JP2008267317A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】クランクシャフトの捻り振動による角速度の影響を可能な限り排除して、より実際に近い角速度の変動を求め、それに応じた制御を行う多気筒内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】予め定められた基準気筒の燃焼行程における角速度の振幅ΔΩと各気筒の燃焼行程における角速度の振幅Δω0nとの比から前記気筒毎の補正係数knを算出してRAM23に一時的に記憶しておく。そして、その後の燃焼において、改めて算出されたΔωnとRAM23に記憶された補正係数knとから補正後の角速度の振幅Δωn’を求め、この値をクランクシャフトの捻り振動の影響が排除された真の角速度の振幅とみなすことによって、気筒間の角速度の振幅の偏差から燃焼変動を推定し、それを補正するような機関運転の制御を行う。
【選択図】図1
【解決手段】予め定められた基準気筒の燃焼行程における角速度の振幅ΔΩと各気筒の燃焼行程における角速度の振幅Δω0nとの比から前記気筒毎の補正係数knを算出してRAM23に一時的に記憶しておく。そして、その後の燃焼において、改めて算出されたΔωnとRAM23に記憶された補正係数knとから補正後の角速度の振幅Δωn’を求め、この値をクランクシャフトの捻り振動の影響が排除された真の角速度の振幅とみなすことによって、気筒間の角速度の振幅の偏差から燃焼変動を推定し、それを補正するような機関運転の制御を行う。
【選択図】図1
Description
本発明は内燃機関の制御装置に関する。
多気筒内燃機関においてクランクシャフトの回転数又は角速度の変動から、トルクを推定したり、失火等の燃焼変動を検出したりする方法及び装置が公知である(例えば特許文献1乃至3参照)。特許文献1に記載の発明によると、各気筒の燃焼行程の経過時間Tを求め、次いで隣接する燃焼行程の経過時間の偏差ΔTを求める。そして各偏差ΔT間の偏差Δ(ΔT)を求め、これらΔ(ΔT)のうちで予め定められた値を超えるものがあったときは、いずれかの気筒において失火が生じていると判断するようにした多気筒内燃機関の失火検出装置が提供される。
しかし、クランクシャフトの回転数又は角速度の変動は、機関自体の構造や、回転や負荷等の機関の運転条件、測定位置、測定誤差等様々な要因により、正確に測定することが困難であるという問題がある。
これについて、例えば図1に示すように、各気筒をトランスミッション17から遠い方から順に気筒#1、気筒#2、気筒#3、気筒#4とした4気筒内燃機関を用いて具体的に説明する。この機関を、気筒間の燃焼変動が比較的少ない状態で燃焼させた場合において、回転角センサを用いてクランクシャフトの回転数を測定し、それを角速度で表すと図2(a)に示すグラフのようになる。このグラフは縦軸を角速度ω、横軸をクランク角とし、クランク角180度毎に気筒#1、気筒#3、気筒#4、気筒#2の順で燃焼が行われる1周期720度の行程を表している。各気筒間の燃焼変動が比較的少ない場合には、気筒毎に180度を1周期とした波形(以下、この周期の波形を「爆発1次の波形」と称す)が4つ略等しく測定されるはずである。しかし実際の波形は、高周波の波形を伴っており、正確な角速度の測定ができない。そこでローパスフィルタを用いて高周波を除去すると図2(b)のような波形となるが、気筒間において角速度の傾向が大きく異なっている。
高周波及び気筒間の角速度の傾向の差異は最初に述べたように様々な原因によるが、特にクランクシャフトがその軸線周りで周方向に捻れる捻り振動の影響が大きい。この捻り振動によって、測定された爆発1次の波形に高周波の波形が加わると共に爆発1次の波形を減衰させ、正確な角速度の測定が妨げられる。特にこの捻り振動による角速度への影響は、図2(a)、(b)から明らかなように気筒#1,#2において顕著である。
これは、フライホイール等が取り付けられているトランスミッションから遠い位置にある気筒#2,#1のクランクシャフトの方が、トランスミッションから近い位置にある気筒#4のクランクシャフトよりも剛性が低いため捻れやすいからである。さらに、捻り振動による高周波成分は、機関回転数及び/又は機関負荷に比例して大きくなる傾向があるため、高回転数及び/又は高機関負荷で機関を運転させるとさらに正確な角速度の測定ができなくなる。正確な角速度の測定ができないと、大きな燃焼変動が起きていないのにそれが起きていると誤認識され、その誤認識された状態に応じた機関運転制御が行われることとなり、逆に燃焼変動を生じさせてしまうという問題がある。
このことは、リーンリミット制御を行う際に特に問題となる。すなわち、燃費向上等のためには、できるだけリーンの空燃比で燃焼させた方が好ましいが、あまりに空燃比が大きすぎると燃焼が不安定になり、燃焼変動の結果としてトルク変動が増大するという問題がある。そこで、トルク変動が増大する許容限界の空燃比(リーンリミット)を超えないように空燃比の制御を行うのがリーンリミット制御であるが、トルク変動をクランクシャフトの角速度の変動等から正確に求めることができなければ、リーンリミットを正確に求めることができず、従ってリーンリミット制御を正確に行うことができない。
本発明は上記問題に鑑み、クランクシャフトの捻り振動による角速度の影響を可能な限り排除して、より実際に近い角速度の変動を求め、それに応じた制御を行う多気筒内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明によれば、予め定められた基準気筒の燃焼行程における燃焼変動パラメータと各気筒の燃焼行程における燃焼変動パラメータとの比から前記気筒毎の補正係数を算出する補正係数算出手段と、これら補正係数に基づいて機関運転を制御する機関運転制御手段とを具備した多気筒内燃機関の制御装置が提供される。すなわち、請求項1に記載の発明では、燃焼変動パラメータの比から補正係数を算出し、算出された補正係数に基づいた機関運転制御を行うことによって、捻り振動による高周波の影響がほとんどない、より実際に近い角速度を求めることが可能となることが実験的に判明している。そして、補正後の各気筒間の角速度の変動の偏差を燃焼変動と見なしてそれに応じた制御を行うことが可能となる。ここで燃焼変動パラメータは、例えば、クランクシャフトの角速度の振幅、気筒内圧力、気筒内温度等がある。
また、請求項2に記載の発明によれば請求項1に記載の発明において、前記燃焼変動パラメータがクランクシャフトの角速度の振幅である多気筒内燃機関の制御装置が提供される。すなわち、請求項2に記載の発明では、燃焼変動パラメータとしてクランクシャフトの角速度の振幅を選択すると、クランク角センサ等でその変動が簡単に測定できるため有利である。
また、請求項3に記載の発明によれば請求項1又は2に記載の発明において、前記基準気筒がトランスミッションに最も近い気筒である多気筒内燃機関の制御装置が提供される。すなわち、請求項2に記載の発明では、基本的にトランスミッションに最も近い気筒のクランクシャフトの剛性が最も高いことから捻り振動の影響が少なく、当該気筒の角速度を基準とすることでより正確な補正を行うことが可能となる。
また、請求項4に記載の発明によれば請求項1から3のいずれか1つに記載の発明において、前記補正係数の算出がフューエルカット運転中に行われる多気筒内燃機関の制御装置が提供される。すなわち、請求項3に記載の発明では、減速運転時(スロットルバルブ全閉時)に予め定められた回転数以上に機関回転数が上昇している場合に燃費の向上のために行われる燃料供給停止、いわゆるフューエルカット運転中は、燃焼が行われていないため、機関運転中で最も全気筒の状態が安定していることから、より正確な補正係数を求めることができ、それによってより正確な制御を行うことが可能となる。
また、請求項5に記載の発明によれば請求項1から4のいずれか1つに記載の発明において、前記補正係数の算出がリーンバーン運転中には行われない多気筒内燃機関の制御装置が提供される。すなわち、請求項4に記載の発明では、リーン空燃比での運転であるリーンバーン運転中は、概して、目標空燃比が理論空燃比となるように制御された理論空燃比運転よりも燃焼変動が大きいことから、敢えてリーンバーン運転中には補正係数の算出を行わないようにし、リーンバーン運転中以外の運転中に補正係数を算出するようにしている。
また、請求項6に記載の発明によれば請求項5に記載の発明において、前記補正係数の算出が予め定められた機関負荷以上のときに行われる多気筒内燃機関の制御装置が提供される。すなわち、請求項5に記載の発明では、補正係数算出時のパラメータに機関負荷を加えることで、より多様な運転状態に応じた補正係数を算出することが可能となる。
各請求項に記載の発明によれば、クランクシャフトの捻り振動による角速度の影響を可能な限り排除して、より実際に近い角速度の変動を求め、それに応じた制御を行う多気筒内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
以下、前述の燃焼変動パラメータが角速度である場合について、添付図面を用いながら本発明の実施形態を説明する。多気筒内燃機関を示す図1を参照すると、機関本体1は、1番気筒#1,2番気筒#2,3番気筒#3,4番気筒#4からなる4つの気筒を有しており、各気筒は点火栓2を備えている。各気筒#1,#2,#3,#4はそれぞれ対応する吸気マニホルド3を介してサージタンク4に連結され、各吸気マニホルド3内にはそれぞれ対応する吸気ポート内に向って燃料を噴射する燃料噴射弁5が取付けられる。サージタンク4は吸気ダクト6及びエアフローメータ7を介してエアクリーナ8に連結され、吸気ダクト6内にはスロットル弁9が配置される。一方、各気筒#1,#2,#3,#4は排気マニホルド10および排気管11を介してNOx吸蔵還元触媒12を内蔵したケーシング13に連結される。このNOx吸蔵還元触媒12は空燃比がリーンのときに排気ガス中に含まれるNOxを吸蔵し、空燃比が理論空燃比又はリッチになると吸蔵したNOxを還元する機能を有する。排気管11には、排気ガス中の酸素濃度に基づき空燃比をリニアに検出する空燃比センサ14が設けられている。さらにNOx吸蔵還元触媒12より下流の排気系には、理論空燃比付近で急激に出力電圧が変化するO2センサ15が設けられている。
電子制御ユニット(ECU)20はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス21によって互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)22、RAM(ランダムアクセスメモリ)23、CPU(マイクロプロセッサ)24、入力ポート25及び出力ポート26を具備する。エアフローメータ7、空燃比センサ14、及びO2センサ15の出力信号はそれぞれ対応するAD変換器27を介して入力ポート25に入力される。また、アクセルペダル29にはアクセルペダル29の踏み込み量Sに比例した出力電圧を発生する負荷センサ30が接続され、負荷センサ30の出力電圧は対応するAD変換器27を介して入力ポート25に入力される。更に入力ポート25にはクランクシャフトが例えば15°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ16が接続される。CPU24ではクランク角センサ16からの出力パルスに基づいて機関回転数Ne及びこれに比例する角速度ωを算出する。一方、出力ポート26は対応する駆動回路28を介して点火栓2、燃料噴射弁5、及びスロットル弁9駆動装置に接続される。
次に図2を参照しつつ本発明による角速度補正の基本的な考え方について説明する。前述の通り図2(a)は、予め定められた測定時点において、図1における多気筒内燃機関を、気筒#1、気筒#3、気筒#4、気筒#2の順に燃焼させた場合におけるクランク角と角速度の関係を示している。ローパスフィルタを用いて高周波を除去した後の図2(b)について、各気筒において角速度の最低値である圧縮上死点(TDC)での角速度と、燃焼行程における角速度の最高値との差分を角速度の振幅と称し、気筒#1,#2,#3,#4に対応してそれぞれΔω01,Δω02,Δω03,Δω04とする。ここで、前述のようにクランクシャフトの剛性の違いから気筒#4が一番捻り振動による高周波の影響を受けていないため、気筒#4を基準気筒とする。そうすると気筒#4の角速度の振幅Δω04を基準振幅ΔΩとして、各気筒の角速度の振幅Δω0n(n=1,2,3,4)の補正係数kn(n=1,2,3,4)は以下の式(1)で表される。なお、当然のことながらこの場合においてはk4=1となる。
kn=ΔΩ/Δω0n (n=1,2,3,4) ・・・式(1)
上記式(1)に基づいて算出された気筒毎の補正係数は、例えばRAM23に一時的に記憶しておく。そして、その後の燃焼において、改めて算出されたΔωn(n=1,2,3,4)とRAM23に記憶された補正係数kn(n=1,2,3,4)とを以下の式(2)に適用することによって、図2(c)に示すような補正後の角速度の振幅Δωn’(n=1,2,3,4)を求めることができる。
Δωn’=kn×Δωn (n=1,2,3,4) ・・・式(2)
最終的に、上記式(2)に基づいて算出された補正後の角速度の振幅Δωn’(n=1,2,3,4)をクランクシャフトの捻り振動の影響が排除された真の角速度の振幅とみなすことによって、気筒間の角速度の振幅の偏差から燃焼変動を推定し、それを補正するような機関運転の制御を行う。
補正係数の値は、算出時の機関運転状態でよって当然に異なってくる。そこで、上記のような基本的な考え方による補正係数の算出例とその適用例を、以下の実施形態を基に説明する。これらの実施形態に用いられる内燃機関は、理論空燃比運転と、リーンバーン運転と、リーンリミット制御による運転とを選択的に切り替えられるものとする。
本発明による1番目の実施形態として、フューエルカット運転中に補正係数の算出を行う場合について説明する。フューエルカット運転中は、燃焼が行われていないため、機関運転中で最も全気筒の状態が安定しており、燃焼変動が少ないと考えられる。従って、ここで求めた補正係数を基に、例え機関がフューエルカット運転中でなくてもその補正係数を適用することによって、より真の値に近い角速度の振幅を求めることが可能となる。
図3は、図1の内燃機関においてフューエルカット運転中に、補正係数を算出する補正係数算出操作を示している。この操作はECU20により予め定められた設定時間毎に実行される割り込みルーチンとして行われる。
図3を参照すると、まずステップ100で機関運転状態がフューエルカット運転中であるかどうかが判定される。フューエルカット運転中でなく、加速運転中等である場合には補正係数の算出は行わずに操作を終了する。一方、フューエルカット運転中である場合には、ステップ101に進んで、学習条件が成立するかどうかが判定される。本実施形態における学習条件とは、機関回転数Neが予め定められた学習回転数Ne0以上であるかどうかである。学習回転数Ne0とは、前述のように、爆発1次の波形を減衰させてしまう捻り振動の影響は機関回転数に比例して大きくなるので、捻り振動の影響が無視できなくなるような許容限界における回転数である。従って、機関回転数Neが学習回転数Ne0未満の場合には、捻り振動の影響は無視することができ、補正を行う必要がないので補正係数の算出は行わずに操作を終了する。
一方、機関回転数Neが学習回転数Ne0以上の場合には、ステップ102に進んで、クランクシャフトの角速度ωを測定する。この測定結果は図2(a)に示すような爆発1次の波形に捻り振動による高周波が加わった波形となっているので、次に、ステップ103に進んでローパスフィルタ処理を行い、高周波成分を除去する。その結果得られた図2(b)に示すような爆発1次の波形を基にステップ104において各気筒の角速度の振幅Δω0n(n=1,2,3,4)を算出する。そして最後のステップ105において、例えば本実施形態においては気筒#4である、予め定められた基準気筒を基に、各気筒の補正係数kn(n=1,2,3,4)を上記式(1)に基づいて算出してRAM23に記憶する。
上記ステップ101における学習条件を満たす範囲において、様々な機関回転数Neについての補正係数の算出及び記憶を行うことで、図6に示すような補正係数のマップが作成されるが、これは機関回転数Neをパラメータとした気筒毎の関数kn(Ne)で表される。補正係数の算出は、操作実行の条件を満たす限り機関動作中常に行われ、従ってマップも常に更新されている。しかしながら一度マップが作成された後は、一定期間経過後に再び補正係数の算出を行ってマップを更新するようにしてもよい。
次にこの補正係数を用いた機関運転制御への適用例として、リーンリミット制御を行うリーンリミット制御操作ついて図5を用いて説明する。この操作はECU20により予め定められた設定時間毎に実行される割り込みルーチンとして行われる。
図5を参照すると、まずステップ300で機関運転状態が、リーンリミット制御を行うための条件を満たしているかどうかが判定される。例えば、機関負荷が大きく、出力が要求される場合などはこの条件を満たさないため、補正係数の適用は行わずに操作を終了する。一方、リーンリミット制御条件が成立している場合には、ステップ301に進んで、現在の機関運転状態が先に学習した学習範囲内に属しているかどうか、学習結果適用条件を満たしているかどうかが判定される。すなわち、本実施形態において、補正係数kn(Ne)は機関回転数Neの関数であるので、現在の回転数Neが学習範囲にあるかどうかが判定される。現在の回転数Neが学習範囲内にない場合には、補正係数の適用は行わずに操作を終了する。
一方、現在の回転数Neが学習範囲内にある場合には、ステップ302に進んでクランクシャフトの角速度ωを測定する。次に、ステップ303に進んでローパスフィルタ処理を行い、高周波成分を除去する。その結果得られた波形を基にステップ304において前述のように角速度の振幅Δωn(n=1,2,3,4)を算出する。そしてステップ305に進んで、このΔωn(n=1,2,3,4)と、先に求めてRAM23に記憶しておいた補正係数の関数kn(Ne)を用いて現在の機関回転数Neから算出された補正係数kn(n=1,2,3,4)とから上記式(2)を用いて補正後の角速度の振幅Δωn’(n=1,2,3,4)を求める。そして最後のステップ306において、補正後の各気筒の角速度の振幅をみて、気筒間で大きくばらつきがある場合にはリーンリミットをオーバーし、それによって燃焼変動が生じていると判断して、空燃比を理論空燃比側に近づく方向に制御することで燃焼が安定するようにリーンリミット制御を行う。そして操作を終了する。
本発明による2番目の実施形態として、理論空燃比運転中に補正係数の算出を行う場合について説明する。理論空燃比運転中では、フューエルカット運転中程ではないが、燃焼が安定しており気筒間の燃焼変動が小さい。さらに、トルクが生じているため、特に捻り振動が顕著となる高回転域を含めた広範囲に亘って補正係数を算出することが可能となる。
図4は、図1の内燃機関において理論空燃比運転中に、補正係数を算出する補正係数算出操作を示している。この操作はECU20により予め定められた設定時間毎に実行される割り込みルーチンとして行われる。
図4を参照すると、まずステップ200で機関運転状態が理論空燃比運転中であるかどうかが判定される。理論空燃比運転中でなく、リーンバーン運転中等である場合には補正係数の算出は行わずに操作を終了する。一方、理論空燃比運転中である場合には、ステップ201に進んで、学習条件が成立するかどうかが判定される。本実施形態における学習条件とは、機関回転数Neが予め定められた学習回転数Ne0以上であって、且つ、機関負荷Lが予め定められた学習機関負荷L0以上であるかどうかである。学習回転数Ne0及び学習機関負荷L0とは、前述のように、爆発1次の波形を減衰させてしまう捻り振動の影響は機関回転数及び機関負荷に比例して大きくなるので、捻り振動の影響が無視できなくなるような許容限界を超える機関回転数及び機関負荷である。機関回転数Neが学習回転数Ne0未満であるか又は機関負荷Lが学習機関負荷L0未満である場合には、捻り振動の影響は無視することができ、補正を行う必要がないので補正係数の算出は行わずに操作を終了する。
一方、機関回転数Neが学習回転数Ne0以上であって機関負荷Lが学習機関負荷L0以上である場合には、ステップ202に進んで、後で使用するパラメータtに1をセットする。次に、ステップ203に進んでクランクシャフトの角速度ωを測定し、ステップ204に進んでローパスフィルタ処理を実施する。そして、次のステップ205において角速度の振幅を求めるが、ここで角速度の振幅を先ほどのtを用いてΔωtn(t=1,2,・・・R−1,R、n=1,2,3,4)と表すと、次のステップ206においてtが1だけインクリメントされ、予め定められた数値Rにtが達するまで、ステップ203からステップ206が繰り返されることとなる(ステップ207)。tがRに達すると、ステップ208に進む。本実施形態においてはRを10とすると、この時点で角速度の振幅が気筒毎に10回分測定されている。それを用いて、ステップ208において、角速度の振幅のR回分、すなわち10回分の平均値Δωavn(n=1,2,3,4)を算出する。そして、最後のステップ209において、例えば本実施形態においては気筒#4である、予め定められた基準気筒を基に、各気筒の補正係数kn(n=1,2,3,4)を上記式(1)に基づいて算出してRAM23に記憶する。
上記ステップ201における学習条件を満たす範囲において、様々な機関回転数Ne及び機関負荷Lについての補正係数の算出及び記憶を行うことで、図7に示すような補正係数のマップが作成されるが、これは機関回転数Ne及び機関負荷Lをパラメータとした気筒毎の関数kn(Ne,L)で表される。補正係数の算出は、操作実行の条件を満たす限り機関動作中常に行われ、従ってマップも常に更新されている。しかしながら一度マップが作成された後は、一定期間経過後に再び補正係数の算出を行ってマップを更新するようにしてもよい。
なお、1番目の実施形態においては、補正係数を算出する際に角速度の振幅の平均化は行わなかった。それは、フューエルカット運転中は理論空燃比運転中に比べて、クランクシャフトの回転が安定しているため、1回だけ測定した角速度ωを用いて補正係数を算出しても十分再現性のある結果が得られるからである。しかしながら、より正確な補正係数を算出するため、2番目の実施形態に示したように平均化を行ってもよい。
上記のように求められた補正係数は、図5のフローチャートで示すリーンリミット制御操作に適用可能である。その際には、ステップ301において学習結果適用条件を満たしているかどうかの判定が、機関回転数Ne及び機関負荷Lの両方が学習範囲内にあるかどうかで行われる点以外、前述の説明と同じである。
その他の適用例として、別々に学習した1番目の実施形態によるフューエルカット運転中の補正係数の関数kn(Ne)としてのマップと、2番目の実施形態による理論空燃比運転中の補正係数の関数kn(Ne,L)としてのマップとをそれぞれRAM23に記憶しておき、機関運転状況に応じて使い分けても良い。例えば、機関回転数に応じて、捻り振動の影響が小さい低回転時(例えば、2000rpm以下)の場合は、フューエルカット運転中に学習した補正係数を適用し、高回転時(例えば2000rpm以上)の場合は、理論空燃比運転中に学習した補正係数を適用するようにしてもよい。
さらに上記のように1番目と2番目の実施形態による補正係数を使い分ける場合において、学習条件を満たす範囲であるにも関わらず、実際の運転条件によっては、学習し難い運転状態、例えばフューエルカット運転中に学習回転数Ne0以上であってもその中の低回転数域などは、補正値の学習ができない可能性がある。そのような場合、理論空燃比運転中においてその学習できなかった回転数域における学習結果がある場合には、フューエルカット運転中の補正係数を適用する機関回転数においても、理論空燃比運転中の補正係数を適用する。その後フューエルカット運転中でもその回転数域を学習した場合には、予め定められた通り、フューエルカット運転中の補正係数を適用するなど、互いに補完しあって適用するようにしてもよい。
前述の実施形態においては、気筒数4つの多気筒内燃機関を用いたが、当然その他の気筒数を備える内燃機関においても本発明は適用可能である。また、特にクランクシャフトに最も近い気筒を基準気筒として設定する必要もなく、他の気筒に比べて捻り振動の影響が少ない気筒であれば基準気筒に成りうる。
1 機関本体
16 クランク角センサ
17 トランスミッション
20 電子制御ユニット(ECU)
16 クランク角センサ
17 トランスミッション
20 電子制御ユニット(ECU)
Claims (6)
- 予め定められた基準気筒の燃焼行程における燃焼変動パラメータと各気筒の燃焼行程における燃焼変動パラメータとの比から前記気筒毎の補正係数を算出する補正係数算出手段と、これら補正係数に基づいて機関運転を制御する機関運転制御手段とを具備した多気筒内燃機関の制御装置。
- 前記燃焼変動パラメータがクランクシャフトの角速度の振幅である請求項1に記載の多気筒内燃機関の制御装置。
- 前記基準気筒がトランスミッションに最も近い気筒である請求項1又は2に記載の多気筒内燃機関の制御装置。
- 前記補正係数の算出がフューエルカット運転中に行われる請求項1から3のいずれか1つに記載の多気筒内燃機関の制御装置。
- 前記補正係数の算出がリーンバーン運転中には行われない請求項1から4のいずれか1つに記載の多気筒内燃機関の制御装置。
- 前記補正係数の算出が予め定められた機関負荷以上のときに行われる請求項5に記載の多気筒内燃機関の制御装置。
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JP2011069330A (ja) * | 2009-09-28 | 2011-04-07 | Toyota Motor Corp | 内燃機関の筒内圧取得装置 |
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- 2007-04-23 JP JP2007113312A patent/JP2008267317A/ja active Pending
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