JP2008288468A - 集光方法および集光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 広角広範囲の光線を集光する方法としてレンズやプリズム、反射鏡などを組み合わせる方法が実用されているが、太陽光を集光しようとすると季節や時刻によって光線方角が変わるため、集光には太陽を追尾する装置が必要であった。方角や高度に関係なく太陽光を安定的に集光できる集光装置を提供することが課題である。
【解決手段】 全高度全方角からの太陽光線を集光して受光体に供給するために、片面が鋸歯状の透明板を頂角が内側になるように丸めて形成した外円筒に、片面が鋸歯状の透明板を頂角が外側になるように丸めて形成した内円筒を噛み合わせて集光筒を形成し、整流ユニットの整流面で屈折と全反射で進行方向を修正した光線を、鉛直に置かれた集光筒の中心軸にある柱状の受光体に集光するように構成することで、太陽高度に関係なく全方角からの光線を受光体に集光する。
【選択図】図6

Description

本発明は、広角広範囲からの太陽光線を、入射面積よりも狭い面積の受光面に絞り込んで集光する集光装置に関するものである。
太陽電池を使って太陽光から発電する装置においては、季節や時刻によって変動する太陽の高度や方角を考慮して、平面的な太陽電池の発電効率が最も高くなるように、南向きに傾斜させて設置する方法が一般的に用いられているが、発電量が太陽電池の太陽に対する投影面積に比例するため、発電量を確保するには電池が重ならないように広い敷地面積に太陽電池を広げるように設置する必要があった。設置面積を節減するために、適当な間隔を保って太陽電池を多段に積み重ねる方法が考えられるが、上段の電池に太陽光が遮られて下段電池の発電効率が極端に低下するため、結果的にコスト高になって実用性に欠ける不都合があった。
また、太陽電池に太陽光を直接照射させる上述のような方法の他に、反射鏡やプリズム、レンズを組み合わせるなど、何らかの光学デバイスを用いて太陽光を集光して太陽電池に照射させる集光式太陽光発電法がある。しかし、いずれの方法においても装置の効率を連続的に維持するためには、装置が常に太陽に直面するように太陽追尾装置によって太陽を追跡する必要があった。
このため、太陽の方角や高度に関係なく集光できる集光板を所定の間隔を保って搭状に積層して太陽光線を集光し、この光線を塔下面の太陽電池に照射して発電する方法の集光搭が提案されている。
特願2006−219105 集光板
しかし、前記提案の方法では、塔の上方から射し込む直射光が下段の集光板を透過して太陽電池に到達する構成であるため、多段の集光板を透過する光線が、集光板毎の機構的な光線処理損失や構成部材の表面反射損失、材料自体の光線透過損失などを段数分だけ繰り返し受け、結果的にかなりの損失が発生して実用効率を低下させる恐れがあった。太陽追尾装置を必要とせず、全方角から集光できて効率の高い集光装置の開発が課題である。
全高度全方角からの太陽光線を集光するために、片面が鋸歯状の透明板を頂角が内側になるように丸めた外円筒と、片面が鋸歯状の透明板を頂角が外側になるように丸めた内円筒を噛み合わせて集光筒を形成し、この集光筒を鉛直に設置して太陽光線を軸方向に集光するように構成した集光方法で、軸芯に柱状の受光体を配置することで太陽高度に関係なく全方角からの光線を受光体に向けて集光し前記課題を解決するものである。
集光筒は受光体以外に内部は空洞の単純な構造である。集光筒の内部に同軸で小径の集光筒を複数段に配置することで更に絞り込んだ集光が可能であり、受光体をより高密度に小型化することができる。
本発明の集光方法および集光装置は、太陽直射光の集光に限らず、陽の当たらない北側や曇天時においても全高度全方角からの散乱光を集光できるから、日中長時刻帯にわたって安定的に集光できる上、太陽追尾装置を必要としないので可動部がなく機構的な保守管理が不要であることや、直射光が当たる集光筒の投影面積よりもはるかに少ない面積に集光することができるから受光体を小型化することができ、総合的にコストダウンが図れる効果がある。また、柱状の集光筒であるため小さな敷地面積で出力の大きな太陽光発電や集熱装置を実現できる利点があり、散乱光の集光を重視する装置に適していると考えられる。
受光体として外周にソーラーモジュールを多角形で形成すれば塔型の太陽光発電装置となり、集熱材からなるパイプで受光体を形成し流体を貫流させれば塔型の給湯装置や蓄湯装置として、室内空気を循環させることで暖房装置に応用できる。また、屋内に自然光を導く照明用の光ダクトなどへの応用が期待できる。受光体は柱状で長さは集光筒の長さにほぼ等しく設定されるが、断面形状は円形でも多角形でもよい。
図1はガラスや合成樹脂など均質な透明材料からなる円筒形の集光筒1を中心軸で切断した縦断面図、また、図2は集光筒1を輪切りにした断面図を示すもので、内部には集光された光線を受取る柱状の受光体2が同軸で配置されている。また、3は集光筒1と受光体2との間に同心で配置された第2の集光筒で、より絞り込んで集光したい場合に必要に応じて複数段で配置されるものである。11は防塵や防雨のために装置全体の外側に設けられたガラスなどの透明材料からなる円筒状の外筒である。なお、以下の説明においては、集光筒を鉛直に設置して太陽光を集光する場合について説明する。
図3は輪切りにした集光筒1の一部を拡大した断面図で、集光筒1は鋸歯状の透明板を頂角が内側になるように円形に丸めて形成した外円筒4に、鋸歯状の透明板を頂角が外側になるように円形に丸めて形成した内円筒5を噛み合わせて構成されたもので、集光筒全体は同心で対称の構造となっている。
外円筒4の鋸歯状の透明板は頂角がα度の鋭角二等辺三角形からなる整流ユニット6の底辺を連結代7で無数に連結して一体に形成したもの、同様に内円筒5の鋸歯状の透明板は頂角がα度よりも小さい角度βの鋭角二等辺三角形の整流ユニットの底辺を連結代7で無数に連結したもので、外円筒4の整流ユニットと内円筒5の整流ユニットの間には放射状の空隙8が形成されている。
集光筒1は整流ユニット6相互を連結する連結代9も含めて、全体はいずれも光線透過率の高い透明材料で形成される。連結代9は光線の制御には直接関係しないので、その厚みは製造上の都合や、製品の必要強度を考慮した上で進行光線に影響しないように設定すればよいが、なるべく薄い方が小型化できるから、0,01〜2mmが適当と考えられる。また、整流ユニット相互間の空隙は境界面での全反射と屈折で光線の進行方向を調整させる作用をするが、空隙の大きさは空気層に分断されて全反射が起こる状態であれば0.1度以下の微少な角度でも充分である。
図4は集光筒の代わりに単なる透明な円柱を使って全周を36等分し、紙面の上方を南として南から円柱に当たる直射光の進光経路を示したものである。図中に示すNの記号に位置する数値Sは分割した各区分に当たる全光束の割合をパーセントで示している。例えば、円柱の中央区分N1には全光束の17.4%が当たり左端の区分N9には約1.5%の光束が当たることを示している。また、円柱に当たった平行光線は素材の屈折率と入射角度に応じて屈折するが、円柱の左右端に近い区分N9の終端位置では最大に屈折して進行することになる。図中に示すPの記号に位置する数値は素材の屈折率が1,5の場合の屈折する方角を表している。
円柱の代わりに透明な円筒を使った場合、図5−aの如く入射した光線は円筒14の内側に出射する際にも屈折するから左右端に当たる極一部の光線が全反射で跳ね返ることを除けば、平行光線は円筒を素通りすることになる。また、単なる透明円柱の場合は、図5−bの如く柱内15をそのまま直進して球状レンズのように外周の光軸に集光する。従って図中gの円内には全ての光線が通過するからこの範囲に受光体を配置すれば集光できるはずである。しかし、実際には受光体を配置するとその境界面がgを内径とする図3−aの円筒と同様の関係となり、光線の多くはg面で全反射して跳ね返ってしまい集光することはできない。また、仮に境界面で全反射の起こらないように受光体との接合を工夫したとしても、厚肉の素材で円筒を形成する必要がありコスト高になる。これに対して本発明の集光筒の場合は、図5−cの如く外円筒と内円筒の整流ユニットによって屈折と全反射によって進入光線の方角を調整するため、全体的に中心軸の方向に集光できるものである。
図3のように、集光筒1の直径に比べて整流ユニット6が遥かに小さい場合には、隣接する整流ユニットの中心軸に対する角度差を殆ど無視することができるから、局部的に見ると隣接する整流ユニットは同じ方角に向いて並んでいると考えることができる。
図6は全周を36等分した集光筒1の左上4分の1の地点に相当する整流ユニット6をピックアップし、直線的に展開して表したものである。真南に面する整流ユニットに入射する直射光をm1、方角が90度異なる真東に面する整流ユニットに入射する直射光をm10として、9等分された位置の整流ユニットに真南から入射した直射光が、集光筒1の内側に放出されるまでの集光経路を示すものである。屈折率が1,5(臨界角=42度)の素材を使い、外円筒4の整流ユニットの傾斜角度αを8度、内円筒5の整流ユニットの傾斜角度βを5度に設定した場合を示しすもので、光線の進行方角はほぼ実体に合わせて描かれている。外円筒の整流ユニットの先端部分は光線m1のように正面から入射する光線の進行方角に影響し、内円筒の整流ユニットの先端部分は光線m10など横方向から入射する光線の進行方向に影響を与えている。
ガラスやアクリル樹脂などの一般的な素材を使った場合、臨界角が42度(屈折率1,5)前後であるから、整流ユニットの傾斜角度αは5度から60度の範囲が適当と考えられる。角度αが過大であると外円筒に入射した光線が内円筒に至る前に全反射で入射面から反転放出されたり、内円筒への入射角度が過大になって全反射して入射面側へ逆進したりして集光不能の損失光線が増大する傾向となる。整流ユニットの傾斜角度αとβは小さい方が集光しやすい傾向になると考えられるが、一方で傾斜角度が小さくなると製造工程において鋭角の金型を必要とするため、整流ユニットを連結代7でつないだ透明板の製造が難しくなる。なお、整流ユニットの頂点の先端部分だけを緩い角度にして斜面を湾曲させることにより、より微細に集光角度を補正することができる。このことは集光板の成型を容易にすることにもつながる。
図7は直線上に展開した図6における光線経路を集光筒と同じように円形で示したものである。整流ユニットの傾斜角度αとβや整流ユニットの噛み合わせの度合いhを適切に選択することで殆どの方角からの光線をより中心部に近い範囲に集光できることを示している。このため、集光筒の内側に放出される出射光線の方角範囲に受光体を配置することで入射する光線を有効に集光することができる。図7において直径がg1の受光体では入射光線のほぼ全てを集光でき、直径がg2の受光体ではm1の方角からの光線は受光できないが主要な光線を小径の受光体で集光できることになる。
集光範囲を更に絞り込むには集光筒1と受光体2との間に小径の第2集光筒や第3集光筒を配置すればよい。2段3段と重ねることで更に絞り込んだ集光が可能となる。図6の例において、m8の方角からの光線は集光できずに反転して入射面側に放出されているが、整流ユニットの境界面で全反射するか屈折透過するかの境目に当たる光線に相当する。しかし、この光線の全入射光線に対する割合は4%程度であり実用上の損失は少ないと考えられる。また、より屈折率の高い材料で形成したり、整流ユニット先端の傾斜角度αとβを加減し、斜面をわずかに湾曲させることでより高い集光効率で集光できると考えられる。なお、上述の説明は南方向から入射する1方角からの光線についての場合であるが、同心円筒による集光方法であるから他方角からの入射光線においても同様に集光できることは明白である。
太陽光発電に用いられる集光筒の直径は、表示灯用の小型のもので10cm程度、電力用で1m以上、集光筒の長さは直径の2〜20倍程度が考えられる。一般的な平面で使用する太陽電池を基準に同一表面積の円柱状の太陽電池を受光体とした集光筒を作った場合で、集光筒の直径を受光体の直径の3倍で集光ができるとすると、集光塔の表面積が平面的な太陽電池の3倍となり、散乱光での集光量はほぼ3倍となる。また、円柱状の太陽電池の直射光に対する投影面積は表面積のπ分の1になるが、集光筒の投影面積ではほぼ等しくなることから、小さな床面積で全周全方角からの直射光と散乱光を効率的に集光できる集光方法であると考えられる。
光線が集光筒を透過する際に素材特有の透過損失と表面反射損失が発生するが、これらの損失を除けば集光筒での集光過程で発生する漏れ光線は殆どなく、高い効率で集光できる点が特徴である。しかし、集光筒を多段にして絞り込んで集光する場合は段数に合わせて表面反射損失や透過損失が増大する。防塵や防雨用の外筒11は表面反射損失を軽減させるために外円筒4と密着させて形成することが望ましいと考えられる。
なお、集光筒の直径に対して整流ユニットが微少であることを前提に説明したが、集光筒を粗く分割して外円筒や内円筒の整流ユニットの数を少なく設定すると、隣り合う整流ユニットとの放射方向の角度差が大きくなり、その結果、同じ集光率を保つためには集光筒をより多段にしなければならない傾向となるから、集光効率を高めるためには中心軸に対する1個当たりの整流ユニットの占有角度を極力少なくして隣り合う整流ユニットが平行に近い形に並ぶことが望ましいから、少なくとも集光筒の円周を50以上に分割して無数の整流ユニットで構成することが重要である。
図1における12は集光筒の下面に当たる高度の高い太陽光を反射で受光体に照射させるための反射鏡、13は集光筒を支える集光台である。なお、以上の説明では集光筒を鉛直に設置して太陽光を集光する場合について説明したが、集光筒での集光は全ての方角からの光線に対処できるので、例えば集光筒の軸を南向きに倒した状態でも同様に集光できるものである。この場合、下方からの光線はないので集光筒の下半分は不要であり、かまぼこ型の集光筒となる。電力用として集光筒を鉛直に立てて建設するには、受光体の中心部に主柱を設けたり、外筒4の外周に複数本の支柱を建てて櫓状に支えるなどの補強が望ましい。
より屈折率の大きな素材で集光筒を形成すると、集光性能をさらに高めることが期待できる。また、集光筒を成形するための透明材料は光線を透過する材質であれば無色でも有色でもよい。なお、集光された自然光を照明用としてダクトで屋内に導くためには光線を下向きに変換する必要がある。
本集光方法による集光筒の縦断面図である。 集光筒を輪切りにした断面図である。 整流ユニットの断面図である。 円柱に入射する光線の進光経路図である。 円筒や円柱との進光経路の比較図である。 直線上に展開した整流ユニットの進光経路図である。 集光筒内の進光経路図である。
符号の説明
1、集光筒
2、受光体
3、第2集光筒
4、外円筒
5、内円筒
6、整流ユニット
7、連結代
8、空隙

Claims (4)

  1. 頂角がα度の鋭角二等辺三角形の底辺を無数に連結してなる鋸歯状の透明板を頂角が内側になるように円形に丸めて形成した外円筒に、頂角がα度よりも小さいβ度の鋭角二等辺三角形を無数に連結してなる鋸歯状の透明板を頂角が外側になるように円形に丸めて形成した内円筒を噛み合わせて集光筒を形成し、集光筒に射し込む太陽光線を外円筒の整流ユニットと内円筒の整流ユニットの境界面で全反射と屈折で軸方向に集光させるように構成したことを特徴とする集光方法。
  2. 請求項1記載の集光方法において、集光筒の中に同軸で小径の集光筒を複数段で設け、更に絞り込んで集光するように構成したことを特徴とする集光方法。
  3. 請求項2記載の集光方法において、最小径の集光筒の内部に同軸で柱状の受光体を配置したことを特徴とする集光装置。
  4. 請求項3記載の集光装置において、隣接する整流ユニットの底辺を厚みが0.01〜2mmの連結代で連結したことを特徴とする集光装置。
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