JP2008277200A - 表示機能付スイッチ装置 - Google Patents

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猪佐雄 伊東
Atsushi Eda
厚士 江田
Bokuho Nakasaka
睦朋 中坂
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Abstract

【課題】操作者がタッチパネルの複数の操作領域での選択対象を豊かな情報量の表示内容によって認識して、2以上の対象を同時に選択したことを示す信号を出力させ、しかも、操作ストローク感を得られるとともに、視認性を低下させることなく、タッチパネルの上に指などを置いたまま待機できる表示機能付スイッチ装置を提供する。
【解決手段】フルカラー映像信号を表示可能な表示装置1と、表示装置1の画面上に配置された、複数の操作領域を有し、各操作領域に対応して操作状態を示す信号を生成するタッチパネル2と、表示装置1を画面に垂直な方向に変位可能に支持する弾性部材8と、表示装置1が画面に対して下方向に所定距離変位したことを検知する検知機構6,7と、検知機構6,7で所定距離変位したことが検知されたことを条件として、タッチパネル2で生成された信号を外部に出力する回路とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、表示装置の画面上にタッチパネルを配置した表示機能付スイッチ装置に関する。
液晶パネルなどの表示装置の画面上にタッチパネルを配置した表示機能付スイッチ装置が、各種の産業用・業務用電子機器や、さらには家庭用電子機器でも使用されている。
こうした表示機能付スイッチ装置は、タッチパネルが薄型であるため、操作ストローク感を得にくいという欠点がある。この欠点を解消するために、従来から、下記の(1)〜(3)のような表示機能付スイッチ装置が提案されている。
(1)表示装置の画面上に単一の操作領域(対向する透明電極)を有するタッチパネルを配置し、表示装置の下に弾性体を配置し、指などでタッチパネルに触れることによってスイッチがオンになり、その後タッチパネルを押し続けることにより、タッチパネル及び表示装置の全体が下降して操作ストローク感を得られるようにしたもの(特許文献1参照)。
(2)表示装置の画面上に単一の操作領域を有するタッチパネルを配置し、タッチパネルの上方に、透明部材から成る1個の操作部を、タッチパネルとは間隔をあけて配置し、指などで操作部を押し下げることにより、操作ストローク感を得られるとともに、操作部がタッチパネルに触れてスイッチがオンになるようにしたもの(特許文献1参照)。
(3)表示装置の画面上にタッチパネルを配置し、タッチパネルの上方に、透明部材から成る複数個の操作部を、タッチパネルとは間隔をあけて配置し、指などで任意の1個の操作部を押し下げることにより、操作ストローク感を得られるとともに、その操作部が真下の部分のタッチパネルの操作領域に触れてスイッチがオンになるようにしたもの(特許文献2参照)。
実用新案登録2588361号 特開平5−62923号公報
しかし、上記(1)のような表示機能付スイッチ装置では、タッチパネルに触れた時点(すなわち操作ストローク感を得られる前)にスイッチがオンになってしまう。そのため、例えば必要なタイミングで素早くスイッチをオンにする目的でタッチパネルの上に指などを置いたまま待機しようとしても、そうした形で待機することは不可能である。
これに対し、上記(2)や(3)のような表示機能付スイッチ装置では、タッチパネルの上方の操作部の上に指などを置いたまま待機することは可能である。しかし、操作部がタッチパネルの上方に間隔をあけて配置されるので、操作部が透明であっても、表示装置の画面と操作部との距離が離れることや、画面を見る位置や角度によっては光の反射や屈折が生じることにより、視認性が低下してしまう。
さらに、上記(1)や(2)のような表示機能付スイッチ装置は、タッチパネルの単一の操作領域に触れることによってオンになるので、複数の操作領域のうちの任意の2以上の領域に同時に触れたような場合に、そのことを示す信号を出力させることは不可能である。上記(3)のような表示機能付スイッチ装置も、1個の操作部を押し下げることによってその操作部が触れたタッチパネルの領域に対応した信号が出力されるだけなので、複数の操作領域のうちの任意の2以上の領域に同時に触れたことを示す信号を出力させることは不可能である。
さらに、上記特許文献2には表示装置の表示内容としてはテキストが表示されることしか記載されておらず、上記特許文献1には表示装置の表示内容に関しては全く記載されていないが、タッチパネルの複数の操作領域の中から1つ以上の領域を選択するような場合、各操作領域に対応する画面位置にテキストや記号(あるいはテキストや記号を時間的に変化させたアニメーション)が表示されるだけでは、表示される情報量が乏しいので、操作者が各領域での選択対象を認識しにくいことがある。
そこで、本発明は、表示装置の画面上にタッチパネルを配置した表示機能付スイッチ装置であって、操作者がタッチパネルの複数の操作領域での選択対象を豊かな情報量の表示内容によって認識して、任意の2以上の対象を同時に選択したことを示す信号を出力させることができ、しかも、操作ストローク感を得られるとともに、視認性を低下させることなく、タッチパネルの上に指などを置いたまま待機できるようにしたものを提供することを第1の課題とする。
また本発明は、表示装置の画面上にタッチパネルを配置した表示機能付スイッチ装置であって、操作者がタッチパネルの複数の操作領域での選択対象を豊かな情報量の表示内容によって認識して、任意の2以上の対象を同時に選択したことを示す信号を出力させることができるようにしたものを提供することを第2の課題とする。
上記第1の課題を解決するため、本発明に係る第1の表示機能付スイッチ装置は、
フルカラー映像信号を表示可能な表示装置と、
前記表示装置の画面上に配置された、複数の操作領域を有し、各操作領域に対応して操作状態を示す信号を生成するタッチパネルと、
前記表示装置を画面に垂直な方向に変位可能に支持する弾性部材と、
前記表示装置が画面に対して下方向に所定距離変位したことを検知する検知機構と、
前記検知機構で前記所定距離変位したことが検知されたことを条件として、前記タッチパネルで生成された信号を外部に出力する回路と
を備えたことを特徴とする。
この表示機能付スイッチ装置では、フルカラー映像信号を表示可能な表示装置の画面上に、複数の操作領域を有し、各操作領域に対応して操作状態を示す信号を生成するタッチパネルが配置されている。
したがって、表示装置の画面のうち、タッチパネルの各操作領域に対応する位置にそれぞれ当該操作領域での選択対象を識別するための映像を表示させるようなフルカラー映像信号を入力させることにより、操作者がタッチパネルの複数の操作領域での選択対象を豊かな情報量の表示内容によって認識して、任意の2以上の対象を同時に選択したことを示す信号を出力させることが可能である。
また、この表示機能付スイッチ装置には、表示装置を画面に垂直な方向に変位可能に支持する弾性部材と、表示装置が画面に対して下方向に所定距離変位したことを検知する検知機構と、この検知機構でこの所定距離変位したことが検知されたことを条件として、タッチパネルで生成された信号を外部に出力する回路とが設けられている。
したがって、タッチパネルの任意の1または複数の操作領域に指などで触れたままタッチパネルを押すと、弾性部材に支持されている表示装置が、画面に対して下方向に変位する。そして、下方向に所定距離変位すると、そのことが検知機構で検知されるとともに、タッチパネルで生成された信号が外部に出力される。
このように、タッチパネルを押すことにより表示装置が画面に対して下方向に変位するので、操作ストローク感を得られる。また、表示装置が画面に対して下方向に所定距離変位したときに、タッチパネルで生成した信号がはじめて外部に出力されるので、タッチパネルの上に指などを置いたまま待機することができる。そして、タッチパネルの上方に間隔をあけて操作部などを配置しないので、表示装置を見る際の視認性が低下することもない。
次に、上記第2の課題を解決するため、本発明に係る第2の表示機能付スイッチ装置は、
フルカラー映像信号を表示可能な表示装置と、
前記表示装置の画面上に配置された、複数の操作領域を有し、各操作領域に対応して操作状態を示す信号を出力するタッチパネルと
を備えたことを特徴とする。
この表示機能付スイッチ装置では、フルカラー映像信号を表示可能な表示装置の画面上に、複数の操作領域を有し、各操作領域に対応して操作状態を示す信号を生成するタッチパネルが配置されている。
したがって、表示装置の画面のうち、タッチパネルの各操作領域に対応する位置にそれぞれ当該操作領域での選択対象を識別するための映像を表示させるようなフルカラー映像信号を入力させることにより、操作者がタッチパネルの複数の操作領域での選択対象を豊かな情報量の表示内容によって認識して、任意の2以上の対象を同時に選択したことを示す信号を出力させることが可能である。
本発明に係る第1の表示機能付スイッチ装置によれば、表示装置の画面上にタッチパネルを配置した表示機能付スイッチ装置において、操作者がタッチパネルの複数の操作領域での選択対象を豊かな情報量の表示内容によって認識して、任意の2以上の対象を同時に選択したことを示す信号を出力させることができ、しかも、操作ストローク感を得られるとともに、視認性を低下させることなく、タッチパネルの上に指などを置いたまま待機することができるという効果が得られる。
本発明に係る第2の表示機能付スイッチ装置によれば、表示装置の画面上にタッチパネルを配置した表示機能付スイッチ装置において、操作者がタッチパネルの複数の操作領域での選択対象を豊かな情報量の表示内容によって認識して、任意の2以上の対象を同時に選択したことを示す信号を出力させることができるという効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて具体的に説明する。図1は、本発明を適用した表示機能付スイッチ装置の外観例を示す図であり、図1Aは側面図、図1Bは正面図である。この表示機能付スイッチ装置20は、縦,横,高さがそれぞれ約43.6mm,63.3mm,22.6mmの直方体状の形状をしている。また、この表示機能付スイッチ装置20は、フルカラー映像信号を表示可能な液晶パネルを表示装置として用いており、その画面サイズは2.2インチ(縦,横がそれぞれ約33.8mm,45.1mm)である。
図2は、この表示機能付スイッチ装置20の内部構造を示す分解図である。前述のような液晶パネルから成る表示装置1の画面全体の上に、タッチパネル2が配置されている。また、このタッチパネル2の上に、リング状に隆起した部分を有する透明な薄型の誤操作防止用リングシートgが配置されている。そして、この表示装置1とタッチパネル2とシートgとが、ワク3によって一体に保持されている。ワク3は、表示機能付スイッチ装置20の筐体の上半分を構成している。
タッチパネル2は、表示装置1の画面の左上,左下,右上,右下の4つの位置に対応して、長方形状の4つの操作領域(対向する電極から成るスイッチ)を有している。図3は、タッチパネル2の操作領域を、シートg上のリングとともに示す図である。タッチパネル2の各操作領域2a〜2dは、通常の人の指で一度に触れることが可能な範囲である約8mmよりも間隔をあけて存在している。
また、この図3に示すように、シートgは、タッチパネル2の各操作領域2a〜2dの周辺部に相当する位置に、隆起したリングga〜gdを有している。リングga〜gdの高さは、約0.2mm程度である。リングga〜gdは、指などで操作領域2a〜2dのうちのいずれか1つのみに触れたい場合に、誤ってその隣の操作領域にも触れることを防止する役割を持っている。すなわち、誤って隣の操作領域にも触れそうになると、その操作領域上のリングにも触れるので、隣の操作領域に触れそうになっていることに事前に気付くことができる。また、操作に慣れてくると、タッチパネル2の各操作領域2a〜2dを目視することなく、リングga〜gdに触れることによって各操作領域2a〜2dの位置を確認してタッチパネル2を操作することも可能となる。
タッチパネル2は、各操作領域2a〜2dに対応して、その領域の操作状態を示す信号(スイッチのオン/オフを示す信号)を生成する。図4は、タッチパネル2の回路構成を示す図であり、操作領域2a〜2dに構成されているスイッチをそれぞれスイッチSW_A〜SW_Dとして示している。タッチパネル2では、各スイッチSW_A〜SW_Dのオン/オフを示す4系統の信号が生成される。これらの4系統の信号は、タッチパネル2の4つの出力端子OUT_A〜OUT_Dから出力されて、後述する基板bに送られる。
図2に示すように、表示装置1の下側には基板bが配置されており、表示装置1,タッチパネル2はそれぞれ図示しない信号線によってこの基板bに接続されている。基板bの下側には基板d及び基板eが積層状に配置され、基板bと基板dとはフレキシブルケーブルcで接続されている。基板dの上面には、シャッター板6とフォトインタラプタ7とが設けられている。基板eには、表示機能付スイッチ装置20と外部の機器との間で信号の入出力を行うためのコネクタfが設けられている。これらの基板b,フレキシブルケーブルc,基板d及び基板eは、1枚のフレキシブルプリント基板で形成されており、コストダウンと製造のしやすさとを実現している。
表示機能付スイッチ装置20にコネクタfからフルカラー映像信号を入力させると、その映像信号が基板e,基板d,フレキシブルケーブルc,基板bを順に経て表示装置1に供給されて、表示装置1に映像が表示されるようになっている。
このコネクタfから、表示装置1の画面のうち、タッチパネル2の各操作領域2a〜2d(図3)に対応する位置にそれぞれ当該操作領域での選択対象を識別するための映像を表示させるようなフルカラー映像信号を入力させることにより、操作者がタッチパネル2の各操作領域2a〜2dでの選択対象を豊かな情報量の表示内容によって認識して、任意の1つの対象を選択したことや、任意の2以上の対象を同時に選択したことを示す信号(前述の4系統の信号)をタッチパネル2に生成させることができる。なお、図2では、表示装置1の画面のうち、タッチパネル2の各操作領域2a〜2dに対応する四つの位置を、四つの長方形で表している。
図4に示したタッチパネル2からの4系統の信号は、基板b,フレキシブルケーブルcを経て基板dに送られる。この4系統の信号がコネクタfから出力される仕組みについては、基板d上のシャッター板6及びフォトインタラプタ7の役割と併せて、後で図5〜図8を用いて説明する。
ケース9は、表示機能付スイッチ装置20の筐体の下半分を構成している。ケース9の内側の底面の中央部分には、圧縮コイルバネ8が、伸縮方向を上下方向に向けて保持されている。また、ケース9の内側の四つの側面には、上下方向に延びたラック5がそれぞれ設けられている。そして、基板bと基板dの間には、このラック5とかみ合う歯車4aを四辺に設けた板状部材4が配置されている。
ワク3とケース9との内側に基板b,フレキシブルケーブルc,板状部材4,基板d及び基板eを全て収納した状態(図1に示した状態)では、コイルバネ8は、基板eの下面に接触する。コイルバネ8の寸法及び特性は、この状態から約3.5mm圧縮可能なように設定されている。これにより、シートg,タッチパネル2,表示装置1及びそれらを保持しているワク3は、このコイルバネ8により、表示装置1の画面に垂直な方向に変位可能に支持されていることになる。
したがって、シートgの上からタッチパネル2を指などで押すと、コイルバネ8が圧縮されて、シートg,タッチパネル2,表示装置1及びワク3が、表示装置1の画面に対して下方向に変位する。このように、タッチパネル2を押すことにより表示装置1が画面に対して下方向に変位するので、操作ストローク感を得られるようになっている。また、タッチパネル2の隅のほうを押しても、ケース9の内側の各側面のラック5とかみ合っている板状部材4の四辺の歯車4aが全て回転するので、表示装置1がケース9の底面に平行な状態を維持したまま、スムーズに変位させることができる。タッチパネル2を押すのをやめると、コイルバネ8の復元力により、シートg,タッチパネル2,表示装置1及びワク3が、画面に対して上方向に変位する。
図5は、図2に示した基板d上のシャッター板6及びフォトインタラプタ7の部分の構造を拡大して示す図であり、図5Aは図2の基板dの左側の短辺の側からみた図、図5Bは図2の基板dの手前側の長辺の側からみた図である。シャッター板6は、テコの原理を用いて構成されているが、支点6b・力点6a間の距離が2.3mmであるのに対し、支点6b・作用点6c間の距離のほうが4mmと長くなっており、力点6aを表示装置1の画面に対して下方向に僅かに押し下げることにより、図6に示すように、作用点6cが一気に加速して上方向に持ち上がるようになっている。
図2では現れていないが、板状部材4の下面には、シャッター板6の力点6aの真上の位置に、力点6aを押し下げるための突起部が設けられている。図7は、この突起部4bを示す図であり、図7Aはタッチパネル2を全く押していない状態の図、図7Bはタッチパネル2を押すことによって突起部4bが力点6aを押し下げている状態の図である。
シャッター板6の作用点6cは、持ち上がっていない状態では、図5Aのように、フォトインタラプタ7の発光部7aと受光部7bとの間に位置している。したがって、この状態では、発光部7aからの光が作用点6cで遮られて受光部7bに届かないので、フォトインタラプタ7はオフになる(HIGHレベルの信号が出力される)。
他方、作用点6cが或る距離持ち上がると、図6Aのように、発光部7aからの光が受光部7bに届くようになるので、フォトインタラプタ7はオンになる(LOWレベルの信号が出力される)。
図8は、タッチパネル2を押した際のストロークと、シャッター板6の作用点6cの動作量と、フォトインタラプタ7のオン/オフ動作との関係を示す図である。ストロークが約2.3mmに達したとき、突起部4b(図7)が力点6a(図5)に接触し、その後ストロークが約3.3mmに達するまでの間に、作用点6cが一気に加速して約4mm(ストロークの変化量の約4倍)持ち上がる。そして、ストロークが約2.8mmに達することにより作用点6cが約1mm持ち上がったとき、発光部7a(図5)からの光が受光部7bに届き、フォトインタラプタ7がオンになる。
前述のように、タッチパネル2で生成された4系統の信号は基板dに送られるが、基板d上には、タッチパネル2で生成された信号を外部に出力させるための回路として、図9に示すような、フォトインタラプタ7の出力信号とタッチパネル2からの4系統の信号との論理積をとるアクティブ・ローのアンド回路10〜13が設けられている。そして、これらのアンド回路10〜13の出力信号が、タッチパネル2の各操作領域2a〜2dの操作状態を示す信号として、基板eのコネクタf(図2)から出力される。
したがって、タッチパネル2を押した際のストロークが約2.8mmに達したときに、タッチパネル2の各操作領域2a〜2dの操作状態を示す信号がはじめて外部に出力されることになる。これにより、操作者は、例えば必要なタイミングで素早くスイッチをオンにする目的で、表示機能付スイッチ装置20のタッチパネル2の上に指などを置いたまま待機することができる。そして、タッチパネル2の上方に間隔をあけて操作部などを配置しないので、表示装置1の画面を見る際の視認性が低下することもない。
また、仮にシャッター板6の作用点6cがゆっくりと(タッチパネル2を押す速度と同程度の速度で)持ち上がるとした場合には、フォトインタラプタ7がオンになるときの受光部7bの受光量には或る程度ばらつきがあることから、タッチパネル2の操作状態を示す信号が外部に出力されるストロークが一定しなくなってしまう。これに対し、作用点6cが一気に加速して持ち上がることにより、この受光量のばらつきの範囲を一気に通過するので、常に一定のストローク(図8に示した約2.8mm)でタッチパネル2の操作状態を示す信号が外部に出力される。
これにより、操作者は、何回タッチパネル2を押しても、常に一定のストロークで表示機能付スイッチ装置20を操作できるという感触を得ることができる。さらに、表示機能付スイッチ装置20を複数個配列して使用する場合にも、それらの表示機能付スイッチ装置20を同じストロークで操作することができる。
この表示機能付スイッチ装置20は、用途に応じて、複数個配列して使用したり、1個のみで使用することもできる。次に、表示機能付スイッチ装置20の使用例を、図面を用いていくつか説明する。
〔ルーターパネルで使用する例〕
最初に、表示機能付スイッチ装置20をルーターパネルで使用する例について説明する。
テレビジョン放送局では、放送局内のカメラや映像記録再生機器の出力映像信号や、中継現場や他の放送局から送られてくる映像信号などを、全てルーターと呼ばれる映像信号切替装置に入力させている。そして、そのルーターで各映像信号の供給先(番組送出用の機器や、映像記録再生機器や、編集機器など)を切り替えている。
ルーターは、複数の信号入力ラインと信号出力ラインとの接続関係を切り替えるスイッチング部であるルーター本体と、操作者がルーター本体を制御するためのルーターパネルとで構成されている。ルーター本体の信号入出力ラインの数は非常に多いので、ルーターパネルとしては、一部ずつの信号入出力ラインの切り替えを担当する複数台のルーターパネルが用いられる。
操作者がこれらのルーターパネルを操作するためには、各ルーターパネルがそれぞれルーター本体のどの信号入出力ラインの切り替えを担当しているのかを見分けることができるようになっている必要がある。そこで、従来は、ルーターパネルの映像切替用の操作スイッチの表面やその横などに、信号の名称などを記載したシールを貼るなどしていた。
しかし、各ルーターパネルがルーター本体のどの信号入出力ラインの切り替えを担当するかは、固定されているわけではなく、機器の入れ替えや増設などによってしばしば変更される。そのため、そうした変更があるたびにルーターパネルへのシールの貼り替えなどを行わなければならず、作業が煩雑であった。
これに対し、表示機能付スイッチ装置20をルーターパネルの映像切替用の操作スイッチとして使用して、信号名などを表示装置1(図2)の画面のうちタッチパネル2の各操作領域2a〜2d(図3)に対応する位置に映像として表示させれば、各ルーターパネルが担当する信号入出力ラインが変更された場合にも、シールの貼り替えなどの作業を行う必要がなくなり、コネクタf(図2)に入力させる映像信号を切り替えるだけで足りるようになる。
図10は、表示機能付スイッチ装置20を複数個装着可能にしたルーターパネル21の外観例を示す図であり、図10Aは正面図、図10Bは斜視図である。このルーターパネル21は、表示機能付スイッチ装置20を横方向に5個並べて装着可能なものであり、図示は省略するが、コネクタf(図2)と接続するためのコネクタが各装着位置に設けられている。
前述のように表示機能付スイッチ装置20の画面サイズは2.2インチなので、このルーターパネル21はEIA(米国電子工業会)の規格による1ユニットに収まる寸法とすることができ、19インチサイズの標準ラックにはこのルーターパネル21を6個設置することができる。
図11は、このルーターパネル21における表示機能付スイッチ装置20の表示例を示す図である。タッチパネル2の操作領域2a,2b,2c,2dに対応する画面位置に、それぞれ「VTR SWR」,「東京 名古屋」,「KYOTO」,「SIGNALS STRAIGHT PADDOCK」という信号名の映像が表示されている。(図1Aでもルーターパネル21に装着された各表示機能付スイッチ装置20に同じ信号名が表示されている状態を示している。)このルーターパネル21が担当するルーター本体の信号入出力ラインが変更された場合にも、ルーターパネル21から各表示機能付スイッチ装置20に入力させる映像信号を切り替えるだけで、この信号名の表示を変更することができる。
また、ルーターパネル21から各表示機能付スイッチ装置20にフルカラー映像信号を入力させることにより、これらの信号名はフルカラー表示されるので、操作者は、このルーターパネル21が担当するルーター本体の信号入出力ラインを豊かな情報量の表示内容によって認識して、ルーター本体を制御する操作を行うことができる。
また、信号名の代わりに、ルーターパネル21が担当するルーター本体の信号入出力ラインで入出力されている映像信号をスケーリングしてタッチパネル2の操作領域2a,2b,2c,2dに対応する画面位置に表示させるようにすれば、このルーターパネル21が担当する信号入出力ラインでどのような映像信号が入出力されているのかを実際の映像そのものによって認識しながら、ルーター本体を制御する操作を行うこともできる。
そして、既存のルーターパネルと同様に、操作ストローク感を得ることや、表示機能付スイッチ装置20のタッチパネル2の上に指などを置いたまま待機することができる。
さらに、例えば通常の操作時ではなくルーターパネル21のセットアップ時に各種設定を行うためのメニューを表示機能付スイッチ装置20に表示させるようにすれば、タッチパネル2の操作領域2a〜2dのうちの1つの領域のみに触れるのかそれとも2以上の領域に同時に触れるのかによって設定内容を異ならせることも可能になる。
図10には表示機能付スイッチ装置20を横方向に5個並べて装着する例を示したが、ルーターパネルに表示機能付スイッチ装置20を使用する場合の個数や配置は、これ以外にも、例えば図12A〜図12Cに示すような様々なものが可能である。
〔リモートコマンダとして使用する例〕
表示機能付スイッチ装置20は、赤外線ユニットなどを装備することにより、テレビジョン受像機,VTR,オーディオ機器などの家電製品のリモートコマンダとして使用することも可能である。図13は、表示機能付スイッチ装置20に赤外線ユニットなど装備して構成したリモートコマンダ30を、テレビジョン受像機31のリモートコマンダとして使用する例を示している。
従来のリモートコマンダは、機能を増やすにつれてボタン数が増加してサイズが大型化してきたが、表示機能付スイッチ装置20をリモートコマンダとして使用して、選択対象の機能を画面表示したりその表示を切り替えることにより、小型なサイズを維持したまま機能を増やすことができる。しかも、選択対象の機能をフルカラー映像によって認識することができるとともに、タッチパネル1つの操作領域のみに触れるのかそれとも2以上の操作領域に同時に触れるのかによって選択する機能の内容を異ならせることも可能になる。
〔テレビゲームコントローラとして使用する例〕
表示機能付スイッチ装置20は、赤外線ユニットやジャイロなどを装備することにより、テレビゲームコントローラとして使用することも可能である。図14は、表示機能付スイッチ装置20に赤外線ユニットやジャイロなど装備して構成したテレビゲームコントローラ32を示している。
表示機能付スイッチ装置20は手の中に納まるサイズなので、このテレビゲームコントローラ32を握り、実際にゲームの画面に合わせて身体の動作を行いながらテレビゲームコントローラ32を操作するという、バーチャルリアリティゲームが実現できる。もちろん、通常のゲームコントローラとしての使用も可能である。しかも、操作内容をフルカラー映像によって認識することができるとともに、タッチパネル1つの操作領域のみに触れるのかそれとも2以上の操作領域に同時に触れるのかによって操作内容を異ならせることも可能になる。
なお、以上の実施の形態では、図3に示したように、タッチパネル2に4つの操作領域2a〜2dを設けている。しかし、これに限らず、タッチパネル2に2,3または5つ以上の操作領域を設けて、それらの操作領域に対応する画面位置に映像を表示させるようにしてもよい。また、タッチパネル2に複数の操作領域を設ける方法としては、タッチパネル2の互いに離れた複数の位置に1個ずつの接点を有する操作領域を設ける方法と、タッチパネル2の全体に分解能の高い接点を設けてそれらの接点を互いに離れた複数の操作領域として分類して使用する(それらの操作領域の境界となる位置は不感帯として処理する)方法とのいずれを用いてもよい。
また、以上の実施の形態では、図2を用いて説明したように、シートg,タッチパネル2,表示装置1及びワク3をコイルバネ8によって表示装置1の画面に垂直な方向に変位可能に支持することにより、操作ストローク感(約3.5mmのストローク)を得られるようにしている。しかし、これに限らず、コイルバネ以外の弾性部材(例えば板バネなど)によってシートg,タッチパネル2,表示装置1及びワク3を表示装置1の画面に垂直な方向に変位可能に支持するようにしてもよい。また、ストロークの長さも、3.5mmに限らず、用途によって適宜の長さに設定してよい。
また、以上の実施の形態では、図2を用いて説明したように、ケース9の内側の各側面のラック5及び板状部材4の四辺の歯車4aにより、表示装置1をケース9の底面に平行な状態を維持したまま画面に対して下方向に変位させるようにしている。しかし、これに限らず、ラック及び歯車以外の適宜の機構(例えばパンタグラフ機構など)により、表示装置1をケース9の底面に平行な状態を維持したまま画面に対して下方向に変位させるようにしてもよい。
また、以上の実施の形態では、図5〜図8を用いて説明したように、表示装置1が画面に対して下方向に一定距離(約2.8mm)変位したことを、シャッター板6の作用点6cとフォトインタラプタ7との位置関係によって検知するようにしている。しかし、これに限らず、シャッター板6の作用点6cとフォトインタラプタ7以外の光学デバイス(例えばフォトリフレクタ,赤外線センサなど)との位置関係によってこの変位を検知したり、あるいはシャッター板6の作用点6cと接点方式のスイッチとの位置関係によってこの変位を検知するようにしてもよい。また、検知するストロークの長さも、2.8mmに限らず、用途によって適宜の長さに設定してよい。
また、以上の実施の形態では表示装置1として液晶パネルを用いているが、液晶パネル以外の表示デバイス(例えば有機ELパネル)であってフルカラー映像信号を表示可能なものを表示装置1として用いるようにしてもよい。
また、以上の実施の形態において図2に示した表示機能付スイッチ装置20のサイズはあくまで一例であり、用途によって適宜のサイズのものを製造してよい。
また、以上の実施の形態では、図2〜図9を用いて説明したように、表示機能付スイッチ装置20のタッチパネル2を押した際のストロークが一定距離(約2.8mm)に達したときに、タッチパネル2の操作領域2a〜2dの操作状態を示す信号がはじめて表示機能付スイッチ装置20のコネクタfから出力されるようにしている。しかし、別の例として、コイルバネ8やシャッター板6やフォトインタラプタ7やアンド回路10〜13を省略し、タッチパネル2の操作領域2a〜2dに触れたことによって直ちに操作領域2a〜2dの操作状態を示す信号(図4に示したタッチパネル2の出力端子OUT_A〜OUT_Dからの出力信号)が表示機能付スイッチ装置20のコネクタfから出力されるようにしてもよい。そのようにした場合にも、操作者がタッチパネル2の操作領域2a〜2dでの選択対象を豊かな情報量の表示内容によって認識して、任意の2以上の対象を同時に選択したことを示す信号を出力させることができるという効果は、やはり得ることができる。
本発明を適用した表示機能付スイッチ装置の外観例を示す図である。 図1の表示機能付スイッチ装置の内部構造を示す分解図である。 図2のタッチパネルの操作領域を、シート上のリングとともに示す図である。 タッチパネルの回路構成を示す図である。 図2のシャッター板及びフォトインタラプタの部分の構造を示す図である。 シャッター板の作用点が持ち上がった状態を示す図である。 図2の板状部材の下面の突起部を示す図である。 タッチパネルを押した際のストロークとシャッター板の作用点の動作量とフォトインタラプタのオン/オフ動作との関係を示す図である。 タッチパネルで生成された信号を外部に出力させるための回路を示す図である。 図1の表示機能付スイッチ装置を複数個装着可能にしたルーターパネルの外観例を示す図である。 図10のルーターパネルにおける表示機能付スイッチ装置の表示例を示す図である。 ルーターパネルにおける図1の表示機能付スイッチ装置の別の配列例を示す図である。 図1の表示機能付スイッチ装置をリモートコマンダとして使用する例を示す図である。 図1の表示機能付スイッチ装置をテレビゲームコントローラとして使用する例を示す図である。
符号の説明
1 表示装置、 2 タッチパネル、 2a〜2d 操作領域、 3 ワク、 4 板状部材、 4a 歯車、 4b 突起部、 5 ラック、 6 シャッター板、 6a 力点、 6b 支点、 6c 作用点、 7 フォトインタラプタ、 7a 発光部、 7b 受光部、 8 コイルバネ、 9 ケース、 b,d,e基板、 c フレキシブルケーブル、 f コネクタ、 g 誤操作防止用リングシート、 ga〜gd リング、 SW_A〜SW_D スイッチ、 10〜13 アンド回路、 20 表示機能付スイッチ装置、 21 ルーターパネル、 30 リモートコマンダ、 32 テレビゲームコントローラ

Claims (5)

  1. フルカラー映像信号を表示可能な表示装置と、
    前記表示装置の画面上に配置された、複数の操作領域を有し、各操作領域に対応して操作状態を示す信号を生成するタッチパネルと、
    前記表示装置を画面に垂直な方向に変位可能に支持する弾性部材と、
    前記表示装置が画面に対して下方向に所定距離変位したことを検知する検知機構と、
    前記検知機構で前記所定距離変位したことが検知されたことを条件として、前記タッチパネルで生成された信号を外部に出力する回路と
    を備えたことを特徴とする表示機能付スイッチ装置。
  2. 請求項1に記載の表示機能付スイッチ装置において、
    前記検知機構は、
    フォトインタラプタと、
    テコの原理を用いて構成され、支点・力点間の距離が支点・作用点間の距離よりも長く、作用点が前記フォトインタラプタの発光部と受光部の間の位置に配置されたシャッター板と、
    前記表示装置と連動して画面に垂直な方向に変位し、画面に対して下方向に前記所定距離変位したときに、前記シャッター板の力点を押し下げることにより前記シャッター板の作用点を加速して持ち上げる突起部と
    から成ることを特徴とする表示機能付スイッチ装置。
  3. 請求項1に記載の表示機能付スイッチ装置において、
    前記タッチパネルの各々の前記操作領域の上に、該操作領域の周辺部に対応する部分がリング状に隆起した部材が配置されている
    ことを特徴とする表示機能付スイッチ装置。
  4. フルカラー映像信号を表示可能な表示装置と、
    前記表示装置の画面上に配置された、複数の操作領域を有し、各操作領域に対応して操作状態を示す信号を出力するタッチパネルと
    を備えたことを特徴とする表示機能付スイッチ装置。
  5. 請求項4に記載の表示機能付スイッチ装置において、
    前記タッチパネルの各々の前記操作領域の上に、該操作領域の周辺部に対応する部分がリング状に隆起した部材が配置されている
    ことを特徴とする表示機能付スイッチ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013105593A (ja) * 2011-11-11 2013-05-30 Tokyo Broadcasting System Television Inc 調光操作卓および操作装置

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