JP2008277378A - 太陽電池セル - Google Patents

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淳二 小林
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Abstract

【課題】本発明は、太陽電池セルの裏面保護膜の製造工程において、封止膜の硬化反応時に発生する反応性ガスの脱気処理を改善することにより、セル基板の破損や電極部の剥離を減少させ、歩留まりを向上させることを目的とする。
【解決手段】本発明の太陽電池セルは、太陽電池セル本体、太陽電池セル本体の裏面上に貼着された封止膜、封止膜上に貼着されたバックフィルム13を備えて構成され、バックフィルム13は封止膜と接する面に溝部21を有する。
【選択図】 図2

Description

この発明は、太陽電池セルに関し、特にその裏面に使用されるバックフィルムに関する。
太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽光発電システムにおいては、多くは多結晶シリコン基板にpn接合を設け、光エネルギーにより発生した電子および正孔を基板表裏から各々取り出すこと(光起電力)をその原理としている。このような太陽電池基板を太陽電池セルと一般に呼んでいるが、太陽電池セル本体は受光面である表面側は透明ガラス基材、裏面側はいわゆるバックフィルムで封止・保護された後に太陽電池パネルとして組み立てられるのが通常である。
ここで、裏面保護膜の製造工程としては、太陽電池セル本体(以下、セル基板とする)の裏面に封止膜、バックフィルムをこの順で積層し、加熱圧着により貼着するものがあり、ラミネート工程と呼ばれている。封止膜としては、一般にはエチレンビニルアセテート(EVA)樹脂が用いられ、バックフィルムとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)やポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱可塑性樹脂が用いられる。
ラミネート工程は積層膜を真空ラミネータにより脱気および加熱処理することにより、封止膜の架橋硬化反応、および硬化反応により発生するガスの脱気を同時に行う。また封止膜が溶融した時点で加圧することで封止膜の密着を確保している。
このラミネート工程においては、従来から、封止膜の硬い未溶融部分がセル基板と接触することにより、セル基板の破損が生じたり、反応ガス溜りによるボイドが発生したりする問題があった。そのため、太陽電池セルの封止膜について、例えば特許文献1に示すように、セル基板と接する側の表面に深さ100μm以上の端面にまで達する複数の溝部を、エンボス加工によって形成するような対策がとられている。
これにより封止膜にクッション性を持たせ、未溶融部分によるセル基板の破損を防ぎ、また加圧時の脱気通路を確保し、ボイド形成を防ぎ、ラミネート工程を時間短縮させた場合の歩留まりを向上させることが図られている。
特開2003−204074号公報
しかしながら、このような溝部付き封止膜においては、封止膜が架橋反応する前に高温で溶融するため形状を維持することが困難になる。そのため、架橋反応時に発生するガスが溝部に沿って外部にまで放出されることができない場合が多く発生していた。また、非溶融部分が多くある場合には、溝部形状はある程度保持されるが、その場合には溝部形状が保持されたまま次の硬化反応が起きてしまう。そのため、かえってセル基板側への局所的な圧力が発生したり、ボイドの発生が溝部で起きたりする場合があり、必ずしも歩留まり向上に繋がらないことが問題点として存在していた。
また、封止膜について、溝部をセル基板側の面にだけ形成している場合は、セル基板側と比較してガス透過性の低いバックフィルム樹脂側は封止されており、封止膜から発生するガスは、ほぼ一方的にセル基板側からのみ脱気されることになる。そのため、かえって脱気のガス圧の高まりによりセル基板が破損したり、裏面電極部が剥離したりする場合があった。封止膜の両面に溝部が形成された場合も、バックフィルム側よりもセル基板側のほうが温度が低くなり、セル基板側の溝部形状が保持される傾向があるため、同様な問題が発生していた。
また、封止膜が充分に反応性ガスを脱気していない場合や、反応が完全に完了していない場合においては、ラミネート工程後に発生するガスによってパネル端部にガスが溜まったり、電極剥離が発生したりする問題点があった。
バックフィルム樹脂は、セル基板と外部との絶縁性能を確保することに加えて、セル基板を環境(特に湿度)から保護する上でも必須であるため、バックフィルム樹脂としてガス透過性の高い樹脂を容易に使用することはできない。また密着性の上からも、例えばポリエチレンのようなオレフィン系の膜を使用することはできないため、上記のような問題を解決するための手段として採用することは適当ではない。
この発明はこのような課題を解決するためになされたもので、太陽電池セルの裏面保護膜の製造工程において、封止膜の硬化反応時に発生する反応性ガスの脱気処理を改善することにより、セル基板の破損や電極部の剥離を減少させ、歩留まりを向上させることを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の太陽電池セルは、太陽電池セル本体、太陽電池セル本体の裏面上に貼着された封止膜、封止膜上に貼着されたバックフィルムを備えて構成され、バックフィルムは封止膜と接する面に溝部を有する。
バックフィルムについて封止膜と接する面に溝部を有することにより、太陽電池セル裏面保護膜のラミネート工程における、封止膜からの架橋反応ガスの脱気におけるガスの通過経路が、セル基板側だけでなく裏面のバックフィルム側にも確保されることになる。したがって、セル基板側へのガス圧の高まりを防止することが可能となり、セル基板の破損や電極剥離といったセルアセンブリ上の歩留まりを低下させる問題を軽減することができる。
また、溶融後、架橋硬化させる必要がある封止膜と異なり、バックフィルムの軟化点はラミネート工程温度より高いため、ラミネート時のガス脱出経路の確保が封止膜よりも明確に為されることができる。
さらに、封止膜のセル基板側には溝部を形成しない方が、封止膜によるセル基板側の局所的な圧力分布を均一化できることからも、セル基板側の反応ガス圧や封止膜の接触による圧力分布の均一性の低下を図ることが可能となり、上記歩留まり低下を軽減することができる。
以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
(構成)
図1は本実施の形態における太陽電池セルの、裏面保護膜の構成を示す断面図である。セル基板(太陽電池セル本体)11の裏面に、EVAによって形成される封止膜12、およびバックフィルム13がこの順で積層されている。また、図2は本実施の形態におけるバックフィルム13の構造を詳細に示した図である。上部に断面図、下部に平面図が示されている。バックフィルム13は、封止膜12側の面に溝部21が設けられている。
バックフィルム13の樹脂としては、従来から使用されているポリエチレンテレフタレート(PET)を用いた。図2の平面図に示すように、溝部21はバックフィルム13上に、平行に多数設けられており、バックフィルム13の一端から他端まで連続している。
(製法)
溝部21が形成される前のPETフィルムの膜厚は80ミクロンであり、所定の形状の凸部(高さ約20ミクロン、幅1mm)を表面に有する上下ロールで挟み込み展延することにより、片側に溝部21が形成される。
真空ラミネート工程は、セル基板11の表裏にEVAによる封止膜12を重ねた後、さらに表側には透明ガラス、裏側には本発明に該当するバックフィルム13を溝部21が封止膜12に接するように積層される。その後、ロール付きの加熱プレートで挟み込み、ロールにより真空装置内に挿入し、プレス処理により貼着される。プレートは150℃である。また、真空ラミネータ内では30分間保持される。この場合、溝部21の長手方向が挿入方向と平行となるようにラミネート処理が行われる。
(効果)
加熱処理中に封止膜12は軟化・溶融すると同時に架橋硬化反応を起こすため、反応ガスが多量に発生する。この反応ガスは真空引きされることでセル基板11と封止膜12の界面に溜まることが防止されるのが通常である。しかし、封止膜12中の硬化剤や気泡の局所分布が存在することにより、反応ガスが局所的に蓄積されガス圧が高まり、セル基板11の破損や電極剥離といった不具合が引き起こされる。
通常は、バックフィルム13と封止膜12が接する面はともに滑らかな平面であり、密着性が良好であるため、ガスはバックフィルム13側からは逃げにくい。しかし、本発明によるバックフィルム13と封止膜の界面には溝部21が存在し、ラミネート工程における封止膜からの、架橋反応ガスの脱気におけるガスの通過経路がセル基板11側だけでなく、裏面のバックフィルム13側にも確保されることになる。よって、セル基板11側へのガス圧の高まりを防止することが可能となり、セル基板11の破損や電極剥離といったセルアセンブリ上の歩留まりを低下させる問題を軽減することができる。
また、真空下での加熱プレス処理時において、封止膜12はバックフィルム13側から溶融しはじめる。従って、その場合の反応ガスの脱出経路の確保が容易となる。厚さが400−600μm程度の封止膜12が全体的に溶融するころにバックフィルム13側の溝部21は加圧により埋められることになり、ほぼ硬化反応の最終段階までガスの脱出経路を確保することができる。
さらに、溶融後、架橋硬化させる必要がある封止膜12と異なり、バックフィルム13の軟化点はラミネート工程温度より高いため、ラミネート時のガス脱出経路の確保が封止膜12よりも明確に為されることができる。もちろん、封止膜12のセル基板11側には溝部21を形成してもよいが、形成しないほうが封止膜12によるセル基板11側の局所的な圧力分布を均一化できることからも、セル基板11側の反応ガス圧や封止膜の接触による圧力分布の低下を図ることが可能となり、上記歩留まり低下を軽減することができる。
本発明の実施の形態に係る太陽電池セルを説明するための断面図である。 本発明の実施の形態に係るバックフィルムを説明するための断面図および平面図である。
符号の説明
11 セル基板、12 封止膜、13 バックフィルム、21 溝部。

Claims (3)

  1. 太陽電池セル本体と、
    前記太陽電池セル本体の裏面上に貼着された封止膜と、
    前記封止膜上に貼着されたバックフィルムとを備え、
    前記バックフィルムは前記封止膜と接する面に溝部を有する、太陽電池セル。
  2. 前記溝部は平行に多数設けられる、請求項1に記載の太陽電池セル。
  3. 前記溝部は前記バックフィルムの一端から他端まで連続している、請求項1または請求項2に記載の太陽電池セル。
JP2007116539A 2007-04-26 2007-04-26 太陽電池セル Pending JP2008277378A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017017227A (ja) * 2015-07-02 2017-01-19 パナソニックIpマネジメント株式会社 太陽電池モジュール

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