JP2008247668A - 可燃性難破砕物の処理方法およびその装置 - Google Patents

可燃性難破砕物の処理方法およびその装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 可燃性廃棄物を破砕処理後、セメント製造工程で燃焼させるに際し、該可燃性廃棄物として廃畳などの可燃性難破砕物を使用した場合に、破砕機廻りのマテリアル・ハンドリングにおけるトラブルを生じさせず、容易に可燃性難破砕物をセメント製造工程で再利用できるようにする前処理方法とその実施のための装置を提供する。
【解決手段】 回転する多連ディスクカッター刃を備えた切断機を2台利用し、これらの相互を直交に配置することによって、二段階の切断処理で被破砕物をサイコロ状、または直方体、または菱餅形状の小片に切断し、直接、セメント製造装置で燃焼処理するか、またはさらに、破砕機にて破砕処理した後、セメント製造装置にて燃焼処理する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、廃畳や農業用ポリエチレンシート等の繊維質を含みかつサイズの大きい可燃性難破砕物を前処理した後、セメント製造装置に投入し燃焼処理する可燃性難破砕物の処理方法およびその装置に関する。さらに詳しくは、該可燃性難破砕物をセメント製造工程で燃料の代替として再利用するための前処理に関するものである。
セメントクリンカの製造設備では、燃料の代替として可燃性廃棄物の使用が増加しており、廃プラスチックなど様々な可燃性廃棄物を使用している。例えば近年、家屋の解体やリフォームを行う際、多量に発生する廃畳は埋立て処分場の逼迫により熱量源として再利用する必要性が高まってきた。しかし、廃畳は繊維質の稲藁等を圧縮して製造されている場合が多く廃畳をそのままの形で、セメント製造工程における燃料の代替として廃プラスチック等の廃棄物利用のために前処理装置として前記セメントクリンカ製造設備の破砕工程に使用されている破砕機に投入すると、破砕能力の低下を起こす等の問題があった。
また、特許文献1〜5に記載されているような回転歯を有する1軸ローター式の破砕機や2軸ローター式の破砕機など一般的な破砕機で破砕する場合、破砕の機構が回転する鋭い突起物で被破砕物を引っ掻くことによって小さく破砕するようになっている。そのため、破砕された畳の藁により被破砕品の嵩が増して体積が膨張したり、長い藁の繊維が残存したりする。それにより、被破砕品の貯蔵部からの抜出し装置に閉塞等が生じて、連続かつ安定的な破砕作業に支障を起こしていた。
また、被破砕物として、絨毯や農業用ポリエチレン等のシート状のものは、運搬しやすいように数層に折りたたんだ荷姿となっている。セメント製造工程において一般的な廃プラスチック等の燃料の前処理用として使用されている1軸破砕機や2軸破砕機にそのまま投入すると、被破砕物がその延伸性や弾力性によって引き伸ばされて長い帯状になる。そのため、見掛けの嵩が大きくなって一定容積あたりの重量処理量としての破砕能力の低下を起こしていた。また、これらを破砕することによって、被破砕物は体積が膨張したり、静電気にて凝集・附着したり、長い紐状の物や帯状の物や繊維物が破砕されずに残存したりする。それによって、被破砕物の抜出し装置の閉塞現象や、長い紐状の物、帯状の物、繊維物が起因となる被破砕物の相互間での絡みつき等によって破砕効率が低下するなどのトラブルを生じていた。これは、人手による解除作業を伴い、連続かつ安定作業に大きな支障をきたしていた。
また、廃畳を一般的な破砕機で破砕する際には、破砕の機構原理からして、藁が飛び散り、埃が舞うなど、作業の環境衛生面でも問題が多かった。そのため、前記環境衛生対策として、破砕機付近に集塵装置を設置する等、設備投資にも多くの費用をかけていた。さらに、特許文献6のように、裁断してその後、切断する方法は従来からあるが、多数のカッター刃による連続処理工程によって被破砕物を大量処理し、セメント製造装置にて燃焼処理するのに適したものではなかった。
このように、廃畳をも混合破砕するような、廃プラスチック等の破砕機における安定的な破砕作業や、セメント製造装置における被破砕物の連続的な大量燃焼処理方法のためには、上記の破砕作業の際のトラブル対処が必要であった。このことより、前記破砕機の有効な稼働時間が減少する等の要因によって、セメント製造工程で燃料として効率的に利用し得る他の一般的な廃プラスチックの処理量が低減してしまうことが従来の問題であった。
特開2004−41984号公報 特開2003−135990号公報 特開2003−135991号公報 特開2003−135992号公報 特開2001―62323号公報 特開2002―331250号公報
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、セメント製造工程で、前処理として廃プラスチック等の廃棄物の破砕処理を行う破砕機に可燃性難破砕物によるトラブルを生じさせず、該可燃性難破砕物を含む前記廃棄物を燃料の代替として容易に再利用するための前処理方法を提供することを目的とする。
本発明者は、セメント製造工程において燃料の代替としての廃プラスチック等の前処理用として使用されている一般的な破砕機を使用せずに、廃畳、農業用樹脂系シート、土木用樹脂系シート、絨毯、マット、テント、帆布などの平板状やシート状の廃棄物(可燃性難破砕物)を小片に破砕する手段について鋭意検討した。その結果、これら廃棄物の破砕に際し破砕機を使用せず、切断機によって二段階で切断し、紐状や帯状の長繊維物のない小片にした後、セメント製造装置に輸送供給すれば、これら廃棄物を熱量源として大量に再利用することができるという知見を得、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、回転するディスクカッター刃をもつ切断機を二段階に用いて、可燃性難破砕物を、その最長辺の長さが75乃至400ミリメートルになるようにして、好ましくは上面から見て、第一段階では短冊形状に、そして第二段階では概略正方形または菱形形状に切断した後、セメント製造装置に投入して燃焼処理することを特徴とする可燃性難破砕物の処理方法を提供するものである。
また、本発明は、上記可燃性難破砕物の処理方法を実施するための処理装置であって、少なくとも、回転する1軸に1乃至30枚のディスクカッター刃をもった第一段階目の切断機と、被破砕物(被切断物)を第二段階目の切断機へ押し込む押込み装置のついた反転台と、回転する1軸に1乃至30枚のディスクカッター刃をもった第二段階目の切断機と、切断された可燃性難破砕物を燃焼処理するためのセメント製造装置とで構成され、前記2台の切断機が平面上直交して配置されていることを特徴とする可燃性難破砕物の処理装置を提供するものである。
また、本発明は、回転するディスクカッター刃をもつ切断機を二段階に用いて、可燃性難破砕物を、その最長辺の長さが75乃至400ミリメートルになるようにして、好ましくは上面から見て、第一段階では短冊形状に、そして第二段階では概略正方形または菱形形状に切断した後、破砕機によってさらに小片とし、その後に、セメント製造装置に投入して燃焼処理することを特徴とする第2の可燃性難破砕物の処理方法を提供するものである。
さらにまた、本発明は、上記第2の可燃性難破砕物の処理方法を実施するための処理装置であって、少なくとも、回転する1軸に1乃至30枚のディスクカッター刃をもった第一段階目の切断機と、被破砕物(被切断物)を第二段階目の切断機へ押し込む押込み装置のついた反転台と、回転する1軸に1乃至30枚のディスクカッター刃をもった第二段階目の切断機と、破砕機と、切断・小片化された可燃性難破砕物を燃焼処理するためのセメント製造装置とで構成され、前記2台の切断機が平面上直交して配置されていることを特徴とする第2の可燃性難破砕物の燃焼処理装置を提供するものである。
本発明の処理方法及び処理装置によれば、可燃性難破砕性廃棄物を切断機にて小片に切断することにより、廃プラスチックとの混合破砕を行う該可燃性難破砕性廃棄物の1軸破砕機での破砕処理効率が上がり、従来よりも多量の可燃性廃棄物をセメントの製造工程で燃料の代替として容易に再利用することができるようになる。
また、切断機を使用することにより、1軸破砕機に比べて騒音が低く、粉塵の発生も少ないので、環境対策面でも大きな効果が得られる。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の二段階の切断装置において2台の切断機が直交方向に配置されている状態を模式的に示す概略の平面図である。
図1にしたがって、本発明の基本部分をなす二段階の切断装置での切断処理機構について、前記可燃性難破砕性廃棄物、つまり可燃性難破砕物として廃畳を代表例に説明する。
回転する一本の軸にディスクカッター刃を1乃至30枚連結して取り付けた切断機を2台用意する。切断前の可燃性難破砕物(以下、単に被切断物ともいう。)1として、廃畳を水平にして第一段階目の切断機2に押込み投入し、長辺方向から切断することにより被切断物1の上面から見て短冊形状の廃畳片にする。次に、第一段階目の切断機2から出た前記短冊形状の廃畳片は、反転台4の上に全部載せられた後、第一段階目の切断機2と直交して配置された第二段階目の切断機6の入口方向に向けて、押込み装置5にて押され、第二段階目の切断機6に押し込まれる。そして、この第二段階目の切断機6では、前記多数の短冊形状の廃畳片を短い幅の方向から再切断し、最長辺の大きさが概ね75乃至400ミリメートル、好ましくは100乃至200ミリメートルであり、かつサイコロ状、または直方体、または菱餅の形状、すなわち被切断物1の上面から見て概略正方形または菱形形状を有する廃畳片とすることができる。
なお、廃畳片の最長辺の大きさが75ミリメートル未満の場合は、第一段階目の切断機2から出た廃畳片を短冊形状で第二段階目の切断機6に押し込む際に、整列させ難いし、75ミリメートル以上、100ミリメートル未満の場合は、第二段階目の切断機6の入口前で整列させ難い恐れがあるので注意を要する。一方、廃畳片の最長辺の大きさが400ミリメートルを超えると、後述する輸送機によるセメント製造装置9への輸送及び投入用ホッパーや投入供給装置への一時的な貯蔵の際に、廃畳片の流れが不均一になったり、途中で閉塞したりするので好ましくないし、200ミリメートルを超え、400ミリメートル以下の場合はその恐れがあり注意が必要である。
また、前記第一段階目の切断機2と第二段階目の切断機6において、回転する一本の軸に連結して取り付けられたディスクカッター刃が30枚を超えると、各切断機2,6の回転軸18において、ディスクカッター刃を該回転軸18に固定するために必要な機械的強度を保持する上で問題が生じ、好ましくない。
次に図2は、可燃性難破砕物を受入れて、二段階で切断後、セメント製造装置へ輸送し、燃料として燃焼処理するまで、場合によっては二段階で切断後、さらに破砕・小片化してからセメント製造装置へ輸送し、燃料として燃焼処理するまでの全体フロー図を示す。すなわち、図2は、本発明の第1及び第2の実施形態を模式的に示すものである。
そこで図2に基づいて、本発明の第1実施形態における全体の処理工程について、可燃性難破砕物として廃畳を例に説明する。
図2に示したように、本発明の第1実施形態の処理装置は、受入れた廃畳を二段階で切断するための二段階方式切断機の装置12と、該装置12を出た廃畳片をセメント製造装置9へ輸送するための輸送機13と、輸送された廃畳片を投入供給装置15に供給するための投入用ホッパー14と、廃畳片をセメント製造装置9の高温部に投入するための投入供給装置15と、投入された廃畳片を燃焼処理して熱量源として再利用するためのセメント製造装置9とを少なくとも備えている。そして、前記二段階方式切断機の装置12は、回転する1軸に1乃至30枚のディスクカッター刃をもった第一段階目の切断機2と、被切断物を第二段階目の切断機6へ押し込む押込み装置5(図1を参照。)の付いた反転台4と、回転する1軸に1乃至30枚のディスクカッター刃をもち、前記第一段階目の切断機2とは平面上直交して配置されている第二段階目の切断機6とで構成されている。
本発明の第1実施形態の処理方法において、受入れ可燃性難破砕物10としての廃畳を、まず、受入れされた可燃性難破砕物の置き場11から、重機または連続引き出し装置(図2には示していない。)にて、二段階方式切断機の装置12に整列させて持ち込む。
二段階方式切断機の装置12では、まず、被切断物である廃畳を第一段階目の切断機2に投入する。第一段階目の切断機2では、その回転する一本の軸に連結して取り付けられたディスクカッター刃の回転によって廃畳がその上面から見て短冊形状に切断される。そして、第一段階目の切断機2を出た廃畳片は、反転台4の上に短冊形状に押し出される。短冊形状の廃畳片が全部、反転台4の上に載った後、該廃畳片を、押込み装置5によりその短冊形状の縦方向から押し込むことによって、該廃畳片の流れを直角方向に変え、該廃畳片の移送流れ方向を第二段階目の切断機6の入口に向けて押し込む。第二段階目の切断機6では、前記第一段階目の切断機2と同様にしてその回転する一本の軸に連結して取り付けられたディスクカッター刃の回転によって短冊形状の廃畳がその上面から見て概略正方形または菱形形状に切断される。このようにして前記第二段階目の切断機6で切断され、該切断機6を出た廃畳片は、サイコロ状、直方体または菱餅形状になっており、ベルトコンベアーなどの連続輸送機13にて秤量され、輸送され、投入用ホッパー14を介して投入供給装置15に供給される。そして、該投入供給装置15によってセメント製造装置9の高温部に自由落下にて投入され、燃焼処理される。
前記サイコロ状、直方体または菱餅形状をした最長辺が75乃至400ミリメートルの廃畳片は、セメント製造装置9における炉底での可燃性難破砕物(廃畳片)の停留燃焼域が存在する位置への投入が適当である。また、炉内の雰囲気温度が950乃至1200℃の位置への投入が適当である。炉内の雰囲気温度が950℃未満である位置への投入は、廃畳片の燃焼遅れにより、セメント製造装置9の排気ガス温度が上昇し、熱の有効利用の観点から好ましくなく、また、炉内の雰囲気温度が1200℃を超える位置への投入は、廃畳片の自由落下での投入が不可能となるため、別途、専用の強制投入装置が必要となり設備投資効率の面から好ましくない。
上記のような条件が整う前記廃畳片の投入位置としては、ロータリーキルンの場合はキルン入口である窯尻部が適当である。
また一方、本発明の第2の可燃性難破砕物の処理方法を実施するための処理装置、すなわち、本発明の第2実施形態の処理装置は、図2に示したように、受入れた廃畳を二段階で切断するための二段階方式切断機の装置12と、該装置12を出た、切断された廃畳片を他の廃プラスチック等の燃料廃棄物とともに破砕してさらに小片化するための1軸破砕機8と、該破砕機8を出た小片化処理された破砕物をセメント製造装置9へ輸送し投入するための輸送機13と、投入された破砕物を燃焼処理して熱量源として再利用するためのセメント製造装置9とを少なくとも備えている。投入された破砕物を燃焼処理して熱量源として再利用するためのセメント製造装置9とを少なくとも備えている。そして、前記二段階方式切断機の装置12は、前述した本発明の第1実施形態の処理装置と同じ構成からなっている。
本発明の第2実施形態の処理方法においては、前述の第1実施形態の処理方法と同様にして、受入れ可燃性難破砕物10としての廃畳を可燃性難破砕物の置き場11から二段階方式切断機の装置12に持ち込み、二段階に切断して、サイコロ状、直方体または菱餅形状をした最長辺が75乃至400ミリメートルの廃畳片を得ている。
二段階方式切断機の装置12、つまり第二段階目の切断機6を出た廃畳片については、次に、1軸破砕機8へ投入され、該1軸破砕機8に直接投入された他の廃プラスチック等の燃料廃棄物とともに所定のサイズ(最長辺が60ミリメートル以下)にまで該1軸破砕機8によって破砕・小片化処理される。その後、破砕物は、輸送機13によってセメント製造装置9へ輸送され、炉内の燃料浮遊領域に投入されて該領域で燃焼処理される。
すなわち、この場合、前記破砕物の投入位置としては、炉内で浮遊燃焼させる領域が適当であり、800乃至1200℃の雰囲気温度があればよい。この条件を満足する前記破砕物の投入位置としては、セメント製造装置9の仮焼炉内や仮焼炉入口ダクトなどが適当である。
なお、雰囲気温度が800℃未満である位置への投入は、前記破砕物の燃焼遅れにより、セメント製造装置9の排気ガス温度が上昇し、熱の有効利用の観点から好ましくなく、また、雰囲気温度が1200℃を超える位置への投入は、前記破砕物の自由落下での投入が不可能となるため、別途、専用の強制投入装置が必要となり設備投資効率の面から好ましくない。
また、前記破砕物の最長辺が60ミリメートルを超えるサイズになると、前記破砕物が仮焼炉内で燃え切らず、炉の出口温度が上昇し、燃料としての前記破砕物の燃焼効率が悪化し、好ましくない。
また、本発明の第2実施形態においては、処理装置として、1軸破砕機8を出た小片化処理された破砕物をセメント製造装置9へ輸送し投入するための輸送機13に代えて、前記本発明の第1実施形態と同様、1軸破砕機8を出た小片化処理された破砕物をセメント製造装置9へ輸送するための輸送機13と、輸送された該破砕物を投入供給装置15に供給するための投入用ホッパー14と、該破砕物をセメント製造装置9の燃料浮遊領域に投入するための投入供給装置15とを設置して、1軸破砕機8を出た小片化処理された破砕物を輸送機13にて秤量し投入用ホッパー14へ輸送した後、該投入用ホッパー14から投入供給装置15に供給し、続いて該投入供給装置15によりセメント製造装置9の燃料浮遊領域に自由落下にて投入し、燃焼処理することを妨げるものではない。
ここで本発明においては、以上述べた通り、第二段階目の切断機6を出た廃畳片の処理については、直接、セメント製造装置9に投入すること(第1実施形態)と、1軸破砕機8で小片に破砕してからセメント製造装置9に投入すること(第2実施形態)の2通りの処理方法があるが、どちらか一方でも、両方同時にでもいずれの処理方法を実施しても良い。
前記第一段階目と第二段階目の各切断機2,6における切断面の幅は、畳の半帖分もしくは1帖分が引き込み切断される幅長であって、90乃至230センチメートルが適当である。前記第一段階目の切断機2の入口平面は水平で、サイズの大きい京間や本間の1帖の畳でも十分に投入できる広さを有している。また、前記反転台4の広さも畳をどちら向きにでも置ける程度の250センチメートル角の面積を有し、ほぼ水平面上に配置されている。
次に、二段階の切断装置における2台の切断機の主要部の構造乃至その作動状態を模式的に示した図3〜図5に基づいて、被切断物の切断処理について説明する。
図3は、ディスクカッター刃の取り付け状態とディスクカッター刃の2種類の形状を模式的に示した図である。図4は、切断機の回転軸に連結したディスクカッター刃が5枚の場合で、可動台を使用したときの被切断物を切断する状態を示した断面模式図である。そして図5は、切断機の回転軸に連結したディスクカッター刃が5枚の場合で、押込み装置を使用した場合におけるフラットバーのスリットの平面模式図である。
切断機2,6の回転軸18が回転することにより、該回転軸18に連結して取り付けられて回転するディスクカッター刃16の形状としては、図3に示すような円形ディスクカッター刃16の形状が最もよいが、被切断物1が硬質物の場合は細かい鋸歯ディスクカッター刃17の形状でも良い。もちろん、ディスクカッター刃16の形状は、これら2種類の形状に限定されるものではなく、波状歯形状、方形歯形状、偏心軸形状ディスクカッター刃など被切断物1を所望のサイズに切断できるものであればいずれの形状であってもよい。
また、ディスクカッター刃の半径は、被切断物1が廃畳である場合、廃畳の厚さの2乃至7倍程度がよく、回転数は1分間当たり10乃至50回転の程度である。これらの限定は、被切断物1が水平台19に沿って自然に引き込まれる程度のディスクカッター刃16の半径と回転数を設定したことによる。
廃畳は、切断品の最長辺が100〜150ミリメートル程度の長さになるようにするのが良い。一般的なサイズである180センチメートル×90センチメートルの廃畳を処理する場合では、第一段階目の切断機2は、切断面の幅が190センチメートルで、切断面の幅に沿って均等な割合で12枚のディスクカッター刃を設置するのが良い。第二段階目の切断機6は、切断面の幅が100センチメートルで、切断面の幅に沿って均等な割合で6枚のディスクカッター刃を設置するのが良い。この2台の切断機に廃畳を順次通し、図4のようにして切断することによって約140ミリメートル角で厚さ55ミリメートルの切断片(廃畳片)が得られるのである。
なお、図4の場合は、切断機2,6の回転軸18に取り付けられることにより連結したディスクカッター群の刃数は5枚の場合を示しているが、前述したように、30枚までは問題を生じることなく連結が可能である。
前記ディスクカッター刃16の必要な枚数については、被切断物1の最終寸法が前述の通り最長辺で75乃至400ミリメートルであることが望ましいことから、この最終寸法を幾らにするかによって決まってくるものである。
一般的には、本発明の第2実施形態における、前記二段階方式切断機の装置12による切断処理に続く次工程の1軸破砕機8による小片への破砕処理の諸条件は、当該破砕処理工程の必要性を含めて、セメント製造装置9の仮焼炉内の浮遊燃焼領域(図示されていない。)での燃焼処理に必要な被切断物1のサイズによって決まってくる。従って、被切断物1のセメント製造装置9での処理量をできるだけ多くしたい場合には、ディスクカッター刃16の枚数を、30枚を超えない範囲において、できるだけ多くし、できるだけ小さい小片に切断することが望ましい。
また、セメント製造装置9におけるロータリーキルン窯尻(図示されていない。)の炉底にて燃焼処理させる場合は、ディスクカッター刃16の刃の枚数はできるだけ少なくする方が好ましい。それにより、炉への投入経路が閉塞しない程度で、かつ輸送に差し支えない範囲で大きめに切断することが望ましい。
前記切断機2,6の回転軸18の回転によって回転するディスクカッター刃16は、通常、被切断物1が引き込まれる方向に回転するものである。ディスクカッター刃16が停止、破損など、その他異常時には、切断機2,6の非常停止または回転軸18を逆回転させることもできるようになっている。
図5に示す押込み装置5は、前述したように、第一段階目の切断機2を出て反転台4の上に押し出された被切断物1の流れを直角方向に変え、該被切断物1を第二段階目の切断機6の入口に向けて押し込む必要があることから、第二段階目の切断機6への投入個所では必要となるものであるが、第一段階目の切断機2の投入口でも使用することができる。押込み装置5においては、通常は、一定の力で切断機の位置まで被切断物1を押し込む方法をとる。また、ディスクカッター刃16の回転駆動用電動機の負荷電流値または電力量を、押込み操作量で制御して切断機の切断負荷を一定にするような制御装置を使用してもよい。
なお、図5に示すように、押込み装置5が被切断物1(図5には示していない。)を押すときに該被切断物1と接触するフラットバー22には、押し込みを行った際、ディスクカッター刃16と接触しないような手段をとっておくのが好ましい。このような手段として、例えばフラットバー22のディスクカッター刃16が接近する位置に切り込みスリット21を入れておくとよい。このような構造にしておくことで、被切断物1の押し込みを行った際に、ディスクカッター刃16が押込み装置5のフラットバー22に接触しないので、一段と安全性が増加する。
また、押込み装置5において、被切断物1を第二段階目の切断機6に挿入しにくい場合などには、反転台4を可動台に交換するとよい。即ち、押込み装置5に代えて、可動台として第二段階目の切断機6の入口に向けて可動する台を設置すればよい。これにより被切断物1を効率よく切断できる。なお、可動台と押込み装置5を併用してもよい。
図4に示すように、この可動台4においても、前述の押込み装置5の場合と同様、被切断物1を切断する際に第二段階目の切断機6用のディスクカッター刃16が直接、当該可動台4に接触しないようなスリット20を設けておき、確実に被切断物1を切断できるようにすることが好ましい。また、前記可動台4としてはカタピラー式の電動式可動台であってもよく、この場合も押込み装置5を併用してもよい。
なお、第一段階目の切断機2においても被切断物1を挿入しにくい場合は、前記と同様に、挿入装置の被切断物1と接触する部分(例えば、挿入装置が押込み装置5である場合はフラットバー22)にスリットを設けてもよい。
また、押込み装置5において、押込み駆動部(図示されていない。)は設備投資効率の面と簡素な装置であることの点から、電動機が好ましいが、該電動機の他、空気式駆動部または油圧式駆動部のいずれであってもよい。前記駆動部は、シリンダー状のものが好ましいが、短冊形状の廃畳片を第二段階目の切断機6へ直線的に押込むことができればどんな装置や形状のものであってもよい。
これらの廃畳切断処理工程を使用するによって、廃畳片の輸送に関するハンドリングが従来の破砕機による被破砕品の輸送に比べて一段と容易となる。一般的な廃プラスチック等を破砕する破砕機に廃畳片を他の被破砕品と同時に投入しても、本発明のように、あらかじめ廃畳片の最長辺が75乃至400ミリメートルに切断されていると、破砕機内にて長繊維物による閉塞や絡みつきなどのトラブル等を生じさせることがなく、安定して破砕機の稼動をさせることができる。
また一方では、廃畳片は破砕工程の1軸破砕機8を経ずとも、セメント製造装置9の一部をなしている炉底を有する個所(ロータリーキルンの窯尻)に連続安定的に直接、投入することにより、従来よりも多くの量を炉内の各位置で燃焼処理することも可能になった(本発明の第2実施形態)。その結果、セメント製造装置9全体として、廃畳の燃焼処理能力を従来よりも大幅に向上させることができた。
なお、前記本発明の第2実施形態において、被切断物1を切断機2,6で切断した後の破砕工程で、切断小片を破砕する破砕機8としては、回転歯を有する1軸ローター式破砕機か、または2軸ロ−ター式破砕機のいずれかを使用するのが好ましい。また、前記2種類の破砕機の双方を破砕順に直列で2台使用してもよい。
ところで、前記本発明の第1実施形態または第2実施形態において、二段階方式切断機の装置12に持ち込まれる切断前の可燃性難破砕物(被切断物)1としては、繊維質を含みかつサイズの大きい可燃性難破砕性廃棄物が好ましい。具体的には、前記廃畳のほか、農業用樹脂系シート、土木用樹脂系シート、絨毯、マット、テント、帆布などの可燃性廃棄物が挙げられる。
前記可燃性難破砕性廃棄物のサイズとしては、その最短辺が第一段階目の切断機2の切断面と平行になるようにして挿入するものとして、最短辺が畳半帖分の長さ、つまり90センチメートル以上であればよい。最短辺の長さが90センチメートル未満であると、前記第二段階目の切断機6において所定の形状に切断されない恐れがある。
前記可燃性難破砕性廃棄物の最短辺の最大長としては、後記するように、一般的な畳のサイズである畳1帖分と同程度の寸法の大きさ、即ち、180センチメートル×90センチメートルに折りたたんだときに、第一段階目の切断機2に挿入できる厚さ以下となるような長さであればよい。このような厚さとしては、6センチメートル以下であることが好ましい。
一方、前記可燃性難破砕性廃棄物を第一段階目の切断機2に挿入するとき、該切断機2の切断面に対して直角方向にある前記可燃性難破砕性廃棄物の最長辺の長さについては、第一段階目の切断機2への挿入操作に支障のない限り特に制限されるものではないが、前述の如く、180センチメートル×90センチメートルに折りたたんだときの厚さに制限がある以上、その最大長は、最短辺の長さによって制限が出てくる。
以上、前記可燃性難破砕性廃棄物として廃畳を使用した場合について本発明の第1実施形態または第2実施形態を説明してきたが、廃畳以外の例では、絨毯やテント、帆布、シート状のものは、第一段階目の切断機2に挿入できる畳と同程度の寸法の大きさと厚さに折りたたむとよい。または複数枚を重ねて、第一段階目の切断機2に挿入して切断処理してもよい。
本発明は、繊維質を含みサイズの大きい可燃性難破砕物を、最長辺が75乃至400ミリメートルに切断して工業用の炉にて燃焼処理するシステムとして優れている。可燃性難破砕物として廃畳以外には、農業用樹脂系シート、土木用樹脂系シート、ゴムシート、絨毯、マット、テント、帆布、布団、毛布、古着などを対象として本発明を適用できる。これらを廃棄処理したり、回収処理して再利用したりする際に、本発明に従って、事前に切断や裁断を行って小片の被切断品にすると、被破砕物材料のマテリアル・ハンドリングを容易にすることができる。このように、多くの産業分野において本発明を有効に利用することができる。
本発明の二段階の切断装置において2台の切断機が直交方向に配置されてい る状態を模式的に示す概略の平面図である。 本発明の可燃性難破砕物の受入れからセメント製造装置での燃焼処理までの 全体工程を模式的に示す全体フロー図である。 ディスクカッター刃の取り付け状態とディスクカッター刃の2種類の形状を 模式的に示した図である。 切断機の回転軸に連結したディスクカッター刃が5枚の場合で、可動台を使 用したときの被切断物を切断する状態を示した断面模式図である。 切断機の回転軸に連結したディスクカッター刃が5枚の場合で、押込み装置を使用した場合におけるフラットバーのスリットの平面模式図である。
符号の説明
1 切断前の可燃性難破砕物(被切断物)
2 第一段階目の切断機
3 第一段階目切断後の可燃性難破砕物(短冊形状品)
4 反転台(可動台)
5 押込み装置
6 第二段階目の切断機
7 第二段階目切断後の可燃性難破砕物(サイコロ状、又は直方体、又は菱餅形状の被 切断品)
8 1軸破砕機
9 セメント製造装置
10 受入れ可燃性難破砕物
11 可燃性難破砕物の置き場
12 二段階方式切断機の装置
13 輸送機
14 投入用ホッパー
15 投入供給装置
16 円形ディスクカッター刃
17 鋸歯ディスクカッター刃
18 回転軸
19 水平台
20 可動台のスリット
21 押込み装置のスリット
22 フラットバー

Claims (8)

  1. 回転するディスクカッター刃をもつ切断機を二段階に用いて、可燃性難破砕物を、その最長辺の長さが75乃至400ミリメートルになるように切断した後、セメント製造装置に投入して燃焼処理することを特徴とする可燃性難破砕物の処理方法。
  2. 前記回転するディスクカッター刃をもつ切断機を二段階に用いる切断方法が、可燃性難破砕物を上面から見て、第一段階では短冊形状に切断し、第二段階では概略正方形または菱形形状に切断する方法であることを特徴とする請求項1に記載の可燃性難破砕物の処理方法。
  3. 前記可燃性難破砕物が繊維質を含みかつサイズの大きいものである請求項1又は2に記載の可燃性難破砕物の処理方法。
  4. 回転するディスクカッター刃をもつ切断機を二段階に用いて、可燃性難破砕物を、その最長辺の長さが75乃至400ミリメートルになるように切断した後、破砕機によってさらに小片とし、その後に、セメント製造装置に投入して燃焼処理することを特徴とする可燃性難破砕物の処理方法。
  5. 前記回転するディスクカッター刃をもつ切断機を二段階に用いる切断方法が、可燃性難破砕物を上面から見て、第一段階では短冊形状に切断し、第二段階では概略正方形または菱形形状に切断する方法であることを特徴とする請求項4に記載の可燃性難破砕物の処理方法。
  6. 前記可燃性難破砕物が繊維質を含みかつサイズの大きいものである請求項4または5に記載の可燃性難破砕物の処理方法。
  7. 請求項1〜3の何れかに記載した可燃性難破砕物の処理方法を実施するための装置であって、少なくとも、回転する1軸に1乃至30枚のディスクカッター刃をもった第一段階目の切断機と、被破砕物を第二段階目の切断機へ押し込む押込み装置のついた反転台と、回転する1軸に1乃至30枚のディスクカッター刃をもった第二段階目の切断機と、切断された可燃性難破砕物を燃焼処理するためのセメント製造装置とで構成され、前記2台の切断機が平面上直交して配置されていることを特徴とする可燃性難破砕物の処理装置。
  8. 請求項4〜6の何れかに記載した可燃性難破砕物の処理方法を実施するための装置であって、少なくとも、回転する1軸に1乃至30枚のディスクカッター刃をもった第一段階目の切断機と、被破砕物を第二段階目の切断機へ押し込む押込み装置のついた反転台と、回転する1軸に1乃至30枚のディスクカッター刃をもった第二段階目の切断機と、破砕機と、切断・小片化された可燃性難破砕物を燃焼処理するためのセメント製造装置とで構成され、前記2台の切断機が平面上直交して配置されていることを特徴とする可燃性難破砕物の処理装置。
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