以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。ここで、図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は斜視図であり、図3は右側面図である。また、図4は、内枠12及び前面枠セット14を開放した状態を示す斜視図である。但し、図4では便宜上、遊技盤30面上に配設される釘や役物、前面枠セット14に取付けられるガラスユニット137などを省略して示している。
図1乃至図4に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外郭を構成する外枠11を備えており、この外枠11の一側部に内枠12が開閉可能に支持されている。外枠11は、例えば木製の板材により全体として矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。
外枠11には、その左辺部において上ヒンジ81及び下ヒンジ82が設けられている。当該上ヒンジ81及び下ヒンジ82にて、内枠12の上下部が回動可能に支持されており、これにより内枠12が開閉可能に支持される。さらに、外枠11下部には、樹脂製の幕板飾り85が取着されている。
内枠12の開閉軸線は、上述したようにパチンコ機10の正面からみて左側において上下に沿って設定されており、この開閉軸線を軸心として内枠12が前方側に開放できるようになっている。内枠12は、外形が矩形状をなす青色の樹脂ベース38を主体に構成されており、当該樹脂ベース38の中央部には略楕円形状の窓孔39が形成されている。
また、内枠12の前面側には、前扉としての前面枠セット14が開閉可能に取付けられている。前面枠セット14は、内枠12と同様に、パチンコ機10の正面から見て左側において上下に沿って設定された開閉軸線を軸心として前方側に開放できるようになっている。
前面枠セット14は、内枠12と同様に外形が矩形状をなし、閉鎖状態においては内枠12の前面側ほぼ全域を覆う。前面枠セット14の中央部には略楕円形状の窓部101が形成されている。これにより、前面枠セット14の窓部101及び内枠12の窓孔39を介して、内枠12の後面に装着される遊技盤30(遊技領域)を外部から視認可能となる。遊技盤30の詳細な構成については後述する。
前面枠セット14の前面側には、その下部中央において球受皿としての下皿15が設けられており、排出口16より排出された遊技球が下皿15内に貯留可能になっている。また、下皿15の手前側には、下皿15内から遊技球を排出するための球抜きレバー25が設けられている。
下皿15の右方には、手前側に突出した遊技球発射ハンドル(以下、単にハンドルという)18が設けられ、下皿15の左方には、灰皿26が設けられている。尚、ハンドル18には、図示しないタッチセンサや、ハンドル18の操作部の操作量を検出するための図示しない操作量検出手段が設けられている。
下皿15の上方には上皿19が設けられている。上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射装置(以下、単に発射装置という)70の方へ案内する球受皿である。なお、上皿19から溢れる遊技球は下皿15へ案内されるようになっている。
上皿19には球貸しボタン121と返却ボタン122とが設けられている。これにより、遊技場等において、パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で球貸しボタン121が操作されると、その操作に応じて貸出球が上皿19に供給される。一方、返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。但し、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿19に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では球貸しボタン121及び返却ボタン122は不要である。
また、前面枠セット14の前面にはその周囲に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が設けられ、該環状電飾部102の中央であってパチンコ機10の最上部には、同じくLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部103が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部103が大当たりランプとして機能し、大当たり時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり中であることを報知する。さらに、中央電飾部103の左右側方には、所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ104が設けられている。また、各エラー表示ランプ104に隣接してスピーカSPが設けられるとともに、当該スピーカSPの前側にスピーカカバー24が取着されている。
前面枠セット14の背面側にはガラスユニット137が取付けられている。ガラスユニット137は、従来の前後一対の矩形状の板ガラスが前後対を為して別々に取着されるものではなく、全体として丸形をなし、アッセンブリ化された上で取付けられている。
次に、内枠12(樹脂ベース38)について説明する。上述した通り、内枠12(樹脂ベース38)には、窓孔39の後側に遊技盤30が装着されている。遊技盤30は、その周縁部が内枠12(樹脂ベース38)の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤30の前面部の略中央部分が樹脂ベース38の窓孔39を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。
また、内枠12(樹脂ベース38)の下部、すなわち窓孔39(遊技盤30)の下方位置には、後側へ膨出した膨出部40が形成されている。この膨出部40の前面右側には、発射装置70が取付けられている。本実施形態では、発射装置70としてソレノイド式発射装置を採用している。また、膨出部40には、後述する払出機構部352から上記下皿15の排出口16へ繋がる排出球通路71が設けられている。また、発射装置70の発射レール70aと後述するレール50(外レール構成部52)との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方にファール球通路72が形成されている。これにより、仮に、発射装置70から発射された遊技球が後述する戻り球防止部材53まで至らずファール球としてレール50を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路72及び排出球通路71を介して下皿15に排出される。また、排出球通路71の下側にはハーネスカバー74が設けられている。これにより中継基板75と発射装置70とを接続するハーネス(図示略)をまとめている。
次に、遊技盤30の構成について図5を参照して説明する。遊技盤30には、一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口(作動口)33、第2契機対応口34、可変表示装置ユニット35等がルータ加工によって形成された貫通穴に配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取付けられている。周知の通り前記一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口33に遊技球が入球(入賞)すると、それぞれに対応して設けられた検出スイッチの出力により、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞部(一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口33)に入賞しなかった遊技球は、このアウト口36を通って遊技領域外へと排出される。また、遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
可変表示装置ユニット35には、第2契機対応口34の通過をトリガとして変動表示する普通図柄表示装置41と、第1契機対応口33への入賞をトリガとして変動表示する特別表示装置43と、特別表示装置43による変動表示に合わせて変動表示する可変表示装置としての装飾図柄表示装置42とが設けられている。
普通図柄表示装置41は複数の発光手段(LED)を内蔵しており、遊技球が第2契機対応口34を通過する毎に点灯表示態様が切換表示(変動表示)され、その変動表示が特定の点灯態様で数秒間停止した場合に第1契機対応口33が所定時間だけ作動状態となる(開放される)。この普通図柄表示装置41は、後述する主制御装置261によって直接的に表示内容が制御される。また、普通図柄表示装置41の変動表示中に、新たに遊技球が第2契機対応口34を通過した場合には、その分の普通図柄の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ44にて点灯表示されるようになっている。
特別表示装置43は、普通図柄表示装置41の側方に設けられた複数の発光部により構成され、遊技球が第1契機対応口33を通過する毎に点灯する発光部の組合せが切換えられる(変動表示される)。そして、変動表示が停止したときに点灯している発光部の組合わせにより、大当たりか否かが確定的に表示される。この特別表示装置43についても、主制御装置261によって表示内容が直接的に制御される。また、特別表示装置43の変動表示中に新たに遊技球が第1契機対応口33に入賞した場合には、その分の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ46にて点灯表示されるようになっている。また、大当たり状態中に新たに遊技球が第1契機対応口33に入賞した場合、その分の変動表示についても保留される。
装飾図柄表示装置42は液晶表示装置として構成されており、後述するサブ制御装置262によって表示内容が制御される。すなわち、装飾図柄表示装置42においては、特別表示装置43にて表示される結果に対応させるように、主制御装置261からのコマンドに基づき、サブ制御装置262によって補助的な表示内容が決定され、後述する表示制御装置45によって表示が行われる。装飾図柄表示装置42には、例えば、上、中及び下の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成されており、これら図柄が図柄列毎にスクロールされるようにして装飾図柄表示装置42に変動表示され、その後、上図柄列→下図柄列→中図柄列の順に停止表示される。また、可変表示装置ユニット35には、装飾図柄表示装置42を囲むようにしてセンターフレーム47が配設されている。
可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たり(特別遊技状態の発生)の際に、遊技球が入賞しやすい開状態とされる。具体的には、所定時間の経過又は所定個数の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32の大入賞口が所定回数(所定ラウンド数)繰り返し開放される。
また、遊技盤30には、発射装置70から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するレール50が取付けられている。これにより、ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレール50を通じて、遊技盤面上に形成された遊技領域内に案内される。レール50は内レール構成部51と外レール構成部52とからなる。
内レール構成部51の先端部分(図5の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、レール50から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度レール50内に戻ってしまうといった事態が防止される。
また、本実施形態では、外レール構成部52が遊技盤30の右上部で途絶え、内レール構成部51が遊技盤30の右下部で途絶えている。このため、遊技領域は、レール50及び樹脂ベース38の窓孔39の内周面により画定される。但し、内外レール構成部51,52の並行部分を除く。
次に、パチンコ機10の背面の構成を図6に基づいて説明する。パチンコ機10にはその背面(実際には内枠12及び遊技盤30の背面)において、各種制御基板が上下左右に並べられるようにして、一部前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給する遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12又は遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合において、主基板とサブ制御基板とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御基板、発射制御基板及び電源基板を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。また、払出機構及び保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
なお、第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、ユニット単位で工具等を用いずとも着脱できるよう構成されており、さらに、一部に支軸部を設けて内枠12又は遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。
まず、遊技盤30の背面構成について説明する。上述したように遊技盤30の中央にはルータ加工によって形成された貫通穴に対して可変表示装置ユニット35が配設されている。この可変表示装置ユニット35に対し、センターフレーム47を背後から覆う樹脂製のフレームカバー213が後方に突出して設けられている。さらに、フレームカバー213の後端に、液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42と表示制御装置45とが前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。フレームカバー213内には、センターフレーム47に内蔵されたLED等を駆動するLED制御基板などが配設されている。
また、遊技盤30の裏面には、可変表示装置ユニット35を取り囲むようにして図示しない裏枠セットが取付けられている。この裏枠セットは、遊技盤30の裏面に張り付くようにして設けられる薄型の樹脂成形品であって、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための球回収機構を備えている。また、内枠12には、裏枠セット(遊技盤30)の下方位置において排出通路盤217が取付けられており、該排出通路盤217には排出球をパチンコ機10外部へ排出する排出シュート218が形成されている。従って、一般入賞口31等に入賞した遊技球は何れも裏枠セットの球回収機構を介して集合し、さらに排出通路盤217の排出シュート218を介してパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口36も同様に排出シュート218に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出シュート218を介してパチンコ機10外部に排出される。
また、遊技盤30の裏面には、各種入賞口などの遊技球の通過を検出する入賞感知機構(検出スイッチ)などが設けられている。入賞感知機構にて各々検出された検出結果は、後述する主基板(主制御装置261)に取り込まれ、該主基板よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御基板に送信される。そして、該払出制御基板の出力により所定数の遊技球の払出が実施される。本実施形態のパチンコ機10では、各種入賞口毎に遊技球の入賞を電気的に感知して払出が直ちに行われる。
第1制御基板ユニット201は、主制御装置261と、サブ制御装置262とを具備している。主制御装置261は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含む主基板を具備しており、この主基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263に収容されて構成されている。なお、基板ボックス263は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニットによって連結されており、基板ボックス263が開封された場合には、封印ユニットにおいて所定の痕跡が残るよう構成されている。これにより、基板ボックス263が不正に開封された旨を容易に発見することができる。
また、サブ制御装置262は、主制御装置261(主基板)からの指示に従い各種演出制御を司るCPUや、各種プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含むサブ制御基板を具備しており、このサブ制御基板についても当該サブ制御基板に対応する基板ボックスに収容されて構成されている。
第2制御基板ユニット202は、払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314を具備している。払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313は周知の通り制御の中枢をなすCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む制御基板を具備しており、払出制御装置311の払出制御基板により、賞品球や貸出球の払出が制御される。また、発射制御装置312の発射制御基板により、遊技者によるハンドル18の操作に従い発射装置等の制御が行われ、電源装置313の電源基板により、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。
上記払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313についても、それぞれに対応する基板ボックス315、316、317に収容されて構成されている。但し、発射制御装置312(基板ボックス316)は、電源装置313(基板ボックス317)の裏側に配置されている。また、払出制御装置311が収容される基板ボックス315には、前述した主制御装置261と同様に封印ユニットが設けられ、基板ボックス315の開封した痕跡が残るようになっている。
払出制御装置311には状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られる。
また、電源装置313にはRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰させることができる。従って、通常手順で(例えば遊技場の営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されることから、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入する。
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものである。
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成形されており、パチンコ機後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部354を有する。保護カバー部354は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示装置ユニット35を囲むのに十分な大きさを有する。但し、本実施形態では、前述のサブ制御装置262及び主制御装置261の一部も合わせて囲む構成となっている。
また、払出機構部352は、保護カバー部354を迂回するようにして配設されている。すなわち、保護カバー部354の上方には、上側に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技場の島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。また、ケースレール357の最下流部には払出手段としての払出装置358が設けられており、賞球や貸球の発生に対応した数分の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は上記上皿19等に供給される。また、タンクレール356には、当該タンクレール356に振動を付加するバイブレータ360が取り付けられており、仮にタンクレール356付近で球詰まりが生じた際、バイブレータ360が駆動されることで球詰まりの解消が図られる。
また、払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込む電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ON又は電源OFFされる。
尚、本実施形態では、内枠12は外枠11に対し施錠され、前面枠セット14及び裏パックユニット203は内枠12に対し施錠される。これらの施錠機構は単一の施錠装置600によって具現化されており、内枠12の右側辺部(図6左側)に沿って取付けられている。施錠装置600は、前面枠セット14の前面側に露出するシリンダ錠700(図1等参照)を備えており、該シリンダ錠700の鍵穴に鍵を挿入し、一方側に回動操作することで内枠12を解錠でき、他方側に回動操作することで前面枠セット14及び裏パックユニット203を解錠できるようになっている。尚、裏パックユニット203の施錠機構を省略することとしてもよい。
さて、本実施形態では払出装置358に特徴を有している。ここで、払出装置358について図15〜図21を参照しつつ詳細に説明する。図15は払出装置358を背面左側から見たときの斜視図であり、図16は蓋部材444を外した状態における払出装置358の正面図であり、図17は払出装置358の左側面図であり、図18は払出装置358の下面図である。また、図19は蓋部材444を外した状態における払出装置358の斜視図であり、図20は払出装置358を背面側から見たときの分解斜視図であり、図21は前面側から見たときの分解斜視図である。
払出装置358はパチンコ機10の外部からタンク355に補給された遊技球を、必要個数だけ上皿19(上皿19が満タンの場合には下皿15)に払い出すためのものである。従って、払出装置358は、図16、図19等に示すように、遊技球をタンク355から上皿19又は下皿15へと案内するための案内通路の一部を構成する球通路401と、当該球通路401に配設され、遊技球の流下を制止可能に構成されるとともに、回転することで遊技球を1つずつ下流側へと流下させることのできる制止部材としてのスプロケット402とを備えている。さらに、図20等に示すように、払出制御装置311により駆動制御され、駆動することでスプロケット402を回転させる駆動手段としての払出モータ403と、払出モータ403の駆動に伴って払出される遊技球を検出する払出検出手段としての払出検出スイッチ404とを備えている。
図16に示すように、球通路401は、タンク355、タンクレール356、及びケースレール357(図6参照)を経由してきた遊技球を払出装置358の内部へと導入する導入部411と、導入部411の下流側に位置し、スプロケット402が配設された送り部412と、送り部412の下流側に位置し、球受け皿としての上皿19又は下皿15へと通じる図示しない排出路に連通する導出部413とから構成されている。本実施形態では、タンクレール356及びケースレール357は、遊技球が1列で流下する案内通路を2本(2径路)有している。これに対応して、導入部411においても案内通路が2本あり、遊技球を2経路でスプロケット402へと導く(図19等参照)。また、詳しくは後述するが、導入部411の各案内通路に位置する遊技球は、スプロケット402が回転することで、1つずつ交互に導出部413へと移送される。導出部413に送られた遊技球は、自重により導出部413及び図示しない排出路を流下して上皿19又は下皿15に払出されることとなる。また、本実施形態では、導出部413において案内通路が1本にまとめられている。
払出モータ403は、4相の励磁相を有するステッピングモータによって構成され、スプロケット402を回転させるための駆動力を付与する駆動手段を構成する。払出モータ403には、払出制御装置311から出力されるパルス信号が入力され、その入力信号に応じて内蔵されたロータが一定角度ずつ回動する。このロータの回動トルクは、モータケース403a(図20、図21参照)内の図示しないギアを介して出力軸403bの回転として出力され、その出力軸403bに取着されるスプロケット402が回転する。
図20、図21等に示すように、スプロケット402は、一対の回転板421a、421bと、当該一対の回転板421a、421bの中心部同士を相互に連結する連結軸422と、連結軸422の一端部が延長されることで形成され、払出モータ403の出力軸403bに取着される伝達部423とを備えている。尚、説明の便宜上、払出モータ403から離れている側の回転板を第1回転板421aと称し、払出モータ403側の回転板を第2回転板421bと称する。
伝達部423は断面略D字状の軸孔を有し、払出モータ403の出力軸403bの先端部位も伝達部423の軸孔形状に一致した形状となっている。このため、より確実に伝達部423の軸孔と出力軸403bとが係合して、払出モータ403の回動トルクがスプロケット402に伝達される。
一対の回転板421a、421bは、導入部411の各案内通路の下流部に対応して配設されており、導入部411の各案内通路に流入した遊技球を受け止めて制止する(遊技球の流下をせき止める)とともに、回動することによって受け止めた遊技球を下流側の導出部413へと搬送する機能を有する。
より詳しく説明すると、図16、図20等に示すように、回転板421a、421bは、円形の板状体の外周部のうち板状体の中心に対して互いに対向する部位をそれぞれ略円弧状(略S字)に切欠いたような点対称形状をなしている。このため、回転板421a、421bには、外周に沿って、回転板421a、421bの中心側に凹む一対の移送凹部425と、一対の移送凹部425同士の間の部位である一般外周部426とが形成されている。
本実施形態では、球通路401の送り部412を構成する壁部(後述する通路ブロック442の中間部462、ベース板441の案内リブ456、蓋部材444の案内リブ497)と一般外周部426との間には、遊技球の流下可能なスペースがなく、その一方で、送り部412を構成する壁部と移送凹部425との間には、1つの遊技球を位置させることができるだけのスペースが確保されている。そして、遊技球が回転板421a、421bの移送凹部425に収容されるとともに、スプロケット402が図16の時計回り方向に回転することで、遊技球は送り部412を通過し、導出部413へと送り出される。本実施形態では、所定の遊技球が移送凹部425に収容されてから、スプロケット402が約90度回転することで、前記所定の遊技球が自重により移送凹部425から抜け出して、導出部413を流下することとなる。以上のようにして、上皿19(下皿15)へと至る案内通路の途中で遊技球の流下をせき止めるとともに、必要に応じて遊技球を払い出すことのできる機構を構成することができる。
また、一対の回転板421a、421bは略同一形状ではあるが、その長手方向(移送凹部425の形成位置)が連結軸422回りに90度ずれている。このように第1回転板421aと第2回転板421bとが90度ずれることで、導出部413に1球ずつ遊技球が送られることとなる。つまり、案内通路が1本しかない導出部413に対して遊技球が2つ同時に供給されることがなくなり、球詰まりの発生を抑止することができる。
図20等に示すように、払出検出スイッチ404は、遊技球が1球ずつ通過可能な大きさのスイッチ開口部404aを有し、そのスイッチ開口部404a内を通過する遊技球との磁気的相互作用により遊技球を検出する近接センサで構成されている。また、図16に示すように、払出検出スイッチ404は、導出部413に配設されている。上記のように、本実施形態では、導出部413において案内通路が1本にまとめられているため、1つの払出検出スイッチ404によって払出される全ての遊技球を検出することができる。尚、払出検出スイッチ404は必ずしも近接センサである必要がなく、フォトセンサ等別のセンサを採用してもよい。
また、図20、図21等に示すように、払出装置358は、払出検出スイッチ404及び払出モータ403と払出制御装置311との電気的な接続を中継する装置用中継基板406を備えている。より詳しくは、払出検出スイッチ404と装置用中継基板406とが検出用ハーネス431によって電気的に接続され、払出モータ403と装置用中継基板406とが駆動用ハーネス432によって電気的に接続されている。また、本実施形態では、制御用ハーネス433によって装置用中継基板406が払出制御装置311と電気的に接続されている(尚、実際には装置用中継基板406と払出制御装置311との間に払出中継基板381が介在する)。つまり、装置用中継基板406から出力される払出検出スイッチ404からの信号を払出制御装置311へ入力するための信号線と、払出制御装置311から出力される払出モータ403を制御するための信号を装置用中継基板406へ入力するための信号線とが制御用ハーネス433として1つにまとめられ、1つのコネクタによって装置用中継基板406に接続されている。
ちなみに、検出用ハーネス431は、払出検出スイッチ404及び装置用中継基板406の受側コネクタ435、437に接続される2つの差込側コネクタ431a,431bと2本の信号線とを備えるものであり、駆動用ハーネス432は、払出モータ403及び装置用中継基板406の受側コネクタ436、438に接続される2つの差込側コネクタ432a,432bと4本の信号線とを備えるものであり、制御用ハーネス433は、払出制御装置311の受側コネクタ(図示略)及び装置用中継基板406の受側コネクタ439に接続される2つの差込側コネクタ433a,433bと6本の信号線とを備えるものである。尚、信号線はいずれも同じ色である。
尚、本実施形態では、検出用ハーネス431及び受側コネクタ435、437が検出用電気的接続手段を構成し、駆動用ハーネス432及び受側コネクタ436、438が駆動用電気的接続手段を構成する。また、払出制御装置311と払出中継基板381とを電気的に接続するハーネス(制御用ハーネス)と、払出中継基板381と、払出中継基板381と装置用中継基板406とを電気的に接続するハーネス(制御用ハーネス433)と、装置用中継基板406と、検出用ハーネス431及び駆動用ハーネス432とによって電気的接続手段を構成する。さらに、払出検出スイッチ404の受側コネクタ435が検出用接続部を構成し、当該受側コネクタ435に接続される検出用ハーネス431の差込側コネクタ431aが電気的接続手段の接続端子部を構成する。加えて、払出モータ403の受側コネクタ436が駆動用接続部を構成し、当該受側コネクタ436に接続される駆動用ハーネス432の差込側コネクタ432aが電気的接続手段の接続端子部を構成する。また、制御用ハーネス433のうち装置用中継基板406に接続される差込側コネクタ433aが共通コネクタを構成する。
次に、球通路401を構成したり、払出モータ403や払出検出スイッチ404等を取着したりする払出装置358の本体構成について説明する。
図19、図20等に示すように、払出装置358は、背面側に払出モータ403が固定されるベース板441(ベース部材)と、ベース板441の前面側に固定されて球通路401の右壁部を構成する通路ブロック442と、ベース板441の左側に固定されて球通路401の左壁部等を構成するカバーパネル443と、通路ブロック442及びカバーパネル443の前側に固定されて球通路401の前壁部を構成する蓋部材444とを備えている。
図20等に示すように、ベース板441は、上下に長い略長方形状をなしており、黒色の導電性ポリカーボネート樹脂により構成されている。ベース板441のほぼ中央部には、払出モータ403の出力軸403bが挿通される軸孔451が形成されている。また、軸孔451を中心とした対称位置に一対のモータ取付穴452aが設けられており、払出モータ403が取付けられたモータケース403aのモータ孔452bと位置合わせされ、ねじ固定される。これにより、払出モータ403がベース板441の背面側に取付けられる。尚、モータ取付穴452aはベース板441の背面側に開口する有底状のボス穴として構成されており、ベース板441の前面側からではモータ孔452b及びモータ取付穴452aに螺着されたねじへの接触が不可能とされる。
ベース板441を背面側(図20側)から見て右下の部位には、ベース板441の背面から後方に突出形成され、装置用中継基板406の前辺部を嵌合する略枠状の係止部453が設けられている。また、ベース板441を背面側から見て左下の部位には、前後に貫通し、払出検出スイッチ404を挿通可能な挿通孔454が形成されている。本実施形態では、払出検出スイッチ404のうちスイッチ開口部404aが設けられた部位は、上記の通り導出部413に配置されるが、受側コネクタ435が設けられたコネクタ部は、挿通孔454を介してベース板441の背面側に位置することとなる。加えて、挿通孔454の下縁部には、後方に向けて延び、先端部が上方に折り返された鉤状の位置決め突起455が設けられている。当該位置決め突起455の先端部は、挿通孔454に挿通された払出検出スイッチ404の後端部と当接可能に構成されており、払出検出スイッチ404の後方への移動を規制している。
ベース板441の前面には、図16、図21に示すように、球通路401の送り部412及び導出部413の後壁部を構成する案内リブ456が突設されている。案内リブ456は、球通路401の下流側に向けて次第に突出長が大きくなっており、第2回転板421bから送り出された遊技球を導出部413の中央側へと案内する機能を有する。但し、案内リブ456には、前記挿通孔454に対応する部位において、払出検出スイッチ404を挿通させるための隙間部456aが形成されている(図21参照)。また、ベース板441の前面には、軸孔451を囲む円筒状の傾き防止部458が設けられ、傾き防止部458には、払出モータ403の出力軸403bに接続されたスプロケット402の伝達部423が挿入される。
通路ブロック442は、球通路401の導入部411の右壁部を構成する上部461と、送り部412の右壁部を構成する中間部462と、導出部413の右壁部を構成する下部463とを備え、黒色の導電性ポリカーボネート樹脂により構成されている。図20に示すように、上部461及び下部463の後縁部にはブロック留穴464aを有するねじ固定部464が設けられており、ベース板441に形成されたねじ孔464bと位置合わせして、ベース板441の背面側からねじ固定することにより、通路ブロック442がベース板441に取付けられる。加えて、通路ブロック442の取付けに際しては、通路ブロック442の上部461から後方に突出する凸部466aがベース板441に形成された係合孔466bに係合するとともに、通路ブロック442の下部463が、ベース板441の前面右下部に形成されたコ字状の支持突起467(図21参照)に嵌合することとなり、ベース板441と通路ブロック442との位置決めが行われる。尚、ねじ固定部464は、通路ブロック442の取付状態においてベース板441の前面と密接するため、球通路401側からでは、ねじ固定部464に螺着されるねじへの接触が不可能とされる。
また、導入部411において2本の案内通路を形成するべく、上部461の左面から延出し、導入部411を前後に二分する仕切り板468が設けられている。さらに、下部463には、右側に凹むガイド凹部469(図16、図20参照)が形成されており、かかるガイド凹部469の内側に払出検出スイッチ404の右辺部が挿通され、支持される。
図15、図17、図20等に示すように、カバーパネル443は、基本的に1つの板状体として構成されるが、機能的に見ると、ベース板441の前方に位置して球通路401の左壁部を構成する通路対応部471と、通路対応部471の後端部から前記ベース板441の背面側に固定された払出モータ403よりも後方にまで延びるカバー対応部472とに分けることができる。以下、カバーパネル443について説明するが、便宜上、カバー対応部472を先に説明し、後で通路対応部471を説明する。尚、カバーパネル443は、透明なポリカーボネート樹脂により構成されているため、払出装置358の左側面からカバーパネル443を介して球通路401の内部や払出モータ403等を視認することができる。
カバー対応部472は、垂線方向が左右方向となる平板状のパネル本体473と、パネル本体473の上縁部及び後縁部(図17では左側)から右側(図17では奥側)に延びる枠部474と、パネル本体473の下縁部に設けられた段差形成部475とを備えている。段差形成部475は、パネル本体473の下縁部から右側に延びる延出部475aと、延出部475aの先端から下方に延びる下板状部475bとを備える。尚、当該段差形成部475は、カバー対応部472のみならず、通路対応部471にも設けられている。
また、カバー対応部472と通路対応部471との境界部に沿ってパネル本体473から右側に延びる境界リブ477が設けられている。ベース板441とカバーパネル443との取付けに際しては、境界リブ477の後面をベース板441の前面と当接させるとともに、ベース板441の左辺部を、枠部474のうちパネル本体473上縁部に対応する部位と段差形成部475の延出部475aとの間に嵌合してパネル本体473の右面と当接させる(図17参照)。
さらに、ベース板441の左辺部から突出するベース凸部478bに対応する位置には、当該ベース凸部478bを挿入可能なスリット部478aが形成されている。また、パネル本体473には、スリット部478aの下方において開口部479aが設けられるとともに、該開口部479aの後縁部から前方に延び、先端部が右方(払出モータ403側)に折り返されたベース押え部479bが設けられている。加えて、境界リブ477には、ベース押さえ部479bの下方において、後方に突出する嵌合凸部480a(図20参照)が形成されている。
そして、ベース板441とカバーパネル443との取付けに際し、上記のように、境界リブ477の後面とベース板441の前面とを当接させることで、ベース押え部479bの先端部がベース板441の背面と当接して支持するとともに、嵌合凸部480aがベース板441に形成された係止孔480b(図21参照)に嵌合する。これにより、ベース板441とカバーパネル443との位置決めが確実に行われ、両者が位置ずれしてしまうといったおそれを防止している。
また、図20に示すように、カバー対応部472の上部には、右側に突出するボス481が設けられている。上記のようにカバーパネル443とベース板441との位置決めが行われた状態においては、ボス481の先端部が、ベース板441の背面に突設された取付片482に略当接するとともに、ボス481のボス穴481aが取付片482に形成されたパネル留孔482aと合致する。そして、パネル留孔482a及びボス穴481aを右側からねじ固定することで、カバーパネル443がベース板441に取付けられる。本実施形態では、カバーパネル443をベース板441に取付けるためのねじが取付手段を構成する。
加えて、パネル本体473には、後端縁の下部から右側に向けて延び、先端部が前側に折り返された支持鉤部483が設けられている。そして、カバーパネル443をベース板441に取付け、さらに、ベース板441の係止部453に装置用中継基板406の前辺部を嵌め込むと、段差形成部475の下板状部475bの右面に装置用中継基板406の裏面(受側コネクタ437,438,439が設けられていない方の面)が当接するとともに、支持鉤部483の先端部が装置用中継基板406の後端部を係止することとなる。さらに、下板状部475bには、装置用中継基板406の下面と略当接する位置において右方に突出する抜け止め突起484が設けられている。当該抜け止め突起484の存在により、装置用中継基板406の下方への移動が規制される。
通路対応部471は、導入部411の左壁部を構成する上板状部485と、送り部412に配設されたスプロケット402や導出部413の左方を覆う下板状部486とを備えている。上板状部485は、境界リブ477の先端部(右端部)から前方に延びており、下板状部486は、カバー対応部472のパネル本体473の前縁部から前方に延びている。また、通路対応部471は、上板状部485と下板状部486とを連結する連結板部487(図15、図17参照)と、上板状部485、連結板部487、及び下板状部486の前方を覆う前板部488(図21参照)と、下板状部486から右方に突出する台座部489(図16、図21参照)とを備えている。
上板状部485には、通路ブロック442の仕切り板468の先端部(左辺部)に突設された係止凸部490bを係止する係止孔490a(図17、図21参照)が形成されている。また、上記のように、下板状部486の下縁部には、パネル本体473の下縁部から一続きで形成されている段差形成部475(図17、図20参照)が設けられている。
図16に示すように、台座部489の先端部(右端部)は、スプロケット402の連結軸422の下側において、一対の回転板421a、421bの間に位置している。本実施形態では、台座部489(台座部489の右辺部)によって導出部413の左壁部が構成されており、一対の回転板421a、421bの間に遊技球が入り込まないようになっている。また、台座部489の右辺部には、左方に凹むガイド凹部492が形成されており、かかるガイド凹部492の内側に払出検出スイッチ404の左端部が挿通され、支持される。
尚、第2回転板421bは、どの停止角度であっても、連結軸422(出力軸403b)の延在方向でもある前後方向において、少なくとも一部が台座部489と重なる構成となっている。このため、ベース板441にカバーパネル443を取付けた状態では、スプロケット402を前方に引き抜こうとしても、第2回転板421bが台座部489に当接し、取外不可能となっている。
蓋部材444は、黒色の導電性ポリカーボネート樹脂により構成され、通路ブロック442の前辺部とカバーパネル443の前辺部との間の開口を閉塞する板状の部材である。図20に示すように、蓋部材444の背面には、通路ブロック442の前辺部やカバーパネル443の通路対応部471の前板部488に設けられた位置決め用の凸部や段差部に対応した凹部や段差部が形成されている。また、図19に示すように、蓋部材444には、通路ブロック442の下部463、カバーパネル443の前板部488、及び台座部489から前方に延びるボス部494にそれぞれ設けられた蓋穴494aに対応する位置に蓋固定用孔496が形成されている。そして、蓋穴494aと蓋固定用孔496とが位置合わせされ、前方からねじ固定されることで、蓋部材444が払出装置358(通路ブロック442及びカバーパネル443)に取付けられる。
尚、蓋部材444を取付けるためのねじの十字穴は、払出装置358の取付状態において、払出装置358と樹脂ベース38との間に挟まれているため、払出装置358を内枠12から取外さない限り、蓋部材444を取外すことはできなくなっている。
また、蓋部材444の背面には、ベース板441の案内リブ456と対向して、球通路401の送り部412及び導出部413の前壁部を構成する案内リブ497(図20参照)が突設されている。案内リブ497は、球通路401の下流側に向けて次第に突出長が大きくなっており、当該案内リブ497によって、第1回転板421aから送り出された遊技球が導出部413の中央側へと案内される。また、案内リブ497の下部にはコ字状の切欠き部497aが形成されており、払出検出スイッチ404の前端部が嵌め込まれて支持される。
加えて、図20等に示すように、スプロケット402の連結軸422には断面円形状の軸孔が形成されており、当該軸孔に対して円柱状のシャフト498aが挿通される。さらに、シャフト498aの前端部は、蓋部材444の背面側に形成された支持凹部499に挿入されて支持されるようになっている。これにより、スプロケット402の回転の安定化が図られている。尚、シャフト498aの径は、連結軸422の軸孔の内径よりも一回り小さく構成されており、シャフト498aは連結軸422の軸孔に挿通された状態において自由に回転可能となっている。また、シャフト498aは支持凹部499に直接支持されるわけではなく、シャフト498aの前端部に嵌められる円筒状のベアリング498bを介して支持される。これにより、支持凹部499がシャフト498aを直接支持する場合に比べ、支持凹部499の周壁部が削れにくくなる。また、スプロケット402とベアリング498bとの間にはワッシャー498cが介在しており、スプロケット402とベアリング498bとが擦れて削れてしまうといった事態を抑制している。
また、図15、図20等に示すように、払出装置358は、ベース板441の右上部及びカバーパネル443の段差形成部475において、当該払出装置358を内枠12(樹脂ベース38)に取付けるための取付部500を備えている。そして、ケースレール357の下方に設けられた設置スペースに嵌め込み、取付部500に形成された取付孔500aを内枠12側の孔部と位置合わせしてねじ固定することで、払出装置358が内枠12に取付けられる。これにより、タンク355から上皿19又は下皿15へと至る案内通路が連通される。
さて、本実施形態では、ベース板441の背面側に設けられた払出モータ403等の部材を覆うカバー部材701が設けられている。尚、本実施形態では、カバー部材701及びカバーパネル443(カバー対応部472)によりカバー手段を構成する。また、カバーパネル443が第1カバー部材を構成し、カバー部材701が第2カバー部材を構成する。
カバー部材701は、ベース板441の背面と対向する縦板部703と、縦板部703の上縁部から前方に延びる上板部704と、縦板部703の下縁部から前方に延びる下板部705と、縦板部703の右縁部から前方に延びる右板部706とからなり、前方及び左方に開口する箱状をなしている。また、カバー部材701は、透明な合成樹脂(例えばポリカーボネート)により構成されており、カバー部材701の内部に収容される払出モータ403等の各部材を外部から視認可能となっている。
縦板部703は、左端縁から左方(カバーパネル443側)に突出する上下一対の係止爪711aを備えている(図20参照)。当該係止爪711aは、取付けに際し、カバーパネル443のパネル本体473の後端部に形成された上下一対の係止孔711bにそれぞれ係止される。また、カバー部材701の取付けに際しては、右板部706に設けられた留め孔712aに対して、ベース板441から後方に突出し、先端が右方に折り返された留め部712bの先端部が係止される。このように、係止爪711aを係止孔711bに係止するとともに、留め部712bを留め孔712aに係止することで、カバーパネル443及びベース板441に対してカバー部材701が位置決めされる。尚、カバーパネル443には、一対の係止孔711bの間において、縦板部703の前面を支持する支持凸部713が設けられているため、縦板部703が前方に押されることに起因して、係止爪711aが破損したり、縦板部703とカバーパネル443との間に隙間が形成されてしまったりするといった事態を抑止することができる。
さらに、図20に示すように、縦板部703は、縦板部703の背面側からねじを挿入可能な有底状のカバー取付穴部721を有しており、その底面にはねじ孔(図示略)が形成されている。そして、上記のように、カバーパネル443及びベース板441に対してカバー部材701が位置決めされた状態においては、カバー取付穴部721の底面が、ベース板441から後方に突設されたカバー取付ボス722の先端部と略当接するとともに、カバー取付ボス722のボス穴と、カバー取付穴部721のねじ孔とが合致するようになっている。そして、縦板部703の背面側からカバー取付穴部721にねじを挿入し、ねじ孔及びボス穴をねじ固定することで、カバー部材701がベース板441に取付けられる。
特に、本実施形態では、カバー部材701の取付けには、ドライバー(工具)の先端と係合する十字穴732(工具係合部)を取り除くことのできる破断ねじ731(固定手段)を使用する。より詳しくは、破断ねじ731は、ねじ山(図示略)が形成されたねじ本体733と、ねじ本体733の一端部に設けられた拡径部734とを備えている。拡径部734には、先端部において十字穴732が形成されるとともに、破断ねじ731の長手方向における中間部位において縮径部(くびれ部735)が形成されている。そして、破断ねじ731をカバー取付ボス722のボス穴とカバー取付穴部721のねじ孔とに螺着した後、さらに十字穴732に対して力を加えることによって、拡径部734のくびれ部735を破断し、十字穴732が形成された先端部位736を取り除く。
また、取付状態にある破断ねじ731は、カバー取付穴部721の内側に位置して、カバー部材701の縦板部703の背面よりもカバー領域内側に没入した状態となる。さらに、破断ねじ731の拡径部734の外径とカバー取付穴部721の内径とがほぼ同じになっており、拡径部734とカバー取付穴部721の内周壁部との間にはほとんど隙間がなくなっている。
カバー部材701の取付後においては、カバー部材701の左端縁とカバーパネル443の枠部474の先端部とが突き合わされ、カバー部材701の前端縁とベース板441の周縁部とが突き合わされる。これにより、カバー部材701とカバーパネル443及びベース板441との間にはほとんど隙間がなくなる。従って、ベース板441の背面側であって、カバー部材701及びカバーパネル443(カバー対応部472)によって覆われた領域(カバー領域)に収容された各部材への接触が困難又は不可能とされる。但し、図18に示すように、カバー部材701の下板部705の右辺部と、カバーパネル443との間には、装置用中継基板406の受側コネクタ439に対して、払出制御装置311と電気的に接続された制御用ハーネス433の差込側コネクタ433bを接続するための接続用開口部741が形成されている。尚、カバー領域には、払出モータ403、払出検出スイッチ404のコネクタ部(受側コネクタ435が設けられた部位)、駆動用ハーネス432、検出用ハーネス431、及び装置用中継基板406が収容されている。また、カバーパネル443をベース板441に取付けるためのねじ(十字穴)や、通路ブロック442をベース板441に取付けるためのねじ(十字穴)についてもカバー領域に収容されている。
加えて、縦板部703の前面には、装置用中継基板406の上辺部及び右面に当接可能な位置においてずれ止め凸部(図示略)が設けられている。これにより、装置用中継基板406が上方や右方に傾いてしまうといった事態を防止している。また、カバー部材701には放熱用の孔部が複数形成されているが、これらの孔部はいずれも小さく、当該孔部を介して、カバー領域に配設された各部材に対して何らかの操作を行うことは事実上不可能である。
以上詳述したように、本実施形態では、払出装置358には、当該ベース板441の背面側を覆うカバー部材701が破断ねじ731によって取付けられている。破断ねじ731は、カバー取付ボス722のボス穴とカバー取付穴部721のねじ孔とに破断ねじ731を螺着した後、十字穴732が形成された先端部位736が破断ねじ731から除去されるため、十字穴732にドライバーを係合させて破断ねじ731を回すことが不可能となる。さらに、破断ねじ731はカバー部材701の縦板部703の背面よりも没入し、カバー取付穴部721と破断ねじ731の拡径部734との間にはほとんど隙間がないことから、破断ねじ731をプライヤー等で挟んで回転させることも不可能である。従って、破断ねじ731が取外せなくなるため、カバー部材701は、払出装置358に対して取外不可能に取付けられている。
さらに、カバーパネル443をベース板441に取付けるためのねじは、カバー部材701が取付けられることで、カバー領域に収容されることとなるため、カバーパネル443についても取外不可能となっている。
従って、カバー領域に収容された払出モータ403、払出検出スイッチ404のコネクタ部(受側コネクタ435が設けられた部位)、検出用ハーネス431、駆動用ハーネス432、及び装置用中継基板406のうち検出用ハーネス431及び駆動用ハーネス432と接続される受側コネクタ437、438を接触困難又は不可能とすることができる。結果として、不正に前記各種部材への接触を図り、払出装置358を誤作動させる等して、不当に遊技球を獲得したり、払出される遊技球を不当に削減したりするといった不正行為の抑制を図ることができる。
また、カバー部材701やカバーパネル443を取外すためにはカバー部材701やカバーパネル443やベース板441を破断等する必要がある。この場合、元の形態に完全に修復することは不可能であり、痕跡が残る。従って、カバー部材701やカバーパネル443が不正に取外されたことを把握でき、このことによって、カバー部材701やカバーパネル443を不正に取外し、払出装置358を不正改造するといった行為を抑制することができる。
尚、本実施形態では、装置用中継基板406から出力される払出検出スイッチ404からの信号を払出制御装置311へ入力するための信号線と、払出制御装置311から出力される払出モータ403を制御するための信号を装置用中継基板406へ入力するための信号線とが1つの共通コネクタ(制御用ハーネス433の差込側コネクタ433b)によって装置用中継基板406に接続されている。このため、当該差込側コネクタ433bが抜けると、払出検出スイッチ404から払出制御装置311へ送られる信号だけでなく、払出制御装置311から払出モータ403に送られる信号も断たれることになる。つまり、払出モータ403の信号線を接続したまま、払出検出スイッチ404の信号線を抜くことで、払出検出スイッチ404による遊技球の検出(カウント)を回避しつつ、際限なく払出モータ403を駆動させて永続的に遊技球を払出させるといった不正行為を抑制することができる。
さらに、制御用ハーネス433の信号線や、当該制御用ハーネス433の差込側コネクタ433bに接続される装置用中継基盤406の受側コネクタ439に関しては、どれが払出検出スイッチ404に対応する信号線又はピンコンタクトであって、どれが払出モータ403に対応する信号線又はピンコンタクトであるといった区別がつきにくい。従って、カバー部材701の取付後においても、接続用開口部741を介して、制御用ハーネス433を装置用中継基板406に着脱可能な構成であっても、装置用中継基板406と払出制御装置311との間に不正な基板を介在させる等の不正行為を抑制することができる。尚、払出制御装置311及び主制御装置261は、所定の痕跡を残さなければ開封することのできない基板ボックス263、315に収容されているため、払出制御装置311及び主制御装置261を不正な基板に交換するといった行為を防止することができる。従って、不正対策が払出装置358から払出制御装置311ひいては主制御装置261にまで施されることとなり、払出に関する不正行為をより確実に抑制することができる。
加えて、制御用ハーネス433を装置用中継基盤406に接続するだけで、払出制御装置311と払出検出スイッチ404及び払出モータ403とを電気的に接続することができるため、接続作業性の向上を図ることもできる。
また、本実施形態では、蓋部材444は、カバー部材701を払出装置358に取付けた後においても、払出装置358に対して着脱可能である。このため、球通路401を開放し、球通路401における球詰まりを解消したり、スプロケット402のメンテナンスを行ったりすることができる。
一方、カバー部材701及びカバーパネル443によって覆われるカバー領域については、ベース板441によって球通路401から隔離されているため、蓋部材44を開けたとしても、球通路401側からカバー領域内への接触を図ることは不可能である。従って、カバー領域に配設された各種部材を不正に操作すること等によって行われる払出しに関する不正行為を抑制するといった作用効果が確実に奏される。
また、カバー部材701を取外不可能に取付けるための手段として破断ねじ731を採用していることにより、カバー部材701を取外す際には、カバー部材701やカバーパネル443等に比較的目立つ痕跡が形成されやすい。このため、カバー部材701が取外されたことを比較的容易に発見することができる。さらに、カバー部材701を取付けるために一般的なねじを採用するとともに、カバー取付穴部721に接着剤を充填したり、ねじの十字穴にキャップを被せたりするような場合に比べ、作業性の向上が図られる。
さらに、ベース板441の背面側を覆う部材(カバー手段)が、カバー部材701とカバーパネル443との2つのパーツで構成されている。これにより、金型構造の複雑化等を防止することができる。また、カバーパネル443をベース板441に取付けるためのねじ(十字穴を含む)はカバー領域に配置されることで接触不可能とされることから、当該ねじを取外不可能とするべく、カバー部材701を取付けるための破断ねじ731のようにねじ自身を複雑な構成にする必要がない。このため、一般的なねじを採用することができ、作業性の向上やコストの削減等が図られる。さらに、リサイクルや廃棄の際には、カバー部材701を払出装置358から離脱させることができれば、普通のねじで固定されているカバーパネル443を比較的容易に取外すことができるため、カバーパネル443が破断ねじで固定される場合に比べ分別作業性の向上が図られる。尚、通路ブロック442をベース板441に取付けるためのねじについてもカバー領域に配置され、球通路401側からでは接触不可能に構成されている。これにより、例えば、通路ブロック442を取外し、スプロケット402が回動しなくても遊技球が下流側へ流下してしまうような遊技球の経路を形成するといった不正行為等を抑止することができる。
尚、カバー部材701やスプロケット402の取外しができないため、払出モータ403やスプロケット402が故障した場合には、払出装置358ごと取替えることとなる。本実施形態では、払出装置358はユニット化され、内枠12(樹脂ベース38)に着脱可能に取付けられているため、比較的簡単に交換作業を行うことができる。
加えて、カバー部材701が透明な素材により構成されることで、カバー部材701等が破壊される等して開封されたことや、カバー領域内部において不正が行われたこと等を比較的容易に発見することができる。
次に、パチンコ機10の電気的構成について説明する。図7は、本パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。パチンコ機10の主制御装置261(主基板)には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM503と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路等が内蔵されている。
RAM503は、CPU501の内部レジスタの内容やCPU501により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種フラグ及びカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)と、バックアップエリア503aとを備えている。
また、RAM503は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、スタックエリア、作業エリア及びバックアップエリア503aに記憶されるすべてのデータがバックアップされるようになっている。
バックアップエリア503aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくエリアである。バックアップエリア503aへの書き込みは、通常処理(図9参照)によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア503aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下同様)のメイン処理(図8参照)において実行される。なお、CPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源断時に、後述する停電監視回路542から出力される停電信号SK1が入力されるように構成されており、停電の発生により、停電処理(NMI割込み処理)が即座に実行される。
なお、少なくともスタックエリアとバックアップエリア503aとに記憶されるデータをバックアップすれば、必ずしもすべてのエリアに記憶されるデータをバックアップする必要はない。例えば、スタックエリアとバックアップエリア503aとに記憶されるデータをバックアップし、作業エリアに記憶されるデータをバックアップしない構成としてもよい。
かかるROM502及びRAM503を内蔵したCPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、後述するRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、サブ制御装置262、特別表示装置43、普通図柄表示装置41、その他図示しないスイッチ等が接続されている。この構成により、上述した特別表示装置43および普通図柄表示装置41は、主制御装置261により直接的に制御される。一方、装飾図柄表示装置42は、サブ制御装置262を介して制御される。
サブ制御装置262(サブ制御基板)は、演算装置であるCPU551、該CPU551により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM552、該ROM552内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM553、入出力ポート554、バスライン555を備えるとともに、その他にも図示しない割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路等を備えている。RAM553は、CPU551による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。
入出力ポート554には、バスライン555を介してCPU551、ROM552、RAM553が接続されるとともに、表示制御装置45が接続されている。さらに、入出力ポート554には、スピーカSP、各種電飾部及びランプ102〜104が接続されている。
サブ制御装置262のCPU551は、例えば主制御装置261から送信される指令信号(例えば変動パターンコマンド)に基づいて表示制御装置45に表示制御を実行させ、装飾図柄表示装置42に表示させる。なお、上記のように、本実施形態では、主制御装置261が制御する特別表示装置43にて大当たりか否かを表示するようになっており、サブ制御装置262が制御する装飾図柄表示装置42では、前記特別表示装置43の表示に合わせた表示が行われる。
また、払出制御装置311は、払出モータ403を駆動制御し、賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
払出制御装置311のRAM513は、主制御装置261のRAM503と同様に、CPU511の内部レジスタの内容やCPU511により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種フラグ及びカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)と、バックアップエリア513aとを備えている。
RAM513は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、スタックエリア、作業エリア及びバックアップエリア513aに記憶されるすべてのデータがバックアップされるようになっている。なお、少なくともスタックエリアとバックアップエリア513aとに記憶されるデータをバックアップすれば、必ずしもすべてのエリアに記憶されるデータをバックアップする必要はない。例えば、スタックエリアとバックアップエリア513aとに記憶されるデータをバックアップし、作業エリアに記憶されるデータをバックアップしない構成としてもよい。
バックアップエリア513aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくエリアである。このバックアップエリア513aへの書き込みは、メイン処理(図11参照)によって電源切断時に実行され、バックアップエリア513aに書き込まれた各値の復帰は電源入時のメイン処理において実行される。なお、主制御装置261のCPU501と同様、CPU511のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路542から停電信号SK1が入力されるように構成されており、その停電信号SK1がCPU511へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込み処理が即座に実行される。
作業エリアには、払出制御装置311による賞球の払出許可が設定される払出許可フラグと、主制御装置261から送信されたコマンドを受信した場合に設定されるコマンド受信フラグと、主制御装置261から送信されたコマンドが記憶されるコマンドバッファとが設けられている。また、作業エリアには、払出すべき遊技球の球数を記憶する払出個数記憶エリアが設けられている。
払出許可フラグは、賞球の払出許可を設定するフラグであり、主制御装置261から賞球の払出を許可する特定のコマンドが送信され、その特定のコマンドを受信した場合にオンされ、初期設定の処理又は電源遮断前へ復帰された場合にオフされる。本実施形態では、特定のコマンドは、払出制御装置311のRAM513の初期処理の指示をする払出初期化コマンドと、賞球の払出を指示する賞球コマンドと、主制御装置261が復電された場合に送信される払出復帰コマンドの3つである。
コマンド受信フラグは、払出制御装置311がコマンドを受信したか否かを確認するフラグであり、いずれかのコマンドを受信した場合にオンされ、払出許可フラグと同様に、初期設定の処理又は電源遮断前へ復帰された場合にオフされるとともに、後述するコマンド判定処理(図13参照)により受信されたコマンドの判定が行われた場合にオフされる。
コマンドバッファは、主制御装置261から送信されるコマンドを一時的に記憶するリングバッファで構成されている。リングバッファは所定の記憶領域を有しており、その記憶領域の始端から終端に至るまで規則性をもってコマンドが記憶され、全ての記憶領域にコマンドが記憶された場合には、記憶領域の始端に戻りコマンドが更新されるよう構成されている。よって、コマンドが記憶された場合及びコマンドが読み出された場合に、コマンドバッファにおける記憶ポインタ及び読出ポインタが更新され、その各ポインタに基づきコマンドの記憶と読み出しとが行われる。
かかるROM512及びRAM513を内蔵したCPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、RAM消去スイッチ回路543、主制御装置261、発射制御装置312、払出モータ403、払出検出スイッチ404がそれぞれ接続されている。尚、図7では払出中継基板381の図示を省略している。
発射制御装置312は、発射装置70による遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射装置70は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311から発射許可信号が出力されていること、遊技者がハンドル18をタッチしていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させる発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射装置70が駆動され、ハンドル18の操作量に応じた強度で遊技球が発射される。
表示制御装置45は、サブ制御装置262からの指示に従い、装飾図柄表示装置42における装飾図柄の変動表示を実行するものである。この表示制御装置45は、CPU521と、プログラムROM522と、ワークRAM523と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、ビデオディスプレイプロセッサ(VDP)526と、入力ポート527と、出力ポート529と、バスライン530,531とを備えている。入力ポート527にはサブ制御装置262の入出力ポート554が接続されている。また、入力ポート527には、CPU521、プログラムROM522、ワークRAM523、画像コントローラ526が接続されている。また、VDP526にはバスライン531を介して出力ポート529が接続されており、その出力ポート529には液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42が接続されている。
表示制御装置45のCPU521は、サブ制御装置262から送信される表示コマンドを入力ポート527を介して受信するとともに、受信コマンドを解析し又は受信コマンドに基づき所定の演算処理を行ってVDP526の制御(具体的にはVDP526に対する内部コマンドの生成)を実施する。これにより、装飾図柄表示装置42における表示制御を行なう。
プログラムROM522は、そのCPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するメモリであり、ワークRAM523は、CPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。
ビデオRAM524は、装飾図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するメモリであり、このビデオRAM524の内容を書き替えることにより、装飾図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は、装飾図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するメモリである。
VDP526は、装飾図柄表示装置42に組み込まれたLCDドライバ(液晶駆動回路)を直接操作する一種の描画回路である。VDP526はICチップ化されているため「描画チップ」とも呼ばれ、その実体は、描画処理専用のファームウェアを内蔵したマイコンチップとでも言うべきものである。VDP526は、CPU521、ビデオRAM524等のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在するとともに、ビデオRAM524に記憶される表示データを所定のタイミングで読み出して装飾図柄表示装置42に表示させる。
また、電源装置313は、パチンコ機10の各部に電力を供給する電源部541と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、RAM消去スイッチ323に接続されてなるRAM消去スイッチ回路543とを備えている。電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動する+12V電源、ロジック用の+5V電源、RAMバックアップ用のバックアップ電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源及びバックアップ電源を主制御装置261や払出制御装置311等に対して供給する。なお、発射制御装置312に対しては払出制御装置311を介して動作電源(+12V電源、+5V電源等)が供給される。
停電監視回路542は、停電等の発生による電源断時に、主制御装置261のCPU501及び払出制御装置311のCPU511の各NMI端子へ停電信号SK1を出力する回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号SK1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。この停電信号SK1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、停電時処理(NMI割込み処理)を実行する。
なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、かかる停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチ323のスイッチ信号を取り込み、そのスイッチ323の状態に応じて主制御装置261のRAM503及び払出制御装置311のRAM513のバックアップデータをクリアする回路である。RAM消去スイッチ323が押下された際、RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去信号SK2を主制御装置261及び払出制御装置311に出力する。RAM消去スイッチ323が押下された状態でパチンコ機10の電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、主制御装置261及び払出制御装置311においてそれぞれのRAM503,513のデータがクリアされる。
次に、主制御装置261内のCPU501により実行されるメイン処理の流れを図8のフローチャートを参照しながら説明する。このメイン処理は電源投入時のリセットに伴い起動される。
先ずはじめに、ステップS101では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、サブ側の制御装置(サブ制御装置262,払出制御装置311等)が動作可能な状態になるのを待つために例えば1秒程度、ウェイト処理を実行する。続くステップS103では、RAMアクセスを許可する。
その後、CPU501内のRAM503に関してデータバックアップの処理を実行する。つまり、ステップS104では、電源装置313に設けたRAM消去スイッチ323が押下(ON)されているか否かを判別し、押下されていれば、バックアップデータをクリア(消去)するべく、ステップS113へ移行する。一方、RAM消去スイッチ323が押下されていなければ、続くステップS105で、RAM503のバックアップエリア503aに電源断の発生情報が設定されているか否かを判別する。ここで、設定されていなければ、バックアップデータは記憶されていないので、この場合もステップS113へ移行する。バックアップエリア503aに電源断の発生情報が設定されていれば、ステップS106でRAM判定値を算出し、続くステップS107では、そのRAM判定値が電源断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわちバックアップの有効性を判別する。ここで算出したRAM判定値が電源断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、この場合もステップS113へ移行する。
ステップS113の処理では、サブ側の制御装置となるサブ制御装置262及び払出制御装置311等を初期化するために、初期化コマンドを送信する。その後、RAMの初期化処理(ステップS114等)に移行する。なお、RAM判定値は、例えばRAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM503の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断することも可能である。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時に初期状態に戻したい場合にはRAM消去スイッチ323を押しながら電源が投入される。従って、RAM消去スイッチ323がONされていれば、RAMの初期化処理(ステップS114等)に移行する。また、電源断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様にRAM503の初期化処理(ステップS114等)に移行する。つまり、ステップS114ではRAM503の使用領域を0にクリアし、続くステップS115ではRAM503の初期値を設定する。その後、ステップS112で割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。
一方、RAM消去スイッチ323が押されていない場合(ステップS104:NO)には、電源断の発生情報が設定されていること、及びRAM判定値(チェックサム値等)が正常であることを条件に、復電時の処理(電源断復旧時の処理)を実行する。つまり、ステップS108では、電源断前のスタックポインタを復帰させ、ステップS109では、電源断の発生情報をクリアする。ステップS110では、サブ側の制御装置を電源断時の遊技状態に復帰させるコマンドを送信し、ステップS111では、使用レジスタをRAM503のバックアップエリア503aから復帰させる。その後、ステップS112で割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。
次に、通常処理の流れを図9のフローチャートを参照しながら説明する。この通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、ステップS201〜S210の処理が4msec周期の定期処理として実行され、その残余時間でステップS211,ステップS212のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
先ずステップS201では、前回の処理で更新された特別表示装置43や第1契機対応ユニット33等の設定内容に基づいた制御信号を各装置に送信したり、コマンド等の出力データをサブ側の各制御装置に送信する外部出力処理を実行する。
例えば、装飾図柄表示装置42による装飾図柄の変動表示に際して、変動パターンコマンド、図柄コマンド等をサブ制御装置262に送信する。つまり、変動パターンコマンドや図柄コマンドは、特別表示装置43にて行われる表示に合わせた表示演出を装飾図柄表示装置42にて行わせるためにサブ制御装置262に出力されるコマンドであり、本実施形態における指令情報に相当する。従って、この外部出力処理の機能が本実施形態における指令情報出力手段を構成する。これに対し、変動パターンコマンド、図柄コマンド等を入力したサブ制御装置262は、かかる各種コマンドに基づいて、装飾図柄表示装置42の変動態様を決定し、該変動態様を装飾図柄表示装置42において表示(変動表示)するように表示制御装置45に対し指示を出す。
また、サブ制御装置262は、図柄コマンドに基づき停止図柄(停止図柄の組合わせ)を決定して、変動時間経過後に表示する。図柄コマンドは、サブ制御装置262に停止図柄を決定させるコマンドであり、確変図柄の組合わせ、通常図柄の組合わせ、前後外れ図柄の組合わせ、前後外れ以外図柄の組合わせ、完全外れ図柄の組合わせという5つの区分を指定するものである。一方、サブ制御装置262には、これらのコマンドと停止図柄との関係がテーブルで記憶されている。そして、サブ制御装置262は、図柄コマンドに対応する停止図柄を表示する。
図9の説明に戻り、ステップS202では、変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する。より具体的には、他のカウンタと同様に、変動種別カウンタCS1,CS2を1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が上限値(本実施形態では198,240)に達した際、それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1,CS2の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。
続くステップS203では、払出制御装置311より受信した賞球計数信号を読み込む。次に、ステップS204では、払出制御装置311より受信した払出異常信号を読み込む。
その後、ステップS205では、第1表示制御処理を実行する。この処理では、特別表示装置43においてどのような制御を行うか当該特別表示装置43の制御内容の設定が行われると共に、大当たり判定や装飾図柄表示装置42における装飾図柄の変動パターン(演出パターン)の設定などが行われる。この第1表示制御処理の詳細は後述する。装飾図柄の変動パターン(演出パターン)が本実施形態における表示演出の演出態様に相当する。
ステップS206では、可変入賞装置制御処理を実行する。この処理では、可変入賞装置32においてどのような制御を行うか当該可変入賞装置32の制御内容の設定が行われる。これにより、大当たり状態(特別遊技状態)となった場合には、可変入賞装置32の大入賞口の開閉処理が所定ラウンド数繰り返し実行される。可変入賞装置制御処理の詳細は後述する。この可変入賞装置制御処理の機能により本実施形態における特別遊技状態制御手段が構成される。
ステップS207では、第2表示制御処理を実行する。この処理では、普通図柄表示装置41おいてどのような制御を行うか当該普通図柄表示装置41の制御内容の設定などが行われる。この第2表示制御処理の詳細は後述する。
ステップS208では、契機対応ユニット制御処理を実行する。この処理では、第1契機対応ユニット33においてどのような制御を行うか当該第1契機対応ユニット33の制御内容の設定が行われる。
その後は、ステップS209において、RAM503のバックアップエリア503aに電源断の発生情報が設定されているか否かを判別する。ここでバックアップエリア503aに電源断の発生情報が設定されていなければ、ステップS210で、次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施形態では4msec)が経過したか否かを判別する。そして、既に所定時間が経過していれば、ステップS201へ移行し、上記ステップS201以降の処理を繰り返し実行する。
一方、前回の通常処理の開始から未だに所定時間が経過していなければ、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINI及び変動種別カウンタCS1,CS2の更新を繰り返し実行する(ステップS211,ステップS212)。
つまり、ステップS211では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1インクリメントすると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では676)に達した際0にクリアする。
また、ステップS212では、変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する(前記ステップS202と同様)。具体的には、変動種別カウンタCS1,CS2を1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施形態では198,240)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1,CS2の変更値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。
ここで、ステップS201〜S209の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定ではなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して乱数初期値カウンタCINIの更新を繰り返し実行することにより、乱数初期値カウンタCINI(すなわち大当たり乱数カウンタC1の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCS1,CS2についてもランダムに更新することができる。
さて、RAM503のバックアップエリア503aに電源断の発生情報が設定されていれば(ステップS209:YES)、電源が遮断されたことになるので、電源断時の停電処理としてステップS213以降の処理が行われる。停電処理は、まずステップS213において各割込み処理の発生を禁止し、ステップS214において、CPU501が使用している各レジスタの内容をスタックエリアに退避し、ステップS215において、スタックポインタの値をバックアップエリア503aに記憶する。その後、ステップS216において、電源が遮断されたことを示す電源断通知コマンドを他の制御装置(払出制御装置311等)に対して送信する。そして、ステップS217でRAM判定値を算出し、バックアップエリア503aに保存する。RAM判定値は、例えば、RAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。その後、ステップS218でRAMアクセスを禁止して、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。
次に、払出制御装置311内のCPU511により実行される払出制御について説明する。説明の便宜上、まず図10を参照して受信割込み処理を説明し、その後図11を参照してメイン処理を説明する。
図10は、払出制御装置311により実行される受信割込み処理を示すフローチャートである。受信割込み処理は、主制御装置261から送信されるコマンドを払出制御装置311が受信した場合に割り込んで実行される処理である。主制御装置261から送信されたコマンドが受信されたことを払出制御装置311が確認すると、払出制御装置311内のCPU511により実行される他の処理を一端待機させ、受信割込み処理が実行される。受信割込み処理が実行されると、まずステップS3001において主制御装置261から送信されたコマンドをRAM513のコマンドバッファに記憶し、ステップS3002において主制御装置261からコマンドが送信されたことを記憶するためにコマンド受信フラグをオンして、本受信割込み処理を終了する。上述したように、コマンドがコマンドバッファに記憶される場合には、記憶ポインタが参照されて所定の記憶領域に記憶されると共に、次に受信したコマンドを次の記憶領域に記憶させるために記憶ポインタが更新される。
なお、本実施形態では、主制御装置261から送信されるコマンドの受信処理は、そのコマンドが受信されたときに実行される割込処理で行われるものとしたが、例えば、図12に示したタイマ割込処理において、コマンド判定処理(ステップS3201)が行われる前に、コマンドが受信されたか否かを確認し、コマンドが受信されている場合にはそのコマンドをRAM513のコマンドバッファへ記憶してコマンド受信フラグをオンするとともに、コマンドが受信されていない場合にはコマンド判定処理へ移行するものとしてもよい。かかる場合には、所定間隔毎に入出力ポートのコマンド入力に対応するポートを確認することで、コマンドが受信されたか否かを確認する。
次に、払出制御装置311のメイン処理について図11を参照して説明する。図11は、払出制御装置311のメイン処理を示すフローチャートであり、このメイン処理は電源投入時のリセットに伴い起動される。
先ず始めに、ステップS3101では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、割込みモードを設定する。そして、ステップS3103でRAMアクセスを許可すると共に、ステップS3104で外部割込みベクタの設定を行う。
その後、ステップS3106では、RAM513のバックアップエリア513aに電源断の発生情報が設定されているか否かを判別する。そして、バックアップエリア513aに電源断の発生情報が設定されていれば、ステップS3107でRAM判定値を算出し、続くステップS3108で、そのRAM判定値が電源断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわちバックアップの有効性を判別する。RAM判定値は、例えばRAM513の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM513の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断することも可能である。
ステップS3106で電源断の発生情報が設定されていない場合や、ステップS3108でRAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合には、ステップS3115以降のRAM513の初期化処理へ移行する。
ステップS3115ではRAM513の全領域を0にクリアし、ステップS3116ではRAM513の初期値を設定する。その後、ステップS3117ではCPU周辺デバイスの初期設定を行い、ステップS3114へ移行して割込みを許可する。
一方、ステップS3106で電源断の発生情報が設定されていること、及びステップS3108でRAM判定値(チェックサム値等)が正常であることを条件に、復電時の処理(電源断復旧時の処理)を実行する。つまり、ステップS3109で電源断前のスタックポインタを復帰させ、ステップS3110で電源断の発生情報をクリアし、ステップS3111で賞球の払出を許可する払出許可フラグをクリアする。また、ステップS3112では、CPU周辺デバイスの初期設定を行い、ステップS3113では、使用レジスタをRAM513のバックアップエリア513aから復帰させる。さらに、ステップS3114では、割込みを許可する。
ステップS3114で割込みが許可された後は、ステップS3122の処理において、バックアップエリア513aに電源断の発生情報が設定されているか否かを判別する。ここで、電源断の発生情報が設定されていれば、電源が遮断されたことになるので、電源断時の停電処理としてステップS3123以降の処理が行われる。停電処理は、まずステップS3123において各割込み処理の発生を禁止し、次のステップS3124において後述するコマンド判定処理を実行する。その後、ステップS3125でCPU511が使用している各レジスタの内容をスタックエリアに退避し、ステップS3126でスタックポインタの値をバックアップエリア513aに記憶し、ステップS3127でRAM判定値を算出してバックアップエリア513aに保存し、ステップS3128でRAMアクセスを禁止して、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。ここで、RAM判定値は、例えば、RAM513のバックアップされるスタックエリア及び作業エリアにおけるチェックサム値である。
なお、ステップS3122の処理は、電源投入時に行われる処理の終了後に電源断の発生情報を確認しているので、各処理が途中の場合と比較してRAM513のバックアップエリア513aに記憶するデータ量が少なくなり、容易に記憶することができる。また、電源遮断前の状態に復帰する場合には、バックアップエリア513aに記憶されているデータ量が少ないので、容易に復帰させることができ、払出制御装置311の処理の負担を軽減することができる。
次に、図12のフローチャートを参照して、払出制御装置311のタイマ割込み処理を説明する。このタイマ割込み処理は、定期的に(本実施形態では2msec周期で)起動される。
タイマ割込み処理では、まず、主制御装置261からのコマンドを取得し、そのコマンドの判定処理を行う(ステップS3201)。このコマンド判定処理について図13を参照して以下に説明する。
図13は、払出制御装置311により行われるコマンド判定処理を示すフローチャートである。コマンド判定処理(ステップS3124,S3201)では、まず、ステップS3301においてコマンド受信フラグがオンされているか否かを判別する。コマンド受信フラグは、上述した受信割込み処理(図10参照)において主制御装置261から送信されたコマンドを受信したときにオンされる。
ステップS3301においてコマンド受信フラグがオフと判別されれば、新たなコマンドを主制御装置261から受信していないので、そのまま本処理を終了する。一方、ステップS3301でコマンド受信フラグがオンと判別されれば、ステップS3302において、その受信したコマンドをRAM513から読み出し、ステップS3303においてコマンド受信フラグをオフする。ステップS3303においてコマンド受信フラグをオフすることにより、新たにコマンドが受信されるまで、ステップS3302〜ステップS3312の処理をスキップできるので、払出制御装置311の制御を軽減することもできる。
ステップS3304〜ステップS3306の処理でRAM513から読み出されたコマンドの種類が判別される。ステップS3304では主制御装置261から送信されたコマンドが払出初期化コマンドであるか否かが判別され、ステップS3305では払出復帰コマンドであるか否かが判別され、ステップS3306では賞球コマンド又は貸球コマンドであるか否かが判別される。
主制御装置261から送信されたコマンドが払出初期化コマンドであれば、ステップS3307で既に払出許可フラグがオンされているか否かが判別され、払出許可フラグがオフされていれば、電源投入時に主制御装置261からRAM513の初期化が指示されていることになるので、ステップS3308でRAM513のスタックエリア以外となる作業領域(エリア)を0にクリアし、ステップS3309でRAM513の初期値を設定する。その後、ステップS3312で払出許可フラグをオンして、賞球の払出許可が設定される。
上述したように、主制御装置261は、払出初期化コマンドを送信した後に、RAM503の初期化処理を行っており、払出制御装置311は、払出初期化コマンドを受信した後に、RAM513の初期化処理を行っているので、RAM503が初期化されるタイミングと、RAM513が初期化されるタイミングとが略同時期となる。よって、初期化のタイミングがずれることにより、主制御装置261から送信されるコマンドを払出制御装置311が受信したとしても、RAM513が初期化されてしまい、受信したコマンドに対応する制御が行えない等の弊害の発生を防止することができる。また、RAM513が初期化された後に、払出許可フラグをオンするので、賞球の払出許可を確実に設定することができる。
一方、ステップS3307で既に払出許可フラグがオンされていれば、RAM513の作業領域のクリアと、RAM513の初期化処理とを行わずに、本コマンド判定処理を終了する。すなわちステップS3307の処理は、払出許可フラグが設定された状態でRAM513が初期化されることを禁止している。なお、払出初期化コマンドは、電源投入時にRAM消去スイッチ323がオンされている場合のみ送信されるコマンドであるので、払出許可フラグがオンされた状態で受信することはなく、かかる場合には、ノイズなどの影響によって払出制御装置311が払出初期化コマンドとして認識してしまったことが考えられる。よって、払出許可フラグがオンされている状態で、RAM513の作業領域のクリア(ステップS3308)と、RAM513の初期値設定(ステップS3309)を実行すると、賞球が残っている場合に払出されないなどの弊害が生じて遊技者に損失を与えてしまうが、払出許可フラグがオンされている状態で、RAM513が初期化されることを防止しているので、遊技者に損失を与えることを防止できる。
また、主制御装置261から送信されたコマンドが払出復帰コマンドであれば(ステップS3304:NO、ステップS3305:YES)、主制御装置261及び払出制御装置311が電源遮断前の状態に復帰するので、賞球の払出を許可するためにステップS3312で払出許可フラグをオンする。すなわち、電源断の発生情報があり、主制御装置261と払出制御装置311が電源遮断前の状態に復帰した場合には、賞球の払出が許可される。ステップS3312の処理において払出許可フラグがオンされると、コマンドバッファの所定の記憶領域に記憶されたコマンドに基づく処理が終わったことになるので、読出ポインタが次の記憶領域に対応した読出ポインタに更新される。
さらに、主制御装置261から送信されたコマンドが賞球コマンドや貸球コマンドであれば(ステップS3305:NO、ステップS3306:YES)、ステップS3310において、受信した払出個数(賞球数、貸球数)を払出個数記憶エリアに記憶されている総払出個数に加算して記憶する。続いて、ステップS3311において、払出確認フラグをオンするとともに、払出確認タイマをセットする。
その後、遊技球の払出しを許可するためにステップS3312で払出許可フラグをオンする。この際、払出制御装置311は、コマンドバッファ(リングバッファ)に記憶された賞球コマンドや貸球コマンドを順次読み出し、当該コマンドに対応する遊技球の払出個数を、払出個数記憶エリアに記憶される総払出個数に加算して記憶する。本実施形態では、主制御装置261から送信される賞球コマンド(貸球コマンド)に基づいて賞球個数(貸球個数)に対応した遊技球の払出しが行われるので、賞球コマンド(貸球コマンド)は遊技球の払出しを指示する払出指示コマンドである。また、賞球コマンド(貸球コマンド)が受信された場合には、即座に払出許可が設定されるので、入賞又は遊技球の貸出操作に対して早期に遊技球の払出しを行うことができる。ステップS3312の処理において払出許可フラグがオンされると、コマンドバッファの所定の記憶領域に記憶されたコマンドに基づく処理が終わったことになるので、読出ポインタが次の記憶領域に対応した読出ポインタに更新される。
なお、主制御装置261から送信されたコマンドが払出初期化コマンドでもなく(ステップS3304:NO)、払出復帰コマンドでもなく(ステップS3305:NO)、賞球コマンドでもなく、貸球コマンドでもなければ(ステップS3306:NO)、払出許可フラグをオンすることなく、コマンド判定処理を終了する。
ここで、図12のフローチャートに戻って説明する。コマンド判定処理が終わると、ステップS3202において、コマンド判定処理で払出許可フラグがオンされたか否かが判別される。ここで、払出許可フラグがオンされていなければ、そのまま本処理を終了する。つまり、主制御装置261からコマンドが送信される前に遊技球の払出しが行われることを防止することができる。
一方、ステップS3202で肯定判定されれば、ステップS3203で発射制御装置312に対して発射許可の設定を行い、ステップS3204で状態復帰スイッチ321をチェックして、状態復帰動作開始と判定した場合に状態復帰動作を実行する。この処理により、例えば払出モータの球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られる。
その後、ステップS3205では、下皿15の状態の変化に応じて下皿満タン状態又は下皿満タン解除状態の設定を実行する。すなわち、下皿満タンスイッチの検出信号により下皿15の満タン状態を判別し、下皿満タンになった時、下皿満タン状態の設定を実行し、下皿満タンでなくなった時、下皿満タン解除状態の設定を実行する。また、ステップS3206では、タンク球の状態の変化に応じてタンク球無し状態(球切れ状態)又はタンク球無し解除状態(球有り状態)の設定を実行する。すなわち、タンク球無しスイッチの検出信号によりタンク球無し状態を判別し、タンク球無しになった特、タンク球無し状態の設定を実行し、タンク球無しでなくなった特、タンク球無し解除状態の設定を実行する。
その後、ステップS3207では、例えばエラー状態のように報知すべき状態の有無を判別し、報知すべき状態が有る場合には報知する。
続いて賞球及び貸球の払出制御処理を実行する。詳しくは、ステップS3208で払出個数設定処理を行う。払出個数設定処理では、払出検出スイッチ404の信号を受信しているか否かを確認し、受信している場合には遊技球が払出されているため、その分だけ払出個数記憶エリアに記憶された総払出個数から減算する。続く、ステップS3209では、払出個数記憶エリアに記憶された総払出個数に基づいて払出モータ403の制御内容を設定するモータ制御状態取得処理を行い、ステップS3210においてモータ駆動処理を行う。もちろん、払出個数記憶エリアに記憶された総払出個数の場合には、払出モータ403が停止状態となる。
ステップS3211では、状態復帰スイッチ321をチェックして球抜き不可状態でないこと、及び球抜き動作開始でないことを条件に、払出モータ403を駆動させ球抜き処理を実行する。続くステップS3212では、球詰まり状態であることを条件にバイブレータ360の制御(バイブモータ制御)を実行する。その後、本タイマ割込み処理の先頭に戻る。
次に、図14のフローチャートを参照して、払出制御装置311の払出確認処理を説明する。この払出確認処理は、定期的に(例えば2msec周期で)起動される。
先ず、ステップS3401において払出確認フラグ(図13のステップS3311参照)がオンされているか否かを判別する。ここで否定判定された場合にはそのまま本処理を終了し、一方、肯定判定された場合には、ステップS3402に進み、払出検出スイッチ404の検出があるか否かを判別する。
ステップS3402で否定判定された場合には、ステップS3403に進み、払出確認タイマを参照し、主制御装置261より賞球コマンド又は貸球コマンドを受けてから(コマンドの受信を確認してから)所定時間経過したか否かを判別する。ここで肯定判定された場合には、ステップS3404において払出モータ403の駆動を停止させるエラー処理を実行してから、本処理を終了する。一方、否定判定された場合には、ステップS3405に進み、払出確認タイマを減算してから本処理を終了する。
また、ステップS3402で肯定判定された場合、すなわち払出検出スイッチ404による遊技球の検出が確認された場合には、ステップS3406において払出確認フラグをオフするとともに、ステップS3407で払出確認タイマを解除(オフ)した後、本処理を終了する。
このように、払出制御装置311は、賞球コマンド又は貸球コマンドの受信から所定時間以上経過しても払出検出スイッチ404による検知がない場合には、払出モータ403の駆動を停止させ、遊技球の払出しを中止させることができる。従って、払出検出スイッチ404と払出制御装置311とを電気的に切断したり、払出検出スイッチ404を取外したりすることで払出検出スイッチ404による遊技球の検出が行われないようにして、不当に遊技球を払出させるといった不正行為を抑制することができる。尚、ステップS3404のエラー処理において、払出モータ403の駆動停止にあわせて、報知や通報等を行うこととしてもよい。
なお、上述した実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(a)上記実施形態では、ベース板441に対してカバー部材701が破断ねじ731によって取外不可能に取付けられているが、特にこのような構成に限定されるものではない。例えば、カバー部材701の端部とカバーパネル443及びベース板441との間を接着剤や熱溶着により固定してもよい。
また、例えば、カバー部材701に対して爪部を有する係止部を設け、当該係止部をベース板441に係止させてもよい。態様例を挙げると、図22(A)に示すように、カバー部材701の縦板部703から前方のベース板441に向けて延びる延出部804と、各延出部804の先端部から延出部804と交差する方向に突出する爪部805とを具備する一対の係止部801を設ける。一対の係止部801の爪部805は、突出方向が互いに逆向きであることが望ましい。また、ベース板441の背面から後方に延びる突出部814と爪部805を引っ掛ける鉤部815とからなる一対の被係止部811を設ける。そして、係止部801の爪部805を被係止部811の鉤部815に係止させることで、カバー部材701をベース板441(払出装置358)に取付けてもよい。以上の構成によれば、係止部801はカバー領域内(球通路401側や払出装置358外部からでは接触不可能な部位)に配置されているため、係止部801を操作し、爪部805の係止状態を解除するといったことができないようになっている。つまり、カバー部材701がベース板441(払出装置358)に対して取外不可能に取付けられることとなる。また、係止部801を被係止部811に係止させるだけ(ワンタッチ)で、カバー部材701をベース板441(払出装置358)に取付けることができ、カバー部材701の取付作業性の向上を図ることができる。
また、例えば、図22(B)に示すように、ベース板441から後方に延びる被係止部801に代えて、ベース板441に開口部817を形成するとともに、ベース板441と一体形成され、開口部817の前方を覆う箱状の隠しボックス818を設ける。そして、係止部802の爪部805を開口部817を介してベース板441の前面に係止させることで、カバー部材701をベース板441(払出装置358)に取付けてもよい。当該構成を採用する場合にも、図22(A)に示す構成と同様の作用効果が奏される。
尚、係止部801、802は、取付状態にあるカバー部材701のうちベース板441と当接する当接部位の外周縁部よりも所定間隔を隔てて内側に設けられることとしてもよい。この場合、係止部801、802の係止状態を解除するといった行為をより確実に防止することができる。また、破断ねじ731による螺着と係止部801による係止とを併用する等、様々な固定方法を組合わせてもよい。もちろん、複数の破断ねじ731でカバー部材を固定してもよい。尚、図22(A),(B)では、ベース板441の前面側の構成(球通路401等)及びカバー領域の内部構成の図示を省略している。
(b)上記実施形態では、払出モータ403及びスプロケット402によって遊技球が1球ずつ払出されるよう構成されているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、遊技球を払出すべき球数だけ払出すことのできる構成となっていればよい。例えば、球通路401内の遊技球を支持することのできるシャッタと、シャッタをスライドさせるソレノイドとを備え、球通路401を開閉することで、遊技球を所定数払出可能に構成としてもよい。
また、スプロケット402等の回転する部材を採用する場合であっても、回転板421a、421bの形状(例えば移送凹部425の数)や枚数等は限定されるものではなく、遊技球を所定数ずつ下流側(導出部413)へと送ることのできる構成であればよい。例えば、タンク355から遊技球が4列(案内通路が4本)で払出装置358に運ばれるとともに、4つの回転板で遊技球を1つずつ導出部413へと送る構成としてもよい。
(c)上記実施形態では、スプロケット402が取外不可能になっているが、蓋部材444を開けることで、スプロケット402を取外すことができる構成としてもよい。この場合、スプロケット402の交換が可能となる。
(d)上記実施形態では、払出検出スイッチ404及び払出モータ403に受側コネクタ435、436が設けられ、それぞれ検出用ハーネス431、駆動用ハーネス432が接続される構成となっているが、例えば、払出検出スイッチ404、払出モータ403からコネクタを介することなく延びる信号線の先端に設けられた差込側コネクタが装置用中継基板406に接続される構成としてもよい。特に、払出検出スイッチ404に関して当該構成を採用する場合、蓋部材444を開放して払出検出スイッチ404を球通路401側に引っ張り出せたとしても、払出検出スイッチ404と装置用中継基板406とを接続するコネクタ部が球通路401側に露出しないこととなる。このため、払出検出スイッチ404と装置用中継基板406との間に不正な基板を介在させるといった不正行為をより確実に防止することができる。尚、装置用中継基板406を省略し、例えば、検出用ハーネス431、駆動用ハーネス432を直接払出中継基板381や払出制御装置311に接続してもよい。
(e)上記実施形態では、払出個数記憶エリアに払出すべき遊技球の球数を記憶し、払出検出スイッチ404の検出に伴って払出個数記憶エリアに記憶されている総払出個数を減算していき、かかる数が「0」になった場合に払出を停止する構成となっているが、特に当該構成に限定されるものではない。例えば、スプロケット402の回転板421a,421bや払出モータ403の回転を検出する回転検出スイッチを備え、当該回転検出スイッチの検出に基づき、回転板421a,421bや払出モータ403がどれだけ回転したかによって、払出を停止させることとしてもよい。この場合、回転検出スイッチが払出検出手段を構成する。
(f)上記実施形態では特に言及していないが、カバー部材701の縦板部703等に形成される放熱用の孔部は、カバー取付穴部721(破断ねじ731)を囲むようにして複数形成される上、放熱用の孔部は互いに近接している。このため、これらの放熱用の孔部同士の間の部位をニッパー等で破断し、カバー部材701(破断ねじ731によってベース板441に固定されている部位を除く大部分)を払出装置358から別離させることができる。従って、パチンコ機10をリサイクルしたり廃棄したりする際に分別しやすく、作業性の向上が図られる。
さらに、図23で示すように、カバー取付穴部721を囲む放熱用の孔部851の数を上記実施形態のものよりも減らしたり、孔部851同士をより近接させたりしてもよい。この場合、分別作業性の更なる向上が図られる。また、図23に示すように、カバー取付穴部721を囲む孔部851の数を減らすと、孔部851を大きくする必要が生じる。しかしながら、単に孔部851を大きくすると、当該孔部851からカバー領域内への侵入を許してしまうおそれがある。従って、分別作業に際して工具を挿通させる部位(例えば孔部851の長手方向両端部付近)を除く部位においては、前記工具を挿通させることができない(幅が狭い)構成としてもよい。この場合、分別作業に際して工具を孔部851にスムースに挿通させることができる上、孔部851を介してカバー領域内への侵入を許してしまうといった事態を抑止することができる。
(g)上記実施形態では、破断ねじ731によってベース板441に取付けられたカバー部材701が一度取外されると二度と取付けることができない構成となっているがカバー部材701が払出装置358から離脱し、カバー領域が開放(開封)された場合に所定の痕跡が残る構成となっていればよく、一旦カバー領域が開放されても再度カバー部材701をベース板441に取付可能に構成してもよい。つまり、かかる構成を採用する場合であっても、所定の痕跡の有無を確認することで、カバー部材701が不正に取外されたか否かを確実に把握することができるため、上記実施形態と同様に、カバー部材701を取外して払出装置358を不正改造するといった行為を防止することができる。
尚、態様例としては、上記実施形態におけるカバー部材701の右壁部706の前端部から右方に突出し、前後に貫通するねじ孔を有する第1封印用突起と、第1封印用突起に対応して、ベース板441の右辺部から右方に突出し、有底状のねじ孔を有する複数の第2封印用突起とを備える封印部を複数設ける。そして、複数の封印部のうちのいずれかの第1封印用突起のねじ孔及び第2封印用突起のねじ穴に破断ねじを螺着する。(尚、破断ねじの拡径部の周縁部への接触を防止できる構成となっていることが望ましい。)
そして、収容した部材(払出モータ403等)の不具合等によりカバー領域を開封する場合には、破断ねじが螺着されている封印部を払出装置358から切除する。その後、再度カバー部材701を取付ける場合は、その他の封印部の第1封印用突起のねじ孔及び第2封印用突起のねじ穴に破断ねじを螺着する。このように、カバー領域を開封した旨の履歴を残しておけば、不正な開封が行われた旨を容易に発見することができる。
(h)上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機として実施してもよい。また、パチンコ機以外にも、アレンジボール機、それに類する雀球等の各種遊技機、スロットマシンとパチンコ機とを融合した形式の遊技機などとして実施してもよい。
10…パチンコ機、11…外枠、12…内枠、14…前面枠セット、15…下皿、19…上皿、261…主制御装置、311…払出制御装置、355…タンク、358…払出手段としての払出装置、381…払出中継基板、401…球通路、402…制止部材としてのスプロケット、403…駆動手段としての払出モータ、404…払出検出手段としての払出検出スイッチ、406…装置用中継基板、431…検出用ハーネス、432…駆動用ハーネス、433…制御用ハーネス、441…ベース部材としてのベース板、443…カバー手段,第1カバー部材を構成するカバーパネル、444…蓋部材、701…カバー手段,第2カバー部材を構成するカバー部材、731…固定手段を構成する破断ねじ、732…工具係合部としての十字穴。