JP2008257986A - 絶縁電線 - Google Patents

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Masayuki Iwata
誠之 岩田
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Abstract

【課題】より細径化が可能で、外形変動の少なく、電気特性の安定した絶縁電線を提供する。
【解決手段】中心導体11と、中心導体11の外周に配置された、複数の星型形状の樹脂21からなる絶縁層12とを備える絶縁電線である。より細径化が可能で、複数の星型形状の樹脂は、中心導体を中心として、周方向に均等に配置することにより、外形変動をより少なくすることができる。また、絶縁層12は、PFA、FEP、PTFEから選ばれるフッ素樹脂からなることにより、絶縁層12の比誘電率を低くすることができ、電気特性の安定した絶縁電線を提供することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、中心導体と、中心導体の外周に設けられた絶縁層とを備える絶縁電線に関する。
現在、情報端末の小型化、薄型化により、ケーブルの細径化が要求されている。そして、このようなケーブルの細径化に伴い、絶縁層の誘電率を小さくする必要が生じている。高周波のデータ信号は、ケーブルの表層を流れるため、良好な電気特性を得るためには、中心導体の外周に形成される絶縁層の誘電率を出来るだけ小さくすることが重要となる。基本的には、中心導体の周囲に何も配置しない状態が理想であるが、被覆層が存在しないと、中心導体を保護することができないため、絶縁層にはフッ素樹脂やポリオレフィン樹脂などの低誘電率樹脂が用いられることが多く、また、見かけの誘電率を下げるために発泡化する技術も用いられている。
しかしながら、発泡押出加工技術は、押出安定性の確保が難しく、特に、細径品を押出す場合、微妙に絶縁層の外径が変動してしまうので、これも電気特性阻害要因の一つとなっていた。その対策として、長手方向に連続した空隙部を有する絶縁層を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−249129号公報
上記従来例のように、押出成形によって長手方向に連続した空隙部を有する絶縁層の形成は、発泡押出技術同様、一様な空隙部面積の確保が困難であり、押出成形後の空隙部がつぶれ、外形が変動するという課題があった。
そこで、本発明は、上記の問題に鑑み、より細径化が可能で、外形変動の少なく、電気特性の安定した絶縁電線を提供することを目的とする。
本発明の特徴は、中心導体と、中心導体の外周に配置された、複数の星型形状の樹脂からなる絶縁層とを備える絶縁電線であることを要旨とする。
本発明の特徴に係る絶縁電線によると、より細径化が可能で、外形変動が少なく、電気特性を安定させることができる。
また、本発明の特徴に係る絶縁電線において、複数の星型形状の樹脂は、中心導体を中心として、周方向に均等に配置されていることが好ましい。
この絶縁電線によると、外形変動をより少なくすることができる。
また、本発明の特徴に係る絶縁電線において、絶縁層は、PFA、FEP、PTFEから選ばれるフッ素樹脂からなることが好ましい。
この絶縁電線によると、絶縁層の比誘電率を低くすることができる。
本発明によると、より細径化が可能で、外形変動の少なく、電気特性の安定した絶縁電線を提供することができる。
次に、図面を用いて、本発明の実施の形態を説明する。以下の面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
(絶縁電線の構造)
本実施形態に係る絶縁電線10は、図1に示すように、中心導体11と、中心導体11の外周に設けられた絶縁層12とを備える。中心導体11は、例えば、銅からなり、錫めっきや銀めっきを施した導線でも構わない。また、中心導体11は、可撓性を有するため、撚線であることが好ましいが、単線であってもよい。
絶縁層12は、中心導体11の外周に配置された、複数の星形形状の樹脂21からなる。ここで、複数の星型形状の樹脂21は、中心導体11を中心として、周方向に均等に配置されていることが好ましい。図1では、星型形状の頂点は、周方向に5つある。
また、この絶縁層12は、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素樹脂、あるいは、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)などのオレフィン樹脂からなる。このような絶縁層12の比誘電率は、2.5以下となる。
次に、絶縁層12の構造について、図2を用いて説明する。
絶縁層12は、図2(a)に示すような星型形状の樹脂21を捻ることにより、図2(b)に示すように、空隙部13を含む円柱型の占有体積を持つ形状となる。なお、星型形状の頂点は3つ以上であればよく、例えば、図3に示す4つの頂点を有する星型形状の樹脂22でもよい。また、絶縁層12を横断する断面において、円柱の空隙領域となる空隙部13の断面積は、10%以上あればよい。また、星型形状の樹脂21は、少なくとも3本配置されていればよい。
また、星型形状の樹脂21(22)を形成するためには、中心導体11の挿通用中心孔と、この中心孔の外周に隣接される複数の星型形状用孔とを有するダイスを用い、中心孔内に中心導体11を挿通させながら、中心孔及び星型形状用孔から溶融した樹脂を押出すことで形成することができる。
(ケーブルの構造)
次に、上述した絶縁電線10を用いたケーブルについて、以下に説明する。
図4は、図1に示す絶縁電線10の外周に外部導体14を配置し、更にその外周に外部絶縁層15を配置した同軸ケーブルである。外部導体14は、金属テープを巻きつけたものや、偏組、コルゲート層からなる。また、外部絶縁層15は、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などからなり、金属めっき可能な材料とすることが好ましい。なお、図4では、図1に示す5つの頂点を有する星型形状の樹脂21からなる絶縁層12を有する絶縁電線10を用いた同軸ケーブルについて示したが、例えば、図3に示す4つの頂点を有する星型形状の樹脂22からなる絶縁層12を有する絶縁電線を用いてもよいことは勿論である。
また、図5は、図1に示す絶縁電線10の周囲に、絶縁層12の落ち込み(剥がれ)を緩和するために、第二絶縁層18を形成した絶縁電線である。第二絶縁層18は、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素樹脂、あるいは、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)などのオレフィン樹脂などからなる。図5に示す絶縁電線を用いた同軸ケーブルを図6に示す。図6に示す、外部導体14及び外部絶縁層15は、図4における説明と同様である。
また、図7は、図5に示す星型形状の樹脂21からなる絶縁層12を有する絶縁電線10を2本まとめ、その外周に遮蔽層17を配置した、平行2心の構造を有するケーブル(いわゆるTwinax)である。中心導体11は、単線でもよく撚線でも構わない。また、信号線として、所定の間隔で平行に配置された2本の中心導体11の他、ドレイン線16を備えている。このドレイン線16は、例えば、銅からなり、錫めっきや銀めっきを施した導線であってもよい。遮蔽層17は、樹脂テープ(PETテープなど)の片側にアルミなどの金属を蒸着させたり、金属テープを張り合わせたりなどしたラミネートテープからなる押さえ巻き層である。なお、図7では、図1に示す5つの頂点を有する星型形状の樹脂21からなる絶縁層12を有する絶縁電線10を用いた2心ケーブルについて示したが、図3に示す4つの頂点を有する星型形状の樹脂22からなる絶縁層12を有する絶縁電線10を用いてもよいことは勿論である。
(作用及び効果)
本実施形態に係る絶縁電線10は、中心導体11の外周に配置された、複数の星型形状の樹脂21からなる絶縁層12を備える。このような絶縁層12を設けることにより、細径化が可能となり、外形変動が少ない。即ち、星型形状の樹脂21からなる絶縁層12を設けることにより、絶縁層12の誘電率が低くなり。電気特性を安定させることができる。
また、複数の星型形状の樹脂21は、中心導体11を中心として、周方向に均等に配置されていることが好ましい。このような絶縁電線10によると、外形変動をより少なくすることができる。
また、絶縁層12は、PFA、FEP、PTFEから選ばれるフッ素樹脂からなることが好ましい。このような組成の絶縁層を用いると、比誘電率を更に低くすることができる。
また、同軸ケーブルの外部絶縁層15を、金属めっき可能な材料にすることで、金属めっきにより外部絶縁層15を形成することができる。このような同軸ケーブルによると、押出成形に比べ、細径化することが可能となる。
(その他の実施形態)
本発明の具体例を上記の実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば、図4においては、遮蔽層17の内部にドレイン線16が存在するケーブル構造について説明したが、ドレイン線16は、遮蔽層17の外部に配置されても構わない。ドレイン線16はアース線であり、遮蔽層17と同電位であればよい。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。従って、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
以下、本発明に係る絶縁電線について、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、下記の実施例に示したものに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施することができるものである。
(実施例)
本発明の実施例に係る同軸ケーブルとして、図1に示す5つの頂点を有する星型形状の樹脂21からなる絶縁層12を有する絶縁電線を用いた、図4に示す同軸ケーブルを作製した。具体的には、中心導体11として、銀めっき軟銅撚線を用い、絶縁層12として、MFR0.1(g/10min)(測定条件:190℃、2.16kg)の低密度ポリエチレンを用いた。また、外部導体14として軟銅線編組を用い、外部絶縁層15としてポリエチレンを用いた。また、このとき、絶縁層12を横断する断面において、空隙部13の断面積は、絶縁層12の断面積の60%であった。その他の同軸ケーブルの設計値は、表1に示すとおりである。
Figure 2008257986
(比較例)
本発明の比較例に係る同軸ケーブルとして、絶縁層に、従来の発泡構造を用いた同軸ケーブルを作製した。具体的には、発泡核剤に窒化ホウ素(BN)を0.3wt%添加し、発泡は、窒素ガスによるガス発泡とした。このときの発泡度は、60%とした。その他の同軸ケーブルの組成については、実施例と同様であった。その他の同軸ケーブルの設計値は、表1に示すとおりである。
(評価)
実施例及び比較例に係る同軸ケーブルについて、VSWRを測定した。VSWR(Voltage Standing Wave Ratio)とは、電圧定在波比であり、回路やケーブルの高周波特性を示す指標の一つである。具体的には、機器内を高周波信号が通過するときに信号の一部が回路上で反射されてしまう度合いである。この値が1の時は全く反射のない理想的な状態であり、反射が大きいほど数値が大きくなり信号ロスなどが大きいことを示している。高周波信号を扱う機器にはこの数値ができる限り低いことが要求される。アンテナなどでVSWR値が1.5以下(反射電力が4%以下)であることが一つの目安とされている。
なお、定在波とは反射した波と元の波が干渉して節や腹は変わらず振幅のみが変化する波のことであり、この振幅の大きさによって反射の状態(インピーダンス:抵抗値)を知ることができる。例えばケーブルとアンテナとのインピーダンスのマッチングの度合いがVSWRで示される。
ここで、実施例に係る同軸ケーブルのVSWR値は、1.06であり、比較例に係る同軸ケーブルのVSWR値は、1.10であった(表1には不記載)。
このように、星型形状の樹脂21からなる絶縁層12を有する実施例に係る同軸ケーブルは、比較例に比べ、外形変動が少なく、電気特性が安定することが実証された。
実施形態に係る絶縁電線の断面図である(その1)。 図1に示す絶縁層の構造を示す図である。 実施形態に係る絶縁電線の断面図である(その2)。 実施形態に係る同軸ケーブルの断面図である(その1)。 実施形態に係る絶縁電線の断面図である(その3)。 実施形態に係る同軸ケーブルの断面図である(その2)。 実施形態に係る2心ケーブルの断面図である。
符号の説明
10…絶縁電線
11…中心導体
12…絶縁層
13…空隙部
14…外部導体
15…外部絶縁層
16…ドレイン線
17…遮蔽層
18…第二絶縁層
21、22…星形形状の樹脂

Claims (3)

  1. 中心導体と、
    該中心導体の外周に配置された、複数の星型形状の樹脂からなる絶縁層と、
    を備えることを特徴とする絶縁電線。
  2. 前記複数の星型形状の樹脂は、前記中心導体を中心として、周方向に均等に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の絶縁電線。
  3. 前記絶縁層は、PFA、FEP、PTFEから選ばれるフッ素樹脂からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の絶縁電線。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012216456A (ja) * 2011-04-01 2012-11-08 Hitachi Cable Ltd 高周波同軸ケーブル

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