして、スライドブロック19は、スライダ移動機構28でレール18上を図左右に移動する。
図3は図2の作動説明図であり、(a)に示すように、第1の材料供給路21を、加熱筒12側の材料投入口29を臨ませ、シャッタ板24を開くことで、第1ホッパ23内の成形材料を加熱筒12内へ供給することができる。
また、(b)に示すように、シャッタ板24は閉じておき、材料供給機構30を用いて第2ホッパ26内の成形材料を秤27へ落下させることができる。
さらには、(c)に示すように、スライドブロック19を図左へ移動して、第2の材料供給路22を材料投入口29に臨ませる。そして、材料供給機構30を用いて第2ホッパ26内の成形材料を加熱筒12内へ落下させることができる。
なお、上記実施例では、スライドブロック19に2つのホッパを搭載し、2つの材料供給路を設けたものを例示したが、1つのホッパと1つの材料供給路をスライダ移動機構によりレール上を左右に移動するようにしても構わない。
図4は本発明に係る材料供給機構の断面図であり、先ず、第2の材料供給路22は、第2ホッパ26から落下する成形材料を受け入れる導入通路32と、加熱筒12へ成形材料を排出する排出通路33と、導入通路32の出口34に繋がるとともに排出通路33の入口35に繋がっている中間通路36とからなる。
材料供給機構30は、導入通路32の出口34を塞ぐようにして中間通路36に移動可能に収納されたピストン37と、成形材料を収納するためにピストン37の先端に切り欠き形成され且つ前端が開放されている溝部38と、この溝部38を導入通路32の出口34から臨む(見る)ことができるときのピストン37の先端位置P1を後退限位置とし溝部38が導入通路32の出口34から臨む(見る)ことができないときのピストン37の先端位置P2を前進限位置とするようにピストン37を往復させる駆動手段39と、この駆動手段39をピストン37が、例えば1秒間で10往復するように制御する制御部41とからなる。
以上に述べた材料供給機構30は、ピストン37を往復させるため、ピストン式機構と呼ばれる。このピストン式機構はオンオフ制御に適しており、安価である。
42は回数カウンタである。制御部41は、往復回数が所定の回数に達したら、駆動手段39を止める。駆動手段39はエアシリンダが好適であるが、油圧シリンダや電動シリンダなど直線駆動が可能なアクチュエータであれば種類は任意である。
図5はピストンの斜視図であり、ピストン37は円柱であって、先端に半円断面の溝部38を備える。この溝部38は上面及び前端が開放されている。好ましくは、溝部38はピストン37の先端37aに向かって溝の深さDが増加するとともに、先端37aに向かって溝の幅Wが増加する、スプーン形状にする。
以上の構成からなる材料供給機構30の作用を次に述べる。
図6は後退限位置にあるピストンを途中まで前進させるときの作用説明図であり、(b)は後退限位置にピストンがあるときの断面図、(a)は(b)の要部平面図、(d)は途中にピストンがあるときの断面図、(c)は(d)の要部平面図である。
(b)に示すとおりに、導入通路32に溜まっている成形材料44は、概ねピストン37に載っている。ただし、(a)に示すように、溝部38には成形材料45(便宜上、符号を変えた。)が載っている。
ピストン37を高速で図左へ移動させると、(d)に示すようにピストン37は前進する。この瞬間には、(c)に示すように、溝部38の基部に1個(又は数個)の成形材料46(便宜上、符号を変えた。)が存在する。この成形材料46の粒径が大きければ、導入通路32に残り、粒径が小さければ、溝部38に収納されたまま図左へ移動する。
溝部38の有効性を明らかにするために、次図の比較例を説明する。
図7は溝無しピストンによる作用説明図であり、図6と同様に、(b)は後退限位置にピストンがあるときの断面図、(a)は(b)の要部平面図、(d)は途中にピストンがあるときの断面図、(c)は(d)の要部平面図である。
後退限位置では(a)に示すように、ピストン120の先端に、半月状又は三日月状の隙間121が開く。すると、(b)に示すように、成形材料122が直接的に中間通路123へ落下する。この落下した成形材料122のかなりの部分は中間通路123に留まらないで排出通路124に落下する。落下量が変動するため、切出し量が安定しない。
また、ピストン120を前進させた(c)においては、ピストン120の先端と導入通路125の縁との間に多数個の成形材料126が介在する。これらの多数個の成形材料126が抵抗になるため、ピストン120を強く押す必要がある。
さらにまた、成形材料126の粒径が大きい場合には、ピストン120の先端と導入通路125の縁との間に隙間が形成されるため、その隙間から成形材料122が排出通路に落下する場合もあり、切出し量が安定しない一因となっている。
この点、図6(a)、(b)ではスプーン形状の溝部38に成形材料45を載せるため成形材料45が排出通路33へ直接落下する心配はなく、落下したとしても微量であり、切出し量の精度に悪影響を及ぼさない。
また、図6(c)に示すように、1個の成形材料46がピストン37の先端と導入通路の入口34の縁との間に介在するだけであるから、ピストン37の前進抵抗が増えることはない。
図6に続く作用を図8で説明する。
図8はピストンを前進限位置まで前進させるとき及び前進限位置から後退限位置まで後退させるときの作用説明図である。
(a)に示すように、前進限位置ではピストン37は、胴部37bで導入通路32を塞ぐ。また、先端の溝部38はスプーンのように成形材料45を載せる。
次に、前進限位置位置のピストン37を高速で後退させる。すると、(b)に示すように、成形材料45が溝部38から離れ、排出通路33を落下する。
ピストン37を角度θだけ傾斜させて配置すると、切出しが円滑になり、特にピストン37を高速で後退させたときに、溝部38から成形材料45が良好に離れる。角度θは10°〜30°の範囲が好適である。30°を超えると、図8(a)の段階で、成形材料44が落下する危険が増すので好ましくない。
しかし、切出し量の精度がそれ程要求されない場合、又はピストン37の後退速度をより高速にした場合は、角度θを0、すなわち、ピストン37を水平に配置してもよい。
以上に説明した図6及び図8に基づいてサイクル時間を説明する。
図9はサイクル時間の説明図であり、横軸は時間軸、縦軸はモード軸を表す。図中、P3までは、図8(a)に示すようにピストンが前進限位置にあり、成形材料の供給はあまり行われない。そして、P3で、図8(b)に示すようにピストンが後退し、成形材料の供給が始まる。P4で、図6(b)に示すようにピストンは後退限位置に達する。P4からは、図6(d)に示すようにピストンは前進する。P5で、図8(a)に示すようにピストンは前進限位置に達する。以降、P5からP6の間は、ピストンは前進限位置にあり、成形材料の供給はあまり行われない。
P3からP5の間は、ごく短い時間(0.05秒〜0.1秒)となり、ピストンが1往復することで、1回の切出しが行われる。そのため、P3からP5の間は、供給モードであり、そのための時間は供給時間となる。
一方、P5からP6の間は、切出しが行われない。そのため、P5からP6の間は、休止モードであり、そのための時間は休止時間となる。この休止時間は任意に定めることができる。
そして、1回の供給時間と1回の休止時間との合計が、サイクル時間Stとなる。
以上に説明したサイクル時間Stを用いて実施する射出成形機の材料供給方法を、図10〜図13に基づいて説明する。
図10は望ましい計量時間を求めるためのフロー図であり、ステップ(以下、STと記す)01で、射出成形機の形態を、図3(a)に設定する。そして、射出成形機に備えられている計量完了位置検出センサ(リミットスイッチなど)の位置を設定することで、計量完了位置を設定する(ST02)。
これで、通常の射出成形のための準備が完了したので、通常の可塑化・計量工程を開始する(ST03)。加熱筒内の先端に成形材料が溜まるとスクリューが後退する。このスクリューの位置(計量位置)が計量完了位置に到達したら(ST04)、計量に要した時間(計量時間Tact)を記録し(ST05)、射出工程を実行する(ST06)。
得られた成形品の質量Wactを計測する(ST07)。また、ガス抜きなどを目的に計量時間の延長を達成する必要があるので、そのために1.2〜2.0の範囲のK値を人為的に設定し(ST08)、このK値を、ST05で記録したTactに乗じることで、望ましい計量時間Tidleを定める(ST09)。
望ましい計量時間Tidle=K・Tactの計算において、Tactは、ST01〜ST04の通常の射出操業で、一義的に得られる値である。したがって、望ましい計量時間Tidleは簡単に定まり、変動する心配はない。
図11はサイクル時間を求めるためのフロー図であり、射出成形機を図3(b)の形態に設定する(ST11)。そして、材料供給機構を作動させて、複数回(例えばm=100)切出して、成型材料を秤へ落下させる(ST12)。切出した成形材料の質量の合計Wmを量る(ST13)。Wmをmで割ることで、1回(1往復)当たりの切出し質量を求める(ST14)。
図10のST07で得た成形品の質量Wactを、1回当たりの切出し質量で割れば、必要な切出し回数Nを求めることができる(ST15)。
ところで、材料供給機構は、加熱筒へ成形材料を定量供給する供給モードと、成形材料の供給を休止する休止モードとを交互に繰り返すことで、成形材料を加熱筒へ間欠的に供給する作用を発揮する。
そして、図9で説明したように、供給モードを1回実施する供給時間に、休止モードを1回実施する休止時間を加えてなる時間を、サイクル時間Stとした。このサイクル時間StとTidleとの関係は、ST15の図右下に示した波形図に示すとおりである。
そこで、サイクル時間Stは、(Tidle/N)の計算で求めることができる(ST16)。Stは、整数である必要はない。
ST14での1回当たりの切出し質量は、一義的に定まり、変動する心配はない。ST15での必要な切出し回数Nも一義的に定まる。この結果、サイクル時間Stは一義的に定まり、変動する心配はない。
図12は量産における操業のフロー図であり、射出成形機を図3(c)の形態に設定する(ST21)。そして、図11のST16で定めたサイクル時間Stを読込む。これで、量産操業の準備が整ったことになる。
材料供給機構を用いて、間欠的に供給しながら、可塑化・計量工程を実施する(ST23)。スクリューが後退して、計量位置が計量完了位置に到達したら(ST24)、このときの計量時間Tact2を記録し(ST25)、射出工程を実行し(ST26)、成形品を取得する(ST27)。
以上に説明した図12から、次の発明が提供される。
可塑化・計量、射出を行う加熱筒へ、材料供給路を介して成形材料を供給する射出成形機の材料供給方法において、前記材料供給路に備えられている材料供給機構を用いて、前記加熱筒へ成形材料を定量供給する供給モードと、成形材料の供給を休止する休止モードとを交互に繰り返すことで、成形材料を加熱筒へ間欠的に供給することを特徴とする。
材料供給機構は、いわゆるオンオフ制御により成形材料を、成形材料を加熱筒へ間欠的に供給する。オンオフ制御は、連続制御に比較して格段に簡単であり、安価に構成することができる。この結果、材料供給機構の低コスト化が可能となり、射出成形機の設備コストを低減することができる。
また、以上に説明した図10〜図11に基づいて、次の発明が提供される。
供給モードを1回実施する供給時間に、休止モードを1回実施する休止時間を加えてなるサイクル時間は、次の手順で決定されることを特徴とする。
手順1:前記材料供給機構を用いないで、射出成形機により射出成形を実行し(図10のST06)、この実行に要した計量時間及び実行で得られた成形品の質量を計測する(ST07)。
手順2:前記計量時間に1.0を超える値を乗じて、望ましい計量時間を定める(ST09)。
手順3:前記材料供給機構を用いるが、この材料供給機構の出口は秤に臨ませる(図11のST10)。
手順4:間欠的な供給を実行し、材料供給機構で成形材料を切出し、1回当たりの切出し質量を求める(ST14)。
手順5:手順1で計測した成形品の質量を、手順4で求めた1回当たりの切出し質量で割ることで、必要な切出し回数を求める(ST15)。
手順6:手順2で定めた望ましい計量時間を、手順5で求めた切出し回数で割ることで、サイクル時間を定める(ST16)。
手順3で、材料供給機構の出口に秤を望ませ、手順4で、材料供給機構から切出しされた成形材料を秤量する。材料供給機構の出口で秤量するため、材料供給機構内部に成形材料が残留するか否かに拘わらず、正確にサイクル時間を定めることができる。
サイクル時間は、信頼性が高く十分に実用に供することができる。
しかし、成形材料が大気中の湿度や温度を変化に敏感なものである場合は、サイクル時間を状況の変化に対応して微調整することが望まれる。
図13はサイクル時間の微調整作業を説明するフロー図であり、図12のST25で記録したTact2を読込む(ST31)。また、図10のST09で定めたTidleを読込む(ST32)。そして、Tact2とTidleとの差が、許容される時間差α以下であるか否かを調べる(ST33)。Tact2とTidleとの差が、許容される時間差α以下であれば、サイクル時間Stは修正しない(ST34)。
なお、許容される時間差αは、少なくともサイクル時間St以上にすることが望ましい。この許容される時間差αは、切出し量のバラツキの他に、先に設定した必要回数Nの端数の切捨処理に起因して必要となる。そのため、厳密には、必要供給量と材料供給量は相違し、時間の経過とともに、端数分だけ材料供給量が増減していく。材料供給量が必要供給量より多い場合には、加熱筒内には必要供給量よりも多くの材料が供給されているため、計量が円滑に行われ、Tact2が短くなる。
逆に、材料供給量が必要供給量より少ない場合には、加熱筒内の材料が必要供給量に満たないため、必要供給量に達するまで計量が完了せず、Tact2が長くなる。Tact2が変化すると一時的ではあるが材料供給回数が減少又は増加する。材料供給回数が減少又は増加することにより必要供給量に対して材料供給量が補正され、以降のTact2はTidleに近づくことになる。このため、許容される時間差αをサイクル時間St以上にすることにより、材料供給量を増減させることが可能となり、供給状態に応じて材料供給量を自動的に補正することができる。
Tact2とTidleとの差が、許容される時間差αを超えている場合は、Tact2とTidleとの大小関係を調べる(ST35)。
Tact2が小さければ、成形材料が予定より多めに供給されたことになる。これを是正するには、休止時間を延ばす必要があり、具体的にはサイクル時間をβだけ延ばす(ST36)。
Tact2が大きければ、成形材料が予定より少なめに供給されたことになる。これを是正するには、休止時間を縮める必要があり、具体的にはサイクル時間をβだけ短縮する(ST37)。
図14はスクリュー式の材料供給機構の原理図であり、スクリュー式の材料供給機構50は、横置きシリンダ51と、このシリンダ51に回転自在に収納された切出しスクリュー52と、この切出しスクリュー52を回すモータ53とで構成される。
切出しスクリュー52を回すと、第2ホッパ26内の成形材料44がシリンダ51内に導かれる。成形材料44は切出しスクリュー52の螺旋羽根54の作用で図左へ移動され、第2の材料供給路22から加熱筒12内へ落下する。切出しスクリュー52を止めると、成形材料44の移動も止まる。移動量(切出し量)は、螺旋羽根54のピッチと、切出しスクリュー52の回転速度とから一義的に決まるため、定量切出しが行える。
スクリュー式の材料供給機構50は、構造及び作動が単純であるため、広く採用されている。すなわち、スクリュー式機構は、入手が容易であって、安価である。
本発明は、加熱筒へ少なめの成形材料を供給する射出成形方法に好適である。
本発明に係る射出成形機の側面図である。 図1の2−2線断面図である。 図2の作動説明図である。 本発明に係る材料供給機構の断面図である。 ピストンの斜視図である。 後退限位置にあるピストンを途中まで前進させるときの作用説明図である。 溝無しピストンによる作用説明図である。 ピストンを前進限位置まで前進させるとき及び前進限位置から後退限位置まで後退させるときの作用説明図である。 サイクル時間の説明図である。 望ましい計量時間を求めるためのフロー図である。 サイクル時間を求めるためのフロー図である。 量産における操業のフロー図である。 サイクル時間の微調整作業を説明するフロー図である。 スクリュー式の材料供給機構の原理図である。
符号の説明
10…射出成形機、12…加熱筒、21…材料供給路(第1の材料供給路)、22…材料供給路(第2の材料供給路)、27…秤、30…材料供給機構(ピストン式機構)、37…ピストン、50…スクリュー式材料供給機構、52…切出しスクリュー。

Claims (5)

  1. 可塑化・計量、射出を行う加熱筒へ、材料供給路を介して成形材料を供給する射出成形機の材料供給方法において、
    前記材料供給路に備えられている材料供給機構を用いて、前記加熱筒へ成形材料を定量供給する供給モードと、成形材料の供給を休止する休止モードとを交互に繰り返すことで、成形材料を加熱筒へ間欠的に供給することを特徴とする射出成形機の材料供給方法。
  2. 前記供給モードを1回実施する供給時間に、前記休止モードを1回実施する休止時間を加えてなるサイクル時間は、次の手順で決定されることを特徴とする請求項1記載の射出成形機の材料供給方法。
    手順1:前記材料供給機構を用いないで、前記射出成形機により射出成形を実行し、この実行に要した計量時間及び実行で得られた成形品の質量を計測する。
    手順2:前記計量時間に1.0を超える値を乗じて、望ましい計量時間を定める。
    手順3:前記材料供給機構を用いるが、この材料供給機構の出口は秤に臨ませる。
    手順4:間欠的な供給を実行し、材料供給機構で成形材料を切出し、1回当たりの切出し質量を求める。
    手順5:手順1で計測した成形品の質量を、手順4で求めた1回当たりの切出し質量で割ることで、必要な切出し回数を求める。
    手順6:手順2で定めた望ましい計量時間を、手順5で求めた切出し回数で割ることで、サイクル時間を定める。
  3. 前記手順6で定めたサイクル時間で、可塑化・計量工程を実施し、このときの計量時間を記録し、この記録した計量時間が前記望ましい計量時間より小さいときにはサイクル時間を長めのサイクル時間に修正し、記録した計量時間が望ましい計量時間より大きいときにはサイクル時間を短めのサイクル時間に修正することを特徴とする請求項2記載の射出成形機の材料供給方法。
  4. 前記材料供給機構には、ピストンが後退したときに供給モードが得られ、前記ピストンが前進したときに休止モードが得られるピストン式機構を採用したことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載の射出成形機の材料供給方法。
  5. 前記材料供給機構には、切出しスクリューが回転したときに供給モードが得られ、前記切出しスクリューが停止したときに休止モードが得られるスクリュー式機構を採用したことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載の射出成形機の材料供給方法。
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