JP2008274949A - 内燃エンジンの作動方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高速回転エンジンの場合も所望の燃料量を内燃エンジンに供給できるような内燃エンジンの作動方法を提供する。
【解決手段】燃焼室(3)が形成されているシリンダ(2)であって、燃焼室(3)が往復動可能にシリンダ(2)内で支持されているピストン(5)によって画成され、ピストン(5)がクランクケース(4)内に回転可能に支持されているクランク軸(7)を駆動するようにした前記シリンダ(2)と、燃料を内燃エンジン(1)に供給するための出口(37)を備えた少なくとも1つの配量弁(17)を含んでいる燃料系(29)と、制御器(28)とを備えた内燃エンジンの作動方法に関する。配量弁(17)に燃料を所定の圧力で供給し、制御器(28)が、配量弁(17)の出口(37)での背圧を考慮して配量弁(17)の開弁時点と閉弁時点とを設定するとともに、配量弁(17)が設定された時点で開閉するように該配量弁(17)を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃エンジンの作動方法に関するものである。
内燃エンジンに、燃料ポンプと配量弁とを備えた燃料系を介して燃料を供給することは知られている。
作動時、内燃エンジンの燃焼室内部とクランクケース内部の圧力は非常に大きく変動する。圧力は1回のサイクル内でピストンの位置と回転数および負荷との双方に依存して変動する。内燃エンジンに対しわずかに過圧で燃料を供給する配量弁の場合、内燃エンジンに供給される燃料量は内燃エンジン内部の圧力によって影響を受ける。
変動する圧力の、内燃エンジンに供給される燃料量に対する影響を少なくするため、配量弁に供給される燃料の圧力をフィードバックすることが知られている。これにより燃料と内燃エンジンとの差圧は一定に維持される。
特に、たとえばパワーソー、研削切断機等の手で操縦される作業機で使用され、回転数が10000回/分以上に達することのあるような高速エンジンの場合、圧力を燃料系にフィードバックすることは不可能であり、或いは、可能であってもかなりのコストが必要である。
本発明の課題は、高速回転エンジンの場合も所望の燃料量を内燃エンジンに供給できるような内燃エンジンの作動方法を提供することである。
この課題は請求項1の構成によって解決される。
配量弁の開弁時点および/または閉弁時点の制御を、実際に支配している背圧を考慮して設定することにより、供給されるべき燃料量を簡単に比較的正確に配量することができる。燃料系に変化を起こさせる必要はない。燃料は所定の圧力で、特に一定の圧力で配量弁へ搬送することができる。クランクケース圧力に対して燃料圧を整合させる必要はない。これにより燃料系の構成が簡潔になる。前記所定の燃料圧は、たとえば、変動するクランクケース圧力によって駆動されるポンプが燃料を搬送する際に発生する。この場合圧力変動は、内燃エンジンが長時間にわたって部分負荷で作動することによって生じる。内燃エンジンの始動時にも、燃料の過圧を生じさせるためにクランクケース内に十分な負圧は提供されない。しかしながら、燃料圧はすべての作動状態にわたって実質的に一定であるので有利である。これはたとえば圧力調整器および蓄圧器を適宜構成することにより達成できる。燃料圧のフィードバック制御は行われない。
配量弁は、燃料を、特に内燃エンジンの、クランクケース圧力が支配的な領域に供給する。クランクケース圧力はクランクケースと連通している領域、すなわち2サイクルエンジンの場合には掃気通路内で支配的である。この場合、たとえばクランクケースと掃気通路との間のわずかに差圧は無視することができ、或いは、補償することができる。その際燃料圧はたかだか最大クランクケース圧力に相当している。特に燃料圧は最大クランクケース圧力よりも小さい。これにより、燃料を搬送するために、変動するクランクケース圧力によって駆動されるポンプ、特にダイヤフラムポンプを使用することができる。この場合、燃料圧は少なくとも1つの作動状態に対し、有利にはすべての作動状態に対し、高々この作動状態での最高クランクケース圧力に相当している。最大クランクケース圧力は通常全負荷時に発生する。他の作動状態では、それぞれの作動状態の最高クランクケース圧力は最大クランクケース圧力以下である。
有利には、配量弁が燃料を内燃エンジンの掃気通路内へ供給するのがよい。この場合、内燃エンジンは特に2サイクルエンジンである。有利には、配量弁に、燃料を、周囲圧ないし周囲圧に対し2バールの過圧に相当する圧力で供給するのがよい。圧力は周囲圧に対し特にほぼ0.3バールないしほぼ2バールの過圧であり、有利にはほぼ0.5バールないしほぼ1.5バールの過圧である。合目的には、燃料圧が周囲圧ないし該周囲圧に対しほぼ0.5バールの過圧、特にほぼ0.05バールないしほぼ0.3バールの過圧であるのがよい。このようにわずかな過圧で燃料を供給するため、燃料ポンプは簡潔に構成されていてよい。配量弁も簡潔な構成を持つことができる。燃料を非常にわずかな過圧で搬送する燃料系の場合、配量弁で実際に支配的な背圧を考慮して正確な燃料配量を行なうのが有利である。というのは、内燃エンジン内部の圧力に対しわずかな差圧があるために、内燃エンジン内部での圧力変動が燃料供給量にかなりの程度影響するからである。これに対し、燃料を非常に高圧で供給する配量弁、特に噴射弁の場合には、背圧はほとんどの場合無視できるほど小さい。
良好な燃料供給と、これと同時に燃料の小さな過圧とを達成するため、本発明によれば、絶対燃料圧と絶対クランクケース平均圧力との比はほぼ1.3ないしほぼ2.8、特にほぼ1.7ないしほぼ2.2である。クランクケース平均圧力とは、クランク軸が完全に一回転する間の平均圧力である。燃料圧とクランクケース平均圧力とは、周囲圧に対する相対圧としてではなく絶対圧として比率に換算される。したがって、燃料圧はクランクケース平均圧力のほぼ1倍ないしほぼ3倍である。燃料圧が小さいため、燃料ポンプは簡潔に構成できる。
掃気通路への燃料の供給は、燃焼室内での層状給気が可能であるように行なうのが有利である。このため、掃気通路内の圧力が、よってクランクケース内の圧力も比較的高い場合に、燃料が掃気通路内へ供給される。この場合、掃気通路に燃料を供給し、他方掃気通路を燃焼室に対し開口させるのが有利である。
また、本発明によれば、配量弁が燃料をクランクケース内へ供給する。この場合、燃料は直接クランクケース内部空間へ供給される。クランクケース内では、クランクケース内の可動部品によって、供給された燃料の調製が行なわれる。これにより、非常に小さな過圧のもとでクランクケース内への燃料の供給が行なわれる。本発明によれば、配量弁に、燃料を、ほぼ0.5バール以下の周囲圧に相当する圧力で、特に周囲圧に対するほぼ0.05バールないしほぼ0.3バールの過圧に相当する圧力で供給する。この場合、絶対燃料圧と絶対クランクケース平均圧力との比がほぼ0.0ないしほぼ1.7、特にほぼ0.9ないしほぼ1.2であるのが有利である。この場合、燃料圧はすべての作動状態に対し一定であり、他方クランクケース平均圧力は作動状態に応じて変化するのが有利である。
クランク軸が1回転している間にクランクケース圧力はかなり変化し、部分的には燃料系内の圧力以上になることがある。それ故、非常に小さな過圧で燃料を供給する場合、本発明によれば、特定の時点でのみ燃料を供給する。アイドリング時にはわずかな量の燃料を供給すればよい。十分に正確な配量を可能にするため、本発明によれば、アイドリング時に、燃料を、周囲圧と周囲圧に対するほぼ0.3バール、特に周囲圧と周囲圧に対するほぼ0.1バールの負圧との間の圧力に相当する圧力がクランクケース内で支配する時点で供給する。これは通常はピストンの下死点直後に与えられている。この範囲ではクランクケース圧力はほぼ一定であり、周囲圧よりもわずかに小さいにすぎない。クランクケース内の圧力が均一でほぼ一定であることにより、燃料系内の圧力とクランクケース圧力との間の差圧は一定になる。それ故、この範囲では、燃料が供給される時間は供給された燃料量にほぼ比例している。これにより燃料の正確な配量が簡単に可能になる。燃料系内の圧力とクランクケース圧力との間の差圧は比較的小さい。それ故、わずかな量の燃料を供給するためにも比較的長い時間が必要である。配量弁を介して燃料を供給する場合、配量弁はある程度の時間的公差をもって反応する。この時間的公差のために、配量弁の切換え時間が非常に短い場合、実際に供給された燃料量は供給されるべき燃料量と比較的大きく食い違う。これは、クランクケース内の負圧が小さい状態で燃料を供給するために必要な時間が比較的長ければ回避することができるので、燃料の正確な配量を簡単に達成できる。
全負荷時には内燃エンジンの多量の燃料を供給せねばならない。このような燃料量を供給できるようにするため、本発明によれば、全負荷時においては、クランクケース内の圧力が燃料圧以下であるような時点で燃料を供給する。この場合、クランクケース圧力はできるだけ小さく、その結果燃料系内の圧力に対し大きな差圧が生じる必要がある。本発明によれば、配量弁は、早くとも、クランクケース圧力が燃料の圧力以下に低下したときに開く。これにより、空気が吸気通路から燃料系内へ到達することが回避される。配量弁は、遅くとも、クランクケース圧力が再び燃料系内の圧力の値へ上昇したときに閉じられる。
合目的には、前記出口で支配する背圧を、出口空間内に配置されている圧力センサによって測定するのがよい。出口空間とは、前記出口と流動的に連通しているすべての領域であって前記出口で支配的な圧力が支配している前記すべての領域を含むものである。この場合、出口空間は燃料の配量の間前記出口と連通している。本発明によれば、測定した背圧を直接考慮してよい。測定した背圧を介して制御器は配量弁の開弁時点および/または閉弁時点を整合させる。また、背圧を、負荷を考慮して考慮してもよい。負荷はクランクケース内部の圧力に対しかなりの影響力を持っているので、配量弁の開弁時点および/または閉弁時点を整合させるには、負荷を考慮すれば十分である。負荷に依存するパラメータとしてクランクケース圧力を検出するのが有利である。配量弁の開弁時点および/または閉弁時点を整合させるためにクランクケース圧力を背圧として直接関連付ける代わりに、クランクケース圧力を介してまず負荷を検出し、配量弁の開弁時点および/または閉弁時点を求めて負荷を考慮してもよい。このことは、関連付けを簡単なアルゴリズムまたは特性曲線として表わすか、或いは、たとえばクランクケース圧力を直接に考慮して面倒な演算が必要であるかどうかに依存している。
負荷に依存するパラメータとして、特にクランクケース圧力を検出する。しかし、負荷に依存するパラメータとして、内燃エンジンの吸気通路内に配置されているスロットル要素の位置を検出してもよい。吸気通路は内燃エンジンに燃焼空気を供給する。吸気通路内に配置されているスロットル要素の位置の検出を介して、内燃エンジンの負荷を推定することが可能である。スロットル要素が完全に開いている場合には、エンジンは全負荷で作動しており、他方スロットル要素が部分的または完全に閉じている場合には、部分負荷作動またはアイドリング作動である。合目的には、スロットル要素が該スロットル要素と相対回転不能に結合されるスロットル軸を有し、スロットル要素の位置を、スロットル軸の回転位置を検出するスロットル軸センサによって測定するのがよい。このようにして負荷を簡単に特定することができる。
また、本発明によれば、負荷に依存するパラメータとして内燃エンジンの吸気通路内の圧力を検出してもよい。この圧力は特に吸気通路内に配置されているスロットル要素の下流側で検出される。これによっても簡単に負荷検出が可能である。
また、背圧を、エンジン回転数を考慮して考慮してもよい。内燃エンジンの回転数もクランクケース内の圧力に、よって配量弁の出口での背圧に影響力を持っている。エンジン回転数は、有利には、クランク軸に配置されている発電機を介して検出する。発電機は他の電気消費装置のために電流を発声させるためにも、特に制御器に給電するためにも用いることができる。有利には、負荷と回転数の双方を、背圧を考慮する際に考慮するのがよい。
本発明によれば、制御器が供給されるべき燃料供給量に依存して開弁時点と閉弁時点とを設定し、供給されるべき燃料供給量を内燃エンジンの各サイクルに対し求める。供給されるべき燃料供給量をサイクルに整合して求めることにより、内燃エンジンの非常に良好な作動特性が得られる。変化した条件に対する迅速な整合が可能であるので、内燃エンジンは迅速に反応する。
有利には、配量弁の開弁時点と閉弁時点とを、参照背圧に対し供給されるべき燃料供給量に依存して求め、前記時点の少なくとも一方を、前記出口での背圧を考慮したパラメータに依存して補正するのがよい。配量弁の開弁時点と閉弁時点とをまず求め、次に補正することにより、前記時点の検出も補正も比較的簡単であり、きわめて迅速に行なうことができる。この場合、補正を特性曲線を介して行なうのが有利である。しかし、補正を演算を介して行なってもよい。また、必要とする燃料量と、前記出口での背圧を考慮した少なくとも1つのパラメータとを求め、開弁時点と閉弁時点とを前記必要とする燃料量と前記少なくとも1つのパラメータとを用いて設定するようにしてもよい。この場合には、参照背圧に対する開弁時点と閉弁時点との設定は行なわず、むしろ開弁時点と閉弁時点とを直接燃料量とパラメータとから設定する。これにより、事前に設定した時点を補正する場合よりも、開弁時点と閉弁時点との設定をより正確に行なうことができる。開弁時点と閉弁時点とは、燃料量とパラメータとを用いて特性曲線を介して設定または演算する。
本発明の思想は、内燃エンジンに供給されるべき燃料供給量に関わる。有利には、全負荷時の内燃エンジンに、ピストンの1回の行程につき、内燃エンジンのパワーに関して1キロワットにつき0.0006gないし0.0015gの燃料を供給するのがよい。本発明によれば、全負荷時の内燃エンジンに、1回のエンジンサイクルにつき且つ1リットルの行程容積につき0.025gないし0.006gの燃料を供給する。特に、アイドリング時の内燃エンジンに、1回のエンジンサイクルごとに、定格回転数の際の内燃エンジンに1回のエンジンサイクルで供給される燃料量の1/3ないし1/4の量の燃料を供給する。これにより内燃エンジンの安定な作動特性が達成される。同時に良好な排ガス値を得ることができる。
次に、本発明の実施形態を添付の図面を用いて詳細に説明する。
図1に図示した内燃エンジン1は単気筒エンジンとして構成され、パワーソー、研削切断機、刈払い機等の手で操縦される作業機の工具を駆動するために用いる。本発明による方法は他のエンジンにも適用することができる。内燃エンジン1はシリンダ2を有し、シリンダ2内には燃焼室3が形成されている。燃焼室3はピストン5によって画成されている。ピストン5はシリンダ2内を往復動可能に支持され、連接棒6を介して、クランクケース4内に回転可能に支持されているクランク軸7を回転駆動させる。クランクケース4には、ピストン5によって開閉制御される吸気通路12が通じている。吸気通路12内には、スロットル軸14を備えたスロットルバルブ13が回動可能に支持されている。スロットルバルブ13を操作するため、スロットル軸14にはスロットルレバー15が相対回転不能に配置されている。スロットルレバー15には、図1には図示していないスロットルコントロールケーブルが係合することができる。スロットル軸14の、スロットルレバー15とは反対側には、スロットル軸センサ16が配置されている。スロットル軸センサ16はたとえばポテンショメータとして構成されていてよい。スロットル軸センサ16はスロットル軸14の回転位置を検出し、よってスロットルバルブ13の位置を検出する。内燃エンジン1は、スロットル軸センサ16が接続されている制御器28を有している。吸気通路12は吸気口8によってシリンダ2に開口している。燃焼室3からは排気口9が出ており、排気口9は吸気口8に対しほぼ対向するようにシリンダ2の周部に配置されている。
ピストン5が図1に図示した下死点領域にあるとき、クランクケース4は、排気口に近い掃気通路11と吸気口に近い掃気通路11とを介して、燃焼室3と連通している。吸気口に近い2つの掃気通路10と排気口に近い2つの掃気通路11とが設けられ、このうち図1にはそれぞれ1つが図示されている。図示していない掃気通路10,11は図1において排気口9を分割する断面前方に配置されている。
燃料を供給するため、内燃エンジン1は燃料系29を有している。燃料系29は、燃料タンク20と、燃料ポンプ19と、燃料管18と、配量弁17とを含んでいる。燃料ポンプ19は燃料を燃料タンク20から燃料管18を介して配量弁17へ搬送する。燃料ポンプ19は燃料を一定の圧力で配量弁17へ搬送する。配量弁17での圧力を一定にするため、圧力制限弁が燃料管18内に配置されている。配量弁17は吸気口に近い掃気通路10に配置され、その出口37によって吸気口に近い掃気通路10に開口している。配量弁17は制御器28と接続されている。制御器28は配量弁17の出口37の開閉を制御する。配量弁17は特に電磁弁であってよい。
クランクケース4には、圧力センサ21と温度センサ22が配置されている。圧力センサ21はクランクケース4内の圧力Pクランクケースを測定し、温度センサ22はクランクケース4内の温度を測定する。圧力センサ21と温度センサ22も制御器28と接続されている。
圧力センサ21に加えて、或いは、圧力センサ21の代わりに、スロットルバルブ13の下流側で吸気通路12内の圧力P吸気を測定する圧力センサ21’が設けられている。圧力センサ21’も制御器28と接続されている。
クランクケース4の外側には、クランク軸7に、該クランク軸7の回転により電流を発生させる発電機23が配置されている。発電機23は、クランク軸7の回転数nと位置とを検出するための信号を発する。発電機23にオーバーラップするように、クランク軸7上に配置されるファンホイール24が配置されている。ファンホイール24の周部には磁極片26が配置されている。磁極片26はファンホイール24に配置されている永久磁石の磁場をファンホイールの周部へ誘導する。ファンホイール24の周部には点火モジュール25が配置されている。点火モジュール25では、ファンホイール24が回転したときに永久磁石により電圧が誘導される。この電圧は点火電圧を提供する。内燃エンジン1の燃焼室3内には点火プラグ27が突出している。点火モジュール25は点火プラグ27と直接結合されていてよいが、点火モジュール25と点火プラグ27とが制御器28と接続されているように構成してもよい。点火プラグ27への電圧の供給を発電機23を介して行なってもよい。発電機23は制御器28と接続されており、制御器28は発電機信号を評価して、内燃エンジン1の回転数nとクランク軸7の位置とを検出する。この場合、クランク軸7の位置はクランク軸7が1回転するごとに1回または複数回検出してよい。
内燃エンジン1が作動すると、ピストン5の上昇行程時に、燃焼空気が吸気通路12を介して吸気口8によりクランクケース4内へ吸い込まれる。ピストン5の下降行程時には、クランクケース4内の燃焼空気が圧縮される。下降するピストン5が掃気通路10と11を燃焼室3に対し開口させると、燃焼空気はクランクケース4から燃焼室3内へ溢流する。配量弁17は燃焼空気に燃料を供給する。生じた燃料空気混合気は燃焼室3内で上昇ピストン5によって圧縮され、上死点領域で点火プラグ27により点火される。燃焼によりピストン5はクランクケース4のほうへ下方へ加速される。排気口9が開口すると、排気ガスが燃焼室3から排出される。掃気通路10と11が燃焼室3に対し開口すると、燃焼室3内に残っている排気ガスが、掃気通路10,11を介して燃焼室3内へ流入してくる燃焼空気により掃気される。
燃料ポンプ19は一定の圧力Pで配量弁17に燃料を搬送する。燃料搬送装置の構成によっては、異なる作動状態に対し異なる燃料圧Pを発生させてもよい。有利には、適当な調整装置と制御装置とにより燃料圧を十分一定に保持するのがよい。出口37での圧力に依存した燃料圧Pの追従制御は行わない。燃料圧Pは有利には周囲圧なしい該周囲圧に対しほぼ2バール以下の超過圧力であるのがよい。特に、超過圧力は周囲圧力に対しほぼ0.3バールないしほぼ2バール、有利にはほぼ0.5バールないしほぼ1.5バールであるのがよい。周囲圧力に対しほぼ1バールの超過圧力の燃料圧Pが特に有利である。しかしながら、最大で最大クランクケース圧Pmaxに対応し、特にこの最大クランクケース圧Pmaxよりも小さな燃料圧P’でもよい。これを図3に図示した。配量弁17の出口37での圧力は、ピストン5の運動のため、および、種々の負荷状態が発生するため、大きく変動する。掃気通路10がクランクケース4と連通しているために、出口37での圧力はクランクケース4内の圧力に相当している。出口37での圧力は、該出口37と連通している出口空間(本実施形態では掃気通路10,11内およびクランクケース4内)の圧力に相当している。出口空間とは、特に、燃料を拝領する間に出口37と連通している空間である。
図2は、クランク軸7が1回転する間の、周囲圧力に対する超過圧力としてのクランクケース圧力Pクランクケースを示している。クランク軸7の位置はクランク軸角度αとして記載されている。曲線30は全負荷時における周囲圧力に対するクランクケース4内の相対圧力を表わし、曲線31は低部分負荷時における前記相対圧力を表わしている。図2が示すように、クランクケース圧力Pクランクケースはクランク軸7が1回転する間に大きく変動し、周囲圧力よりも高い場合と低い場合とがある。クランク軸角度α=180゜はピストン5の下死点UTを表わし、クランク軸角度α=360゜または0゜はピストン5の上死点OTを表わしている。時点UOは掃気通路10と11が燃焼通路3に対し開口したことを示し、時点USはピストン5によって掃気通路10と11が閉じたことを示している。圧力Pは、出口37から掃気通路10へ侵入する燃料の圧力を示している。この圧力Pは一定であり、本実施形態では1バールである。図2には、さらに、クランクケース平均圧力P平均、すなわち曲線30に示した全負荷時の圧力経過の典型例としての、内燃エンジン1の1サイクルにわたるクランクケース4内の平均圧力が示されている。この場合、燃料圧Pは、絶対圧として記載した当該燃料圧Pが絶対圧として記載したクランクケース平均圧力P平均に対し、ほぼ1.3ないしほぼ2.8バール、特にほぼ1.7ないしほぼ2.2バールであるように選定されている。燃料圧Pはすべての作動状態にわたって一定であるのが有利であり、他方クランクケース平均圧力P平均は作動状態に応じて変化するのが有利である。発生する、絶対的な燃料圧と絶対的なクランクケース平均圧力との比は、すべての作動状態に対し、記載した値範囲内にあるべきである。有利には、燃料圧P’が、たかだか、図4に図示した最大クランクケース圧力Pmaxにほぼ対応しているのがよい。この最大クランクケース圧力Pmaxは、時点UOで掃気通路10,11が開口したときに発生する。最大クランクケース圧力Pmaxは、特に、内燃エンジン1のすべての作動状態にわたってクランクケース4内に発生する最も大きな圧力を表わしている。
作動時には、内燃エンジン1の制御器28は、内燃エンジン1の各サイクルに対し、供給すべき燃料の供給量を決定する。サイクルという概念は、2サイクルエンジンの場合、クランク軸7の1回転に関わるものである。4サイクルエンジンの場合には、1回のサイクルはクランク軸の2回転を含んでいる。制御器28は、供給すべき燃料を、たとえば内燃エンジン1の負荷L、温度、および/または回転数nに依存して決定することができる。供給すべき燃料供給量に基づいて、制御器28は配量弁17に対し開弁時点tと閉弁時点tとを設定し、これら設定した時点t、tで配量弁17が開閉するように該配量弁17を制御する。なお、時点t、tの一方を設定し、他方の時点t、tを、供給すべき燃料供給量に依存して制御器28によって設定するようにしてよい。また、時点t、tを制御器28により可変に設定してもよい。
低部分負荷時には、制御器28によって求めた燃料供給量を供給するために配量弁17が時点tで開き、時点tで閉じるように構成する。時点t、tにおける燃料圧Pとクランクケース圧力Pクランクケースとの差圧は比較的大きい。時点tでは燃料圧Pに対し差圧dがあり、時点tでは差圧dがある。本実施形態の場合、差圧dと差圧dはほぼ同じ大きさである。クランクケース圧力Pクランクケースは時点tと時点tの間で変化するが、この変化は比較的小さい。
全負荷時には、曲線30が示すように、クランクケース圧力Pクランクケースは時点tと時点tでかなり大きい。全負荷時の時点tでの燃料圧Pとクランクケース圧力Pクランクケースとの差圧dは、低部分負荷時の差圧dよりもかなり小さい。時点tでの燃料圧Pとクランクケース圧力Pクランクケースとの差圧dも低部分負荷時の差圧dよりも小さい。差圧が小さいと、配量弁17の開弁時点tが同じで且つ閉弁時点tが同じであれば、部分負荷時よりも全負荷時のほうが燃料供給量は少ない。これを補償するため、配量弁17の開弁時間を延長させることができる。このため、閉弁時点tをこれよりも遅い閉弁時点t’へシフトし、或いは、開弁時点tをこれよりも早い開弁時点t’へシフトさせる。開弁時点tと閉弁時点tの双方をシフトさせてもよい。配量弁17の開弁時点をシフトさせることにより、開弁時間を配量弁17の出口37での背圧に整合させることができる。
図2が示すように、時点t’で、時点tでの差圧dよりも小さな、燃料圧Pに対すね差圧d’が支配する。時点t’での差圧d’は時点tでの差圧dよりも大きい。これらの変化した差圧d’、d’も、配量弁17の開弁時点tおよび閉弁時点tの整合の際に考慮せねばならない。クランクケース内部の種々の圧力レベルを考慮するため、よって出口37における背圧を考慮するため、たとえば開弁時点tおよびエンジン負荷に依存する閉弁時点tを特性曲線にファイルすることができる。特性曲線には、参照背圧に対して求めた閉弁時点を補正するための、閉弁時点tに対する補正ファクタをも記載することができる。
図2が示しているように、配量弁17は、掃気通路10に燃料を供給する場合、掃気通路10が開口した後の時点と掃気通路10が閉じる前の時点とで開いている。時点t,t,t’,t’は時点UOとUSの間にある。したがって、掃気通路10が燃焼室3に対し開口し且つ燃焼空気がクランクケース4から燃焼室3内へ溢流した場合にだけ燃料が掃気通路10内へ供給される。この時間の間、掃気通路10内の圧力は比較的高い。配量弁17における、この比較的高い背圧は、燃料を含んでいる掃気通路10内の燃焼空気と、きわめて少量の燃料しか含んでいないか、或いは全く含んでいないクランクケース4内の燃焼空気との間に良好な層状給気を生じさせる。したがって、配量弁17が開く前に、クランクケース4から、燃料をほとんど含んでいない空気が燃焼室3内へ流入する。この燃料を含んでいない空気は、燃焼空気と混合してその後から流れてくる燃料を、前回のサイクルで燃焼室3内に残っていた排気ガスから分離させる。これにより内燃エンジンの小さな排ガス値を達成することができる。
図3のグラフにも、全負荷に対するクランクケース圧力Pクランクケースを曲線30で、低部分負荷に対しては曲線31で示してある。配量弁17の出口37における背圧に対し整合させるためには、必ずしも配量弁17の開弁時間を変化させる必要はない。図3が示すように、開弁時点tをこれよりも後の開弁時点t”へシフトさせ、閉弁時点tをこれよりも後の閉弁時点t”へシフトさせて、背圧に対する整合を達成してもよい。開弁時点t”での燃料圧Pに対する差圧d”は開弁時点tでの差圧dよりも大きい。同様に、閉弁時点t” での差圧d”は閉弁時点t での差圧dよりも大きい。開弁時点tと閉弁時点tをこれよりも後の時点へシフトさせることにより、燃料圧Pとクランクケース圧力Pクランクケースとの差圧が大きくなる。これにより、配量弁17の開弁時間を長くすることなく、内燃エンジン1に供給される燃料の量を増大させることができる。図3が示すように、本実施形態でも、差圧d”,d”は、曲線31によって示されている、低部分負荷時での時点tおよびtにおける差圧d,dよりも小さい。本実施形態では、開弁時点tと閉弁時点tをシフトさせることにより配量弁17での背圧は完全に補償されない。それ故、付加的に開弁時間を延長させてよい。
図4は同様にクランクケース圧力Pクランクケースとクランク軸角度αとの関係を示したものである。曲線32は第1の低回転数でのクランクケース4内の圧力経過を示し、曲線33は第2の高回転数での圧力経過を示している。図4が示すように、高回転数時の圧力は、掃気通路が開口した時点と閉鎖した時点との間で、掃気通路が開口した後の短時間の部分を除けば、低回転数時の圧力よりも大きい。したがって、回転数も配量弁17の出口37での背圧に対し影響力を持っている。両曲線32,33は負荷が同じである場合の圧力経過、すなわち全負荷時の圧力経過を示している。内燃エンジン1に、制御器28によって設定した量の燃料を供給するには、第1の低回転数の場合(曲線32)、配量弁17を時点tで開き、時点tで閉じねばならない。第2の高回転数の場合(曲線33)には、燃料の圧力P(図2、図3)に対する時点t1,での差圧はより小さく、その結果同じ開弁時点および閉弁時点で少量の燃料が供給される。低回転数の場合と同量の燃料を供給するため、開弁時点tをこれよりも早い開弁時点t’へシフトさせ、閉弁時点tをこれよりも早い閉弁時点t’へシフトさせることができる。また、開弁時点tまたは閉弁時点tのいずれか一方をシフトさせてもよい。整合のため、開弁時点tと閉弁時点tの双方をこれよりも後の時点へシフトさせ、その際図3において異なる負荷に対する整合に関し述べたように、配量弁17の開弁時間を不変にさせるようにしてもよい。
図5と図6は、配量弁17の出口37における背圧を考慮する方法を概略的に示したものである。図5の方法は、供給されるべき燃料の量を求めるステップ38を考慮している。ステップ39では、供給されるべき燃料の量に対し、参照背圧に対する配量弁17の開弁時点tと閉弁時点tとを求める。ステップ40では、出口37における背圧を考慮するための1個または複数個のパラメータを求める。パラメータはたとえばクランクケース内の圧力、内燃エンジンの負荷、或いは内燃エンジンの回転数である。この場合負荷は、クランクケース内の圧力Pクランクケース、吸気通路内に配置されているスロットル要素の位置、或いは、吸気通路内の圧力P吸気を介して考慮することができる。クランクケース内の圧力Pクランクケースは圧力センサ21によって測定され、吸気通路内の圧力P吸気は圧力センサ21’によって測定され、スロットルバルブ13の位置はスロットル軸センサ16によって測定される。有利には、背圧を複数個のパラメータ(たとえば負荷および回転数)を介して考慮して、燃料の比較的正確な配量を達成するようにするのがよい。しかし、背圧を部分的にのみ補償し、複数個のパラメータのうちの1つのパラメータ(たとえば回転数)を考慮するようにしてもよい。
ステップ41では、開弁時点tおよび/または閉弁時点tを、背圧を考慮するためのパラメータに依存して補正する。この場合、前記時点のうちの一方を補正するが、両方の時点を補正するようにしてもよい。補正はたとえば特性曲線を介して、或いは、演算を介して行なうことができる。補正の場合、背圧の圧力経過をクランク軸角度に依存して考慮するのが有利である。ステップ42では、設定した時点で配量弁17を制御器28により開閉させる。
図6に概略的に示した方法も、ステップ43において、1回のサイクルで供給されるべき燃料供給量を検出する工程を考慮している。検出は図5の方法の場合と同様に行なう。ステップ44では、背圧を考慮するためのパラメータを求める。このステップは図5のステップ40に対応している。ステップ45では、配量弁17の開閉時点を、供給されるべき燃料供給量と背圧を考慮するための1個または複数個のパラメータとを用いて直接に求める。この検出は、1個または複数個の特性曲線を介して、或いは、演算を介して行なう。ステップ46では、求めた時点t,tで配量弁17を開閉させる。
図7には、配量弁17の開弁時点tを求めるための特性曲線が図示されている。図示した実施形態では、閉弁時点tは一定に保持される。開弁時点tはクランク軸角度αとして記載されている。開弁時点tは時間的にはピストン5の上死点の前にある。したがって、クランク軸角度αがより大きければ開弁時点tがより遅くなることを表わしており、すなわち閉弁時点tが同じであれば、配量弁17の開弁時間はより短くなる。この特性曲線では、開弁時点tは負荷Lおよび回転数nに依存したものとして図示されている。なお、負荷Lと回転数nのそれぞれの組み合わせに1つの開弁時点tが割り当てられており、その結果この特性曲線から、負荷Lと回転数nのそれぞれの組み合わせに対し1つの開弁時点tを求めることができる。
図8は、図1に図示した内燃エンジン1の構成に実質的に対応している内燃エンジン1の1実施形態を示している。なお、図8では、簡単のために、たとえばセンサ、制御器等の内燃エンジン1の構成要素をすべて図示していない。図8に図示した内燃エンジン1が図1に図示した内燃エンジン1と異なっているのは、配量弁17が掃気通路10,11に配置されているのではなく、クランクケース4に配置されている点である。したがって配量弁17は燃料を直接クランクケース内部空間内に供給する。図8が示すように、吸気通路12はエアフィルタ34を備えており、該エアフィルタ34を介して周囲空気がクランクケース4内へ吸い込まれる。
図9は、内燃エンジン1のアイドリング時のクランクケース4内の圧力経過を曲線48でもって示したものである。曲線48は圧力を絶対圧力として示している。周囲圧P周囲は破線で示してある。同様に、得られるクランクケース平均圧力P平均が破線で示してある。クランクケース平均圧力P平均は周囲圧P周囲よりも下にある。配量弁17には燃料圧Pで燃料が供給される。燃料圧Pは周囲圧P周囲ないしほぼ0.5バール、特に周囲圧P周囲に対しほぼ0.05バールないしほぼ0.3バールの超過圧を有している。図示した実施形態では、燃料圧Pは周囲圧P周囲に対しほぼ0.1バールの超過圧を有している。クランクケース4内への燃料供給に対する上記圧力範囲は、掃気通路10内への燃料供給に対しても有利である。
図9が示すように、アイドリング時には、配量弁17を、ピストン5の下死点UT直後の時点tで開き、掃気通路が閉じる(US)直前の時点tで閉じるようになっている。したがって配量弁17は燃料を供給し、他方配量弁10,11は燃焼室3に対して開口する。ピストン5の下死点UT直後のこの時間の間、クランクケース圧力Pクランクケースはほぼ一定であり、周囲圧P周囲の範囲にある。この場合、クランクケース圧力Pクランクケースは周囲圧P周囲と該周囲圧P周囲に対しほぼ0.3バールの負圧との間、特に周囲圧P周囲と該周囲圧P周囲に対しほぼ0.1バールの負圧との間にあるのが有利である。燃料圧Pとクランクケース圧力Pクランクケースとの間の差圧が小さいので、少量の燃料を正確に配量することもできる。クランクケース圧力Pクランクケースはほぼ一定であるので、配量弁17の開弁時間は供給される燃料の量にほぼ比例しており、その結果開弁時間を、よって開弁時点tと閉弁時点tとを簡単に設定することができる。図9が示すように、燃料圧Pはアイドリング時の最大クランクケース圧力Pクランクケースよりも小さい。
図10は全負荷時のクランクケース圧力Pクランクケースの経過を示している。曲線49は平均回転数でのクランクケース内の絶対圧を示しており、曲線50は高回転数時のクランクケース内の絶対圧を示している。得られたクランクケース平均圧力P平均は、曲線50での圧力経過に対し典型的なものが示されている。燃料圧Pは最大クランクケース圧力Pmaxよりもかなり低く、またクランクケース平均圧力P平均よりも低い。なお、最大クランクケース圧力Pmaxは全負荷時に発生するものである。また、燃料圧Pは、アイドリング時および部分負荷時または平均回転数で発生する最高のクランクケース圧力Pクランクケースよりも大きい。
曲線49で示した圧力経過の場合、掃気通路10,11が閉じる前の時点tで配量弁17を開くようになっている。配量弁17は上死点前の時点tで閉じる。時点tでも時点tでもクランクケース圧力Pクランクケースは燃料圧Pよりも低い。これにより、燃料がクランクケース内へ吸い込まれ、燃焼空気はクランクケース4から燃料系へ侵入しないよう保証されている。
曲線50で示した、高回転数時のクランクケース内の圧力経過の場合、配量弁17を、掃気通路を閉じた(US)後の時点t’で開く構成になっている。時点t’では、クランクケース圧力Pクランクケースは燃料圧Pよりもわずかに低い。曲線50で示した圧力経過の場合、配量弁17は、上死点OT後の時点t’であってクランクケース圧力Pクランクケースがほぼ周囲圧P周囲に対応しているような前記時点t’で閉じられる。上記時点t,t’,t,t’は、クランクケース圧力Pクランクケースが燃料圧P以下であるように選定されている。閉鎖時点t,t’は、燃料供給量をより多くする場合にはより遅く選定することができる。この場合閉鎖時点t,t’は、クランクケース圧力Pクランクケースが燃料圧Pを越えて上昇するような時点の前にあるように選定するのが有利である。
燃料を直接クランクケース内へ供給するため、絶対燃料圧Pと絶対クランクケース平均圧力P平均との比はほぼ0.0ないしほぼ1.7、特にほぼ0.9ないしほぼ1.2である。これはすべての作動状態に対し適用される。クランクケース圧力Pクランクケースが燃料圧Pよりも低い場合にだけ配量弁17が開くことにより、燃料圧Pを非常に低く選定することができる。これにより燃料系の構成が簡潔になる。有利には、すべての作動状態に対し燃料圧Pが最大クランクケース圧力max以下であるのがよい。特に高回転数に対しては、有利には平均回転数に対しても、燃料圧Pが最大クランクケース圧力maxに対応するように構成されている。
本発明の思想は、ピストン5の1回の行程につき内燃エンジン1に供給されるべき燃料供給量に関わる。全負荷の場合、ピストン5の1回の行程につき内燃エンジン1に供給されるべき燃料供給量は、有利には0.0006g/kWと0.0015g/kWとの間にある。行程容積に関しては、供給されるべき燃料供給量はピストン5の1回の行程につき且つ1リットル行程容積につき有利には0.025gないし0.06gである。このような燃料供給量により内燃エンジン1の静穏な回転を達成できる。同時に排ガス値を少なくさせることができる。アイドリング時に供給される燃料供給量は、1回のエンジンサイクルにつき、有利には定格回転数で1回のエンジンサイクルにつき供給される燃料量のほぼ1/3ないし1/4である。配量弁17は、上記燃料量が内燃エンジン1のどのサイクルでも供給できるように構成されている。この供給されるべき燃料供給量は、特に内燃エンジン1が単気筒2サイクルエンジンとして構成されている場合に有利である。上記燃料供給量は、配量弁の出口での背圧を考慮しないで配量弁の開閉時点を設定するような内燃エンジンの作動に対しても有利である。
内燃エンジンの部分断面斜視図である。 クランク軸の1回転にわたる内燃エンジンのクランクケース内での圧力経過を示すグラフである。 クランク軸の1回転にわたる内燃エンジンのクランクケース内での圧力経過を示すグラフである。 クランク軸の1回転にわたる内燃エンジンのクランクケース内での圧力経過を示すグラフである。 内燃エンジンを作動させるための本発明による方法のフローチャートである。 内燃エンジンを作動させるための本発明による方法のフローチャートである。 負荷と回転数とに依存して弁の開弁時点を求めるための特性曲線の図である。 内燃エンジンの一例の概略図である。 クランク軸の1回転にわたる内燃エンジンのクランクケース内の圧力経過と配量弁の開弁時点および閉弁時点とをと示すグラフである。 クランク軸の1回転にわたる内燃エンジンのクランクケース内の圧力経過と配量弁の開弁時点および閉弁時点とをと示すグラフである。
符号の説明
1 内燃エンジン
2 シリンダ
3 燃焼室
4 クランクケース
5 ピストン
17 配量弁
28 制御器
29 燃料系
37 配量弁の出口
,P’,P 燃料圧
,t’,t” 配量弁の開弁時点
,t’,t” 配量弁の閉弁時点

Claims (26)

  1. 燃焼室(3)が形成されているシリンダ(2)であって、燃焼室(3)が往復動可能にシリンダ(2)内で支持されているピストン(5)によって画成され、ピストン(5)がクランクケース(4)内に回転可能に支持されているクランク軸(7)を駆動するようにした前記シリンダ(2)と、燃料を内燃エンジン(1)に供給するための出口(37)を備えた少なくとも1つの配量弁(17)を含んでいる燃料系(29)と、制御器(28)とを備えた内燃エンジンの作動方法において、配量弁(17)に燃料を所定の圧力(P,P’,P)で供給し、制御器(28)が、配量弁(17)の出口(37)での背圧を考慮して配量弁(17)の開弁時点(t,t’,t”)と閉弁時点(t,t’,t”)とを設定するとともに、配量弁(17)が設定された時点(t,t’,t”;t,t’,t”)で開閉するように該配量弁(17)を制御するようにした内燃エンジンの作動方法。
  2. 配量弁(17)に燃料を一定の圧力(P,P’,P)で供給することを特徴とする、請求項1に記載の内燃エンジンの作動方法。
  3. 配量弁(17)が、燃料を、内燃エンジン(1)の、クランクケース圧力(Pクランクケース)が支配的な領域に供給することを特徴とする、請求項1または2に記載の内燃エンジンの作動方法。
  4. 燃料圧(P’,P)がたかだか最大クランクケース圧力(Pmax)に相当していることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一つに記載の内燃エンジンの作動方法。
  5. 配量弁(17)が燃料を内燃エンジン(1)の掃気通路(10,11)内へ供給することを特徴とする、請求項3または4に記載の内燃エンジンの作動方法。
  6. 配量弁(17)に、燃料を、周囲圧(P周囲)ないしほぼ2バール以下の圧力(P,P’)で、特に周囲圧(P周囲)に対しほぼ0.3バールないしほぼ2バールの超過圧に相当する圧力(P,P’)で供給することを特徴とする、請求項5に記載の内燃エンジンの作動方法。
  7. 絶対燃料圧(P,P’)と絶対クランクケース平均圧力(P平均)との比がほぼ1.3ないしほぼ2.8、特にほぼ1.7ないしほぼ2.2であることを特徴とする、請求項5または6に記載の内燃エンジンの作動方法。
  8. 掃気通路(10,11)に燃料を供給し、他方掃気通路(10,11)を燃焼室(3)に対し開口させることを特徴とする、請求項5から7までのいずれか一つに記載の内燃エンジンの作動方法。
  9. 配量弁(17)が燃料をクランクケース(4)内へ供給することを特徴とする、請求項3または4に記載の内燃エンジンの作動方法。
  10. 配量弁(17)に、燃料を、周囲圧(P周囲)ないしほぼ0.5バールの圧力(P)で、特に周囲圧(P周囲)ないし該周囲圧(P周囲)に対しほぼ0.05バールないしほぼ0.3バールの過圧に相当する圧力(P)で供給することを特徴とする、請求項9に記載の内燃エンジンの作動方法。
  11. 絶対燃料圧(P)と絶対クランクケース平均圧力(P平均)との比がほぼ0.0ないしほぼ1.7、特にほぼ0.9ないしほぼ1.2であることを特徴とする、請求項9または10に記載の内燃エンジンの作動方法。
  12. アイドリング時に、燃料を、周囲圧(P周囲)と周囲圧(P周囲)に対するほぼ0.3バールの負圧との間の圧力に相当する圧力(Pクランクケース)がクランクケース(4)内で支配する時点で供給することを特徴とする、請求項9から11までのいずれか一つに記載の内燃エンジンの作動方法。
  13. 前記出口(37)で支配する背圧を圧力センサ(21)によって測定し、測定した背圧を直接考慮することを特徴とする、請求項1から12までのいずれか一つに記載の内燃エンジンの作動方法。
  14. 背圧を、負荷(L)を考慮して考慮することを特徴とする、請求項1から13までのいずれか一つに記載の内燃エンジンの作動方法。
  15. 負荷に依存するパラメータとしてクランクケース圧力(Pクランクケース)を検出することを特徴とする、請求項14に記載の内燃エンジンの作動方法。
  16. 負荷に依存するパラメータとして、内燃エンジン(1)の吸気通路(12)内に配置されているスロットル要素の位置を検出することを特徴とする、請求項14に記載の内燃エンジンの作動方法。
  17. スロットル要素が該スロットル要素と相対回転不能に結合されるスロットル軸(14)を有し、スロットル要素の位置を、スロットル軸(14)の回転位置を検出するスロットル軸センサ(16)によって測定することを特徴とする、請求項16に記載の内燃エンジンの作動方法。
  18. 負荷に依存するパラメータとして内燃エンジン(1)の吸気通路(12)内の圧力(P吸気)を検出することを特徴とする、請求項17に記載の内燃エンジンの作動方法。
  19. 背圧を、エンジン回転数(n)を考慮して考慮し、エンジン回転数(n)を、クランク軸(7)に配置されている発電機(23)を介して検出することを特徴とする、請求項1から18までのいずれか一つに記載の内燃エンジンの作動方法。
  20. 制御器(28)が供給されるべき燃料供給量に依存して開弁時点(t,t’,t”)と閉弁時点(t,t’,t”)とを設定し、供給されるべき燃料供給量を内燃エンジン(1)の各サイクルに対し求めることを特徴とする、請求項1から19までのいずれか一つに記載の内燃エンジンの作動方法。
  21. 配量弁(17)の開弁時点(t)と閉弁時点(t)とを、参照背圧に対し供給されるべき燃料供給量に依存して求め、前記時点(t,t)の少なくとも一方を、前記出口(37)での背圧を考慮したパラメータに依存して補正し、該補正を特性曲線または演算を介して行なうことを特徴とする、請求項1から20までのいずれか一つに記載の内燃エンジンの作動方法。
  22. 必要とする燃料量と、前記出口(37)での背圧を考慮した少なくとも1つのパラメータとを求め、開弁時点(t,t’,t”)と閉弁時点(t,t’,t”)とを前記必要とする燃料量と前記少なくとも1つのパラメータとを用いて設定することを特徴とする、請求項1から20までのいずれか一つに記載の内燃エンジンの作動方法。
  23. 開弁時点(t,t’,t”)と閉弁時点(t,t’,t”)とを前記必要とする燃料量と前記少なくとも1つのパラメータとを用いて特性曲線を介して設定するまたは演算することを特徴とする、請求項2に記載の内燃エンジンの作動方法。
  24. 全負荷時の内燃エンジン(1)に、ピストンの1回の行程につき、内燃エンジン(1)のパワーに関して1キロワットにつき0.0006gないし0.0015gの燃料を供給することを特徴とする、請求項1から23までのいずれか一つに記載の内燃エンジンの作動方法。
  25. 全負荷時の内燃エンジン(1)に、1回のエンジンサイクルにつき且つ1リットルの行程容積につき0.025gないし0.006gの燃料を供給することを特徴とする、請求項1から24までのいずれか一つに記載の内燃エンジンの作動方法。
  26. アイドリング時の内燃エンジン(1)に、1回のエンジンサイクルごとに、定格回転数の際の内燃エンジン(1)に1回のエンジンサイクルで供給される燃料量の1/3ないし1/4の量の燃料を供給することを特徴とする、請求項1から25までのいずれか一つに記載の内燃エンジンの作動方法
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