JP2008249707A - 分析に用いるデバイスおよび方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、マイクロプレート用密封デバイス、密封方法および新規な用途に関する。
【解決手段】その密封デバイスは、反応容器の外部から生物学的反応容器の内部を分離するために用いられ、容器の開放端を覆うように加熱により容器に密接に付着可能な略平面のシール層を含む。本発明により、シール層は、標準的な熱循環プロトコール運転温度にて作動し、密封デバイスに接触して配置された熱循環装置の加熱したプラテンにより専ら達成可能な高温にて容器に熱作動結合を形成できるエラストマー材料から形成される。本発明は、マイクロプレートを有効に密封するための単純化されたデバイスおよび方法を提供する。
【選択図】図2
【解決手段】その密封デバイスは、反応容器の外部から生物学的反応容器の内部を分離するために用いられ、容器の開放端を覆うように加熱により容器に密接に付着可能な略平面のシール層を含む。本発明により、シール層は、標準的な熱循環プロトコール運転温度にて作動し、密封デバイスに接触して配置された熱循環装置の加熱したプラテンにより専ら達成可能な高温にて容器に熱作動結合を形成できるエラストマー材料から形成される。本発明は、マイクロプレートを有効に密封するための単純化されたデバイスおよび方法を提供する。
【選択図】図2
Description
本発明は、生物学的試薬を収納するために用いるマイクロプレートおよび種々の他の容器、特に、熱循環容器の密閉ならびにその熱循環容器からの蒸気の相互汚染および漏れを防止するのに使用する密封システムの開示に関する。特に、本発明は、請求項1の前文に記載の密封デバイス、請求項20の前文に記載の反応容器を密封する方法、および新しい用途に関する。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、定量的PCR反応および熱サイクルDNA配列決定のごとき分析技術の実行において、多数の生物学的試料を同時に熱循環させる。これは、グリッド様の幾何学的形状(geometry)において複数の個々の反応溶液を提供できる複数ウェル容器を用いて典型的に行われる。かかる容器は、「マイクロプレート」または「マイクロタイタープレート」として一般的に知られている。マイクロプレートのいくつかの変形は当該技術分野においてよく知られている。
分析物水溶液は、約35℃〜72℃の低温から通常90℃〜95℃である高温まで熱循環させる。典型的な分析において、最低および最高温度間の20〜50の熱サイクルが行なわれる。ある形態の密封デバイスがなければ、水相は、水蒸気の損失を介して容量的に急速に低下する。これは、反応成分の濃度を変更し、試験結果を無効にするか、さらに悪いことには反応を失敗させるかのいずれかである。従って、気密シールは反応空間を密封し、かつ蒸発を回避するために反応容器に提供される。密封デバイスのもう一つの機能は試料の相互汚染を防止することである。
非試料接触密封方法といわれる先行技術において、シールは反応容積を超える試料容器内部の空気の体積を捕捉するように反応容器に接触して配置される(もちろん、容器が液体で完全にはいっぱいではないと仮定する)。シール内部の蒸気の濃縮はシール(および容器の上方部分)を維持することにより防止される。これは、密封デバイスの上部表面への加熱したプラテン(platen)の適用によって典型的に達成される。加熱したプラテンは典型的に熱循環装置の一部であり、また、典型的には密封デバイスに機械的な型締力を適用できる。
非試料接触密封方法の一般的な実施において、プラスチックキャップが容器の個々の各反応空間(容器のチューブまたはウェルとも呼ばれる)の口に挿入される。容器はポリプロピレンまたは同様の材料で調製され得る。キャップは漏出を最小化するように通常ぴったり閉まる。しかしながら、かかるキャップの効率、利便性および費用の点からある種の不都合を有する。キャップがぴったり閉まり調製しなければならないので、それらは挿入および除去するのが難しい。最適機能のために、キャップは特殊工具を用いて挿入されなければならない。除去力は、試料の相互汚染を生じ得るエアゾールまたは液飛びを時々生成しかねない。加えて、キャップは、チューブ中の一貫した適合のために製造するのが難しく、比較的高価である。
先行技術における代替的な非試料接触密封方法は、ヒートシーラブルフィルム、カバーまたは粘着テープの使用であり、それらは、Warhurstらへの米国第6896848号、Atwoodらへの米国第5364790号およびHughartらへの米国第5324555号に記載されている。
粘着テープが有用であるためには、熱循環容器の口の周囲に気密シールを形成しなければならない。口表面は典型的には多少粗面であり、容器内の内圧、水蒸気の存在、ならびに多数の広範囲の温度変化を介する循環による容器およびテープに配置された応力を考慮して、必要とされる温度にそのシールを維持するのは難しい。加えて、複数容器配列において、密封システムにおける種々の構成要素間の高さ変動(密封システムは、熱サイクラーのウェル、容器自体、密封デバイスおよび上から圧力を適用するデバイスからなる)は、典型的には0.1mmを超えるまでに達し、それはテープの典型的な厚みであり、それによって、密封は十分には良好ではなく、テープの注意深い位置合わせおよび付着が必要とされる。
ヒートシールフィルムは、複数のウェルの熱循環容器上で典型的に用いられる。接着シールデバイスでのように、熱シールタイプ密封デバイスが有用であるためには、それらは熱循環容器の口の周囲に気密シールを形成しなければならない。典型的な先行技術の熱シールデバイスは、マイクロプレートの材料と適合性があり、プラスチック積層板層および容器の接触表面を溶かすのに十分な熱の適用によってプレートに結合し得る材料の層に積層された箔の耐熱性層またはポリマーフィルム裏層を有する積層フィルムとして典型的に構築される。典型的には、プラスチックのガラス転移相を超える高温が必要とされるために、容器への熱シールデバイスの結合は、典型的には、130℃およびそれを超える範囲内の高温で作動する特殊な機器を用いて独立操作として達成される。この操作に対していくつかの不都合がある。第1に、個別の操作として、プロセスは、実験室の時間および資源上の余分な負担を配置する非常に長い余分な工程を必要とする。第2に、必要とされる高温のために、密封される容器中で生物学的試料に熱損傷の高リスクが存在する。第3に、密封に先立って必要とされる処理の増加は、液飛び、試料汚染、試料相互汚染または他の処理関連の試料の損傷または損失を増加させる。第4に、結合操作は、個々のチューブの口でプラスチックを実際に融解および変形させる。小直径口開口部を有するマイクロプレート容器の場合には、融解による口の変形は部分的にチューブ口を不明瞭にしかねなく、今度は、熱循環後に試料の検索の難しさを増加させ、また、試料によって発光された蛍光シグナル光を検出し得る間隙を縮小し、それにより低減された定量的PCRアッセイ感度を危くする。従って、熱シールデバイスが有効な密封を提供するが、それらが容器の有効なシールを生成するために必要とする高温の結果としての多数の望ましくない特徴に苦しむことは明らかである。
米国第5721136号は、少なくとも2層を有する多層複合体シート材料による生化学反応用の容器の密封を教示し、一方の層は、その材料に対する強度および完全性を提供し、第2の層は、比較的厚く、圧力下で変形可能な物質を含み、生化学反応のために容器と接触し密封する粘着性表面を持ち、この層は、典型的にはシリコーンであり、層の粘着性(tack)を増加させる化合物を含み得る。この溶液は、それが容器上に単に配置され、次いで熱循環装置に直接的に配置され得るので、使用の容易さの利便性を提供する。ガスケット様シリコーンパッドを変形する圧力に依存するので、それは機能的であるためにいずれの前駆熱シール工程も必要としない。しかしながら、この方法は、圧力ガスケットタイプのアプローチであり、それはシールを生成するのに十分に材料を変形するために、熱サイクラー装置の蓋プラテンによる圧力の適用を必要とする。加熱したプラテンにより適用された圧力の量および密封デバイス表面を横切る圧力の均一性は、熱循環装置の製造者間で非常に変動する。この変動性は、シーラー変形、結果的に、ウェル毎の密封効率における不一致を生成する。しばしば、容器周辺の周囲の試料ウェルは最もネガティブに影響される。蒸気圧は、熱循環中にチューブに構築され、その結果、最初のわずかな熱サイクル中にチューブからの蒸気の短い逸脱または「バープ(burp)」が生じる。ユーザー規定可能なプラテン圧力設定を可能とする熱循環装置を有するユーザーは、100%の密封を達成するために十分にシーラーを変形する目的で時々圧力を増加させるであろう。圧力上昇の結果、しばしば、容器の口に、「クッキー抜き型」効果を生じ、それにより、エラストマー・シーリング材のプラグが、容器からの密封デバイスの除去後にチューブの口に残される。これは、そのプラグがウェル開口部を塞ぎ、それにより試料アクセスを防止するために明らかに望ましくない。
米国第5721136号は、詳細に他の先行技術の問題を記載し、その部分につき、ここに出典明示して本明細書の一部とみなす。
本発明の目的は、上記の問題の少なくともいくつかを克服する、特に、単純化された方法で容器に結合し得る熱シールデバイスを提供することである。
本発明の目的は、熱循環装置の加熱したプラテンが密封デバイスに接触して配置され、微生物学的な熱循環装置の高温措置(regime)、すなわち、好ましくは約85℃〜110℃、すべての場合に120℃未満に加熱された場合、容器に対して化学結合を形成できるシール層を供給することにより達成される。かくして、熱循環についての有効でかつ安定な(結合した)密封は、シール層の材料特性を用いて、相当に高温にて行うことができるが、個別の高温結合装置は必要ではない。マイクロプレートは、ポリプロピレンで典型的に調製され、それにより、前記の温度でのポリプロピレンに対するデバイスの少なくとも結合性は、多数の適用に重要である。
1つの具体例により、密封デバイスは、圧力の開放端に対して配置されるシール層を含み、シール層は、容器の形と密接に一致し、容器に結合し、冷却後にその形を保持するように加熱および圧力下で変形できる熱可塑性エラストマー(TPE)で調製されている。
第1の主要な具体例において、密封手段は、シール層で実質的に構成される。これは、密封手段が、出荷および取扱い中のシール層を保護するためのならびに熱循環装置に用いられるまで汚染物質の付着を防止するシール層上の障壁を取り外せるように形成するように、一側またはその両側上に除去可能な剥離ライナーを含むオプションを排除しない。好ましくは、シール層は光学的に透明であり、それが最大の密封/結合面積のための容器幾何学的形状に一致するのを可能とする特性を所有し、容器に結合して、シールを達成する。
第2の主要な具体例において、密封手段は、裏打ち(backing)層およびシール層を含む複合材料から形成される。これは、より詳細に以下に記載されるようなさらなる利点を供する。
シール層は、熱可塑性物質で最も有利に調製される。少なくともスチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体は、適当な層を形成するのに望ましい特性を有することが判明したが、当業者は他の機能性組成物も見出すこともできる。
1つの有利な具体例により、シール層は、ポリプロピレン系分子構造を有する。かかる熱可塑性物質において、架橋は一時的に壊れ、いくつかの自由分子が比較的低温下で容器のポリプロピレンと弱い化学的結合の形成するのを可能とする。冷却に際して、材料は、再び架橋され、従って、それがシールプロセス中に呈した形を保持する。
特に有利な具体例において、シール層はいずれの添加された粘着性を増加する化合物もなく、層の基材、それ自体が、プラスチック容器との結合を形成できる。
より具体的には、本シーラーは、請求項1の特徴付け部分において言及されるものにより特徴付けられる。
本発明による方法は、請求項20の特徴付け部分で言及されるものにより特徴付けられる。
その使用は請求項23において特徴付けられる。
本発明の重要な利点は、それが、マイクロプレートのごとき試料容器を用いて、アッセイを行なう際に個別のシール結合段階の必要性を除去するということである。すなわち、利点は、ホットプレートを利用でき、前記のように、すべての場合において、試料蒸気の濃縮を防止するプロセスの間に容器に配置される。結果的に、試料の汚染の危険性は低減され、機器費用は減少し、アッセイの調製に必要とされる時間が短縮される。
かくして、ニードルおよび隔壁の概念を用いる試料に一貫してアクセスする能力と一緒に、米国第5721136号の密封デバイスの使用および除去の容易さ、熱シールシステムのシール有効性、および透明な熱シールまたは粘着性フィルムの光学的透明さを提供する容器を密封する技術についてのこの分野における必要性がある。
本発明のさらなる目的およびゴールはその有利な具体例によって得られる。
PCR法によってDNA増幅を行なう場合、用いた熱循環装置の加熱した頂部プラテンは、容器の頂部に配置された密封デバイスとの連続的な接触において保持されることは注目されるべきである。プロセス中に、プラテンの温度は、典型的には用いた温度サイクル配列に続いて上昇したままとされる(プラテンの温度は密封デバイスに恐らく発生した温度勾配を補う標的温度を超えて数度上に維持できる)。容器内の試料の水相の沸騰、そこに含まれた酵素または生体分子の乾燥、または増幅反応の停止を回避するために、標準的なプロトコール温度で作動する加熱したプラテンの温度は少なくとも120℃またはそれを超える臨界温度を有する従来の密封デバイスの強固な結合を開始するのに十分高くできない。
他方において、米国第5721136号のシリコーン含有密封デバイスは、本発明においてのように、容器への安定した熱開始結合を形成しないが、本発明によるデバイスと異なり、粘着性ガスケットと同じくらい純粋に作動する。
本発明の1つの具体例により、定量的PCR検出に有用な波長における光透過性の光学的特性を供しつつ密封する密封デバイスが提供される。
もう一つの具体例により、密封デバイスは、密封デバイスの除去の間に試料の相互汚染または損失を引き起こすことなくいずれかまたは全てのバイアルへのアクセスを可能としつつ、熱循環を通して効率的な方法でテスト容器を密封する。
さらなる具体例により、貫通可能な自己回復/密封隔壁として機能でき、それにより、容器から密封デバイスを取り除くことなくして、試料へのアクセスを可能にする密封デバイスが提供される。
透明である、すなわち、ある種の波長の光を通過するであろうこれらのシーラーのバージョンは、定量的PCR適用に特に有用である。
定量的PCR適用について、米国第5721136号に記載された密封システムのもう一つの望ましくない特徴は、密封デバイスを定量的PCR適用に有用とさせない定量的PCRプロトコールに利用された波長での密封デバイスによる光の減少した伝達である。
本密封デバイスは、かかる物理的寸法で、熱循環装置のラックまたは温度調節ブロック内に配置した個々のテスト容器の頂部表面の高さにおける変形の存在にもかかわらずシールするかかる材料を用いて製造できる。
次に、本発明の具体例および利点は、添付図面を参照してより詳しく記載され、ここに、
図1aは不等角投影図における1層の密封デバイスを示し、
図1bは不等角投影図における2層の密封デバイスを示し、
図2は、模式的側面図における熱サイクラー中の同時のマイクロプレートの密封およびレンズ成形の具体例を示し、
図3は、マイクロプレート上に形成されたシールおよびレンズ構造の具体例を示し、および
図4は、詳細図におけるマイクロプレート上のレンズ構造を示す。
図1aは不等角投影図における1層の密封デバイスを示し、
図1bは不等角投影図における2層の密封デバイスを示し、
図2は、模式的側面図における熱サイクラー中の同時のマイクロプレートの密封およびレンズ成形の具体例を示し、
図3は、マイクロプレート上に形成されたシールおよびレンズ構造の具体例を示し、および
図4は、詳細図におけるマイクロプレート上のレンズ構造を示す。
少なくとも1つの反応容器に含まれた熱循環反応材料のための装置に用いた密封システムについての改良が本明細書に開示され、その少なくとも1つの反応容器は、閉端および開放端を有する。反応容器は、典型的にはグリッド中で整列された複数の個々の試料チューブを含む二次元のマイクロプレートの形態、または一次元の微小ウェルストリップの形態である。装置は、反応容器と、さらにより重要なことには、熱循環が開始される前に各チューブを個々に密封するために容器上に配置された密封デバイスと接触させることができるように、その閉端にて少なくとも1つの反応容器を支持するための温度調節ブロックおよび少なくとも1つの反応容器の開放端上に配置された平面ホットプレートをさらに含む。
本発明の好ましい具体例により、密封デバイスは、容器の開放端を覆うように加熱により容器に密接に付着可能な略平面のシール層を含み、そのシール層は、120℃未満、好ましくは、85℃〜110℃の高温でポリプロピレン製容器への熱作動化学結合を形成できるエラストマー材料から形成される。
好ましい具体例において、密封デバイスは、
− 反応容器の開放端と接触し、開放端をシールする低温整合性(conformable)材料から形成された少なくとも1つの第1の略平面層、
− 第1の層に支持を供する材料から形成された第2の略平面層、ここに、第1および第2の層は一緒に連結して、単一の多層複合体を形成する
ことを有する反応容器の開放端の密封のための多層複合材料を含む。
− 反応容器の開放端と接触し、開放端をシールする低温整合性(conformable)材料から形成された少なくとも1つの第1の略平面層、
− 第1の層に支持を供する材料から形成された第2の略平面層、ここに、第1および第2の層は一緒に連結して、単一の多層複合体を形成する
ことを有する反応容器の開放端の密封のための多層複合材料を含む。
第1の層は、OOスケール上のショアー30およびAスケール上のショアー43間の硬度を有する材料で好ましくは構成される。
作動中に、密封デバイスは、シール層が容器と接触し、それにより、デバイス表面が平面ホットプレートの圧力によって開放端上で保持される場合にシール層が反応容器の開放端に一致、結合、密封するように、平面の加熱したプラテンおよび少なくとも1つの反応容器の開放端の間に配置される。このプロセスは低温熱シールと呼ばれ、温度は典型的には従来の熱シール方法よりも少なくとも20℃低い。
第2の層は好ましいが、一般的に言えば任意である。すなわち、密封デバイスは第1の層のみで構成し得る。図1aは、この概念に対応する第1の主要な具体例によってパッド10aを概略的に示す。少なくとも1つの反応空洞を含む反応容器の開放端に接触および密封するための材料の層12aが提供される。その層を適応させて、標準的な熱循環プロトコール運転温度にて熱循環装置のプラテンの熱だけを用いて容器(幾何学的形状)に一致させ、熱シールさせ、それにより、容器の効果的なシールを形成する。
さらに、シール層は、それが容器形状に一致し、それに対する密接な結合を形成するように、熱循環装置加熱プラテンの標準運転温度、典型的には、85℃〜110℃にて十分に軟化するであろう。
実質的に全体のシール層を形成するのに含まれるまたはそのための適当な材料の例は、限定されるものではないが、熱可塑性ゴム(またはエラストマー、TPE)として知られている化合物のファミリー、最も有利にはスチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体を含む、特に、ブロック共重合体TPEを含む。かかる材料は、例えば、GLS Corporation, McHenry, ILによって処方でき、ショアー硬度スケールで30 OOからショアー硬度スケールで43 Aの範囲にある硬度で処方し得る。言及されたように、必要な性能特性を所有する代替材料から調製されたシール層は、本発明の範囲内で同様に用いることができる。シール層、例えば、ポリエチレンフィルムから容易に除去できる除去可能な剥離ライナーは、シール層に最初に付着し得る。
すなわち、好ましい具体例により、熱可塑性エラストマーの可逆的架橋分子構造がシールに利用される。シリコーンゴムおよび押出し中に共有結合で架橋した他の熱硬化性の材料のごとき従来のゴムとは対照的に、これは、容器へのシールの同時の有効な一致および結合の利点を提供する。可逆的な架橋は、それらを一緒に結合するポリマー鎖間の非共有または二次的相互作用を用いる。これらの相互作用は、水素結合およびイオン結合を含む。架橋を形成するために非共有相互作用を用いると、材料の加熱の結果、エラストマーの架橋および流動が壊れ、同様の分子構造の対材料との弱い化学的結合の形成さえ壊れる。これは、材料が処理されるのを可能とし、本願で最も重要なことには、種々の対合幾何学的形状に流動および適合し、ならびに循環容器に結合するのを可能とする。材料が再び冷却される場合、架橋は材料中で再形成され、シールがその新しい形を保持することを可能にする。
熱可塑性成型および押出しプロセスを、それらが架橋工程を回避し、非常に速いサイクル期間を達成できるために熱可塑性エラストマーに用いた。例えば、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体シールパッドは、熱循環器具の加熱したプラテンの熱および圧力下、20秒未満で再形成、結合および密封できる。
2つの分子アプローチを用いて、TPE、アイオノマーおよびブロック共重合体を処方し、ブロック共重合体アプローチは、それらの低温一致性および良好な結合特性によりこの文脈においてより有利である。ブロック共重合体は、コモノマーがポリマー骨格鎖の長いセクションに分離された共重合体である。ブロックと呼ばれるこれらの各セクションはいわばホモポリマーのようなものである。ブロック共重合体である非常に共通した熱可塑性エラストマーは、SBSゴムである。SBSが短鎖のポリスチレンに続いて、長鎖のポリブタジエンに続いて、もう一つの短鎖のポリスチレンから構成されるために、SBSはスチレン−ブタジエン−スチレンを表わす。
また、1種だけのモノマーから調製されたブロック共重合体を用いて、適当な熱可塑性エラストマーを調製することが可能である。例えば、異なる立体規則性のブロックを有するポリプロピレンを調製できる。メタロセン触媒重合として知られるプロセスによって生成されたかかるポリプロピレンは、アタクチックブロックおよびアイソタクチックブロックを所有するであろう。これらのブロックは、それらがSBSゴム中で行うと同時に加熱された場合、分離する。アイソタクチックブロックが結晶を形成するが、アタクチックブロックは非晶質であるために、それらは分離する。従って、SBSゴムが作用するのと同じ理由のためにそれはエラストマーとして挙動する。同じ理由のために、ポリプロピレンブロックが分離し、従って、それが自由であるが多少反応性であるという事実は、材料が対となるポリプロピレン表面と弱い化学的結合を形成することを可能にする。
好ましい具体例により、シール層は、操作温度および圧力下の熱循環装置の加熱したプラテンに付着するだけでなく、貫通可能でかつ弾力性があり;すなわち、ニードルを用いて材料の注入または除去のための自動閉鎖(セルフシール)隔壁として機能する能力を有する特性を供する処方のものである。これは、多数の熱可塑性エラストマーの固有特性であり、この文脈においてそれらの使用を促す。
図1bによって示されたもう一つの具体例において、密封デバイス10bは、シール層12bに加えて、大きな耐熱性がないいずれかの物質からなり得、定量的PCRに利用された光の波長の十分な伝達を可能とする光学的特性を有する裏当て層14bを含む複合材料よりなる。実施例は、これらのポリエチレンフィルム、シクロオレフィン共重合体フィルムおよび積層板ならびに他の材料を含む。シール層12bは、(それはシート形態で積層し得るが)支持フィルム上で典型的に注入成型され、比較的厚く、例えば、0.1mmおよび2mmの間である。
また、第2の層14bは、貫通可能な隔壁として複合デバイスの機能化を可能にする材料から形成され得るか、または第2の層14bは貫通を可能にするためのシール層12bから除去できる。
先の具体例の多層複合材料の製造において、シール材12bはフィルム裏当て層上に過成型し得る。シール層12bの厚みおよび硬度を適当に調節することによって、信頼性のあるシールは、広範囲の種々の容器で形成できる。シール層12bの厚みは、ラックもしくは温度調節ブロックおよび密封システムの他のすべての構成要素に配置した容器の最大の期待された高さ変動を補うのに十分に大きくすべきである。同時に、材料が流動して適合するので、それが容器と適合する点で密封デバイス10bの縁部から過剰に染み出るように、過度の熱障壁または過剰の材料を形成するほど厚くてはならない。裏打ち層14bがシール層から除去し得るように、裏打ち層14bへのシール層12bの付着は調節でき、試料はシール層12bの貫通により回収される。あるいは、裏打ち層は、複合材料層が容器内の試料へのアクセスのために貫通し得るような材料の厚みおよび強度のものであり得る。
密封デバイス10bの図1bにより模式的に示された代替的な第2の具体例において、2つの個別の熱可塑性物質12b、14bの複合シーラーは、堅いエラストマー材料の裏層14bが最初の注入ショットで形成され、第2の熱軟化/熱結合可能なシール層12bが第2の注入ショットにおいて形成されるように、2つのショット射出成形のごときプロセスによって形成し得る。次いで、鋳型を回転または操作して、堅い材料の最初のショット上に注入過鋳型の第2の材料を可能とし、それにより、その整合的/結合可能なシール層12bを形成する。得られた生成物は、熱循環プロトコール中に使用/除去の容易さ、光学的透明性、整合性、および容器に結合する能力を所有し、熱循環の低温度加熱プラテンならびに貫通可能な自己回復隔壁として機能する質だけを利用する。この特許に記載された構成は、積層のごとき代替的な技術により達成でき、本発明の範囲内にあることに注目することは重要である。
図2は、サーモサイクラー装置の加熱したプラテン28およびマイクロプレート25の間に位置した密封デバイス20を示す。プラテンは、シャフト29または他の適当な移動手段の援助によって垂直に移動可能である。容器は、デッキ部分26および、その開放端が密封デバイス20に直面するようになる複数のウェル部分27を含む。シールを形成するための適当な変形は、材料の硬度に依存して、(顕微鏡ガラスサイズのマイクロプレートにつき)5〜100ニュートンの力の下で起こるであろう。
本具体例は、隔壁機能性、および所望により光学的透明性という利点を提供しつつ、複数バイアルまたは複数ウェルの設定において、有効に密封し、個々の試料の相互汚染を防止する双方のデバイスを提供することを望む当業者に関連する問題につき単純であるが的確な解決策を提供する。加えて、複数層の複合体シート材料は、テープの多数のキャップあるいは細片に対立して、部品として使用後に廃棄されるのに十分に低費用で製造できる。
本発明による密封デバイスの平面形状は、典型的には、確立したマイクロプレート基準(SBS基準)に準拠するか、またはそのフラクションであるマイクロプレートのフットプリントに対応する。特に、デバイスは、約25mm×76mmの顕微鏡ガラスサイズのプレートによく適することが判明した。かかるプレートは、特許出願PCT/FI2006/050379に開示されている。
1つの具体例により、密封デバイスは、密封する能力に加えて、各試料ウェルで集光幾何学的形状を形成する能力を有する。かくして、発明者らは、0.5mm〜3.00mmの厚みに及ぶ透明な熱可塑性ゴムパッドを利用する反応容器を密封する新規な方法をここに教示し、熱可塑性パッドは、熱循環器具加熱蓋プラテンの加熱および温度の存在下で、器具の圧力および温度下の密封チューブの内径によって規定された領域において一様に変形し、かかる変形は、各ウェル上の平行/集中幾何学的形状(光学レンズ)を形成するように機能する。前記の光学的に透明または半透明の熱可塑性ゴムは、この目的のために良好に適する。
依然としてもう一つの具体例において、ポリエステル層のごときコンプライアント(compliant)フィルム層をパッドの両側で有することもでき、そのフィルム層は、インターフェース層として作用し、ならびに変形拘束として作用する方法によりパッドの全体の可能な変形を規定する。
1つの具体例により、配置において試料容器ウェルの整列に対応する穴の整列がある材料の下方のフィルムまたは層が提供される。フィルムまたは層の穴は、歪んだレンズの位置を規定するように機能し、レンズの整列内の個々のレンズの幾何学的形状の形成に大きな均一性を与える目的を供給できる。
前記または組み合わせたまたは変形した具体例を用いると、ほとんどいずれのタイプのレンズも本方法によって形成できる。この文脈において最も有用なレンズは、図3aおよび3bに示された平凸および両凸レンズを特に含めた集光レンズである。図3aは、平面のプラテン38を用いて形成された平凸レンズを示す。図3bは、上方へもパッド材料の突起を可能にする適当な凹部を含むプラテン38によって形成された両凸レンズを示す。
定量的PCR分析を調製するための同時の密封およびレンズ成形は、
− 少なくとも1つの試料空間を含む容器を供し、
− 容器上に平面の密封デバイスを配置して、少なくとも1つの試料空間を覆い、次いで
− 少なくとも1つの試料空間につき光屈折幾何学的形状を個々に形成するように、密封デバイスを変形させるために圧力を密封デバイスに適用することを含む。
− 少なくとも1つの試料空間を含む容器を供し、
− 容器上に平面の密封デバイスを配置して、少なくとも1つの試料空間を覆い、次いで
− 少なくとも1つの試料空間につき光屈折幾何学的形状を個々に形成するように、密封デバイスを変形させるために圧力を密封デバイスに適用することを含む。
かくして、レンズ成形は、サーモサイクラー装置の加熱した頂部プラテンによって供された80℃およびそれを超える高温、特に、85℃〜110℃においても行なわれる。
形成された光屈折幾何学的形状は、容器の上部表面の試料空間開口部の末端により少なくとも部分的に典型的に規定される。しかしながら、形成もされたそれらは、少なくとも部分的に密封デバイスに含まれた、拘束手段によって、および/または容器に対して密封デバイスをプレスするために用いた手段の表面幾何学的形状によって少なくとも部分的に定義される。
定量的PCR分析の実行は、
− 各試料につき光屈折幾何学的形状を個々に形成できる密封デバイスで生物学的試料を含む試料容器を密封し、ここに、密封デバイスは、該光屈折幾何学的形状を形成するための密封段階において容器に対してプレスされ、
− 容器に含まれた試料をPCRプロトコールによる温度循環措置に付し、次いで、
− 該密封デバイスを介して光学的に試料からの情報を得る
ことにより行うことができる。
− 各試料につき光屈折幾何学的形状を個々に形成できる密封デバイスで生物学的試料を含む試料容器を密封し、ここに、密封デバイスは、該光屈折幾何学的形状を形成するための密封段階において容器に対してプレスされ、
− 容器に含まれた試料をPCRプロトコールによる温度循環措置に付し、次いで、
− 該密封デバイスを介して光学的に試料からの情報を得る
ことにより行うことができる。
本発明はある程度の特殊性を持ってその好ましい形態にて記載されているが、本明細書に特許請求された発明の精神および範囲から逸脱することなくして、好ましい形態が例示的にだけなされ、パーツの組合せおよび配列、ならびに他のデバイスのパーツ内またはパーツとしての機能の組合せが用いられると本開示から理解される。
また、標準的なPCRプロトコールを行なう熱サイクラーで生成できるより高温を必要とする熱可塑性エラストマーがあり、それにより、個別の密封デバイスは用いられることが必要されるか、または熱サイクラーが、PCRプロトコールの通常温度範囲外で操作されることを必要とする。これらのエラストマーは、弾性変形および結合性に関して本発明の低温シーリング材に同様の利点を提供し得るが、しかしながら、それはこの特定の適用の焦点ではない。
Claims (23)
- ポリプロピレン製反応容器の開放端を覆うように加熱により容器に密接に付着可能な略平面のシール層を含む、ポリプロピレン製反応容器の内部をその反応容器の外部から分離するための密封デバイスであって、
シール層が、標準的なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プロトコール運転温度にて作動し、かつ密封デバイスと接触して配置される熱循環装置の加熱したプラテンにより専ら達成可能な高温にて容器に熱作動結合を形成できるエラストマー材料から形成されることを特徴とする該密封デバイス。 - シール層が、85℃〜110℃の温度範囲内の容器に結合できる材料から形成された請求項1記載の密封デバイス。
- シール層が、容器表面の形への層の密接な適合を可能にするために弾性変形可能である請求項1または2記載の密封デバイス。
- シール層が、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体を好ましくは含む熱可塑性エラストマー、特に、ブロック共重合体熱可塑性エラストマーで実質的に構成される請求項1〜3のいずれか1記載の密封デバイス。
- シール層が、異なる立体規則性のブロックを有するブロック共重合体を含む請求項1〜4のいずれか1記載の密封デバイス。
- 該シール層で実質的に構成される請求項1〜5のいずれか1記載の密封デバイス。
- セルフシール隔壁として機能するように該デバイスを通過し、続いて回収されるニードルにより試料アクセスを供する特性を有する請求項1〜6のいずれか1記載の密封デバイス。
- シール層が光学的に透明である請求項1〜7のいずれか1記載の密封デバイス。
- シール層が、厚み約0.05mm〜3.0mmである請求項1〜8のいずれか1記載の密封デバイス。
- 第1の層および、それに適用され、第1の層に裏当てを供する少なくとも1つの第2の層を含み、第1の層が該シール層であり、層が一緒に結合して、多層複合体を形成する請求項1〜9のいずれか1記載の密封デバイス。
- 第2の層が光学的に透明である請求項10記載の密封デバイス。
- 第2の層が、箔のフィルムまたはポリマーフィルム、あるいはこれらの積層板である請求項10または11記載の密封デバイス。
- 第2の層が、水を実質的に通さない材料で調製された請求項10〜12のいずれか1記載の密封デバイス。
- 第2の層が柔軟性材料で調製された請求項10〜13のいずれか1記載の密封デバイス。
- 第2の層が、ポリエステルまたはシクロオレフィン共重合体のフィルムから形成された請求項10〜14のいずれか1記載の密封デバイス。
- 第2の層が厚み約0.03mmから0.1mmの間にある請求項10〜15のいずれか1記載の密封デバイス。
- 標準的な熱循環プロトコール運転温度で作動した加熱したプラテンに付された場合に、第2の層が、その機械的特性を維持するために十分な硬度および耐熱性を持つ熱可塑性ゴムで構成され、そのゴム層が好ましくは厚み0.5mmおよび2.0mmの間にある請求項10〜16のいずれか1記載の密封デバイス。
- 第2の層が、シール層に除去可能に結合した請求項10〜17のいずれか1記載の密封デバイス。
- シール層が、OOスケール上のショアー30およびAスケール上のショアー43間の硬度を有する材料で調製された請求項1〜18のいずれか1記載の密封デバイス。
- 容器上に平面密封デバイスを配置し、次いで
それを加熱手段と接触させることにより密封デバイスを加熱することにより密封デバイスをその容器に結合させることを含む、試料から蒸気の濃縮を防止するための加熱したプラテンを含む熱循環装置を用いるPCRプロセスに付される少なくとも1つの試料を含む生物学的反応容器を密封する方法であって、
請求項1〜19のいずれか1記載の密封デバイスを用い、次いで
該結合が該熱循環装置を用いて行われ、加熱手段が、熱循環装置の該加熱したプラテンであることを特徴とする該方法。 - 加熱したプラテンが、密封デバイスのシール層を85℃〜110℃の温度措置まで加熱させる温度に加熱される請求項20記載の方法。
- PCRプロセスが、熱循環装置から容器を取り除くことなく、結合後に行なわれる請求項20または21記載の方法。
- シール層を反応容器に結合するための熱循環装置の加熱可能な頂部プラテンの使用。
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