JP2008265329A - 紫外線硬化型インクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被記録媒体搬送手段により搬送された被記録媒体に向けてインクジェットヘッドにより吐出されたインクを紫外線照射を行うことによりインクを硬化させる紫外線硬化型インクジェット記録装置において、紫外線照射手段とインクジェットヘッドの間に光捕捉部を備え、この光捕捉部の形状を被記録媒体搬送方向に沿って垂直に切った縦断面形状で見て被記録媒体に対して垂直な辺とこの垂直な辺に頂部で接して斜め下方に延びる斜辺とから構成し、垂直な辺はインクジェットヘッド側に位置し、斜辺は頂部側から紫外線照射手段側に向かって下降するようにした。
【選択図】図1
Description
一方で、生産性の高い装置においてウエッブ状の被記録媒体を高速で搬送する際に基材の搬送ぶれが起こり、画質が低下するため、描画部を短縮化する必要があり、該インクジェットヘッドと該紫外線照射装置とが近接して配置されている。この場合、光源から照射された紫外線、もしくは光源から照射され被記録媒体の表面にて反射した紫外線等がノズル面に入射する恐れがあり、ノズル面及び吐出口付近のインクが紫外線と反応し、増粘または硬化し、ノズル詰まりや吐出不良の原因となった。そこでノズル面に入射する紫外線量を低減するため、記録ヘッドと紫外線照射装置の間に紫外線を捕捉する光トラップが備えられた装置が開示されている(特許文献2参照)。
図5において、40はそのシングルパスインクジェット装置である。シングルパスインクジェット装置40において、ロール状に巻回された被記録媒体ロール41から被記録媒体Sが引き出され、まず被記録媒体Sの幅方向に多数個のインクジェットノズルが並ぶY(イエロー)色のフルラインインクジェットヘッド43Yの下を搬送中にY色インクが被記録媒体Sの上に所望の画像様に記録され、被記録媒体Sに吐出された紫外線硬化型インクのY色インクは、その直後、紫外線照射用ランプ44の下を通過中に紫外線を受けてピニング(硬化)される。
しかし、一方でインクジェットヘッド43の下面では紫外線照射用ランプ44からの漏れ光によってインク硬化が発生し易くなり、インクジェットヘッド43が長時間安定してインクジェット吐出を行うことができるように、図5では光捕捉部47をインクジェットヘッド43と紫外線照射用ランプ44との間に介在させて紫外線照射用ランプ44からの漏れ光がインクジェットヘッド43に届かないようにしている。
その原因を究明した結果、紫外線照射用ランプ44からの光が被記録媒体Sに向かい、そこで反射してインクジェットヘッド43に届くいわゆる「反射光」によってインク硬化が発生していることが判明した。
このように、図5の光捕捉部47による方法ではヘッドの先端に付着したインクの硬化を完全に抑制し、長時間安定してインクジェット吐出を行うことには不十分であった。
本発明はこれらの課題を解決するためになされたもので、簡易な手段でヘッドの先端に付着したインクの硬化を完全に抑制でき、しかも生産性が高く、種々の被記録媒体に対して記録可能で、コンパクトかつ安定して使用できるインクジェット記録装置を提供することを目的としている。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の紫外線硬化型インクジェット記録装置において、前記くさび形光捕捉部の開口下端の両端間の被記録媒体搬送方向の距離をa、前記被記録媒体と前記光捕捉部の下端とのギャップをb、tanθ=2b/aとすると、前記くさび形の開口角度αは、α≦θ/2で、かつ、前記くさび形の斜辺と前記紫外線照射手段を遮蔽する光遮蔽辺のなす角βは、90°<β≦180°であることを特徴としている。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の紫外線硬化型インクジェット記録装置において、前記捕捉部の内側は紫外線反射率が50%以下の材質で構成されていることを特徴としている。
図1は本発明の実施の形態1に係る紫外線硬化型インクジェット記録装置の構成図である。図1において、10はそのシングルパスインクジェット装置である。
シングルパスインクジェット装置10において、ロール状に巻回された被記録媒体ロール11から被記録媒体Sが引き出され、まず被記録媒体Sの幅方向に多数個のインクジェットノズルが並ぶY(イエロー)色のフルラインインクジェットヘッド13Yの下を搬送中にY色インクが被記録媒体Sの上に所望の画像様に記録され、被記録媒体Sに吐出された紫外線硬化型インクのY色インクは、その直後、紫外線照射用ランプ14の下を通過中に紫外線を受けてピニング(硬化)される。
図2において、紫外線照射用ランプ14とインクジェットヘッド13Y,Mの間に光捕捉部17をそれぞれ備えている。光捕捉部17の形状は被記録媒体Sの搬送方向に沿って垂直に切った縦断面(紙面と平行に切った断面)形状で見て、被記録媒体Sに対して垂直な辺17aと、垂直な辺17aの頂部で接して斜め下方に延びる斜辺17bと斜辺17bの下端に接する光遮蔽辺17cとを備えて底辺のない開口17dから成るくさび(逆V字)形状をしている。そして、紫外線照射用ランプ14とインクジェットヘッド13との間で垂直な辺17aはインクジェットヘッド13側に位置し、斜辺17bは頂部から紫外線照射用ランプ14側に向かって下降して成る。
くさび形光捕捉部17の両下端間の被記録媒体搬送方向の距離をa、被記録媒体Sと光捕捉部17の下端とのギャップをbとすると、
tanθ=b/(a/2)となり、
そして、くさび形の斜辺と光源を遮蔽する光遮蔽辺のなす角βはβ=180°としている。
使った光源は、主たる波長帯域230nm〜450nm、ピーク波長は365nmの特性を持つ。なお、本明細書の以降の実施形態、実験結果は、同じ光源を使用している。
表1は、感度別インクに対する光捕捉部の頂角αと紫外線反射率の組み合わせ例を示している。
インクの種類は3種類で、ノーマルインク1、高感度インク2、さらに高感度インク3を用い、記録可能な速度は、順に10m/分、20m/分、50m/分とし、そのときの頂角αをθ/3〜θ/15とし、光捕捉部の内部の紫外線反射率を10%〜60%に変え、そのときのノズル詰まりの状態を◎(1回/日のメンテナンスでインク硬化によるノズルつまり発生なし)、○(1回/時のメンテナンスでインク硬化によるノズルつまり発生なし)、×(ノズルつまり発生)の3段階評価をする実験をした。
その結果、表1が得られた。
光源は、前述した通り、主たる波長帯域は230nm〜450nm、ピーク波長は365nmで光強度が弱(50mW/cm2)、中(300mW/cm2)、強(1500mW/cm2)の3つを用い、記録可能な速度は、順に10m/分、20m/分、50m/分とし、そのときの頂角αをθ/3〜θ/15とし、光捕捉部17の内部の紫外線反射率を10%〜60%に変え、そのときのノズル詰まりの状態を◎、○、×の3段階で評価する実験をした。
なお、本明細書の以降の実施形態、実験結果で、光強度を強、中、弱としたときは、上述と同じ光強度である。
その結果、表2が得られた。
すなわち、実施の形態1では、光捕捉部17は、そのくさび形の開口角度αがθ/16≦α≦θ/n(ただし、n(1≦n≦15)であり、βが180度で、ノズル詰まりがなくなることが判った。そして、nの値はインクの感度、光源の強度、光捕捉部内面の紫外線反射率によって、上記範囲内で適宜決めて良い。
また、捕捉部17の内側は紫外線反射率が50%以下の材質で構成しておくと、内部に入った反射光が内部で反射を繰り返すことによって減衰して、捕捉部17の内側から再び出てくることができなくなることが判り、逆に、紫外線反射率が50%を超えると捕捉部17の内側に入った光が反射を繰り返して再び出て、迷光となってノズルに達することが判った。
図3は本発明の実施の形態2に係る光捕捉部17’の機能を説明する断面図である。図3において、紫外線照射用ランプ14とインクジェットヘッド13との間に光捕捉部17’を備えている。光捕捉部17’の形状は被記録媒体Sの搬送方向に沿って垂直に切った縦断面(紙面と平行に切った断面)形状で見て、被記録媒体Sに対して垂直な辺17’aと、垂直な辺17’aに頂部で接して斜め下方に延びる斜辺17’bと、斜辺17’bの下端で接して垂直下方に延びる垂直な光遮蔽辺17’cとで構成され、底辺のない開口17’dから成るくさび(逆V字)形状をしている。くさび形光捕捉部17’の両下端間の被記録媒体搬送方向の距離をa、被記録媒体Sと光捕捉部17’の下端とのギャップをb、tanθ=2b/aとし、くさび形の斜辺と前記光源を遮蔽する光遮蔽辺17’cとのなす角βは、β=180°−αとなっている。
表3は、感度別インクに対する光捕捉部の頂角αと紫外線反射率の組み合わせ例を示している。
インクの種類は3種類で、ノーマルインク1、高感度インク2、さらに高感度インク3を用い、記録可能な速度は、順に10m/分、20m/分、50m/分とし、そのときの頂角αをθ/3〜θ/15とし、光捕捉部の内部の紫外線反射率を10%〜60%に変え、そのときのノズル詰まりの状態を◎、○、×の3段階で評価する実験をした。
その結果、表3が得られた。
また、捕捉部17’の内側は紫外線反射率が50%以下の材質で構成しておくと、内部に入った反射光が内部で反射を繰り返すことによって減衰して、捕捉部17’の内側から再び出てくることができなくなることも種々の実験で判明した。
光源の種類は3種類で、光強度が弱、中、強の3つを用い、記録可能な速度は、順に10m/分、20m/分、50m/分とし、そのときの頂角αをθ/3〜θ/15とし、紫外線捕捉部の内部の紫外線反射率を10%〜60%に変え、そのときのノズル詰まりの状態を◎、○、×の3段階で評価する実験をした。
その結果、表4が得られた。
すなわち、実施の形態2では、光捕捉部17は、そのくさび形の開口角度αがθ/16≦α≦θ/(n−2)(ただし、n(1≦n≦15)であり、βが180−α度で、ノズル詰まりがなくなることが判った。そして、nの値はインクの感度、光源の強度、光捕捉部内面の紫外線反射率によって、上記範囲内で適宜決めて良い。
また、捕捉部17’の内側は紫外線反射率が50%以下の材質で構成しておくと、内部に入った反射光が内部で反射を繰り返すことによって減衰して、捕捉部17’の内側から再び出てくることができなくなることが判り、逆に、紫外線反射率が50%を超えると捕捉部17’の内側に入った光が反射を繰り返して再び出て、迷光となってノズルに達することが判った。
図4は本発明の実施の形態3に係る光捕捉部17”の機能を説明する断面図である。図4において、紫外線照射用ランプ14とインクジェットヘッド13との間に光捕捉部17”を備えている。光捕捉部17”の形状は被記録媒体Sの搬送方向に沿って垂直に切った縦断面(紙面と平行に切った断面)形状で見て、被記録媒体Sに対して垂直な辺17”aと、垂直な辺17”aに頂部で接して斜め下方に延びる斜辺17”bと、斜辺17”bの下端に接して斜め内側に延びる光遮蔽辺17”cとで構成され、底辺のない開口17”dから成るくさび(逆V字)形状をしている。
くさび形光捕捉部17”の両下端端間の被記録媒体搬送方向の距離をa、被記録媒体Sと光捕捉部17”の下端とのギャップをb、tanθ=2b/aとすると、
くさび形の開口角度αは、θ/16≦α≦(2β−θ)/(n−3)で(ここで、nは実施の形態1の定義と同じ)、βは、90°≦β≦180°−αとなっている。
表5は、感度別インクに対する光捕捉部の頂角αと紫外線反射率の組み合わせ例を示している。
インクの種類は3種類で、ノーマルインク1、高感度インク2、さらに高感度インク3を用い、記録可能な速度は、順に10m/分、20m/分、50m/分とし、そのときの頂角αを(2β−θ)〜(2β−θ)/15とし、光捕捉部の内部の紫外線反射率を10%〜60%に変え、そのときのノズル詰まりの状態を◎、○、×の3段階で評価する実験をした。
その結果、表5が得られた。
βは図4で90度までが限界で、それより小さくなると図から明らかなように、光源からの光が、光捕捉部17”の内部に入り難くなり、好ましくない。
光源の種類は3種類で、光強度が弱、中、強の3つを用い、記録可能な速度は、順に10m/分、20m/分、50m/分とし、そのときの頂角αを(2β−θ)〜(2β−θ)/15とし、光捕捉部の内部の紫外線反射率を10%〜60%に変え、そのときのノズル詰まりの状態を◎、○、×の3段階で評価する実験をした。
その結果、表6が得られた。
βは図4で90度までが限界で、それより小さくなると図から明らかなように、光源からの光が、光捕捉部17”の内部に入り難くなり、好ましくない。
以上の結果、図4の光捕捉部17”の形状を満たすことで、ヘッドのノズル面に到達する紫外線量を確実に低減できることが判った。
また、捕捉部17”の内側は紫外線反射率が50%以下の材質で構成しておくと、内部に入った反射光が内部で反射を繰り返すことによって減衰して、捕捉部17”の内側から再び出てくることができなくなることが判り、逆に、紫外線反射率が50%を超えると捕捉部17”の内側に入った光が反射を繰り返して再び出て、迷光となってノズルに達することが判った。
本発明のインクジェット記録装置において、活性エネルギー線のピーク波長は、インク組成物中の増感色素の吸収特性にもよるが、例えば、200〜600nm、好ましくは、300〜450nm、より好ましくは、350〜450nmであることが適当である。
特に、本発明のインクジェット記録装置では、紫外線照射が、発光波長ピークが390〜420nmであり、かつ、前記被被記録媒体表面での最高照度が10〜1,000mW/cm2となる紫外線から短波長領域の可視光線を発生する発光ダイオードから照射されることが好ましい。
更に、本発明のインクジェット記録装置では、インク組成物を一定温度に加温するとともに、インク組成物の被被記録媒体への着弾から紫外線の照射までの時間を、0.01〜0.5秒とすることが望ましく、好ましくは0.02〜0.3秒、更に好ましくは0.03〜0.15秒である。このようにインク組成物の被被記録媒体への着弾から紫外線の照射までの時間を極短時間に制御することにより、着弾したインク組成物が硬化前に滲むことを防止することが可能となる。
本発明のインク組成物を適用しうる被被記録媒体としては、特に制限はなく、通常の非コート紙、コート紙などの紙類、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性樹脂材料或いは、それをフィルム状に成形した樹脂フィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルム、PPフィルム等を挙げることができる。その他、被被記録媒体材料として使用しうるプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが挙げられる。また、金属類や、ガラス類も被被記録媒体として使用可能である。
本発明のインク組成物において、硬化時の熱収縮が少ない材料を選択した場合、硬化したインク組成物と被被記録媒体との密着性に優れるため、インクの硬化収縮、硬化反応時の発熱などにより、フィルムのカール、変形が生じやすいフィルム、例えば、熱でシュリンク可能な、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルムなどにおいても、高精細な画像を形成しうるという利点を有する。
〔インク組成物〕
本発明に用いられるインク組成物は、紫外線の照射により硬化可能なインク組成物であり、例えば、カチオン重合系インク組成物、ラジカル重合系インク組成物、水性インク組成物等が挙げられる。これら組成物について以下詳細に説明する。
カチオン重合系インク組成物は、(a)カチオン重合性化合物と、(b)活性エネルギー線の照射により酸を発生する化合物、(c)着色剤を含有する。所望により、更に紫外線吸収剤、増感剤、酸化防止剤、褪色防止剤、導電性塩類、溶剤、高分子化合物、界面活性剤等を含有してもよい。
以下、カチオン重合系インク組成物に用いられる各構成成分について順次説明する。
本発明に用いられる(a)カチオン重合性化合物は、後述する(b)活性エネルギー線の照射により酸を発生する化合物から発生する酸により重合反応を生起し、硬化する化合物であれば特に制限はなく、光カチオン重合性モノマーとして知られる各種公知のカチオン重合性のモノマーを使用することができる。カチオン重合性モノマーとしては、例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892、同2001−40068、同2001−55507、同2001−310938、同2001−310937、同2001−220526などの各公報に記載されている、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
芳香族エポキシドとしては、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノール或いはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジ又はポリグリシジルエーテルが挙げられ、例えば、ビスフェノールA或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールA或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、並びにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここで、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
本発明に用いうる単官能エポキシ化合物の例としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシドデカン、エピクロロヒドリン、1,2−エポキシデカン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイド等が挙げられる。
4'−エポキシ−6'−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類、1,1,3−テトラデカジエンジオキサイド、リモネンジオキサイド、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,2,5,6−ジエポキシシクロオクタン等が挙げられる。
具体的には、単官能ビニルエーテルの例としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−メチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、2−ジシクロペンテノキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、テトラヒドロフリフリルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、クロルブチルビニルエーテル、クロルエトキシエチルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールビニルエーテル等が挙げられる。
本発明のインク組成物に使用しうるオキセタン環を有する化合物としては、その構造内にオキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。このような化合物を使用することで、インク組成物の粘度をハンドリング性の良好な範囲に維持することが容易となり、また、硬化後のインク組成物と被被記録媒体との高い密着性を得ることができる。
本発明で使用するオキセタン化合物の中でも、インク組成物の粘度と粘着性の観点から、オキセタン環を1個有する化合物を使用することが好ましい。
インク組成物中の(a)カチオン重合性化合物の含有量は、組成物の全固形分に対し、10〜95質量%が適当であり、好ましくは30〜90質量%、更に好ましくは50〜85質量%の範囲である。
本発明のインク組成物は、活性エネルギー線の照射により酸を発生する化合物(以下、適宜、「光酸発生剤」と称する。)を含有する。
本発明に用いうる光酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、或いはマイクロレジスト等に使用されている光(400〜200nmの紫外線、遠紫外線、短波長領域(450nm以下)の可視光線、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光)、ArFエキシマレーザー光、電子線、X線、分子線又はイオンビームなどの照射により酸を発生する化合物を適宜選択して使用することができる。
インク組成物中の(b)光酸発生剤の含有量は、インク組成物の全固形分換算で、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは1〜7質量%である。
本発明のインク組成物は、着色剤を添加することで、可視画像を形成することができる。例えば、平版印刷版の画像部領域を形成する場合などには、必ずしも添加する必要はないが、得られた平版印刷版の検版性の観点からは着色剤を用いることも好ましい。
ここで用いることのできる着色剤には、特に制限はなく、用途に応じて公知の種々の色材、(顔料、染料)を適宜選択して用いることができる。例えば、耐候性に優れた画像を形成する場合には、顔料が好ましい。染料としては、水溶性染料及び油溶性染料のいずれも使用できるが、油溶性染料が好ましい。
本発明に好ましく使用される顔料について述べる。
顔料としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料及び無機顔料、又は顔料を、分散媒として不溶性の樹脂等に分散させたもの、或いは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等を用いることができる。また、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。
これらの顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W.Herbst,K.Hunger「Industrial Organic Pigments」、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載の顔料が挙げられる。
I.ピグメントレッド177(ジアントラキノニルレッド等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド88(チオインジゴボルドー等)の如きチオインジゴ顔料、C.I.ピグメントレッド194(ペリノンレッド等)の如きペリノン顔料、C.I.ピグメントレッド149(ペリレンスカーレット等)の如きペリレン顔料、C.I.ピグメントバイオレット19(無置換キナクリドン)、C.I.ピグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ等)の如きキナクリドン顔料、C.I.ピグメントレッド180(イソインドリノンレッド2BLT等)の如きイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントレッド83(マダーレーキ等)の如きアリザリンレーキ顔料等が挙げられる。
オレンジ色を呈する顔料として、C.I.ピグメントオレンジ66(イソインドリンオレンジ)の如きイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ51(ジクロロピラントロンオレンジ)の如きアントラキノン系顔料が挙げられる。
白色顔料の具体例としては、塩基性炭酸鉛(2PbCO3Pb(OH)2、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO2、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。
顔料の分散を行う際に分散剤を添加することも可能である。分散剤としては、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリアクリレート、脂肪族多価カルボン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、顔料誘導体等を挙げることができる。また、Zeneca社のSolsperseシリーズなどの市販の高分子分散剤を用いることも好ましい。
また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤及び分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。
顔料粒子の平均粒径を上記好ましい範囲となるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を設定する。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性及び硬化感度を維持することができる。
本発明に用いる染料は、油溶性のものが好ましい。具体的には、25℃での水への溶解度(水100gに溶解する色素の質量)が1g以下であるものを意味し、好ましくは0.5g以下、より好ましくは0.1g以下である。従って、所謂、水に不溶性の油溶性染料が好ましく用いられる。
油溶化基としては、長鎖、分岐アルキル基、長鎖、分岐アルコキシ基、長鎖、分岐アルキルチオ基、長鎖、分岐アルキルスルホニル基、長鎖、分岐アシルオキシ基、長鎖、分岐アルコキシカルボニル基、長鎖、分岐アシル基、長鎖、分岐アシルアミノ基長鎖、分岐アルキルスルホニルアミノ基、長鎖、分岐アルキルアミノスルホニル基及びこれら長鎖、分岐置換基を含むアリール基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールカルボニルオキシ基、アリールアミノカルボニル基、アリールアミノスルホニル基、アリールスルホニルアミノ基等が挙げられる。
また、カルボン酸、スルホン酸を有する水溶性染料に対して、長鎖、分岐アルコール、アミン、フェノール、アニリン誘導体を用いて油溶化基であるアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルアミノスルホニル基、アリールアミノスルホニル基に変換することにより染料を得てもよい。
また、退色、特にオゾンなどの酸化性物質に対する耐性や硬化特性を向上させるために、酸化電位が貴である(高い)ことが望ましい。このため、本発明で用いる油溶性染料として、酸化電位が1.0V(vsSCE)以上であるものが好ましく用いられる。酸化電位は高いほうが好ましく、酸化電位が1.1V(vsSCE)以上のものがより好ましく、1.15V(vsSCE)以上のものが特に好ましい。
特に好ましい染料は、特開2004−250483号公報の段落番号[0034]に記載されている一般式(Y−II)〜(Y−IV)で表される染料であり、具体例として特開2004−250483号公報の段落番号[0060]から[0071]に記載の化合物が挙げられる。尚、該公報記載の一般式(Y−I)の油溶性染料はイエローのみでなく、ブラックインク、レッドインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
特に好ましい染料は、特開2002−121414号公報の段落番号[0084]から[0122]に記載されている一般式(M−1)〜(M−2)で表されるアゾ染料であり、具体例として特開2002−121414号公報の段落番号[0123]から[0132]に記載の化合物が挙げられる。尚、該公報記載の一般式(3)、(4)、(M−1)〜(M−2)の油溶性染料はマゼンタのみでなく、ブラックインク、レッドインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
特に好ましい染料は、特開2002−121414号公報の段落番号[0133]から[0196]に記載されている一般式(C−I)、(C−II)で表されるフタロシアニン染料であり、更に一般式(C−II)で表されるフタロシアニン染料が好ましい。この具体例としては、特開2002−121414号公報の段落番号[0198]から[0201]に記載の化合物が挙げられる。尚、前記式(I)〜(IV)、(IV−1)〜(IV−4)、(C−I)、(C−II)の油溶性染料はシアンのみでなく、ブラックインクやグリーンインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
本発明のインク組成物には、前記の必須成分に加え、目的に応じて種々の添加剤を併用することができる。これらの任意成分について説明する。
本発明においては、得られる画像の耐候性向上、退色防止の観点から、紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤、などが挙げられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.5〜15質量%程度である。
本発明のインク組成物には、光酸発生剤の酸発生効率の向上、感光波長の長波長化の目的で、必要に応じ、増感剤を添加してもよい。増感剤としては、光酸発生剤に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものであれば、何れでもよい。好ましくは、アントラセン、9,10−ジアルコキシアントラセン、ピレン、ペリレンなどの芳香族多縮環化合物、アセトフェノン、ベンゾフェノン、チオキサントン、ミヒラーケトンなどの芳香族ケトン化合物、フェノチアジン、N−アリールオキサゾリジノンなどのヘテロ環化合物が挙げられる。添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、光酸発生剤に対し0.01〜1モル%、好ましくは0.1〜0.5モル%で使用される。
インク組成物の安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.1〜8質量%程度である。
本発明のインク組成物には、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類、などが挙げられる。前記金属錯体系の褪色防止剤としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体、などが挙げられ、具体的には、リサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのI〜J項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や、特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.1〜8質量%程度である。
本発明のインク組成物には、射出物性の制御を目的として、チオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などの導電性塩類を添加することができる。
本発明のインク組成物には、被被記録媒体との密着性を改良するため、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
この場合、耐溶剤性やVOCの問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量はインク組成物全体に対し0.1〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3質量%の範囲である。
本発明のインク組成物には、膜物性を調整するため、各種高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。これらのうち、アクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合が好ましい。更に、高分子結合材の共重合組成として、「カルボキシル基含有モノマー」、「メタクリル酸アルキルエステル」、又は「アクリル酸アルキルエステル」を構造単位として含む共重合体も好ましく用いられる。
本発明のインク組成物には、界面活性剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。なお、前記界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環属アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香属アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などである。
ラジカル重合系インク組成物は、(d)ラジカル重合性化合物と(e)重合開始剤、(f)着色剤を含有する。所望により、更に、増感色素、共増感剤等を含有してもよい。
以下、ラジカル重合系インク組成物に用いられる各構成成分について順次説明する。
ラジカル重合性化合物としては、例えば、以下に挙げるような付加重合化能なエチレン性不飽和結合を有する化合物が含まれる。
本発明のインク組成物に用い得る付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、上記不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド等があげられる。
また、特開昭51−37193号に記載されているようなウレタンアクリレー卜類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートをあげることができる。さらに日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ぺージ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。本発明において、これらのモノマーはプレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態で使用しうる。
次に本発明のラジカル重合系インク組成物に使用される光重合開始剤について説明する。
本発明における光重合開始剤は光の作用、または、増感色素の電子励起状態との相互作用を経て、化学変化を生じ、ラジカル、酸および塩基のうちの少なくともいずれか1種を生成する化合物である。
本発明のインク組成物には、前記の必須成分に加え、目的に応じて種々の添加剤を併用することができる。これらの任意成分について説明する。
〔増感色素〕
本発明においては、光重合開始剤の感度を向上させる目的で、増感色素を添加しても良い。好ましい増感色素の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ350nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)。
さらに本発明のインクには、感度を一層向上させる、あるいは酸素による重合阻害を抑制する等の作用を有する公知の化合物を共増感剤として加えても良い。
この他に、必要に応じて公知の化合物を用いることができ、例えば、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類等を適宜選択して用いることができる。また、ポリオレフィンやPET等の被被記録媒体への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーを含有させることも好ましい。具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環属アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香属アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などである。
水性インク組成物は、重合性化合物と紫外線の作用によってラジカルを生成する水溶性光重合開始剤を含有する。所望により、更に、色材、等を含有してもよい。
本発明の水性インク組成物に含まれる重合性化合物としては、公知の水性インク組成物に含まれる重合性化合物を用いることができる。
水性インク組成物は、硬化速度、密着性、柔軟性などのエンドユーザー特性を考慮した処方を最適化するために、反応性材料を加えることができる。このような反応性材料としては、(メタ)クリレート(即ち、アクリレート及び/又はメタクリレート)モノマー及びオリゴマー、エポキサイド並びにオキセタンなどが用いられる。
アクリレートモノマーの例としては、フェノキシエチルアクリレート、オクチルデシルアクリレート、テトラヒドロフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート(例えば、テトラエチレングリコールジアクリレート)、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリ(プロピレングリコール)トリアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ビス(ペンタエリスリトール)ヘキサアクリレート、エトキシ化又はプロポキシ化グリコール及びポリオールのアクリレート(例えば、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート)、及びこれらの混合物が挙げられる。
アクリレートオリゴマーの例としては、エトキシ化ポリエチレングリコール、エトキシ化トリメチロールプロパンアクリレート及びポリエーテルアクリレート及びそのエトキシ化物、及びウレタンアクリレートオリゴマーが挙げられる。
メタクリレートの例としては、ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、及びこれらの混合物が挙げられる。
オリゴマーの添加量は、インク組成物全重量に対して1〜80重量%が好ましく、1〜10重量%がより好ましい。
本発明のインク組成物に用いることができる重合開始剤について説明する。一例としては、例えば、波長400nm前後までの光重合開始剤が挙げられる。このような光重合開始剤としては、例えば、長波長領域に官能性、即ち、紫外線を受けてラジカルを生成する感受性を持つ物質である下記一般式で表される光重合開始剤(以下、TX系と略称する)が挙げられ、本発明においては、これらの中から適宜に選択して使用することが特に好ましい。
CH2)y−(y=1または2)、置換若しくは未置換のフェニレン基を表わす。またR2
がフェニレン基の場合には、ベンゼン環中の水素原子の少なくとも1つが、例えば、カルボキシル基若しくはその塩、スルホン酸若しくはその塩、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、炭素数1〜4のアルコキシル基、フェノキシ基等のアリールオキシ基等から選ばれる1つまたは2つ以上の基や原子で置換されていてもよい。Mは、水素原子若しくはアルカリ金属(例えば、Li、Na、K等)を表わす。更に、R3及びR4は各々独立に、水素原子、または置換若しくは未置換のアルキル基を表わす。ここでアルキル基の例としては、例えば、炭素数1〜10程度、特には、炭素数1〜3程度の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。また、これらのアルキル基の置換基の例としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、シュウ素原子等)、水酸基、アルコキシル基(炭素数1〜3程度)等が挙げられる。また、mは1〜10の整数を表わす。
商品名:Ciba Specialty Chemicals製)の水溶性の誘導体(以下、IC系と略称する)を使用することもできる。具体的には、下記式からなるIC−1〜IC−3を使用することができる。
上述した水溶性重合性化合物は、上記したような色材を含有させることなく、透明な水性インクの形態とすることで、クリアインクとすることができる。特に、インクジェット記録特性を有するように調製すれば、水性光硬化型のインクジェット記録用のクリアインクが得られる。かかるインクを用いれば、色材を含有していないので、クリアな皮膜を得ることができる。色材を含有しないクリアインクの用途としては、画像印刷への適性を被記録材に付与するためのアンダーコート用としたり、或いは、通常のインクで形成した画像の表面保護、更なる装飾や光沢付与等を目的としたオーバーコート用としての用途等が挙げられる。クリアインクには、これらの用途に応じて、着色を目的としない無色の顔料や微粒子等を分散して含有させることもできる。これらを添加することによって、アンダーコート、オーバーコートいずれにおいても、印刷物の画質、堅牢性、施工性(ハンドリング性)等の諸特性を向上させることができる。
上述した水溶性重合性化合物を色材を含有するインクに利用する場合には、含有させた色材の吸収特性に合わせて、インク中における重合開始剤と重合性物質の濃度を調節することが好ましい。前記したように、配合量としては、水或いは溶剤の量を、質量基準で、40%〜90%の範囲、好ましくは60%〜75%の範囲とする。更に、インク中における重合性化合物の含有量は、インク全量に対して、質量基準で1%〜30%の範囲、好ましくは、5%〜20%の範囲とする。重合開始剤は、重合性化合物の含有量に依存するが、概ね、インク全量に対して、質量基準で0.1〜7%、好ましくは、0.3〜5%の範囲である。
本発明のインク組成物は、射出性を考慮し、射出時の温度において、インク粘度が20mPa・s以下であることが好ましく、更に好ましくは10mPa・s以下であり、上記範囲になるように適宜組成比を調整し決定することが好ましい。
このインクにより得られた印刷物は、画像部が紫外線などの紫外線照射により硬化しており、画像部の強度に優れるため、インクによる画像形成以外にも、例えば、平版印刷版のインク受容層(画像部)の形成など、種々の用途に使用しうる。
11、12 被記録媒体ロール
13(Y,M,C,K) インクジェット
14 紫外線照射用ランプ
15 メタルハライドランプ
16 換気ファン
17 実施の形態1に係る光捕捉部
17a 垂直な辺
17b 斜辺
17c 光遮蔽辺
17’ 実施の形態2に係る光捕捉部
17’a 垂直な辺
17’b 斜辺
17’c 光遮蔽辺
17” 実施の形態3に係る光捕捉部
17”a 垂直な辺
17”b 斜辺
17”c 光遮蔽辺
S 被記録媒体
a 被記録媒体Sと光捕捉部17の下端とのギャップ
θ tan−1[b/(a/2)]
β 斜辺と光遮蔽辺のなす角
Claims (3)
- 被記録媒体を搬送する被記録媒体搬送手段と、前記被記録媒体搬送手段により搬送された被記録媒体に向けて紫外線照射を行うことにより硬化可能なインクを画像信号に基づいて吐出するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドにより前記被記録媒体上に吐出されたインクを硬化させる紫外線照射手段とを有する紫外線硬化型インクジェット記録装置において、
前記紫外線照射手段と前記インクジェットヘッドの間に光捕捉部を備え、前記光捕捉部の形状は前記被記録媒体搬送方向に沿って垂直に切った縦断面形状で見て少なくとも一部は前記被記録媒体に対して垂直な辺と前記垂直な辺に頂部で接して斜め下方に延びる斜辺とから成り、底辺のない開口くさび形状をしておりかつ前記垂直な辺は前記インクジェットヘッド側に位置し、前記斜辺は前記頂部側から前記紫外線照射手段側に向かって下降していることを特徴とする紫外線硬化型インクジェット記録装置。 - 前記くさび形光捕捉部の開口下端の両端間の被記録媒体搬送方向の距離をa、前記被記録媒体と前記光捕捉部の下端とのギャップをb、tanθ=2b/aとすると、
前記くさび形の開口角度αは、α≦θ/2で、
かつ、前記くさび形の斜辺と前記紫外線照射手段を遮蔽する光遮蔽辺のなす角βは、90°<β≦180°であることを特徴とする請求項1記載の紫外線硬化型インクジェット記録装置。 - 前記光捕捉部の内側は紫外線反射率が50%以下の材質で構成されていることを特徴とする請求項1記載の紫外線硬化型インクジェット記録装置。
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