JP2008248372A - 修飾金属ナノ粒子及びその製造方法 - Google Patents

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哲朗 真嶋
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Abstract

【課題】本発明は、新規な金属ナノ粒子の修飾方法、及び該方法を用いて得られる修飾された金属ナノ粒子を提供する。
【解決手段】固体媒体中にリガンドで修飾された金属ナノ粒子を形成する方法であって、(1)光励起によってラジカルを生じるラジカル前駆体、該ラジカルにより還元される金属イオン又は金属錯体(M1)、及び該ラジカルにより還元されず形成された金属ナノ粒子の表面に吸着する性質を持つ金属イオン(M2)を含む固体媒体に、励起光を照射して、金属イオン又は金属錯体(M1)に由来する金属ナノ粒子を作成し、その表面に金属イオン(M2)が吸着した複合金属ナノ粒子を形成する工程、及び(2)該複合金属ナノ粒子を含む固体媒体にキレート部位をもつリガンドを加え、複合金属ナノ粒子にリガンドを配位させる工程、を含む形成方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、光化学反応を用いて、固体媒体中に修飾された金属ナノ粒子を製造する方法に関する。
特異的な光化学的、電気化学的性質などから金属ナノ粒子への関心は益々高まっている。金属ナノ粒子に関する研究は学術的な重要性に留まらず、その応用面での発展が特に期待されている。例えば、リガンドにより表面修飾された金属ナノ粒子は、センシングデバイス、光捕集アンテナ、超構造形成のためのビルディングブロックとして大きな注目を集めている。
金属ナノ粒子の表面修飾方法としては、金−チオール間の特異的相互作用を用いるもの、金属ナノ粒子と修飾する分子との静電的相互作用を用いるもの、高分子によるレイヤーバイレイヤー法を用いるもの等の様々な方法が開発されている(例えば、非特許文献1、2等)。
金属ナノ粒子、特に金ナノ粒子について示唆されている様々な応用可能性は、これらの多種多様な表面修飾方法の開発によるところが大きい。そのため、新たな表面修飾方法の開発は、金属ナノ粒子のさらなる応用の可能性を広げることが期待される。
Acc. Chem. Res. 2003, 36, 888-898 Nano Lett. 6 (3), 530 -536, 2006.
本発明の目的は、新規な金属ナノ粒子の修飾方法、及び該方法を用いて得られる修飾された金属ナノ粒子を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決するため鋭意研究を行った結果、金属ナノ粒子表面に静電的に吸着された金属イオンに、キレート部位をもつリガンドを配位させることにより、新規な金属ナノ粒子修飾が可能であることを見出した。具体的には、金属ナノ粒子の凝集抑制効果のある媒体中に複合金属ナノ粒子を形成し、さらに金属イオンと相互作用するリガンドをドープすることにより、修飾された金属ナノ粒子が形成できることを見いだした。かかる知見に基づき、さらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の修飾された金属ナノ粒子を形成する方法、及び該形成方法により形成された修飾された金属ナノ粒子に関する。
項1. 固体媒体中にリガンドで修飾された金属ナノ粒子を形成する方法であって、
(1)光励起によってラジカルを生じるラジカル前駆体、該ラジカルにより還元される金属イオン又は金属錯体(M1)、及び該ラジカルにより還元されず形成された金属ナノ粒子の表面に吸着する性質を持つ金属イオン(M2)を含む固体媒体に、励起光を照射して、金属イオン又は金属錯体(M1)に由来する金属ナノ粒子を作成し、その表面に金属イオン(M2)が吸着した複合金属ナノ粒子を形成する工程、及び
(2)該複合金属ナノ粒子を含む固体媒体にキレート部位をもつリガンドを加え、複合金属ナノ粒子にリガンドを配位させる工程
を含む形成方法。
項2. 前記ラジカル前駆体が、ビスアリールケトン類、アリールアルキルケトン類、ベンゾイン、ベンジル、又はキノン類である項1に記載の形成方法。
項3. 前記励起光が、レーザー光又はランプ光であり、かつ、ラジカル前駆体を励起し得る波長を有する項1又は2に記載の形成方法。
項4. 前記金属イオン又は金属錯体(M1)を構成する金属が、金、銀及び白金からなる群より選ばれる少なくとも1種であるである項1、2又は3に記載の形成方法。
項5. 前記金属イオン(M2)を構成する金属が、カドミウム、マンガン及びニッケルからなる群より選ばれる少なくとも1種であるである項1、2、3又は4に記載の形成方法。
項6. 前記固体媒体が樹脂媒体である項1〜5のいずれかに記載の形成方法。
項7. 前記項1〜6のいずれかに記載の形成方法により媒体中に形成されたリガンドで修飾された金属ナノ粒子。
項8. リガンドで修飾された金属ナノ粒子を含む固体媒体を製造する方法であって、
(1)光励起によってラジカルを生じるラジカル前駆体、該ラジカルにより還元される金属イオン又は金属錯体(M1)、及び該ラジカルにより還元されず形成された金属ナノ粒子の表面に吸着する性質を持つ金属イオン(M2)を含む固体媒体に、励起光を照射して、金属イオン又は金属錯体(M1)に由来する金属ナノ粒子を作成し、その表面に金属イオン(M2)が吸着した複合金属ナノ粒子を形成する工程、及び
(2)該複合金属ナノ粒子を含む固体媒体にキレート部位をもつリガンドを加え、複合金属ナノ粒子にリガンドを配位させる工程
を含む形成方法。
項9. 前記項8に記載の製造方法により製造されるリガンドで修飾された金属ナノ粒子を含む固体媒体。
項10. 金属ナノ粒子の表面に該金属ナノ粒子と異なる金属イオンが吸着してなり、該金属イオンにキレート部位をもつリガンドがキレート(配位)してなるリガンドで修飾された金属ナノ粒子。
本発明の方法によれば、金属ナノ粒子の表面にキレート部位をもつリガンドが配位した金属イオンが静電的に吸着した構造を有する修飾金属ナノ粒子を製造することができる。この方法は新しい金属ナノ粒子修飾方法であり、金属ナノ粒子を用いた種々の材料への応用が可能である。
本発明の修飾された金属ナノ粒子は、金属ナノ粒子の表面に該金属ナノ粒子の金属と異なる金属イオンが吸着し、該金属イオンにキレート部位をもつリガンドがキレート(配位)してなるリガンドで修飾された金属ナノ粒子である。
該修飾された金属ナノ粒子は、ラジカル前駆体、金属イオン又は金属錯体(M1)、金属イオン(M2)を含んだ固体媒体に、励起光を照射した後、金属イオン(M2)に配位し得るキレート部位をもつリガンドを加えることにより製造される。
固体媒体中のラジカル前駆体は、励起光照射によりラジカルに変換される。金属イオン又は金属錯体(M1)は、該ラジカルにより還元され得る金属イオン又は金属錯体である。一方、金属イオン(M2)は、該ラジカルにより還元されず、M1より形成された金属ナノ粒子の表面に吸着する性質を持つ金属イオンである。
励起光照射により、固体媒体中に、金属イオン又は金属錯体(M1)に由来する金属ナノ粒子が形成され、その表面に、金属イオン(M2)が静電的に吸着した複合金属ナノ粒子が形成される。これは、該金属ナノ粒子の表面はマイナスの電荷を帯びているため、その表面にプラスの電荷を帯びた金属イオンが吸着されていることに起因する。
この複合金属ナノ粒子を含む固体媒体に、該キレート部位をもつリガンドを加えることにより、金属ナノ粒子表面に吸着した金属イオンに該リガンドが配位して複合金属ナノ粒子が形成される。この複合金属ナノ粒子は凝集が抑えられて安定化する。
ラジカル前駆体
本発明で用いる「ラジカル前駆体」とは、光照射により直接励起される化合物であり、その励起状態が共存する媒体等から水素やハロゲン等を引き抜いたり、又は、該励起状態が結合開裂することによってラジカルを生じる性質を有する化合物を意味する。
ラジカル前駆体としては、上記の性質を有していれば特に限定はなく、広範な化合物を用いることができる。例えば、ベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、ナフチルフェニルケトン、4−ベンゾイルビフェニル、ビス−ビフェニル−4−イル−メタノン等のビスアリールケトン類;アセトフェノン等のアリールアルキルケトン類;ジフェニルメタン、ジナフチルメタン等のビスアリールメタン類;ジフェニルメチルクロリド、ジナフチルメチルクロリド等のビスアリールメチルハライド類;ベンゾイン;ベンゾキノン、アントラキノン等のキノン類などが挙げられる。このうち、光励起状態が高い水素やハロゲン等の引き抜き能力を持ち、生成するラジカルが金属イオン又は金属錯体に対し比較的高い還元能を持つ点から、ビスアリールケトン類、特にベンゾフェノン又はその誘導体が好適である。
具体的には、例えば、ビスアリールケトン類、アリールアルキルケトン類等は、励起光により励起されると一旦三重項励起状態を生成し、これが共存する水素またはハロゲン供与体から水素やハロゲン等を引き抜いてケチルラジカルを生じる。また、ビスアリールメタン類等は、励起光により生じた励起状態からのC−H結合開裂によって、またビスアリールメチルハライド類は励起光により生じた励起状態からのC−ハロゲン結合開裂によってラジカルを生じる。
このラジカルからの電子移動により第1の金属イオン又は金属錯体を還元する。この様に、ラジカル前駆体は、媒体中での光励起及び光化学反応によってラジカルを生成し、該ラジカルによって第1の金属イオン又は金属錯体を還元するドーパントとして用いられる。
金属イオン又は金属錯体(M1)
金属イオン又は金属錯体(M1)は、該ラジカルにより還元され得る金属イオン又は金属錯体である。該ラジカルの還元電位に応じて、適宜選択することができる。
本発明で用いる金属イオン又は金属錯体(M1)は、該ラジカルから電子を受容して最終的に0価の金属に還元されるものであれば特に限定はない。
金属イオン又は金属錯体(M1)を構成する金属としては、例えば、金、銀などが挙げられる。すなわち、金属イオンとしては、金イオン、銀イオンなどが例示され、また、金属錯体としては、HAuCl4、AgNO2,AuCl3などが例示される。金属イオン又は金属錯体は、ラジカルの還元力に応じて、適宜選択することができる。
具体的には、例えば、ラジカル前駆体がベンゾフェノンの場合には、M1の金属イオンとして金、銀イオン等が挙げられる。
金属イオン(M2)
金属イオン(M2)は、該ラジカルにより還元されない金属イオンであり、M1より形成された金属ナノ粒子の表面に吸着する性質を持つ金属イオンである。
金属イオン(M2)を構成する金属としては、例えば、鉄、ニッケル、カドミウムなどが挙げられる。すなわち、金属イオンとしては、鉄イオン、ニッケルイオン、カドミウムイオンなどが例示され、また、該金属イオンを含む化合物としては、FeCl3、NiCl2、Cd(ClO4)2などが例示される。金属イオン(M2)は、ラジカルの還元力に応じて、上記のうちから1種以上を含むように適宜選択することができる。
具体的には、例えば、ラジカル前駆体がベンゾフェノンの場合には、M2の金属イオンとしてニッケルイオンが挙げられる。
固体媒体
本発明において金属ナノ粒子が形成される固体媒体としては、各種媒体を用いることができる。本発明で用いられる固体媒体としては、常温で固体であり、ラジカル活性種の前駆体、金属イオン又は金属錯体(M1)、及び金属イオン(M2)を分散できるものであり、かつ、該前駆体から還元性ラジカル活性種の生成が可能なものであれば特に限定はない。
例えば、樹脂(例えば、ポリビニルアルコール(PVA)等)、ゼオライト、ガラスなどの固体媒体の使用が可能である。
固体媒体中におけるラジカル前駆体、金属イオン又は金属錯体(M1)、及び金属イオン(M2)の濃度は、特に限定はなく広範な範囲から適宜選択することができる。例えば、固体媒体(PVA等)中におけるラジカル前駆体の濃度は、例えば、0.005〜0.5mol/L程度、好ましくは0.2〜0.3 mol/L程度であればよい。また、固体媒体中における金属イオン又は金属錯体(M1)の濃度は、金属イオン換算で、例えば、0.1mol/L程度、好ましくは0.1〜0.2mol/L程度であればよい。固体媒体中における金属イオン(M2)の濃度は、金属イオン換算で、例えば、0.1mol/L程度、好ましくは0.05〜0.15 mol/L程度であればよい。
また、固体媒体中における、金属イオン又は金属錯体(M1)の濃度と金属イオン(M2)の濃度(金属イオン換算)との比は、1:1〜1:10程度、好ましくは1:5〜1:10程度である。
媒体中の各成分の濃度が上記の範囲であれば、生成した短寿命のラジカル活性種から金属イオン又は金属錯体(M1)への電子移動が容易となり、金属ナノ粒子を効率的に形成することができる。また、金属ナノ粒子表面への金属イオン(M2)の吸着が起こる。
なお、本発明の方法は、これらの濃度に限定されるわけではなく、本方法が適用できるすべてのM1、M2、固体媒体、ラジカル前駆体等の組み合わせによって、広範囲の濃度条件下で実施が可能である。
固体媒体中に、ラジカル前駆体、金属イオン又は金属錯体(M1)、及び金属イオン(M2)を分散させる方法として、例えば次のような方法が例示できる。
固体媒体として例えば樹脂を用いた場合は、ドーパントであるラジカル前駆体、M1、M2及び樹脂を、いずれも溶解し得る溶媒(例えば、有機溶媒、水、蟻酸、アルコール類、これらの混合物等)に溶解し、これを所望の形状に成形して溶媒を除去すればよい。成形の方法は特に限定はなく、その形状に応じて射出成形、押出成形、スピンコート等の公知の方法を採用すればよい。形状は用途に応じて選択でき、例えば、フィルム、シート等の平面状、或いは立方体、直方体、球、その他任意の三次元形状にすることも可能である。
複合金属ナノ粒子の形成
上記のラジカル活性種の前駆体、金属イオン又は金属錯体(M1)、及び金属イオン(M2)を含む固体媒体に、励起光を照射して固体媒体中に金属ナノ粒子を形成する。励起光は1種であっても2種以上であってもよい。
複合金属ナノ粒子は、金属イオン又は金属錯体(M1)に由来する金属ナノ粒子の表面に、金属イオン(M2)に由来する金属イオンが吸着した構造を有する。該複合金属ナノ粒子を形成するには、まず媒体中で還元剤として機能するラジカル活性種を生成させる必要がある。ラジカル活性種は、励起光を連続的に該固体媒体に照射することにより生成することができる。生成したラジカルからの電子移動により金属イオン又は金属錯体(M1)の還元反応が起こり、最終的に金属ナノ粒子が生じる(例えば、Langmuir 2006, 22, 6361、Chem. Phys. Lett. 2006, 420, 90)。
一方、金属イオン(M2)は、該ラジカルでは還元されないため固体媒体中で金属イオン(カチオン)として存在し、金属イオン又は金属錯体(M1)から生じた金属ナノ粒子のマイナスに帯電した表面に吸着する。
光源からの励起光の波長は、ラジカル前駆体の構造・性質、還元しようとする金属イオン又は金属錯体(M1)の種類等に応じて当業者が適宜選択して設定できる。例えば、励起光の波長は、通常180 nm〜800 nm程度、特に180〜532 nm程度の範囲であればよい。具体例として、ラジカル前駆体としてベンゾフェノンを用いた場合、ベンゾフェノンを三重項励起状態に励起する励起光の波長は、通常180〜360nm程度であれば良い。
励起光の光源としては、Nd:YAGレーザー、エキシマーレーザー等のレーザー光、水銀灯、Xe-ランプなどが用いられる。レーザー光にはパルス光と連続発振光(continuous-wave light)があるが、いずれも用いることができる。レーザー照射では、ランプによる光照射に比較してより高効率で金属ナノ粒子を作成できるだけでなく、レーザーの持つ空間分解能を得ることができるため好ましい。
この様にして、固体媒体中に二種類以上の金属からなる複合金属ナノ粒子が形成される。複合金属ナノ粒子のサイズ測定は、走査型電子顕微鏡(TEM)を用いて行うことができる。
本発明では光励起されるのはラジカル活性種の前駆体であり、媒体の損傷を回避するためには、媒体の吸収光波長が前駆体の吸収光波長を外れていることが必要である。例えば、前駆体(例えば、ベンゾフェノン等)を355 nmレーザーで励起する場合、355 nmに吸収を持たない媒体が選択される。355 nmに吸収を持たない媒体は比較的多いことから、広範な媒体を選択することができる。
例えば、固体媒体の形状がフィルム、シート等の平面状の場合、ラジカル前駆体、金属イオン又は金属錯体(M1)、及び金属イオン(M2)を含んだ固体媒体に、励起光を照射することにより金属ナノ粒子を形成することができる。所定のパターンを有するフォトマスクを通して励起光の照射幅を制御することにより、所望の線幅を持った修飾金属ナノ粒子の回路パターンを形成することが可能である。つまり、この方法では、細幅は、励起光の照射幅に依存し任意に制御することができる。なお、励起光の照射幅は、レンズ等を用いて絞ることにより任意に調整できる。線幅は、光学顕微鏡もしくは透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて確認できる。
ラジカルから金属イオン等への電子移動によって、特徴的な金属ナノ粒子の表面プラズモン吸収が確認される。これにより、金属ナノ粒子が生成したことを確認することもできる。表面プラズモン吸収を紫外−可視分光光度計を用いて測定し、金属ナノ粒子の生成量を評価することができる。
修飾された金属ナノ粒子の形成
本発明の方法では、ラジカルの励起状態から金属イオンへの電子移動を利用して得られる複合金属ナノ粒子に、キレート部位をもつリガンドを加え、修飾金属ナノ粒子を固体媒体中に形成することができる。
キレート部位をもつリガンドとしては、金属イオン(M2)に対してキレートできる官能基、例えば、カルボキシル基、ニトリロトリアセチックアシッド(NTA)等を有するリガンド(配位子)であれば特に限定はない。また、該リガンドは、キレート部位以外にも他の機能性の官能基を有してもよい。例えば、リガンドとして、蛍光部位とキレート部位を有する、ニトリロトリアセチックアシッド修飾5(6)-カルボキシフルオレセイン(F-NTA)等が挙げられる。
キレート部位をもつリガンドを複合金属ナノ粒子と接触させる方法は、固体媒体中に存在する複合金属ナノ粒子に該リガンド到達できる方法であれば特に限定はない。具体例として、該リガンドを溶かした溶媒に複合金属ナノ粒子を含む固体媒体を浸漬すればよい。溶媒はリガンドを溶解でき、固体媒体中に浸潤できるものであれば特に限定はない。
例えば、固体媒体としてPVAを用いリガンドとしてF-NTAを用いた場合には、メタノール、エタノール等のアルコール類が好適に用いられる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
(1)ポリ(ビニルアルコール)(PVA)フィルムの製造
ベンゾフェノン(BP)、HAuCl4(Aldrich社製)及びNiCl2(Aldrich社製)を含むPVAフィルムを次のようにして製造した。HAuCl4(1mM)、BP(15mM)及びNiCl2(10mM)を含むPVA(10wt%)の蟻酸溶液を石英板にキャストした。次に、各サンプルを一定湿度(20%)及び温度(20℃)のグローブボックスに置き、48時間乾燥した。これにより、BP、HAuCl4及びNiCl2を含む約100-150μmのPVAフィルムを得た。サンプルフィルムの色は、AuCl4 -とNi(II)の吸収に起因して、薄緑色であった。
(2)上記の各サンプルフィルムを365nm UVランプ(2.8mW, Luv-16, Az one)を用いて4時間照射してPVA中にAuNpsを形成した。このフィルムをAuNps-Ni(II)含有PVAフィルムと表記する。照射後の該AuNps-Ni(II)含有PVAフィルムを、F-NTAのメタノール溶液(1mM)に24時間浸漬して、フィルム内にF-NTAをドープした。これらのフィルムは、2-プロパノールに6時間浸漬して注意深く洗浄した後、乾燥して本発明のPVAフィルムを得た。
試験例1
AuNps-Ni(II)含有PVAフィルムにおける、F-NTAのドープ前後のUV-Vis吸収スペクトルを図3に示す。UV-Vis吸収スペクトルは、島津UV-3100を用い測定した。
これによれば、F-NTAをドープした後(図3中の点線)は、F-NTAをドープする前(図3中の実線)に比べて、AuNpsの表面プラズモンバンドが長波長側にシフトして、また、新しい450nmの吸収ピークが現れた。その吸収バンドはF-NTAのH-会合体(H-aggregate)と考えられる(例えば、Acc. Chem. Res. 1989, 22, 171を参照)。表面プラズモンバンドの長波長シフトは、AuNpsとF-NTAとの相互作用を示している。
同じ実験を5(6)-カルボキシフルオレセインをドーパントとして用いて行ったが、表面プラズモンバンドの変化は観測されなかった。
これらの結果は、NTA部位とAuNpsの表面に吸着されたNi(II)との間の錯形成により、F-NTAがAuNps表面に配位していることを示している。
試験例2
上記実施例(2)に従い、F-NTAをドープした下記の4種のフィルムを作製した。各フィルムにおける起及び蛍光スペクトルを測定した。
(a) F-NTAのみをドープしたPVAフィルム
(b) BP、AuCl4 -、NiCl2およびF-NTAをドープしたPVAフィルム
(c) F-NTAをドープしたAuNps含有PVAフィルム(AuNpsはBP及びAuCl4 -を含むPVAフィルムに4時間UV照射して得られた)
(d) F-NTAをドープしたAuNps-Ni(II)含有PVAフィルム(表面にNi(II)の配位した複合ナノ粒子(AuNps-Ni(II))はBP、AuCl4 -:NiCl2=1:10を含むPVAフィルムに4時間UV照射して得られた。)
各フィルムのF-NTAの励起及び蛍光スペクトルを図4に示す。図4の上から順に(a)〜(d)のフィルムの測定結果を示す。各グラフの左の曲線が励起スペクトルを、右の曲線が蛍光スペクトルを示す。UV-Vis吸収及び蛍光スペクトルには、それぞれ島津UV-3100及び日立850スペクトロメーターを用いた。
(a)のF-NTAをドープしたPVAフィルムは、その蛍光スペクトルからダイマー及び高次に会合したF-NTAを含むことが示唆された。
(d)のF-NTAをドープしたAuNps-Ni(II)含有PVAフィルムにおいては、異なるスペクトルが観測された。(a) F-NTAをドープしたPVAフィルムの励起スペクトルは、462nmと490nm当たりに2つの明確なピークを示したが、(d) F-NTAをドープしたAuNps-Ni(II)含有PVAフィルムでは、450nmのピークのみであった。
蛍光スペクトルでは、(a) F-NTAをドープしたPVAフィルムは、540-650nmにショルダーをもち、514nmにピークを示したが、(d) F-NTAをドープしたAuNps-Ni(II)含有PVAフィルムでは、476nmにピークを示した。
これらの励起スペクトル及び蛍光スペクトル変化から(d)フィルム中におけるH-会合体の形成が示唆される。
(b)の励起及び蛍光スペクトルは、(a)と同様であった。これは、添加剤(BP、AuCl4 -及びNiCl2)はH-会合体に寄与しないことを示す。
H-会合体の形成は、(c)においても観測された(励起スペクトルにおける450nm付近のピークおよび476nm付近の蛍光ピーク)が、その割合は(d) と比べると少ない。この事実より、H-会合体の形成は、Ni(II)の存在により大きく促進されることが分かった。
F-NTAに代えて5(6)-カルボキシフルオレセインをドープした場合、H-会合体の形成は観測されなかった。
以上の結果より、NTA部位とAuNpsに吸着したNi(II)の間の錯体形成により、F-NTAがナノ粒子表面近傍で高い局在濃度を示し、これがH-会合体の形成を促進していることがわかった。すなわち、AuNps-Ni(II)を含む固体媒体に、F-NTAを加えることにより、リガンド−金属イオン相互作用を利用した新規修飾ナノ粒子の作成に成功した。
クロモフォアで修飾された金属ナノ粒子を含むPVAフィルムの作製方法の模式図である。 実施例1で用いるF-NTAの化学構造式である。 試験例1において、AuNps-Ni(II)フィルムにおけるF-NTAのドープ前後のUV-Vis吸収スペクトルを示す。点線はF-NTAをドープした後、実線はF-NTAをドープする前のスペクトルである。 試験例2において、各フィルムにおけるF-NTAのノーマライズした励起及び蛍光スペクトルを示す。

Claims (10)

  1. 固体媒体中にリガンドで修飾された金属ナノ粒子を形成する方法であって、
    (1)光励起によってラジカルを生じるラジカル前駆体、該ラジカルにより還元される金属イオン又は金属錯体(M1)、及び該ラジカルにより還元されず形成された金属ナノ粒子の表面に吸着する性質を持つ金属イオン(M2)を含む固体媒体に、励起光を照射して、金属イオン又は金属錯体(M1)に由来する金属ナノ粒子を作成し、その表面に金属イオン(M2)が吸着した複合金属ナノ粒子を形成する工程、及び
    (2)該複合金属ナノ粒子を含む固体媒体にキレート部位をもつリガンドを加え、複合金属ナノ粒子にリガンドを配位させる工程
    を含む形成方法。
  2. 前記ラジカル前駆体が、ビスアリールケトン類、アリールアルキルケトン類、ベンゾイン、ベンジル、又はキノン類である請求項1に記載の形成方法。
  3. 前記励起光が、レーザー光又はランプ光であり、かつ、ラジカル前駆体を励起し得る波長を有する請求項1又は2に記載の形成方法。
  4. 前記金属イオン又は金属錯体(M1)を構成する金属が、金、銀及び白金からなる群より選ばれる少なくとも1種であるである請求項1、2又は3に記載の形成方法。
  5. 前記金属イオン(M2)を構成する金属が、カドミウム、マンガン及びニッケルからなる群より選ばれる少なくとも1種であるである請求項1、2、3又は4に記載の形成方法。
  6. 前記固体媒体が樹脂媒体である請求項1〜5のいずれかに記載の形成方法。
  7. 前記請求項1〜6のいずれかに記載の形成方法により媒体中に形成されたリガンドで修飾された金属ナノ粒子。
  8. リガンドで修飾された金属ナノ粒子を含む固体媒体を製造する方法であって、
    (1)光励起によってラジカルを生じるラジカル前駆体、該ラジカルにより還元される金属イオン又は金属錯体(M1)、及び該ラジカルにより還元されず形成された金属ナノ粒子の表面に吸着する性質を持つ金属イオン(M2)を含む固体媒体に、励起光を照射して、金属イオン又は金属錯体(M1)に由来する金属ナノ粒子を作成し、その表面に金属イオン(M2)が吸着した複合金属ナノ粒子を形成する工程、及び
    (2)該複合金属ナノ粒子を含む固体媒体にキレート部位をもつリガンドを加え、複合金属ナノ粒子にリガンドを配位させる工程
    を含む形成方法。
  9. 前記請求項8に記載の製造方法により製造されるリガンドで修飾された金属ナノ粒子を含む固体媒体。
  10. 金属ナノ粒子の表面に該金属ナノ粒子と異なる金属イオンが吸着してなり、該金属イオンにキレート部位をもつリガンドがキレート(配位)してなるリガンドで修飾された金属ナノ粒子。
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