JP2008247892A - 癌の治療及び/又は予防剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】癌の治療又は予防に有用な癌の治療及び/又は予防剤を提供すること。
【解決手段】イヌ精巣由来cDNAライブラリーと担癌犬の血清を用いたSEREX法により、担癌生体由来の血清中に存在する抗体と結合するタンパク質をコードするcDNAを取得し、そのcDNAを基にして、特定の新規なアミノ酸配列を有するポリペプチドを作製した。該ポリペプチドは、生体に投与すると既に生じている腫瘍を退縮させることができるため、癌の治療及び/又は予防に有用である。
【選択図】図5

Description

本発明は、新規な癌の治療及び/又は予防剤に関する。
癌は全死亡原因の第一位を占める疾患であり、現在行われている治療は手術療法を主体に放射線療法と化学療法を組み合わせたものである。近年の新しい手術法の開発や新たな抗癌剤の発見にも関わらず、一部の癌を除いて、癌の治療成績はあまり向上していないのが現状である。近年、分子生物学や癌免疫学の進歩で癌に反応する細胞障害性T細胞により認識される癌抗原や癌抗原をコードする遺伝子が同定されてき、抗原特異性免疫療法への期待が高まっている(非特許文献1を参照)。免疫療法においては、副作用を軽減するため、その抗原として認識されるペプチド又はタンパクは、正常細胞にはほとんど存在せず、癌細胞に特異的に存在していることが必要とされる。1991年、ベルギーLudwig研究所のBoonらは自己癌細胞株と癌反応性T細胞を用いたcDNA発現クローニング法によりCD8陽性T細胞が認識するヒトメラノーマ抗原MAGE1を単離した(非特許文献2を参照)。その後、癌患者の生体内で自己の癌に反応して産生される抗体が認識する腫瘍抗原を遺伝子の発現クローニングの手法を取り入れて同定する、SEREX(serological identifications of antigens by recombinant expression cloning)法が報告され(非特許文献3;特許文献1)、各種癌抗原が単離されてきた(非特許文献4−9を参照)。その一部をターゲットにして癌免疫療法の臨床試験も開始されている。
一方、ヒトと同様、イヌやネコにも乳腺腫瘍、扁平上皮癌など多数の腫瘍が知られており、イヌやネコの疾病統計でも上位にランクされている。しかしながらイヌやネコの癌に対する有効な治療薬、予防薬および診断薬は現在のところ存在しない。大部分のイヌやネコの腫瘍は、進行して腫瘤が大きくなってから飼い主が気付くケースがほとんで、来院して外科的手術により切除したり、人体薬(抗癌剤など)を投与しても、すでに手遅れで処置後まもなく死亡することが多い。このような現状の中で、イヌやネコに有効な癌の治療薬、予防薬および診断薬が入手可能になれば、イヌの癌に対する用途が開かれると期待される。
米国特許第5698396号 秋吉毅,「癌と化学療法」、1997年、第24巻、p551-519 Bruggen P. et al., Science, 254:1643-1647(1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 92:11810-11813(1995) Int.J.Cancer,72:965-971(1997) Cancer Res., 58:1034-1041(1998) Int.J.Cancer,29:652-658(1998) Int.J.Oncol.,14:703-708(1999) Cancer Res., 56:4766-4772(1996) Hum. Mol. Genet6:33-39, 1997
本発明の目的は、癌の治療又は予防に有用な癌の治療及び/又は予防剤を提供することである。
本願発明者らは、鋭意研究の結果、イヌ精巣由来cDNAライブラリーと担癌犬の血清を用いたSEREX法により、担癌生体由来の血清中に存在する抗体と結合するタンパク質をコードするcDNAを取得し、そのcDNAを基にして、該タンパク質のアミノ酸配列を同定した。そして、該アミノ酸配列を基に作製された組換えポリペプチドが生体内で抗体を誘導できること、該組換えポリペプチドを生体に投与することにより、既に生じている腫瘍を退縮させることができることを見出した。さらに、イヌ由来の該アミノ酸配列を基に作製されたポリペプチドが、ヒト由来抗原提示細胞により提示され、該ポリペプチドに特異的なヒト由来細胞障害性T細胞を活性化および増殖させる能力を有すること、及び、該ポリペプチドに特異的なヒト由来細胞障害性T細胞が、該ポリペプチドの相同因子を発現するヒト癌細胞を障害する能力を有することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の(a)ないし(c)のいずれかのポリペプチドであって、抗癌活性を有するポリペプチド、又は該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、該ポリペプチドを生体内で発現可能な組換えベクターを有効成分として含有する癌の治療及び/又は予防剤を提供する:(a) 配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列中の連続する7個以上のアミノ酸から成るポリペプチド、(b) (a)のポリペプチドと80%以上の相同性を有し、7個以上のアミノ酸から成るポリペプチド、(c) (a)又は(b)のポリペプチドを部分配列として含むポリペプチド。また、本発明は、以下の(A)ないし(C)のいずれかのポリペプチドであって抗癌活性を有するポリペプチドとHLA分子の複合体を含む単離抗原提示細胞を提供する:(A) 配列表の配列番号11ないし13のいずれかに示されるアミノ酸配列中の連続する7個以上のアミノ酸から成るポリペプチド、(B) (A)のポリペプチドと80%以上の相同性を有し、7個以上のアミノ酸から成るポリペプチド、(C) (A)又は(B)のポリペプチドを部分配列として含む、アミノ酸残基数が8〜30であるポリペプチド。さらに、本発明は、上記(A)ないし(C)のいずれかのポリペプチドであって抗癌活性を有するポリペプチドとHLA分子の複合体を選択的に結合する単離T細胞を提供する。さらに、本発明は、上記本発明の単離抗原提示細胞又は上記本発明の単離T細胞を有効成分として含有する医薬を提供する。さらに、本発明は、上記本発明の単離抗原提示細胞又は上記本発明の単離T細胞を有効成分として含有する癌の治療及び/又は予防剤を提供する。
本発明により、癌の治療及び/又は予防に有用な新規癌の治療及び/又は予防剤が提供された。下記実施例において具体的に示されるように、本発明で用いられるポリペプチドを担癌イヌに投与すると、既に生じている腫瘍を退縮させることができるので、本発明の癌の治療及び/又は予防剤は癌の治療や予防に有用である。また、下記実施例に示されるように、イヌ由来の上記ポリペプチドはヒトのCD8陽性T細胞を活性化し、該T細胞はヒト癌細胞に対して優れた細胞障害活性を示す。従って、上記ポリペプチドはヒトの癌の治療及び/又は予防にも有用である。
本発明の癌の治療及び/又は予防剤に有効成分として含まれるポリペプチドとしては、以下のものが挙げられる。なお、本発明において、「ポリペプチド」とは、複数のアミノ酸がペプチド結合することによって形成される分子をいい、構成するアミノ酸数が多いポリペプチド分子のみならず、アミノ酸数が少ない低分子量の分子(オリゴペプチド)や、全長タンパク質も包含され、本発明では配列番号2の全長から成るタンパク質も包含される。
(a) 配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列中の連続する7個以上のアミノ酸から成り、抗癌活性を有するポリペプチド。
(b) (a)のポリペプチドと80%以上の相同性を有し、7個以上のアミノ酸から成る、抗癌活性を有するポリペプチド。
(c) (a)又は(b)のポリペプチドを部分配列として含み、抗癌活性を有するポリペプチド。
なお、本発明において、「アミノ酸配列を有する」とは、アミノ酸残基がそのような順序で配列しているという意味である。従って、例えば、「配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド」とは、配列番号2に示されるMet Asn Arg Leu ・・(中略)・・ Leu His Glu Alaのアミノ酸配列を持つ、206アミノ酸残基のサイズのポリペプチドを意味する。また、例えば、「配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド」を「配列番号2のポリペプチド」と略記することがある。「塩基配列を有する」という表現についても同様である。
ここで、「抗癌活性」とは、配列番号2又はその相同因子のポリペプチドを発現する癌細胞の増殖を抑制し又は癌組織(腫瘍)を縮小若しくは消滅させる能力を意味する。下記実施例に具体的に記載される通り、配列番号2に示されるアミノ酸配列を基に作製されたポリペプチドは、担癌イヌに投与すると、腫瘍を退縮させることができる。ポリペプチドが抗癌活性を有するか否かは、下記実施例に具体的に記載するように、実際に担癌生体に投与して腫瘍が縮小等されるか否かを調べることよって確認することができる。また、例えば、ポリペプチドの抗癌活性(癌細胞の増殖を抑制する能力)は、ポリペプチドで刺激されたT細胞が、配列番号2のポリペプチドを発現する癌細胞を障害できるか否かを調べることによって評価することもできる。T細胞の細胞障害活性の測定は、Int.J.Cancer,58:p317,1994に記載された51Crリリースアッセイと呼ばれる公知の方法に準拠して行なうことができ、具体的には下記実施例に詳述される方法で行なうことができる。
配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列とは、イヌ精巣由来cDNAライブラリーと担癌犬の血清を用いたSEREX法により、担癌イヌ由来の血清中に特異的に存在する抗体と結合するポリペプチドとして単離された、新規なポリペプチドのアミノ酸配列である(参考例1参照)。
上記(a)のポリペプチドは、配列番号2で示されるアミノ酸配列中の連続する7個以上、好ましくは連続する9個以上、より好ましくは連続する10個以上のアミノ酸から成るポリペプチドであって、抗癌活性を有するものである。また、好ましくは、該ポリペプチドは、配列番号2で示されるアミノ酸配列中の27番アミノ酸〜206番アミノ酸の領域内に位置する配列を有する。該ポリペプチドのうち、特に好ましい例としては、配列番号2中の27番アミノ酸〜206番アミノ酸の領域を含むポリペプチド、及び配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドが挙げられる。なお、下記実施例1で抗癌活性が確認されているのは、配列番号2で示されるアミノ酸配列のうち27番アミノ酸〜206番アミノ酸の領域を含む組換えポリペプチドであるが、この分野で公知の通り、約7アミノ酸残基以上のポリペプチドであれば抗原性を発揮できる。例えば、下記実施例3に示されるように、配列番号2に示されるアミノ酸配列中の109番アミノ酸〜118番アミノ酸の領域(配列番号11)、129番アミノ酸〜137番アミノ酸の領域(配列番号12)、又は177番アミノ酸〜185番アミノ酸の領域(配列番号13)から成る9〜10アミノ酸のポリペプチドは、配列番号2のヒト相同因子(「相同因子」は、イヌ以外の哺乳動物に由来する天然のポリペプチドであって、配列番号2と同一又は概ね同一(配列番号2と同一又は概ね同一のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列も包含する)のアミノ酸配列を有し、イヌにおける配列番号2のポリペプチドの作用と対応する作用をその哺乳動物において示すポリペプチドである。相同因子の発現は、例えば、下記参考例1に記載されるように、イヌ遺伝子配列である配列番号1の塩基配列を基に作成したプライマー(配列番号5及び6)を用いたRT-PCRにより調べることができる。)を発現するヒト癌細胞を障害することができる。従って、7アミノ酸残基以上のポリペプチドであれば、抗癌活性を有し得るので、本発明の癌の治療及び/又は予防剤の調製に用いることができる。ただし、前記ポリペプチドが癌細胞に対する抗体を誘導することで抗癌活性を示す場合においては、生体中で抗原物質に対して生産される抗体がポリクローナル抗体であることに鑑みれば、アミノ酸残基の数が多い方が、抗原物質上の種々の部位を認識する、より多くの種類の抗体を誘導できるので、ひいては抗癌活性を高めることができると考えられる。従って、抗癌活性を高めるために、アミノ酸残基の数を好ましくは30以上、さらに好ましくは50以上、さらに好ましくは100以上、さらに好ましくは150以上としてもよい。なお、配列表の配列番号15に示すアミノ酸配列は、配列番号2のポリペプチドのヒト相同因子のアミノ酸配列の一例であり、GenBankにアクセッション番号NP_056145.1で登録されている。
また、癌抗原ポリペプチドを投与することによる免疫誘導の原理として、ポリペプチドが体内でペプチダーゼによる分解を受けてより小さな断片となり、その断片が抗原提示細胞に取り込まれてその表面上に提示され、それを細胞障害性T細胞等が認識し、その抗原を提示している細胞を選択的に殺していくということが知られている。この場合、抗原提示細胞に取り込まれるポリペプチドのサイズは比較的小さく、アミノ酸数で7〜30程度であるので、配列番号2で示されるアミノ酸配列中の連続する7〜30程度、好ましくは9〜30程度、より好ましくは10〜30程度のアミノ酸から成るポリペプチドが有効である。もっとも、ポリペプチドのサイズがアミノ酸数で30よりも大きな場合でも、生体内のペプチダーゼにより、ランダムな位置で切断を受けて種々のポリペプチド断片が生じ、これらのポリペプチド断片が抗原提示細胞に取り込まれるので、上記したように、配列番号2の全長又は配列番号2で示されるアミノ酸配列のうち27番アミノ酸〜206番アミノ酸の領域を含むもののように大きなサイズのポリペプチドを投与すれば、その生体内での分解によって、抗原提示細胞を介する免疫誘導に有効なポリペプチド断片が必然的に生じる。従って、抗原提示細胞を介する免疫誘導にとっても、サイズの大きなポリペプチドは好ましく、上記と同様、アミノ酸数を30以上、さらに好ましくは50以上、さらに好ましくは100以上、さらに好ましくは150以上としてもよい。
上記(b)のポリペプチドは、上記(a)のポリペプチドのうちの1個ないし数個のアミノ酸残基が置換し、欠失し及び/又は挿入されたポリペプチドであって、元の配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の相同性を有し、かつ、抗癌活性を有するポリペプチドである。一般に、タンパク質抗原において、該タンパク質のアミノ酸配列のうち少数のアミノ酸残基が置換され、欠失され又は挿入された場合であっても、元のタンパク質とほぼ同じ抗原性を有している場合があることは当業者において広く知られている。従って、上記(b)のポリペプチドも抗癌活性を発揮し得るので、本発明の癌の治療及び/又は予防剤の調製に用いることができる。ここで、アミノ酸配列の「相同性」とは、両者のアミノ酸配列残基ができるだけ多く一致するように(必要ならばギャップを挿入する)両アミノ酸配列を整列させ、一致したアミノ酸残基数を、全アミノ酸残基数(両者の配列で全アミノ酸残基数が異なる場合には短い方の配列の全アミノ酸残基数)で除したものを百分率で表したものであり、BLASTのような周知のソフトを用いて容易に算出することができる。なお、天然のタンパク質を構成する20種類のアミノ酸は、低極性側鎖を有する中性アミノ酸(Gly, Ile, Val, Leu, ala, Met, Pro)、親水性側鎖を有する中性アミノ酸(Asn, Gln, Thr, Ser, Tyr Cys)、酸性アミノ酸(Asp, Glu)、塩基性アミノ酸(Arg, Lys, His)、芳香族アミノ酸(Phe, Tyr, Trp)のように類似の性質を有するものにグループ分けでき、これらの間での置換であればポリペプチドの性質が変化しないことが多いことが知られている。従って、本発明で用いられる上記(a)のポリペプチド中のアミノ酸残基を置換する場合には、これらの各グループの間で置換することにより、抗癌活性を維持できる可能性が高くなる。また、上記(b)のポリペプチドは、配列番号2で示されるアミノ酸配列のうち、1個ないし数個のアミノ酸が置換し及び/若しくは欠失し、並びに/又は該アミノ酸配列に1個ないし数個のアミノ酸が挿入されたポリペプチドであることも好ましい。
上記(c)のポリペプチドは、上記(a)又は(b)のポリペプチドを部分配列として含み、抗癌活性を有するポリペプチドである。すなわち、(a)又は(b)のポリペプチドの一端又は両端に他のアミノ酸又はポリペプチドが付加されたものであって、抗癌活性を有するポリペプチドである。このようなポリペプチドも、本発明の癌の治療及び/又は予防剤の調製に用いることができる。
上記した本発明で用いられるポリペプチドは、例えば、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBoc法(t―ブチルオキシカルボニル法)等の化学合成法に従って合成することができる。また、各種の市販のペプチド合成機を利用して常法により合成することもできる。また、公知の遺伝子工学的手法を用いて容易に調製することができる。例えば、配列番号2のポリペプチドをコードする遺伝子を発現している組織から抽出したRNAから、該遺伝子のcDNAをRT−PCRにより調製し、該cDNAの全長又は所望の一部を発現ベクターに組み込んで、宿主細胞中に導入し、目的とするポリペプチドを得ることができる。RNAの抽出、RT−PCR、ベクターへのcDNAの組み込み、ベクターの宿主細胞への導入は、例えば以下に記載するとおり、周知の方法により行なうことができる。また、用いるベクターや宿主細胞も周知であり、種々のものが市販されている。
本発明で用いられるポリペプチドをコードするDNAは、具体的には例えば以下のようにして調製することができる。配列番号1の塩基配列を有するDNAは、イヌ染色体DNA又はcDNAライブラリーを鋳型として使用し、配列番号1に記載した塩基配列を増幅できるように設計した一対のプライマーを用いてPCRを行うことにより調製することができる。PCRの反応条件は適宜設定することができ、例えば、94℃で30秒間(変性)、55℃で30秒〜1分間(アニーリング)、72℃で2分間(伸長)からなる反応行程を1サイクルとして、例えば30サイクル行った後、72℃で7分間反応させる条件などを挙げることができるが、これに限定されない。また、本明細書中の配列表の配列番号1および配列番号2に記載した塩基配列およびアミノ酸配列の情報に基づいて適当なプローブやプライマーを調製し、それを用いてイヌなどのcDNAライブラリーをスクリーニングする事により、該DNAを単離することができる。cDNAライブラリーは、該DNAを発現している細胞、器官又は組織から作製することが好ましい。上記したプローブ又はプライマーの調製、cDNAライブラリーの構築、cDNAライブラリーのスクリーニング、ならびに目的遺伝子のクローニングなどの操作は当業者に既知であり、例えば、モレキュラークロニング第2版、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラバイオロジー等に記載された方法に準じて行うことができる。このようにして得られた配列番号1の塩基配列を有するDNAから、上記(a)のポリペプチドをコードするDNAを得ることができる。また、各アミノ酸をコードするコドンは公知であるから、特定のアミノ酸配列をコードするDNAの塩基配列は容易に特定することができる。従って、上記した(b)のポリペプチドや(c)のポリペプチドをコードするDNAの塩基配列も容易に特定することができるので、そのようなDNAは、市販の核酸合成機を用いて常法により容易に合成することができる。
上記宿主細胞としては、本発明で用いられるポリペプチドを発現可能な細胞であればいかなるものであってもよく、原核細胞の例としては大腸菌など、真核細胞の例としてはサル腎臓細胞COS 1、チャイニーズハムスター卵巣細胞CHO等の哺乳動物培養細胞、出芽酵母、分裂酵母、カイコ細胞、アフリカツメガエル卵細胞などが挙げられる。
宿主細胞として原核細胞を用いる場合、発現ベクターとしては、原核細胞中で複製可能なオリジン、プロモーター、リボソーム結合部位、DNAクローニング部位、ターミネーター等を有する発現ベクターを用いる。大腸菌用発現ベクターとしては、pUC系、pBluescriptII、pET発現システム、pGEX発現システムなどが例示できる。本発明で用いられるポリペプチドをコードするDNAをこのような発現ベクターに組み込み、該ベクターで原核宿主細胞を形質転換したのち、得られた形質転換体を培養すれば、前記DNAがコードしているポリペプチドを原核宿主細胞中で発現させることができる。この際、該ポリペプチドを、他のタンパク質との融合タンパク質として発現させることもできる。
宿主細胞として真核細胞を用いる場合、発現ベクターとしては、プロモーター、スプライシング領域、ポリ(A)付加部位等を有する真核細胞用発現ベクターを用いる。そのような発現ベクターとしては、pKA1、pCDM8、pSVK3、pMSG、pSVL、pBK-CMV、pBK-RSV、EBVベクター、pRS、pcDNA3、pMSG、pYES2等が例示できる。上記と同様に、本発明で用いられるポリペプチドをコードするDNAをこのような発現ベクターに組み込み、該ベクターで真核宿主細胞を形質転換したのち、得られた形質転換体を培養すれば、前記DNAがコードしているポリペプチドを真核宿主細胞中で発現させることができる。発現ベクターとしてpIND/V5-His、pFLAG-CMV-2、pEGFP-N1、pEGFP-C1等を用いた場合には、Hisタグ、FLAGタグ、mycタグ、HAタグ、GFPなど各種タグを付加した融合タンパク質として、該ポリペプチドを発現させることができる。
発現ベクターの宿主細胞への導入は、電気穿孔法、リン酸カルシウム法、リポソーム法、DEAEデキストラン法等の周知の方法を用いることができる。
宿主細胞から目的のポリペプチドを単離精製するためには、公知の分離操作を組み合わせて行うことができる。例えば尿素などの変性剤や界面活性剤による処理、超音波処理、酵素消化、塩析や溶媒分別沈殿法、透析、遠心分離、限外ろ過、ゲルろ過、SDS-PAGE、等電点電気泳動、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、アフニティークロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、等が挙げられる。
以上の方法によって得られるポリペプチドには、他の任意のタンパク質との融合タンパク質の形態にあるものも含まれる。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)やHisタグとの融合タンパク質などが例示できる。このような融合タンパク質の形態のポリペプチドも、上記した(c)のポリペプチドに含まれ、本発明の癌の治療及び/又は予防剤の調製に用いることができる。さらに、形質転換細胞で発現されたポリペプチドは、翻訳された後、細胞内で各種修飾を受ける場合がある。このような翻訳後修飾されたポリペプチドも、抗癌活性を有する限り、本発明の範囲に含まれる。この様な翻訳修飾としては、N末端メチオニンの脱離、N末端アセチル化、糖鎖付加、細胞内プロテアーゼによる限定分解、ミリストイル化、イソプレニル化、リン酸化などが例示できる。
本発明の癌の治療及び/又は予防剤の対象となる癌としては、配列番号2のポリペプチド又はその相同因子をコードする遺伝子を発現している(配列番号2のポリペプチド又はその相同因子を部分領域として発現している場合も含む)癌であり、脳腫瘍、頭、首、肺、子宮又は食道の扁平上皮癌、メラノーマ、肺、乳または子宮の腺癌、腎癌等を挙げることができるがこれらに限定されない。また、対象となる動物は、哺乳動物であり、特にイヌやネコ、ヒトが好ましい。中でも、イヌ及びネコが好ましく、イヌがさらに好ましい。なお、ヒトの癌では、配列番号15に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドを一例とする、配列番号2のポリペプチドのヒト相同因子が発現しており、配列番号15のヒト相同因子には、配列番号2の配列と相同性の高い領域が含まれている。本発明の癌の治療及び/又は予防剤は、該ヒト相同因子を発現する癌細胞を標的とすることで、ヒトの癌の治療及び/又は予防に効果を有する。
上記ポリペプチドを有効成分とする本発明の癌の治療及び/又は予防剤の投与経路は、経口投与でも非経口投与でもよいが、筋肉内投与、皮下投与、静脈内投与、動脈内投与等の非経口投与が好ましい。抗癌作用を高めるため、下記実施例に記載するように、治療対象となる腫瘍の近傍の所属リンパ節や腫瘍近傍の皮下に投与することもできる。投与量は、癌の治療及び/又は予防に有効な量であればよく、腫瘍の大きさや症状等に応じて適宜選択されるが、通常、対象動物に対し1日当りのポリペプチド有効量として0.0001μg〜1000μg、好ましくは0.001μg〜1000μgであり、1回又は数回に分けて投与することができる。好ましくは、数回に分け、数日ないし数月おきに投与する。下記実施例に具体的に示されるとおり、本発明の癌の治療及び/又は予防剤は、既に形成されている腫瘍を退縮させることができる。従って、発生初期の少数の癌細胞にも抗癌作用を発揮し得るので、癌の発症前や癌の治療後に用いれば、癌の発症や再発を防止することができる。すなわち、本発明の癌の治療及び/又は予防剤は、癌の治療と予防の双方に有用である。なお、本発明の単離T細胞又は単離抗原提示細胞を有効成分とする医薬、特に癌の治療及び/又は予防剤の投与経路等については後述する。
本発明の癌の治療及び/又は予防剤は、ポリペプチドのみから成っていてもよいし、各投与形態に適した、薬理学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤等の添加剤を適宜混合させて製剤することもできる。製剤方法及び使用可能な添加剤は、医薬製剤の分野において周知であり、いずれの方法及び添加剤をも用いることができる。添加剤の具体例としては、生理緩衝液のような希釈剤;砂糖、乳糖、コーンスターチ、リン酸カルシウム、ソルビトール、グリシン等のような賦形剤;シロップ、ゼラチン、アラビアゴム、ソルビトール、ポリビニルクロリド、トラガント等のような結合剤;ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、タルク、シリカ等の滑沢剤等が挙げられるが、これらに限定されない。製剤形態としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤などの経口剤、吸入剤、注射剤、座剤、液剤などの非経口剤などを挙げることができる。これらの製剤は一般的に知られている製法によって作ることができる。
特に、上記ポリペプチドを有効成分とする本発明の癌の治療及び/又は予防剤は、該有効成分に加えてさらにアジュバントを含むことが好ましい。アジュバントは、抗原の貯蔵所(細胞外またはマクロファージ内)を提供し、マクロファージを活性化し、かつ特定組のリンパ球を刺激することにより、免疫学的応答を強化し得るので、本発明の癌の治療及び/又は予防剤の抗癌作用を高めることができる。多数の種類のアジュバントが、当業界で周知である。具体例としては、MPL(SmithKline Beecham)、サルモネラ属のSalmonella minnesota Re 595リポ多糖類の精製および酸加水分解後に得られる同類物;QS21(SmithKline Beecham)、Quillja saponaria抽出物から精製される純QA−21サポニン;PCT出願WO96/33739(SmithKline Beecham)に記載されたDQS21;QS−7、QS−17、QS−18およびQS−L1(ソ(So)、外10名、「モレキュルズ・アンド・セル(Molecules and cells)」、1997年、第7巻、p.178−186);フロイントの不完全アジュバント;フロイントの完全アジュバント;ビタミンE;モンタニド;ミョウバン;CpGオリゴヌクレオチド(例えば、クレイグ(Kreig)、外7名、「ネイチャー(Nature)」、第374巻、p.546−549)を参照);ポリIC;ポリICLC;ならびにスクアレンおよび/またはトコフェロールのような生分解性油から調製される種々の油中水エマルションが挙げられる。特に好ましい製剤例として、本発明の癌の治療及び/又は予防剤は、有効成分として含有されるポリペプチドと、DQS21/MPLの組合せとを含んだ形態で投与される。DQS21対MPLの比は、典型的には約1:10〜10:1,好ましくは約1:5〜5:1、さらに好ましくは約1:1である。典型的には、ヒト投与に関しては、DQS21およびMPLは、約1μg〜約100μgの範囲で処方物中に存在する。その他のアジュバントが当業界で既知であり、本発明に用いられ得る(例えば、ゴッディング(Goding)著,「モノクローナル・アンチボディーズ:プリンシプル・アンド・プラクティス(Monoclonal Antibodies:Principles and Practice)」、第2版、1986年を参照)。ポリペプチドおよびアジュバントの混合物またはエマルションの調製方法は、予防接種の当業者には周知である。
対象動物(患者)の免疫応答を刺激するその他の因子も、本発明の癌の治療及び/又は予防剤と共に患者に投与され得る。例えばサイトカインは、リンパ球刺激特性の結果として、免疫学的応答の強化に有用である。このような目的のために有用な多数のサイトカインは当業者に既知であり、その例としては、ワクチンの防御作用を強化することが示されているインターフェロン、インターロイキン−12(IL−12)、GM−CSF、IL−18およびFlt3リガンドが挙げられる。このような因子は、本発明の癌の治療及び/又は予防剤に含まれていてもよいし、別個の組成物として本発明の癌の治療及び/又は予防剤と併用して患者に投与してもよい。
また、本発明で用いられるポリペプチドと、抗原提示細胞とをインビトロで接触させることにより、該ポリペプチドを抗原提示細胞に提示させることができる。すなわち、上記した(a)ないし(c)のポリペプチドは、抗原提示細胞の処理剤として利用し得る。この場合、ポリペプチドは、特に限定されないが、好ましくは約30アミノ酸残基以下、より好ましくは9〜30アミノ酸残基、さらに好ましくは10〜30アミノ酸残基のサイズで用いる。抗原提示細胞に提示させるポリペプチドとしては、上記(a)ないし(c)のポリペプチドの中でも、
(A) 配列表の配列番号11ないし13のいずれかに示されるアミノ酸配列中の連続する7個以上のアミノ酸から成り、抗癌活性を有するポリペプチド、
(B) (A)のポリペプチドと80%以上の相同性を有し、7個以上のアミノ酸から成る、抗癌活性を有するポリペプチド、及び
(C) (A)又は(B)のポリペプチドを部分配列として含み、アミノ酸残基数が8〜30である、抗癌活性を有するポリペプチド
が好ましく、特に、配列番号11ないし13のいずれかに示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドがより好ましい。配列番号11ないし13のアミノ酸配列を有するポリペプチドが、癌細胞を障害するT細胞を好ましく誘導できるということは、下記実施例に具体的に示される通りである。また、少なくとも7アミノ酸残基以上のサイズのポリペプチドであれば抗原性を発揮できることは、上述した通りである。
ここで、抗原提示細胞としては、MHCクラスI分子を保有する樹状細胞又はB細胞を好ましく用いることができる。ヒトにおいては、種々のMHCクラスI分子が同定されており、周知である。ヒトにおけるMHC分子はHLAと呼ぶ。HLAクラスI分子としては、HLA-A、HLA-B、HLA-Cを挙げることができ、より具体的には、HLA-A1, HLA-A0201, HLA-A0204, HLA-A0205, HLA-A0206, HLA-A0207, HLA-A11, HLA-A24, HLA-A31, HLA-A6801, HLA-B7, HLA-B8, HLA-B2705, HLA-B37, HLA-Cw0401, HLA-Cw0602などを挙げることができる。
MHCクラスI分子を保有する樹状細胞又はB細胞は、周知の方法により末梢血から調製することができる。例えば、骨髄、臍帯血あるいは患者末梢血から、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)とIL-3(あるいはIL-4)を用いて樹状細胞を誘導することにより得ることができる。上記樹状細胞又はB細胞を得るための試料としては、健康な生体から提供された骨髄や臍帯血、患者自身の骨髄や末梢血等を用いることができるが、患者自身の自家細胞を使う場合は、安全性が高く、重篤な副作用を回避することも期待できる。末梢血または骨髄は新鮮試料、低温保存試料及び凍結保存試料のいずれでもよい。末梢血やその白血球成分、骨髄細胞には、樹状細胞の起源となる単核球、造血幹細胞又は未成熟樹状細胞やCD4陽性細胞等が含まれているので、末梢血の全血を培養することによって上記樹状細胞又はB細胞を得ることもできるが、白血球成分だけを分離して培養する方が効率的で好ましい。さらに、白血球成分の中でも単核球を分離してもよい。また、骨髄や臍帯血を起源とする場合には、骨髄を構成する細胞全体を培養してもよいし、これから単核球を分離して培養してもよい。用いられるサイトカインは、安全性と生理活性が確認された特性のものであれば、天然型、あるいは遺伝子組み換え型等、その生産手法については問わないが、好ましくは医療用に用いられる品質が確保された標品が必要最低量で用いられる。添加するサイトカインの濃度は、樹状細胞が誘導される濃度であれば特に限定されず、通常サイトカインの合計濃度で10〜1000ng/mL程度が好ましく、さらに好ましくは20〜500ng/mL程度である。培養は、白血球の培養に通常用いられている周知の培地を用いて行うことができる。培養温度は白血球の増殖が可能であれば特に限定されないが、ヒト等の哺乳動物の体温である37℃程度が最も好ましい。また、培養中の気体環境は白血球の増殖が可能であれば特に限定されないが、5%COを通気することが好ましい。さらに培養期間は、必要数の細胞が誘導される期間であれば特に限定されないが、通常3日〜2週間の間で行われる。細胞の分離や培養に供される機器は、適宜適当なものを用いることができるが、医療用に安全性が確認され、かつ操作が安定して簡便であることが好ましい。特に細胞培養装置については、シャーレ、フラスコ、ボトル等の一般的容器に拘わらず、積層型容器や多段式容器、ローラーボトル、スピナー式ボトル、バッグ式培養器、中空糸カラム等も用いることができる。
本発明で用いられる上記ポリペプチドと抗原提示細胞をインビトロで接触させる方法自体は、周知の方法により行なうことができる。例えば、抗原提示細胞を、上記ポリペプチドを含む培養液中で培養することにより行なうことができる。培地中のポリペプチド濃度は、特に限定されないが、通常、1μg/mlないし100μg/ml程度、好ましくは5μg/mlないし20μg/ml程度である。培養時の細胞密度は特に限定されないが、通常、10細胞/mlから107細胞/ml程度、好ましくは5x10細胞/mlから5x106細胞/ml程度である。培養は、常法に従い、37℃、5%CO2雰囲気中で行なうことが好ましい。なお、抗原提示細胞が表面上に提示できるポリペプチドの長さは、通常、最大で30アミノ酸残基程度である。従って、特に限定されないが、抗原提示細胞とポリペプチドをインビトロで接触させる場合、該ポリペプチドをおよそ30アミノ酸残基以下の長さに調製してもよい。上記したように、抗原提示細胞と接触させるポリペプチドとしては、上記(A)ないし(C)のポリペプチドが好ましく、特に、配列番号11ないし13のいずれかに示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドがより好ましい。
上記したポリペプチドの共存下において抗原提示細胞を培養することにより、ポリペプチドが抗原提示細胞のMHC分子に取り込まれ、抗原提示細胞の表面に提示される。従って、上記ポリペプチドを用いて、該ポリペプチドとMHC分子の複合体を含む、単離抗原提示細胞を調製することができる。このような抗原提示細胞は、生体内又はインビトロにおいて、T細胞に対して該ポリペプチドを提示し、該ポリペプチドに特異的な細胞障害性T細胞を誘導し、増殖させることができる。
上記のようにして調製される、上記ポリペプチドとMHC分子の複合体とを含む抗原提示細胞を、T細胞とインビトロで接触させることにより、該ポリペプチドに特異的な細胞障害性T細胞を誘導し、増殖させることができる。これは、上記抗原提示細胞とT細胞とを液体培地中で共存培養することにより行なうことができる。例えば、抗原提示細胞を液体培地に懸濁して、マイクロプレートのウェル等の容器に入れ、これにT細胞を添加して培養することにより行なうことができる。共存培養時の抗原提示細胞とT細胞の混合比率は、特に限定されないが、通常、細胞数の比率で1:1〜1:100程度、好ましくは1:5〜1:20程度である。また、液体培地中に懸濁する抗原提示細胞の密度は、特に限定されないが、通常、100〜1000万細胞/ml程度、好ましくは10000〜100万細胞/ml程度である。共存培養は、常法に従い、37℃、5%CO2雰囲気中で行なうことが好ましい。培養時間は、特に限定されないが、通常、2日〜3週間、好ましくは4日〜2週間程度である。また、共存培養は、IL-2、IL-6、IL-7及びIL-12のようなインターロイキンの1種又は複数の存在下で行なうことが好ましい。この場合、IL-2及びIL-7の濃度は、通常、5U/mlから20U/ml程度、IL-6の濃度は通常、500U/mlから2000U/ml程度、IL-12の濃度は通常、5ng/mlから20ng/ml程度であるが、これらに限定されるものではない。上記の共存培養は、新鮮な抗原提示細胞を追加して1回ないし数回繰り返してもよい。例えば、共存培養後の培養上清を捨て、新鮮な抗原提示細胞の懸濁液を添加してさらに共存培養を行なうという操作を、1回ないし数回繰り返してもよい。各共存培養の条件は、上記と同様でよい。
上記の共存培養により、該ポリペプチドに特異的な細胞障害性T細胞が誘導され、増殖される。従って、上記ポリペプチドを用いて、該ポリペプチドとMHC分子の複合体を選択的に結合する、単離T細胞を調製することができる。
下記実施例に記載される通り、配列番号2に示されるアミノ酸配列から調製されたポリペプチドは、生体内で抗体の生産を誘導し、癌組織を退縮させることができる。従って、上記のようにして調製した細胞障害性T細胞を生体内に投与することによっても、癌細胞を障害し、癌組織を退縮させることができる。また、上記ポリペプチドを提示する抗原提示細胞は、生体内においても該ポリペプチドに特異的な細胞障害性T細胞を誘導し、増殖させることができるので、該抗原提示細胞を生体内に投与することによっても、癌細胞を障害することができる。
上記した単離抗原提示細胞や単離T細胞を生体に投与する場合には、これらの細胞を異物として攻撃する生体内での免疫応答を回避するために、治療を受ける患者から採取した抗原提示細胞又はT細胞を、上記のように上記(a)ないし(c)のポリペプチド、より好ましくは上記(A)ないし(C)のポリペプチドを用いて調製したものであることが好ましい。
抗原提示細胞又はT細胞を有効成分として含む医薬、例えば癌の治療及び/又は予防剤の投与経路は、静脈内投与や動脈内投与のような非経口投与が好ましい。また、投与量は、症状や投与目的等に応じて適宜選択されるが、通常1個〜10兆個、好ましくは100万個〜10億個であり、これを数日ないし数月に1回投与するのが好ましい。製剤は、例えば、細胞を生理緩衝食塩水に懸濁したもの等であってよく、他の抗癌剤やサイトカイン等と併用することもできる。また、製剤分野において周知の1又は2以上の添加剤を添加することもできる。
また、上記(a)ないし(c)のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを対象動物の体内で発現させることによっても、該生体内で抗体生産や細胞障害性T細胞を誘導することができるので、これにより癌の治療及び/又は予防をすることもできる。すなわち、本発明で用いられる上記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、遺伝子ワクチンとしても有用である。この場合、上記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、対象動物細胞内(好ましくは哺乳動物細胞内)で発現可能なベクターに組み込んで用いられる。そのようなベクターとしては、プラスミドベクターでもウイルスベクターでもよく、遺伝子ワクチンの分野で公知のいかなるベクターを用いてもよい。なお、上記ポリペプチドをコードするDNA等のポリヌクレオチドは、上述した通り、常法により容易に調製することができる。
上記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、所望のベクターに組み込むことにより、遺伝子ワクチンを得ることができる。ベクターへの組み込みは当業者に周知の方法を用いて行なうことができる。
遺伝子ワクチンの投与方法は、遺伝子ワクチン分野で公知のいずれの方法であってもよく、特に限定されないが、例えば、筋肉内投与、皮下投与、静脈内投与、動脈内投与等の非経口投与が好ましい。投与量は、抗原の種類や症状等に応じて適宜選択されるが、通常、対象動物の体重1kg当り、遺伝子ワクチンの重量で0.1μg〜100mg程度、好ましくは1μg〜10mg程度である。
ウイルスベクターによる方法としては、例えばレトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、ポリオウイルス、シンドビスウイルス等のRNA ウイルスまたはDNA ウイルスに本発明のDNA を組み込んで対象動物に感染させる方法が挙げられる。この中で、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ワクシニアウイルス等を用いた方法が特に好ましい。
その他の方法としては、発現プラスミドを直接筋肉内に投与する方法(DNAワクチン法)、リポソーム法、リポフェクチン法、マイクロインジェクション法、リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法等が挙げられ、特にDNAワクチン法、リポソーム法が好ましい。
本発明で用いられる上記ポリペプチドをコードする遺伝子を実際に医薬として作用させるには、遺伝子を直接体内に導入するin vivo方法、および対象動物からある種の細胞を採取し体外で遺伝子を該細胞に導入しその細胞を体内に戻すex vivo方法がある(日経サイエンス,1994年4月,p20−45、月刊薬事,1994年,第36巻,第1号,p.23−48、実験医学増刊,1994年,第12巻,第15号、およびこれらの引用文献等)。in vivo方法がより好ましい。
in vivo方法により投与する場合は、治療目的の疾患、症状等に応じた適当な投与経路により投与され得る。例えば、静脈、動脈、皮下、筋肉内などに投与することが出来る。in vivo方法により投与する場合は、例えば、液剤等の製剤形態をとりうるが、一般的には、有効成分である本発明で用いられる上記ペプチドをコードするDNAを含有する注射剤等とされ、必要に応じて、慣用の担体を加えてもよい。また、該DNAを含有するリポソームまたは膜融合リポソーム(センダイウイルス(HVJ)−リポソーム等)においては、懸濁剤、凍結剤、遠心分離濃縮凍結剤等のリポソーム製剤の形態とすることができる。
なお、本発明において、「配列番号1に示される塩基配列」と言った場合には、配列番号1に実際に示されている塩基配列の他、これと相補的な配列も包含する。従って、「配列番号1に示される塩基配列を有するポリヌクレオチド」と言った場合には、配列番号1に実際に示されている塩基配列を有する一本鎖ポリヌクレオチド、その相補的な塩基配列を有する一本鎖ポリヌクレオチド、及びこれらから成る二本鎖ポリヌクレオチドが包含される。本発明に用いられるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを調製する場合には、適宜いずれかの塩基配列を選択することとなるが、当業者であれば容易にその選択をすることができる。
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。
参考例1:SEREX法による新規癌抗原タンパクの取得
(1)cDNAライブラリの作製
健常な犬の精巣組織から酸−グアニジウム−フェノール−クロロフォルム法(Acid guanidium-Phenol-Chloroform法)により全RNAを抽出し、Oligotex-dT30 mRNA purification Kit(宝酒造社製)を用いてキット添付のプロトコールに従ってポリA RNAを精製した。
この得られたmRNA(5μg)を用いてイヌ精巣cDNAファージライブラリを合成した。cDNAファージライブラリの作製にはcDNA Synthesis Kit,ZAP-cDNA Synthesis Kit,ZAP-cDNA GigapackIII Gold Cloning Kit(STRATAGENE社製)を用い、キット添付のプロトコールに従ってライブラリを作製した。作製したcDNAファージライブラリのサイズは1.3×10pfu/mlであった。
(2)血清によるcDNAライブラリのスクリーニング
上記作製したイヌ精巣由来cDNAファージライブラリを用いて、イムノスクリーニングを行った。具体的にはΦ90×15mmのNZYアガロースプレートに2340 クローンとなるように宿主大腸菌(XL1-Blue MRF')に感染させ、42℃、3〜4時間培養し、溶菌斑(プラーク)を作らせ、IPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトシド)を浸透させたニトロセルロースメンブレン(Hybond C Extra: GE Healthecare Bio-Science社製)でプレートを37℃で4時間覆うことによりタンパク質を誘導・発現させ、メンブレンにタンパク質を転写した。その後メンブレンを回収し0.5%脱脂粉乳を含むTBS(10mM Tris-HCl,150mM NaCl, pH7.5)に浸し4℃で一晩振盪することによって非特異反応を抑制した。このフィルターを250倍希釈した患犬血清と室温で2〜3時間反応させた。
上記患犬血清としては、扁平上皮癌の患犬より採取した血清を用いた。これらの血清は−80℃で保存し、使用直前に前処理を行った。血清の前処理方法は、以下の方法による。すなわち、外来遺伝子を挿入していないλ ZAP Express ファージを宿主大腸菌(XL1-BLue MRF')に感染させた後、NZYプレート培地上で37℃、一晩培養した。次いで0.5M NaClを含む0.2M NaHCO3 pH8.3のバッファーをプレートに加え、4℃で15時間静置後、上清を大腸菌/ファージ抽出液として回収した。次に、回収した大腸菌/ファージ抽出液をNHS-カラム (GE Healthecare Bio-Science社製)に通液して、大腸菌・ファージ由来のタンパク質を固定化した。このタンパク固定化カラムに患犬血清を通液・反応させ、大腸菌およびファージに吸着する抗体を血清から取り除いた。カラムを素通りした血清画分は、0.5%脱脂粉乳を含むTBS−T(0.05% Tween20/TBS)にて250倍希釈し、これをイムノスクリーニング材料とした。
かかる処理血清と上記融合タンパク質をブロットしたメンブレンをTBST(0.05% Tween20/TBS)にて4回洗浄を行った後、二次抗体として0.5%脱脂粉乳を含むTBSにて3000倍希釈を行ったヤギ抗イヌIgG(Goat anti Dog IgG-h+I HRP conjugated: BETHYL Laboratories社製)を、室温1時間反応させ、NBT/BCIP反応液(Roche社製)を用いた酵素発色反応により検出し、発色反応陽性部位に一致するコロニーをΦ90×15mmのNZYアガロースプレート上から採取し、SM緩衝液(100mM NaCl、10mM MgClSO4、50mM Tris-HCl、0.01% ゼラチン pH7.5)500μLに溶解させた。発色反応陽性コロニーが単一化するまで上記と同様の方法で、二次、三次スクリーニングを繰り返し、血清中のIgGと反応する35360個のファージクローンをスクリーニングして、1個の陽性クローンを単離した。
(3)単離抗原遺伝子の相同性検索
上記方法により単離した1個の陽性クローンを塩基配列解析に供するため、ファージベクターからプラスミドベクターに転換する操作を行った。具体的には宿主大腸菌(XL1-Blue MRF')を吸光度OD600が1.0となるよう調製した溶液200μlと、精製したファージ溶液100μlさらにExAssist helper phage (STRATAGENE社製)1μlを混合した後37℃で15分間反応後、LB培地を4ml添加し37℃で2〜3時間培養を行い、直ちに70℃の水浴にて20分間保温した後、4℃ 5000rpm 20分間遠心を行い上清をファージミド溶液として回収した。次いでファージミド宿主大腸菌(SOLR)を吸光度OD600が1.0となるよう調製した溶液100μlと、精製したファージ溶液100μlを混合した後37℃で15分間反させ、100μlをアンピシリン(終濃度50μg/ml)含有LB寒天培地に播き37℃一晩培養した。トランスフォームしたSOLRのシングルコロニーを採取し、アンピシリン(終濃度50μg/ml)含有LB培地37℃にて培養後、PureLink Quick plasmid Miniprep Kit(invitrogen社製)を使って目的のインサートを持つプラスミドDNAを精製した。
精製したプラスミドは、配列番号3に記載のT3プライマーと配列番号4に記載のT7プライマーを用いて、プライマーウォーキング法によるインサート全長配列の解析を行った。このシークエンス解析により配列番号1に記載の遺伝子配列を取得した。この遺伝子の塩基配列およびアミノ酸配列を用いて、相同性検索プログラムBLASTサーチ(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)を行い既知遺伝子との相同性検索を行った結果、得られた遺伝子は新規遺伝子であることが判明した。
(4)各組織での発現解析
上記方法により得られた遺伝子に対しイヌ正常組織および各種癌細胞株における発現をRT-PCR(Reverse Transcription-PCR)法により調べた。逆転写反応は以下の通り行なった。すなわち、各組織50−100mgおよび各細胞株5−10×10個の細胞からTRIZOL試薬(invitrogen社製)を用いて添付のプロトコールに従い全RNAを抽出した。この全RNAを用いてSuperscript First-Strand Synthesis System for RT-PCR(invitrogen社製)により添付のプロトコールに従いcDNAを合成した。PCR反応は、取得した遺伝子特異的なプライマー(配列番号5および6に記載)を用いて以下の通り行った。すなわち、逆転写反応により調製したサンプル0.25μl、上記プライマーを各2μM、0.2mM各dNTP、0.65UのExTaqポリメラーゼ(宝酒造社製)となるように各試薬と添付バッファーを加え全量を25μlとし、Thermal Cycler(BIO RAD社製)を用いて、94℃―1分、55℃―1分、72℃―30秒のサイクルを30回繰り返して行った。なお、上記遺伝子特異的プライマーは、配列番号1の塩基配列中の40番〜526番塩基の領域を増幅するものであった。比較対照のため、β−アクチン特異的なプライマー(配列番号7および8に記載)も同時に用いた。その結果、図1に示すように、健常なイヌ組織では精巣特異的に強く発現しており、癌細胞株では乳癌細胞株で強い発現が確認された。また、取得した遺伝子の相同因子の発現を併せて確認したところ、ヒト脳腫瘍、マウス大腸癌、マウス悪性黒色腫で強い発現が検出された。
なお、図1中、縦軸の参照番号1は、取得した新規遺伝子の発現パターンを、参照番号2は、比較対照であるβ−アクチンの遺伝子の発現パターンを示す。
実施例1:組換えタンパク質の作製及び抗腫瘍効果の確認
(1)組換えタンパク質の作製
参考例1で取得した遺伝子を基に、以下の方法にて組換えタンパク質を作製した。PCRは、参考例1で得られたファージミド溶液より調製し配列解析に供したベクターを1μl、BamHIおよびEcoRI制限酵素切断配列とエンテロキナーゼ切断部位を含む2種類のプライマー(配列番号9および10に記載)を各1μM, 0.2mM dNTP,1mM MgSO4,1UのKODポリメラーゼ(東洋紡社製)となるように各試薬と添付バッファーを加え全量を50μlとし、Thermal Cycler (BIO RAD社製)を用いて、94℃―15秒、53℃―30秒、68℃―40秒のサイクルを35回繰り返すことにより行った。なお、上記2種類のプライマーは、配列番号2のアミノ酸配列中の27番アミノ酸から206番アミノ酸までの領域をコードする領域を増幅するものであった。PCR後、増幅されたDNAを1%アガロースゲルにて電気泳動し、QIAquick Gel Extraction Kit (QIAGEN社製)を用いて約560bpのDNA断片を精製した。
精製したDNA断片をクローニングベクターpCR-Blunt(invitrogen社製)にライゲーションした。これを大腸菌に形質転換後プラスミドを回収し、増幅された遺伝子断片が目的配列と一致することをシークエンスで確認した。目的配列と一致したプラスミドをBamHI、EcoRI制限酵素で処理し、QIAquick Gel Extraction Kitで精製後、目的遺伝子配列を、BamHI、EcoRI制限酵素で処理した昆虫細胞用発現ベクターpAcGHLT-A(BD Biosciences Pharmingen社製)に挿入した。このベクターの使用によりGST融合型の組み換えタンパク質が産生できる。このプラスミドを用いて目的遺伝子を含む組換えウイルス体を作製した。組換えウイルス体作製には、昆虫細胞Sf9とBD baculoGold Transfection Kit(BD Biosciences Pharmingen社製)を用いて、キット添付のプロトコールに従い、目的の遺伝子配列を含む組み換えウイルス体を作製した。このウイルスを昆虫細胞に感染させることで目的タンパク質を昆虫細胞内で発現させた。
Sf9およびSf21昆虫細胞(約2×10個)を120cmフラスコを用いて27℃で3〜4日間TFN−FH昆虫細胞培地(BD Biosciences Pharmingen社製)中で培養した後、Sf-900 SFM無血清培地(invitrogen社製)に置き換え、組換えウイルス溶液を50〜500μlを培地に添加しさらに27℃で4日間培養後、上清を回収した。
組換えタンパク質の産生をウェスタンブロットにより以下の方法で確認した。回収した培養上清に等量の2×泳動バッファー(0.125M Tris-HCl pH6.8, 10% 2ME, 4% SDS, 10% スクロース, 0.01% BPB)を添加し、95℃で5分間熱処理を行った。その後、サンプルをSDS-PAGEにより分離し、PVDF膜に転写した。タンパクが転写されたPVDF膜を10%ブロックエース(雪印社製)を含むPBSで4℃、一晩、ブロッキングし、その後、抗GSTに対するヤギポリクローナル抗体(GE Healthecare Bio-Science社製)を室温で1時間反応させた。PBSTで3回洗浄し、HRP標識抗ヤギIgG抗体(GE Healthecare Bio-Science社製)を室温で1時間反応させた。PBSTで3回洗浄後、SuperSignal WestFemto(ピアス社製)に反応させ、X線フィルムに感光することで、組換えタンパク質の発現を確認した。なお、当該組換えタンパク質は、配列番号2に示すアミノ酸配列のうち、27番アミノ酸から206番アミノ酸までの領域を含むものであった。
上記方法により得られた可溶性画分を5mlのHi-Trap GSTカラム(GE Healthecare Bio-Science社製)に通液した後、未吸着画分をPBSにて洗浄後、直ちに20mM グルタチオンを含む50mM Tris-HCl pH8.0の緩衝液にて溶出を行った後、融合タンパクであるGST部分を特異的酵素にて切断・精製した。
具体的には、上記方法により得られた精製画分200μlを1mlの反応緩衝液(20mM Tris-HCl, 50mM NaCl, 2mM CaCl2 pH7.4)に分注を行った後、エンテロキナーゼ(Novagen社製)2μl添加した後、室温にて一晩静置・反応を行い、GSTを切断し、Enterokinase Cleavage Capture Kit(Novagen社製)を用いてその添付プロトコールに従って精製を行った。次に、上記方法によって得られた精製標品1.2mlを、限外ろ過NANOSEP 10K OMEGA(PALL社製)を用いて、生理用リン酸緩衝液(日水製薬社製)置換した後、HTタフリンアクロディスク0.22μm(PALL社製)にて無菌ろ過を行い、これを以下の実験に用いた。
(2)組換えタンパク質の犬生体内での免疫誘導能の評価
参考例1で得られた精製標品1mlと等量の不完全フロイントアジュバント(和光純薬社製)を混合し、これを健常犬の皮下に投与した。比較対照となる犬においては生理用リン酸緩衝液(PBS)1mlと等量の不完全フロイントアジュバント(和光純薬社製)を混合調製したものを投与した。一週間経過した時点で前肢より採血した後、血清を分離し、組換えタンパク質を固相化したイムノプレートを用いて、投与した組換えタンパク質に対する血清中の抗体価の測定を行い、免疫誘導能を評価した。
抗体価の測定は、具体的には以下のとおりの方法で行なった。すなわち、上記(1)の方法で精製した組換えタンパク質をNunc社製96穴イムノプレートに固相化後、余剰官能基をブロックするため0.5% BSA-50mM NaHCO3 pH8.3の緩衝液にて室温1時間反応させた後、各種血清を0.5% BSA-50mM NaHCO3 pH8.3の緩衝液にて250倍に希釈を行い反応させた。その後、PBS-T(0.05% Tween 20を含むPBS)にて洗浄した後、HRP結合ヤギ抗イヌIgG抗体と基質であるO-phenylendiamineを加えて吸光度計を用いて吸光度を測定した。
その結果、図2に示すように、比較対照となるPBSを投与したコントロールの犬に対して、組換えタンパク質を投与した犬では有意に高い組換えタンパクに対する抗体価が検出され、該組換えタンパク質が高い抗原性を持つことが示された。なお、図2中、参照番号3,5,7は、それぞれ組換えタンパクを投与後0日、4日、7日後に採取した血清を用いた結果であり、参照番号4,6,8は、それぞれPBSを投与後0日、4日、7日後に採取した血清を用いた結果である。
(3)組換えタンパク質の担癌患犬に対する抗腫瘍効果
表皮に腫瘤を持つ担癌患犬2頭(乳腺腫瘍2頭)に対して、上記組換えタンパクの抗腫瘍効果の評価を行った。投与を行う前に、まず上記(2)に記載した方法により、各患犬の血清中の組換えタンパク質に対する抗体価を測定したところ、健常犬と比較して高い抗体価が検出された(図3)。このことからこれら担癌患犬の生体中の腫瘍組織には、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質が癌抗原として発現していることが示唆された。
上記(1)の通り精製した組換えタンパク質2mlと等量の不完全フロイントアジュバント(和光純薬社製)を混合して癌治療剤とし、これを一週間毎に腫瘍近傍の所属リンパ節に計3回投与を行った。その結果、癌治療剤投与時点で、それぞれ大きさが約50mm及び100mmであった腫瘤が、癌治療剤投与からそれぞれ13日後及び21日後には、完全に退縮した。
また、肛門周囲に発生した腺癌および表皮に発生した扁平上皮癌の各患犬に対して、上記の通り精製した組換えタンパク質10μg(0.5ml)に等量のMONTANIDE ISA51(SEPPIC社製)を混合して癌治療剤とし、これを一週間毎に腫瘍近傍の皮下に計4回投与した。その結果、癌治療剤投与時点で、それぞれ癌の大きさが約37mm及び28mmであった腫瘤が、癌治療剤投与からそれぞれ35日後及び42日後には、完全に退縮した。
実施例2:ペプチドエピトープ反応性CD8陽性T細胞の誘導
(1)配列番号2に示されるアミノ酸配列中のHLA-A0201結合モチーフ予測のため、公知のBIMASソフト(http://bimas.dcrt.nih.gov/molbio/hla_bind/で利用可能)を用いたコンピューター予測プログラムを用いて配列番号2のアミノ酸配列を解析し、HLAクラスI分子に結合可能と予想されるポリペプチド20種類を選択した。
(2)HLA-A0201陽性の健常人から末梢血を分離し、Lymphocyte separation medium(OrganonpTeknika, Durham, NC)に重層して1,500rpmで室温で20分間遠心分離した。末梢血単核球(PBMC)を含有する画分を回収し、冷リン酸塩緩衝液中で3回(またはそれ以上)洗浄し、PBMCを得た。得られたPBMCをAIM−V培地(Life Technololgies, Inc., 米国ニューヨーク州Grand Island)20mlに懸濁し、培養フラスコ(Falcon)中に37℃、5%COの条件下で2時間付着させた。非付着細胞はT細胞調製に用い、付着細胞は樹状細胞を調製するために用いた。
一方、付着細胞をAIM−V培地中でIL−4(1000U/ml)およびGM−CSF(1000U/ml)の存在下で培養した。6日後にIL−4(1000U/ml)、GM−CSF(1000U/ml)、IL−6(1000U/ml、Genzyme, Cambridge, MA)、IL−1β(10ng/ml、Genzyme, Cambridge, MA)およびTNF−α(10ng/ml、Genzyme, Cambridge, MA)を添加したAIM−V培地に交換してさらに2日間培養した後得られた非付着細胞集団を樹状細胞として用いた。
(3)調製した樹状細胞をAIM−V培地中に1×10細胞/mlの細胞密度で懸濁し、選択したポリペプチドを10μg/mlの濃度で添加し、96穴プレートを用いて37℃、5%COの条件下で4時間培養した。培養後、X線照射(3000rad)し、AIM−V培地で洗浄し、10%ヒトAB血清(Nabi, Miami, FL)、IL−6(1000U/ml)およびIL−12(10ng/ml、Genzyme, Cambridge, MA)を含有するAIM−V培地で懸濁し、24穴プレート1穴当りにそれぞれ1×10細胞づつ添加した。さらに調製したT細胞集団を1穴当りそれぞれ1×10細胞添加し、37℃、5%COの条件下で培養した。7日後、それぞれの培養上清を捨て、上記と同様にして得た各ポリペプチドで処理後X線照射した樹状細胞を10%ヒトAB血清(Nabi, Miami, FL)、IL−7(10U/ml、Genzyme, Cambridge, MA)およびIL−2(10U/ml、Genzyme, Cambridge, MA)を含有するAIM−V培地で懸濁し(細胞密度:1×10細胞/ml)、24穴プレート1穴当りにそれぞれ1×10細胞づつ添加し、さらに培養した。同様の操作を7日間おきに4〜6回繰返した後刺激されたT細胞を回収し,フローサイトメトリーによりCD8陽性T細胞の誘導を確認した。
実施例3:HLA-A0201陽性CD8陽性T細胞を刺激する配列番号2中の細胞障害性T細胞抗原エピトープの決定
(1)上記で誘導した各穴のT細胞の内、配列番号11、12又は13に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドで刺激されたT細胞が増殖していることが顕微鏡下における細胞数計測により確認された。増殖が見られたT細胞それぞれについて、パルスに用いた各ポリペプチドに対する特異性を調べるために、ポリペプチドでパルスされた、HLA-A0201分子を発現するT2細胞(Salter RD et al.,Immunogenetics, 21:235-246(1985)、ATCCより購入)(10μg/mlの濃度でAIM−V培地中各ポリペプチドを添加し、37℃、5%COの条件下で4時間培養)5×10個に対して、5×10個のT細胞を添加し、10%ヒトAB血清を含むAIM−V培地中で96穴プレートにて24時間培養した。培養後の上清を取って、IFN−γの産生量をELISA法により測定した。その結果、ポリペプチドをパルスしていないT2細胞を用いた穴の培養上清に比べて、配列番号11、12又は13のポリペプチドをパルスしたT2細胞を用いた穴の培養上清において、IFN−γ産生が確認された(図4)。従って、配列番号11、12及び13のポリペプチドは特異的にHLA-A0201陽性CD8陽性T細胞を増殖刺激させ、IFN−γ産生を誘導する能力を有するT細胞エピトープペプチドであることが判明した。
なお、図4中、縦軸の参照番号14、15及び16はそれぞれ配列番号11、12及び13で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドについての結果を示す。参照番号17は配列番号2由来ポリペプチドの1つであるが本発明の範囲外のポリペプチドSSLQEDLAH(配列番号14)についての結果を示す(比較例1)。参照番号18はポリペプチドを添加せずに上記処理を行なった場合についての結果を示す(比較例2)。
(2)次に、本発明で用いられるポリペプチドの1つである配列番号11、12及び13のポリペプチドが、HLA-A0201陽性で配列番号2のタンパク質又はその相同因子を発現する腫瘍細胞上のHLA-A0201分子上に提示されるものであるか、また本ポリペプチドで刺激されたCD8陽性T細胞がHLA-A0201陽性で配列番号2のタンパク質又はその相同因子を発現する腫瘍細胞を障害することができるかを検討した。参考例1(4)と同様の手法により配列番号2のタンパク質の相同因子の発現が確認された悪性脳腫瘍細胞株、T98G(Stein GH et al.,J. Cell Physiol., 99:43-54(1979)、ATCCより購入)を10個50ml容の遠心チューブに集め、100μCiのクロミウム51を加え37℃で2時間インキュベートした。その後10%ヒトAB血清を含むAIM−V培地で3回洗浄し、96穴V底プレート1穴あたり10個づつ添加し、さらにこれに後10%ヒトAB血清を含むAIM−V培地で懸濁された10、5x10、2.5x10および1.25x10個の配列番号11、12及び13の各ポリペプチドで刺激されたHLA-A0201陽性のCD8陽性T細胞をそれぞれ添加して、37℃、5%COの条件下で4時間培養した。培養後、障害を受けた腫瘍細胞から放出される培養上清中のクロミウム51の量を測定することによって、配列番号11、12及び13の各ペプチドで刺激されたCD8陽性T細胞細胞の細胞障害活性を算出した。その結果、配列番号11、12及び13の各ペプチドで刺激されたHLA-A0201陽性のCD8陽性T細胞がT98Gに対する細胞障害活性を有することが判明した(図5)。従って、本発明で用いられるポリペプチドである配列番号11、12及び13の各ポリペプチドは、HLA-A0201陽性で配列番号2のタンパク質の相同因子を発現する腫瘍細胞上のHLA-A0201分子上に提示されるものであり、さらにこれらポリペプチドは、このような腫瘍細胞を障害することができるCD8陽性細胞障害性T細胞を誘導する能力があることが明らかになった。なお、図5中、横軸の参照番号19、20および21は、それぞれ配列番号11、12および13のポリペプチドについての結果を示す。さらに、横軸の参照番号22は配列番号2のタンパク質由来ポリペプチドの1つであるが本発明の範囲外のポリペプチドである配列番号14のポリペプチドについての結果(比較例3)、横軸の参照番号23はポリペプチドを添加せずに上記処理を行なった場合についての結果を示す(比較例4)。
なお、細胞障害活性は、上記のように、本発明で用いられる各ポリペプチドで刺激誘導されたCD8陽性T細胞10個とクロミウム51を取り込ませた10個の悪性脳腫瘍細胞株T98Gとを混合して4時間培養し、培養後培地に放出されたクロミウム51の量を測定して、以下計算式により算出したCD8陽性T細胞のT98Gに対する細胞障害活性を示した結果である。式:細胞障害活性(%)=CD8陽性T細胞を加えた際のT98GおよびU87 MGからのクロミウム51遊離量÷1N塩酸を加えた標的細胞からのクロミウム51遊離量×100
参考例で同定した新規遺伝子の、イヌ正常組織および腫瘍細胞株での発現パターンを示す図である。参照番号1;新規遺伝子の発現パターン、参照番号2;β−アクチン遺伝子の発現パターンを示す。 組換えタンパク質を投与した健常イヌから採取した血清中の、組換えタンパク質に対する抗体価を示す図である。参照番号3、5及び7は、それぞれ組換えタンパク質を投与後0日、4日及び7日後に採取した血清についての結果、参照番号4、6及び8は、それぞれPBSを投与後0日、4日及び7日後に採取した血清についての結果を示す。 実施例で調製した組換えタンパク質に対する、担癌犬由来血清中の抗体の反応性を示す図である。参照番号9ないし11はそれぞれ健常犬の結果、参照番号12及び13は担癌患犬(乳腺腫瘍)の結果を示す。 配列番号11ないし13に示すアミノ酸配列を有する各ポリペプチドに特異的なCD8陽性T細胞が、該ポリペプチドとHLA−A0201との複合体を認識してIFN−γを産生することを示す図である。 配列番号11ないし13に示すアミノ酸配列を有する各ペプチドに特異的なCD8陽性T細胞の、癌細胞に対する障害活性を示す図である。

Claims (14)

  1. 以下の(a)ないし(c)のいずれかのポリペプチドであって、抗癌活性を有するポリペプチド又は該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、該ポリペプチドを生体内で発現可能な組換えベクターを有効成分として含有する癌の治療及び/又は予防剤。
    (a) 配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列中の連続する7個以上のアミノ酸から成るポリペプチド。
    (b) (a)のポリペプチドと80%以上の相同性を有し、7個以上のアミノ酸から成るポリペプチド。
    (c) (a)又は(b)のポリペプチドを部分配列として含むポリペプチド。
  2. 前記ポリペプチドが、配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列中の連続する7個以上のアミノ酸から成るポリペプチド、又は該ポリペプチドを部分配列として含むポリペプチドである、請求項1記載の癌の治療及び/又は予防剤。
  3. 前記ポリペプチドが、配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列中の連続する7個以上のアミノ酸から成るポリペプチドである請求項2記載の癌の治療及び/又は予防剤。
  4. 前記連続する7個以上のアミノ酸が、配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列の27番アミノ酸〜206番アミノ酸の領域内に位置する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の癌の治療及び/又は予防剤。
  5. 前記ポリペプチドが、配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列中の27番アミノ酸〜206番アミノ酸の領域を含むポリペプチドである請求項4記載の癌の治療及び/又は予防剤。
  6. 前記ポリペプチドが、配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドである請求項5記載の癌の治療及び/又は予防剤。
  7. 配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列中の連続する少なくとも180個以上のアミノ酸から成り、該アミノ酸配列中の27番アミノ酸〜206番アミノ酸の領域を含むポリペプチドを有効成分として含有する癌の治療及び/又は予防剤。
  8. 前記ポリペプチドが、配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列中の109番アミノ酸〜118番アミノ酸の領域を示す配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドである、請求項4に記載の癌の治療及び/又は予防剤。
  9. 前記ポリペプチドが、配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列中の129番アミノ酸〜137番アミノ酸の領域を示す配列番号12に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドである、請求項4に記載の癌の治療及び/又は予防剤。
  10. 前記ポリペプチドが、配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列中の177番アミノ酸〜185番アミノ酸の領域を示す配列番号13に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドである、請求項4に記載の癌の治療及び/又は予防剤。
  11. 以下の(A)ないし(C)のいずれかのポリペプチドであって抗癌活性を有するポリペプチドとHLA分子の複合体を含む単離抗原提示細胞。
    (A) 配列表の配列番号11ないし13のいずれかに示されるアミノ酸配列中の連続する7個以上のアミノ酸から成るポリペプチド。
    (B) (A)のポリペプチドと80%以上の相同性を有し、7個以上のアミノ酸から成るポリペプチド。
    (C) (A)又は(B)のポリペプチドを部分配列として含む、アミノ酸残基数が8〜30であるポリペプチド。
  12. 以下の(A)ないし(C)のいずれかのポリペプチドであって抗癌活性を有するポリペプチドとHLA分子の複合体を選択的に結合する単離T細胞。
    (A) 配列表の配列番号11ないし13のいずれかに示されるアミノ酸配列中の連続する7個以上のアミノ酸から成るポリペプチド。
    (B) (A)のポリペプチドと80%以上の相同性を有し、7個以上のアミノ酸から成るポリペプチド。
    (C) (A)又は(B)のポリペプチドを部分配列として含む、アミノ酸残基数が8〜30であるポリペプチド。
  13. 請求項11記載の単離抗原提示細胞又は請求項12記載の単離T細胞を有効成分として含有する医薬。
  14. 請求項11記載の単離抗原提示細胞又は請求項12記載の単離T細胞を有効成分として含有する癌の治療及び/又は予防剤。
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