JP2008274928A - 保炎マージンの範囲内で作動させるのを可能にするための方法及びシステム - Google Patents

保炎マージンの範囲内で作動させるのを可能にするための方法及びシステム Download PDF

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Abstract

【課題】タービンエンジンの保炎マージンの範囲内で作動させるのを可能にするためのシステムを提供する。
【解決手段】本システムは、タービンエンジン内に結合されかつ内側バンド(50)及び外側バンド(46)間で延びる少なくとも1つのベーンを含む少なくとも1つのタービンノズルセグメントと、燃料源からの設計燃料と、少なくとも1つのベーンの表面内に形成されかつ設計燃料を用いてタービン性能を最適化するように設計された少なくとも1つの燃料噴射オリフィスと、少なくとも1つの燃料噴射オリフィスを通して加圧流体流内に送られて噴流貫通高さを確立する非設計燃料と、噴流貫通高さを減少させるのを可能にしかつ保炎マージンを増大させるのを可能にする作動ウインドウ(110)とを含む。
【選択図】 図3

Description

本発明は、総括的にタービン組立体に関し、より具体的には、タービン作動時に保炎マージンを制御するのを可能にするための方法及びシステムに関する。
一般的に、発電システムで使用するタービン組立体は、特定の燃料を用いるように設計される。より具体的には、公知のタービンは、作動時に規制窒素酸化物(NOx)エミッションレベルを達成するように設計される。しかしながら、気体燃料の費用が高くなったので、気体燃料供給を確保することが困難になってきたのと同時に、少なくとも幾つかの公知のタービンは、代替燃料で作動させなければならなくなってきた。
タービン組立体を作動させる少なくとも幾つかの公知の方法は、廃熱を用いてタービンに供給する燃料の温度を高めることによって、燃料消費量を節約している。タービンに供給する燃料の温度を高めることによって、燃料をタービン作動温度にするのに必要なエネルギーがより少なくなる。例えば、2500°Fの作動温度を有するタービンでは、100°Fの初期温度を有する燃料は、廃熱を用いて約300〜400°Fに加熱され、次に燃料を2500°Fの作動温度に加熱するために付加的エネルギーが必要とされる。従って、廃熱を用いて燃料を予熱することにより、対応する所望の電力量を生成する排気温度に到達させるのに必要なエネルギー量を低減することが可能になる。
設計外(非設計)気体燃料でこれら方法を使用することは、燃料ノズルの保炎マージンを所望の許容限界値以下に低下させる可能性がある。保炎は、燃料ノズルを損傷させて、局所的最大タービンエンジン作動温度を超えた高温ストリークを発生させ、従ってタービンに故障を引き起こすおそれがある。さらに、保炎マージンを超えることはまた、燃料ノズルの耐用年数を制限するおそれがあり、また/或いは燃焼器ライニングに損傷を生じさせるおそれがある。
米国特許第7,185,495号公報 米国特許第7,007,477号公報 米国特許第6,438,961号公報 米国特許第6,651,439号公報 米国特許第6,513,318号公報 米国特許第6,269,646号公報 米国特許第5,636,510号公報 米国特許第5,211,004号公報
1つの実施形態では、タービンエンジンの保炎マージンの範囲内で作動させるのを可能にする方法を提供する。本方法は、内側バンド及び外側バンド間で延びる少なくとも1つのベーンを含む少なくとも1つのタービンノズルセグメントをタービンエンジン内に結合する段階を含む。本方法はまた、少なくとも1つのベーンの表面内に少なくとも1つの燃料噴射オリフィスを配置する段階と、少なくとも1つの燃料噴射オリフィスを通して燃料を加圧流体流内に送って噴流貫通高さを確立する段階と、噴流貫通高さを減少させかつ保炎マージンを増大させるのを可能にするように燃料の作動パラメータを調整することによって、作動ウインドウを定める段階とを含む。
別の例示的な実施形態では、タービンエンジンの保炎マージンの範囲内で作動させるのを可能にするためのシステムを提供する。本システムは、タービンエンジン内に結合された少なくとも1つのタービンノズルセグメントを含み、少なくとも1つのタービンノズルセグメントは、内側バンド及び外側バンド間で延びる少なくとも1つのベーンを含む。本システムはまた、燃料源からの設計燃料と、少なくとも1つのベーンの表面内に形成された少なくとも1つの燃料噴射オリフィスとを含み、少なくとも1つの燃料噴射オリフィスは、設計燃料を用いてタービン性能を最適化するように設計される。非設計燃料は、少なくとも1つの燃料噴射オリフィスを通して加圧流体流内に送られて噴流貫通高さを確立し、また作動ウインドウは、噴流貫通高さを減少させるのを可能にしかつ保炎マージンを増大させるのを可能にする。
さらに別の例示的な実施形態では、タービンエンジンを開示する。本タービンエンジンは、ノズル組立体を含み、ノズル組立体は、内側バンドと、外側バンドと、該内側バンド及び外側バンド間で延びる少なくとも1つのベーンとを含む。ベーンは、設計燃料を用いて性能を最適化するように設計されかつそこから非設計燃料を送って保炎マージンを制御するのを可能にするように構成された複数の燃料噴射オリフィスを含む。
図1は、例示的なノズル組立体10の断面図である。この例示的な実施形態では、ノズル組立体10は、機能によって4つの領域に分割され、それら領域には、入口流調整装置(IFC)12、燃料噴射を備えたスワーラ組立体14、環状燃料流体混合通路16及び中心拡散火炎燃料ノズル組立体18が含まれる。ノズル組立体10はまた、入口端部22及び吐出端部24を有する高圧プレナム20を含む。高圧プレナム20は、ノズル組立体10を囲む。吐出端部24はノズル組立体10を囲まず、むしろ吐出端部24は、燃焼器反応ゾーン26内に延びる。IFC12は、無孔円筒形壁30によって形成された環状流路28を含む。壁30は、通路28の内径32を定め、有孔円筒形外壁34は外径36を定める。有孔端部キャップ38は、ノズル組立体10の上流端部40に結合される。この例示的な実施形態では、流路28は、1つ又はそれ以上の環状旋回ベーン42を含む。作動時に、加圧流体は、端部キャップ38及び円筒形外壁34内の多孔を介してFIC12に流入する。さらに、この例示的な実施形態では、ノズル組立体10は、設計気体燃料と加圧流体とを燃焼前に混合するのを可能にする予混合気体燃料回路を形成することを理解されたい。
本明細書で用いる場合、「設計気体燃料」という用語は、対応するタービンエンジンが計画的に需要電力出力を達成するのを可能にするように本来選択された特定の気体燃料である。非設計(設計外)気体燃料もまた、タービンエンジンに出力させるように用いることができるが、設計気体燃料とは異なっている。この例示的な実施形態では、設計気体燃料はメタン系の気体である。しかしながら、他の実施形態では、設計気体燃料は、本明細書に記載するようにタービンエンジンに出力させるのを可能にするあらゆる気体燃料とすることができることを認識されたい。この例示的な実施形態では、非設計気体燃料には、それに限定されないが、液化天然ガス(LGN)、設計外気体燃料及びプロセス気体燃料のような非メタン系気体燃料が含まれる。
図2は、ノズル組立体10(図1に示す)で使用することができる例示的なスワーラ組立体14の拡大斜視図である。図3は、スワーラ組立体14の一部分の拡大斜視図である。スワーラ組立体14は複数のベーン44を含み、ベーン44は各々、外面48を有する半径方向外側バンド46と外面52を有する半径方向内側バンド50との間で延びる。各ベーン44は、負圧側壁54及び正圧側壁56を含む。負圧側壁54は、凸面形であり、ベーン44の負圧側面を形成し、また正圧側壁56は、凹面形であり、ベーン44の正圧側面を形成する。側壁54及び56は、ベーン44の前縁58及び軸方向に間隔を置いた後縁60において接合される。
負圧及び正圧側壁54及び56は、それぞれ半径方向内側バンド50と半径方向外側バンド46との間でスパンにわたって長手方向に延びる。ベーン根元62は、内側バンド50に隣接するものとして形成され、ベーン先端64は、外側バンド46に隣接するものとして形成される。
旋回ベーン44は、スワーラ組立体14を通過する加圧流体に旋回を与えることを理解されたい。さらに、旋回ベーン44は各々、各ベーン44のコア(図示せず)内に形成された主燃料供給通路66及び二次燃料供給通路68を含む。この例示的な実施形態では、各ベーン正圧側面56は、複数の気体燃料噴射オリフィス70及び複数の二次気体燃料噴射オリフィス72を含む。この例示的な実施形態では、オリフィス70及び72は各々、ほぼ円形であり、オリフィス70はオリフィス72よりも大きい断面積を有する。主噴射オリフィス70及び二次噴射オリフィス72は、各ベーン44の正圧側壁56を貫通することを理解されたい。さらに、他の実施形態では、燃料噴射オリフィス70及び72は、それぞれベーンの負圧側面54上に或いは正圧及び負圧側面56及び54の両方上に設置することができることを認識されたい。さらに、オリフィス70及び72はほぼ円形形状を有するものとして説明したが、他の実施形態では、オリフィス70及び72は、ノズル組立体10が本明細書に記載するように機能することができるあらゆる形状、配向又は構成を有することができる。
作動時に、主燃料通路66及び二次燃料通路68は、それぞれ主噴射オリフィス70及び二次噴射オリフィス72に気体燃料を分配する。気体燃料は、入口ポート74(図1に示す)並びに環状予混合気体燃料通路76及び78(図1に示す)を通ってスワーラ組立体14に流入する。環状予混合気体燃料通路76及び78は、それぞれ主及び二次燃料供給通路66及び68に燃料供給する。気体燃料は、スワーラ組立体14内で加圧流体と混合し、燃料/空気の混合は、環状予混合通路16(図1に示す)内で完了する。通路16は、ノズルハブ延長部80(図1に示す)及びノズルシュラウド延長部82(図1に示す)によって形成される。燃焼用の加圧流体のほとんどは、IFC12を介してノズル組立体10に流入し、IFC12から流出した後に、スワーラ組立体14を通して送られることを認識されたい。環状予混合通路16から流出した後に、燃料/空気混合気は、燃焼器反応ゾーン26に流入し、この燃焼器反応ゾーン26内で、混合気は点火される。複数のノズル組立体10はタービンハウジング(図示せず)の周りに環状アレイの形態で設けられることを理解されたい。本明細書で用いる場合の「流体」という用語は、それに限定されないがガス及び空気を含む、流動するあらゆる媒体又は物質を含むことを認識されたい。
予混合ノズル組立体10は、「ソフト燃料ノズル」として作動する。本明細書で用いる場合、「ソフト燃料ノズル」という用語は、燃料通路76及び78(図1に示す)内にフィードバックさせることができる燃焼圧力波を意味する。従って、この例示的な実施形態では、燃料供給圧力を燃焼器圧力で除算したものと定義した燃料ノズル圧力比は、約1.07〜1.10よりも小さい。そのような圧力比範囲以上では、ノズル組立体10は、「ハード燃料ノズル」と呼ばれ、損傷ダイナミックスが発生する可能性がある。別のタイプの損傷ダイナミックスは、燃料ノズル圧力比が許容最小燃料ノズル圧力比以下になった時に発生する可能性がある。このような損傷ダイナミックスは、タービンエンジンを急速に破壊するおそれがある。従って、この例示的な実施形態では、安全な燃料ノズル圧力比範囲は、最小燃料圧力比と1.07〜1.10との間である。非設計気体燃料温度を変更することにより、ダイナミックスの発生成長に影響を与えることができることを理解されたい。
図4は、例示的な気体燃料噴流84及び対応する保炎マージン86の拡大断面図である。正圧側面56に対してほぼ垂直な噴射角で主燃料噴射オリフィス70を通して非設計気体燃料を噴射すると、非設計燃料は燃料噴流84を形成する。燃料噴流84が噴射オリフィス70から流出すると、燃料噴流84は、高速移動している加圧流体直交流88に遭遇し、この加圧流体直交流88は、強制的に燃料噴流84が正圧側面56にほぼ平行に流れるようにする。一旦構成されると、燃料噴流84は、保炎マージン86の発生成長を引き起こす。燃料噴流84は、正圧側面56にほぼ平行に流れかつ該正圧側面56から貫通高さPHだけ距離を置いていることを認識されたい。貫通高さPHは、加圧流体直交流88内への相対的最大非設計気体燃料噴流貫通高さを表す。非設計気体燃料噴流貫通高さPHを減少させることによって、また設計気体燃料反応度に比較して非設計気体燃料反応度を低下させることによって、保炎マージン86は、安定化させ、実質的に縮小し或いは排除することができる。非設計気体燃料はまた、それに限定されないが外側バンドの内面47(図2に示す)及び外面52(図2に示す)のような非ベーン44表面上に投射することができ、これら表面もまた、保炎、逆火又はその両方を引き起こす可能性があることを認識されたい。燃料噴流84の運動量が許容範囲内にない場合には、乱流(図示せず)が発生し、この乱流により、下流スワーラ組立体14内で流れ剥離が生じる可能性がある。
図5は、予混合ノズル組立体10の非設計気体燃料用の例示的な作動ウインドウ90を示す概略図である。より具体的には、作動ウインドウ90は、貫通高さPH、温度92及び燃料ノズル圧力比範囲94の関数として示している。この例示的な実施形態では、作動ウインドウ90は、保炎の悪影響を防止するのを可能にする、用いる非設計気体燃料に特有のレジームを定める。
貫通高さPHは、((ρ燃料×V 燃料)/(ρ空気×V 空気))1/2に比例し、ここで、ρ燃料は非設計気体燃料の密度、V燃料は非設計気体燃料の速度、ρ空気は加圧流体直交流88(図4に示す)の密度、またV空気は加圧流体直交流88の平均速度である。加えて、気体燃料の質量流量は、ρ×A×Vによって与えられ、ここで、ρは気体燃料の密度、Aは燃料噴射オリフィス70又は72(図3に示す)の有効断面積、またVは気体燃料の速度である。貫通高さPHを決定するパラメータ(ρ燃料、V燃料、ρ空気、V空気)、及び質量流量を決定するパラメータ(ρ、A、V)を操作することによって、各非設計気体燃料に対して複数の異なる作動ウインドウ90を生成することができる。燃料供給圧力を燃焼器圧力で除算したものと定義した燃料ノズル圧力比は、作動ウインドウ90を決定する又は生成するのを可能にする別のパラメータである。燃料ノズル圧力比は、これもまた燃料ノズル圧力比範囲94を操作する又は見直すことを可能にする気体燃料供給圧力を操作することによって調整することができるが、しかしながら、非設計気体燃料の加熱を必要とする可能性があることを認識されたい。
作動ウインドウ90はまた、非設計気体燃料温度92を操作することにより非設計気体燃料の密度を変化させることによって変更することができる。非設計気体燃料を冷却することによって、線102、104、106及び108によって囲まれる面積によって定まる燃料ノズル圧力比(FNPR)範囲94内に維持した状態で、ノズル組立体10を通してより多くの非設計気体燃料を流すことができる。同様に、その温度92を上昇させることによって非設計気体燃料の密度を変化させることにより、燃料ノズル圧力比(FNPR)範囲94内に維持した状態で、ノズル組立体10を通してより少ない非設計気体燃料を流すようにする。非設計気体燃料温度92を上昇させることは、燃料密度を減少させるだけでなく、非設計気体燃料速度も低下させることを理解されたい。非設計気体燃料速度を低下させることはまた、関連する気体燃料圧力低下を引き起こす。この例示的な実施形態では、燃料ノズル圧力比範囲94内に維持したより低温非設計燃料を供給して、依然として所望のタービンエンジン出力に十分な燃料を供給しながら燃焼ダイナミックス要件を満たすことが望ましいが、しかしながら、非設計燃料を加熱することが必要となる可能性がある。燃料温度を変化させることは、非設計燃料が所望のエンジン出力範囲で作動することを可能にする。加えて、燃料温度を変化させることはまた、設計燃料で許容される電力出力の範囲を増大させるのを可能にすることができる。例えば、燃料温度を低温にすることは、燃料反応度を低下させ、それによって保炎及び自動点火傾向を減少させ、従って付加的作動マージンを与えるのを可能にすることができる。
保炎マージン境界線96は、該境界線96上方の保炎領域98と該境界線96下方の非保炎領域100との間を区別する。保炎マージン境界線96は、燃料特有のものでありかつ用いる非設計気体燃料の反応度に応じて決まり、従って全てのタイプの非設計気体燃料で異なることを認識されたい。保炎領域98は、保炎マージン86が存在することを示し、また非保炎領域100は、保炎マージン86が全く存在しないことを示す。この例示的な実施形態ではまた、50%の水素(H2)及び50%の一酸化炭素(CO)を含む非設計気体燃料の2つの異なる温度における熱的温度線を示している。より具体的には、第1の熱的温度線102は、約300°Fの温度92を有する非設計気体燃料を表す。第2の熱的温度線104は、約80°Fの温度92での同じ非設計気体燃料を表す。さらに、燃料ノズル圧力比範囲94は、圧力比下限値106及び圧力比上限値108によって定まる。
熱的温度線102上方にありかつ同時に燃料圧力比範囲94内にある境界線96下方の領域は、約300°Fの温度92で所定の非設計気体を用いるタービンエンジンに対応する作動ウインドウ90を定める。同様に、境界線96と熱的温度線104との間でありかつ同時に燃料圧力比範囲94内にある境界線96下方の領域は、約80°Fの温度92で所定の非設計気体を用いるタービンエンジンのための作動ウインドウ90を定める。熱的温度線102及び104を比較することによって理解することができるように、低温非設計気体を用いることは、噴流貫通高さPHを約3分の1だけ減少させるのを可能にする。従って、非設計気体燃料の温度92を低温にすることは、貫通高さPHを減少させるのを可能にし
かつ保炎マージン86を実質的に縮小又は排除することを理解することができる。非設計気体燃料を冷却することは、燃料運動量比を低下させかつ低い噴流貫通高さPHを有するより低温噴流を生成するので、保炎マージン86を縮小させることが可能になる。
燃料噴射オリフィス70及び72のような固定ジオメトリを有する燃料オリフィスでは、圧力は(V 燃料×ρ燃料)/2に比例する(ここで、V燃料は非設計気体燃料の速度であり、ρ燃料は非設計気体燃料の密度である。)ことを理解されたい。従って、低修正ウォッベ指標(MWI)非設計気体燃料のような、高体積流量要件を有する燃料は、設計気体と同じ電力出力を発生するように十分に冷却して、設計気体燃料ノズルを備えたタービンエンジンが、低MWI非設計気体燃料を用いて「ソフト燃料ノズル」として作動することができるようにすることができる。ウォッベ指標は通常、熱含量(LHV)を分子量比の平方根で除算したものであることを認識されたい。修正ウォッベ指標(MWI)は、気体が異なる温度にありかつその単位が絶対温度の平方根を有することになると想定している。本明細書で用いる場合、低MWI非設計気体燃料は、約15〜70の範囲にあり、これは、MWI設計気体とは異なる。メタン系天然気体燃料は一般的に、燃料温度及び組成に応じて約39〜55のMWIを有する。さらに、タービンエンジンの負荷の増大は、火炎温度を高めることによって満たされることを認識されたい。大きなタービンエンジン負荷を満たすために、非設計気体燃料の温度92範囲は、異なるMWIを有する1つ又はそれ以上の燃料の場合に、燃料圧力比により低減することができる。
この例示的な実施形態では、非設計気体燃料は、地下パイプラインを通してタービンエンジンに供給され、従って比較的一定かつ低温の非設計気体燃料供給が保証されることを認識されたい。しかしながら、他の実施形態では、本明細書に記載するようにノズル組立体10を機能させるように、あらゆる手段を用いて非設計気体燃料を冷却することができる。さらに、この例示的な実施形態は冷却した非設計気体燃料として説明しているが、他の実施形態では、非設計気体燃料の様々な組成を用いることができ、用いる非設計気体の組成に応じて、そのような燃料は、設計気体燃料ノズルを備えたタービンエンジンが「ソフト燃料ノズル」として作動するように加熱又は冷却することができることを認識されたい。非設計気体燃料を冷却する場合には、より低温の温度を制限するか又は冷却のために幾つかの燃料成分の濃度の低下を必要とするか或いはその両方となる可能性がある凝縮の露点及びバルブにおけるジュールトムソン効果の適正な配慮を考慮するべきである。非設計気体燃料を冷却することは、燃料の反応度を低下させ、保炎及び自動点火を可能な限り減少させることを認識されたい。
幾つかの非設計気体燃料は、既存の設計気体燃料作動を可能にするものよりも大きな燃料噴射オリフィスを必要とするより高い体積流量を有することを理解されたい。その結果、より高いMWIを有する非設計気体燃料でタービンを作動させることは、最小許容燃料ノズル圧力比を維持するのを可能にしかつより低いMWI指標を有する燃料で「保炎」しないようにするために、燃料ノズル組立体10ごとに1つの予混合燃料通路76又は78(図1に示す)を備えたノズル組立体10内での予混合作動中に加熱を必要とする可能性がある。本明細書で用いる場合、高MWI非設計気体燃料は、設計気体よりも高いMWIを有する。
保炎マージン86を制御することにより、窒素酸化物(NOx)エミッションを低減するのを可能にする非設計燃料を使用することが可能になることを認識されたい。より具体的には、保炎マージン86を制御することによって、より広範な非設計気体燃料を使用することが可能になるので、燃焼時に本質的に又はより効果的にNOx及びCOエミッションを低減する非設計気体燃料を燃焼器設計に用いることができる。例えば、非設計気体燃料が燃焼時に100万分の1(1PPM)のNOxを生成しまた設計気体燃料が燃焼時に5PPMのNOxを生成する場合には、非設計気体燃料を用いてタービンエンジンを作動させてNOxエミッションを低減するほうが良いと言える。さらに、設計気体燃料は、加熱して、貫通を改善し、NOxエミッションを低減するために燃料混合をたかめ、かつ損傷ダイナミックスを減少させることができることを認識されたい。
設計気体燃料ではなく、より廉価かつより容易に入手可能な代替非設計気体燃料でタービンエンジンを作動させることによってタービンエンジンの燃料自由度を高めることが望ましい。そのような代替非設計気体燃料には、それに限定されないが、液化天然ガス(LGN)、合成ガス及びプロセスガスが含まれる。代替燃料を用いることは、予混合燃料ノズル内において十分な保炎マージンを得ることを必要とする。噴流貫通高さを制御することは、単一燃料通路での作動のための許容保炎マージンを形成し、保炎マージンを拡張することを認識されたい。
図6は、拡散ノズル組立体(図示せず)における非設計気体燃料用の別の例示的な作動ウインドウ110を示す概略図である。拡散ノズル組立体は、非設計気体燃料と加圧流体とを混合し、混合した混合物に点火する。作動ウインドウ110は、燃料ノズル圧力比112及び燃料ノズル火炎温度114の関数として示している。作動ウインドウ110は、保炎の悪影響を防止するのを可能にする、用いる非設計気体燃料に特有のレジームを定めることを理解されたい。
また、50%の水素(H2)及び50%の一酸化炭素(CO)を含む非設計気体燃料の2つの異なる温度における熱的温度線を示している。より具体的には、第1の熱的温度線116は、約300°Fの温度を有する非設計気体燃料を表す。第2の熱的温度線118は、約80°Fの温度での同じ非設計気体燃料を表す。この例示的な実施形態では、作動ウインドウ110は、その範囲にわたっては燃焼ダイナミックスが拡散ノズル組立体に容認される最小及び最大圧力比を示す。燃料温度を高めることにより、燃料密度を低下させて、同じ非設計気体燃料流の場合に燃料噴流84速度を増加させて同じ質量の燃料を燃焼室に送給するようにする。作動ウインドウ110の範囲内で作動させることは、適当なタービンエンジン出力を供給し、損傷ダイナミックスの発生成長を引き起こさないことを理解されたい。
各実施形態では、保炎マージンを制御する上述の方法は、低コストの単一予混合回路を備えた既存のタービンエンジンで安全に用いることができる燃料組成の範囲を増大させるのを可能にする。さらに、既存のタービンエンジンは、新規な燃料ノズルの設置を必要とせずに異なる燃料で作動させることができる。さらに、非設計気体燃料の加熱及び冷却回路は、サイクル損失を最小にするようにシステム内に統合することができる。そのような回路は、排気筒内で非設計気体燃料を加熱すること、及び補給水で非設計気体燃料を冷却することを含むことができる。より具体的には、各実施形態では、燃料温度を変化させること及び燃料圧力比範囲内で作動させることにより、保炎マージンを安定化させ、実質的に縮小させ、或いは非除する。その結果、既存のタービンエンジンの燃料自由度及び既存のタービンエンジンの単一燃料回路での作動が得られる。従って、費用効果がありかつ信頼性がある方法で、タービン性能及び構成部品耐用年数を各々高めることが可能になる。
以上、保炎マージンを制御する方法の例示的な実施形態を詳細に説明している。本方法は、本明細書で説明した特定のタービン実施形態で用いることに限定されるものではなく、むしろ、本方法は、本明細書で説明した他の構成要素から独立してかつ別個に利用することができる。例えば、本方法は、あらゆる公共、産業又は機械的ドライブタービンで使用することができる。さらに、本発明は、上記に詳細に説明した本方法の実施形態に限定されるものではない。むしろ、本方法の他の変更形態は、特許請求の範囲の技術思想及び技術的範囲内で利用することができる。
様々な特定の実施形態に関して本発明を説明してきたが、本発明が特許請求の範囲の技術思想及び技術的範囲内の変更で実施することができることは当業者には分かるであろう。
例示的なタービンノズル組立体の断面斜視図。 図1に示すタービンノズル組立体に用いるスワーラ組立体の拡大斜視図。 図2に示すスワーラ組立体の一部分の拡大斜視図。 例示的な燃料噴流及び保炎マージンの拡大断面図。 非設計気体燃料でノズル組立体を作動させるための例示的な作動ウインドウの概略図。 図5で用いたのと同じ非設計気体燃料でノズル組立体を作動させるための別の作動ウインドウの概略図。
符号の説明
10 ノズル組立体
12 入口流調整装置(IFC)
14 スワーラ組立体
16 混合通路
18 火炎燃料ノズル組立体
20 高圧プレナム
22 入口端部
24 吐出端部
26 燃焼器反応ゾーン
28 流路
30 無孔円筒形壁
32 内径
36 外径
38 有孔端部キャップ
40 上流端部
42 旋回ベーン
44 旋回ベーン
46 半径方向外側バンド
47 外側バンド内面
48 外面
50 半径方向内側バンド
52 外面
54 負圧側壁
56 正圧側壁
58 前縁
60 後縁
62 ベーン根元
64 ベーン先端
66 主燃料供給通路
68 二次燃料通路
70 燃料噴射オリフィス
72 二次噴射オリフィス
74 入口ポート
76 予混合気体燃料通路
78 燃料通路
80 ノズルハブ延長部
82 ノズルシュラウド延長部
84 燃料噴流
86 保炎マージン
88 流体直交流
90 作動ウインドウ
92 温度
94 ノズル圧力比範囲
96 境界線
98 保炎領域
100 非保炎領域
102 熱的温度線
104 第2の熱的温度線
106 圧力比下限値
108 圧力比上限値
110 作動ウインドウ
112 燃料ノズル圧力比
114 燃料ノズル火炎温度
116 第1の熱的温度線
118 第2の熱的温度線

Claims (10)

  1. タービンエンジンの保炎マージンの範囲内で作動させるのを可能にするためのシステムであって、
    前記タービンエンジン内に結合されかつ内側バンド(50)及び外側バンド(46)間で延びる少なくとも1つのベーンを含む少なくとも1つのタービンノズルセグメントと、
    燃料源からの設計燃料と、
    前記少なくとも1つのベーンの表面内に形成されかつ前記設計燃料を用いてタービン性能を最適化するように設計された少なくとも1つの燃料噴射オリフィスと、
    前記少なくとも1つの燃料噴射オリフィスを通して加圧流体流内に送られて噴流貫通高さを確立する非設計燃料と、
    前記噴流貫通高さを減少させるのを可能にしかつ前記保炎マージンを増大させるのを可能にする作動ウインドウ(110)と、
    を含むシステム。
  2. 前記作動ウインドウ(110)が、前記非設計燃料の作動パラメータを調整することによって確立される、請求項1記載のシステム。
  3. 前記作動ウインドウ(110)が、前記非設計燃料の温度を変化させることにより該非設計燃料の密度を調整することによって定められる、請求項1記載のシステム。
  4. 前記温度が、非設計燃料運動量比を調整するために低下される、請求項3記載のシステム。
  5. 前記作動ウインドウ(110)が、前記非設計燃料の圧力を変化させることにより燃料ノズル圧力比範囲を調整することによって定められる、請求項1記載のシステム。
  6. 前記非設計燃料が、前記設計燃料の修正ウォッベ指標よりも低い修正ウォッベ指標を有する、請求項1記載のシステム。
  7. 前記非設計燃料が、加熱されかつ前記設計燃料よりも高い修正ウォッベ指標を有する、請求項1記載の方法。
  8. 前記非設計燃料が、液化天然ガス、合成ガス及びプロセスガスの少なくとも1つである、請求項1記載の方法。
  9. ノズル組立体(18)を含み、
    前記ノズル組立体が、内側バンド(50)と、外側バンド(46)と、前記内側バンド及び外側バンド間で延びる少なくとも1つのベーン(42、44)とを含み、
    前記ベーンが、設計燃料を用いて性能を最適化するように設計されかつそこから非設計燃料を送って保炎マージンを制御するのを可能にするように構成された複数の燃料噴射オリフィス(70)を含む、
    タービンエンジン。
  10. 前記内側バンド(50)が、前記複数の燃料噴射オリフィス(70)の少なくとも1つに前記非設計燃料を供給するように構成された少なくとも1つの燃料供給通路(66)を含む、請求項9記載のタービンエンジン。
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