JP2008288247A - 有機トランジスタ - Google Patents
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Abstract
高い移動度、大きな電流オン/オフ比を有し、保存安定性に優れた有機トランジスタを提供する。
【解決手段】
有機半導体層を有する有機トランジスタにおいて、該有機半導体層に一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種含有してなる有機トランジスタ。
(式中、X1〜X6はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、あるいは置換または未置換のアリール基を表し、環Aは置換または未置換のチオフェン環、置換または未置換のベンゾ[b]チオフェン環、あるいは置換または未置換のナフタレン環を表し、環Bは置換または未置換のベンゼン環、置換または未置換のチオフェン環、置換または未置換のベンゾ[b]チオフェン環、あるいは置換または未置換のナフタレン環を表す)
【選択図】 なし
Description
また、アモルファスシリコンや多結晶シリコンの成膜は、高温度下で実施されるため、基板としては、軽量で、フレキシビリティーではあるが、耐熱性に乏しいプラスチック材料などは使用できないという難点がある。
上記問題を解決するために、アモルファスシリコンや多結晶シリコンに代えて、有機化合物を有機半導体層に用いた有機トランジスタ(有機薄膜トランジスタ、有機TFTとも称される)が提案されている(非特許文献1)。
さらには、成膜時に必要となる温度を下げることができ、有機化合物を用いた有機トランジスタでは、基板にプラスチック材料を使用することが可能となり、フレキシブルな表示素子への適用が可能となり、その実用化に期待が集まっている。
さらには、有機トランジスタの実用化に向けては、優れた保存安定性が必要となる。
しかし、ペンタセンを用いてなる有機トランジスタは、大気中では有機トランジスタとしての機能は低く、且つ、保存安定性が低いという難点がある。
さらに、チオフェンオリゴマー(α−ヘキサチエニレン)を有機半導体層に用いた有機トランジスタが提案されている(非特許文献3)。しかし、該有機トランジスタも、空気中での保存安定性が低いという難点がある。
また、ジベンゾ[a,j]ナフタセン、ジベンゾ[de,qr]ナフタセンは、有機トランジスタの有機半導体層に有用であることが記載されている(特許文献1)。しかし、これらのジベンゾナフタセンを有機半導体層に使用した有機トランジスタは、電荷移動度が低いという難点があることが判明した。
現在では、実用化に向け、一層改良された有機トランジスタの開発が求められている。
Appl.Phys.Lett.,63,1372(1993) Appl.Phys.Lett.,72,1854(1998) Science,268,270(1995)
本発明は、上述に鑑み、電荷移動度が高く、大きな電流オン/オフ比を有し、かつ保存安定性に優れた有機トランジスタを提供することである。
(1)有機半導体層を有する有機トランジスタにおいて、該有機半導体層に一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種含有してなる有機トランジスタである。
一般式(1)で表される化合物において、X1〜X6はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、あるいは置換または未置換のアリール基を表す。尚、本明細書において、アリール基とは、例えば、フェニル基、ナフチル基などの炭素環式芳香族基、例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基などの複素環式芳香族基を表す。
環Aに置換していてもよい置換基の具体例としては、例えば、X1 〜X6で例示したハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、あるいは置換または未置換のアリール基を例示することができる。
環Bは置換または未置換のベンゼン環、置換または未置換のチオフェン環、置換または未置換のベンゾ[b]チオフェン環、あるいは置換または未置換のナフタレン環を表し、ベンゼン環はオルト位で縮環したベンゼン環であり、チオフェン環は、好ましくは、2位と3位で縮環したチオフェン環であり、ベンゾ[b]チオフェン環は、好ましくは、2位と3位で縮環したベンゾ[b]チオフェン環であり、ナフタレン環は、好ましくは、2位と3位で縮環したナフタレン環、あるいは1位と2位で縮環したナフタレン環である。
本発明に係る一般式(1)で表される化合物の具体例としては、例えば、以下の化合物を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
すなわち、例えば、一般式(2)で表される化合物に、パラジウム触媒(例えば、トリフェニルフォスフィンパラジウムクロライド)を塩基の存在下で作用させることにより製造することができる[例えば、Synlett,495(1999)、J.Org.Chem.,68、883(2003)、Chem.Rev.,107、174(2007)に記載の方法を参考にすることができる]。
一般式(2)において、Z1およびZ2はハロゲン原子を表し、好ましくは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を表す。
この有機トランジスタの形態においては、基板11上にゲート電極21が設けられ、そのゲート電極上にゲート絶縁層31が積層されており、その上に所定の間隔で形成されたソース電極61およびドレイン電極41が形成されており、さらにその上に有機半導体層51が積層されている(ボトムゲート・ボトムコンタクト構造)。
尚、導電性のある基板、例えば、シリコンを基板に用いた場合、その基板はゲート電極を兼ねることもできる。
電極材料としては、例えば、酸化インジウム錫合金(ITO)、酸化錫、金、銀、白金、銅、インジウム、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、クロム、鉄、錫、タンタル、パラジウム、テルル、イリジウム、ルテニウム、ゲルマニウム、タングステン、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、マグネシウム/インジウム合金、マグネシウム/銅合金、マグネシウム/銀合金、マグネシウム/アルミニウム合金、クロム/モリブデン合金、アルミニウム/リチウム合金、アルミニウム/スカンジウム/リチウム合金、ナトリウム/カリウム合金などの金属や合金、さらには、フッ素ドープ酸化亜鉛、シリコン単結晶、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペースト、カーボンペーストなどを挙げることができ、より好ましくは、酸化インジウム錫合金、金、銀、白金、銅、インジウム、アルミニウム、シリコン単結晶、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、炭素である。
尚、これらの電極材料は、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。
ソース電極、ドレイン電極は、上に挙げた電極材料の中でも、有機半導体層との接触面において電気抵抗が小さいものが好ましい。
また、導電性ポリマーを用いて電極を形成する場合には、導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、導電性微粒子の分散液を、インクジェット法によりパターニングしてもよく、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーションなどにより形成してもよい。さらには、導電性ポリマーや導電性微粒子を含むインク、導電性ペーストなどを凸版、凹版、平版、スクリーン印刷などの印刷法でパターニングする方法を用いることもできる。
尚、ソース電極、ドレイン電極は、互いに対向するように配置されるが、その間隔(チャンネル長)は、一般に、数百nm〜数mmの範囲に設定することが好ましく、より好ましくは、100nm〜1mmであり、さらに好ましくは、1μm〜500μmである。
無機酸化物としては、酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムなどを挙げることができ、より好ましくは、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。
ゲート絶縁層に使用する絶縁材料は、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。
形成方法としては、例えば、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、プラズマ重合法などのドライプロセス、電解重合法、化学重合法、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、LB法(ラングミューア・ブロジュット法)、各種印刷法、インクジェット法などのウェットプロセスを挙げることができる。
尚、ドーパントとしては、ドナー性ドーパント、アクセプター性ドーパントのいずれも使用可能であり、アクセプター性ドーパントを使用することは好ましい。
ドナー性ドーパントとしては、例えば、Li、Na、K、Rb、Csなどのアルカリ金属、Ca、Sr、Baなどのアルカリ土類金属、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Ybなどの希土類金属、アンモニウムイオン、R4P+(Rはアルキル基を表す)、R4As+(Rはアルキル基を表す)、R3S+(Rはアルキル基を表す)、アセチルコリンなどが挙げられる。
アクセプター性ドーパントとしては、例えば、Cl2、Br2、I2、ICl、ICl3、IBr、IFなどのハロゲン化合物、PF5、AsF5、SbF5、BF3、BCl3、BBr3、SO3などのルイス酸、HF、HCl、HNO3、H2SO4、HClO4、FSO3H、ClSO3H、CF3SO3Hなどのプロトン酸、酢酸、蟻酸、アミノ酸などの有機酸、FeCl3、FeOCl、TiCl4、ZrCl4、HfCl4、NbF5、NbCl5、TaCl5、MoCl5、WF5、WCl6、UF6、LnCl3(Ln=La、Ce、Nd、PrなどのランタノイドとY)などの遷移金属化合物、Cl-、Br-、I-、ClO4 -、PF6 -、AsF5 -、SbF6 -、BF4 -、スルホン酸アニオンなどの電解質アニオンなどが挙げられる。
(実施例1)
ゲート電極としての抵抗率0.02Ω・cmのシリコン基板に、厚さ200nmの熱酸化膜(SiO2)を形成した。ここで、シリコン基板自体がゲート電極となり、シリコン基板表面に形成されたSiO2層がゲート絶縁層となる。この上に、真空下(5×10―4Pa)で、例示化合物番号2の化合物を、蒸着速度0.03nm/secの速度で、30nmの厚さに蒸着し、有機半導体層を形成した。さらに、この上に、マスクを用いて、金を蒸着してソース電極およびドレイン電極を形成した。尚、ソース電極およびドレイン電極の厚みは40nmであり、チャンネル幅は5mm、チャンネル長は20μmであった。
以上のように作製した有機トランジスタは、p型のトランジスタ素子としての特性を示した。有機トランジスタの電流―電圧(I―V)特性の飽和領域から、電荷移動度を求めた。
さらに、ドレインバイアス−50Vとし、ゲートバイアス−50Vおよび0Vにした時のドレイン電流値を測定し、電流のオン/オフ比を求めた。
さらに、作製した有機トランジスタ素子を大気中で、25℃で、1ヶ月保存した後、再度、電荷移動度と電流のオン/オフ比を測定した。測定結果を第1表に示した。
実施例1において、有機半導体層の形成に際して、例示化合物番号2の化合物を使用する代わりに、例示化合物番号18の化合物(実施例2)、例示化合物番号27の化合物(実施例3)、例示化合物番号41の化合物(実施例4)、例示化合物番号42の化合物(実施例5)、例示化合物番号52の化合物(実施例6)、例示化合物番号63の化合物(実施例7)、例示化合物番号80の化合物(実施例8)、例示化合物番号86の化合物(実施例9)、例示化合物番号100の化合物(実施例10)、例示化合物番号116の化合物(実施例11)、例示化合物番号124の化合物(実施例12)、例示化合物番号139の化合物(実施例13)、例示化合物番号157の化合物(実施例14)、例示化合物番号165の化合物(実施例15)、例示化合物番号174の化合物(実施例16)、例示化合物番号180の化合物(実施例17)、例示化合物番号181の化合物(実施例18)、例示化合物番号185の化合物(実施例19)、例示化合物番号193の化合物(実施例20)、例示化合物番号197の化合物(実施例21)、例示化合物番号201の化合物(実施例22)、例示化合物番号208の化合物(実施例23)、例示化合物番号211の化合物(実施例24)、例示化合物番号213の化合物(実施例25)、例示化合物番号221の化合物(実施例26)、例示化合物番号228の化合物(実施例27)、例示化合物番号233の化合物(実施例28)を使用した以外は、実施例1に記載の方法により、有機トランジスタを作製した。
さらに、実施例1に記載の方法により、有機トランジスタの特性を調べ、結果を第1表に示した。
実施例1において、有機半導体層の形成に際して、例示化合物番号2の化合物を使用する代わりに、ペンタセンを使用した以外は、実施例1に記載の方法により、有機トランジスタを作製した。
さらに、実施例1に記載の方法により、有機トランジスタの特性を調べ、結果を第1表に示した。
尚、1ヶ月放置後には、有機トランジスタとしての特性を示さなかった。
(比較例2)
実施例1において、有機半導体層の形成に際して、例示化合物番号2の化合物を使用する代わりに、α−ヘキサチエニレンを使用した以外は、実施例1に記載の方法により、有機トランジスタを作製した。
さらに、実施例1に記載の方法により、有機トランジスタの特性を調べ、結果を第1表に示した。
(比較例3)
実施例1において、有機半導体層の形成に際して、例示化合物番号2の化合物を使用する代わりに、ジベンゾ[a,j]ナフタセンを使用した以外は、実施例1に記載の方法により、有機トランジスタを作製した。
さらに、実施例1に記載の方法により、有機トランジスタの特性を調べ、結果を第1表に示した。
(比較例4)
実施例1において、有機半導体層の形成に際して、例示化合物番号2の化合物を使用する代わりに、ジベンゾ[de,qr]ナフタセンを使用した以外は、実施例1に記載の方法により、有機トランジスタを作製した。
さらに、実施例1に記載の方法により、有機トランジスタの特性を調べ、結果を第1表に示した。
ゲート電極としての抵抗率0.02Ω・cmのシリコン基板に、厚さ200nmの熱酸化膜(SiO2)を形成した。ここで、シリコン基板自体がゲート電極となり、シリコン基板表面に形成されたSiO2層がゲート絶縁層となる。シリコン基板を80℃に加熱しておき、その上に、例示化合物番号30の化合物のクロロベンゼン溶液(濃度:10重量%)を塗布したところ、クロロベンゼンが蒸発し、50nmの厚さの例示化合物番号30の化合物からなる有機半導体層を形成した。さらに、この上に、マスクを用いて、金を蒸着してソース電極およびドレイン電極を形成した。尚、ソース電極およびドレイン電極の厚みは40nmであり、チャンネル幅は5mm、チャンネル長は20μmであった。
さらに、実施例1に記載の方法により、有機トランジスタの特性を調べたところ、移動度は、3.7×10−2(cm2/Vsec)であり、電流のオン/オフ比は3.0×105であった。
(実施例30)
実施例29において、有機半導体層の形成に際して、例示化合物番号30の化合物を使用する代わりに、例示化合物番号127の化合物を使用した以外は、実施例29に記載の方法により、有機トランジスタを作製した。
さらに、実施例1に記載の方法により、有機トランジスタの特性を調べたところ、移動度は、4.2×10−2(cm2/Vsec)であり、電流のオン/オフ比は2.8×105であった。
21:ゲート電極
31:ゲート絶縁層
41:ドレイン電極
51:有機半導体層
61:ソース電極
12:基板
22:ゲート電極
32:ゲート絶縁層
42:ドレイン電極
52:有機半導体層
62:ソース電極
13:基板
23:ゲート電極
33:ゲート絶縁層
43:ドレイン電極
53:有機半導体層
63:ソース電極
14:基板
24:ゲート電極
34:ゲート絶縁層
44:ドレイン電極
54:有機半導体層
64:ソース電極
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