JP2008259490A - 細胞破砕装置及び流路基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】微少なサンプルからでも簡便に核酸などの細胞内包物を抽出可能な手段を提供する。
【解決手段】流路基板1は、ガラス製の支持体11に、膜状電極及び感光性樹脂層12を順に積層して形成され、感光性樹脂層12を部分的に除去することで、溶液槽21,21及び流路23が形成されている。流路23の途中には流路23の底面から延びる構造体55が設けられる。溶液槽21,21の底面に形成した駆動用電極51によって駆動電圧を印加すると、流路23に投入された試料溶液中の細胞Cが移動する。細胞Cは、流路23の途中で構造体55に衝突し、構造体55に押し込まれることで破砕する。細胞Cの内包物C1は流路23に流れ出し、他方の溶液槽21に至る。
【選択図】図1
【解決手段】流路基板1は、ガラス製の支持体11に、膜状電極及び感光性樹脂層12を順に積層して形成され、感光性樹脂層12を部分的に除去することで、溶液槽21,21及び流路23が形成されている。流路23の途中には流路23の底面から延びる構造体55が設けられる。溶液槽21,21の底面に形成した駆動用電極51によって駆動電圧を印加すると、流路23に投入された試料溶液中の細胞Cが移動する。細胞Cは、流路23の途中で構造体55に衝突し、構造体55に押し込まれることで破砕する。細胞Cの内包物C1は流路23に流れ出し、他方の溶液槽21に至る。
【選択図】図1
Description
本発明は、1個又は微量の細胞を破砕可能な細胞破砕装置及び流路基板に関するものである。
従来、核酸を細胞から抽出するためには、例えば特許文献1に示されるような核酸抽出キットが用いられている。
特開平11−169170号公報
上述したような上記核酸抽出キットを用いることで細胞から核酸を抽出することができるが、様々な試薬をマニュアルどおりに操作者が微量分注しなければならず、操作が複雑で時間を要する。また、操作が多段階にわたると、操作の過程で不純物が混入するおそれがあり、また各段階で歩留りが発生するため微少サンプルからの核酸抽出が困難であるとういう問題がある。さらに、化学的に細胞を破砕する際に用いる細胞溶解酵素は、内部の核酸まで溶解させてしまうため、RNA(ribonucleic acid)を抽出するのに適さないという問題もある。
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、1個又は微量の細胞を破砕し、簡便に核酸などの細胞内包物を抽出可能な手段を提供することを目的とする。
また、流路は微細でかつ表面に沿って延在させているため、環境条件により、例えば、顕微鏡の照明に長時間照らされる場合や、高温・乾燥時などには、流路内に導入した液体が蒸発し、必要な液量を下回ってしまう場合があった。
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、更にその目的は流路基板の流路内の液体の蒸発・乾燥を防ぐことにある。
上記課題を解決するために、本発明の請求項1による細胞破砕装置は、細胞を破砕する細胞破砕装置において、表面に沿って延びる溝状の流路を形成した流路基板と、前記流路の途中に設けられ、前記流路中に流体と共に導入される細胞の通過を妨げる構造体と、前記細胞に前記構造体を通過させる力を作用させることで、その細胞を破砕する駆動手段と、を備えることを特徴とする。
上記のように、構造体に細胞を押し付けることで、細胞の内圧の増加、あるいは細胞膜構造や細胞壁構造の破壊をもたらして、細胞を破砕することができる。このような力学的な作用によって破砕すれば、細胞膜や細胞壁など細胞の外郭のみを破壊し、内部の核等を破壊することなく回収しやすい。
本発明の請求項2による細胞破砕装置は、請求項1において、前記構造体は、前記流路の側壁から流路幅を狭くする方向に突出して形成されたことを特徴とする。
本発明の請求項3による細胞破砕装置は、請求項2において、前記構造体は、少なくとも最も流路幅を狭くする部分において、その流路幅が前記細胞の径よりも小さくなるように形成されていることを特徴とする。
本発明の請求項4による細胞破砕装置は、請求項1において、前記構造体は、前記流路の底面から面外方向に延びる柱状部材として形成されていることを特徴とする。
本発明の請求項5による細胞破砕装置は、請求項4において、前記構造体は、前記流路の側壁との間隔が前記細胞の径よりも狭く設定されていることを特徴とする。
本発明の請求項6による細胞破砕装置は、請求項1〜5のいずれか一項において、前記構造体は、流路方向上流側に向かって尖った尖部を備えることを特徴とする。尖部を設けることで、細胞膜や細胞壁構造の破壊を促進でき、より破砕効果を高めることができる。
本発明の請求項7による細胞破砕装置は、請求項1〜6のいずれか一項において、前記駆動手段として、前記流路中に不均一電界を形成する不均一電界形成手段を備えることを特徴とする。
ここで、不均一電界は、当該電界が形成された各領域で方向や強度が不均一な電界である。このように、不均一電界を形成すると、不均一電界が形成された領域に置かれた細胞には誘電泳動力が作用し、細胞がその誘電泳動力の向きに移動する。したがって、構造体を通過させる又は構造体に向かう方向の誘電泳動力を作用させることで、細胞を破砕できる。
なお、不均一電界は、流路の全長に渡って形成して流路全長の駆動源としてもよいし、構造体の近傍のみ形成し、流路全長は他の駆動源によって駆動するようにしてもよい。
本発明の請求項8による細胞破砕装置は、請求項7において、前記不均一電界形成手段は、前記流路に電圧を印加する非対称形状の1対の電極を備えて構成されることを特徴とする。
本発明の請求項9による細胞破砕装置は、請求項7又は8において、前記不均一電界形成手段は、前記細胞の細胞膜構造を破壊可能な周波数及び振幅の交流電界を形成するものであることを特徴とする。
このように、力学的な破砕作用(構造体への押し込み)と併せて、電気的な破砕作用も加えることで、より高い破砕効果を得ることができる。これにより、電気的な破砕作用のみによる場合と比べて、印加する交流電界の振幅を抑えることができるので、内包物への影響を抑えることができ、また流路内での気泡の発生も抑制できる。流路内に気泡が発生すると、流れの制御が困難になる等のおそれがある。
なお、誘電泳動力を発生しかつ細胞膜を電気的に破砕するための交流電界の波形は、正弦波に限られず、矩形波、三角波等であってもよい。
本発明の請求項10による細胞破砕装置は、請求項7〜9のいずれか一項において、前記駆動手段は、前記流路に導入される流体を駆動する流体駆動手段と、前記流路のうち、前記構造体の近傍に前記不均一電界を形成する前記不均一電界形成手段と、を備えて構成されることを特徴とする。不均一電界形成手段と、その他の流体駆動手段(例えば、圧力流や電気浸透流を発生させる手段)を併用することで、より高い破砕効果を得ることができる。
本発明の請求項11による流路基板は、請求項1〜10のいずれか1項において、前記流路基板を冷却する冷却手段を備えることを特徴とする。これによれば、流路基板が冷却されるので、流路内の液体の蒸発が抑えられ、長時間の作業等が可能である。
前記冷却手段は、ペルチェ素子であることが好ましい。また、前記ペルチェ素子は、その吸熱面が前記流路基板の底面と接するように配置されることが好ましい。また、前記ペルチェ素子の放熱面を冷却する第2の冷却手段を設けることが好ましい。
本発明の請求項15による細胞破砕装置は、請求項1乃至14のいずれか1項において、前記駆動手段としてマイクロポンプを備えることを特徴とする。
前記マイクロポンプは、前記流路に連通するポンプ流路を移動可能に配置された磁性体の物体及び非磁性体の物体と、前記ポンプ流路に沿って配置された複数の電磁石と、を備え、前記磁性体の物体に近い電磁石に電力を供給することにより、発生した磁力により前記磁性体の物体を、前記非磁性体の物体と共に、前記ポンプ流路内で所定の方向に移動させることにより、前記細胞を流体とともに前記流路において移動させることを特徴とする。
上記マイクロポンプによれば、磁性体の物体に近い電磁石に電力を供給することにより、発生した磁力により磁性体の物体を、非磁性体の物体と共に、ポンプ流路内で所定の方向に移動させることにより、流体を一定方向に導くことができるので、モータやダイヤフラム等を用いることなく流体の圧送が可能であり、極めてシンプルな構造で、小型化が容易に可能で、高い耐久性を有する。かかるマイクロポンプにより、流路基板において細胞を流体とともに流路内で流動させることができる。
本発明の請求項17による流路基板は、請求項1乃至16のいずれか1項に記載の細胞破砕装置に用いられることを特徴とする。
本発明の請求項18による流路基板は、請求項17において、前記流路に電圧を印加する非対称形状の1対の膜状電極が形成されており、外部からの電力供給によって、前記流路中に不均一電界を形成することで、前記駆動手段を構成することを特徴とする。
本発明の請求項19による流路基板は、請求項17または18において、前記流路が感光性樹脂で形成されていることを特徴とする。リソグラフィ技術を用いれば、微小な流路を精度良く、安価に製造可能である。
本発明の請求項20による細胞破砕装置は、請求項1乃至14のいずれか1項において、前記流路基板の流路で流体又は流体中の物質を移動させるために遠心装置に取り付けられて使用されることを特徴とする。これによれば、細胞破砕装置を遠心装置に取り付けて回転させて遠心力を作用させることで流体又は流体中の物質を流路基板の流路内で流動させることができる。このため電気浸透流発生のための電界印加が不要となるので、電界印加による検出対象の物質への影響がない。
前記遠心装置は、流体を収容した前記流路基板を取り付けて所定の回転軸を中心に回転する回転盤と、前記流路基板内における流体中の物質の状態を目視により観察するための顕微鏡と、を具備し、前記流路基板内の流体又は流体中の物質に対して遠心力を作用させることで前記流体から所定の物質を分離または合成させる可視下遠心装置であることを特徴とする。
本発明によれば、1個又は微量の細胞を破砕し、その内包物を回収できる。
次に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
〈第1の実施の形態〉
(構成について)
図1(a)は第1の実施の形態に係る流路基板の平面図、同図(b)は(a)の流路基板の積層構成を示す図、図2(a)は図1(a)のI−I線断面図、図2(b)は図1(a)のII−II線断面図、図3は第1の実施の形態の効果を説明するための図である。
図1(a)は第1の実施の形態に係る流路基板の平面図、同図(b)は(a)の流路基板の積層構成を示す図、図2(a)は図1(a)のI−I線断面図、図2(b)は図1(a)のII−II線断面図、図3は第1の実施の形態の効果を説明するための図である。
第1の実施の形態に係る細胞破砕装置は、流路基板1と、駆動電圧印加装置と、を備えて構成される。
流路基板1は、図1(b)に示すように、膜状電極及び感光性樹脂層12をガラス製の支持体11に順に積層して形成されている。
支持体11は、膜状電極や感光性樹脂層12を支持する板状の支持体である。本実施形態では、支持体11として、長さ20mm、幅10mm、厚さ1mmの市販の板状の硼珪酸ガラス(商品名:パイレックス(登録商標))を用いる。
膜状電極は、支持体11に所定のパターンで形成されており、これにより後述する1対の駆動用電極51,51を構成している。1対の駆動用電極51,51は、互いに分離して対称的な形状に形成されている。また、駆動用電極51,51は支持体11の端部まで延び、その端部で露出しており、駆動電圧印加装置と電気的に接続可能になっている。
なお、図1(a)では、分かりやすくするために、膜状電極の形成領域をハッチングで示している。このうち、破線のハッチングは感光性樹脂層12の下部に形成されている部分を示し、実線のハッチングは膜状電極が露出している部分を示す。本実施の形態では、レジスト等により支持体11にマスクパターンを形成した後、スパッタリングによりTiを下地として表面をPtの反応保護膜で覆った二層構造の膜状電極を形成している(図1(b)参照)。このように、Tiを下地とすることで支持体11との密着性を向上させることができ、Ptで覆うことで、試料溶液にさらされた際の電極反応を抑制できる。
感光性樹脂層12は、感光性樹脂を光反応させることで形成されたものであり、支持体11表面に所定の2次元パターンが所定の厚みをもって形成されている。この感光性樹脂層12の形成部分と未形成部分との間の厚みの差によって、流路基板1表面に、試料溶液を収容する凹部(後述する)2が形成される。本実施の形態では、化薬マイクロケム社製のネガ型フォトレジスト(商品名:SU−8)を支持体11にスピンコータで塗布し、パターンマスクを介して紫外光を露光し、現像液で未硬化部分を溶解、除去することで、厚さ25μmの感光性樹脂層12を形成している。
次に、凹部2の構成について説明する。
図1(a)では、凹部2は、横方向に延びる流路23と、流路23の流路方向両端部にそれぞれ接続する平面視略三角状の溶液槽21,21と、から構成されている。
図1(a)では、凹部2は、横方向に延びる流路23と、流路23の流路方向両端部にそれぞれ接続する平面視略三角状の溶液槽21,21と、から構成されている。
流路23の途中には、構造体55が設置されている。構造体55は、流路23の底面から面外方向に延びる略三角柱状部材であり、尖った鋭角の尖部55aが流路23の上流側に向くように配される。また、この構造体55と流路23の側壁との間隔は、破砕対象となる細胞の径よりも小さくなっている。なお、この構造体55は、流路23の側壁などと共に感光性樹脂層12で形成される。
溶液槽21,21は、試料溶液を投入又は回収するために用いられる。これら溶液槽21,21の形成領域には、1対の駆動用電極51,51が夫々形成され、表面に露出しており、溶液槽21,21の底面を構成している。1対の駆動用電極51,51は、駆動電圧印加装置からの電力供給を受けて、試料溶液を駆動する電界を形成するための駆動電圧を印加する。本実施の形態では、駆動電圧として直流電圧(例えば、30V)を印加する。なお、本実施の形態では、上記流路23は、幅が20μm、深さが25μmとなっている。
上記駆動電圧印加装置は、駆動用電極51,51に上記駆動電圧を印加する。この駆動電圧印加装置及び駆動用電極が駆動手段に相当する。
(作用効果について)
次に、上記構成の細胞破砕装置の作用効果を、図3に示す使用例を用いて説明する。
次に、上記構成の細胞破砕装置の作用効果を、図3に示す使用例を用いて説明する。
流路基板1の使用時には、流路基板1の駆動用電極51,51を駆動電圧印加装置の電極と接続し、動作可能な状態にする。そして、試料分子としての細胞Cを含む試料溶液を、流路基板1の溶液槽21に投入する。この状態で、駆動電圧印加装置を電源オンし、1対の駆動用電極51,51に駆動電圧を印加する。本使用例では、紙面右側の溶液槽21の駆動用電極51を正極、他方を負極として直流電圧を印加することで、正極側から負極側に向かう電気浸透流を発生させる。
試料溶液中の細胞Cは、電気浸透流に運ばれて正極側から負極側に向かって移動し(図3(a))、流路23の途中で構造体55に衝突する(同図(b))。このとき、細胞Cの内圧が高まることで細胞膜が破れたり、構造体55の尖部55aで細胞膜の構造が壊れたりすることで、細胞Cが破砕する(同図(c))。破砕後は、細胞Cの内包物(核酸やタンパクなど)C1が試料溶液に溶出し、電気浸透流によって負極側の溶液槽21に運ばれる。
(変形例について)
なお、このような構造体55は、上記のものに限られず、例えば、図4の(a)や(b)に示すように三角柱状のものを流路幅方向に2つ以上並べたり、図4の(c)や(d)に示すように三角柱状以外の形状にしてもよい。また、上流側に向かって尖った尖部55aを有するものに限られず、図5に示すような円柱状の構造体55としてもよい。尖部55aを設けた場合、衝突した部分の細胞膜が壊れたり、衝突に伴って細胞の形状が大きく変化することで内圧が一部で極大化したりするので、細胞が破砕しやすくなる。一方、円柱状とした場合にも、例えば、駆動電圧を高めるなど流路23に形成する電界の強度を強め、電気浸透流の流速を高めることで、衝突時に細胞が破砕しやすくなる。
なお、このような構造体55は、上記のものに限られず、例えば、図4の(a)や(b)に示すように三角柱状のものを流路幅方向に2つ以上並べたり、図4の(c)や(d)に示すように三角柱状以外の形状にしてもよい。また、上流側に向かって尖った尖部55aを有するものに限られず、図5に示すような円柱状の構造体55としてもよい。尖部55aを設けた場合、衝突した部分の細胞膜が壊れたり、衝突に伴って細胞の形状が大きく変化することで内圧が一部で極大化したりするので、細胞が破砕しやすくなる。一方、円柱状とした場合にも、例えば、駆動電圧を高めるなど流路23に形成する電界の強度を強め、電気浸透流の流速を高めることで、衝突時に細胞が破砕しやすくなる。
また、流路23の底面から延びる構造体55に限らず、流路23の側壁から突出して、流路幅を狭くする構造体55であってもよい。図6には、そのような構造体55を1対、流路23の対向する1対の側壁に夫々設けた場合を示す。図6(a)では、構造体55が流路23の側壁から流路幅方向に平面視で略三角状に突出形成されており、1対が流路23を挟んで対称的に形成されている。そして、その1対の構造体55,55が最も突出した部分で、破砕対象の細胞の径よりも流路幅が狭くなっている。このため、細胞Cが電気浸透流により運ばれてくると、流路幅が細胞Cの径よりも狭くなった部分で1対の構造体55,55に挟み込まれる。そして、電気浸透流によって構造体55,55に押し込まれ、細胞Cの内圧が高まることで、細胞膜が破れて細胞Cが破砕する。
図6(b)及び(c)も同様の作用によって細胞を破砕するものであり、同図(b)の構造体55,55は平面視円弧状に突出している。また、図6(c)の構造体55,55は、流路幅を狭くするように突出すると共に、上流側に向かって尖った尖部55aを有する。このため、細胞Cが構造体55,55に衝突した際に内圧を増加させるのみでなく、細胞膜に尖部55aが食い込み、細胞膜を壊す作用も果たすので、細胞Cがより確実に破砕できる。
〈第2の実施の形態〉
(構成について)
図7は第2の実施の形態に係る流路基板の平面図、図8は構造体の近傍を示す図、図9は第2実施の形態の効果を説明するための図である。
図7は第2の実施の形態に係る流路基板の平面図、図8は構造体の近傍を示す図、図9は第2実施の形態の効果を説明するための図である。
本実施の形態の細胞破砕装置は、第1の実施の形態と略同様の構成であるが、不均一電界印加装置、及び、図7のように流路基板1に不均一電界形成用電極52,52をさらに備える点で異なっている。
図8の1対の不均一電界形成用電極52,52は、膜状電極で構成され、流路23の側壁から突出形成される1対の構造体55,55の近傍に形成されている。なお、図8中では、分かりやすくするために、不均一電界形成用電極52,52を流路23近傍部分のみ示しているが、実際は流路基板1の端部まで延び、不均一電界印加装置の電極に電気的に接続可能に形成されている。また、1対の不均一電界形成用電極52,52は、非対称的な形状で、例えば、図8(a)に示すものがあり、この不均一電界形成用電極52,52間のギャップは、細胞の径以下となっている。
不均一電界印加装置は、図7の不均一電界形成用電極52,52に交流電圧を供給する。交流電圧が供給されると、上記のように不均一電界形成用電極52,52が非対称的な形状であるため、当該不均一電界形成用電極52,52間に各領域で強度が不均一な電界が形成される。そして、この不均一電界が形成された領域では、流路23中の物質が誘電泳動力を受ける。本実施の形態では、比較的に高周波の交流電圧(例えば、1MHz)を印加するので、不均一電界が形成された領域で、細胞Cが負の誘電泳動力を受け、電界強度の小さい弱電界側の電極(下流側に配置された方の不均一電界形成用電極52)に向かって移動する。さらに、本実施の形態においては、この交流電圧は、絶縁性の細胞膜に間欠的に電界を集中させ、細胞膜構造の可逆又は不可逆破壊を引き起こす。なお、どのような交流電界を印加するかは、細胞の大きさや種類等に応じて決定する。このとき、電界をかけることによる細胞に及ぼす影響を低減させることを考慮して設定することが好ましい。また、できるだけ高周波数で低振幅の電界を用いると、内包物への影響を抑制できる上、流路23内での気泡の発生を抑制することも可能となる。なお、上記不均一電界印加装置及び不均一電界形成用電極52,52が、不均一電界形成手段に相当する。
(作用効果について)
次に、上記構成の流路基板1の作用効果を、図9に示す使用例を用いて説明する。なお、図9では、分かりやすくするために不均一電界形成用電極52,52の図示を省略している。
次に、上記構成の流路基板1の作用効果を、図9に示す使用例を用いて説明する。なお、図9では、分かりやすくするために不均一電界形成用電極52,52の図示を省略している。
駆動電圧印加装置から流路基板1の駆動用電極51,51に電源が供給され、流路23に駆動電圧が印加されると、第1の実施の形態と同様に、正極側から負極側に向かう電気浸透流が発生する。これにより、試料溶液中の細胞Cは、電気浸透流に運ばれて正極側から負極側に向かって移動する(図9(a))。
そして、細胞Cが移動し始めた後、不均一電界形成用電極52,52に高周波電圧を印加し、不均一電界を形成する。細胞Cが当該不均一電界の形成領域に差し掛かると、電気浸透流の流速に加えて、上記のように上流側から下流側に向かう負の誘電泳動力を受けて、構造体55,55に押し付けられる(同図(b))。これにより、細胞Cの内圧が高まると共に、交流電圧の電気的な破砕作用も加わって、細胞が破砕する(同図(c))。なお、細胞Cが構造体に衝突時のみでなく、衝突後にも、細胞Cの構造体55,55に接していない部分が誘電泳動力を受けて下流側に引っ張られることで、構造体55,55に挟まれた上流側部分の内圧が高められ、細胞の破砕が促進される。
破砕後(例えば、不均一電界印加装置によって不均一電界を形成し、所定時間が経過した後)、不均一電界の印加を停止する。破砕した細胞Cからは内包物C1が溶出し、駆動電圧の印加によって形成される電気浸透流により、負極側の溶液槽21に運ばれる。
(変形例について)
なお、本発明の適用は上記実施の形態に限定されない。例えば、不均一電界形成用電極52,52は、図8(a)に示すような配置及び形状に限定されず、図8の(b)〜(d)に示すようなものであってもよい。例えば、正の誘電泳動力を生じるような周波数の低い電圧を印加する場合には、大きい方の電極52を上流側に形成し(同図(c))、誘電泳動力が上流側から下流側に向くようにしてもよい。また、誘電泳動力を上流側から下流側に向ける場合に限られず、例えば、1対の不均一電界形成用電極52,52を流路23の幅方向に並べて配置し(同図(b)及び(d))、幅方向に並んだ構造体55,55の一方に向かって細胞Cを押し込むように誘電泳動力が作用するようにしてもよい。このほか、3つ以上の電極を設けて、交流電圧を印加した場合にも、不均一電界を形成できる。
なお、本発明の適用は上記実施の形態に限定されない。例えば、不均一電界形成用電極52,52は、図8(a)に示すような配置及び形状に限定されず、図8の(b)〜(d)に示すようなものであってもよい。例えば、正の誘電泳動力を生じるような周波数の低い電圧を印加する場合には、大きい方の電極52を上流側に形成し(同図(c))、誘電泳動力が上流側から下流側に向くようにしてもよい。また、誘電泳動力を上流側から下流側に向ける場合に限られず、例えば、1対の不均一電界形成用電極52,52を流路23の幅方向に並べて配置し(同図(b)及び(d))、幅方向に並んだ構造体55,55の一方に向かって細胞Cを押し込むように誘電泳動力が作用するようにしてもよい。このほか、3つ以上の電極を設けて、交流電圧を印加した場合にも、不均一電界を形成できる。
また、上記実施の形態では、一定の交流電圧を所定時間連続して印加するが、これに限らず、一定時間おきに高周波電圧を所定時間印加する方式(バースト波形)を繰り返してもよい。また、交流電界の印加期間、振幅、周波数を時間の経過と共に、増減させてもよい。
また、上記実施の形態では、大方の細胞が破砕するのに要する時間を予め実験等により求め、その時間の経過後に交流電界の印加を停止するが、細胞の状態を顕微鏡から常時観察して、画像処理技術を用いて細胞が破砕したか否かを判別し、その後印加を停止してもよい。
なお、上記第2の実施の形態では、流路23の側壁から突出し、流路幅を狭める形式の構造体55,55に限られず、図10に示すように、第1の実施の形態で用いた、流路23の底面から延びる形式の構造体55を用いてもよい。
また、流路23の一部に誘電泳動力を作用させる場合に限られず、例えば駆動用電極51,51に交流電圧を印加して、流路23の全長に対して誘電泳動力を作用させるものであってもよい。
さらに、細胞の駆動方法は、上記第1及び第2の実施の形態のように、電気浸透現象や誘電泳動力による場合に限定されず、例えば、ポンプを用いるなど圧力流で駆動する方式であってもよく、後述のようなマイクロポンプを用いることができる。また、上記駆動用電極51,51や不均一電界形成用電極52,52は、膜状電極として支持体11に一体形成する場合に限らず、例えばワイヤ状の電極として構成し、流路23に挿入して電圧を印加するようにしてもよい。
また、流路23や溶液槽21,21の配置は、図1や図7に示すものに限定されず、例えば、流路23が複数並設されるものや、他の機能部(例えば、破砕後の内包物C1を分離する分離部)が設けられるものであってもよい。
また、流路基板1の構成材料は、上記第1及び第2の実施の形態に示すものに限定されない。例えば、支持体11には、支持体として必要な強度を有する材料であれば用いることができるが、なお、ガラス(硼珪酸ガラス、石英ガラス等)の他、例えば、プラスチック(ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホン、ポリエステル等)やガラス繊維とプラスチックの複合材も用いることができる。
また、膜状電極には、上記材料に限らず一般的な電極材料を用いることができるが、表面部分はPt、Au、Ag等の比較的標準電極電位の高い(正の値を持つような)材料で構成すると、試料溶液にさらした際の電解腐食を防止できるので好ましい。また、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明電極を用いると、流路基板1の透明性が維持できるので、流路基板1の光学的解析を行う場合等に好適である。また、スパッタリングにより形成することで、支持体11との密着性を高めることができるが、これに限らず、化学蒸着やイオンプレーティングその他の物理蒸着によって形成することもできる。
感光性樹脂としては、上記実施の形態で示した光を照射した部分が硬化するネガ型の感光性樹脂に限定されず、光を照射した部分が可溶性になるポジ型の感光性樹脂も用いることができる。但し、層の厚さや強度を確保する観点からは、ネガ型の感光性樹脂であって、光硬化時に重合反応により架橋ポリマーとなるものが好ましい。重合反応は、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等のいずれであってもよい。架橋ポリマーを形成する感光性樹脂としては、モノマー及び/又はオリゴマーを主成分とし、さらに光重合開始剤や各種添加剤(安定剤、フィラー、顔料等)を含有する公知の感光性樹脂を用いることができる。このモノマーとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートやトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系モノマーを用いることができる。また、オリゴマーとしては、例えば、エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、ポリエーテル樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、分子末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタン樹脂を用いることができる。光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン系光重合開始剤(ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等)、アセトフェノン系光重合開始剤(2−2′−ジエトキシアセトフェノン等)を用いることができる。
〈第3の実施の形態〉
第3の実施の形態は、細胞破砕装置において上述の流路基板がペルチェ素子等の冷却手段を備えたものである。
図11は第3の実施の形態の細胞破砕装置の機能ブロック図、図12は細胞破砕装置の外観を示す図((a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。)、図13は本実施の形態で用いるペルチェ素子の概略構成を示す図である。
本実施の形態の細胞破砕装置は、図12(a)〜(c)に示すように、L字板状の基台50に支持板33bが水平に取り付けられており、この支持板33bの上面側に平板状のペルチェ素子31が固定され、そのペルチェ素子31の上面に密着させるようにして流路基板1が載置されている。また、支持板33b上にはコネクタ41が取り付けられており、流路基板1はこのコネクタ41の接続口に挿入されている。このコネクタ41は、反対側の接続口41bにて図11に示す電圧印加装置42と接続可能になっており、流路基板1と電圧印加装置42とを電気的に接続する。また、支持板33bの下方には水冷器本体33aが取り付けられている。
流路基板1は、平面に沿って流路23を形成したものであり、電圧を印加することで当該流路23に導入された試料溶液が流動可能に構成されており、例えば、図1,図2と同様に構成される。
ペルチェ素子31は、ペルチェ効果によって吸熱又は放熱する熱電変換素子であり、本実施の形態では図13に示すような構成であり、表面及び裏面のいずれか一方が吸熱面となり、他方の面が放熱面となるペルチェ素子を用いる。図13はペルチェ素子31の一部を示し、そのペルチェ素子31は、一対の基板31a,31aの間に、複数のP型熱電半導体31p及びN型熱電半導体31nを配置し、これらを基板31aに積層される銅電極31cで交互に直列接続したものである。図13に示すようにN型熱電半導体31nからP型熱電半導体31pに向かって電流を流すと、紙面上側に向く面が吸熱面となって、紙面下側に向く面が放熱面となる。一方、逆方向に電流を流すと、紙面上側に向く面が放熱面となり、紙面下側に向く面が吸熱面となる。細胞破砕装置では、上記のように、ペルチェ素子31を流路基板1に密着させ、流路基板1の温度を調整する。
また、ペルチェ素子31の上面側には図12(b)のように温度センサ34が貼着されており、流路基板1との接触面の温度が検出可能になっている。温度センサ34は、例えば温度に応じて抵抗が変化するサーミスタを用いる。なお、使用する温度センサの種類はこれに限定されない。
また、ペルチェ素子31は、1対の導線31b,31bを介して図11に示すペルチェコントローラ32に電気的に接続されており、このペルチェコントローラ32からの駆動電流を受けて目的の温度に調整される。ペルチェコントローラ32は、図11のように、温度センサ34の検出信号が入力されるようになっており、これに基づき流路基板1を目的の温度にするための駆動電流の大きさを算出し、当該大きさに調整した駆動電流を出力する。このペルチェ素子31が冷却手段に相当する。
水冷器33は、図12(a)〜(c)のように、金属製の支持板33bと、支持板33bの下面側に取り付けられた水冷器本体33aと、からなる。水冷器本体33aは、金属製のブロック内部に冷却液の通路が設けられており、流入口33cから導入された冷却液が当該冷却液通路を通って流出口33dから排出されるようになっている。この冷却液は、水道から直接引き込んでもよいし、さらにポンプやラジエータなどを備えた2次冷却装置を設け、当該2次冷却装置で冷却した冷却液を循環させてもよい。この水冷器33が第2の冷却手段に相当する。
以上のような構成の細胞破砕装置を使用するときには、流路基板1をコネクタ41に装着し、電圧印加装置42を電源オンにし、流路基板1の駆動用電極51,51に駆動電圧を印加して凹部2に導入した試料溶液を駆動する。これと共に、ペルチェコントローラ32も電源オンにする。ペルチェコントローラ32はペルチェ素子31の吸熱面が予め設定した温度を上回っていることを検出すると、ペルチェ素子31を駆動し、流路基板1を冷却する。これにより、流路基板1が予め設定した温度以下に保たれるので、試料溶液の蒸発が抑えられる。このため、作業に長時間を要する場合などに、作業の途中で試料溶液が干上がったりすることなく、ある程度の溶液量を維持して作業をすることができる。
なお、本発明は第3の実施の形態に限定されない。例えば、流路基板1を冷却するための手段は、ペルチェ素子31に限らず、例えば、流路基板にヒートシンクを接触するように配置し、このヒートシンクに向かってファンから送風することで、冷却させてもよい。但し、空冷時には流路基板1に風が当たらないようにしないと、試料溶液がかえって乾燥しやすくなるおそれがある。この点、ペルチェ素子31を用いることが好ましい。また、ペルチェ素子31を用いると、高精度な冷却が可能であるので、温度感受性の高い生体高分子を取り扱う場合にも限られた温度範囲に保つことができ、また装置を小型化でき、静穏かつ無振動で動作可能であるので好適である。
また、図12(a)〜(c)の細胞破砕装置は、流路基板1を1枚だけ載せる構成となっているが、コネクタ41を複数設け、複数の流路基板1が同時に載置できる構成としてもよい。この場合、ペルチェ素子31を複数設け、流路基板1毎に冷却してもよいし、単一のペルチェ素子31に複数の流路基板1を載置してもよい。ペルチェ素子31を複数設け、ペルチェ素子31毎にコントロール可能にすれば、各流路基板1を高精度に冷却できる。
また、ペルチェ素子31と流路基板1の密着性を高めるべく、流路基板1を下方に押さえつける機構をコネクタ41に設けてもよいし、シリコングリースを塗布してもよい。
また、流路基板1も上記構成に限定されない。例えば、流路23は、2以上としてもよい。また、第3の実施の形態では、温度センサ34をペルチェ素子31側に設けているが、流路基板1の下面に設けてもよいし、流路基板1の凹部2に一体形成させてもよい。さらに、流路基板1とペルチェ素子31を1チップに一体的に形成させてもよい。
また、流路基板1として図7のものを用いてもよく、この場合、図7の不均一電界形成用電極52,52に不均一電界印加装置から交流電圧を供給する。
〈第4の実施の形態〉
第4の実施の形態は、微量の液体を圧送するマイクロポンプを用いて溶液を流すようにした流路基板である。
図14は、第4の実施の形態にかかるマイクロポンプの側面断面図である。図15は、図14の構成をII-II線で切断して矢印方向に見た図である。
マイクロポンプMは、ハウジング100と蓋部材200とから以下のようにして構成される。図14,図15において、ブロック状のハウジング100は、平面である上面1aに、断面が半円形状などの環状の溝1bを形成している。ハウジング100の素材としては、ガラス基板、シリコン基板、PDMS(poly-dimethylsiloxane)、セラミック基板などを用いることができる。ガラス基板上に溝1bを作製する場合は、ガラス基板上に光硬化樹脂または熱硬化樹脂、レジスト類や、ポリミドなどをスピンコートすることによって膜を形成して、露光、現像、エッチングなどを経て微小溝を作製する。そのほかにも、基板本体のウェットエッチング、RIEによるドライエッチングなどを用いて流路をエッチングするための各種加工手法を用いて作製してもよい。
一方、ハウジング100と同様な素材から形成できる板状の蓋部材200は、平面である下面2aに、溝1bに対応して断面が半円形状などの環状の溝2bを形成している。ハウジング100に蓋部材200を重ね合わせたとき、溝1b、2bが対向することで、環状の循環路Rが形成されることとなる。
蓋部材200は、ハウジング100に対して、接着剤、フッ酸を用いた接合、陽極接合、機械的な固定などをもちいて貼り合わせを行い、循環路Rを外気から孤立させる機能を有するが、高圧流体を流す必要がなければ特に機械固定をする必要はない。尚、循環路Rに対して接線方向に接続するようにして、直線状の供給路Iと排出路Oとが同様な手法で形成され、外部に対して開口している。
かかる循環路R内には、それぞれ供給路Iと排出路Oより大きい径を有している、例えば11個の非磁性体の微小球300と、1個の磁性体の微小球400とが転動自在に配置されている。微小球400としては強磁性材料を含む鉄球などを用いてもよいし、表面を保護するために各種メッキ、蒸着や表面処理加工などを行ってよい。微小球300としては、磁性材料以外の金属や樹脂、セラミックなどを用いることができる。尚、微小球300,400の径は数μmオーダーまで小さくできる。
蓋部材200の上面には、循環路Rに沿って例えば6つの電磁石5A〜5Fが周方向に等間隔に配置されている。電磁石5A〜5Fは、駆動回路DRにより選択的に駆動され、励磁されるようになっている。
本実施の形態の動作について説明する。図16(a)〜(c)は、マイクロポンプMの動作を示す図15と同様な図である。供給路Iは流体の供給源、排出路Oは流体の供給部に接続されている。まず、図16(a)において、駆動回路DR(図14)は、不図示のセンサにより磁性体の微小球400(ハッチングで示す)の位置を検出し、それより時計回り方向に離れた電磁石5Aを選択して励磁する。すると、電磁石5Aから発生した磁力により、磁性体である微小球400が付勢され、時計回りに移動しようとする。残りの微小球300は磁力の影響を受けないので、微小球400に押されて同方向に移動する。循環路R内の微小球300,400が全て同方向に回転移動すると、その内部の流体もつれて同方向に移動するようになる。これにより、供給路Iから取り込んだ流体を、排出路Oから排出することが可能となる。
続いて図16(b)において、駆動回路DR(図14)は、磁性体の微小球400が電磁石5Aに接近したことを検出したときは、電磁石5Aの励磁を停止して、それより時計回り方向に隣り合う電磁石5Bを選択して励磁する。すると、電磁石5Bから発生した磁力により、磁性体である微小球400が同方向に付勢され、電磁石5Aを通り過ぎて他の微小球300と共に更に時計回りに移動しようとする。
更に図16(c)において、駆動回路DR(図14)は、磁性体の微小球400が電磁石5Bに接近したことを検出したときは、電磁石5Bの励磁を停止して、それより時計回り方向に隣り合う電磁石5Cを選択して励磁する。すると、電磁石5Cから発生した磁力により、磁性体である微小球400が同方向に付勢され、電磁石5Bを通り過ぎて他の微小球300と共に更に時計回りに移動しようとする。以上の制御を繰り返すことで、微小球300,400を連続的に回転移動させることができ、流体の連続圧送が可能となる。
図17(a)〜(c)は、別な実施の形態にかかるマイクロポンプの動作を示す図15と同様な図である。本実施の形態においては、循環路R内に、例えば10個の非磁性体の微小球300と、180度位相で2個の磁性体の微小球400とが転動自在に配置されている。それ以外の構成については上述の実施の形態と同様であるため説明を省略する。
本実施の形態の動作を説明すると、図17(a)において、駆動回路DR(図14)は、不図示のセンサにより磁性体の2つの微小球400,400の位置を検出し、それぞれ時計回り方向に離れた電磁石5A、5Dを選択して励磁する。すると、電磁石5A、5Dから発生した磁力により、磁性体である微小球400,400が付勢され、時計回りに移動しようとする。残りの微小球300は磁力の影響を受けないので、微小球400に押されて同方向に移動する。循環路R内の微小球300,400が全て同方向に移動すると、その内部の流体もつれて同方向に移動するようになる。これにより、供給路Iから取り込んだ流体を、排出路Oから排出することが可能となる。
続いて図17(b)において、駆動回路DR(図14)は、磁性体の微小球400,400が電磁石5A、5Dに接近したことを検出したときは、電磁石5A、5Dの励磁を停止して、それより時計回り方向に隣り合う電磁石5B,5Eを選択して励磁する。すると、電磁石5B,5Eから発生した磁力により、磁性体である微小球400,400が同方向に付勢され、電磁石5A、5Dを通り過ぎて他の微小球300と共に更に時計回りに移動しようとする。
更に、図17(c)において、駆動回路DR(図14)は、磁性体の微小球400,400が電磁石5B,5Eに接近したことを検出したときは、電磁石5B,5Eの励磁を停止して、それより時計回り方向に隣り合う電磁石5C,5Fを選択して励磁する。すると、電磁石5C,5Fから発生した磁力により、磁性体である微小球400、400が同方向に付勢され、電磁石5B,5Eを通り過ぎて他の微小球300と共に更に時計回りに移動しようとする。以上の制御を繰り返すことで、微小球300,400を連続的に回転移動させることができ、流体の連続圧送が可能となる。本実施の形態によれば、2個の微小球400が同時に付勢されるので、回転速度が約2倍となり流体の高速圧送が可能となる。
図18は、本実施の形態の変形例を示す図14と同様な図である。図18(a)に示す変形例においては、ハウジング100の上面1aにのみ環状の溝1bが形成され、蓋部材200の下面には環状の溝が形成されていない。これに対し、図18(b)に示す変形例においては、蓋部材200の下面2aにのみ環状の溝2bが形成され、ハウジング100の上面には環状の溝が形成されていない。
更に、図18(c)に示す変形例においては、蓋部材200の上面に電磁石5A〜5Fを配置する代わりに、薄厚のハウジング100の下面に、電磁石5A〜5Fを配置している。又、図18(d)に示す変形例においては、蓋部材200の上面に電磁石5A〜5Fを配置する代わりに、ハウジング100と蓋部材200の側面に凹部1c、2cを全周にわたって形成し、組み付け時に凹部1c、2cで形成される環状の空間内に電磁石5A〜5Fを埋設配置している。更に、図18(e)に示す変形例においては、蓋部材200の上面に電磁石5A〜5Fを配置する代わりに、ハウジング100と蓋部材200の側面に対向して、その外方に外部の電磁石5A〜5Fを配置している。
図19に第4の実施の形態による流路基板の平面図を示す。図19の流路基板1’は、上述の図14,図15と同様のマイクロポンプMを配置し、流路23内で溶液を流動させるようにしたものである。すなわち、図19のように、図1(a)、(b)と同様の凹部2を支持体11上に形成し、更に、凹部2と同様にして溝状の送出路28及び排出路29を形成し、送出路28を一方の溶液槽21aに接続し、排出路29を他方の溶液槽21bに接続し、マイクロポンプMを形成する際に、マイクロポンプMの排出路Oを送出路28に接続し、供給路Iを排出路29に接続している。なお、図14,図15の循環路Rがポンプ流路を構成する。
図14,図15のハウジング100の代わりに図1(b)の支持体11上に凹部2と同様にして溝1bを形成し、支持体11上を図18(a)のように蓋部材200で覆い、蓋部材200上に電磁石5A〜5Fを配置することで、マイクロポンプMを備えた流路基板1’を得ることができる。マイクロポンプMを図16(a)〜(c)のようにして作動させることで、溶液を一方の溶液槽21aから他方の溶液槽21bに向かって流路23内を流動させることができる。上記流路基板1’は図12の細胞破砕装置に用いることができる。
なお、図19においてマイクロポンプMの電磁石5A〜5F(図14)と駆動回路DR(図14)とを接続するための接続手段を別途設けることができる。また、流路基板1’は凹部2を単数備えるが、複数備えるようにしてもよい。また、流路基板1’に第3の実施の形態のようにペルチェ素子等の冷却手段を設けてもよい。
また、流路基板1’に図7,図8のような不均一電界形成用電極52,52を設け、マイクロポンプMと併用することで、より高い細胞破砕効果を得ることができる。
また、上述のようなマイクロポンプを支持体等に形成するための加工方法としては、本発明者の一人が先に特願2006−195501で提案したエッチング加工や膜材料を用いた加工や金型を用いた成形加工を用いることができる。
〈第5の実施の形態〉
第5の実施の形態は、遠心力を用いて流路基板の流路で試料溶液を流し、その試料溶液で分離や合成を行う場合にその反応過程をモニタで観察可能にしたものである。
図20は第5の実施の形態に係る可視下遠心装置の全体構成例を示す斜視図である。図21は図20の固定部品の内部の構成を説明するための部分構成図である。図22は図20の可視下遠心装置の全体構成例を上から見た上面図である。図23は図20の回転盤に対してスピンドルユニットを装着させた状態の可視下遠心装置の縦断面図である。図24はスピンドルユニットとしてエアスピンドルユニット628を装着させた状態の可視下遠心装置の全体斜視図である。
以下、第5の実施の形態に係る可視下遠心装置について、添付図面を参照して説明する。図20〜図24には、本実施の形態に係る可視下遠心装置(以下、単に「装置」ともいう)APが示されており、装置APには、所定の回転軸602を中心に回転する回転盤604と、回転盤604に配設され、サンプル(流体)を収容して回転盤604とともに回転する反応用の流路基板1と、流路基板1内におけるサンプルの状態を目視により観察するための顕微鏡608とが備えられている。そして、装置APは、流路基板1内のサンプルに対して遠心力を作用させることで、サンプルから所定の物質(液体、固体および気体、若しくはこれらの混合体など)を分離、あるいは合成させている。
なお、装置APの大きさや形状、具体的には、回転盤604の大きさや形状は、遠心分離あるいは遠心合成させるサンプルの性質や数などに応じて任意に設定すればよいが、本実施の形態においては、回転盤604が直径220mmの円盤として構成されている場合を、一例として想定する。
また、流路基板1は、その内部に所定のサンプルを収容し、サンプルを遠心分離反応あるいは遠心合成反応させることが可能であり、図1,図2と同様に構成され、平面に沿って流路23が形成されている。流路基板1は、内部にサンプルを収容した状態で、回転盤604に対して固定され、回転盤604とともに回転することで、遠心力により流路23でサンプル(流体)が流動可能である。また、流路基板1は、図4〜図10のような構成であってもよく、また、流体流動のために電極と遠心力を併用するようにしてもよく、また、個々のサンプルの特性に応じて電極と遠心力のいずれかを選択するようにしてもよい。さらに、流体流動のための電極を省略してもよい。また、流路23は単数であるが、複数でもよい。
装置APにおいて、顕微鏡608は、流路基板1内におけるサンプルの状態を観察可能となるように回転盤604の所定位置へ固定されており、回転盤604には、顕微鏡608で捉えた流路基板1内のサンプル状態の顕微鏡画像を撮影するための撮像デバイス610と、撮像デバイス610で撮影された顕微鏡画像の撮影像を、リアルタイムで動画として無線により伝送するための映像無線伝送デバイス612が取り付けられている。なお、本実施の形態において、顕微鏡608は、一例として、流路基板1内におけるサンプルの状態を捉える対物レンズ608aと、対物レンズ608aが捉えた顕微鏡画像を撮像デバイス610まで伝達するための光路が内部に形成された鏡筒608bとを備えて構成されている。また、撮像デバイス610には、顕微鏡608で捉えた流路基板1内のサンプル状態の顕微鏡画像を撮影することが可能な各種の撮像装置を適用することができるが、本実施の形態においては、撮像デバイス610としてCCDカメラを適用した場合を一例として想定する。
この場合、顕微鏡608は、鏡筒608b内において、顕微鏡608の光路が回転盤604の盤面(図23の上側の面)604aに対して所定の角度で部分的に屈折されており、撮像デバイス(以下、CCDカメラという)10は、前記所定角度で屈折された顕微鏡608の光路上で、上述した顕微鏡画像を撮影可能となるように、回転盤604の回転中心の近傍に位置付けられている。なお、以下の説明においては、上述した顕微鏡608の光路を観察光路と呼び、観察光路を進む光を観察光と呼ぶ。
本実施の形態においては、一例として、図23に示すように、顕微鏡608の鏡筒608b内へミラー614を観察光路の屈折角に応じて任意に設定される所定角度だけ観察光路に対して傾斜して配設している。なお、図23に示す構成において、装置APは、顕微鏡608の対物レンズ608aが流路基板1内のサンプル状態を垂直方向(同図の上下方向)の上方から捉えるとともに、回転盤604の回転中心の近傍で回転盤604の盤面604aに対して平行する方向(水平方向)から対物レンズ608aが捉えた顕微鏡画像をCCDカメラ610で撮影する構造を成している。このため、ミラー614を観察光の進入方向に対して約135°の角度で後傾させて顕微鏡608の鏡筒608b内に配設することで、進入した観察光を約90°だけ屈折させ、回転盤604の盤面604aに対して平行となるようにさらに進行させている。なお、顕微鏡608は、その鏡筒608bを略直角に屈折させることで、鏡筒608b内に略直角に屈折した観察光路を形成した構成とすればよい。
この場合、顕微鏡608を回転盤604の周縁部へ位置付けることで、垂直方向から進入した観察光がミラー614によって回転盤604の周方向から中心方向へ向けて回転盤604の盤面604aと平行して屈折するように、その進行方向を変化させる構成とすることができる。この結果、顕微鏡608は、その観察光(すなわち、顕微鏡画像)が回転盤604の中心部、すなわち回転盤604の回転中心の方向へ向けて到達(収束)される構造となり、CCDカメラ610を観察光路の到達(収束)先へ位置付けることで、CCDカメラ610が回転盤604の回転中心の近傍で顕微鏡の観察光を捉えること、具体的には、顕微鏡画像を撮影することが可能な構成とすることができる。
このため、CCDカメラ610を回転盤604の回転中心の近傍に位置付けることができ、回転盤604が回転することによって遠心力が生じた場合であっても、CCDカメラ610に対して作用する遠心力を軽減させることができ、遠心力によってCCDカメラ610の性能が阻害されることや撮影時の顕微鏡画像がブレることがなく、CCDカメラ610において常に安定した顕微鏡画像の撮影を行うことが可能となる。
また、上述したように顕微鏡608を観察光路がミラー614によって屈折される構造とすることで、顕微鏡608の鏡筒608bの高さ(図23の上下方向の距離)を抑えることができる。これにより、回転盤604が回転することで回転振動が発生した場合であっても、回転振動に対する顕微鏡608の剛性を高めることができ、顕微鏡608において常に安定した流路基板1内におけるサンプル状態の観察を行うことが可能となる。ただし、鏡筒608bの高さを抑えるためには、顕微鏡608を観察光路の屈折角度が0°より大きく90°以下となる構造とすることが好ましい。
なお、顕微鏡608は、その鏡筒608bが流路基板1に対して垂直方向(鉛直方向(図23の上下方向))へ上下動可能な構造を成しており、このような構造を成すことにより、流路基板1(具体的には、サンプル)と対物レンズ608aとの間の距離(焦点距離)を調整することができるようになっている。この場合、回転盤604には、その盤面604aに対して垂直方向へ所定の長さで延出したガイド(以下、Z軸ガイドという)620が設けられており、鏡筒608bをZ軸ガイド620に沿ってスライドさせることで、顕微鏡608は、サンプルと対物レンズ608aとの焦点距離を調整する構造となっている。
また、本実施の形態においては、顕微鏡608の対物レンズ608aと流路基板1とを同一部品(以下、固定部品という)616の内部に収容するとともに、収容された対物レンズ608aおよび流路基板1を固定部品616と一体的に回転盤604へ固定することで、対物レンズ608aと流路基板1との間の外部振動(具体的には、回転盤604の回転によって生ずる回転振動)による相対変位を極小化させている。これにより、顕微鏡608は、常に安定して流路基板1内のサンプル状態をブレのないクリアな画像として捉えることができ、分離過程あるいは合成過程におけるサンプルの状態を正確且つ確実に観察することが可能となる。
この場合、固定部品616の内部には、図21に示すように、所定の照明装置(例えば、エッジ式のLED(Light Emitting Diode)バックライト)622が設けられており、サンプルを顕微鏡608の対物レンズ608aとは反対側から照明装置622で照らして透過させた状態で観察できるようにしている。これにより、流路基板1内におけるサンプルの状態をより鮮明に観察することができ、対物レンズ608aによってサンプル状態を、よりクリアな顕微鏡画像として捉えることができる。なお、照明装置(エッジ式のLEDバックライト)22の光源であるLED22aは、上述したCCDカメラ610と同様に、回転盤604の回転によって生じる遠心力の作用を軽減させるため、回転盤604の回転中心の近傍に位置付けられている。
ここで、照明装置622は、サンプルを照らして透過させた状態で観察することが可能であれば、その具体的な構成は特に限定されない。例えば、サンプルの性質や種類などに応じて、任意の照明装置を選択すればよく、一例として、本実施の形態においては、株式会社モリテックス製のLED照明(エッジ式バックライト)MEBL−CW25を用いている。ただし、例えば、かかる照明装置622と同等、若しくはそれ以上の性能を有する照明装置であってもよい。
また、固定部品616は、顕微鏡608の対物レンズ608aとサンプルとの焦点距離を調整し、適正距離に設定された状態で、対物レンズ608aとサンプルとの相対位置、具体的には、対物レンズ608aのサンプルに対する高さを固定している。これにより、分離反応中あるいは合成反応中、サンプルに対する顕微鏡608の対物レンズ608aの高さを一定に維持することができ、サンプルの状態を安定して観察することが可能となる。
また、本実施の形態においては、回転盤604に対し、上述した顕微鏡画像を動画として撮影するCCDカメラ610とともに、CCDカメラ610で撮影された顕微鏡画像のカメラ映像(撮影像)をリアルタイムで動画として無線伝送するための映像無線伝送デバイス612が取り付けられている。このように、CCDカメラ610で撮影された映像を外部受信機(図示しない)に対して伝送する方式として、有線方式ではなく無線方式を採用することで、回転盤604とともにCCDカメラ610ならびに映像無線伝送デバイス612を回転させた場合であっても、これらから直接信号線を取り出す必要がなく、信号線の取り回しを考慮する必要が全くない。この結果、CCDカメラ610および映像無線伝送デバイス612の周辺構造を容易に簡略化させることができる。
また、信号線の取り回しを考慮する必要がないため、CCDカメラ610ならびに映像無線伝送デバイス612を回転盤604(具体的には、顕微鏡608および流路基板1内のサンプル)とともに回転させる構造とすることができ、回転盤604の回転数による制約を受けることなく、任意の高フレームレート(コマ数)でCCDカメラ610によって顕微鏡画像を撮影することができ、撮影した顕微鏡画像のカメラ映像を外部の受信装置(図示しない)に対して伝送することができる。これにより、かかる外部受信装置として、例えば、液晶パネルやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどの表示器を設けることで、上述したカメラ映像(すなわち、流路基板1の内部におけるサンプルの状態)を、かかる表示器においてリアルタイムに確認しながらサンプルの分離反応あるいは合成反応を進行させることができる。また、パソコンなどを介して収録したカメラ映像を解析することにより、サンプル(具体的には、その内部物質や、分離物質あるいは合成物質など)の挙動をモニタし、回転盤604の最適な回転条件(別の捉え方をすれば、サンプルに作用させる遠心力の最適な大きさ)を推定するとともに、推定された最適条件(例えば、回転速度や回転時間など)で回転盤604を回転制御することも可能となる。
この場合、映像無線伝送デバイス612は、上述したCCDカメラ610と同様に、回転盤604の回転によって生じる遠心力の作用を軽減させるため、回転盤604の回転中心の近傍に位置付けられており、CCDカメラ610によって撮影されたカメラ映像の映像データを所定のアンテナ618から外部受信装置(受信機に接続された液晶パネルやCRTディスプレイなどの表示器)に対して無線伝送している。また同様に、アンテナ618も回転盤604の回転によって生じる遠心力の作用を軽減させるため、回転盤604の回転中心の近傍、具体的には、回転盤604の回転中心の延長線上に立ち上がる構成としている。
なお、映像無線伝送デバイス612がカメラ映像の映像データ(映像信号)を外部受信装置(図示しない)へ無線伝送する際、映像データの伝送速度(ビットレート)やデータ形式(周波数や圧縮・非圧縮の有無など)は、装置APの使用態様や使用条件などに応じて任意に設定すればよい。例えば、本実施の形態においては、一例として、CCDカメラ610が撮影した顕微鏡画像のカメラ映像を、映像無線伝送デバイス612によって周波数が2.4GHzの非圧縮デジタル信号の映像データに変換し、映像データを外部受信装置に対して無線伝送している。これにより、映像無線伝送デバイスから送信された映像信号を欠落させることなく、外部受信装置に対して送信することができ、外部受信装置においてサンプル状態をクリアで安定した映像で確認しながら、分離反応あるいは合成反応を進行させることができる。ただし、映像無線伝送デバイス612から外部受信装置へ伝送する映像データは、上述した非圧縮のデジタル信号に代えて、圧縮信号であってもよいし、アナログ信号としてあってもよい。
ここで、CCDカメラ610は、顕微鏡608で捉えた流路基板1内におけるサンプル状態の顕微鏡画像を撮影することが可能であれば、その具体的な構成は特に限定されない。例えば、装置APの使用態様や使用条件などに応じて、任意のCCDカメラを選択すればよく、一例として、本実施の形態においては、株式会社モスウェル製のカラーボードカメラMSC−90を用いている。ただし、例えば、かかるCCDカメラ610と同等、若しくはそれ以上の性能を有するCCDカメラであってもよい。
また、映像無線伝送デバイス612は、CCDカメラ610が撮影した顕微鏡画像のカメラ映像を外部受信装置(図示しない)に対して無線伝送することが可能であれば、その具体的な構成は特に限定されない。例えば、装置APの使用態様や使用条件などに応じて、任意の映像無線伝送デバイスを選択すればよく、一例として、本実施の形態においては、株式会社アイデンビデオトロニクス製のTRX24miniを用いている。ただし、例えば、かかる映像無線伝送デバイス612と同等、若しくはそれ以上の性能を有する映像無線伝送デバイスであってもよい。
なお、上述したCCDカメラ610、映像無線伝送デバイス612、ならびに照明装置622など、装置APに設けられた各種の電装部品は、図20および図22に示すように、所定の電源装置(例えば、バッテリー)624によって駆動されている。この場合、電源装置624は、かかる各種の電装部品(CCDカメラ610、映像無線伝送デバイス612、ならびに照明装置622など)を正常に動作させることが可能な電力を、サンプルに対する分離反応中あるいは合成反応中、安定して供給可能であれば、その具体的な構成は特に限定されない。例えば、上述した各種の電装部品が要する電力の大きさなどに応じて、任意の電源装置を選択すればよく、一例として、本実施の形態においては、ULTRAP LIFE株式会社製のバッテリーであるUBBP01(電圧3.7v、バッテリー容量1.8APh)を用いている。ただし、例えば、かかる電源装置624と同等、若しくはそれ以上の性能を有する電源装置であってもよい。
本実施の形態においては、かかる電源装置(バッテリー)624を4個直列で使用し、これら4つのバッテリー624を、回転盤604の回転中心に対して対称となる位置へ(180°の位相差で)2つずつ均等に配置しているとともに、顕微鏡608、流路基板1および固定部品616に対して90°の位相差で配置している(図22参照)。この場合、バッテリー624は、一例として、回転盤604の盤面604aを凹状に窪ませて成る取付部へ埋設され、板状部材626で固定されて回転盤604に対して取り付けられている。
ここで、かかる装置APにおいて、回転盤604の回転軸602は、図示しない所定の駆動装置(例えば、スピンドルモータなど)によって回転されているとともに、各種の軸受627によって回転自在に支持されており、図23には、一例として、転動体として玉を適用した転がり軸受627によって回転軸602を支持した構成が示されている。この場合、転がり軸受627は、転動体として玉を適用した各種の玉軸受の他、転動体として各種のころ(円筒ころ、円すいころおよび球面ころなど)を適用したころ軸受であってもよい。また、図23に示す構成においては、回転軸602を2つの軸受627で支持する構造としているが、回転軸602は、1つの軸受627で支持してもよいし、3つ以上の軸受627で支持してもよい。
なお、軸受627として、上述した各種の転がり軸受に代えてエア軸受を適用し、回転軸602をエア軸受によって回転自在に支持することで、回転盤604が回転する際に生ずる回転振動を格段に軽減させることができ、ひいては、顕微鏡608やCCDカメラ610の回転振動を抑制させ、分離反応中あるいは合成反応中におけるサンプル状態の安定した観察ならびに撮影を行うことが可能となり、さらに好ましい。ここで、一例として、エア軸受は、回転軸602の外周面を全周に亘って覆うように位置付けられた筒状のハウジングによって回転軸602を回転自在に支持する構造を成し、ハウジングの内周面(回転軸602の外周面に対する対向面)に設けた複数の噴出口(噴出孔)から回転軸602の外周面へ向けてエアを吹き付け、ハウジングの内周面と回転軸602の外周面とを非接触状態に保つことで、回転軸602を非常に滑らかに回転させることができる。
また、本実施の形態において、回転軸602および回転軸602を回転自在に支持する軸受627は、これらがハウジングとともに一体を成すスピンドルユニット628として構成されており、スピンドルユニット628が回転盤604に装着されることで、回転盤604が回転軸602を中心として回転される構造となっている。この場合、回転盤604には、その中央部が上側(顕微鏡608、流路基板1、CCDカメラ610、および映像無線伝送デバイス612などが配設されている側)へ所定の大きさで凸状に突出し、回転盤604の下側(上述した各部品などが配設されている側とは反対側)を凸状に窪ませて形成されたスピンドルユニット取付部604bが設けられており、スピンドルユニット628は、回転盤604の下側からスピンドルユニット取付部604bへ挿入されて、回転盤604に対して取り付けられている。
このように、装置APをスピンドルユニット628に対して回転盤604が被さるような構造とすることで、顕微鏡608、流路基板1、CCDカメラ610、および映像無線伝送デバイス612などが配設された回転盤604の回転時における回転重心と、回転軸602が軸受627によって回転自在に支持された軸支部分との距離を狭めることができ、軸支部分に生じる回転モーメントを有効に軽減させることができる。
なお、上述した本実施の形態において、装置APの構成部材の材料については特に言及しなかったが、装置APの使用態様や使用目的などに応じて各種の素材を任意に選択して使用すればよい。一例として、本実施の形態においては、回転盤604の材料、ならびに顕微鏡608、流路基板1、CCDカメラ610、および映像無線伝送デバイス612などを回転盤604に対して取り付けるための各種の取付部材を高強度APl合金(A2017)製とすることで、回転時における剛性を十分に確保しながら、これらの部材の軽量化を図っている。
また、本実施の形態においては、回転時における装置APの重量バランスを均等にし、回転時に生じるスピンドルユニット628に対する振れ回り応力を減少させるため、回転盤604に対し、顕微鏡608および流路基板1の配設位置と回転中心に対して略対称となる位置(回転中心に対して反対側)へ所定のバランスウェイト630を設けている。バランスウェイト630の重量、および配設位置は、回転盤604に配設された顕微鏡608、流路基板1、CCDカメラ610、および映像無線伝送デバイス612などの各種の部材重量やそのバランス(重心)などに応じて、上述したスピンドルユニット628に対する振れ回り応力が小さくなるように調整すればよい。
なお、装置APにおいて、より高精度にサンプルの分離反応あるいは合成反応を観察する場合、スピンドルユニット628として、回転軸602が上述したエア軸受によって回転自在に支持されたエアスピンドルユニットを回転盤604に対して装着する構成としてもよい。これにより、回転盤604が回転する際に生じる回転振動を格段に軽減させることができ、分離反応中あるいは合成反応中におけるサンプル状態をさらに安定した高画質のカメラ映像により観察することが可能となる。この場合、エアスピンドルユニットとしては、例えば、日本精工株式会社製のGBS100Hなどを用いることができる。
次に、上述のように流路基板1を可視下遠心装置APに装着し回転させて発生する遠心力をサンプル(流体)に作用させて流体を駆動し流動させることによる作用効果について説明する。
流路基板1に外部機器との流体接続(流体駆動に例えば図14〜図19のようなポンプを利用する場合)、及び、電気的接続(流体駆動に例えば図1,図7のように電気浸透流などを利用する場合)が不要となり、流路基板1の構造が簡素化できる。この効果として、流路基板1の取り扱いが容易となり、自動化しやすく、解析速度も向上する。また、流路基板1をさらに小型化することができ、より微小サンプルでの解析が可能となる。この場合は、細胞は電気的に破砕することができないので、力学的な衝突によって破砕させる。
また、周辺機器も小型化できるため、測定系全体を小型化できる。
また、サンプルの化学的な特性に影響されず、流体を駆動させることができる。特に、電界印加により電気分解し易い溶液を主体とするサンプルでも、駆動(解析)が可能である。また、電気的な刺激によって、変化する可能性のあるサンプルに対しても、これらの影響を気にせず利用でき、適用範囲が広がり好ましい。
また、サンプルの遠心分離効果を同時に発生させることができ、サンプルの比重による分離が可能である。
さらに、本実施の形態の可視下遠心装置を利用することによって、低回転数(低遠心力)の領域での反応であっても、情報が欠落(コマ落ち)することなく、検出状態を把握することができる。
次に、図20〜図24の可視下遠心装置APにサンプルに対し上方から照明をあてる落射照明装置を付加した構成について図25を参照して説明する。図25は可視下遠心装置APに落射照明装置を付加した構成を示す図23と同様の縦断面図である。
溶液中の細胞やガラスビーズなど、背景と光学的な透過率が同程度(透明)の物質を観察する場合、バックライトによる投下照明では、形状による陰影(コントラスト)が得難く、観察が困難である。この対策として、図25のように、可視下遠心装置APに落射照明装置を設けた。
すなわち、対物レンズ608aの上部のミラー614をハーフミラー614aとし、ハーフミラー614aの上方にLED照明部640を設けることで同軸(落射)照明装置を構成した。LED照明部640からの照明光mがハーフミラー614aを透過し対物レンズ608aを通して流路基板1内のサンプルを照射する。また、サンプルからの反射光nは対物レンズ608aを通してハーフミラー614aで反射しCCDカメラ610へ到達する。
LED照明部640には、例えば、市販の高輝度緑色LED(OPTSOURCE社製 100047シリーズ、φ3mm、光度6800mcd)を利用できるが、対象サンプルによって色調、輝度を選択することができる。また、遠心強度(回転数、時間)によってLEDの破損が懸念される場合には、光源(LED)を回転中心付近に配置して光ファイバで顕微鏡に誘導することもできる。
図25の落射照明装置を付加した構成によれば、流路基板1内のサンプルからの反射光を観察することによって、光学的透過率が背景と周程度でもサンプル表面の反射による陰影(コントラスト)を得ることができるので、サンプルの挙動を明瞭に観察することができる。
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
〈実施例1〉
実施例1は、上述の可視下遠心装置APをポリスチレンビーズのサイズ選別に利用したものである。すなわち、図26のようなダンベル型流路(両端に円形の溶液槽を設け、溶液槽同士を直線流路で接続した形状の流路)を形成した流路基板を作製し、可視下遠心装置APに設置し、流路基板内を溶液で満たした状態で反遠心側ヘサイズの異なるポリスチレンビーズ溶液を導入しビーズが遠心力によって流路内を通過する速度を測定した。
実施例1は、上述の可視下遠心装置APをポリスチレンビーズのサイズ選別に利用したものである。すなわち、図26のようなダンベル型流路(両端に円形の溶液槽を設け、溶液槽同士を直線流路で接続した形状の流路)を形成した流路基板を作製し、可視下遠心装置APに設置し、流路基板内を溶液で満たした状態で反遠心側ヘサイズの異なるポリスチレンビーズ溶液を導入しビーズが遠心力によって流路内を通過する速度を測定した。
流路基板は、図26のような微細流路パターンを形成したPDMS樹脂をガラス基板上へ貼り付けた構造である。流路パターンは、直径3mmの円形の溶液層を700μm幅の直線流路で接続した形状で、深さ約120μmである。溶液層の片側には溶液導入用の孔が空けてあり、ここからビーズ溶液を導入することができる。
溶液導入用の孔を反遠心側にして直線流路部分がCCDカメラで観察できるように可視下遠心装置APに取り付ける。このとき、流路内はテスト溶液(0.1Mマンニトール水溶液)で満たされている。溶液導入孔からポリスチレン溶液を導入し、可視下遠心装置APを駆動すると、遠心力によってポリスチレンビーズが直線流路を介して遠心側の溶液槽へ移動する。可視下遠心装置APでは、ポリスチレンビーズが直線流路内を移動する速度を任意の回転数(遠心力)で測定できるため、ポリスチレンビーズの移動速度vを正確に測定することができる。
直径10μmと直径40μmのポリスチレンビーズ(モリテックス社製 4000シリーズ)をサンプルとして、各遠心力下における移動(沈降)速度vの違いを測定した。その測定結果を図27に示す。図27から理解されるように、直径の大きいビーズの方が移動速度が大きく、各ビーズの挙動を観察しながらサイズ選別が可能なことが実証された。
〈実施例2〉
実施例2は図28〜図30に示す細胞破砕装置を用いて細胞の破砕テストを行ったものである。図28のように流路幅が狭くなった部分で電極表面を覆い、非対称的な形状となって露出した不均一電界形成用電極による破砕構造を用い、図29のような駆動電極を形成した一対の溶液槽間の流路構造を用い、流路の略中央部zに図28の破砕構造を設けた。図30のように、幅10mm、長さ20mm、厚さ1mmのガラス基板上に図29の流路構造を4組設置し、各流路の略中央部には図28の破砕構造が設けられた。
実施例2は図28〜図30に示す細胞破砕装置を用いて細胞の破砕テストを行ったものである。図28のように流路幅が狭くなった部分で電極表面を覆い、非対称的な形状となって露出した不均一電界形成用電極による破砕構造を用い、図29のような駆動電極を形成した一対の溶液槽間の流路構造を用い、流路の略中央部zに図28の破砕構造を設けた。図30のように、幅10mm、長さ20mm、厚さ1mmのガラス基板上に図29の流路構造を4組設置し、各流路の略中央部には図28の破砕構造が設けられた。
図30の各流路に、植物(ズッキーニ)の果肉切片から酵素処理によって抽出した単離細胞を導入し、図28の電極に印加する電圧と周波数を変えて、細胞の破砕テストを行った。その結果を図31に示す。図31から、周波数の高い領域で細胞の破砕効率がよく、周波数としては0.1MHz程度以上が好ましいことが分かる。
以上のように、本発明を実施するための最良の形態及び実施例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能であり、かかる変形例も本発明の範囲内である。
1 流路基板
2 凹部
11 支持体
12 感光性樹脂層
21 溶液槽
23 流路
51 駆動用電極
52 不均一電界形成用電極
55 構造体
55a 尖部
31 ペルチェ素子
33 水冷器
1’ 流路基板
M マイクロポンプ
C 細胞
C1 内包物
AP 可視下遠心装置
2 凹部
11 支持体
12 感光性樹脂層
21 溶液槽
23 流路
51 駆動用電極
52 不均一電界形成用電極
55 構造体
55a 尖部
31 ペルチェ素子
33 水冷器
1’ 流路基板
M マイクロポンプ
C 細胞
C1 内包物
AP 可視下遠心装置
Claims (21)
- 細胞を破砕する細胞破砕装置において、
表面に沿って延びる溝状の流路を形成した流路基板と、
前記流路の途中に設けられ、前記流路中に流体と共に導入される細胞の通過を妨げる構造体と、
前記細胞に前記構造体を通過させる力を作用させることで、その細胞を破砕する駆動手段と、を備えることを特徴とする細胞破砕装置。 - 前記構造体は、前記流路の側壁から流路幅を狭くする方向に突出して形成されたことを特徴とする請求項1に記載の細胞破砕装置。
- 前記構造体は、少なくとも最も流路幅を狭くする部分において、その流路幅が前記細胞の径よりも小さくなるように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の細胞破砕装置。
- 前記構造体は、前記流路の底面から面外方向に延びる柱状部材として形成されていることを特徴とする請求項1に記載の細胞破砕装置。
- 前記構造体は、前記流路の側壁との間隔が前記細胞の径よりも狭く設定されていることを特徴とする請求項4に記載の細胞破砕装置。
- 前記構造体は、流路方向上流側に向かって尖った尖部を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の細胞破砕装置。
- 前記駆動手段として、前記流路中に不均一電界を形成する不均一電界形成手段を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の細胞破砕装置。
- 前記不均一電界形成手段は、前記流路に電圧を印加する非対称形状の1対の電極を備えて構成されることを特徴とする請求項7に記載の細胞破砕装置。
- 前記不均一電界形成手段は、前記細胞の細胞膜構造を破壊可能な周波数及び振幅の交流電界を形成するものであることを特徴とする請求項7又は8に記載の細胞破砕装置。
- 前記駆動手段は、
前記流路に導入される流体を駆動する流体駆動手段と、
前記流路のうち、前記構造体の近傍に前記不均一電界を形成する前記不均一電界形成手段と、を備えて構成されることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の細胞破砕装置。 - 前記流路基板を冷却する冷却手段を備えることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の細胞破砕装置。
- 前記冷却手段は、ペルチェ素子であることを特徴とする請求項11に記載の細胞破砕装置。
- 前記ペルチェ素子は、その吸熱面が前記流路基板の底面と接するように配置されることを特徴とする請求項12に記載の細胞破砕装置。
- 前記ペルチェ素子の放熱面を冷却する第2の冷却手段を設けたことを特徴とする請求項12又は13に記載の細胞破砕装置。
- 前記駆動手段としてマイクロポンプを備えることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の細胞破砕装置。
- 前記マイクロポンプは、前記流路に連通するポンプ流路を移動可能に配置された磁性体の物体及び非磁性体の物体と、前記ポンプ流路に沿って配置された複数の電磁石と、を備え、前記磁性体の物体に近い電磁石に電力を供給することにより、発生した磁力により前記磁性体の物体を、前記非磁性体の物体と共に、前記ポンプ流路内で所定の方向に移動させることにより、前記細胞を流体とともに前記流路において移動させることを特徴とする請求項15に記載の細胞破砕装置。
- 請求項1乃至16のいずれか1項に記載の細胞破砕装置に用いられることを特徴とする前記流路基板。
- 前記流路に電圧を印加する非対称形状の1対の膜状電極が形成されており、外部からの電力供給によって、前記流路中に不均一電界を形成することで、前記駆動手段を構成することを特徴とする請求項17に記載の流路基板。
- 前記流路が感光性樹脂で形成されていることを特徴とする請求項17又は18に記載の流路基板。
- 前記流路基板の流路で流体又は流体中の物質を移動させるために遠心装置に取り付けられて使用されることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の細胞破砕装置。
- 前記遠心装置は、流体を収容した前記流路基板を取り付けて所定の回転軸を中心に回転する回転盤と、前記流路基板内における流体中の物質の状態を目視により観察するための顕微鏡と、を具備し、前記流路基板内の流体又は流体中の物質に対して遠心力を作用させることで前記流体から所定の物質を分離または合成させる可視下遠心装置であることを特徴とする請求項20に記載の細胞破砕装置。
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- 2007-06-29 JP JP2007171770A patent/JP2008259490A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010279292A (ja) * | 2009-06-04 | 2010-12-16 | Toshiba Plant Systems & Services Corp | 細胞破砕装置および細胞破砕方法 |
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