以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。なお、以下においては、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの店舗に適用される電子棚札システムを例として説明する。
<1.第1の実施の形態>
<1−1.電子棚札の概要>
図1は、本実施の形態に係る電子棚札システムが備える電子棚札が、店舗の商品棚に配置された様子を示す図である。図に示すように、商品棚60はフェース61と呼ばれる空間に区分され、各フェース61には同一種の商品6が集約されて載置される。
商品棚60のフレーム62には、各フェース61に対応する位置にそれぞれ、電子棚札5が取り付けられている。すなわち、電子棚札5はそれぞれ一の商品6(正確には、一の商品の種類)に対応づけられ、その対応する商品6の近傍(一般的には、商品6の下側)のフレーム62に配置される。各電子棚札5はそれぞれディスプレイを備えており、ディスプレイには対応する商品6の売価が表示される。当該店舗の顧客(消費者)は、このような電子棚札5の表示により商品6の売価を認識する。
電子棚札5は可搬性の装置であり、商品6の配置変更に対応できるように、フレーム62から取り外して別の位置に再配置することも可能とされている。本実施の形態においては、図1に示すような商品棚60が店舗内の販売スペースに複数配置されている。
<1−2.電子棚札システムの構成>
<1−2−1.全体システム>
図2は、店舗に適用される、電子棚札システム1を含む店舗情報システムの構成例を示す図である。図に示すように、店舗情報システム100は、電子棚札システム1とともに、ストアコントローラ2及びPOSシステム3を備えている。POSシステム3が備えるPOSサーバ31、及び、電子棚札システム1が備えるESLサーバ10は、LAN21を介してストアコントローラ2に接続されている。これにより、ストアコントローラ2、POSシステム3及び電子棚札システム1の相互間でデータ通信が可能とされている。
ストアコントローラ2は一般的なコンピュータで構成され、店舗情報システム100を統括的に管理する装置として機能する。また、ストアコントローラ2はインターネットなどの外部ネットワークに接続されており、外部ネットワークを介して、当該店舗を統括管理する本部センターに配置されたコンピュータ等と通信可能とされている。
POSシステム3は、商品の販売に係る情報をその販売時点において収集して分析するシステムであり、POSシステム3を統括的に管理するPOSサーバ31とともに、商品の精算を行う複数のレジスタ32を備えている。POSサーバ31とレジスタ32とは専用の通信ケーブルで接続されている。
POSサーバ31は一般的なコンピュータで構成され、そのハードディスクには、売価などの商品に係る各種の情報を示す商品マスタ301が記憶されている。複数のレジスタ32のそれぞれにおいては、商品マスタ301に記載される売価に基づいて商品の精算がなされる。
店舗内の全商品に係る情報は、この商品マスタ301により一元的に管理されている。商品マスタ301に記載される情報には、商品の識別情報となる「商品コード」、商品の名称である「商品名」、通常の売価である「通常価格」、特売における売価である「特売価格」、特売を実施する期間である「特売期間」等が含まれている。ここで、「特売」とは、特定の商品について定められた期間のみ、売価を通常価格よりも低い特売価格にする販売手法である。以下、特売を実施する商品を「特売商品」という。
<1−2−2.配信側装置>
電子棚札システム1は、複数の電子棚札5とともに、ESLサーバ10と、ベースステーション41と、複数のトランシーバ42とを備えている。これらのESLサーバ10、ベースステーション41及び複数のトランシーバ42により、電子棚札5が表示すべき商品の売価などを各電子棚札5に対して配信する機能が実現される。以下、ESLサーバ10、ベースステーション41及び複数のトランシーバ42を総称して「配信側装置」40という。
ESLサーバ10は、電子棚札システム1を統括的に管理するサーバ装置であり、店舗内の販売スペースとは別室のバックヤードなどに配置される。ベースステーション41は、ESLサーバ10及び各トランシーバ42に接続され、ESLサーバ10と各トランシーバ42との間の信号の中継器として機能する。
トランシーバ42は、店舗内の電子棚札5に対して、無線通信である赤外線通信を利用して各種の赤外線信号を送信する。例えば、一の電子棚札5に売価を表示させる際には、その電子棚札5が表示すべき売価等を含む赤外線信号である情報信号が、トランシーバ42から電子棚札5に対して送信される。複数のトランシーバ42は、販売スペースに配置された全ての電子棚札5と通信可能なように、販売スペースの天井に略一定距離ごとに固定的に配置される。
ESLサーバ10のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。図3は、ESLサーバ10の基本構成を示す図である。すなわち、ESLサーバ10は、各種演算処理を行うCPU11、基本プログラムを記憶するROM12、演算処理の作業領域となるRAM13、プログラムや各種のデータファイルなどを記憶するハードディスク14、計時回路であるタイマ19、各種表示を行うディスプレイ15、キーボード及びマウスなどで構成される入力部16、LAN21を介したデータ通信機能を有するデータ通信部17、並びに、ベースステーション41と通信するためのインターフェイス18を備えている。電子棚札5を制御する各種信号はインターフェイス18を介してベースステーション41に送信される。
ESLサーバ10のハードディスク14には、専用のプログラムが予め記憶されており、このプログラムに従ってCPU11が演算処理を行うことにより、ESLサーバ10としての各種機能が実現される。また、ESLサーバ10のハードディスク14には、商品に係る各種の情報を示すデータファイルである商品ファイル101が記憶されている。
図4は、商品ファイル101の例を示す図である。図に示すように商品ファイル101はテーブル形式となっており、レコード102のそれぞれが一の商品に係る情報を示している。具体的には、各レコード102ごとに「商品コード」、「商品名」、「通常価格」、「特売価格」及び「特売期間」等が登録されている。これらの情報は、上述したPOSシステム3に記憶された商品マスタ301と同様の情報であり、ESLサーバ10とPOSシステム3との通信により商品マスタ301の情報に基づいて登録される。このため、商品ファイル101の情報と商品マスタ301の情報とは内容が一致される。
商品ファイル101の各レコード102には、さらに、電子棚札システム1が備える複数の電子棚札5のそれぞれに固有のハードウェアIDである一の「装置コード」が登録される。これにより、商品と電子棚札5とが一対一の関係でデータ的に対応付けられる。この「装置コード」が利用されることにより、ある商品の「売価」が、その商品に対応する電子棚札5に対して送信されるようになっている。
<1−2−3.電子棚札>
次に、電子棚札5の構成について説明する。図5は、電子棚札5の構成を示す図である。図に示すように電子棚札5の前面には、対応する商品の売価等の商品情報を表示するためのディスプレイ50が配置されている。
ディスプレイ50は、セグメント方式の液晶ディスプレイで構成されている。ディスプレイ50には、同時に複数の情報の表示が可能なように、5つの表示部51〜55が設けられている。ディスプレイ50の略中央部分に比較的大きな売価表示部51が配置され、その売価表示部51の左側上部に特売マーク52、左側下部に通常価格表示部53、右側上部に店舗指示表示部54、及び、右側下部に単価表示部55がそれぞれ配置されている。
表示部51〜55のそれぞれは、その表示対象とする情報に合わせて、単数あるいは複数のセグメント(オン/オフの切換が可能な最小の表示要素)で構成されている。具体的には、売価表示部51は、商品の売価を表示するものであり、4桁の数値が表示可能なように4つの7セグメント表示部(「8」の字状に配置された7つのセグメントであり、数字表示に一般的に利用される。)で構成されている。
また、通常価格表示部53は、特売時において通常価格を表示するものであり、4桁の数値が表示可能に、4つの7セグメント表示部で構成されている。単価表示部55は、単位重量あたりの価格を表示するものであり、2桁の整数及び1桁の小数を表示可能に、3つの7セグメント表示部と小数点用のセグメントとで構成されている。また、店舗指示表示部54は、店舗の作業員(従業員)への指示等を示す記号や数字を表示するものであり、4つの7セグメント表示部で構成されている。
さらに、特売マーク52は、当該電子棚札5の対応する商品が特売商品であるときに、顧客に対してその旨を示すものであり、「お買得品」と表記された1つのセグメントで構成されている。電子棚札5の対応する商品が特売商品であるときにおいては、特売マーク52は、オン(点)とオフ(滅)とを交互に切り換え、点滅表示を行なう。この点滅表示についての詳細は後述する。
このようなディスプレイ50の右方には、トランシーバ42からの情報信号等の赤外線信号を受信する赤外線通信部58が配置される。さらに、ディスプレイ50の下方にはオーバレイラベル57が貼付される。このオーバレイラベル57には、電子棚札5が対応する商品に係る「商品名」及び「商品コード(正確には、そのバーコード)」が印刷されている。ラベル類が貼付されていない電子棚札5のままでは、電子棚札5がいずれの商品に対応付けられているかの把握は困難であるが、このオーバレイラベル57により電子棚札5と商品とが視覚的にも対応付けられる。
また、電子棚札5の内部には、装置動作を制御するための集積回路で構成された制御部59が設けられている。制御部59は、各種の情報を記憶するメモリ591、及び、計時回路であるタイマ592を備えている。メモリ591には、ディスプレイ50に表示すべき情報や自装置の装置コードなど、各種情報が記憶される。
<1−3.電子棚札システムの動作>
次に、電子棚札システム1の動作について説明する。電子棚札システム1においては、システム起動時、及び、電子棚札5に表示させる売価を更新する際に、配信側装置40から電子棚札5に対し、表示すべき売価を含む情報信号が送信される。表示させる売価を更新する際とは、商品マスタ301の通常価格が変更されたときや、特売の実施にあたって売価を特売価格に変更するときなどが該当する。
システム起動時には、店舗内の全ての電子棚札5に対して情報信号が送信され、一方、表示させる売価を更新する際には、対象となる商品に対応する電子棚札5のみに対して情報信号が送信される。このように必要に応じて情報信号を送信することにより、電子棚札5に表示される売価と、レジスタ32による精算時の売価とが常時一致される。
<1−3−1.情報信号の送信>
図6は、配信側装置40から電子棚札5に情報信号が送信される際の電子棚札システム1の動作の流れを示す図である。図6において符号S10で示す動作は配信側装置40の動作、符号S20で示す動作は電子棚札5の動作を示している。以下、図6を参照して、この動作を説明する。なお、この説明において、送信する情報信号に係る商品を「対象商品」という。
まず、配信側装置40のESLサーバ10において、電子棚札5に送信すべき情報信号が生成される。このとき、商品ファイル101の対象商品に係るレコード102が参照され、特売を実施しない場合と、特売を実施する場合とで異なる情報信号が生成される。
特売を実施しない場合は、当該レコード102から「通常価格」及び「装置コード」のみが取得され、これら「通常価格」及び「装置コード」を含む情報信号が生成される。一方、特売を実施する場合は、当該レコード102から「通常価格」「特売価格」及び「装置コード」が取得され、これら「通常価格」「特売価格」及び「装置コード」とともに「特売実施フラグ」を含む情報信号が生成される。「特売実施フラグ」は、対象商品が特売商品である旨(特売を実施する旨)を示す情報である。また、この情報信号に含まれる「装置コード」は、対象商品と対応する電子棚札5の装置コードとなる(ステップS101)。生成された情報信号は、トランシーバ42から電子棚札5へ向けて送信される(ステップS102)。
送信された情報信号は、電子棚札5の赤外線通信部58によって受信される(ステップS201)。電子棚札5においては、赤外線通信部58が情報信号を受信すると、まず、受信した情報信号に含まれる「装置コード」が、メモリ591内に予め記憶された自装置の装置コードと一致するか否かが制御部59により判定される(ステップS202)。そして、その「装置コード」が自装置のものと一致しない場合は、受信した情報信号は他の電子棚札5の信号であるため、処理が終了する。
一方、「装置コード」が自装置のものと一致した場合は、受信した情報信号は自装置のための信号であるため、その情報信号に従ってディスプレイ50の表示が更新される。この更新に先だって、まず、情報信号が「特売実施フラグ」を含んでいるか否かが制御部59により判定される(ステップS203)。
情報信号が「特売実施フラグ」を含む場合は、自装置が対応する商品は特売商品である。このため、特売用の表示となるようにディスプレイ50の表示が更新される。すなわち、売価表示部51に「特売価格」、通常価格表示部53に「通常価格」がそれぞれ表示され(ステップS204)、さらに特売マーク52の点滅表示が開始される(ステップS205)。
一方、情報信号が「特売実施フラグ」を含まない場合は、自装置が対応する商品は特売商品でないため、通常の価格表示にディスプレイ50の表示が更新される。すなわち、売価表示部51に「通常価格」が表示され(ステップS206)、通常価格表示部53及び特売マーク52はオフとされる(オフの状態が維持される)(ステップS207)。以上のようにして、ディスプレイ50の表示が更新されると、処理が終了する。
<1−3−2.同期信号の送信>
本実施の形態の電子棚札システム1においては、特売時における特売マーク52の点滅表示は、複数の電子棚札5の相互間で不統一になされるものではなく、同期してなされるようになっている。すなわち、特売マーク52の点滅表示のオン/オフの切換(オンからオフ、オフからオンの双方の切換を含む。)のタイミングが一致されるようになっている。このような点滅表示の同期は、配信側装置40から全ての電子棚札5への所定の周期での同期信号の送信により実現されている。
図7は、このような同期信号が送信される際の電子棚札システム1の動作の流れを示す図である。図7においても、符号S10で示す動作は配信側装置40の動作、符号S20で示す動作は電子棚札5の動作を示している。この図7の動作は、上述した情報信号の送信に係る動作(図6の動作)とは無関係に独立してなされるものである。以下、図7を参照してこの動作を説明する。
配信側装置40においては、所定の周期で同期信号が送信される(ステップS111,S112)。同期信号は、単にタイミングを示すための赤外線信号であり、情報信号とは異なり、それ自体は特に情報を含んでいない。また、同期信号は、店舗内の全ての電子棚札5に対して同時に送信されるものであり、送信先となる電子棚札5の装置コード等も含んでいない。同期信号を送信する周期は、例えば1秒とされ、ESLサーバ10のタイマ19によって計時される。
送信された同期信号は、電子棚札5の赤外線通信部58によって受信される(ステップS211)。電子棚札5は、赤外線通信部58が同期信号を受信すると、特売マーク52を点滅表示中であれば(ステップS212にてYes)、制御部59の制御により、同期信号の受信タイミングに基づいてその点滅のタイミングを調整する(ステップS213)。
図8は、同期信号の送信タイミング(=受信タイミング)と、電子棚札5における特売マーク52の点滅のタイミングとの関係を示す図である。
電子棚札5は、特売マーク52を点滅させる際には、一のオン期間Tnと一のオフ期間Tfとからなる所定の切換パターンを繰り返すようになっている。例えば、図中の電子棚札5aに注目して説明すると、時点T1〜T6についての点滅の切換パターン(時点T1でオンに切換、時点T3までオンを継続、時点T3でオフに切換、時点T6までオフを継続というパターン)を、周期CT(=Tn+Tf)で繰り返すわけである。以下、点滅にあたって周期的に繰り返される切換パターンを「単位パターン」という。この単位パターンは、店舗内の全ての電子棚札5において共通のものとされ、各電子棚札5のメモリ591内に予め記憶されている。
また、同期信号は、単位パターンの繰り返し周期CTと同一の周期CTで送信される。電子棚札5は、特売マーク52の点滅を繰り返している際にこの同期信号を受信すると、次の単位パターンを開始するタイミングを同期信号を受信したタイミングに一致させる。つまり、同期信号の受信と同時に強制的に次の単位パターンを開始することとなる。本実施の形態の電子棚札システム1では、同期信号に応じたこのような処理が、全ての電子棚札5において同様になされるため、全ての電子棚札5の特売マーク52のオン/オフが同時に切り換えられることとなる。
例えば、図8に示すように、ある電子棚札5aにおいて特売マーク52の点滅が繰り返している場合を想定する。この場合に、時点T2において他の電子棚札5bに対して「特売実施フラグ」を含む情報信号が送信され、これにより、電子棚札5bにおいても特売マーク52の点滅が開始されたとする。電子棚札5bの点滅のタイミングは、その開始直後(時点T2〜T6)においては、電子棚札5aとは相違している。しかしながら、一旦、電子棚札5bが同期信号を受信すると(時点T6)、その時点から次の単位パターンが強制開始されるため、以降は電子棚札5aと同一のタイミングで点滅が繰り返されることとなる。
このように、各電子棚札5においては、任意のタイミングで点滅が開始されたとしても、同期信号に基づいて点滅のタイミングが調整される。また、複数の電子棚札5の相互間において、単位パターンを繰り返す周期に微妙な個体差があったとしても、このような個体差も同期信号に基づいて補正される。したがって、店舗内の全ての電子棚札5についての点滅のタイミングが一致されることとなる。
以上のように、本実施の形態の電子棚札システム1では、配信側装置40から同期信号が送信され、この同期信号に基づいて各電子棚札5の特売マーク52の点滅タイミングが調整される。換言すれば、同期信号に基づくタイミングで、特売マーク52のオンとオフとが変更される。したがって、店舗内の全ての電子棚札5の点滅が同時になされることとなる。その結果、電子棚札システム1全体としての電子棚札5の点滅を整然かつ明瞭とすることができ、特売マーク52の点滅を行なっている電子棚札5の表示に効果的に顧客の関心を向けさせることができることとなる。
<2.第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、店舗内の全ての電子棚札5について点滅の同期がなされていたが、本実施の形態では、店舗内の電子棚札5が複数のグループに区分され、同一グループに含まれる電子棚札5について点滅の同期がなされるようになっている。本実施の形態の電子棚札システム1の構成は、第1の実施の形態とほぼ同様であるため、以下、第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
図9は、本実施の形態の商品ファイル101の例を示す図である。図に示すように、商品ファイル101には、第1の実施の形態と同様に、各レコード102ごとに「商品コード」、「商品名」、「通常価格」、「特売価格」、「特売期間」及び「装置コード」が登録されている。そして、本実施の形態では、各レコード102にさらに「グループ」が登録されている。この「グループ」は、同一のレコード102の「装置コード」に対応する電子棚札5が、いずれのグループに属しているかを示している。
本実施の形態の店舗においては、店舗内の電子棚札5が組み分けされるグループとして、5つのグループA,B,C,D及びEが存在しており、各電子棚札5はこれらのうちのいずれか一つのグループに属するようになっている。
電子棚札5をいずれのグループへ組み分けするかの基準は、対応する商品が属する部門に基づくものとなっている。本実施の形態の店舗においては、例えば、商品が「精肉」、「鮮魚」、「青果」、「一般食品」及び「生活品」の5つの部門に分類される。このような部門が同一の商品に対応する電子棚札5が同一のグループとなるように、電子棚札5が各グループへ組み分けされる。つまり、部門とグループとは一対一の関係で対応付けられている。例えば、「精肉」はグループAと対応しており、「精肉」に属する商品に対応する電子棚札5はそのグループAに組み分けされる。同様に、「鮮魚」、「青果」、「一般食品」及び「生活品」はそれぞれ、グループB,C,D及びEと対応している。
本実施の形態においても、対応する商品が特売商品である場合に、特売マーク52が点滅される。本実施の形態では、この特売マーク52の点滅に利用される単位パターンとして、5つの単位パターンが準備されている。そして、この単位パターンとグループA〜Eとが一対一の関係で関連付けられている。
図10は、グループA〜Eにそれぞれ関連付けられた5つの単位パターンの例を示す図である。図10中の時点T1〜T6における点滅の切換パターンが、グループA〜Eそれぞれの単位パターンである。このように5つの単位パターンの繰り返し周期は、周期CTに一致されている。その一方で、これらの5つの単位パターンでは、互いにオン/オフの切換のタイミングが異なっている。本実施の形態では、これらの5つの単位パターンの全てが、各電子棚札5のメモリ591内に予め記憶される。
特売の開始にあたっては、第1の実施の形態と同様に、「通常価格」「特売価格」「装置コード」及び「特売実施フラグ」を含む情報信号が当該電子棚札5に送信される。本実施の形態では、この情報信号にさらに「通常価格」「特売価格」「装置コード」と同一のレコード102における「グループ」が含まれている。
「特売実施フラグ」を含む情報信号を受信した電子棚札5の制御部59は、情報信号に含まれる「グループ」に基づいて、自装置のグループを把握する。そして、メモリ591内の5つの単位パターンからそのグループに応じた一の単位パターンを選択し、選択した単位パターンで特売マーク52を点滅表示させる。これにより、電子棚札5は、自装置が属するグループに応じた単位パターンで特売マーク52の点滅表示を行なうこととなる。
また、本実施の形態においても、単位パターンの繰り返し周期CTと同一の周期CTで同期信号が全ての電子棚札5に対して送信される。そして、各電子棚札5は同期信号に基づいて点滅のタイミングを調整する。すなわち、各電子棚札5は、同期信号を受信したときは、その受信と同時に次の単位パターンを強制開始する。
このような処理により、同一グループに含まれる複数の電子棚札5は、同一タイミングで点滅表示を行なうこととなる。また、各グループに対応付けられた単位パターンは、互いにオン/オフの切換のタイミングが異なっている。このことから、本実施の形態の電子棚札システム1では、グループごとに電子棚札5の表示に顧客の関心を向けさせることができることとなる。
特に本実施の形態においては、商品の部門(より一般には、商品の属性)とグループとが対応付けられ、対応する商品の部門が同一となる複数の電子棚札5が同一グループとされる。このため、例えば、店舗の販売スペース内において、同一部門の商品が離散して陳列されている場合であっても、それら同一部門の商品群を明瞭に識別でき、容易に商品を探すことができる。
なお、本実施の形態では、全てのグループの電子棚札5に対して同一の同期信号を送信するようにしていたが、グループごとに固有の同期信号を発生させ、電子棚札5が自装置が属するグループに係る同期信号のみを受信するようにしてもよい。この場合は、電子棚札5は、全てのグループに係る単位パターンを記憶している必要はないため、電子棚札5の製造コストを低下することができる。
<3.第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、電子棚札5のグループへの区分は、対応する商品に基づいてなされていたが、本実施の形態では、その配置される位置に基づいてなされるようになっている。本実施の形態の電子棚札システム1の構成及び動作は、第2の実施の形態とほぼ同様であるため、以下、第2の実施の形態との相違点を主に説明する。
図11は、店舗の販売スペースの一部の様子を示す図である。図に示すように、販売スペースには、複数の商品棚60が配列され、これらの複数の商品棚60により顧客動線としての通路Paが形成されている。これら複数の商品棚60のそれぞれに対して電子棚札5は設置されている。当該店舗では、図中の矢印AR1に示すように左から右に向けて、通路Paに対して順路の向きが設定されているものとする。ここで「順路」とは、店舗の販売スペース内において、好ましいとされる顧客の移動の向きが定められている顧客動線である。
また、本実施の形態では、店舗の販売スペースにおいて複数のゾーンが設定され、販売スペース内がそれらのゾーンに区分されている。図11の例においては、5つのゾーンZ1,Z2,Z3,Z4,Z5が、通路Paに沿ってこの順に配列して設定されている。ゾーンZ1〜Z5の相互間の境界は、商品棚60の相互間の境界に限られない。本実施の形態では、このような店舗の販売スペースの各ゾーンが、5つのグループA〜Eのいずれかに対応付けられており、同一ゾーン内に配置される複数の電子棚札5は、同一グループとされる。
図11に示す例においては、ゾーンZ1,Z2,Z3,Z4及びZ5はそれぞれ、グループA,B,C,D及びEに対応付けられている。したがって、例えば、ゾーンZ1に配置される電子棚札5はグループAに組み分けされる。同様に、ゾーンZ2,Z3,Z4及びZ5に配置される電子棚札5はそれぞれ、グループB,C,D及びEに組み分けされている。各電子棚札5がいずれのグループに属するかは、第2の実施の形態と同様に、商品ファイル101の各レコード102に設定される。
このように同一ゾーン内に配置される複数の電子棚札5を同一グループとすることで、同一ゾーン内の複数の電子棚札5が同一タイミングで点滅表示を行なうこととなる。このことから、本実施の形態の電子棚札システム1では、ゾーンごとに電子棚札5の表示に顧客の関心を向けさせることができることとなる。
また、グループA〜Eのそれぞれの単位パターンが、図10に示すものと同一であるとすると、図11に示す通路Paにおいては、電子棚札5の特売マーク52がオンとなるゾーンが、波のように時間的及び空間的に順次に変化することとなる。
図12は、通路Paにおいて、電子棚札5の特売マーク52がオンとなるゾーンが変化する様子を具体的に示す図である。図中においては、電子棚札5の特売マーク52がオンとなっている位置をハッチングで示している。図12に示す状態ST1〜ST5はそれぞれ、図10の時点T1〜T5の直後の状態に対応している。通路Paにおいては、状態ST1〜ST5が所定の周期CTで繰り返されることとなる。
図12に示すように、各ゾーンの複数の電子棚札5がオン/オフを切り換えるタイミングは、一の通路PaにおけるゾーンZ1〜Z5の配列順に従って、一のゾーンごとに順次に遅延している。より具体的には、時点T1にてゾーンZ1がオンとなると(状態ST1)、次の時点T2にて隣接するゾーンZ2がオン(状態ST2)、さらに次の時点T3でゾーンZ3がオン(状態ST3)、…というように時間経過に伴ってオンという状態が図中の右側に隣接したゾーンに順次に波及していく。これは、オフの状態についても同様である。したがって、これを視認する人間にとっては、電子棚札5がオンとなるゾーンあるいはオフとなるゾーンが、波のように図中の右側へ移動しているように擬似的に感じられる。このような波のような変化は顧客の関心を引くこととなり、電子棚札の表示に効果的に顧客の関心を向けさせることができる。
また、本実施の形態においては、オン/オフを切り換えるタイミングが比較的先となるゾーンZ1から、比較的後となるゾーンZ5に向かう向き(図中左から右へ向かう向き)は、前述した順路の向きに一致されている。つまり、複数の電子棚札5のオン/オフの変化によって生じる擬似的な波の向きが順路の向きに一致される。したがって、販売スペースにおいて、スムーズに顧客を移動させることができることとなる。なお、本実施の形態では、擬似的な波の向きを順路の向きに一致させるとしたがこれに限られず、例えば、特設販売やイベント等を行なっている特定場所へ向かう向きに設定してもよい。これによれば、顧客を特定場所へ効果的に誘導することができる。
また、本実施の形態では、各ゾーンの複数の電子棚札5がオン/オフを切り換えるタイミングは一のゾーンごとに順次に遅延していたが、2以上の所定数のゾーンごとに順次に遅延させてもよい。ここで、遅延させるゾーンの数(自然数)をV、ある時点において連続してオン状態となっているゾーンの数(自然数)をM、ある時点において連続してオフ状態となっているゾーンの数(自然数)をNとしたとき、V=M=Nであるときには交互点滅状態となり、擬似的な波の向きが判別できなくなる。このような交互点滅状態を避ける場合は、V,M,Nの3つの値のうち少なくとも1つを他の値と相違させればよい。例えば、上記のようにオン/オフの切換のタイミングを一のゾーンごとに順次に遅延させる場合では、オン状態の連続ゾーン数、及び、オフ状態の連続ゾーン数のうちの少なくとも一方を2以上とすればよい。
<4.第4の実施の形態>
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。第1ないし第3の実施の形態では、複数の電子棚札5が同期することにより電子棚札5の表示に顧客の関心を向けさせるようにしていたが、本実施の形態では、一の電子棚札5が単体で多様な表示を行なうことによって顧客の関心を引くようにしている。本実施の形態の電子棚札システム1の構成も、第1の実施の形態とほぼ同様であるため、以下、第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
図13は、本実施の形態の電子棚札システム1に採用される電子棚札5の構成を示す図である。図に示すように、本実施の形態の電子棚札5においては、対応する商品が特売商品である旨を示すマークたる特売マーク56が、単一のセグメントではなく、5つのセグメント56a〜56eで構成されている。これら5つのセグメント56a,56b,56c,56d,56eは、それぞれが右向きを頂点とする二等辺三角形状であり、左からこの順に水平方向へ沿って配列されている。他の構成は、図5に示すものと同様である。
各セグメント56a〜56eは、点滅表示が可能であり、制御部59の制御により、それぞれ個別のタイミングでオン/オフの切換が可能とされている。そして、各セグメント56a〜56eのオン/オフが個別の切換パターンで切り換えられ、そのような切換パターンが周期的に繰り返されることにより、特売マーク56の全体でアニメーション的な表現がなされるようになっている。以下、この詳細について説明する。
各セグメント56a〜56eにはそれぞれ、所定の周期で繰り返すための固有のオン/オフの切換パターン(以下、「単位パターン」という。)が設定されている。図14は、各セグメント56a〜56eに設定された単位パターンの一例を示す図である。図に示すように、これら全ての単位パターンの繰り返し周期は一致され、周期CTとされている。その一方で、これらの単位パターンでは、互いにオン/オフの切換のタイミングが異なっている。これら全ての単位パターンは、各電子棚札5のメモリ591内に予め記憶される。
本実施の形態でも、電子棚札5は、「特売実施フラグ」を含む情報信号の受信に応答して特売用の表示を実施し、この際に特売マーク56が表示される。この特売マーク56の表示にあたっては、制御部59の制御により、セグメント56a〜56eのそれぞれが、図14に示す個別の単位パターンで点滅表示を行なう。これにより、オンとなるセグメント56a〜56eが時間的に順次に変化することとなる。
図15は、特売マーク56の状態が変化する様子を具体的に示す図である。図中においては、オンとなっているセグメントをハッチングで示している。図15に示す状態ST10〜ST15はそれぞれ、図14の時点T10〜T15の直後の状態に対応している。特売マーク56が表示される際には、状態ST10〜ST15が所定の周期CTで繰り返されることとなる。
図15に示すように、時点T10においては全てのセグメント56a〜56eがオフとされる(状態ST10)。その後、時点T11にて左端のセグメント56aがオンとなると(状態ST11)、次の時点T12にてセグメント56aはオフとなり、その右側に隣接するセグメント56bがオンとなる(状態ST12)。さらに、次の時点T13では、セグメント56bはオフとなり、その右側に隣接するセグメント56cがオンとなる(状態ST13)。以降同様にして、時間経過に伴ってオンという状態が図中の右側に隣接したセグメントに順次に波及していく。このようにして右端のセグメント56eがオンとなると(状態ST15)、次の時点では、再度、全てのセグメント56a〜56eがオフとなり、以降同様の動作が繰り返されることとなる。
したがって、これを視認する人間にとっては、オンとなるセグメントが右側へ移動しているように擬似的に感じられる。そして、このような特売マーク56の全体によるアニメーション的な表現は、顧客の関心を引くこととなり、電子棚札の表示に効果的に顧客の関心を向けさせることができることとなる。
本実施の形態においても、上記実施の形態と同様に、特売マーク56の各セグメント56a〜56eの単位パターンはそれぞれ、配信側装置40から所定の周期CTで送信される同期信号に基づいて強制開始されるようになっていてもよい。これによれば、複数の電子棚札5の相互間で、アニメーション表現のタイミングが一致し、さらに効果的に電子棚札の表示に顧客の関心を向けさせることができる。
なお、図14においては、セグメント56a〜56eのそれぞれに設定される単位パターンはタイミング(位相)が相違するのみでオン期間とオフ期間との関係(パターン形状)は同一であったが、これに限定されるものではなく、種々の単位パターンが存在してよい。例えば、セグメント56a〜56eのそれぞれに設定される単位パターンとして、図16に示す単位パターンを採用すれば、図17に示すように、オン状態のセグメントが右側へ順次増殖するように擬似的に感じられるアニメーション表現ができる。
また、このようなアニメーション表現を実施する表示部は特売マークでなくてもよい。例えば、図18に示すように、図13に示す特売マーク56と同様のセグメントを、下向きに配列した構造の表示部561を設け、上述した特売マーク56と同様の動作を行なうようにしてもよい。これによれば、表示部561の全体により、オンとなるセグメントが下側へ移動するようなアニメーション表現ができる。通常、電子棚札5は、対応する商品の下側のフレーム62に配置される。しかしながら、スペース上、商品の上側のフレーム62に配置せざるを得ない場合があり、この場合には、電子棚札5がいずれの商品に対応するかが把握しづらくなるおそれがある。このような場合に、図18に示すような表示部561によって下側を示す表現を行なうことで、電子棚札5が下側の商品に対応することを明瞭に示すことができる。
また、例えば、アニメーション表現を実施する表示部は専用のものでなくてもよく、例えば、店舗指示表示部54などに含まれる7セグメント表示部で行なってもよい。図19は、7セグメント表示部でアニメーション表現を行なう場合の一例を示す図である。このような状態ST31〜ST36を所定の周期で繰り返せば、7セグメント表示部70の全体で、オンとなるセグメントが回転しているようなアニメーション表現を行なうことが可能となる。
<5.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
上記実施の形態では、同期信号の送信周期は、単位パターンを繰り返す周期と一致していたが、単位パターンを繰り返す周期よりも長い周期が設定されてもよい。例えば、単位パターンを繰り返す周期が1秒であったときに、同期信号の送信周期を1時間としてもよい。このような場合においては、通常は、制御部59のタイマ592の計時に基づいて単位パターンの繰り返しがなされ、同期信号が送信される周期(1時間)ごとに各電子棚札5の点滅タイミングが調整されることとなる。
また、単位パターンを繰り返す周期、あるいは、同期信号の送信周期は常時一定でなくてもよく、時間帯に応じて変更してもよい。
また、上記実施の形態では、単位パターンは電子棚札5に予め記憶されているものと説明したが、電子棚札5が配信側装置40からの信号などにより新たな単位パターンを取得し、メモリ591内の単位パターンを更新できるようになっていてもよい。
また、上記第1ないし第3の実施の形態では、特売商品に対応する電子棚札5のみが点滅表示を行なうものとして説明を行なったが、特売商品に対応するか否かにかかわらず全ての電子棚札5がいずれか所定のセグメントを点滅表示させるようにしてもよい。これによれば、第2及び第3の実施の形態のように電子棚札5をグループに区分した場合において、効果的にグループごとに顧客の関心を向けさせることができる。
また、上記実施の形態では、電子棚札5が点滅表示を行なう場合(オン/オフを切り換える場合)について説明を行なったが、例えば、カラー表示可能なディスプレイを有する電子棚札5では、表示色を変更する場合に本発明に係る技術を適用してもよい。また、ドットマトリクス方式のディスプレイを有する電子棚札5では、表示サイズや表示キャラクタを変更する場合に本発明に係る技術を適用してもよい。つまりは、表示態様を変更可能な電子棚札5であれば、どのようなものであっても本発明に係る技術を適用することが可能である。また、オン/オフを切り換えるという2段階の単純な表示態様の変更のみに限定されず、例えば、「白」、「グレー」及び「黒」の間の変更など3以上の段階のある表示態様の変更であってもよい。