JP4313841B1 - 太陽レンズと太陽光利用装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 太陽の方位や高度に関係なく太陽光線を集光する方法として逆台形の太陽レンズを透明材料で形成し、入射光線を全反射で出光面に集光する方法の太陽レンズが提案されているが、基本形状が厚いために大型の太陽レンズでは構成素材の必要量がかさんでコスト高になることや、重量を支えるために支柱などの構造物に工夫をする必要があり、広大な面積で集光する装置に応用することが難しい欠点があった。大型化に適した構成とコスト低減、軽量化が課題である。
【解決手段】 ガラスや合成樹脂などの透明材料で形成される太陽レンズに対して、透明材料を使わずに中空体で太陽レンズを形成すると共に、前後斜面を鏡面反射板で形成し斜面での鏡面反射だけで集光することにより、コストの低減と軽量化をはかり前記課題を解決するものである。
【選択図】図2
【解決手段】 ガラスや合成樹脂などの透明材料で形成される太陽レンズに対して、透明材料を使わずに中空体で太陽レンズを形成すると共に、前後斜面を鏡面反射板で形成し斜面での鏡面反射だけで集光することにより、コストの低減と軽量化をはかり前記課題を解決するものである。
【選択図】図2
Description
本発明は、高度と方位が常に移動している太陽光線を、静止したレンズで受光面積よりも狭い一定の範囲に集光することを目的とした太陽レンズとその利用装置の改良に関するものである。
太陽の方位や高度に関係なく太陽光線を集光する方法として光の全反射を応用した集光方法が提案されている。
特願2008−309186 太陽レンズ
特開2001−189487 集光器及び集光型太陽電池モジュール
前記特許文献1の方法は、逆台形の太陽レンズを透明材料で形成し、入射光線を全反射で出光面に集光する方法の太陽レンズであるが、入光面の辺の長さと前後斜面の辺の長さが大差ないほどに厚いレンズであるために、大型の太陽レンズでは構成素材の必要量がかさんでコスト高になることや、重量を支えるための支柱などの構造物に工夫をする必要があるため大型化できない欠点があった。
また、特許文献2の方法は、反射膜による鏡面反射と全反射の組み合わせで集光する方法であるが、入光面での全反射を利用しているため反射膜で鏡面反射した光線の一部が入光面から透過散逸したり、反対側の反射膜に直接当って反転逆流し入光面から散逸する光線の割合が多い欠点があった。本発明はこれらの欠点を解消し集光性能の高い太陽レンズを提供することが課題である。
ガラスや合成樹脂などの透明材料で形成される文献1の太陽レンズや文献2の集光器に対して、透明材料を使わずに中空体で太陽レンズを形成すると共に、前斜面と後斜面を鏡面反射板で形成し、斜面での鏡面反射だけで集光することにより、コストの低減と軽量化をはかり前記課題を解決するものである。
文献1の太陽レンズに比べてレンズ本体を中空にできるため、本体の構成材料が不要であり軽量化とコストダウンが可能となる。また、大型の太陽レンズの製作が容易になり、例えば100平方メートル以上の面積を使っての大規模な太陽光発電設備が可能になる。前斜面と後斜面として鏡面反射板が必要になるが、集光することで例えば太陽光発電の場合、発電パネルの必要面積が半減するから全体として大幅なコスト低減が期待できる。また、複数の太陽レンズを平面的に並べてなる複合型太陽レンズを使用すれば、より広大な面積を使った太陽光利用設備が実現できる可能性があり、太陽エネルギーを利用する全ての装置に応用できるものである。
図1は本発明による太陽レンズの斜視図、図2は棒状で断面が逆台形の中空体からなる太陽レンズ1の断面を示すもので、上面を入光面2、下面を出光面3、入光面の前端に傾斜角α1の鋭角で接する前斜面4と、入光面の後端に傾斜角α2が出光面に近いほど小さくなって内側に湾曲した形状の後斜面5で囲まれた仮想の空間で逆台形の太陽レンズを形成している。また、前斜面と後斜面および両端の台形端面6は金属板などで作られており、前斜面と台形端面の内側は平面として、後斜面の内側は曲面として鏡面反射できるように形成されている。
入光面や出光面を傾斜させることで集光倍率を高めたり集光性能を微細に調整することができるが、入光面に対して出光面が並行する逆台形の太陽レンズを基本として説明する。また、太陽光線の採光面となる入光面と、集光した太陽光線を取り出す出光面の傾斜角度は受光装置が求める性能や設置条件で異なるが、図2は入光面も出光面も水平状態の太陽レンズで高度が0度から90度の最大幅の太陽光線を集光する基本的な仕様の太陽レンズを示すものである。なお、以下の説明における斜面の傾斜角度や光線の傾斜角度は、特に断らない限り鉛直面に対する傾斜角度で示している。
入光面から入射する全ての入射光線を集光して出光面に取り出すには、直接出光面に到達する入射光線の他に前斜面や後斜面に当たって鏡面反射する光線の全てを出光面に向かわせるように設定する必要がある。このためには、入光面の前端から入射する最大高度の太陽光線e1が前斜面で鏡面反射して後斜面に到達し、その光線が再び鏡面反射によって出光面に到達するように前斜面の傾斜角度α1を設定すればよい。
具体的には高度0度から90度の太陽光線を集光する場合、最大高度の90度の入射光線を後斜面に向かって水平方向に進行させるために前斜面を45度傾けることで、前斜面のどの位置に入射する最大高度の太陽光線でも、それ以下の高度の太陽光線も鏡面反射で後斜面から出光面に向かって同様に進行させることができる。
また、後斜面の傾斜角度α2は鏡面反射で前斜面から到達する光線や後斜面に入射する最小高度の太陽光線e2が、後斜面で鏡面反射した後に出光面に到達するように設定すればよい。また、後斜面で鏡面反射する光線が出光面に到達する範囲内で、傾斜角度α2を次第に縮小させて後斜面が内側に湾曲するように設定する。例えば、後斜面の傾斜角度を上端では35度に設定し、次第に傾斜角度が小さくなるように曲面で形成することで、後斜面の入光面に近い側で鏡面反射する入射光線も、出光面に近い側で鏡面反射する入射光線も狭い範囲に集光させることができる。
後斜面の入光面に近い先端に入射する最小高度の光線が鏡面反射で出光面に集光できるように設定されていれば、それ以上の高度の太陽光線も同様に鏡面反射で出光面に集光させることができる。後斜面が曲面ではなく平面の場合、前斜面の入光面に近い側に入射する最大高度の光線でも出光面に近い側に入射する光線でも、同一の傾斜角度で後斜面で鏡面反射することになるから出光面に収束して集光することはできない。
出光面と入光面との間隔は、後斜面で鏡面反射した光線が再び前斜面に当たらないように設定すればよい。具体的には、後斜面の入光面に近い先端に入射する最小高度の光線が鏡面反射した後で前斜面に到達する位置までが太陽レンズの厚みとなる。それ以上に厚くすると前斜面に到達した光線が鏡面反射で入光面から反転して散逸することになる。
太陽レンズを使用する地域の緯度と太陽高度の変動範囲、設置方角を考慮することで、太陽レンズに指向性を持たせて太陽光線を効率よく集光することができる。例えば東京の場合、南中高度で最大高度は夏至日の78度、最小高度は冬至日の31度であり、この範囲を超える太陽光線が真南から太陽レンズに射し込むことはない。
太陽レンズの前斜面を南向きに配置した場合、前斜面の方向から入光面に射し込む太陽光線の高度は年間を通して最大で78度、最小で31度の範囲であるから、この範囲の光線を集光できるように太陽レンズを設定することで効率よく集光することができる。高度の変動幅は地球の公道に対する地軸の傾きに関係するので地域や季節に関係なく47度である。
太陽レンズは前斜面を南向きに配置することによって集光できるものであるが、太陽光線の方位を考慮しないで全高度全方角からの太陽光線を対象に集光しようとすると、前斜面と後斜面の傾斜角度が0度となって入光面と出光面の面積が同じになるから集光することはできない。
このように本発明の太陽レンズは集光できる方向に指向性があって、鋭角で傾斜した前斜面の方向からの光線は集光できるが、後斜面の方向から入射する光線については直接出光面に到達する入射光線以外の光線は殆ど集光することができない。従って集光する太陽光線の範囲を緯度に合わせた最大高度から最小高度の光線に限定することでより実用性の高い集光性能を確保できるものである。
また、性能が若干低下しても使用できる緯度の範囲に幅を持たせて仕様を設定することで製品の統合をはかることができる。例えば沖縄から北海道までの緯度の違いを考慮して、沖縄の最大高度と北海道の最小高度に対応する太陽レンズであれば日本全土で利用できることになる。
太陽の方位を考慮して太陽レンズを設置した場合、南東からの太陽光など斜め方向から射し込む光線は、太陽レンズの前斜面から南北方向に進行する光線と、東西の軸方向に進行する光線のふたつに分解して考えることができる。
日出没に近い高度が低い時刻では季節によって東西軸から前後30度範囲の方角から太陽光線が射し込むことになるが、例えば東方向から射し込む夏季の朝日で高度が30度程度の太陽光線の場合、図3に示すように入射光線は前斜面で後斜面方向に方向を曲げて進行し、後斜面と台形端面で鏡面反射をして出光面に到達することになる。しかし、夏至前後の限られた日出没の時刻帯においては太陽レンズに対して東北東または西南西からの逆向きの太陽光線が射し込むことになるから、前斜面の先端に近い部分に入射する逆向きの光線など一部の光線は集光されずに損失すると考えられる。
図4は最大高度が78度、最小高度が31度の太陽光線を集光するために適した太陽レンズの1例を示すものである。前斜面の傾斜角度α1が約51度に設定されているため最大高度の太陽光線は前斜面で鏡面反射してほぼ水平方向に進行し後斜面に到達する。後斜面は傾斜角度が次第に縮小する曲面で形成されているが、最上端の傾斜角度α2が38度に設定されているとすれば進行光線は後斜面での鏡面反射で14度の傾斜角で出光面に到達することになる。図4はその光線経路をも示すもので、m1からm4は最大高度の光線、n1からn3は最小高度の光線を実態に合わせて描いたものである。出光面に対する入光面の割合を光線の集光濃縮倍率とすると、図4の太陽レンズの濃縮倍率は約2,2倍になる。
出光面には太陽光を利用する太陽電池モジュールや自然光を屋内照明に利用するための光ダクト、太陽熱を利用する受熱装置など、太陽エネルギーを集光して利用する各種の受光装置を配置することができる。なお、以上の説明では前斜面を平面にして後斜面を曲面にした形状で説明したが、前斜面を緩やかに湾曲させることにより更に微細に性能を調整することができるものである。
図5は棒状の太陽レンズ複数を長手に直角な方向に入光面を並べて連結した複合型の太陽レンズである。それぞれの太陽レンズの出光面に太陽電池モジュールなどの受光装置を配置して太陽光利用装置を構成することができる。複合型の太陽レンズは相互に隣接する前斜面と後斜面を連結して形成することができる。
太陽レンズの応用として受光装置が太陽光発電の電池モジュールの場合、前斜面と後斜面をセルの表面電極として兼用する方法も考えられる。また、大型の太陽レンズの場合に前斜面の真下を工場や倉庫、事務所として構築することができる。建物の屋根を前斜面として利用できるので、価格的にも景観的にも有利と考えられる
また、説明を容易にするために水平に設置し、入光面と出光面が平行する太陽レンズを前提に説明したが、入光面と出光面は平行である必要はない。出光面に取り付けられる受光装置が太陽光発電パネルの場合などでは、雨水でパネル表面の汚れが洗い流されるように傾斜を持たせることが望ましいが、図4において傾斜面3aを出光面にして入光面に対して傾けた形状にしても、ほぼ同じ集光濃縮倍率を確保することができる。
このように本発明の太陽レンズは鏡面反射だけで集光する太陽レンズであるが、緯度と太陽方位、太陽高度を考慮した条件設定で指向性を持たせることにより、極めて単純な形状でありながら効率よく集光でき実用性が高い特徴を有するものである。なお、本発明による太陽レンズは前斜面を南向きに配置することで最大の性能を発揮できるものであるが、例えば、南南東など東西に傾いて設置した場合ても若干の性能低下があるが基本的な機能に変わりがないものである。
1、太陽レンズ
2、入光面
3、出光面
4、前斜面
5、後斜面
6、台形端面
2、入光面
3、出光面
4、前斜面
5、後斜面
6、台形端面
Claims (3)
- 棒状で断面が逆台形の中空体からなる太陽レンズの前斜面および後斜面の内側を反射面とし、前斜面の方向から太陽光線を入射させるように配置した場合に、入光面の前端に入射する最大高度の太陽光線が前斜面で鏡面反射して後斜面に到達し、その光線が再び鏡面反射によって出光面に到達するように前斜面の傾斜角度を設定すると共に、後斜面に入射する最小高度の太陽光線が後斜面で鏡面反射によって出光面に到達するように後斜面の傾斜角度を設定し、また、後斜面で鏡面反射する光線が出光面に到達する範囲内で後斜面を内側に湾曲させることで、入光面から入射する光線を鏡面反射で出光面に集光するように構成したことを特徴とする太陽レンズ。
- 請求項1に記載の太陽レンズ複数を長手に直角な方向に並べて入光面で連結したことを特徴とする複合型の太陽レンズ。
- 請求項1に記載の太陽レンズを前斜面がほぼ南向きになるように配置するとともに、出光面に受光装置を配置したことを特徴とする太陽光利用装置。
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