JP2008289328A - ワイヤーストリッパー - Google Patents
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Abstract
【課題】サイズや断面形状が異なるより多種類の絶縁被覆を確実にしかも簡便に切断除去でき、しかも全体がコンパクトなワイヤーストリッパーを提供する。
【解決手段】交差配置される一対のアーム1・2と、両アーム1・2の交差壁1a・2aの間に配置される中間刃体3とを枢支軸4で連結する。一方のアーム1のあご部1bと中間刃体3との対向縁、および他方のアーム2のあご部2bと中間刃体3との対向縁のそれぞれに、複数個の切刃18〜23を多列状に配置する。各アーム1・2と中間刃体3との間に、中間刃体3の揺動を規制するロック体5を設ける。ロック体5と一方のアーム2とで中間刃体3を固定した状態において、他方のアーム1と中間刃体3との間で絶縁被覆を切断できるようにする。
【選択図】図1
【解決手段】交差配置される一対のアーム1・2と、両アーム1・2の交差壁1a・2aの間に配置される中間刃体3とを枢支軸4で連結する。一方のアーム1のあご部1bと中間刃体3との対向縁、および他方のアーム2のあご部2bと中間刃体3との対向縁のそれぞれに、複数個の切刃18〜23を多列状に配置する。各アーム1・2と中間刃体3との間に、中間刃体3の揺動を規制するロック体5を設ける。ロック体5と一方のアーム2とで中間刃体3を固定した状態において、他方のアーム1と中間刃体3との間で絶縁被覆を切断できるようにする。
【選択図】図1
Description
本発明は、絶縁被覆を除去するためのプライヤー型のワイヤーストリッパーに関する。
例えば、低圧屋内配線用の電力ケーブルは、2ないし3本の芯線と、これらの芯線を個別に被覆する内被覆と、内被覆をまとめて被覆する外被覆とで構成してあり、被覆芯線の配列および外被覆線の断面形状の違いに応じて丸形と平形とがある。このような内外の各絶縁被覆を切断し除去するために、プライヤー型のワイヤーストリッパーでは、2芯線用の外被覆を切断する切刃と、3芯線用の外被覆を切断する切刃と、内被覆を切断する切刃を設けている。
市販されているプライヤー型のワイヤーストリッパーにおいては、図13に示すようにX字状に連結される一対のアーム51・52のアゴ部51a・52a側に、線材を切断する切刃53と、内被覆を切断する3種の切刃54を設け、握り柄51b・52b側に外被覆を切断する3種の切刃55を設けている。内被覆を切断する3種の切刃54は、芯線の直径寸法の違いに対応して設けられており、外被覆を切断する3種の切刃55は、電力ケーブルの2芯構造と3芯構造の違い、および2芯構造における芯線の直径寸法の違いに対応して設けてある。符号56は、両アーム51・52を連結する連結軸である。この種のワイヤーストリッパーは、特許文献1、2などに見ることができる。
上記のワイヤーストリッパーによれば、サイズと断面形状が異なる3種の外被覆を切断除去でき、さらに芯線直径が異なる3種の内被覆を切断除去できる。しかし、各切刃に適合しない電力ケーブルや、被覆芯線を切断除去する場合には、別途適合した切刃を備えたワイヤーストリッパーを用意する必要がある。このような不便を解消するためには、アゴ部側に設けられる切刃の数と、握り柄側に設けられる切刃の数を増やせばよいが、新たな問題を生じる。切刃を追加すると、いずれかの切刃がアームの連結軸から遠く離れざるを得ない。そのため、アームの連結軸から最も離れた切刃で絶縁被覆を切断するときに大きな力を必要とし、とくに外被覆を切断する場合に切断しにくく切断面が凸凹になりやすい。ワイヤーストリッパーの全長が大きくなることも避けられない。
本発明の目的は、サイズや断面形状が異なるより多種類の絶縁被覆を確実にしかも簡便に切断除去できるワイヤーストリッパーを提供することにある。本発明の目的は、全体がコンパクト化されていて取り扱いが容易なワイヤーストリッパーを提供することにある。本発明の目的は、太さが異なる絶縁被覆を効果的に切断除去して、絶縁被覆の除去作業を迅速に行えるワイヤーストリッパーを提供することにある。
本発明のワイヤーストリッパーは、交差配置される一対のアーム1・2と、両アーム1・2の交差壁1a・2aの間に配置される中間刃体3と、これら三者1a・2a・3を連結する枢支軸4とを備えている。一方のアーム1のあご部1bと中間刃体3との対向縁、および他方のアーム2のあご部2bと中間刃体3との対向縁のそれぞれに、複数個の切刃18〜23を列状に配置する。各アーム1・2と中間刃体3との間に、中間刃体3の揺動を規制するロック体5を設ける。ロック体5と一方のアーム2とで中間刃体3を固定した状態において、他方のアーム1と中間刃体3との間で絶縁被覆を切断できるようにする。
各アーム1・2のあご部1a・2aと中間刃体3の対向縁に、外被覆用の切刃18・19・21・22と、内被覆用の切刃20・23とを設ける。各切刃18〜23の切刃中心線P1〜P6は、枢支軸4の中心を通る放射方向線上に設け、各切刃18〜23の位置が枢支軸4から遠ざかるに従って、各切刃中心線P1〜P6と中間刃体3の中心軸線Qとで挟む角度が小さくなるように構成する。
中間刃体3は、枢支軸4で軸支される基部12と、左右側縁の前後に切刃18〜23が形成される刃主部13と、刃主部13の突端に設けられるストッパー部14とを一体に備えている。各アーム1・2の交差壁1a・2aに、中間刃体3の揺動を規制するロックレバー5・5を設ける。基部12の左右に、各ロックレバー5・5で受け止められる係合部15・15を形成する。各アーム1・2のあご部1a・2aの先端に、ストッパー部14で受け止められる規制段部30・30を形成する。
各アーム1・2のあご部1a・2aと中間刃体3の対向縁に、電力ケーブルを切断する切断刃17と、外被覆用の切刃18・19・21・22と、内被覆用の切刃20・23とを、枢支軸4に近い側から記載順に配置する。
本発明の別のワイヤーストリッパーは、X字状に交差配置される一対のアーム1・2と、両アーム1・2の交差壁1a・2aの間に配置される中間刃体3と、各アーム1・2と中間刃体3を連結する2個の枢支軸4A・4Bとを備えている。各アーム1・2の交差壁1a・2aには、枢支軸4A・4Bとの相対揺動動作を許す逃げ溝33を形成する。一方のアーム1のあご部1bと中間刃体3との対向縁、および他方のアーム2のあご部2bと中間刃体3との対向縁のそれぞれに、複数個の切刃18〜23を列状に配置する。各アーム1・2と中間刃体3との間に、中間刃体3の揺動を規制するロック体5を設ける。ロック体5と一方のアーム2とで中間刃体3を固定した状態において、他方のアーム1と中間刃体3との間で絶縁被覆を切断できるようにする。
各アーム1・2のあご部1a・2aと中間刃体3の対向縁に、外被覆用の切刃18・19・21・22と、内被覆用の切刃20・23とを設ける。各切刃18〜23の切刃中心線P7・P8を、各枢支軸4A・4Bの中心を通る平行線上に設ける。
本発明のさらに別のワイヤーストリッパーは、交差配置される一対のアーム1・2と、両アーム1・2の交差壁1a・2aの間に配置される中間刃体3と、これら三者1a・2a・3を連結する1個の枢支軸4、または2個の枢支軸4A・4Bを備えている。一方のアーム1のあご部1bと中間刃体3との対向縁には、複数個の切刃18〜20が列状に配置されており、他方のアーム2のあご部2bと中間刃体3との対向縁には、複数個のかしめ刃41〜44が列状に配置されている。各アーム1・2と中間刃体3との間に、中間刃体3の揺動を規制するロック体5を設ける。ロック体5と他方のアーム2とで中間刃体3を固定した状態において、一方のアーム1と中間刃体3とに設けた切刃18〜20で絶縁被覆を切断できる。さらに、ロック体5と一方のアーム1とで中間刃体3を固定した状態において、他方のアーム2と中間刃体3とに設けたかしめ刃41〜44で圧着端子をかしめ処理できるようにする。
本発明のワイヤーストリッパーは、交差配置される一対のアーム1・2と、両アーム1・2の交差壁1a・2aの間に配置される中間刃体3とを枢支軸4で連結し、一方のアーム1のあご部1bと中間刃体3との対向縁、および他方のアーム2のあご部2bと中間刃体3との対向縁のそれぞれに、複数個の切刃18〜23を列状に配置するようにした。このように、各アーム1・2と中間刃体3の対向縁のそれぞれに、切刃18〜23を列状に設けると、切刃形成箇所の長さ寸法が大きくなるのを避けながら、より多くの切刃18〜23を形成することができ、サイズや断面形状が異なるより多種類の絶縁被覆を確実にしかも簡便に切断除去できる。また、より多くの切刃18〜23を備えていながら、切刃形成箇所の長さ寸法を小さくできるので、絶縁被覆を切断するときの切断モーメントが極端に小さくなるのを解消でき、その分だけワイヤーストリッパーの使い勝手を向上できる。
さらに、各アーム1・2と中間刃体3との間に、中間刃体3の揺動を規制するロック体5を設け、中間刃体3をいずれか一方のアーム1(または2)と一体化した状態で、各アーム1・2を択一的に使用できるようにするので、絶縁被覆を切断するとき中間刃体3がぐらつくことがなく、絶縁被覆の除去作業を的確に行うことができる。
各アーム1・2のあご部1a・2aと中間刃体3の対向縁に、外被覆用の切刃18・19・21・22と、内被覆用の切刃20・23とを設け、各切刃18〜23の切刃中心線P1〜P6を枢支軸4の中心を通る放射方向線上に設けたうえで、各切刃18〜23の位置が枢支軸4から遠ざかるに従って、各切刃中心線P1〜P6と中間刃体3の中心軸線Qとで挟む角度が小さくなるように構成すると、各切刃18〜23を階段状に配置して、左右のあご部1b・2bの幅寸法が大きくなるのを抑止し、多数個の切刃18〜23を備えているにもかかわらずワイヤーストリッパーをコンパクト化できる。
基部12と、刃主部13と、刃主部13の突端に設けられるストッパー部14などで中間刃体3を構成し、各アーム1・2の交差壁1a・2aにロックレバー5・5を設け、基部12の左右に各ロックレバー5・5で受け止められる係合部15・15を形成し、さらに各アーム1・2のあご部1a・2aの先端に、ストッパー部14で受け止められる規制段部30・30を形成したワイヤーストリッパーによれば、あご部1a・2aの先端のストッパー部14と交差壁1a・2aに設けたロックレバー5・5とで、中間刃体3の上下端を確実にロック保持でき、絶縁被覆を除去する際に中間刃体3がぐらつくのをよく防止できる。したがって、外被覆の切断除去から内被覆に至る一連の絶縁被覆の除去作業を的確に行うことができる。ロックレバー5が握り柄1c・2cの近傍に配置されるので、ロックレバー5が絶縁被覆の除去作業の邪魔になるのを防止でき、さらにロックレバー5の切り換え操作を手許側で簡便に行える。
各アーム1・2のあご部1a・2aと中間刃体3の対向縁に、電力ケーブルを切断する切断刃17と、外被覆用の切刃18・19・21・22と、内被覆用の切刃20・23とを、枢支軸4に近い側から記載順に配置したワイヤーストリッパーによれば、切断負荷が大きい切刃を枢支軸4の近くに配置できるので、握り柄1c・2cを握り締めたときに各切刃18〜23に作用する切断モーメントを好適化して、太さが異なる被覆電線の切断と、絶縁被覆の切断除去作業とを効果的にしかも迅速に行うことができる。
本発明の別のワイヤーストリッパーは、交差配置される一対のアーム1・2と、両アーム1・2の交差壁1a・2aの間に配置される中間刃体3とを2個の枢支軸4A・4Bで連結し、一方のアーム1のあご部1bと中間刃体3との対向縁、および他方のアーム2のあご部2bと中間刃体3との対向縁のそれぞれに、複数個の切刃18〜23を列状に配置するようにした。このように、各アーム1・2と中間刃体3の対向縁のそれぞれに、切刃18〜23を多列状に設けると、先のワイヤーストリッパーと同様に、切刃形成箇所の長さ寸法が大きくなるのを避けながら、より多くの切刃18〜23を形成することができ、サイズや断面形状が異なるより多種類の絶縁被覆を確実にしかも簡便に切断除去できる。また、より多くの切刃18〜23を備えていながら、切刃形成箇所の長さ寸法を小さくできるので、絶縁被覆を切断するときの切断モーメントが極端に小さくなるのを解消でき、その分だけワイヤーストリッパーの使い勝手を向上できる。
さらに、各アーム1・2と中間刃体3との間に、中間刃体3の揺動を規制するロック体5を設け、中間刃体3をいずれか一方のアーム1(または2)と一体化した状態で、各アーム1・2を択一的に使用できるようにするので、絶縁被覆を切断するとき中間刃体3がぐらつくことがなく、絶縁被覆の除去作業を的確に行うことができる。
各アーム1・2のあご部1a・2aと中間刃体3の対向縁に、外被覆用の切刃18・19・21・22と、内被覆用の切刃20・23とを設け、各切刃18〜23の切刃中心線P7・P8を、各枢支軸4A・4Bの中心を通る平行線上に設けるワイヤーストリッパーによれば、左右のあご部1b・2bの幅寸法をさらに小さくして、ワイヤーストリッパーをコンパクト化し、その取り扱いを容易化できる。さらに、各切刃18〜23の切刃中心線P7・P8が中間刃体3の中心軸線Qと平行になるので、左右一対のアームで構成したワイヤーストリッパーと同様の感覚で絶縁被覆を切断除去でき、したがって、外被覆や内被覆などの絶縁被覆を切断除去するときの作業性を向上できる。
本発明のさらに別のワイヤーストリッパーでは、交差配置される一方のアーム1のあご部1bと中間刃体3との対向縁に、複数個の切刃18〜20を配置し、他方のアーム2のあご部2bと中間刃体3との対向縁に、複数個のかしめ刃41〜44を配置すると、一方のアーム1と中間刃体3とに設けた切刃18〜20で絶縁被覆を切断した後、他方のアーム2と中間刃体3とに設けたかしめ刃41〜44で圧着端子をかしめ処理できるので、絶縁被覆の剥離から圧着端子のかしめ処理にいたる一連の作業を迅速に、しかも簡便に行える。
(実施例) 図1ないし図6は本発明に係るワイヤーストリッパーの実施例を示す。図1においてワイヤーストリッパーは、X字状に交差配置される左右一対のアーム1・2と、両アーム1・2の交差壁1a・2aの間に配置される中間刃体3と、両交差壁1a・2aと中間刃体3の三者を同時に貫通する状態で連結する枢支軸4と、中間刃体3の揺動変位を規制する左右一対のロックレバー(ロック体)5などで構成する。
図2に示すように各アーム1・2は、逆L字状の交差壁1a・2aと、交差壁1a・2aの一側上方に連続するあご部1b・2bと、交差壁1a・2aの他側下方に連続する握り柄1c・2cとを一体に備えた鍛造品からなる。図1に向かって右側のアーム1と左側のアーム2とは、同形のブランク材に研削加工を施して形成してあり、後述するようにあご部1b・2bに形成される切刃形状が僅かに異なる。
交差壁1a・2aとあご部1b・2bとは同一平面上に設けるが、握り柄1c・2cは、その上端寄りで中間刃体3の厚み寸法分だけ交差壁1a・2aから段落ち状に折り曲げられて、その殆どの部分がプラスチック製のグリップ6で覆われている。段落ち部分の近傍内縁にはばね受け用の突起8が形成してある。あご部1b・2bの上端の爪部分7も、同様にあご部1b・2bから段落ち状に折り曲げられていて、その先端に芯線を曲げ加工するための挟持爪9が設けてある。符号10は両アーム1・2を拡開付勢するばねである。
中間刃体3は、枢支軸4で軸支される基部12と、基部12に連続する刃主部13と、刃主部13の突端に設けられる四角形状のストッパー部14とを一体に備えた鍛造品からなる。基部12の下部両側には、各ロックレバー5で受け止められる係合段部(係合部)15が切り欠き形成してある。
図6に示すように枢支軸4は、筒軸内面にねじ孔が形成してある雌ねじ体4aと、雌ねじ体4aにねじ込まれる雄ねじ体4bと、雄ねじ体4bと対向する状態で雌ねじ体4aにねじ込まれるロックねじ4cとで構成してある。左右一対のアーム1・2と、これらアーム1・2の間に配置した中間刃体3とを枢支軸4で連結した状態においては、図5に示すように左方のあご部1bの後面と中間刃体3の前面とが面一になり、右方のあご部2bの前面と中間刃体3の後面とが面一になっていて、それぞれが鋏刃状の切刃面を形成する。左右の左方のあご部1b・2b、および中間刃体3の各切刃面は研削仕上げが施されている。
各あご部1b・2bと中間刃体3の対向縁には、図3に示すようにそれぞれ枢支軸4に近い側から順に、電力ケーブルを単に切断する切断刃17と、外被覆を切断するための2種の切刃18・19・21・22と、内被覆を切断するための切刃20・23とが記載順に形成してある。
詳しくは、左方のあご部1bと中間刃体3の対向縁に形成される外被覆用の2種の切刃18・19のうち、前者切刃18は芯線直径が1.6mmの3本の被覆芯線を外被覆で覆った平形の電力ケーブルに対応したものであり、後者切刃19は芯線直径が1.6mmの2本の被覆芯線を外被覆で覆った平形の電力ケーブルに対応したものである。また、内被覆用の切刃20は、直径が1.6mmの芯線に対応したものである。絶縁被覆を切断する各切刃18・19・20の上下には、電力ケーブルを切刃部分にあてがうときの案内突起24が形成してある。
右方のあご部2bと中間刃体3の対向縁に形成される外被覆用の2種の切刃21・22のうち、前者切刃21は芯線直径が2.0mmの3本の被覆芯線を外被覆で覆った平形の電力ケーブルに対応したものであり、後者切刃22は芯線直径が2.0mmの2本の被覆芯線を外被覆で覆った平形の電力ケーブルに対応したものである。また、内被覆用の切刃23は、直径が2.0mmの芯線に対応したものである。絶縁被覆を切断する各切刃21・22・23の上下には、電力ケーブルを切刃部分にあてがうときの案内突起25が形成してある。このように各切刃を構成することにより、1個のワイヤーストリッパーのみで、芯線直径が異なり、しかも芯線本数が異なる4種の平形電力ケーブルの絶縁被覆を切断除去できる。なお、各切刃17〜23は、各あご部1b・2bと中間刃体3の片面から研削加工を施して波形に形成してある。内被覆用の切刃20・23は、直径が1.6mm、2.0mm、2.6mmのうち、2種に対応した切刃で構成することができる。
ロックレバー5は、操作部を兼ねる基部27と、先の係合段部15に係脱するロックアーム28を一体に備えたL字状のプレス金具からなり、基部27の隅部分がビス29で交差壁1a・2aの握り柄1c・2c寄りに締結してある。図3に示すように、右方のアーム2に締結したロックレバー5を、中間刃体3の左側の係合段部15に接当係合した状態では、中間刃体3のストッパー部14が右方のアーム2の爪部分7に設けた規制段部30で受け止められるので、中間刃体3は右方のアーム2と一体化され、左方のアーム1に対して相対揺動できる。
逆に、左方のアーム1に締結したロックレバー5を、中間刃体3の右側の係合段部15に接当係合した状態では、中間刃体3のストッパー部14が左方のアーム1の爪部分7に設けた規制段部30で受け止められるので、中間刃体3は左方のアーム1と一体化され、左方のアーム2に対して相対揺動できる。
図4に示すように絶縁被覆を切断する各切刃18〜23は、それぞれの切刃中心線P1〜P6が枢支軸4の中心を通る放射方向線上に位置し、しかも、各切刃18〜23の位置が枢支軸4から遠ざかるに従って、各切刃中心線P1〜P6と中間刃体3の中心軸線Qとで挟む角度が小さくなるように形成してある。このように、6種類の各切刃18〜23を階段状に配置すると、左右のあご部1b・2bの幅寸法が大きくなるのを抑止しながら、各切刃18〜23を枢支軸4の側から切断付加が大きい順に配置して、握り柄1c・2cを握り締めたときに各切刃18〜23に作用する切断モーメントを好適化できる。
使用時には、左右いずれかのロックレバー5を係合段部15から退避揺動させ、処理対象の電力ケーブルに適合した切刃を選定する。例えば、芯線直径が1.6mmで、3本の被覆芯線が外被覆で覆ってある平形電力ケーブルの接続端を剥離処理する場合には、図3に示すように、中間刃体3を右方のアーム2と、同アーム2に装着されたロックレバー5でロック保持する。この状態の切刃18にケーブルを挟み込んで外被覆を切断し、電力ケーブルを抜き出し操作しながら切断された外被覆部分を除去する。さらに、3個の内被覆を切刃20に挟み込んで内被覆を切断し、電力ケーブルを抜き出し操作しながら切断された内被覆部分を除去する。必要があれば、露出した各芯線を挟持爪9で挟んで折り曲げて、ビス止めされるリング状の端子を形成する。また、芯線直径が2.0mmの平形電力ケーブルの接続端を剥離処理する場合には、中間刃体3を左方のアーム1と、同アーム1に装着されたロックレバー5でロック保持して、右方のアーム2と中間刃体3とで内外の被覆を剥離処理する。不使用時には、左右のロックレバー5・5を係合段部15に係合することにより、左右のアーム1・2を開放規制できる。
図7ないし図9はワイヤーストリッパーの別の実施例を示す。この実施例におけるワイヤーストリッパーの基本構造は、先の実施例におけるワイヤーストリッパーの構造と概ね同じであるが、X字状に交差配置される一対のアーム1・2と、両アーム1・2の交差壁1a・2aの間に配置される中間刃体3とを、各アーム1・2に対応する2個の枢支軸4A・4Bで連結する点が大きく異なる。
上記の構造変更に伴って交差壁1a・2aと基部12の外郭形状が変更され、各交差壁1a・2aには、枢支軸4A・4Bとの相対揺動動作を許す逃げ溝33が形成される。また、各アーム1・2をそれぞれ専用の枢支軸4A・4Bで軸支することに伴って、絶縁被覆を切断する各切刃18〜23の切刃中心線P7・P8を、図8に示すように各枢支軸4A・4Bの中心を通る平行線上に設ける。逃げ溝33は、各枢支軸4A・4Bの中心を円弧中心とする部分円弧で形成してあり、各枢支軸4A・4Bは、一方のアーム1と中間刃体3、および他方のアーム2と中間刃体3を締結するだけで、逃げ溝33と各枢支軸4A・4Bとは相対遊動できる関係にある。他は先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。以下の実施例においても同様に扱う。
使用時には、左右いずれかのロックレバー5を係合段部15から退避揺動させ、処理対象の電力ケーブルに適合した切刃を選定する。例えば、図7に示すように、左方のアーム1に設けたロックレバー5を退避揺動して、中間刃体3を右方のアーム2と、同アーム2に装着されたロックレバー5でロック保持する。この状態では、左のアーム1は図7に向かって左側の枢支軸4Aを中心にして逃げ溝33の形成範囲内で揺動しながら、中間刃体3と共同して絶縁被覆を切断する。逆に、右方のアーム2に設けたロックレバー5を退避揺動して、中間刃体3を左方のアーム1とロックレバー5でロック保持した状態では、右方のアーム2は図7に向かって右側の枢支軸4Bを中心にして逃げ溝33の形成範囲内で揺動しながら、中間刃体3と共同して絶縁被覆を切断する。
以上のように、各切刃18〜23の切刃中心線P7・P8を各枢支軸4A・4Bの中心を通る平行線上に設けると、左右のあご部1b・2bの幅寸法をさらに小さくして、ワイヤーストリッパーをコンパクト化できる。また、各切刃18〜23の切刃中心線P7・P8が中間刃体3の中心軸線Qと平行になるので、絶縁被覆を切断除去するときの作業性を向上できる。
図10はロック体5の別の実施例を示す。そこでは中間刃体3の下部に、左右スライド自在なロックノブ(ロック体)5を設け、ロックノブ5を左右スライド操作することにより、そのロック爪35を各アーム1・2の交差壁1a・2aの対向縁に切り欠き形成した係合部15に対して択一的に係合させ、中間刃体3を揺動規制できるようにした。符号36は中間刃体3に形成したスライド溝、符号37はロックノブ5に固定したスライドピンである。
図10に示すように、ロック爪35を右方のアーム2に設けた係合部15に係合した状態では、中間刃体3は右方のアーム2と一体化され、左方のアーム1に対して相対揺動できる。逆に、ロック爪35を左方のアーム1に設けた係合部15に係合した状態では、中間刃体3は左方のアーム1と一体化され、右方のアーム1に対して相対揺動できる。
図11および図12は、ワイヤーストリッパーのさらに別の実施例を示す。そこでは、図7で説明したワイヤーストリッパーと同様に、X字状に交差配置される一対のアーム1・2と、両アーム1・2の交差壁1a・2aの間に配置される中間刃体3とを、各アーム1・2に対応する2個の枢支軸4A・4Bで連結した。さらに、一方のアーム1のあご部1bと中間刃体3との対向縁に、複数個の切刃18〜20を列状に配置した。さらに、他方のアーム2のあご部2bと中間刃体3との対向縁に、複数個のかしめ刃41〜44を列状に配置した。詳しくは、中間刃体3の側に、4個のかしめ突起41aを形成し、アーム2のあご部2bの側にかしめ突起41aに対応する4個のかしめ溝41bを形成した。4個の各かしめ刃41〜44の大きさは、圧着端子のかしめ筒の直径寸法に応じて大小に異ならせてある。
図12に示すように、中間刃体3とアーム1のあご部1bとは鋏刃状の切刃面を形成するように段違い状に配置するが、中間刃体3とアーム2のあご部2bとは、お互いの対向側面が正対するように配置して、かしめ突起41aがかしめ溝41bに入込むようにしてある。そのために、右方のアーム2のあご部2bの下端部を中間刃体3の厚み寸法分だけ交差壁2aから段上がり状に折り曲げている。この実施例においては挟持爪9を省略した。なお、かしめ刃41〜44を一方のアーム1のあご部1bと中間刃体3との対向縁に形成し、他方のアーム2のあご部2bと中間刃体3との対向縁に切刃18〜20を形成することができる。さらに必要があれば、両アーム1・2と中間刃体3との対向縁のそれぞれにかしめ刃41〜44を形成することができる。この実施例は、図1から図6で説明した、両アーム1・2と中間刃体3を1個の枢支軸4で連結する構造のワイヤーストリッパーにも同様に適用できる。
上記の実施例では、平形電力ケーブル用のワイヤーストリッパーについて説明したが、本発明は丸型電力ケーブルや、同軸ケーブル、通信ケーブルなどに対応したワイヤーストリッパーとして構成することができる。要は、あご部1b・2bと中間刃体3との対向縁に、各ケーブルに適合した複数の切刃や、圧着端子をかしめるためのかしめ溝などが形成してあればよい。
1・2 アーム
3 中間刃体
4 枢支軸
5 ロックレバー
18・19・20・21・22・23 切刃
3 中間刃体
4 枢支軸
5 ロックレバー
18・19・20・21・22・23 切刃
Claims (7)
- 交差配置される一対のアーム(1・2)と、両アーム(1・2)の交差壁(1a・2a)の間に配置される中間刃体(3)と、これら三者(1a・2a・3)を連結する枢支軸(4)とを備えており、
一方のアーム(1)のあご部(1b)と中間刃体(3)との対向縁、および他方のアーム(2)のあご部(2b)と中間刃体(3)との対向縁のそれぞれに、複数個の切刃(18〜23)が列状に配置されており、
各アーム(1・2)と中間刃体(3)との間に、中間刃体(3)の揺動を規制するロック体(5)が設けられており、
ロック体(5)と一方のアーム(2)とで中間刃体(3)を固定した状態において、他方のアーム(1)と中間刃体(3)との間で絶縁被覆を切断できるワイヤーストリッパー。 - 各アーム(1・2)のあご部(1a・2a)と中間刃体(3)の対向縁に、外被覆用の切刃(18・19・21・22)と、内被覆用の切刃(20・23)とが設けられており、
各切刃(18〜23)の切刃中心線(P1〜P6)が、枢支軸(4)の中心を通る放射方向線上に設けられ、各切刃(18〜23)の位置が枢支軸(4)から遠ざかるに従って、各切刃中心線(P1〜P6)と中間刃体(3)の中心軸線(Q)とで挟む角度が小さくなるように構成してある請求項1記載のワイヤーストリッパー。 - 中間刃体(3)が、枢支軸(4)で軸支される基部(12)と、左右側縁の前後に切刃(18〜23)が形成される刃主部(13)と、刃主部(13)の突端に設けられるストッパー部(14)とを一体に備えており、
各アーム(1・2)の交差壁(1a・2a)に、中間刃体(3)の揺動を規制するロックレバー(5・5)が設けられており、
基部(12)の左右に、各ロックレバー(5・5)で受け止められる係合部(15・15)が形成されており、
各アーム(1・2)のあご部(1a・2a)の先端に、ストッパー部(14)で受け止められる規制段部(30・30)が形成してある請求項1または2記載のワイヤーストリッパー。 - 各アーム(1・2)のあご部(1a・2a)と中間刃体(3)の対向縁に、電力ケーブルを切断する切断刃(17)と、外被覆用の切刃(18・19・21・22)と、内被覆用の切刃(20・23)とが、枢支軸(4)に近い側から記載順に配置してある請求項2または3記載のワイヤーストリッパー。
- X字状に交差配置される一対のアーム(1・2)と、両アーム(1・2)の交差壁(1a・2a)の間に配置される中間刃体(3)と、各アーム(1・2)と中間刃体(3)を連結する2個の枢支軸(4A・4B)とを備えており、
各アーム(1・2)の交差壁(1a・2a)には、枢支軸(4A・4B)との相対揺動動作を許す逃げ溝(33)が形成されており、
一方のアーム(1)のあご部(1b)と中間刃体(3)との対向縁、および他方のアーム(2)のあご部(2b)と中間刃体(3)との対向縁のそれぞれに、複数個の切刃(18〜23)が列状に配置されており、
各アーム(1・2)と中間刃体(3)との間に、中間刃体(3)の揺動を規制するロック体(5)が設けられており、
ロック体(5)と一方のアーム(2)とで中間刃体(3)を固定した状態において、他方のアーム(1)と中間刃体(3)との間で絶縁被覆を切断できることを特徴とするワイヤーストリッパー。 - 各アーム(1・2)のあご部(1a・2a)と中間刃体(3)の対向縁に、外被覆用の切刃(18・19・21・22)と、内被覆用の切刃(20・23)とが設けられており、
各切刃(18〜23)の切刃中心線(P7・P8)が、各枢支軸(4A・4B)の中心を通る平行線上に設けてある請求項5記載のワイヤーストリッパー。 - 交差配置される一対のアーム(1・2)と、両アーム(1・2)の交差壁(1a・2a)の間に配置される中間刃体(3)と、これら三者(1a・2a・3)を連結する1個の枢支軸(4)、または2個の枢支軸(4A、4B)を備えており、
一方のアーム(1)のあご部(1b)と中間刃体(3)との対向縁に複数個の切刃(18〜20)が列状に配置されており、他方のアーム(2)のあご部(2b)と中間刃体(3)との対向縁に、複数個のかしめ刃(41〜44)が列状に配置されており、
各アーム(1・2)と中間刃体(3)との間に、中間刃体(3)の揺動を規制するロック体(5)が設けられており、
ロック体(5)と他方のアーム(2)とで中間刃体(3)を固定した状態において、一方のアーム(1)と中間刃体(3)とに設けた切刃(18〜20)で絶縁被覆を切断でき、ロック体(5)と一方のアーム(1)とで中間刃体(3)を固定した状態において、他方のアーム(2)と中間刃体(3)とに設けたかしめ刃(41〜44)で圧着端子をかしめ処理できるワイヤーストリッパー。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007134369A JP2008289328A (ja) | 2007-05-21 | 2007-05-21 | ワイヤーストリッパー |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007134369A JP2008289328A (ja) | 2007-05-21 | 2007-05-21 | ワイヤーストリッパー |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2008289328A true JP2008289328A (ja) | 2008-11-27 |
Family
ID=40148520
Family Applications (1)
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JP2007134369A Pending JP2008289328A (ja) | 2007-05-21 | 2007-05-21 | ワイヤーストリッパー |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2008289328A (ja) |
-
2007
- 2007-05-21 JP JP2007134369A patent/JP2008289328A/ja active Pending
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