JP2008266117A - ハニカム構造体の製造方法およびハニカム構造体 - Google Patents

ハニカム構造体の製造方法およびハニカム構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】接着層および/またはコート層内でのマクロポアの形成を回避し得るハニカム構造体の製造方法。
【解決手段】セル壁で区画されたセルを有する複数のハニカムユニットを接着層で接合してセラミックブロックを形成する工程、またはセル壁で区画されたセルを有する一つのハニカムユニットでセラミックブロックを形成する工程と、前記セラミックブロックの外周部にコート層を設置する工程と、を有し、さらに、前記ハニカムユニットの接合面に、直径が1〜50μmの範囲の発泡材料の粒子を含む接着層用のペーストを設置する工程、および/または前記セラミックブロックの外周部に、直径が1〜50μmの範囲の発泡材料の粒子を含むコート層用のペーストを設置する工程と、前記発泡材料を発泡させる工程と、前記発泡材料を消失させ、直径100〜300μmの範囲の気泡痕を形成する工程と、を有するハニカム構造体の製造方法。
【選択図】図6

Description

本発明は、ハニカム構造体の製造方法およびハニカム構造体に関する。
従来より、車両または建設機械等の内燃機関用の各種排気ガス処理装置が提案され、実用化されている。一般的な排気ガス処理装置は、エンジンの排気ガスマニホールドに連結された排気管の途上に、例えば金属等で構成されたケーシングを設け、その中にハニカム構造体を配置した構造となっている。ハニカム構造体は、排気ガス中に含まれるパティキュレートを捕獲して、排気ガスを浄化するフィルタ(DPF:ディーゼルパティキュレートフィルタ)として、あるいは、排気ガス中の有害ガス成分等を触媒反応によって浄化する触媒担持体として機能する。
例えば、ハニカム構造体がDPFとして使用される場合、ハニカム構造体には、多孔質なセル壁を隔てて長手方向に延伸する複数の柱状セルが構成される。それぞれのセルは、いずれか一方の端部が封止材で封止されているため、ハニカム構造体内に導入された排気ガスは、必然的にセル壁を通過してからハニカム構造体外部へ排出される。従って、排気ガスがこのセル壁を通過する際に、排気ガス中のパティキュレート等を捕獲することができる。また、ハニカム構造体が触媒担持体として使用される場合、ハニカム構造体のセル壁の長手方向の表面には、触媒担持層および触媒が設置され、この触媒により、排気ガスに含まれるCO、HCおよびNOx等の有害ガスが浄化される。
このようなハニカム構造体は、例えば、複数の柱状のハニカムユニットを接着層を介して接合させることにより構成される。この接着層は、圧縮強度、密着強度等、完成後のハニカム構造体の特性に大きな影響を及ぼすため、接着層の各種特性(例えば、気孔率、組成等)を制御することにより、所望の良好な特性を有するハニカム構造体を提供する技術が種々提案されている(例えば、特許文献1、2)。
特開2006−326831号公報 国際公開第WO03/067041号パンフレット
前述の接着層は、例えば、接合させる複数のハニカムユニットを、スペーサを介して被接合面(側面)が対向するように配設し、このスペーサによって形成された空間に、後に接着層となるペーストを充填した後、このペーストを乾燥、固化または焼成させることにより形成される。
ところで、通常のハニカムユニットは、多孔質セラミック部材であるため、ペーストに含まれる水分は、乾燥工程中に、ハニカムユニットの内部に浸透する。このため、ハニカムユニットに充填されたペーストの体積は、時間とともに減少して行く。ただし、両ハニカムユニットの被接合面の空間は、ハニカムユニットまたはスペーサによって体積が規定されている。そのため、ペーストが固化または焼成する過程において、このような水分の逸散によるペースト体積の減少分を埋め合わせるため、ペースト中には大きな気泡が形成される。またこれにより、完成後の接着層中には、大きな気泡痕(マクロポア)が形成され、例えば、直径が1mm以上のマクロポアが多数形成されることになる。
接着層内にこのようなマクロポアが形成されると、ハニカム構造体の強度は、著しく低下する。例えば、接着層内に多数のマクロポアを有するハニカム構造体を使用した場合、比較的小さな応力で、マクロポア同士が容易に連結され、またはマクロポア間に亀裂が入り、大きな亀裂に発展してしまうため、接着層内のクラックの伝播速度が増大する。従って、このようなマクロポアが存在する接着層を有するハニカム構造体では、ハニカム構造体が損壊され易くなるという問題が生じる。
また、通常の場合、ハニカム構造体は、セル開口面に相当する端面を除く外周面に、外周形状を整えるためのコート層を有する。このコート層は、水分を含むコート層用のペーストを、ハニカム構造体の外周面に設置することにより形成されるため、このコート層についても、前述の接着層と同様の問題が生じ得る。
本発明は、このような問題に鑑みなされたものであり、接着層および/またはコート層内でのマクロポアの形成を回避することが可能なハニカム構造体の製造方法、ならびに接着層および/またはコート層内にマクロポアを含まず、良好な強度を有するハニカム構造体を提供することを課題とする。
本発明では、セル壁で区画されたセルを有する複数のハニカムユニットを接着層で接合してセラミックブロックを形成するステップ、またはセル壁で区画されたセルを有する一つのハニカムユニットでセラミックブロックを形成するステップと、前記セラミックブロックの外周部にコート層を設置するステップと、を有するハニカム構造体の製造方法であって、さらに、
前記ハニカムユニットの接合面に、直径が1〜50μmの範囲の発泡材料の粒子を含む接着層用のペーストを設置するステップ、および/または前記セラミックブロックの外周部に、直径が1〜50μmの範囲の発泡材料の粒子を含むコート層用のペーストを設置するステップと、
前記発泡材料を発泡させるステップと、
前記発泡材料を消失させ、直径100〜300μmの範囲の気泡痕を形成するステップと、
を有することを特徴とするハニカム構造体の製造方法が提供される。
ここで、前記発泡材料の粒子の平均粒子径は、5〜50μmの範囲であることが好ましい。
また、前記接着層用のペーストには、前記発泡材料の粒子を0.5〜10wt%含むことが好ましい。
また、前記発泡材料には、マイクロカプセルを含んでいても良い。
また、前記マイクロカプセルには、低沸点炭化水素または炭酸ガスを樹脂で被覆することにより構成されていても良い。
また、前記発泡材料を発泡させるステップは、90〜150℃の温度範囲で実施されても良い。
また、前記接着層用のペーストには、さらに、無機繊維および無機バインダを含んでいても良い。
さらに、前記セルは、2つの端部を有し、当該方法は、前記セルのいずれか一方の端部を封止するステップを有していても良い。
さらに、当該方法は、前記セル壁に触媒を設置するステップを有していても良い。
また、本発明では、セル壁で区画されたセルを有する複数のハニカムユニットが接着層で接合されて構成されたセラミックブロック、またはセル壁で区画されたセルを有する一つのハニカムユニットで構成されたセラミックブロックと、前記セラミックブロックの外周部に形成されたコート層とを有するハニカム構造体であって、
接着層および/またはコート層には、直径が100〜300μmの気泡痕が含まれていることを特徴とするハニカム構造体が提供される。
ここで、前記セルは、2つの端部を有し、いずれか一方の端部が封止されていても良い。
また、前記セル壁には、触媒が設置されていても良い。
本発明では、接着層および/またはコート層内でのマクロポアの形成を回避することが可能なハニカム構造体の製造方法、ならびに接着層および/またはコート層内にマクロポアを含まず、良好な強度を有するハニカム構造体を提供することが可能となる。
以下、図面により本発明の形態を説明する。なお、以下の記載においては、排気ガス中のパティキュレートを捕獲するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)として使用されるハニカム構造体を例に、本発明を説明する。ただし、本発明のハニカム構造体は、触媒担持体に使用することも可能であることは、当業者には明らかであろう。
図1には、本発明によるハニカム構造体の一例を模式的に示す。また、図2には、本発明のハニカム構造体を構成するハニカムユニットの一例を模式的に示す。さらに図3には、図2のハニカムユニットのA−A断面の概略図を示す。
図1に示すように、ハニカム構造体100は、2つの端面および両端面をつなぐ外周部を有するセラミックブロック140と、該セラミックブロック140の外周部に設置されたコート層120とを有する。通常の場合、コート層120は、完成後のハニカム構造体100の外周形状を整えること、およびシール材として機能することを目的として、セラミックブロック140の外周部に、全長にわたって設置される。
セラミックブロック140は、例えば、図2に示す柱状のセラミック製ハニカムユニット130を、接着層110を介して複数個(図1の例では、縦横4列ずつ16個)接合させた後、外周側を所定の形状(図1の例では、円柱状)に沿って切断することにより構成される。
図2に示すように、ハニカムユニット130は、長手方向に沿って、一方の端面から他方の端面にまで延伸する複数のセル22と、該セルを区画するセル壁23とを有する。また、各セル22は、図3に示すように、いずれかの端面側が封止材24により目封じされている。従って、一つのセル22に流入した排気ガスは、必ずそのセル22を隔てるいずれかのセル壁23を通過した後、他のセル22から排出される。排気ガス中に含まれるパティキュレートは、このような排気ガスの流通中に、ハニカムユニットのセル壁に捕獲され、これにより排気ガスが浄化される。
なお、図1に示したハニカム構造体100およびセラミックブロック140は、円柱形状であるが、本発明のハニカム構造体およびハニカムブロックは、柱状であれば円柱状に限定されることはなく、例えば、楕円柱状や角柱状等、任意の形状のものであっても良い。
ここで、本発明によるハニカム構造体100は、接着層110および/またはコート層120が「ミクロポア」のみを含み、「マクロポア」を含まないことを特徴とする。
ここで、「ミクロポア」とは、直径が最大300μm以下の気泡痕を意味する。これに対して、「マクロポア」とは、「ミクロポア」よりも大きい気泡痕を意味する。ハニカム構造体の接着層またはコート層で発生する「マクロポア」は、通常、直径が500μm〜2mmである。また、「気泡痕」とは、乾燥工程前または乾燥工程の間に、セラミック(またはセラミック原料ペースト)内の気泡が存在していた場所に、最終的に残留形成された空間を意味する。従って、「気泡痕」は、セラミック粒子同士の焼結によって生じるミクロ的な隙間、いわゆる気孔とは、現象的にも概念的にも異なるものであることに留意する必要がある。
なお、以下の記載では、接着層110が「マクロポア」を含まないハニカム構造体を例にして、本発明の特徴を説明する。ただし、これに加えてまたはこれとは別に、コート層120が「マクロポア」を含まないハニカム構造体についても、同様の効果が得られることは当業者には明らかである。本発明において、マクロポアおよびミクロポアを「す(鬆)」ともいい、マクロポアおよびミクロポアは、空気またはいくらかのその他の気体を含んでいるはっきりしない形状の取り囲まれた空洞および多少とも球状の「す」である泡を含むものとする。
図4には、本発明によるハニカム構造体の長手方向に対して垂直な断面の拡大写真を示す。また、図5には、従来のハニカム構造体の同方向の断面の拡大写真を示す。なお、図4および図5は、25倍のSEM写真である。これらの図には、接着層とその周囲のハニカムユニットが示されている。両図において、白い部分は、接着層であり、四隅に格子状に見える灰色の部分は、ハニカムユニット(130および130')のセル壁であり、黒い部分は、セルである。これらの図から、本発明のハニカム構造体では、接着層110には、直径が最大でも200μm以下のミクロポア210しか観察されないのに対して、従来のハニカム構造体では、接着層110'内に、直径が500μm〜2mmのマクロポア220が多数形成されており、特に、1mm程度のマクロポア220が多いことがわかる。
接着層内に、図5に示すようなマクロポア220が形成されると、比較的小さな応力でも、マクロポア同士が容易に連結されて、大きな亀裂に発展してしまうため、接着層内のクラックの伝播速度が増大する。このため、ハニカム構造体の強度が著しく低下し、小さな応力によって、ハニカム構造体が容易に損壊してしまうという問題が生じる。
これに対して、図4に示すように、ハニカム構造体の接着層110がこのようなマクロポア220を含まない場合は、使用時に、接着層内でマクロポア220が連なってクラックが生じ、ハニカム構造体が損壊するという問題が回避される。従って、この場合、ハニカム構造体の強度を向上させることが可能となる。
通常、ハニカムユニット130は、多孔質セラミックで構成される。多孔質セラミックの材料としては、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック、炭化珪素、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、アルミナ、ジルコニア、コージュライト、ムライト、シリカ、チタン酸アルミニウム等の酸化物セラミック等を挙げることができる。また、ハニカムユニット130は、複合材料で構成されても良く、例えば、シリコンと炭化珪素の複合材料であっても良い。シリコンと炭化珪素の複合材料を用いる場合には、シリコンを全体の5〜45重量%となるように添加することが望ましい。
上記多孔質セラミックの材料としては、多数のハニカムユニットから構成されるハニカム構造体の場合は、耐熱性が高く、機械的特性に優れ、かつ、熱伝導率も高い炭化珪素質セラミックが望ましい。なお、炭化珪素質セラミックとは、炭化珪素が60重量% 以上のものをいうものとする。また、ハニカム構造体の材料として金属を用いても良い。また、上記多孔質セラミックの材料としては、一つのハニカムユニットから構成されるハニカム構造体の場合は、耐熱衝撃性に優れるコージェライトまたはチタン酸アルミニウムが望ましい。
ハニカムユニットの平均気孔径は特に限定されないが、パティキュレートを捕獲する場合、望ましい下限は1μmであり、望ましい上限は、100μmである。平均気孔径が1μm未満であると、圧力損失が高くなり、一方、平均気孔径が100μmを超えると、パティキュレートが気孔を通り抜けてしまい、該パティキュレートを捕獲することができず、パティキュレートの捕獲効率が低下することがある。
ハニカムユニットの気孔率は、特に限定されないが、望ましい下限は20%であり、望ましい上限は80%である。気孔率が20%未満の場合、パティキュレートを捕獲する場合にハニカム構造体がすぐに目詰まりを起こしてしまうことがあり、一方、80%を超えるとハニカム構造体の強度が低く、容易に破壊されることがある。なお、上記気孔率は、例えば、水銀圧入法、アルキメデス法および走査型電子顕微鏡(SEM)による測定等の従来公知の方法により測定することができる。
ハニカムユニットの開口率は、特に限定されないが、望ましい下限は50%であり、望ましい上限は80%である。上記開口率が50%未満であると、圧力損失が高くなることがあり、一方、80%を超えると、ハニカム構造体の強度が低下することがある。
また、ハニカムユニットのセル壁の厚さの望ましい下限は、0.1mm であり、望ましい上限は、0.5mmである。より望ましい上限は0.35mmである。セル壁の厚さが0.1mm未満では、ハニカム構造体の強度が低くなりすぎることがあり、一方、セル壁の厚さが0.5mmを超えると、圧力損失が大きくなりすぎることがあるとともに、ハニカム構造体の熱容量が大きくなり、触媒(パティキュレートマター(PM)の燃焼温度を低下させる触媒)を担持させた場合であっても、エンジンの始動直後から排気ガスの浄化(PMの燃焼)ができない場合がある。
ハニカムユニット130の封止材24とセル壁23とは、同じ多孔質セラミックからなることがより望ましい。これにより、両者の密着強度を高くすることができるとともに、封止材24の気孔率をセル壁23と同様に調整することで、セル壁23の熱膨張率と封止材24の熱膨張率との整合を図ることができ、製造時や使用時の熱応力によって封止材24とセル壁23との間に隙間が生じたり、封止材24 や封止材24に接触する部分のセル壁23にクラックが発生したりすることを防止することができる。
封止材24の厚さは、特に限定されないが、例えば、封止材24が多孔質炭化珪素からなる場合には、望ましい下限は1mmで、望ましい上限は20mmであり、より望ましい下限は3mmで、より望ましい上限が10mmである。
なお、接着層110およびコート層120の材質等については、後述する。
また、本発明のハニカム構造体では、ハニカムユニットのセルの端部を封止材で封止する代わりに、またはこれに加えて、セル壁の少なくとも一部に触媒を担持させても良い。そのようなハニカム構造体は、触媒反応により、CO、HCおよびNOx等の排気ガス中の有害なガス成分を浄化する触媒担持体として使用することができる。
セル壁に設置される触媒としては、特に限定されないが、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属からなる触媒が挙げられる。また、これらの貴金属に加えて、アルカリ金属(元素周期律表1族元素)、アルカリ土類金属(元素周期律表2族元素)、希土類元素(元素周期律表3族元素)、遷移金属元素を含んだ化合物が担持されていても良い。
また、ハニカムユニットのセル壁に触媒を設置させる際には、予めその表面をアルミナ等の触媒担持層で被覆しておいても良い。触媒担持層としては、例えば、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ等の酸化物セラミックが挙げられる。
触媒が担持されたハニカムユニットで構成されるハニカム構造体は、従来公知の触媒設置型DPF(触媒化DPF)と同様の排気ガス浄化装置として機能するものである。従って、ここでは、本発明のハニカム構造体が触媒担持体としても機能する場合の詳しい説明を省略する。
次に、本発明のハニカム構造体を製造する方法について説明する。本発明のハニカム構造体の製造方法は、図6に示すように、ハニカムユニットの製作工程(ステップS110)、セラミックブロックの製作工程(ステップS120)、およびコート層の設置工程(ステップS130)の各工程を経て製作することができる。特に、本発明のハニカム構造体の製造方法には、セラミックブロックの製作ステップが、ハニカムユニットの接合面に、発泡材料を含む接着層用のペーストを設置する工程(ステップS121)、発泡材料を発泡処理する工程(ステップS122)および発泡材料を消失処理する工程(ステップS123)の各工程を有することに特徴がある。
以下、各工程について説明する。
(ハニカムユニットの製作工程−ステップS110)
このステップでは、前述のセラミックの粉末、バインダ、分散溶媒を主成分とする原料ペーストを用いた押出成形によって、後にハニカムユニットとなる四角柱状等の成形体が作製される。
原料ペーストとしては、特に限定されないが、製造後のハニカムユニットの気孔率が20〜80%となるものが望ましく、例えば、前述のセラミックからなる粉末に、バインダ、分散媒液等を加えたものが使用される。
セラミック粉末の粒径は特に限定されないが、後の焼成工程で収縮の少ないものが好ましく、例えば、0.3〜70μmの平均粒径を有する粉末100重量部と0.1〜1.0μmの平均粒径を有する粉末5〜65重量部とを組み合わせたものが好ましい。ハニカムユニットの気孔径等の調節は、焼成温度と、セラミック粉末の粒径とを調節することにより行うことができる。
原料ペーストに添加されるバインダとしては、特に限定されず、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール等を挙げることができる。バインダの配合量は、通常、セラミック粉末100重量部に対して、1〜15重量部であることが望ましい。
分散媒液としては、特に限定されず、例えば、ベンゼン等の有機溶媒、メタノール等のアルコール、水等を挙げることができる。上記分散媒液は、上記原料ペーストの粘度が一定範囲内となるように適量配合される。
また、原料ペーストには、必要に応じて成形助剤を添加しても良い。上記成形助剤としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。さらに、原料ペーストには、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤を添加しても良い。上記バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン) 、ムライトバルーン等を挙げることができる。これらの中では、アルミナバルーンが望ましい。
これらのセラミック粉末、バインダ、分散媒液、成形助剤および造孔剤は、アトライター等で混合され、ニーダー等で充分に混練された後、押出成形されて成形体が形成される。
得られた成形体は、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、オーブン、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等を用いて乾燥処理される。次に、DPF用のハニカム構造体を製造する場合には、成形体の各セルの一方の端部に、後に封止材となる封止用ペーストが所定量充填され、セルが目封じされる。
封止用ペーストとしては、特に限定されないが、後工程を経て得られる封止材の気孔率が30〜75%となるものが望ましく、例えば、前述のハニカムユニットの原料ペーストと同様の組成のものを用いても良い。
次に、封止用ペーストが充填された成形体に対して、所定の条件で脱脂(例えば、200〜500℃)、焼成( 例えば、1400〜2300℃)を行うことにより、ハニカムユニットを製造することができる。成形体の脱脂および焼成の条件は、従来から多孔質セラミックからなるフィルタを製造する際に用いられている条件を適用することができる。
(セラミックブロックの製作工程−ステップS120)
次に、以下のようにして、セラミックブロックが製作される。セラミックブロックを製作する場合、まず、前述のように製作したハニカムユニットを、スペーサを介して、例えば、縦横に4列ずつ積層させることにより、ハニカムユニットの積層体が形成される。次に、スペーサによって生じたハニカムユニットの積層体の空隙に、接着層用のペーストが充填される。さらに、このペーストを乾燥、固定化させることにより、各ハニカムユニットが接着層を介して結束されたセラミックブロックが形成される。
以下、セラミックブロックの製作工程を、図7乃至図9を用いて、詳しく説明する。図7は、ハニカムユニットの積層体の長手方向に対して垂直な断面図を模式的に示したものである。図8および図9は、接着層用ペーストを充填する際に使用される充填装置を示したものである。特に、図8は、内部空間にハニカムユニットの積層体が設置された充填装置の長手方向に垂直な断面を模式的に示したものであり、図9は、内部空間にハニカムユニットの積層体が設置された充填装置の長手方向に平行な断面を模式的に示したものである。
図7に示すように、ハニカムユニット130は、ハニカムユニット同士の間に設置されたスペーサ142を介して、縦横に複数個(図の例では4列×4行)並列される。従って、ハニカムユニット同士の間には、スペーサ142の高さ分の空隙141が形成される。
スペーサの形状としては、特に限定されず、円柱状、角柱状等、いかなる形状のものも使用できる。
スペーサを配置する位置としては特に限定されないが、ハニカムユニットの側面の四隅近傍に配置することが望ましい。
スペーサの材質としては、特に限定されず、例えば、紙、無機物質、セラミック、有機繊維、樹脂等を使用することができる。スペーサの具体例としては、例えば、ボール紙、黒鉛、炭化珪素等が挙げられる。また、接着層と同じ材質のスペーサを、予め厚さを調製し固形化させておいても良い。
次に、スペーサによって定形されたハニカムユニット間の空隙に、後に接着層となるペースト(以下、「接着層用(の)ペースト」と称する)が充填される。
ここで、接着層用ペーストの充填には、図8および9に示すような充填装置が使用される。
充填装置500は、筒状体501と、第1のペースト供給器503aと、第2のペースト供給器503bとを具備する。筒状体501は、内部に前述のハニカムユニットの積層体160を格納し得る内部空間502を備えている。換言すれば、筒状体501は、内部空間502を定形するための4つの側面と2つの端面とを有する。2つの端面のうちの一方(第2のペースト供給器503bが取り付けられていない端面)には、開閉可能な底板530が設置されている。
第1のペースト供給器503aは、筒状体501の4つの側面のうちの一つに取り付けられており、第2のペースト供給器503bは、筒状体501の2つの端面のうちの一つに取り付けられている。第1および第2のペースト供給器503a、503bは、それぞれ、ペースト560を収容するためのペースト室520aおよび520bを有する。また、第1および第2のペースト供給器503a、503bは、それぞれ、ペースト室520aおよび520bに収容されたペースト560を室外に押し出すための押出機構525a、525bを有する。さらに、第1および第2のペースト供給器503a、503bの底部には、開口が設けられている。
また、筒状体501の第1および第2のペースト供給器503a、503bが設置される側面および端面には、それぞれ、開口510aおよび510bが設けられており、第1および第2のペースト供給器503a、503bが設置された状態では、ペースト室520aおよび520bと、内部空間502とが連通されている。さらに言えば、筒状体501の開口510aおよび510bは、内部空間502に収容されたハニカムユニットの積層体160の各空隙141の位置と対応するような寸法および間隔で設けられている。
このような充填装置500を用いて、以下のように、ハニカムユニットの積層体160の空隙141に接着層用のペーストが充填される。
スペーサ142を用いてハニカムユニットの積層体160を組み立てた後、これを筒状体501の内部空間502内に格納する。次に、ペースト供給器503aおよび503bを、筒状体501の一側面および一端面に取り付けるとともに、それぞれのペースト室520a、520bに接着層用のペーストを充填する。次に、押出機構525a、525bを用いて、それぞれのペースト供給器503a、503bのペースト室520a、520bから、ペースト560を押し出すと、両方のペースト供給器から押し出されたペーストは、筒状体501の開口510a、510bを経由して、内部空間502の方に供給される。前述のように、筒状体501の開口510a、510bは、ハニカムユニットの積層体160の空隙位置に対応しているため、各空隙141に、ペースト560を適正に注入することができる。
このようにして、空隙141に、接着層用ペーストが設置されたハニカムユニットの積層体160を得ることができる。
しかしながら、通常、ハニカムユニットは、多孔質なセラミック部材であるため、接着層用ペーストの充填直後から、接着層用ペーストに含まれる水分は、ペーストと接するハニカムユニット130の表面側からハニカムユニット130の内部に向かって浸透し始める。このため、ハニカムユニットの積層体160の空隙141に充填されたペーストの体積は、時間とともに減少して行く。ただし、各ハニカムユニットの被接合面間に形成されている空隙141は、スペーサ142によって空間体積が規定されている。そのため、このような水分の逸散によるペースト体積の減少により、結果的に、完成後の接着層中には、この体積減少分に相当するマクロポア、例えば、直径が1mm程度のマクロポアが多数形成されることになる(前述の図5参照)。接着層内にこのようなマクロポアが形成されると、接着層、さらにはハニカム構造体の強度が著しく低下するという問題が生じる。
これに対して、本発明では、接着層用ペーストに「発泡材料」の粒子を添加することにより(ステップS121)、従来のようなマクロポア発生の問題を解消することを特徴とする。ここで、「発泡材料」とは、温度依存性の膨張特性および消失特性を有する材料であって、未だ膨張状態に至っていない材料を意味する。従って、既に膨張後の、更なる膨張特性を有さない「発泡済」材料は、本発明の「発泡材料」には含まれない。
接着層用ペーストがこのような発泡材料の粒子を含む場合、以下の効果が得られる。すなわち、接着層用ペーストの乾燥工程において、発泡材料の膨張消失特性が生じる温度域にハニカムユニットの積層体を保持した場合、接着層用ペーストに含まれる発泡材料の膨張効果によって、接着層用ペーストの体積が見かけ上増大し、これによりハニカムユニット側への水の浸透によるペーストの体積減少分を補填することが可能になる。さらに、発泡材料粒子の消失後、それまで発泡材料粒子が存在していた箇所には、気泡痕としてミクロポアが形成されることになるため、完成後の接着層内に、マクロポアが形成されることが回避される。
このような本発明の効果を、図10および図11を用いてより詳しく説明する。図10および図11は、それぞれ、従来の方法および本発明の方法により、接着層用ペーストの乾燥処理の際に、接着層用ペーストが乾燥、固化され接着層となる様子を示したものである。マクロポア、ミクロポアの発生は、以下のように考えられる。
前述のように従来の方法では、乾燥処理の際に、ペースト中に含まれる水分は、ハニカムユニットのペーストと接する表面側からハニカムユニット内の気孔内に浸透して行く。これにより、ペースト560'が減少し、ペースト560'の量は、スペーサ142によって定形された空隙141の体積よりも少なくなる。そのため、乾燥工程の初期段階では、ペースト560'内に、多数の微細な気泡218が形成される。このような微細な気泡218は、凝集してより大きな気泡になる性質がある。特に、ペーストの乾燥工程では、気泡が動きやすく、気泡同士の凝集がより生じやすい状態になっている。従って、このような微細な気泡218の凝集挙動によって、その後、ペースト内には、ペースト体積の不足分に相当する大きな気泡219が形成される。また、ペーストの乾燥硬化処理完了後には、そのような大きな気泡219の存在箇所に、気泡痕としてマクロポア220が発生すると考えられる(図10)。
一方、本発明のペーストにおいても、図11に示すように、従来と同様、ペーストの乾燥工程中に、ペーストに含まれる水がハニカムユニット130側に浸透するため、ペースト560の体積が減少する。しかしながら、本発明では、ペースト560が発泡材料粒子310を含んでおり、乾燥工程において、この発泡材料粒子310は、膨張しようとする(例えば、体積比で2〜50倍膨張する。望ましくは、2〜10倍の膨張)。また、そのような発泡材料粒子310の体積膨脹によって、接着層用ペースト560に流動性が付与される。このような接着層用ペーストの流動性により、前述のような微細な気泡の凝集挙動が妨害され、ペースト内には、大きな気泡は形成され難くなる。発泡材料粒子も周りに接着層用ペーストがあるため、体積膨脹しきれず(接着層ペーストを押すだけで)、発泡材料によってできる気泡は、マクロポアにはならず、複数のミクロポアになると考えられる。従って、この場合、微細な気泡218は、乾燥工程中に、凝集されないままペースト内に残存する。一部の微細な気泡218は、ペースト内から外部に放出されると考えられる。従って、最終的に、ペースト内には、膨脹後の発泡材料311による多数の気泡痕(および微細な気泡218による気泡痕)によって、ミクロポア210が形成されることになる。
なお、接着層用ペーストの導入の際に、予めペースト内に大きな気泡が取り込まれる可能性も考えられる。しかしながらこの場合も、発泡材料の体積膨脹によるペーストの流動により、そのような大きな気泡は、より小さな気泡に分断され、大きな気泡は消滅すると考えられる。
以上の説明では、接着層用ペーストに含まれる水がハニカムユニット130側に浸透することにより、結果的に接着層内に気泡痕が発生する場合を例に説明した。しかしながら、接着層用ペースト中に有機バインダが含まれる場合には、乾燥工程中にこの有機バインダが蒸発することにより、同様のメカニズムによって、接着層内に気泡痕が発生する場合もあり得ることに留意する必要がある。
ここで、前述のような本発明の効果を従来と同様の乾燥工程において発現させるためには、発泡材料の粒子は、従来の乾燥工程での温度域、すなわち80〜300℃の温度域において、膨張し、消失する特性を有することが好ましい。特に、90〜150℃の温度域において、そのような特性が発揮されることが好ましい。また、本発明の発泡材料の粒子は、発泡後の寸法が500μmよりも小さいことが望ましい。そうでなければ、ペーストに発泡材料を添加しても、発泡材料自身の膨張によって、大きな気泡痕が生じ、最終的に、接着層内にマクロポアが形成されてしまうことがあるからである。また、発泡材料の膨張率は、入手性、膨張後の寸法安定性(バラツキの少なさ)の観点から、2〜10倍のものが好ましい。従って、本発明に利用可能な発泡材料粒子の直径の上限は、50μmであることが好ましい。上限が50μmの場合、膨張後の粒子の大きさは、100μm〜500μmとなり、その大きさのものがそのまま気泡痕として残ったとしても、マクロポアが形成されないからである。マクロポアとして形成されたとしても、個数が少なく、クラックにはほとんど影響されないレベルである。一方、発泡材料粒子の直径の下限は、特に限られないが、入手の容易さ等の観点からは、1μm以上であることが好ましい。ただし、必要な場合、これよりも小さな粒径の発泡材料を使用しても良い。なお、発泡材料粒子の直径は、測長顕微鏡またはSEM写真によって測定することができる。
そのような発泡材料としては、熱によって膨張する材料と、化学反応によりガスを発生させる材料の2種類のものが挙げられる。
このうち、熱によって膨張する材料には、マイクロカプセルおよび発泡樹脂等が含まれる。一方、化学反応によりガスを発生させる材料としては、無機質発泡材、膨張剤等が挙げられる。
「マイクロカプセル」とは、低沸点材料(例えば、ブタン、ペンタン等の炭化水素)または気体(炭酸ガス等)のをインサイト重合法等により、塩化ビニルデン、アクリルニトリル、メラニン、フェノール等の共重合材料の殻壁でカプセル化した熱膨張性粒子が挙げられる。
一方、発泡樹脂の材料としては、例えば、アクリロニトリル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等が挙げられる。
また、無機質発泡材としては、例えば、パーライト粒子、シラスバルーン等が挙げられる。
また、膨張剤の材料としては、塩化アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、酢酸アミル、酢酸ブチル、硫酸アルミニウムアンモニウム、硫酸アルミニウムカリウム、酒石酸水素カリウム、ジアゾアミノベンゼン等が挙げられる。
なお、これらの発泡材料は、接着層用ペースト全体の重量に対して、0.5〜10wt%添加されることが好ましい。化学反応による発泡材料(例えば、上記膨張剤)は、添加時に硬化が始まってしまい、発泡材料として機能しない場合があり、無機質発泡材料は、焼成を行っても、無機質がボイド中に残ってしまう場合があるので、マイクロカプセルおよび発泡樹脂が好ましい。マイクロカプセルおよび発泡樹脂では、樹脂成分を乾燥または焼成させたり、燃やして消失させたりすることが可能となる。0.5wt%未満では、発泡材料の効果が十分に発揮されず、マクロポアが発生する場合があり、10wt%を超えると、ミクロポアの数が増加してしまい、接着強度が低下するからである。
また、通常の場合、接着層用のペーストは、さらに無機繊維と無機バインダを有する。無機繊維としては、例えば、シリカ−アルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ、ホウ酸アルミニウムウィスカ等のセラミックファイバやウィスカ等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。無機繊維のなかでは、シリカ−アルミナファイバが望ましい。
無機繊維のアスペクト比の下限は、3であることが望ましい。アスペクト比が3以上であると、無機繊維と無機バインダとの接触が増加し、その結果、接着強度が向上することとなるからである。一方、アスペクト比の上限は、50であることが望ましい。アスペクト比が50を超えると、形成した接着層において、無機繊維同士の間に空隙が発生することがあり、その結果、充分な接着強度が発現しないことがあるからである。なお、アスペクト比は、(無機繊維の平均繊維長)÷(無機繊維の平均繊維径)により算出した値である。また、無機繊維の平均繊維径の望ましい下限は55μm、より望ましい下限は、60μmであり、望ましい上限は200μm 、より望ましい上限は100μmである。また、無機繊維の平均繊維長の望ましい下限は18μm、より望ましい下限は20μmであり、望ましい上限は5000μm、より望ましい上限は2000μmである。
接着層用のペーストに含まれる無機繊維の含有量は、30重量%以上であることが望ましく、35重量%以上であることがより望ましい。また、無機繊維の含有量は、50重量%以下であることが望ましく、45重量%以下であることがより望ましい。
接着層用のペーストに含まれる無機バインダとしては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。無機バインダの中では、シリカゾルが望ましい。無機バインダの含有量は、10重量%以上であることが望ましく、15重量%以上であることがより望ましい。また、上記無機バインダの含有量は、30重量%以下であることが望ましく、25重量%以下であることがより望ましい。
また、接着層用のペーストは、さらに、無機粒子を含んでも良い。無機粒子としては、例えば、炭化物、窒化物等を挙げることができ、具体的には、炭化珪素、窒化珪素、窒化硼素等からなる無機粉末等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。これらの無機粒子のなかでは、熱伝導性に優れる炭化珪素が望ましい。
また、接着層用のペーストは、さらに有機バインダを含んでも良い。有機バインダを配合して、接着層用のペーストの粘度を調整することにより、接着層用ペーストの付着性を向上させることができ、さらには、接着層の接着性を向上させることができるからである。有機バインダの含有量は、1.5重量%以下であることが望ましく、1.0重量%以下であることがより望ましい。なお、接着層用ペーストの粘度は、20〜60Pa・sの範囲であることが望ましい。
有機バインダとしては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。これらの有機バインダのなかでは、カルボキシメチルセルロースが望ましい。また、無機繊維を含まず、無機粒子と無機バインダ、さらに必要に応じて有機バインダを含んだものを用いても良い。
このような接着層用ペーストが空隙141に充填されたハニカムユニットの積層体を形成した後、接着層用ペーストに含まれる発泡材料の発泡処理および消失処理が行われる(ステップS122およびS123)。
発泡処理および消失処理は、同時に実施しても、別々に実施しても良い。同時に実施する場合は、ハニカムユニットの積層体を、例えば、80〜300℃の範囲で、1時間〜5時間保持することにより、発泡材料が発泡および消失される。また、別々に実施する場合、ハニカムユニットの積層体を、例えば、80〜300℃の第1の温度で、1時間〜5時間保持させることにより、発泡材料を発泡させてから、第1の温度よりも高い第2の温度で、1時間〜5時間保持させることにより、発泡材料を消失させても良い。
このような発泡材料の発泡処理および消失処理工程を経て、接着層用ペーストが乾燥、固化されて、接着層が形成される。
その後、ダイヤモンドカッター等を用いて、この積層体の外周部を所望の寸法に切断することにより、例えば、円柱形状のセラミックブロックを得ることができる。
また、ハニカム成形体の段階で、接着材でハニカムブロックとして、焼成を行い、接着材を焼成しても良く、あるいはハニカム成形体の焼成とハニカムブロックの焼成の2回の焼成を行っても良い。
(コート層の設置工程−ステップS130)
次に、セラミックブロックにコート層が形成される。
まず、セラミックブロックの外周面(切断面)に、コート層用ペーストが設置される。次に、このペーストを乾燥、固化させることにより、コート層が形成される。
通常、コート層用のペーストは、無機繊維および/または無機粒子と、無機バインダと、有機バインダとを含む。
無機繊維としては、例えば、シリカ−アルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ等のセラミックファイバまたはウィスカを使用することができる。これらは、単独で使用しても、2種類以上のものを混合して使用しても良い。上記無機繊維の中では、シリカ−アルミナファイバが望ましい。
無機粒子としては、例えば、炭化物、窒化物等を使用することができ、具体的には、炭化珪素、窒化珪素、窒化ヒ素等からなる無機粉末等を使用することができる。これらは、単独で使用しても、2種類以上のものを混合して使用しても良い。上記無機粒子の中では、熱伝導性に優れる炭化珪素が望ましい。
無機バインダとしては、例えば、シリカゾル、アルミナ等を使用することができ、これらは単独で使用しても、2種類以上のものを混合して使用しても良い。上記無機バインダの中では、シリカゾルが望ましい。
有機バインダとしては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース等を使用することができ、これらは単独で使用しても、2種類以上のものを混合して使用しても良い。上記有機バインダの中では、カルボキシルメチルセルロースが望ましい。
コート層用のペーストの乾燥処理は、セラミックブロックを、例えば、80〜300℃の温度範囲で、1〜5時間保持することにより行われる。コート層用のペーストには、接着層用のペーストと同じものを用いても、異なるものを用いても良い。
以上の工程を経て、本発明によるハニカム構造体が製造される。
なお、触媒担持体として使用されるハニカム構造体を製造する場合、前述の工程において、封止材によるセル端部の封止処理を省略することで作製することができ、またこれに加えて、ハニカムユニットのセル壁に、触媒を担持させる工程を加えても良い。この触媒の担持処理は、ハニカムユニットを積層する前、またはハニカムユニットを結束させてセラミックブロックを構成した後、のいずれの段階で実施しても良い。触媒を担持させる場合には、例えば、セル壁の表面に、触媒担持層としてアルミナ膜を形成しておき、このアルミナ膜の表面に、助触媒および白金等の触媒を設置しても良い。
以上の説明では、発泡材料を含む接着層用ペーストを用いて、ハニカム構造体を形成する場合、すなわち、接着層中にミクロポアを導入する場合を例に説明した。しかしながら、本発明は、このような態様に限られるものではないことに留意する必要がある。例えば、発泡材料を含むコート用ペーストを使用した場合、マクロポアを含まず高い強度を有するコート層を形成することが可能となることは、当業者には明らかである。
以下、実施例により本発明の効果を詳しく説明する。
以下の方法でハニカム構造体を作製した。
まず、平均粒径10μmのα型炭化珪素粉末7000重量部と、平均粒径0.5μmのα型炭化珪素粉末3000重量部とを湿式混合し、得られた混合物10000重量部に対して、有機バインダ(メチルセルロース)を570重量部、水を1770重量部加えて混練して混合組成物を得た。次に、上記混合組成物に可塑剤(日本油脂社製ユニルーブ)を330重量部、潤滑剤として(グリセリン)を150重量部加えてさらに混練した後、押出成形を行い、図2に示した角柱形状のハニカムユニットの成形体を作製した。
次に、マイクロ波乾燥機等を用いて、この生成形体を乾燥させた後、成形体と同様の組成の封止材ペーストを所定のセルに充填した。次いで、再び乾燥機を用いて乾燥させた後、400℃で脱脂し、常圧のアルゴン雰囲気において2200℃、3時間で焼成を行うことにより、炭化珪素焼結体からなるハニカムユニットを製造した。このハニカムユニットは、縦34.3mm、横34.3mm、長さ150mmの寸法であり、気孔率は、42%、平均気孔径は、11μmであった。また、セルの数は、46.5個/cm(300cpsi)であり、セル壁23の厚さは、0.25mmであった。
次に、ハニカムユニットの側面の四隅近傍に、接着層と同じ組成で乾燥固化したスペーサを、1個ずつ合計4個載置した。具体的には、スペーサの外周部分と、ハニカムユニットの側面の隅を形成する2つの辺との最短距離がそれぞれ6.5mmとなるような位置に、スペーサを載置した。スペーサの寸法は、直径5mm、厚さ1mmであった。次に、これらのスペーサを介して、縦4個×横4個のハニカムユニットを結束することにより、ハニカムユニットの積層体を組み立てた。
次に、平均粒径0.6μmの炭化珪素粒子20wt%と、シリカゾル(固形分30%)26wt%と、カルボキシメチルセルロース(CMC)1重量%と、アルミナバルーン30wt%と、水23重量%とを含む混合液に、0.5wt%のマイクロカプセルを添加して、接着層用ペーストを調製した。また、同様の組成のコート層用ペーストを調製した。マイクロカプセルには、直径が10〜50μmの適正発泡倍率が約4倍の熱可塑性有機材料(アクリロニトリル)の殻材内にイソブタンガスを封入したものを使用した。接着層用ペーストに添加されるマイクロカプセル含有量は、0.5wt%である。
次に、前述の図8および図9に示した充填装置を用いて、ハニカムユニットの積層体の空隙に、接着層用ペーストを充填した。第1のペースト供給器503aからペーストを押し出す際の圧力は、1.1kg/cmとし、第2のペースト供給器503bからペーストを押し出す際の圧力は、ゼロとした。
その後、ハニカムユニットの積層体を100℃で1時間保持し、ペースト内の発泡材料を発泡、消失させるとともに、接着層を固定化させた。接着層の厚さは、1mmであった。
次に、得られたセラミックブロックの外周面を、セラミックブロックの外周形状(断面形状)が直径145mmの円となるように、ダイヤモンドカッターで切断した。
次に、セラミックブロックの外周(切断)面に、前述のコート層用ペーストを設置した。その後、このセラミックブロックを100℃で1時間保持し、コート層内の発泡材料を発泡、消失させるとともに、コート層を固定化させた。コート層の厚さは、1mmであった。
このようにして得られた実施例1に係るハニカム構造体について、以下のように接着層およびコート層内に形成された気泡痕の寸法を測定した。
(気泡痕寸法の測定)
接着層の気泡痕寸法の測定は、図12に示す6箇所で実施した。まず、ハニカム構造体を長手方向に対して垂直な面で2等分し、2つの端面および切断された面(中央面)を測定面とする。また、それぞれの測定面のうち、中央の交差する接着層部分(図12のP部)、および外周に近い側の交差する接着層部分のうちのいずれか1カ所(図12のQ部)を測定箇所とした。
同様に、コート層の気泡痕寸法の測定は、図13に示す3箇所で実施した。まず、ハニカム構造体を長手方向に対して垂直な面で2等分し、2つの端面および切断された面(中央面)を測定面とする。また、それぞれの測定面のうち、いずれか1カ所(図R)を測定箇所とした。
次に、顕微鏡を用いて、それぞれの測定箇所(接着層は、6箇所、コート層は、3箇所)において、気泡痕の寸法を測定した。測定は、寸法の最も大きい気泡痕を5個と、寸法の最も小さい気泡痕5個を選定し、合計10個の気泡痕に対して行った。なお非円形の気泡痕の場合、最も長い部分を測定寸法とした。
測定結果を表1に示す。実施例1に係るハニカム構造体では、接着層において測定された10点の気泡痕の寸法は、全て、100〜300μmの範囲であった。同様に、コート層において測定された10点の気泡痕の寸法は、全て、100〜300μmの範囲であった。
実施例1と同様の方法により、ハニカム構造体を製作した。ただし、実施例2では、1.0wt%のマイクロカプセルが添加された接着層用ペースト、およびコート層用ペーストを調製して、接着層およびコート層を形成した。その他の製作条件は、実施例1の場合と同様である。
測定結果を表1に示す。実施例2に係るハニカム構造体では、接着層において測定された10点の気泡痕の寸法は、全て、100〜300μmの範囲であった。同様に、コート層において測定された10点の気泡痕の寸法は、全て、100〜300μmの範囲であった。
実施例1と同様の方法により、ハニカム構造体を製作した。ただし、実施例3では、4.0wt%のマイクロカプセルが添加された接着層用ペースト、およびコート層用ペーストを調製して、接着層およびコート層を形成した。その他の製作条件は、実施例1の場合と同様である。
測定結果を表1に示す。実施例3に係るハニカム構造体では、接着層において測定された10点の気泡痕の寸法は、全て、100〜300μmの範囲であった。同様に、コート層において測定された10点の気泡痕の寸法は、全て、100〜300μmの範囲であった。
実施例1と同様の方法により、ハニカム構造体を製作した。ただし、実施例4では、8.0wt%のマイクロカプセルが添加された接着層用ペースト、およびコート層用ペーストを調製して、接着層およびコート層を形成した。その他の製作条件は、実施例1の場合と同様である。
測定結果を表1に示す。実施例4に係るハニカム構造体では、接着層において測定された10点の気泡痕の寸法は、全て、100〜300μmの範囲であった。同様に、コート層において測定された10点の気泡痕の寸法は、全て、100〜300μmの範囲であった。
実施例1と同様の方法により、ハニカム構造体を製作した。ただし、実施例5では、10.0wt%のマイクロカプセルが添加された接着層用ペースト、およびコート層用ペーストを調製して、接着層およびコート層を形成した。その他の製作条件は、実施例1の場合と同様である。
測定結果を表1に示す。実施例5に係るハニカム構造体では、接着層において測定された10点の気泡痕の寸法は、全て、100〜300μmの範囲であった。同様に、コート層において測定された10点の気泡痕の寸法は、全て、100〜300μmの範囲であった。
実施例1と同様の方法により、ハニカム構造体を製作した。ただし、実施例6では、15.0wt%のマイクロカプセルが添加された接着層用ペースト、およびコート層用ペーストを調製して、接着層およびコート層を形成した。その他の製作条件は、実施例1の場合と同様である。
測定結果を表1に示す。実施例6に係るハニカム構造体では、接着層において測定された10点の気泡痕の寸法は、全て、100〜300μmの範囲であった。同様に、コート層において測定された10点の気泡痕の寸法は、全て、100〜300μmの範囲であったが、多数のミクロポアが発生していた。
実施例1と同様の方法により、ハニカム構造体を製作した。ただし、実施例7では、適正発泡倍率5〜10倍の発泡性AS系樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体)を、0.5wt%添加した接着層用ペースト、およびコート層用ペーストを調製して、接着層およびコート層を形成した。その他の製作条件は、実施例1の場合と同様である。
測定結果を表1に示す。実施例7に係るハニカム構造体では、接着層において測定された10点の気泡痕の寸法は、全て、100〜300μmの範囲であった。同様に、コート層において測定された10点の気泡痕の寸法は、全て、100〜300μmの範囲であった。
実施例1と同様の方法により、ハニカム構造体を製作した。ただし、実施例8では、実施例7の発泡材料を4.0wt%添加した接着層用ペースト、およびコート層用ペーストを調製して、接着層およびコート層を形成した。その他の製作条件は、実施例1の場合と同様である。
測定結果を表1に示す。実施例8に係るハニカム構造体では、接着層において測定された10点の気泡痕の寸法は、全て、100〜300μmの範囲であった。同様に、コート層において測定された10点の気泡痕の寸法は、全て、100〜300μmの範囲であった。
実施例1と同様の方法により、ハニカム構造体を製作した。ただし、実施例9では、実施例7の発泡材料を10.0wt%添加した接着層用ペースト、およびコート層用ペーストを調製して、接着層およびコート層を形成した。その他の製作条件は、実施例1の場合と同様である。
測定結果を表1に示す。実施例9に係るハニカム構造体では、接着層において測定された10点の気泡痕の寸法は、全て、100〜300μmの範囲であった。同様に、コート層において測定された10点の気泡痕の寸法は、全て、100〜300μmの範囲であった。
比較例1
実施例1と同様の方法により、ハニカム構造体を製作した。ただし、比較例1では、接着層用ペーストおよびコート層用ペーストに、発泡材料は添加していない。その他の製作条件は、実施例1の場合と同様である。
測定結果を表1に示す。比較例1に係るハニカム構造体では、接着層において測定された10点の気泡痕のうち、最大のものの寸法は、900μmを超えていた。同様に、コート層においても、最大の気泡痕の寸法は、900μmを超えていた。
比較例2
実施例1と同様の方法により、ハニカム構造体を製作した。ただし、比較例2では、粒子直径が60〜100μmのマイクロカプセルが1.0wt%添加された接着層用ペースト、およびコート層用ペーストを調製して、接着層およびコート層を形成した。その他の製作条件は、実施例1の場合と同様である。
測定結果を表1に示す。比較例1に係るハニカム構造体では、接着層において測定された10点の気泡痕の中には、寸法が100〜300μmの範囲の気泡痕が含まれていたが、最大の気泡痕の寸法は、500〜700μmの範囲であった。同様に、コート層においても、測定された10点の気泡痕の中には、寸法が100〜300μmの範囲の気泡痕が含まれていたが、最大の気泡痕の寸法は、500〜700μmの範囲であった。
比較例3
実施例1と同様の方法により、ハニカム構造体を製作した。ただし、比較例3では、粒子直径が100〜150μmのマイクロカプセルが1.0wt%添加された接着層用ペースト、およびコート層用ペーストを調製して、接着層およびコート層を形成した。その他の製作条件は、実施例1の場合と同様である。
測定結果を表1に示す。比較例1に係るハニカム構造体では、接着層において測定された10点の気泡痕の最大寸法は、900μmを超えていた。同様に、コート層においても、測定された10点の気泡痕の最大寸法は、900μmを超えていた。
比較例2および3の結果から、本発明の効果を奏するには、接着層用ペーストおよびコート層用ペーストに添加される発泡材料の粒子直径は、50μm以下であることが望ましいと言える。
(3点曲げ強度の測定)
実施例1、3、5、6および比較例1、2、3について、2つのハニカムユニットを各接着層用ペーストを用いて積層し、100℃で1時間保持し、ペースト内の発泡材料を発泡、消失させるとともに、接着層を固化した。接着層の厚さは、1mmである。
3点曲げ強度の測定は、インストロン社製5582測定装置を用いて、JIS−R1601に基づいて、クロスヘッド速度を0.5mm/min、スパン距離を125mmとして、接合されているハニカムユニットの長手方向の中央位置の接着層に対して、垂直方向に荷重をかけて、破壊荷重を測定した。
測定結果を表1に示す。3点曲げ強度の測定結果として、実施例1、3および、5(ミクロポアがあるもの)では、破壊荷重がそれぞれ、18.2kgf、22.0kgfおよび24.6kgfとなり、比較例1、2および3(ミクロポアがあるもの)の、それぞれ9.0kgf、8.5kgfおよび7.6kgfに対して、高い接着強度となった。実施例6では、破壊荷重は14.9kgfとなり、実施例1、3および5に比べて接着強度が低くなった。これは、発泡材料の添加量が多く、ミクロポアの数が多いことに起因していると考えられる。
本発明のハニカム構造体の一例を模式的に示した斜視図である。 本発明のハニカム構造体を構成するハニカムユニットの一例を模式的に示した斜視図である。 図2のハニカムユニットのA−A線での断面図である。 本発明のハニカム構造体の長手方向に垂直な断面の拡大写真である。 従来のハニカム構造体の長手方向に垂直な断面の拡大写真である。 本発明のハニカム構造体の製造方法の一例を示したフロー図である。 接着層を充填する前のハニカムユニットの積層体の長手方向に垂直な断面を模式的に示した図である。 ハニカムユニットの積層体の空隙に、接着層用のペーストを充填する充填装置の長手方向に垂直な断面を模式的に示した図である。 ハニカムユニットの積層体の空隙に、接着層用のペーストを充填する充填装置の長手方向に平行な断面図である。 従来の接着層用ペーストの乾燥処理の際に、大きな気泡が生じ、結果的に接着層内にマクロポアが形成される様子を示した図である。 本発明による接着層用ペーストの乾燥処理の際に、小さな気泡が生じ、結果的に接着層内にミクロポアが形成される様子を示した図である。 接着層の気泡痕寸法の測定箇所を示した図である。 コート層の気泡痕寸法の測定箇所を示した図である。
符号の説明
22 セル
23 セル壁
24 封止材
100 ハニカム構造体
110 接着層
120 コート層
130 ハニカムユニット
140 セラミックブロック
141 空隙
142 スペーサ
160 ハニカムユニットの積層体
210 ミクロポア
218、219 気泡
220 マクロポア
310、311 発泡材料粒子
500 充填装置
501 筒状体
503a、503b ペースト供給器
560 ペースト。

Claims (12)

  1. セル壁で区画されたセルを有する複数のハニカムユニットを接着層で接合してセラミックブロックを形成するステップ、またはセル壁で区画されたセルを有する一つのハニカムユニットでセラミックブロックを形成するステップと、前記セラミックブロックの外周部にコート層を設置するステップと、を有するハニカム構造体の製造方法であって、さらに、
    前記ハニカムユニットの接合面に、直径が1〜50μmの範囲の発泡材料の粒子を含む接着層用のペーストを設置するステップ、および/または前記セラミックブロックの外周部に、直径が1〜50μmの範囲の発泡材料の粒子を含むコート層用のペーストを設置するステップと、
    前記発泡材料を発泡させるステップと、
    前記発泡材料を消失させ、直径100〜300μmの範囲の気泡痕を形成するステップと、
    を有することを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
  2. 前記発泡材料の粒子の平均粒子径は、5〜50μmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法。
  3. 前記接着層用のペーストは、前記発泡材料の粒子を0.5〜10wt%含むことを特徴とする請求項1または2に記載のハニカム構造体の製造方法。
  4. 前記発泡材料は、マイクロカプセルを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載のハニカム構造体の製造方法。
  5. 前記マイクロカプセルは、低沸点炭化水素または炭酸ガスを樹脂で被覆することにより構成されることを特徴とする請求項4に記載のハニカム構造体の製造方法。
  6. 前記発泡材料を発泡させるステップは、90〜150℃の温度範囲で実施されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載のハニカム構造体の製造方法。
  7. 前記接着層用のペーストは、さらに、無機繊維および無機バインダを含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載のハニカム構造体の製造方法。
  8. さらに、前記セルは、2つの端部を有し、前記セルのいずれか一方の端部を封止するステップを有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一つに記載のハニカム構造体の製造方法。
  9. さらに、前記セル壁に触媒を設置するステップを有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一つに記載のハニカム構造体の製造方法。
  10. セル壁で区画されたセルを有する複数のハニカムユニットが接着層で接合されて構成されたセラミックブロック、またはセル壁で区画されたセルを有する一つのハニカムユニットで構成されたセラミックブロックと、前記セラミックブロックの外周部に形成されたコート層とを有するハニカム構造体であって、
    接着層および/またはコート層には、直径が100〜300μmの気泡痕が含まれていることを特徴とするハニカム構造体。
  11. 前記セルは、2つの端部を有し、いずれか一方の端部が封止されていることを特徴とする請求項10に記載のハニカム構造体。
  12. 前記セル壁には、触媒が設置されていることを特徴とする請求項10または11に記載のハニカム構造体。
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