JP2008267597A - フィラーホース - Google Patents

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Abstract

【課題】蛇腹形状による燃料の泡立ちの問題を解消してホース径を小さくでき、これに伴って燃料透過を従来に増して低透過とすることができ、また所要コストも安価となすことのできるフィラーホースを提供する。
【解決手段】フィラーホース10を、一方の軸端から他方の軸端に到るまで、低燃料透過性の樹脂のバリア層18とゴム外層20との積層構造をなすホース本体12と、ホース本体12の各端部に装着したクイックコネクタ14とで構成する。
【選択図】 図1

Description

この発明は自動車の燃料タンクに燃料を輸送するフィラーホースに関し、特に低燃料透過性の樹脂のバリア層を積層した構造のフィラーホースに関する。
自動車の燃料タンクに燃料を輸送するフィラーホースとして、振動吸収性,組付性が良好で低燃料(ガソリン)透過性(耐燃料透過性)に比較的優れたNBR+PVC(アクリロニトリル・ブタジエンゴムとポリ塩化ビニルとのブレンド)等の一般的なゴムホースが従来用いられてきた。
しかしながらこのような一般的なゴムホースの場合、近年益々求められている低燃料透過性の要請に対しては十分に応えることはできない。
そこで燃料低透過性により優れた樹脂層をバリア層としてゴム外層の内側に内面層として積層した樹脂/ゴム複合ホースが開発され、用いられている。
しかしながらバリア層としての樹脂層は材質的にゴムよりも硬い硬質層であるため、これをゴム外層の末端に到るまで積層形成すると、ホースを相手パイプに外挿状態に挿し込んだときに、相手パイプと内面の樹脂のバリア層との密着が悪く、シール性が不十分となってしまう。
またホースを相手パイプに外挿状態に挿し込む際に、内面の樹脂のバリア層が硬く、変形抵抗が大きいために、組立作業者が挿込作業する際に大きな力を必要とし、ホースの接続作業性が悪化する問題を生ずる。
この問題の解決を目的としたものとして、下記特許文献1には図14に示すようなホースが開示されている。
同図において200は樹脂/ゴム複合ホースとしてのフィラーホースで、202はゴム外層、204はその内面に積層形成された樹脂のバリア層である。
このフィラーホース200では、金属製の相手パイプ206と接続される端部については樹脂のバリア層204を形成しないで、ゴム外層202の内面を露出させ、同内面を相手パイプ206に直接弾性接触状態に嵌合するようにしている。
また内部を流通する燃料が、ゴム外層202の露出した内面と相手パイプ206との間に浸入し、更に樹脂のバリア層204の形成されていないゴム外層202の端部を通じて外部に透過するのを防止するため、この樹脂/ゴム複合のフィラーホース200では、樹脂のバリア層204の端部に環状の凹所208を形成して、そこにフッ素ゴム等から成る低燃料透過性に優れたリング状の弾性シール部材210を装着し、その弾性シール部材210の内面に相手パイプ206を弾性接触状態で嵌合させるようにしている。
尚、図14中212は相手パイプ206の先端部に径方向外方に環状に膨出する形態で設けられた膨出部(バルジ部)であり、214は樹脂のバリア層204の形成されていないゴム外層202の端部を外周面から縮径方向に締め付けて、相手パイプ206に固定するねじ締込式のホースクランプである。
即ちこの種従来の樹脂/ゴム複合のフィラーホースにあっては、これを相手パイプ206に外挿状態に挿し込んで、ホースクランプ214による締付けにより、フィラーホース200と相手パイプ206との接続固定を行っていた。
この図14に示す樹脂/ゴム複合のフィラーホース200では、ホース端部に樹脂のバリア層204が形成されておらず、フィラーホース200を作業者が相手パイプ206に外挿状態に挿し込む際に、樹脂のバリア層204による抵抗が強く働かないことから、挿込作業を小さい力で容易に行うことが可能である。
また端部においては弾性を有するゴム外層202の内面が直接相手パイプ206と接触するため、フィラーホース200と相手パイプ206との嵌合部分を互いに密着させ、シール性を良好となすことができる。
ところで、燃料輸送を行うフィラーホースは、周辺部材との干渉を回避して配管する必要があることから、通常は所定の曲り形状をなしている。
一般的なゴムホースの場合、かかる曲り形状のホースを製造するには、下記特許文献2にも開示されているように、ゴムホースを長尺の直管状に押出成形して、これを所定寸法に切断した後、未加硫(又は半加硫)の直管ホース216(図15参照)を、所定の曲り形状を有する金属製のマンドレル218に挿し込んで曲り形状に変形させ、その状態で所定時間の加熱を行って加硫処理し、そして加硫処理が済んだところで、曲りの付与されたホース220をマンドレル218から抜き取って製品とする。
ところが図14に示すフィラーホース200の場合、このような製造方法を採用することができず、そこで図14に示す樹脂複合ホースの場合、先ずゴム外層202を単独でインジェクション成形して、その後にゴム外層202の内面に沿った形状で樹脂のバリア層204を形成する。
樹脂のバリア層204をゴム外層202の内面に沿った形状で形成する方法として、静電塗装の手法が好適に用いられる。
この静電塗装では、噴出ノズルをホースの内部、詳しくはゴム外層202の内部に挿入し、そして噴出ノズルから樹脂粉体をホース内面に向けて噴出し、静電塗装する。
この静電塗装では、樹脂粉体が負又は正に帯電(通常は負に帯電)させられ、噴出ノズルから噴出された樹脂粉末が静電場を対極(正極)となるゴム外層202の内面に向かって飛翔し、同内面に付着して樹脂の塗膜を形成する。
この静電塗装の工程では、目的とする厚みで樹脂のバリア層204を形成するために、通常複数回の静電塗装を施す。詳しくは樹脂粉体をゴム外層202の内面に付着させた後、これを加熱して溶融及び冷却し、更に再びその上から静電塗装にて樹脂粉体を吹き付けて加熱溶融及び冷却を行い、目的とする厚みの樹脂のバリア層204を形成する。
この場合の全体的な製造工程は次のようなものとなる。
即ち、先ずインジェクション成形にてゴム外層202を得た後乾燥処理し、更に前処理としての洗浄及びその後の乾燥を行い、その後に静電塗装にて樹脂粉体を内面に付着させ、その後これを溶融及び冷却した後、2回目の樹脂粉体の静電塗装及び加熱溶融,冷却固化を行う。そしてこれを所要の回数繰り返して目的の厚みの樹脂のバリア層204を形成した後、耐燃料透過性のリング状の弾性シール部材210を軸端から嵌め込んで所定位置に装着する。
以上のように図14に示す樹脂複合ホースを製造するには多数の工程が必要で、そのために必然的にフィラーホース200の製造コストが高くなってしまう。
一方、かかるフィラーホースとして、樹脂単独でホース本体を構成したもの、詳しくは内層,外層ともに樹脂で構成し、そして内層を外層よりも低燃料透過性に優れた樹脂のバリア層として、これを外層よりも薄い膜厚で形成して成る樹脂ホースも用いられている。
ところでこのような樹脂の積層ホースの場合、ホース自体の剛性が高いために、これを直管(ストレート形状管)に成形すると、成形後において所定の曲り形状とすることが難しく、そこでかかる樹脂の積層ホースからなるフィラーホースにあっては、ホース本体を蛇腹形状化し、その蛇腹形状により曲げ変形能を持たせている。
またこの樹脂の積層ホースからなるフィラーホースは、図14に示すような接続構造で相手パイプ206に接続することができず(相手パイプ206とホース端部の内面との密着性、シール性が得られないため)、そのためかかる樹脂ホースからなるフィラーホースにあっては、端部にクイックコネクタを装着して、かかるクイックコネクタにて相手パイプ206との接続を行うようにしている。
図16はその具体例を示している。
同図において、222は樹脂の積層ホースにて構成したフィラーホースで、ホース本体224が、内面層としての樹脂のバリア層204と、外面層としての樹脂外層226との積層構造をなしている。
ここで樹脂のバリア層204は例えばETFE(エチレンとテトラフルオロエチレンとの共重合樹脂)で構成され、また樹脂外層226はポリアミド樹脂にて構成される。
また樹脂のバリア層204は、場合によって2層構造で構成され、最内面層が導電層として構成されることがある。この導電層は、燃料通過時に摩擦帯電を生じるので電荷を逃がし、帯電防止するために設けられる。
ホース本体224は、略全体が蛇腹形状部228とされており、その蛇腹形状部228によって曲げ変形能が付与されている。
ホース本体224は、各端部230が部分的に直管状に形成されており、それら各端部230に、樹脂製のクイックコネクタ232が装着されている。
このクイックコネクタ232は、ワンタッチでホース本体224と相手パイプ206とを接続を可能となすもので全体として筒状(円筒状)をなしており、軸方向の一端側に、直管状の端部230に圧入される圧入部234を有しており、他端側に、径方向に弾性変形可能な係合部236を有している。
圧入部の外周面には、軸方向の複数の個所に、断面形状が略鋸歯状で先端が鋭角に尖った環状突起が抜止手段として形成されており、またクイックコネクタの内面には相手パイプ206を挿入させて、その外周面にシール状態で嵌合する雌嵌合面を備えている。
このクイックコネクタ232付きのフィラーホース222にあっては、単に相手パイプ206をクイックコネクタ232の内部に挿入するだけで、かかるクイックコネクタ232にてホース本体224と相手パイプ206とを接続することができる。
相手パイプ206をクイックコネクタ232内部に挿入すると、相手パイプ206の外周面がクイックコネクタ232の雌嵌合面にシール状態に嵌合するとともに、クイックコネクタ232の係合部236が、相手パイプ206の外周面に径方向外方に膨出する状態に環状に形成された被係合部238に対して軸方向且つ抜止方向に係合し、ここにおいてホース本体224の各端部230が相手パイプ206に軸方向に抜止状態に結合される。
このクイックコネクタ232付きの蛇腹樹脂ホースからなるフィラーホース222の場合、ホース本体224及びクイックコネクタ232に、それぞれ高い耐燃料透過性(低燃料透過性)をもたせることができる利点を有している。
一方でこのフィラーホース222にあっては、蛇腹形状部228によって燃料の流路が凹凸形状となり、これにより流路抵抗が大となって燃料が円滑に流れ難いといった問題が内在している。
こうした問題点については下記特許文献3においても指摘されている。
また燃料の流路が凹凸形状となっているために、燃料がそこを通過する際に泡立ちを生じ、燃料の注入性が悪化してしまう。
そのため燃料の注入性,円滑な流れを確保するために内径の大きな太いホースとしなければならない。
ところがフィラーホース222を内径の大きな太いホースとすると、必然的にその内面と燃料との接触面積が増大し、そのことによってフィラーホース222を透過する燃料の量が多くなってしまう。即ち燃料透過性が悪化してしまう。
更にこのフィラーホース222は、ホース本体224全体が樹脂にて構成されているため、車両走行時における耐ディッピング性(石はね)や、車両火災時にホースに生じる穴開きの問題を考慮して、筒状のゴム製のプロテクタを外装、即ちホース本体224に被せておかなければならないといった問題がある。
尚ここでプロテクタは、ホース本体224に単に被覆状態に外装されるもので、ホース本体224に対して加硫接着はされておらず、ホース本体224の一部を構成するものではない。
この樹脂製のフィラーホース222にはまた、次のような問題も内在している。
即ち、樹脂から成るホース本体224の端部230にクイックコネクタ232を装着するに際しては、先ずホース本体224の軸端を拡管した上で、クイックコネクタ232の圧入部234をその内部に圧入し、環状突起のホース本体224内面への食込みにより圧入部234を抜止状態且つシール状態に固定してクイックコネクタ232をホース本体224の端部に装着するが、硬質材である樹脂から成るフィラーホース222にあっては軸端を拡管するときの抵抗が大きく、十分にこれを拡管することが難しい。或いは無理に大きく拡管すると軸端が割れたり破断したりしてしまう。
自動車の燃料タンクは従来金属製とされており、この場合、材質的に強度の強い金属から成る燃料タンクは肉厚が薄くても十分で、従って燃料タンク側の相手パイプの外径も小さい。
これに対し、近年樹脂製の燃料タンクが広く用いられるようになってきており、この場合樹脂材は金属材に比べて強度が弱いために、これを厚肉で構成することが必要であり、これに伴って燃料タンク側の相手パイプの外径が大径化する。
例えば金属製の燃料タンクの場合、相手パイプの外径がφ25mmであったのが、樹脂製の燃料タンクでは相手パイプの外径が例えばφ35mm程度と太くなる。
この場合、フィラーホース222のホース本体224を細く構成しておくと、大径の相手パイプに対応したサイズのクイックコネクタ232を装着するために、軸端を大きく拡管しなければならないが、樹脂製のフィラーホース222ではこうしたことが困難で、そのために予めフィラーホース222を太く大径に構成しておかなければならない。このこともまたフィラーホース222を内径の大きな太いホースとせざるを得ない理由となっている。
特開2002−54779号公報 特開平11−90993号公報 特開2006−27436号公報
本発明は以上のような事情を背景とし、蛇腹形状による燃料の泡立ちの問題を解消してホース径を小さくでき、これに伴って燃料透過を従来に増して低透過とすることができ、また所要コストも安価となすことのできるフィラーホースを提供することを目的としてなされたものである。
また本発明の他の目的は、ホース本体に対してクイックコネクタを装着するに際し、ホース本体の軸端を大きく拡管することを可能となし、金属製の燃料タンクに対しても、或いはまた樹脂製の燃料タンクに対しても、同一径のホースにて対応することのできるフィラーホースを提供することを目的としてなされたものである。
而して請求項1のものは、自動車の燃料タンクに燃料を輸送するフィラーホースであって、ホース本体が一方の軸端から他方の軸端に到るまで、低燃料透過性の樹脂のバリア層と、外周側に加硫接着にて形成されたゴム外層との積層構造をなしているとともに、該ホース本体の端部には、該ホース本体と相手パイプとの接続具として、全体として筒状をなし、内面に該相手パイプを挿入させて該相手パイプの外周面にシール状態で嵌合する雌嵌合面を備えるとともに、軸方向の一端側に前記ホース本体に圧入される圧入部が、軸方向の他端側に前記相手パイプの外周面の凸状又は凹状の被係合部に対して軸方向に且つ抜止方向に係合する係合部が設けられたクイックコネクタが該圧入部において前記ホース本体に対し抜止手段にて抜止状態に固定され、該ホース本体に装着してあることを特徴とする。
請求項2のものは、請求項1において、前記ホース本体の端部が前記クイックコネクタの前記圧入部の圧入により拡管率5%〜100%の範囲内で拡管されていることを特徴とする。
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記ホース本体の一方の端部に装着されたクイックコネクタと、他方の端部に装着されたクイックコネクタとが、異なった外径を有する前記相手パイプと該ホース本体とを接続する、前記雌嵌合面及び圧入部の直径の異なったものであり、該ホース本体の前記一方の端部と前記他方の端部とが互いに異なった拡管率で拡管されていることを特徴とする。
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記ホース本体が前記バリア層とゴム外層との2層積層構造をなしており、該バリア層が該ホース本体における内面層を成していることを特徴とする。
請求項5のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記ホース本体が前記バリア層の内周側にゴム内層を有する3層積層構造をなしており、該ゴム内層が該ホース本体における内面層を成していることを特徴とする。
発明の作用・効果
以上のように本発明は、ホース本体を、一方の軸端から他方の軸端に到るまで、低燃料透過性の樹脂のバリア層と、外周側に加硫接着にて形成したゴム外層との積層構造となすとともに、ホース本体の各端部にクイックコネクタを装着してフィラーホースを構成したものである。
かかる本発明のフィラーホースにおいては、ホース本体の外層が弾性に富んだゴム層とされており、また軸端に到るまで樹脂のバリア層が積層形成されているため、ホース本体を成形するに際して、これを従来の一般のゴムホースと同様に押出成形にて成形することができる。
また成形後においてこれを所定の曲り形状を有するマンドレルに挿し込み、加硫することによって、ホース本体を所要の曲り形状となすことができる。即ち図15に示す製造方法に従ってホース本体を製造することが可能となる。
従って本発明によれば、フィラーホースにおけるホース本体を製造するに際しての所要コストを安価となすことができる。
また本発明によれば、フィラーホースにおけるホース本体を、図16に示す樹脂のホースと異なって所要の曲げ変形能を持たせるために蛇腹形状化するといった必要は無く、その内面を平滑な面となし得て、内部の流路を通じて燃料を輸送する際の流路抵抗を小さくし得て、燃料を円滑に流通させることができる。
また燃料を輸送する際に蛇腹の凹凸形状によって泡立ちを生ぜしめ、燃料の注入性を悪化させることもない。
それ故本発明によればフィラーホース、詳しくはホース本体の内径を小さく設定することができ、これによりホース本体における内面の燃料との接触面積を最小限に抑えることが可能となって、接触面積の増大による燃料透過を可及的に低く抑えることが可能となる。
加えて本発明のフィラーホースは、加硫接着にて形成されたゴム外層が、ホース本体の構成要素として備えられているため、図16に示す従来の樹脂製のホースと異なって、ホース本体とは別途に耐ディッピング性や耐炎性のためのゴム製のプロテクタを必要とせず、そのプロテクタのための所要コストを削減することが可能となる。
本発明のフィラーホースはまた、クイックコネクタ装着に際してホース本体の端部を拡管するに際し、これを大きく拡管すること、即ち拡管率を大とすることができる特長を有する。
本発明のフィラーホースは、樹脂のバリア層の外側の外層が弾力性に富んだゴム層とされており、また樹脂のバリア層は耐燃料透過のための層で薄肉とすることができるため、ホース本体の端部を拡径するに際し、図16に示す樹脂製のホースと異なって拡管に際し大きな抵抗を生ぜしめず、容易に拡管することができ、また高い拡管率でこれを大きく拡管した場合にも、ゴム外層が大きな伸びを有しているために拡管に伴ってゴム外層が割れを生じたり破断を生じたりする問題も生じない。
また樹脂のバリア層は元々薄肉であるために、割れや破断を生ぜしめることなく、これを拡管することができる。
本発明において、ホース本体のおける外層が弾力性に富んだゴム外層であるにも拘らず、ホース本体と相手パイプとをクイックコネクタを用いて接続することができるのは、樹脂のバリア層がホース本体の軸端まで積層形成されていることによる。
即ち、軸端に到るまで硬質の樹脂のバリア層が形成されているため(低燃料透過のバリア層としての樹脂層は、低燃料透過の機能のために必然的に硬質の樹脂材が用いられることとなる)、クイックコネクタの圧入部をホース本体の内部に強制的に押込圧入すると、樹脂のバリア層に緊迫力が発生し、その緊迫力に基づいてクイックコネクタの圧入部とホース本体とをシール状態で強く締結することが可能となる。
ホース本体の端部が弾力性に富んだゴム層のみにて構成されている場合、クイックコネクタをホース本体の端部に圧入しても十分な結合力が得られない。
そのため従来のゴムホースにあっては、図14に示しているようにホースクランプによる相手パイプとの接続構造が採用されている。
上記のように本発明のフィラーホースは、ホース本体の端部の高い拡管率での拡管を伴って、クイックコネクタの圧入部をホース本体の端部に圧入し、結合固定することが可能である。
この場合において本発明では、ホース本体の端部を拡管率5%以上の拡管率で拡管することができる。
但し拡管率をあまり高くし過ぎると、樹脂のバリア層に割れが発生するので、拡管率は100%以下となしておくことが望ましい(請求項2)。
ここで拡管率は以下にて定義される。
拡管率(%)=((D−D)/D)×100
但し D:端部の拡管後の内径
:端部の拡管前の内径(即ちホース本体の内径)
尚、拡管率のより望ましい範囲は10%以上である。
本発明では、請求項3に従って、ホース本体の各端部に装着される一対のクイックコネクタとして異なったサイズのもの、詳しくは雌嵌合面及び圧入部の直径の異なったものを用い、ホース本体の端部を互いに異なった拡管率で拡管させて、互いにサイズの異なったクイックコネクタを各端部に圧入固定し装着しておくことができる。
前述したように、本発明ではホース本体に蛇腹形状部を設ける必要のないことから、これを細く構成することが可能である。
一方において、燃料タンク側の相手パイプは、燃料タンクが金属製である場合には外径の小さな細いパイプとなり、また燃料タンクが樹脂製である場合には燃料タンク側の相手パイプもまた、これに応じて外径の大きな太いものとなる。
本発明では、フィラーホースのホース本体を燃料輸送に最適な径で細く構成した場合においても、ホース本体の端部を金属製の小径の相手パイプに接続する場合と、樹脂製の大径をなす相手パイプに接続する場合とで、端部の拡管率を異ならせてサイズの異なったクイックコネクタをホース端部に装着することで、それら何れの燃料タンクに対しても、即ち異なった外径を有する相手パイプに対しても、同一のホース本体を用いながら対応することが可能である。
尚、燃料タンクとは反対側の相手パイプ、即ち給油口側の相手パイプには、何れの場合にも同一の外径の相手パイプ(金属製の燃料タンクにおける相手パイプと同じサイズ,同じ外径を有する相手パイプ)を用いることができる。
この場合、フィラーホースを樹脂製の燃料タンクに接続するときには、燃料タンク側と給油口側とで相手パイプの外径が異なったものとなるが、請求項3に従ってフィラーホースを構成することで、金属製の燃料タンクに接続されるフィラーホースと同じホース本体を用いて、樹脂製の燃料タンクにも対応することができる。
本発明では、請求項4に従ってホース本体を樹脂のバリア層とゴム外層との2層積層構造となし、そのバリア層にてホース本体の内面層を構成することができる。
この請求項4によれば、フィラーホースに要するコストを安価となすことができる。
一方、本発明では請求項5に従って、ホース本体を樹脂のバリア層の内周側に、更にゴム内層を有する3層積層構造となし、ゴム内層にてホース本体における内面層を構成することができる。
この請求項5によれば、ホース本体の端部に装着されるクイックコネクタとホース本体との間のシール性を、樹脂のバリア層とクイックコネクタとの間に介在するゴム内層にてより高めることができる。
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は本実施形態の樹脂−ゴム複合構造のフィラーホースで、ホース本体12と、その一端部12-1に装着されたクイックコネクタ14-1,他端部12-2に装着されたクイックコネクタ14-2とからなっている。
ホース本体12は、一端部12-1においてクイックコネクタ14-1により相手パイプ16-1に接続され、また他端部12-2においてクイックコネクタ14-2により相手パイプ16-2に接続される。
ホース本体12は、内面層としての樹脂のバリア層18と、その外周側の外面層を構成するゴム外層20との積層構造をなしており、その全体が配管レイアウトに従って所要の曲り形状をなしている。
ここでゴム外層20はバリア層18に対し、加硫接着により一体に固着されている。
またこれらバリア層18及びゴム外層20は、ホース本体12における一方の軸端から他方の軸端に到るまで、全長に亘り2層積層構造で形成されている。
本実施形態において、ホース本体12は図15に示す製造方法に従って製造されたものである。
具体的には、ホース本体12は先ずバリア層18とゴム外層20とを積層状態で長尺に押出成形し、その後これを所定寸法ごとに切断して、未加硫(又は半加硫)状態の直管ホースを、所定の曲り形状を有する金属製のマンドレルに挿し込んで曲り形状に変形させ、その状態で所定時間加熱して加硫処理を行うことにより得られたものである。
この実施形態では、樹脂のバリア層18としてTHVが、またゴム外層20としてNBR+PVCが用いられている。
ここで各層の密着強度は10N/25mm以上を超えており、互いに強固に接着されている。
バリア層18,ゴム外層20は上記の材料の組み合わせを含めて、以下のような材料で構成することができる。
詳しくは、樹脂のバリア層18としては、THV(フッ化ビニリデンと六フッ化プロピレンと四フッ化エチレンとの少なくとも3元からなる共重合体から成る熱可塑性フッ素樹脂),PVDF(ポリビニリデンフルオライド),ETFE(エチレンテトラフルオロエチレンの共重合体),CTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)又はEVOH(エチレン−ビニルアルコール)等を好適に用いることができる。
その肉厚は0.03〜0.3mm程度の肉厚となしておくことができる。
THVはEVOH、PVDFに比べ柔軟であり、樹脂−ゴム積層ホースのバリア材として好適である。ETFE、THVはPTFE、EVOHに比べ押出加工性が良く、ゴムとの積層化がし易く、またゴムとの接着性にも優れる。
一方ゴム外層20としては、NBR+PVC,ECO(エピクロルヒドリン-エチレンオキサイド共重合ゴム),CSM(クロロスルホン化ポリエチレンゴム),NBR+ACM(アクリルゴム),NBR+EPDM(エチレン-プロピレン-ジエンゴム),EPDM等の材料を好適にもちいることができる。
またその肉厚は1.0〜3.0mm程度となしておくことができる。
図2,図3及び図4に上記クイックコネクタ14-1,14-2の具体的構成が示してある。
これらの図に示しているように、クイックコネクタ14-1,14-2は全体として円筒形状をなしており、樹脂製のコネクタ本体22と、同じく樹脂製のリテーナ24とで構成されている。
コネクタ本体22は、その内面に相手パイプ16-1,16-2の外周面に嵌合する断面円形の雌嵌合面26を備えており、また軸方向の一端側に圧入部28を、他端側にソケット状のリテーナ保持部30を備えている。
圧入部28はホース本体12の端部12-1,12-2に圧入されて固定される部分であって、外周面に且つ軸方向の複数個所に、断面形状が略鋸歯状で先端が鋭角に尖った環状突起32が抜止手段として形成されている。
またこれら環状突起32の更に軸端側の位置に、弾性を有するシールリングとしてのOリング34が、環状のOリング溝33において保持されている。但しこのOリング34は、場合によって省略することが可能である。
コネクタ本体22にはまた、その内面側に複数のOリング36が軸方向に間隔を隔てて保持されている。
これらOリング36は、コネクタ本体22の雌嵌合面26と相手パイプ16-1,16-2の外周面との間をシールする働きをなす。
上記ソケット状のリテーナ保持部30には、円弧状の凹部38が設けられており、また対応した円弧形状をなす部分リング状部40が設けられている。
リテーナ24はCリング状をなしていて、全体的に径方向に弾性変形可能とされており、リテーナ保持部30における部分リング状部40に弾性的に嵌り合う円弧状の溝42と、相手パイプ16-1,16-2の外周面から径方向に環状に膨出した形状の被係合部(バルジ部)44を軸方向に挿入ガイドするとともに、リテーナ24全体を弾性的に拡径させるためのテーパ状のガイド面46と、被係合部44を係入させる円弧形状の係合凹部(係合部)48とを備えている。
クイックコネクタ14-1,14-2は、単に圧入部28をホース本体12の端部12-1,12-2に圧入するだけで、それら端部12-1,12-2に固定することができる。
詳しくは、圧入部28を端部12-1,12-2に圧入すると、図2及び図4に示しているように軸端位置まで樹脂のバリア層18の形成されたホース本体12の端部12-1,12-2が強制的に拡管させられ、強い緊締力で圧入部28を径方向に締め付ける。
そしてその締付力と、圧入部28の外周面に設けられた環状突起32の、端部12-1,12-2内面への食込作用とで、クイックコネクタ14-1,14-2が端部12-1,12-2にシール状態で抜止状態に強固に固定される。
このクイックコネクタ14-1,14-2付きの本実施形態のフィラーホース10は、ホース本体12の端部に装着されたクイックコネクタ14-1,14-2を、相手パイプ16-1,16-2に外挿状態に嵌め込むだけで、相手パイプ16-1,16-2とホース本体12とを接続状態とすることができる。
即ちクイックコネクタ14-1,14-2を相手パイプ16-1,16-2に外挿状態に挿し込むと、リテーナ保持部22に保持されたリテーナ24が、相手パイプ16-1,16-2の被係合部44によって一旦弾性的に拡開させられ、そして被係合部44がリテーナ24の係合凹部48の位置に到ると、そこでリテーナ24が再び元の形状に縮径変形し、このとき被係合部44が係合凹部48に嵌り込んで軸方向に係合し、ここにおいて相手パイプ16-1,16-2とホース本体12の端部12-1,12-2とが、クイックコネクタ14-1,14-2を介して抜止状態に接続される。
このとき、相手パイプ16-1,16-2の外周面がクイックコネクタ14-1,14-2の雌嵌合面26に嵌り込むとともに、Oリング36にてそれらの間が気密にシールされる。
尚、クイックコネクタ14-1,14-2は、図5に示しているようにホース本体12の軸端をフレア形状に拡径しておき、その状態で圧入部28を端部12-1,12-2に圧入することによって、ホース本体12の各端部12-1,12-2に固定される。
このとき軸端の直径φDが圧入部28の先端外径φDよりも小さいと、圧入部28を端部12-1,12-2に圧入することができないため、φDがφDよりも大となるように軸端を拡管しておく。
またホース本体12、詳しくは端部12-1,12-2の内径φDが、圧入部28の外径φDに対し90%以下の寸法であるときに、クイックコネクタ14-1,14-2とホース本体12との間、具体的には圧入部28(特に環状突起32の尖端)と端部12-1,12-2との間で求めるシール性が確保できる。
従ってφDとφDとの関係は、φDがφDの90%以下の径となるようにそれらの関係を定めておく。
ここで本実施形態のフィラーホース10におけるホース本体12は、薄膜状の樹脂のバリア層18の外層が弾力性に富んだゴム外層20とされているため、端部を拡管するに際しこれを大きく拡管すること、具体的には内径φDの100%(2倍)までの拡管が可能である。
但し100%を超えて拡管させると、樹脂のバリア層18が切れたり割れたりするため、それ以下の拡管率で拡管をすることが望ましい。
以上のような本実施形態のフィラーホース10においては、ホース本体12の外層が弾性に富んだゴム外層20とされており、また軸端に到るまで樹脂のバリア層18が積層形成されているため、ホース本体12を成形するに際して、これを従来一般のゴムホースと同様に押出成形にて成形することができる。
また成形後において、これを所定の曲り形状を有するマンドレルに挿し込み加硫することによって、ホース本体を所要の曲り形状となすことができる。即ち図15に示す製造方法に従ってホース12本体を製造することが可能となる。
従って本実施形態によれば、フィラーホース10におけるホース本体12を製造するに際しての所要コストを安価となすことができる。
また本実施形態によれば、フィラーホース10におけるホース本体12を、所要の曲げ変形能を持たせるために蛇腹形状化する必要は無く、その内面を平滑な面となし得て、内部の流路を通じて燃料を輸送する際の流路抵抗を小さくし得て、燃料を円滑に流通させることができる。
また燃料を輸送する際に蛇腹の凹凸形状によって泡立ちを生ぜしめ、燃料の注入性を悪化させることもない。
それ故本実施形態によれば、フィラーホース10、詳しくはホース本体12の内径を小さく設定することができ、これによりホース本体12における内面の燃料との接触面積を最小限に抑えることが可能となって、接触面積の増大による燃料透過を可及的に低く抑えることが可能となる。
加えて本実施形態のフィラーホース10は、加硫接着にて形成されたゴム外層20がホース本体12の構成要素として備えられているため、耐ディッピング性や耐炎性のためのゴム製のプロテクタを別途に必要とせず、プロテクタのための所要コストを削減することが可能となる。
本実施形態のフィラーホース10は、外層が弾力性に富んだゴム外層20とされており、また樹脂のバリア層18は薄肉とすることができるため、ホース本体12の端部を拡径するに際し、容易に拡管することができ、また高い拡管率でこれを大きく拡管した場合にも、ゴム外層20が大きな伸びを有しているために、拡管に伴ってゴム外層20が割れを生じたり破断を生じたりする問題も生じない。
また樹脂のバリア層18は元々薄肉であるために、バリア層18に割れや破断を生ぜしめることなく、バリア層18を拡管することができる。
本実施形態では、ホース本体12が樹脂のバリア層18とゴム外層20との2層積層構造となしてあるため、フィラーホース10の所要コストを安価となすことができる。
この実施形態ではホース本体12が樹脂のバリア層18とゴム外層20との2層積層構造となしてあるが、図6に示しているように樹脂のバリア層18の更に内周側にゴム内層52を積層し、ホース本体12をこれらゴム内層52とバリア層18とゴム外層20との3層積層構造で構成することも可能である。
この場合において、ゴム内層16の材料として、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム:アクリロニトリル量30質量%以上),NBR+PVC(アクリロニトリル量30質量%以上),FKM(フッ素ゴム),H-NBR(水素添加NBR)等を好適に用いることができる。
またその肉厚は1.0〜2.5mm程度となしておくことができる。
この実施形態によれば、ホース本体12の端部12-1,12-2に装着されるクイックコネクタ14-1,14-2とホース本体12との間のシール性を、樹脂のバリア層18とクイックコネクタ14との間に介在するゴム内層52にてより高めることができる。
図7は本発明の他の実施形態を示したものである。
この例は、一方の相手パイプ16-1と、これに対して外径が大径をなす他方の相手パイプ16-2とにそれぞれ対応して、互いにサイズの異なるクイックコネクタ14-1,14-2、詳しくは雌嵌合面26及び圧入部28の直径がそれぞれ異なった、サイズ違いの2種類のクイックコネクタ14-1,14-2をホース本体12の端部12-1と12-2とに装着し、これらクイックコネクタ14-1,14-2にてホース本体12を相手パイプ16-1,16-2に接続するようになした例である。
この実施形態では、サイズの大きいクイックコネクタ14-2を端部12-2に装着する際の拡管率を、サイズの小さなクイックコネクタ14-1を端部12-1に装着する際の拡管率よりも大きい拡管率で拡管し、それぞれの端部12-1,12-2にクイックコネクタ14-1,14-2を装着している。
ここで一方の相手パイプ16-1は、外径が例えばφ25mm程度で、その外径は燃料タンクが金属製である場合の燃料タンク側の相手パイプと同じ外径である。
他方の相手パイプ16-2は、外径が例えばφ35mm程度のもので、この外径は燃料タンクが樹脂製である場合の燃料タンク側の相手パイプと同じ外径である。
この実施形態において、一方の相手パイプ16-1はフィラーホース12にて燃料タンクと接続される給油口側の相手パイプであり、通常この相手パイプ16-1は、金属製の燃料タンクにおける相手パイプと同じ外径で構成される。
一方相手パイプ16-2は、樹脂製の燃料タンク側の相手パイプであって、その肉厚が厚いことから外径の太いものである。従って燃料タンクが金属製である場合には、相手パイプ16-2の外径は一方の相手パイプ16-1の外径と同等外径となる。
以上から明らかなように、本実施形態のフィラーホース10は燃料を輸送するのに最適な径で且つ最小径でホース本体12を構成しつつ、燃料タンクが金属製である場合にも、また樹脂製である場合にも共通のホース本体12にて対応することができる。
以上の実施形態では、クイックコネクタ14における円筒形状の圧入部28の外周面に、断面が略鋸歯形状をなす複数の環状突起を設けてこれを抜止手段となしているが、本発明ではかかる抜止手段を他の様々な形態で構成することが可能である。
図8はその一例を示している。
この例は、クイックコネクタ14-1,14-2における圧入部28を、その外周面が断面円形で軸方向のストレート形状となし、これをホース本体12の端部12-1,12-2の拡管を伴ってホース本体12内部に圧入した上、図8(A)に示しているようにホースクランプとしての金属製の締付スリーブ60をホース本体12の端部12-1,12-2の外周面で縮径方向に塑性変形させて加締め、これによりホース本体12の端部12-1,12-2を圧入部28に締め付けて、圧入部28をホース本体12に抜止状態に固定するようになした例である。
ホース本体12は、軸端に到るまで樹脂のバリア層18が形成されていて、その樹脂のバリア層18によって圧入部28に対し緊締力を与えることができるものの、その緊締力は図16に示す樹脂単独のホース本体ほどに強いものではない。
加えて図8に示しているように圧入部28の外周面に抜止用の環状突起32が設けられていない場合には、引抜強度が不足する恐れがある。
そこでここではこれを補うように締付スリーブ60にてホース本体12の端部12-1,12-2をクイックコネクタ14-1,14-2の圧入部28に対し締め付けるようになしている。
この図8に示すクイックコネクタ14-1,14-2のホース本体12への固定構造は、図6に示す3層積層構造のホース本体12に対するクイックコネクタ14-1,14-2の固定構造としても適用可能であるし、また図1〜図5の2層積層構造のホース12に対するクイックコネクタ14-1,14-2の固定構造としても適用可能である。
但し後者の場合、樹脂製のクイックコネクタ14-1,14-2の圧入部28の外周面と、ホース本体12の樹脂のバリア層18とを直接接触状態に嵌合させると、それらの間で密着性が不十分となる恐れがある。
この場合、図9(B)に示しているように圧入部28の外周面に沿って円環状にOリング溝33を形成して、そこにOリング(弾性を有するシールリング)34を保持しておき、圧入部28をホース本体12に圧入したときに、圧入部28と樹脂のバリア層18とOリング34を介して嵌合させ、それらの間をOリング34にてシールするようになすことができる。
或いはまた、図9(C)に示しているように圧入部28の外周面に弾性を有する円筒状のシール層62を固着しておき、かかるシール層62を介して圧入部28とバリア層18とを嵌合させ、かかるシール層62にてそれらの間を密着状態にシールするようになすこともできる。
ここでシール層62は、例えば低燃料透過性を有するFKM(フッ素ゴム)のゴム糊を塗布することで形成することができる。
このようにシール層62を形成しておいた場合、クイックコネクタ14-1,14-2の耐引抜性を及びホース本体12に対する回転止め性能を向上させることが可能となる。
また図9(A)〜(C)に示しているように、圧入部28に径方向外方に環状に膨出した形態の膨出部(バルジ部)64を設けておくこともできる。
このように膨出部64を設けておくことで、クイックコネクタ14-1,14-2のホース本体12からの耐引抜性をより高めることができる。
抜止手段として、上例の他にクイックコネクタの圧入部28とホース本体12の樹脂のバリア層18とを溶着することも可能である。
その溶着の手段として、圧入部28とバリア層18とを加熱して溶着する熱溶着の手法、或いは超音波振動を加えてそれらを溶着する手法を用いること、更にはそれらをレーザ溶着する手法を用いることも可能である。
その際に、圧入部28とバリア層18とを直接溶着するようになしても良いし、或いはまた圧入部28が溶着しにくい材料である場合、圧入部28の外周面にバリア層18と溶着し易い溶着材層66(図10参照)を固着形成しておき、その溶着材層66を介して圧入部28とバリア層18とを溶着するようになすこともできる。
更にそのような溶着材層66を設ける場合において、これを圧入部28の全体に形成することも可能であるし、また軸方向所定個所に部分的に形成しておくことも可能である。
図10は溶着材層66を圧入部28の全体に円筒状に形成した場合の例を示している。
この場合において圧入部28を溶着材層66を形成した部分の全体に亘ってバリア層18と溶着するようになしても良いし、或いは溶着材層66を軸方向において部分的に溶融させ、圧入部28をバリア層18に対し軸方向の一部で部分的にバリア層18に溶着するようになしても良い。
但し何れの場合においても圧入部28とバリア層18とは全周に亘って溶着しておくことが望ましい。
このような溶着を行った場合、クイックコネクタ14-1,14-2を抜止めすることができると同時に、圧入部28とバリア層18との間を良好にシール状態とすることができる。
図11及び図12は、圧入部28とバリア層18とをレーザ溶着する場合の方法の一例を示している。
図において68はレーザ照射装置を、70はレーザビームを表している。
図11は、径方向内側からレーザビーム70を照射してレーザ溶着を行う場合の例で、この場合には圧入部28をレーザ透過可能なレーザ透過性の樹脂にて構成しておく。
この場合3mmの肉厚レベルで15%以上のレーザ透過率を有するものとなしておくことが望ましい。また好ましくは20%以上の赤外線透過率を持たせておく。
一方、図11(B)(イ)に示しているように溶着材層62を介して溶着を行う場合には、溶着材層62を、レーザを吸収し発熱するレーザ吸収材料にて構成しておく。
また(ロ)に示しているように溶着材層62を介しないで、直接圧入部28とバリア層18とを溶着する場合には、バリア層18を、レーザを吸収し発熱するレーザ吸収材料にて構成しておく。
この場合樹脂中にレーザ吸収性の顔料や染料又は充填材を配合しておくことで、バリア層18にレーザ吸収性を付与することができ、またそれらの配合量を適宜調整することで、レーザの吸収量,発熱量をコントロールすることできる。
図11に示す方法では、レーザ照射装置68からレーザビーム70を照射すると、レーザビーム70が圧入部28を透過し、そして透過したレーザビーム70が、図11(B)(イ)の場合には溶着材層62で一部吸収されてそこで発熱を生じ、その発熱によって溶着材層62が溶融する。
そしてその溶融の熱によって圧入部28及びバリア層18が熱伝導により溶融し、そしてそれら溶融部が互いに融合して、圧入部28が溶着材層62を介してバリア層18に溶着される。
その際、ホース本体12を回転させることで、レーザビーム70を全周に亘って照射し、これによって圧入部28をバリア層18に対し全周に亘って溶着しておく。
一方図11(B)(ロ)の場合には、照射装置68から照射されたレーザビーム70が圧入部28を透過し、そしてバリア層18によりその透過したレーザビーム70が一部吸収されて、そこでバリア層18が発熱による熱で溶融し、そしてその溶融部分の熱が圧入部28に伝えられて圧入部28が部分溶融し、それらの融合によって圧入部28とバリア層18とが溶着し互いに接合される。
尚、レーザの種類としてはYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット結晶)レーザ:(波長1064nm)、或いはLD(レーザダイオード)レーザ;(波長808,840,940nm)等を好適に用いることができる。
一方図12は、径方向外側からレーザ照射装置68にてレーザービーム70を照射し、レーザ溶着を行う場合の例を示している。
この場合においても、圧入部28とバリア層18との間に溶着材層62を介在させておき、その溶着材層62をレーザビームにより溶融することで、圧入部28とバリア層18とを溶着するようになすこともできるし、或いはまた(ロ)に示しているように圧入部28をレーザに対して反応性を有する材料、即ちレーザを吸収して発熱する材料にて構成しておき、圧入部28とバリア層18とを溶着材層62を介在させずに直接レーザ溶着するようになすこともできる。
このようにレーザビーム70を径方向外側から照射してレーザ溶着を行う場合、図11の例とは逆に、ゴム層20及びバリア層18をレーザ透過性材料にて構成する一方、溶着材層62又は圧入部28をレーザを吸収し発熱するレーザ吸収材料にて構成しておく。
この場合においても、圧入部28をレーザ吸収材料とする手段として、圧入部28を構成する樹脂材中に上記のレーザ吸収性の顔料や染料或いは充填材等を配合しておくことができる。
図12のレーザ溶着では、レーザ照射装置68から発せられたレーザビーム70が、ゴム層20及び樹脂のバリア層18を透過する。そして透過したレーザが、(イ)では溶着材層62にて吸収され、(ロ)では圧入部28にて吸収され、それぞれが発熱して溶融する。
そしてその溶融部の熱が、(イ)ではバリア層18及び圧入部28に伝わり、また(ロ)ではバリア層18に伝わって部分溶融し、それら溶融した部分が互いに融合することによって、圧入部28とバリア層18とが溶着する。
この場合においても、ホース本体12及びクイックコネクタ14-1,14-2を回転させて、レーザビーム70を全周に亘って照射し、これによりレーザ溶着を全周に亘って行うようにする。
図11,図12及び図13(イ)に示す例は、圧入部28の外周面が円形且つ軸方向にストレート形状をなす場合の例であるが、図13(ロ),(ハ)に示しているように、圧入部28が膨出部64、或いは上記の環状突起32を有するものである場合にもレーザ溶着の手法を適用することが可能である。
但し図13(ハ)の、所謂竹の子形状の複数の環状突起32を有するものである場合、環状突起32の尖端を除いた部分で溶着を行うことが望ましい。
尖端を溶着してしまうと、その尖端のホース本体12内面への食込みによる抜け防止の機能が殺がれてしまうため、この尖端における溶着を回避しておくのが望ましい。
図1の2層積層構造のホース本体12を、樹脂のバリア層18の膜厚を0.15mm、ゴム外層20の厚みを2.0mmで構成して(内径は28〜34mm)、表1に示すように端部を様々な拡管率で拡管しつつ、そこに先端外径がφ35mmのクイックコネクタを圧入して装着し、ガソリン透過性,シール性,引抜性,挿入性,ガソリン注入性の各特性を評価した。
尚ガソリン透過性,引抜性,シール性,ガソリン注入性の各特性は以下のようにして評価した。
<ガソリン透過性>
クイックコネクタを装着したフィラーホース10に燃料を封入し、金属栓で閉じた後、40℃雰囲気下での重量減少量より評価した。
使用燃料はイソオクタン:トルエン:エタノールを45重量%:45重量%:10重量%の混合比で混合した燃料を用いた。
<引抜性>
クイックコネクタを装着したフィラーホース10の端部のクイックコネクタに荷重測定機(ロードセル)を取り付け、試験速度500mm/minの一定速度、一定温度下にてクイックコネクタを引き抜き、その荷重を測定した。
<シール性>
クイックコネクタを装着したフィラーホース10を金属栓で閉じた後、80℃、−40℃雰囲気下に1時間以上放置した後、昇圧速度毎分0.1MPaにて窒素を供給し、クイックコネクタ-ホース本体間からの窒素洩れを評価した。
Figure 2008267597
以上の結果から、図1の実施形態のフィラーホースにあっては、ホース本体12の端部を拡管させてクイックコネクタを装着するに際し、端部を拡管率100%までの範囲内で拡管させることができ、またそのようにしてもフィラーホースとして必要なガソリン透過性,引抜性,シール性,ガソリン注入性等の様々な特性を充足することができることが分る。
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば上記例示したクイックコネクタはあくまで一例であり、本発明においては相手パイプの被係合部が凹状の被係合部である場合において、クイックコネクタの係合部をこれに対応した形状としたり、また上例とは異なった他の様々な形状,構造,種類のクイックコネクタを用いることが可能である。更に図8の例において、締付スリーブ60に代えて他の形態のクランプ部材、即ちホース本体12を外周面から求心方向に締め付けて抜止めを行う他の形態のクランプ部材を用いることも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
本発明の一実施形態のフィラーホースを相手パイプとの接続状態で示す図である。 同実施形態のフィラーホースの相手パイプとの接合部分の断面拡大図である。 同実施形態のフィラーホースのクイックコネクタの図である。 図2の接合部分を各部品に分解して示す図である。 同実施形態の作用説明図である。 本発明の他の実施形態の要部の図である。 本発明の更に他の実施形態の図である。 本発明の他の実施形態の図である。 本発明の更に他の実施形態の図である。 本発明の更に他の実施形態の図である。 レーザ溶着の方法の一例を示す説明図である。 レーザ溶着の方法の図11とは異なる一例を示す説明図である。 レーザ溶着を行う際の圧入部の形状例を示す図である。 従来のフィラーホースの一例示である。 従来の一般のゴムホースの製造方法の説明図である。 図14とは異なる従来のフィラーホースの一例を示す図である。
符号の説明
10 フィラーホース
12 ホース本体
12-1,12-2 端部
14,14-1,14-2 クイックコネクタ
16,16-1,16-2 相手パイプ
18 バリア層
20 ゴム外層
26 雌嵌合面
28 圧入部
32 環状突起(抜止手段)
44 被係合部
48 係合凹部(係合部)

Claims (5)

  1. 自動車の燃料タンクに燃料を輸送するフィラーホースであって
    ホース本体が一方の軸端から他方の軸端に到るまで、低燃料透過性の樹脂のバリア層と、外周側に加硫接着にて形成されたゴム外層との積層構造をなしているとともに、
    該ホース本体の端部には、該ホース本体と相手パイプとの接続具として、全体として筒状をなし、内面に該相手パイプを挿入させて該相手パイプの外周面にシール状態で嵌合する雌嵌合面を備えるとともに、軸方向の一端側に前記ホース本体に圧入される圧入部が、軸方向の他端側に前記相手パイプの外周面の凸状又は凹状の被係合部に対して軸方向に且つ抜止方向に係合する係合部が設けられたクイックコネクタが該圧入部において前記ホース本体に抜止手段にて抜止状態に固定され、該ホース本体に装着してあることを特徴とするフィラーホース。
  2. 請求項1において、前記ホース本体の端部が前記クイックコネクタの前記圧入部の圧入により拡管率5%〜100%の範囲内で拡管されていることを特徴とするフィラーホース。
  3. 請求項1,2の何れかにおいて、前記ホース本体の一方の端部に装着されたクイックコネクタと、他方の端部に装着されたクイックコネクタとが、異なった外径を有する前記相手パイプと該ホース本体とを接続する、前記雌嵌合面及び圧入部の直径の異なったものであり、該ホース本体の前記一方の端部と前記他方の端部とが互いに異なった拡管率で拡管されていることを特徴とするフィラーホース。
  4. 請求項1〜3の何れかにおいて、前記ホース本体が前記バリア層とゴム外層との2層積層構造をなしており、該バリア層が該ホース本体における内面層を成していることを特徴とするフィラーホース。
  5. 請求項1〜3の何れかにおいて、前記ホース本体が前記バリア層の内周側にゴム内層を有する3層積層構造をなしており、該ゴム内層が該ホース本体における内面層を成していることを特徴とするフィラーホース。
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