JP2008246320A - パターン形成装置、およびフィルター装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】この発明は、フィルターの目詰まりを長期に亘って抑制できメンテナンスの回数を減少できるフィルター装置、およびこのフィルター装置を備えたパターン形成装置を提供することを課題とする。
【解決手段】フィルター装置105は、略円筒形のメッシュフィルター111、このフィルター111を収容したハウジング112、およびハウジング112の外側に接着固定された複数の超音波振動子113、114、115、116を有する。メッシュフィルター111は、接地されている。
【選択図】 図12
【解決手段】フィルター装置105は、略円筒形のメッシュフィルター111、このフィルター111を収容したハウジング112、およびハウジング112の外側に接着固定された複数の超音波振動子113、114、115、116を有する。メッシュフィルター111は、接地されている。
【選択図】 図12
Description
この発明は、例えば、パターン形成装置で使用する液体現像剤の不要物をろ過するフィルター装置、およびこのフィルター装置を備えたパターン形成装置に関する。
従来、基材の表面に微細なパターンを形成する技術として、フォトリソグラフィー技術が中心的な役割を果たしている。しかし、このフォトリソグラフィー技術は、その解像度やパフォーマンスを高めつつある反面、巨大で高額な製造設備を必要とするとともに、パターン以外に塗布した材料の再利用が難しく、パターン形成に要するコストを低く抑えることが難しい。
これに対し、例えば、インクジェット技術は、装置の簡便さや非接触パターニングといった特徴を生かした比較的安価なパターニング技術として実用化され始めている。しかし、このインクジェット技術も、高解像度化や高生産性には限界があることが露呈されつつある。
つまり、これらの点において、電子写真技術、とりわけ液体トナーを用いた電子写真技術は、優れた可能性を有している。
従来、このような電子写真技術を用いて、フラットパネルディスプレイ用の前面基板の蛍光体層やブラックマトリックス、カラーフィルターなどを形成するパターン形成方法が提案されている。例えば、平面型画像表示装置の前面基板に蛍光体スクリーンを形成する装置として、感光体ドラムの表面にパターン状の静電潜像を形成し、この静電潜像に帯電した現像剤を供給して現像し、このように現像した各色の現像剤像を転写ドラムへ順次転写し、転写ドラム上で重ねられた各色の現像剤像を基板に一括転写して定着させるパターン形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
液体トナーを用いた装置では、一般に、パターンの現像に供して使用されなかった液体トナーをタンクに回収するとともに、現像に使用するための新たなトナーをタンクに補充し、攪拌して濃度を調整した後、フィルターを通して現像装置へ再供給するようにしている。しかし、フィルターを通る液体トナーに含まれる不用物がメッシュに詰まるため、この種の装置では、経時的にフィルター機能が低下し、頻繁なメンテナンスが必要とされている。
これに対し、メッシュフィルターを超音波で振動させてメンテナンスの回数を減少させるようにした装置が知られている(例えば、特許文献2、3参照)。しかし、超音波でメッシュフィルターを物理的に振動させるだけでは、目詰まりを十分且つ確実に減少させることはできなかった。
特開2004−30980号公報(図4)
特開2001−347111号公報
特開2004−181346号公報
この発明の目的は、フィルターの目詰まりを長期に亘って抑制できメンテナンスの回数を減少できるフィルター装置、およびこのフィルター装置を備えたパターン形成装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、この発明のフィルター装置は、帯電粒子を含む液体を通して不要物をろ過する導電性のフィルターと、このフィルターの目詰まりを防止するように振動させる振動子と、上記フィルターを接地する接地部と、を有する。
また、この発明のパターン形成装置は、帯電した現像剤粒子を絶縁性液体中に分散させた液体現像剤に電界を作用させてパターンを現像するパターン形成装置であって、現像に供されて使用されなかった液体現像剤を回収するとともに、現像に使用する液体現像剤を収容した現像剤タンクと、この現像剤タンクの液体現像剤を流通させて不要物をろ過する導電性のフィルターと、このフィルターの目詰まりを防止するように振動させる振動子と、上記フィルターを接地する接地部と、を有する。
上記発明によると、フィルターを振動させることで目詰まりを抑制でき、フィルターを接地することで粒子同士の帯電による凝集を解くことができ、フィルターのメンテナンスの回数を少なくできる。
この発明のフィルター装置、およびパターン形成装置は、上記のような構成および作用を有しているので、フィルターの目詰まりを長期に亘って抑制できメンテナンスの回数を減少できる。
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態に係るパターン形成装置について詳細に説明する。ここでは、パターン形成装置の一例として、液晶表示装置やプラズマ表示装置などの平面型画像表示装置のフロントパネル内面に蛍光体スクリーンを印刷するためのパターン形成装置100について説明する。
図1に示すように、パターン形成装置100は、フロントパネル10の背面10bを吸着して保持する吸着板12、フロントパネル10の図中下方に水平な姿勢で配置されたマスキング版20、および、マスキング版20の図中下方に配置され図中左右方向に移動可能に設けられた3つのユニット(現像ユニット30、乾燥ユニット40、および洗浄ユニット50)を有する。
3つのユニット30、40、50は、図中破線矢印で示すように、マスキング版20に対して離接する方向およびマスキング版20と平行な方向に可変速で移動可能に設けられている。なお、現像ユニット30は本発明の現像装置として機能する。また、3つのユニット30、40、50をフロントパネル10に沿って移動させる代りにフロントパネル10を水平方向に移動させるようにしても良い。
図2に示すように、パターン形成装置100の動作を制御する制御部200には、後述する位置決め用の4台のカメラ61、62、63、64、これらのカメラによって撮影した画像をオペレータに対して表示する表示パネル66、オペレータによる各種操作入力を受け付ける操作入力部68、上述した吸着板12を保持するとともに面方向に移動させてフロントパネル10をマスキング版20に対して位置合わせするための位置合わせ機構72、マスキング版20を張設した矩形の枠体21を保持するとともにマスキング版20をフロントパネル10に対して離接させる方向に枠体21を昇降移動させる昇降機構74、吸着板12による保持力を生じさせるようにフロントパネル10に対する吸着力を生じせしめる吸着機構14、フロントパネル10の内面10aとマスキング版20の内面20aを密着させるための磁力を生じせしめる電磁石16、および上述した3つのユニット30、40、50が接続されている。
吸着機構14は、フロントパネル10の背面10bに静電気力を作用させてパネル10を吸着板12に吸着せしめるようにしても良く、フロントパネル10の背面10bに吸着板12から負圧を作用させて吸着せしめるようにしても良い。また、電磁石16は、例えば、吸着板12に内蔵され、フロントパネル10を通して磁性金属により形成された基板を有するマスキング版20に磁力を作用させて、吸着板12とマスキング版20との間でフロントパネル10を挟持することで、フロントパネル10とマスキング版20を密着させる。
図3に部分的に拡大して示すように、フロントパネル10は、矩形のガラス板1の表面に透明な電極層11および格子状のブラックマトリックス13を形成して構成されている。言い換えると、フロントパネル10の内面10aには、ブラックマトリックス13によって区画された3色の蛍光体層を形成するための略矩形の多数の凹部15がマトリックス状に整列して形成されている。すなわち、各凹部15は表示装置の1画素に相当し、その底部には電極層11が設けられていることになる。なお、電極層11は図1に示すように接地されている。
図4に部分的に拡大して示すように、マスキング版20は、フロントパネル10に形成する3色の蛍光体層の印刷パターン15に相当するパターン状の貫通孔22を有する。本実施の形態では、このマスキング版20を用いて3色の蛍光体層を1色ずつフロントパネル10の内面10aに印刷するため、マスキング版20は、内面10aに形成された凹部15の数の1/3の数の貫通孔22を有する。しかしながら、半導体基板など他のパターンを1回で印刷する場合、マスキング版の貫通孔の形状は、印刷パターンと略一致する形状となる。なお、1つの貫通孔22は、フロントパネル10の表面10aに形成された凹部15の開口面積より小さい開口面積を有することを特徴としている。
本実施の形態では、1色分の蛍光体層の印刷が終了した後、マスキング版20を必要に応じて洗浄し、その後、同じマスキング版20を1色分ずらすようにフロントパネル10に対して相対的に移動させて、次の色の蛍光体層を印刷するようにマスキング版20を運用する。このため、マスキング版20は、フロントパネル10の内面10aに形成する凹部15の数の1/3の数の貫通孔22しか持たない。また、洗浄工程を省いた場合、3種類の色毎のマスキング版20を用意することになる。
本実施の形態のマスキング版20は、50[μm]厚のNi−Fe合金の基板24をフォトエッチングによって孔開け加工した後、その表面20a側および裏面20b側から厚さ30[μm]のドライフィルムレジストをそれぞれラミネートして図示しないゴムローラで加圧し、後述するマスク領域を有する焼付け版を介して必要な部位を露光して現像することで絶縁層26を被覆して形成される。
絶縁層26は、マスキング版20の裏面20b全体を被覆するとともに、貫通孔22の内面およびマスキング版20の表面20aのうち貫通孔22の周縁部をも環状に被覆する。マスキング版20は、上述した電磁石16による磁着が可能な磁性材料(本実施の形態では基板24)を含み、且つ表面を帯電可能な高抵抗材料で被覆したものであれば良く、本実施の形態の構造に限定されるものではない。或いは、マスキング版20を帯電が可能な高抵抗材料によって形成しても良い。なお、後述する現像剤粒子の離型性を高めるため、マスキング版20の表面に離型材を塗布しても良い。
ここで、図5に示すフローチャートとともに図6乃至図10を参照して、上記構造のパターン形成装置100によるパターン形成動作を説明する。
まず、ガラス板10の表面に予め電極層11とブラックマトリックス13を形成したフロントパネル10を用意する。そして、このフロントパネル10の背面10bに吸着板12を吸着せしめて、吸着板12を位置合わせ機構72にセットする(図5、ステップ1)。このとき、フロントパネル10の内面10aが下方を向く姿勢で吸着板12が位置合わせ機構72に取り付けられる。これにより、フロントパネル10の内面10aが下方にセットされたマスキング版20の内面20aに対向した状態となる。このとき、フロントパネル10の内面10aとマスキング版20の内面20aとの間には隙間がある(例えば、図4(a)の状態)。
まず、ガラス板10の表面に予め電極層11とブラックマトリックス13を形成したフロントパネル10を用意する。そして、このフロントパネル10の背面10bに吸着板12を吸着せしめて、吸着板12を位置合わせ機構72にセットする(図5、ステップ1)。このとき、フロントパネル10の内面10aが下方を向く姿勢で吸着板12が位置合わせ機構72に取り付けられる。これにより、フロントパネル10の内面10aが下方にセットされたマスキング版20の内面20aに対向した状態となる。このとき、フロントパネル10の内面10aとマスキング版20の内面20aとの間には隙間がある(例えば、図4(a)の状態)。
この状態で、図6に示すように、4台のカメラ61、62、63、64を介して撮影した画像を、表示パネル66を介して表示し、この表示画像を見たオペレータによって位置合わせ機構72が操作されてフロントパネル10が面方向に移動されて位置合わせされる(ステップ2)。図1および図6に示すように、フロントパネル10の4角には位置合わせ用のマークMが予め形成されており、図6では図示を省略した吸着板12の対応する部位には貫通孔12h(図1)が形成されている。そして、吸着板12の背面側に設置したカメラ61、62、63、64を介して、フロントパネル10のマークMとマスキング版20の対応する位置合わせ用のマークMを重ね合わせて検出することで、フロントパネル10とマスキング版20の面方向のズレを検出し、位置合わせ機構72によってフロントパネル10とマスキング版20の面方向の位置合わせを実施する。
すなわち、この位置合わせ工程では、後述する密着工程でフロントパネル10とマスキング版20を密着させたときに、フロントパネル10の現像すべき色の凹部15の内側にマスキング版20の貫通孔22が位置決め(図7の状態)されるように、フロントパネル10をマスキング版20に対して比較的ラフに位置合わせする。
ステップ2の位置合わせの後、昇降機構74が動作されてマスキング版20がフロントパネル10の内面10aに向けて上昇され、フロントパネル10の内面10aとマスキング版20の内面20aが密着される。このとき、吸着板12に内蔵された電磁石16がONにされ、その磁力によって、磁性材料を含むマスキング版20がフロントパネル10の内面10aに密着される(ステップ3)。なお、マスキング版20を高抵抗材料によって形成した場合、磁性材料を混ぜても十分な吸着力を生じさせることができないため、マスキング版20の裏面20b側でパターン形成領域の外側に枠状の磁性体からなる持具を配置して、電磁石16との間でフロントパネル10とマスキング版20を挟持するようにしても良い。
マスキング版20は、上述したように薄い金属板の表面に絶縁層を被覆して形成されているため、パネルサイズが大きくなる程、水平な姿勢に配置した際の撓み量が多くなり、昇降機構74によってマスキング版20を上昇させただけではフロントパネル10と完全に密着しない。このため、本実施の形態では、電磁石16の磁力を利用してフロントパネル10の内面10aにマスキング版20の内面20aを密着させる工夫をした。この状態を図7に部分的に拡大して示す。
つまり、ステップ3で電磁石16をONにして図7に示すようにフロントパネル10の内面10aとマスキング版20の内面20aを密着させると、ステップ2で位置合わせしたフロントパネル10の内面10aに形成されている凹部15とマスキング版20の貫通孔22が繋がって1つの連続した現像凹部82が形成される。このとき、マスキング版20の内面20aであって貫通孔22の周縁部に被覆された環状の絶縁層がシール部材として機能し、貫通孔22と凹部15との間の隙間を埋める。
本実施の形態では、後述する現像工程のため、フロントパネル10とマスキング版20を図7のように密着させた際に、マスキング版20の貫通孔22がフロントパネル10の対応する凹部15の内側に配置される必要があるが、貫通孔22の開口を凹部15の開口より小さくしてあるため、ステップ2の位置合わせにおいて、その精度を低くできる。つまり、位置合わせ精度をある程度低くしても、貫通孔22が対応する凹部15の内側に収まれば問題は無い。
この後、制御部200は、図8に示す現像ユニット30を動作させてマスキング版20の裏面20bを被覆した絶縁被覆層26を現像剤粒子と同極性に帯電させる(ステップ4)。本実施の形態では、帯電装置として、コロナ帯電器32を用いた。なお、ここでは、ステップ3の密着工程の後にステップ4の帯電工程を実施するようにしたが、帯電工程は、密着工程より前のどのタイミングで実施しても良い。また、本実施の形態では、ステップ4の帯電工程において、絶縁層26の表面の電位を400[V]に帯電させるようにした。
現像ユニット30は、図8に示すように、マスキング版20の裏面20bに向けて開口したケース31を有する。図6に示すように、現像ユニット30は、マスキング版20と略同じ幅を有する。ケース31の開口の上端縁部には、その移動方向(図中矢印方向)と直交する幅方向に延びた2本の押付ローラ33が回転可能に取り付けられている。これら押付ローラ33は、現像ユニット30を図8の矢印方向に移動させるとき、マスキング版20の裏面20bに押し付けられるとともに裏面20bに転接する。これにより、現像ユニット30が通過する現像領域において、マスキング版20がフロントパネル10に対してより強い力で密着される。
現像ユニット30のケース31内には、上述したコロナ帯電器32の他に、現像ローラ34とスクイーズローラ36を収容した現像器38が配置されている。この現像器38も、幅方向に延び、パターン形成領域の全幅をカバーする。図9には、現像器38の現像ローラ34とスクイーズローラ36を部分的に拡大して示してある。現像ローラ34およびスクイーズローラ36は、マスキング版20の裏面20bに対して、それぞれ一定のギャップを介して対向する。
ステップ4の帯電工程に続いて、フロントパネル10の全ての凹部15のうち1色分の凹部15が現像される(ステップ5)。本実施の形態では、現像ユニット30がコロナ帯電器32と現像器38をケース31内に一緒に収容しているため、帯電工程と現像工程が略同時に実施される。
ステップ5の現像工程では、後述する供給系によって供給された液体現像剤が回転する現像ローラ34の周面を介してマスキング版20の裏面20b側に供給される。このとき、現像ローラ34に現像バイアスが印加され、現像ローラ34とフロントパネル10の電極層11の間に電位差が形成される。つまり、フロントパネル10の電極層11は上述したように接地されており、現像ローラ34にはプラスの現像バイアスが印加されるため、正帯電している現像剤粒子には現像凹部82に向かう電界が作用される。これにより、液体現像剤中に分散している現像剤粒子が絶縁性液体中を泳動されて現像凹部82に集められる。本実施の形態では、ステップ5の現像工程において、現像ローラ34に300[V]のバイアス電圧を印加するようにした。
このとき、マスキング版20の裏面20bおよび貫通孔22の表面に被覆された絶縁層26の表面も、上述した帯電工程において現像剤粒子と同極性に帯電されているため、泳動する現像剤粒子がマスキング版20の表面に付着することがない。なお、このとき、現像バイアスをコントロールすることで、凹部15内に集める現像剤粒子の充填量を制御できる。これ以外に、液体現像剤中の現像剤粒子の濃度や現像ユニット30の移動速度をコントロールすることでも、凹部15を現像する現像剤粒子の量を制御できる。
また、このとき、現像器38のスクイーズローラ36が逆方向に回転されて余剰の現像剤粒子とともに絶縁性液体が一部回収される。スクイーズローラ36には、現像ローラ34より低い電位で現像剤粒子と同極性の電圧が印加され、スクイーズローラ36から凹部15の電極層11に向かう電界が形成される。このため、凹部15に集められた現像剤粒子がより強固に凝集されるとともに、絶縁性液体中に浮遊している余剰の現像剤粒子がスクイーズローラ36の表面に吸着される。なお、本実施の形態では、ステップ5の現像工程において、スクイーズローラ36に200[V]の電圧を印加するようにした。
ところで、上述したように液体現像剤がマスキング版20の裏面20b側に供給されると、貫通孔22と連続したフロントパネル10の凹部15、即ち現像凹部82内にムラ無く液体現像剤が供給され、電気泳動によって現像剤粒子を当該凹部15の角部にまで供給することができる。このため、本実施の形態のパターン形成方法を採用すると、凹部15の形状と殆ど一致する形状の印刷パターンを形成できる。すなわち、例えば、プラズマディスプレイのフロントパネルに形成するリブ構造の内面に蛍光体粒子を付着させる場合に本発明が有効であると言える。
また、この現像工程において、マスキング版20をフロントパネル10に密着させることが重要である。つまり、マスキング版20の表面20aとフロントパネル10の表面10aとの間に隙間があると、この隙間に液体現像剤が流れてしまい、フロントパネル10に形成される印刷パターンの輪郭がぼやけてしまう。このため、本発明では、マスキング版20の表面20aの貫通孔22の周縁部にまで環状の絶縁層26を被覆し、且つ、電磁石16を用いてフロントパネル10とマスキング版20を磁力によって密着させるとともに、現像ユニット30の押付ローラ33をマスキング版20の裏面20bに押し付けて、少なくとも現像領域においてフロントパネル10とマスキング版20を強固に密着させるようにした。
ステップ5の現像工程の後、制御部200は、図10に示す乾燥ユニット40を動作させて、ステップ5でマスキング版20の裏面20b側に供給した液体現像剤のうち絶縁性液体を乾燥させる(ステップ6)。このとき、まず、スポンジ42がマスキング版20の裏面20bに摺接されて絶縁性液体の大部分がスポンジ42に吸収される。そして、ドライヤー44を介してマスキング版20の裏面20bにエアーを吹き付けて残りの絶縁性液体を乾燥させる。なお、スポンジ42の代りに吸引ノズルを有する吸引装置を利用してエアーにより絶縁性液体の大部分を吸引するようにしても良い。また、スポンジ42や吸引ノズルを用いずに、ドライヤー44によるエアーの吹き付けだけで絶縁性液体を所望する状態まで乾燥させるようにしても良い。
そして、制御部200は、ステップ6で絶縁性液体を乾燥させた後、昇降機構74を動作させて、マスキング版20(枠体21)をフロントパネル10から引き離す方向に下降させ、フロントパネル10とマスキング版20を剥離する(ステップ7)。このとき、マスキング版20は、フロントパネル10に対してゆっくりとした速度で徐々に引き剥がされることが望ましく、マスキング版20の一端側から少しずつ傾斜を付けて剥離することが望ましい。なお、ステップ6の乾燥工程でマスキング版20およびフロントパネル10の構造物を濡らしていた絶縁性液体がある程度乾燥されているため、ステップ7の剥離工程では、絶縁性液体の液流によって現像剤粒子が拡散することがなく、現像後の現像剤粒子が破壊される心配がない。
最後に、制御部200は、洗浄ユニット50を動作させて、フロントパネル10から剥離されたマスキング版20に残留した液体現像剤を洗浄する(ステップ8)。このとき、例えば、マスキング版20の表面20aおよび裏面20bの両面から図示しないノズルを介して洗浄液をマスキング版20にスプレーする。なお、このステップ8の洗浄工程は、必要に応じて実施されれば良く、必ずしも必要な工程とは限らない。例えば、多色印刷を必要としないパターン印刷の場合には、版を必ずしも毎回洗浄する必要はない。また、この洗浄工程では、例えば、洗浄液をシャワーのように降りかけたり、ブラシを用いてマスキング版20を洗浄したり、超音波を用いてマスキング版20を洗浄したりすることもできる。
ステップ8の洗浄工程で洗浄されたマスキング版20は、次の色の蛍光体層をフロントパネル10の表面10aに形成する際に利用される。このとき、表示パネル66を介してカメラ61、62、63、64で撮影したマークMを観察して位置合わせ機構72を動作させ、フロントパネル10をその面方向に僅かに移動させて、マスキング版20に対してフロントパネル10を1画素分だけずらして位置合わせする。そして、次の色の現像剤粒子を含む液体現像剤を用いて次の色のパターンを形成する。
以上のように、本実施の形態によると、パターン状の貫通孔22を有するマスキング版20を介して液体現像剤によってフロントパネル10に直接パターンを形成するようにしたため、パターン形成に要する工程数を極めて少なくでき、その分、装置構成を簡略化でき、且つ現像剤の使用量を必要最小限に抑えることができ、パターン形成に要するコストを極めて低く抑えることができる。また、パターン形成装置の構成を簡略化できることから、その設置スペースも小さくできる。その上、パターン形成の工程数を少なくすることで、パターン形成に要する処理時間を極めて短くでき、処理効率を高めることができ、コストを低減することができる。
また、本実施の形態のパターン形成方法は、マスキング版20を介して現像剤粒子をフロントパネル10の凹部15内に現像するため、蛍光体層など比較的厚いパターンの形成に適しており、パターンの高精細化にも十分に対応できる。また、フロントパネル10の内面に凹部15を形成する際には、フォトリソグラフィー技術を利用できるため、本実施の形態の方法によると、この凹部15の位置および形状に依存するパターンをフォトリソグラフィー技術と同程度に高精度に形成できる。
図11には、上述した現像器38に液体現像剤を循環させる循環装置110の概略図を示してある。循環装置110は、各色毎に設けられているが、ここでは、1色の液体現像剤を循環させる循環装置110を代表して説明する。
循環装置110は、現像に供されて使用されなかった帯電した現像剤粒子を含む絶縁性液体、すなわち1度使用した液体現像剤を回収する回収容器101、回収容器101で回収した液体現像剤を受け入れるとともに、原液タンク102から供給された高濃度の未使用の液体現像剤を受け入れる供給タンク103(現像剤タンク)、供給タンク103で攪拌された液体現像剤を送り出すマグネットポンプ104、マグネットポンプ104を介して供給タンク103から送り出された液体現像剤を流通させて不用物をろ過するためのフィルター装置105(後に詳述する)、およびフィルター装置105を通過された液体現像剤の導電率および濃度を検出する検出槽106を有する。
しかして、攪拌器102aで攪拌されている原液タンク102内の高濃度液体現像剤がバルブ102bを介してその供給量および供給タイミングをコントロールされて供給タンク103へ供給され、攪拌器103aによって、回収容器101を介して回収された液体現像剤と一緒に攪拌される。このとき、供給タンク103には、チラー冷却水103bが循環されて攪拌中の液体現像剤の温度が適温にコントロールされる。なお、原液タンク102からの高濃度液体現像剤の供給量は、検出槽106で検出される液体現像剤の濃度に応じて決定される。
このようにして濃度を調整された供給タンク103内の液体現像剤は、マグネットポンプ104によってタンク103から送り出され、フィルター装置105を流通される。このとき、フィルター装置105では、液体現像剤を一定の開口径を有するメッシュフィルターに通すことで現像剤粒子より大径の不用物をろ過する。ここで言う不用物には、例えば、循環装置110の配管内のゴミなどが含まれる。
フィルター装置105を通過された液体現像剤は、検出槽106の導電率計106aで導電率が検出され、濃度計106bで濃度が検出された後、流量計107を介して現像器38へ再供給される。
図12には、上述したフィルター装置105の外観図を示してある。また、図13には、このフィルター装置105の断面図を示してある。
フィルター装置105は、略円筒形のメッシュフィルター111(フィルター)を収容した略円筒形のハウジング112、およびハウジング112の外面に接着固定された4つの超音波振動子113、114、115、116を有する。
フィルター装置105は、略円筒形のメッシュフィルター111(フィルター)を収容した略円筒形のハウジング112、およびハウジング112の外面に接着固定された4つの超音波振動子113、114、115、116を有する。
メッシュフィルター111は、振動を伝え易い導電性の金属により形成され、好ましくは、チタニウムやステンレスにより形成されている。また、メッシュフィルター111のメッシュの開口径は、本実施の形態では、液体現像剤の現像剤粒子の平均粒径(5[μm])に対し、7.5〜10[μm]程度に設計されている。メッシュフィルター111の構造は、繊維状に編み込まれたものや、金網や丸孔などを金属板に加工したものなどが考えられる。なお、メッシュフィルター111は、図13に示すように接地(接地部)されている。
超音波振動子113、114、115、116は、図示しない電源を介して電圧を与えることでハウジング112の内側に向けて超音波を発信させることで、メッシュフィルター111を振動させる。本実施の形態では、現像剤粒子の特性に合わせて、5000〜100万Hzの周波数を有する超音波を発信させるようにした。超音波の周波数をこれ以下に設定すると、メッシュフィルター111の目詰まりを効果的に減少させることができなくなり、超音波の周波数をこれ以上に設定すると、現像剤粒子自体を破壊してしまう可能性がある。特に、好ましい周波数は、20万〜100万Hzである。
しかして、図12に矢印Lで示すようにフィルター装置105を液体現像剤が流通されると、図13に示すように、4つの超音波振動子113、114、115、116から超音波Uが発信され、ハウジング112内に配置されたメッシュフィルター111が振動される。これにより、例えば、現像剤粒子が凝集した状態でメッシュフィルター111のメッシュに詰まった場合であっても、凝集が解かれてメッシュを通過可能となり、現像剤粒子による目詰まりを防止できる。
また、このとき、メッシュフィルター111が接地されているため、本実施の形態のように現像剤粒子が帯電しているような場合でも、現像剤粒子の凝集を効果的に解くことができる。つまり、本実施の形態のように帯電している微粒子は互いに静電的に凝集する傾向にあるため、帯電していない粒子と比較して凝集し易い。このため、本実施の形態のように、メッシュフィルター111を接地することで、現像剤粒子の電荷をアースに逃がすことができ、静電的な凝集をも積極的に解くことができる。
以上のように、本実施の形態によると、超音波を用いてメッシュフィルター111を振動させるとともに、メッシュフィルター111を接地して現像剤粒子の電荷を逃がすようにしたため、物理的および静電的な粒子間の凝集を効果的に解くことができ、粒子同士の凝集によるメッシュの目詰まりを少なくでき、長時間に亘ってメッシュフィルター111を機能させることができ、メンテナンスの回数を減らすことができる。
なお、この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。
例えば、上述した実施の形態では、メッシュフィルター111を振動させる振動子として、超音波振動子113、114、115、116を用いた場合について説明したが、これに限らず、メッシュフィルター111を物理的に振動させることができればいかなるものであっても良い。
また、上述した実施の形態では、複数の超音波振動子113、114、115、116をハウジング112の中心軸に対して対称となる位置に配置したが、振動子の配置位置はいかなるものであっても良く、例えば、図14に示すように、複数の振動子113、114、115、116をハウジングに対して千鳥状に配置しても良い。
1…ガラス板、10…フロントパネル、20…マスキング版、22…貫通孔、30…現像ユニット、38…現像器、105…フィルター装置、111…メッシュフィルター、112…ハウジング、113、114、115、116…超音波振動子、100…パターン形成装置、200…制御部。
Claims (8)
- 帯電粒子を含む液体を通して不要物をろ過する導電性のフィルターと、
このフィルターの目詰まりを防止するように振動させる振動子と、
上記フィルターを接地する接地部と、
を有することを特徴とするフィルター装置。 - 上記フィルターは、チタニウムを含む材料によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルター装置。
- 上記振動子は、超音波を発生させて上記フィルターを振動させることを特徴とする請求項1に記載のフィルター装置。
- 帯電した現像剤粒子を絶縁性液体中に分散させた液体現像剤に電界を作用させてパターンを現像するパターン形成装置であって、
現像に供されて使用されなかった液体現像剤を回収するとともに、現像に使用する液体現像剤を収容した現像剤タンクと、
この現像剤タンクの液体現像剤を流通させて不要物をろ過する導電性のフィルターと、
このフィルターの目詰まりを防止するように振動させる振動子と、
上記フィルターを接地する接地部と、
を有することを特徴とするパターン形成装置。 - 上記フィルターは、チタニウムを含む材料によって形成されていることを特徴とする請求項4に記載のパターン形成装置。
- 上記振動子は、超音波を発生させて上記フィルターを振動させることを特徴とする請求項4に記載のパターン形成装置。
- 上記超音波は、5000〜100万Hzの周波数を有することを特徴とする請求項6に記載のパターン形成装置。
- 上記超音波は、20万〜100万Hzの周波数を有することを特徴とする請求項7に記載のパターン形成装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2007088834A JP2008246320A (ja) | 2007-03-29 | 2007-03-29 | パターン形成装置、およびフィルター装置 |
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JP2011113069A (ja) * | 2009-11-30 | 2011-06-09 | Ricoh Co Ltd | トナーの製造方法 |
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2007
- 2007-03-29 JP JP2007088834A patent/JP2008246320A/ja active Pending
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