JP2008245601A - ヒト一本鎖抗体遺伝子断片の効率的な新規調製法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】それぞれPCR法により、抗体重鎖可変部領域をコードする遺伝子断片(重鎖断片)及び軽鎖可変部領域をコードする遺伝子断片(軽鎖断片)を増幅し、これら重鎖断片と軽鎖断片を重鎖断片−重鎖リンカー配列−制限酵素XbaI認識配列を含む重鎖複合断片と、制限酵素NheI認識配列−軽鎖リンカー配列−軽鎖断片を含む軽鎖複合断片として増幅し、重鎖複合断片を制限酵素XbaIで、前記軽鎖複合断片を制限酵素NheIで、それぞれ消化した後に、ライゲーションにより連結させ、ライゲーション産物を制限酵素XbaIと制限酵素NheIで消化した後、重鎖断片−リンカー配列−軽鎖断片からなるヒトScFv断片として増幅する方法。
【選択図】図3
Description
(1)以下の(A)〜(E)の工程を順次備えたことを特徴とするヒトScFv断片の調製方法。
(A)ヒト抗体重鎖遺伝子を、抗体重鎖可変部領域に特異的なセンスプライマー配列(HVセンス配列)及びアンチセンスプライマー配列(HVアンチセンス配列)からなるプライマー対を用いたPCR反応、並びに、ヒト抗体軽鎖遺伝子を、抗体軽鎖可変部領域に特異的なセンスプライマー配列(LVセンス配列)及びアンチセンスプライマー配列(LVアンチセンス配列)からなるプライマー対を用いたPCR反応により、それぞれ抗体重鎖可変部領域をコードする遺伝子断片(重鎖断片)及び軽鎖可変部領域をコードする遺伝子断片(軽鎖断片)として増幅する工程;
(B)前記重鎖断片を、前記HVセンス配列を含むセンスプライマーと、制限酵素XbaI認識配列、重鎖リンカー配列[I]及び前記HVアンチセンス配列を含むアンチセンスプライマーとを用いたPCR反応、並びに、前記軽鎖断片を、制限酵素NheI認識配列、軽鎖リンカー配列[I]及び前記LVセンス配列を含むセンスプライマーと、前記LVアンチセンス配列を含むアンチセンスプライマーとを用いたPCR反応により、それぞれ重鎖断片−重鎖リンカー配列[I]−制限酵素XbaI認識配列を含む重鎖複合断片と、制限酵素NheI認識配列−軽鎖リンカー配列[I]−軽鎖断片を含む軽鎖複合断片として増幅する工程;
(C)前記重鎖複合断片を制限酵素XbaIで、前記軽鎖複合断片を制限酵素NheIで、それぞれ消化した後に、ライゲーションにより連結させる工程;
(D)ライゲーション産物を、制限酵素XbaIと制限酵素NheIで消化する工程;
(E)前記HVセンス配列を含むセンスプライマーと、前記LVアンチセンス配列を含むアンチセンスプライマーとを用いたPCR反応により、重鎖断片−リンカー配列−軽鎖断片からなるヒトScFv断片を増幅する工程;
(2)以下の(A)〜(E)の工程を順次備えたことを特徴とするヒトScFv断片の調製方法。
(A)ヒト抗体重鎖遺伝子を、抗体重鎖可変部領域に特異的なセンスプライマー配列(HVセンス配列)及びアンチセンスプライマー配列(HVアンチセンス配列)からなるプライマー対を用いたPCR反応、並びに、ヒト抗体軽鎖遺伝子を、抗体軽鎖可変部領域に特異的なセンスプライマー配列(LVセンス配列)及びアンチセンスプライマー配列(LVアンチセンス配列)からなるプライマー対を用いたPCR反応により、それぞれ抗体重鎖可変部領域をコードする遺伝子断片(重鎖断片)及び軽鎖可変部領域をコードする遺伝子断片(軽鎖断片)として増幅する工程;
(B)前記軽鎖断片を、前記LVセンス配列を含むセンスプライマーと、制限酵素XbaI認識配列、軽鎖リンカー配列[II]及び前記LVアンチセンス配列を含むアンチセンスプライマーとを用いたPCR反応、並びに、前記重鎖断片を、制限酵素NheI認識配列、重鎖リンカー配列[II]及び前記HVセンス配列を含むセンスプライマーと、前記HVアンチセンス配列を含むアンチセンスプライマーとを用いたPCR反応により、それぞれ軽鎖断片−軽鎖リンカー配列[II]−制限酵素XbaI認識配列を含む軽鎖複合断片と、制限酵素NheI認識配列−重鎖リンカー配列[II]−重鎖断片を含む重鎖複合断片として増幅する工程;
(C)前記軽鎖複合断片を制限酵素XbaIで、前記重鎖複合断片を制限酵素NheIで、それぞれ消化した後に、ライゲーションにより連結させる工程;
(D)ライゲーション産物を、制限酵素XbaIと制限酵素NheIで消化する工程;
(E)前記LVセンス配列を含むセンスプライマーと、前記HVアンチセンス配列を含むアンチセンスプライマーとを用いたPCR反応により、軽鎖断片−リンカー配列−重鎖断片からなるヒトScFv断片を増幅する工程;
(3)ヒトScFv断片が、両端部に、制限酵素XbaI認識配列及び制限酵素NheI認識配列以外の、制限酵素認識配列を有することを特徴とする上記(1)又は(2)記載のScFv断片の調製方法。
(5)抗体重鎖可変部領域に特異的なアンチセンスプライマー配列(HVアンチセンス配列)が、配列番号7〜10に示される塩基配列の1種又は2種以上の配列であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか記載のヒトScFv断片の調製方法。
(6)抗体軽鎖可変部領域に特異的なセンスプライマー配列(LVセンス配列)が、配列番号11〜16及び22〜28に示される塩基配列の1種又は2種以上の配列であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか記載のヒトScFv断片の調製方法。
(7)抗体軽鎖可変部領域に特異的なアンチセンスプライマー配列(LVアンチセンス配列)が、配列番号17〜21及び29〜31に示される塩基配列の1種又は2種以上の配列であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか記載のヒトScFv断片の調製方法。
(8)HVセンス配列を含むセンスプライマーとして、配列番号32〜37に示される塩基配列からなるプライマーの1種又は2種以上を用いることを特徴とする上記(1)及び(3)〜(7)のいずれか記載のヒトScFv断片の調製方法。
(9)制限酵素XbaI認識配列、重鎖リンカー配列[I]及び前記HVアンチセンス配列を含むアンチセンスプライマーとして、配列番号38〜41に示される塩基配列からなるプライマーの1種又は2種以上を用いることを特徴とする上記(1)及び(3)〜(8)のいずれか記載のヒトScFv断片の調製方法。
(10)制限酵素NheI認識配列、軽鎖リンカー配列[I]及び前記LVセンス配列を含むセンスプライマーとして、配列番号42〜47及び53〜59に示される塩基配列からなるプライマーの1種又は2種以上を用いることを特徴とする上記(1)及び(3)〜(9)のいずれか記載のヒトScFv断片の調製方法。
(11)LVアンチセンス配列を含むアンチセンスプライマーとして、配列番号48〜52及び60〜62に示される塩基配列からなるプライマーの1種又は2種以上を用いることを特徴とする上記(1)及び(3)〜(10)のいずれか記載のヒトScFv断片の調製方法。
(12)LVセンス配列を含むセンスプライマーとして、配列番号63〜68及び74〜80に示される塩基配列からなるプライマーの1種又は2種以上を用いることを特徴とする上記(2)〜(11)のいずれか記載のヒトScFv断片の調製方法。
(13)制限酵素XbaI認識配列、軽鎖リンカー配列[II]及び前記LVアンチセンス配列を含むアンチセンスプライマーとして、配列番号69〜73及び81〜83に示される塩基配列からなるプライマーの1種又は2種以上を用いることを特徴とする上記(2)〜(12)のいずれか記載のヒトScFv断片の調製方法。
(14)制限酵素NheI認識配列、重鎖リンカー配列[II]及び前記HVセンス配列を含むセンスプライマーとして、配列番号84〜89に示される塩基配列からなるプライマーの1種又は2種以上を用いることを特徴とする上記(2)〜(13)のいずれか記載のヒトScFv断片の調製方法。
(15)HVアンチセンス配列を含むアンチセンスプライマーとして、配列番号90〜93に示される塩基配列からなるプライマーの1種又は2種以上を用いることを特徴とする上記(2)〜(14)のいずれか記載のヒトScFv断片の調製方法。
(17)上記(1)〜(16)のいずれか記載の調製方法により得られることを特徴とするヒトScFv断片。
(18)上記(17)記載のヒトScFv断片が組み込まれたことを特徴とするファージミドベクター又はファージベクター。
(19)上記(18)記載のファージミドベクター又はファージベクターにより形質転換されたことを特徴とする大腸菌。
(20)上記(19)記載の大腸菌を用いて作製されたことを特徴とするファージディスプレイヒト一本鎖抗体ライブラリー。
メラノーマの樹状細胞ワクチンを受けた2人のがん患者ドナーより末梢リンパ球を採取し、核酸抽出用スピンカラム(Nucleospin RNA II;Macherey-Nagel社製)を用いて全RNAを抽出した。Oligo−dtプライマーを用いた逆転写反応により全RNAからcDNAを合成し、配列番号1〜6に示すセンスプライマーと配列番号7〜10に示すアンチセンスプライマーを用いたPCR反応によりヒト抗体遺伝子重鎖可変領域を増幅し、配列番号11〜16及び22〜28に示すセンスプライマーと配列番号17〜21及び29〜31に示すアンチセンスプライマーを用いたPCR反応によりヒト抗体遺伝子軽鎖可変領域を増幅した。これらのプライマーは、抗体ライブラリー作製のためのヒト抗体可変領域遺伝子クローニング用プライマーとしてすでに報告されているものである(ジャーナル オブ モレキュラー バイオロジー(J. Mol. Biol.)、222巻、3号、581〜597頁及びプロシーディングス オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンス(Proc. Natl. Acad. Sci.)95巻、6157〜6162頁参照)。このようにして得られた多種類の重鎖及び軽鎖可変領域遺伝子断片(以下、重鎖断片及び軽鎖断片)を、リンカーペプチド配列を挟んでランダムに結合させることにより、一本鎖抗体遺伝子(ScFv)の多様性を生み出すことが可能となる。
これまでに報告されているScFv断片調製方法を図1及び図2に示す(以下各々「従来法1」及び「従来法2」と呼ぶ)。これらの従来法は、いずれもアッセンブリーPCR法を用いてDNA断片を〈重鎖−リンカー−軽鎖〉の順に連結させるものであり、従来法1は重鎖、軽鎖及びリンカー配列をコードする3つのDNA断片を、従来法2はリンカー配列の約半分を重鎖3’端及び軽鎖5’端にそれぞれ付与した2つのDNA断片をPCR法で連結させるものである。
そこで、効率よく目的とするPCR反応物を得るために重鎖及び軽鎖断片の結合方法を根本的に変える方法を考案、これを試行した。図3に本法(方法3)の概略を示す。方法3では、2回目のPCRの際に用いるプライマーのうち重鎖3’プライマーでは2単位のGS配列と制限酵素認識配列、軽鎖5’プライマーは制限酵素認識配列と1単位のGS配列を含む。この重鎖及び軽鎖断片の2回目のPCR産物をそれぞれ制限酵素で消化し、ライゲーション反応によりリンカーを含む両断片を結合し、3回目のPCRでScFv断片として増幅した。
本法の特色のひとつは用いる制限酵素にある。方法3に用いる制限酵素は以下の条件を満たす必要がある。
1)重鎖及び軽鎖断片を切断しない酵素であること。抗体産生細胞では、抗体遺伝子のV−D−Jの体細胞組換えとaffinity maturationと呼ばれる遺伝子変異を起こすことにより生体にとって有益な特異性と親和性をもつ抗体を産生するクローンが選抜される。各クローンがそれぞれに独自の配列を有すると考えられるため、存在するであろう全ての抗体遺伝子に関して制限酵素認識配列の有無を調べることはできないが、少なくともゲノムに存在する抗体遺伝子に関して解析し、これらを切断しない制限酵素を選び出すことは必要最低条件となる。
2)重鎖同士又は軽鎖同士のライゲーションを防ぐ為に、酵素の切断面が平滑断面でないこと。
3)対合断片(異なる酵素でライゲーション可能な切断片)を生じる制限酵素の組合せであること。
以上の条件を全て満たす制限酵素を検索した結果、方法3に使用する制限酵素としてXbaIとNheIの組合せを決定した。
配列番号32〜37に示すセンスプライマーと配列番号38〜41に示すアンチセンスプライマーを用いたPCR反応により、実施例1で作製した重鎖断片の5’末端にNco1認識配列を、3’末端にXbal認識配列とリンカー配列の一部をそれぞれ付加した。また、配列番号42〜47及び53〜59に示すセンスプライマーと配列番号48〜52及び60〜62に示すアンチセンスプライマーを用いたPCR反応により、実施例1で作製した軽鎖断片の5’末端にNhe1認識配列とリンカー配列の一部を、3’末端にNot1認識配列をそれぞれ付加した。重鎖断片のPCR産物をXbaIで、軽鎖断片のPCR産物をNheIで消化した後、ライゲーション反応により結合させた。
軽鎖断片−リンカー−重鎖断片からなる一本鎖抗体遺伝子断片を作製する場合、配列番号63〜68及び74〜80に示すセンスプライマーと配列番号69〜73及び81〜83に示すアンチセンスプライマーを用いたPCR反応により、実施例1で作製した軽鎖断片の5’末端にNco1認識配列を、3’末端にXbal認識配列とリンカー配列の一部をそれぞれ付加する。また、配列番号84〜89に示すセンスプライマーと配列番号90〜93に示すアンチセンスプライマーを用いたPCR反応により、実施例1で作製した重鎖断片の5’末端にNhe1認識配列とリンカー配列の一部を、3’末端にNot1認識配列をそれぞれ付加する。軽鎖断片のPCR産物をXbaIで、重鎖断片のPCR産物をNheIで消化した後、ライゲーション反応により結合させる。
実施例3で作製した一本鎖抗体遺伝子断片を、再度XbaIとNheIにより消化することにより、重鎖断片のPCR産物同士又は軽鎖断片のPCR産物同士の結合断片を消化し、目的とする重鎖断片−軽鎖断片の結合断片のみを調製した(図5)。このようにして得られた重鎖断片−リンカー−軽鎖断片からなる一本鎖抗体遺伝子断片を配列番号32〜37、48〜52、60〜62に示すプライマーを用いたPCR反応により増幅させた(図4E)。
さらに、本法により得られた一本鎖抗体遺伝子断片の塩基配列を解析した(以下の全ての実験において大腸菌DH5αを宿主とした形質転換体10〜12コロニーについて検討した。)。前述の如く、発現する抗体遺伝子塩基配列はゲノム上の遺伝子からはある程度逸脱しており、単純ではあるが実験系の目的に則した以下の基準を設けた。
(1)配列が〈重鎖−リンカー−軽鎖〉の組合せになっていること。
(2)蛋白コード配列中の塩基欠失又は挿入によるフレームシフトを生じないこと。
(3)リンカー配列が健常であること(設計通りの配列になっていること)。
(4)重鎖及び軽鎖断片中の読み枠にストップコドンの出現しないこと。
これまでに確立した系を用いてヒト一本鎖抗体遺伝子断片を作製し、制限酵素サイトNcoI及びNotIを利用してファージミドベクター(pCANTAB5E;アマシャム社製)に組み込み、一本鎖抗体遺伝子ライブラリーを作製した。このライブラリーを大腸菌(TG1又はJM109)にエレクトロポレーション法により導入した結果、図9に示すように、0.2μgのベクターあたり約3x107のコロニーが得られた。
ファージライブラリーの作製は、BradburyとMarks(Phage Display, Edited by Tim Clackson and Henry B. Lawman, Oxford University Press, Chapter 13 Phage antibody libraries, Andrew R. M. Bradbury and James D. Marks, P.243-288)などの標準的な実験室マニュアルに記載される方法に準じて行うことができる。例えば、ファージミドベクターを導入した大腸菌を2%グルコース及び100μg/mlのアンピシリンを含む2xYT寒天培地にプレーティングし30℃にて一晩培養する。これを2%グルコース及び100μg/mlのアンピシリンを含む2xYT液体培地とスクレーパーを用いて寒天培地よりかきとり、終濃度15%となるようにグリセリンを加えて−80℃にて保存する。形質転換した大腸菌のプレーティング時に同時にその希釈系列を作製、別な寒天培地にプレーティングしてコロニー数を算出し、形質転換効率を算定しておく。実験の目的に応じて、必要なコロニー数が獲得されるまで同様な手順を繰り返し、十分なサイズのライブラリーを作出する。用いる大腸菌としてはTG1、XL1−Blueなどのストレインのエレクトロコンピテントセルを用いることが望ましい。M13KO7などのヘルパーファージを用いることで、ファージの外殻蛋白g3pの一部に一本鎖抗体タンパクを発現する線維状ファージを発現させることができる。
Claims (20)
- 以下の(1)〜(5)の工程を順次備えたことを特徴とするヒトScFv断片の調製方法。
(1)ヒト抗体重鎖遺伝子を、抗体重鎖可変部領域に特異的なセンスプライマー配列(HVセンス配列)及びアンチセンスプライマー配列(HVアンチセンス配列)からなるプライマー対を用いたPCR反応、並びに、ヒト抗体軽鎖遺伝子を、抗体軽鎖可変部領域に特異的なセンスプライマー配列(LVセンス配列)及びアンチセンスプライマー配列(LVアンチセンス配列)からなるプライマー対を用いたPCR反応により、それぞれ抗体重鎖可変部領域をコードする遺伝子断片(重鎖断片)及び軽鎖可変部領域をコードする遺伝子断片(軽鎖断片)として増幅する工程;
(2)前記重鎖断片を、前記HVセンス配列を含むセンスプライマーと、制限酵素XbaI認識配列、重鎖リンカー配列[I]及び前記HVアンチセンス配列を含むアンチセンスプライマーとを用いたPCR反応、並びに、前記軽鎖断片を、制限酵素NheI認識配列、軽鎖リンカー配列[I]及び前記LVセンス配列を含むセンスプライマーと、前記LVアンチセンス配列を含むアンチセンスプライマーとを用いたPCR反応により、それぞれ重鎖断片−重鎖リンカー配列[I]−制限酵素XbaI認識配列を含む重鎖複合断片と、制限酵素NheI認識配列−軽鎖リンカー配列[I]−軽鎖断片を含む軽鎖複合断片として増幅する工程;
(3)前記重鎖複合断片を制限酵素XbaIで、前記軽鎖複合断片を制限酵素NheIで、それぞれ消化した後に、ライゲーションにより連結させる工程;
(4)ライゲーション産物を、制限酵素XbaIと制限酵素NheIで消化する工程;
(5)前記HVセンス配列を含むセンスプライマーと、前記LVアンチセンス配列を含むアンチセンスプライマーとを用いたPCR反応により、重鎖断片−リンカー配列−軽鎖断片からなるヒトScFv断片を増幅する工程; - 以下の(1)〜(5)の工程を順次備えたことを特徴とするヒトScFv断片の調製方法。
(1)ヒト抗体重鎖遺伝子を、抗体重鎖可変部領域に特異的なセンスプライマー配列(HVセンス配列)及びアンチセンスプライマー配列(HVアンチセンス配列)からなるプライマー対を用いたPCR反応、並びに、ヒト抗体軽鎖遺伝子を、抗体軽鎖可変部領域に特異的なセンスプライマー配列(LVセンス配列)及びアンチセンスプライマー配列(LVアンチセンス配列)からなるプライマー対を用いたPCR反応により、それぞれ抗体重鎖可変部領域をコードする遺伝子断片(重鎖断片)及び軽鎖可変部領域をコードする遺伝子断片(軽鎖断片)として増幅する工程;
(2)前記軽鎖断片を、前記LVセンス配列を含むセンスプライマーと、制限酵素XbaI認識配列、軽鎖リンカー配列[II]及び前記LVアンチセンス配列を含むアンチセンスプライマーとを用いたPCR反応、並びに、前記重鎖断片を、制限酵素NheI認識配列、重鎖リンカー配列[II]及び前記HVセンス配列を含むセンスプライマーと、前記HVアンチセンス配列を含むアンチセンスプライマーとを用いたPCR反応により、それぞれ軽鎖断片−軽鎖リンカー配列[II]−制限酵素XbaI認識配列を含む軽鎖複合断片と、制限酵素NheI認識配列−重鎖リンカー配列[II]−重鎖断片を含む重鎖複合断片として増幅する工程;
(3)前記軽鎖複合断片を制限酵素XbaIで、前記重鎖複合断片を制限酵素NheIで、それぞれ消化した後に、ライゲーションにより連結させる工程;
(4)ライゲーション産物を、制限酵素XbaIと制限酵素NheIで消化する工程;
(5)前記LVセンス配列を含むセンスプライマーと、前記HVアンチセンス配列を含むアンチセンスプライマーとを用いたPCR反応により、軽鎖断片−リンカー配列−重鎖断片からなるヒトScFv断片を増幅する工程; - ヒトScFv断片が、両端部に、制限酵素XbaI認識配列及び制限酵素NheI認識配列以外の、制限酵素認識配列を有することを特徴とする請求項1又は2記載のScFv断片の調製方法。
- 抗体重鎖可変部領域に特異的なセンスプライマー配列(HVセンス配列)が、配列番号1〜6に示される塩基配列の1種又は2種以上の配列であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のヒトScFv断片の調製方法。
- 抗体重鎖可変部領域に特異的なアンチセンスプライマー配列(HVアンチセンス配列)が、配列番号7〜10に示される塩基配列の1種又は2種以上の配列であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のヒトScFv断片の調製方法。
- 抗体軽鎖可変部領域に特異的なセンスプライマー配列(LVセンス配列)が、配列番号11〜16及び22〜28に示される塩基配列の1種又は2種以上の配列であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載のヒトScFv断片の調製方法。
- 抗体軽鎖可変部領域に特異的なアンチセンスプライマー配列(LVアンチセンス配列)が、配列番号17〜21及び29〜31に示される塩基配列の1種又は2種以上の配列であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載のヒトScFv断片の調製方法。
- HVセンス配列を含むセンスプライマーとして、配列番号32〜37に示される塩基配列からなるプライマーの1種又は2種以上を用いることを特徴とする請求項1及び3〜7のいずれか記載のヒトScFv断片の調製方法。
- 制限酵素XbaI認識配列、重鎖リンカー配列[I]及び前記HVアンチセンス配列を含むアンチセンスプライマーとして、配列番号38〜41に示される塩基配列からなるプライマーの1種又は2種以上を用いることを特徴とする請求項1及び3〜8のいずれか記載のヒトScFv断片の調製方法。
- 制限酵素NheI認識配列、軽鎖リンカー配列[I]及び前記LVセンス配列を含むセンスプライマーとして、配列番号42〜47及び53〜59に示される塩基配列からなるプライマーの1種又は2種以上を用いることを特徴とする請求項1及び3〜9のいずれか記載のヒトScFv断片の調製方法。
- LVアンチセンス配列を含むアンチセンスプライマーとして、配列番号48〜52及び60〜62に示される塩基配列からなるプライマーの1種又は2種以上を用いることを特徴とする請求項1及び3〜10のいずれか記載のヒトScFv断片の調製方法。
- LVセンス配列を含むセンスプライマーとして、配列番号63〜68及び74〜80に示される塩基配列からなるプライマーの1種又は2種以上を用いることを特徴とする請求項2〜11のいずれか記載のヒトScFv断片の調製方法。
- 制限酵素XbaI認識配列、軽鎖リンカー配列[II]及び前記LVアンチセンス配列を含むアンチセンスプライマーとして、配列番号69〜73及び81〜83に示される塩基配列からなるプライマーの1種又は2種以上を用いることを特徴とする請求項2〜12のいずれか記載のヒトScFv断片の調製方法。
- 制限酵素NheI認識配列、重鎖リンカー配列[II]及び前記HVセンス配列を含むセンスプライマーとして、配列番号84〜89に示される塩基配列からなるプライマーの1種又は2種以上を用いることを特徴とする請求項2〜13のいずれか記載のヒトScFv断片の調製方法。
- HVアンチセンス配列を含むアンチセンスプライマーとして、配列番号90〜93に示される塩基配列からなるプライマーの1種又は2種以上を用いることを特徴とする請求項2〜14のいずれか記載のヒトScFv断片の調製方法。
- PCRに、ポリメラーゼとして、改変型Taqポリメラーゼとproof-reading活性を持つ酵素であるPfuポリメラーゼを混合したタイプの酵素(PicoMaxx High Fidelity PCR system、STRATAGENE社)を用いることを特徴とする請求項1〜15のいずれか記載のヒトScFv断片の調製方法。
- 請求項1〜16のいずれか記載の調製方法により得られることを特徴とするヒトScFv断片。
- 請求項17記載のヒトScFv断片が組み込まれたことを特徴とするファージミドベクター又はファージベクター。
- 請求項18記載のファージミドベクター又はファージベクターにより形質転換されたことを特徴とする大腸菌。
- 請求項19記載の大腸菌を用いて作製されたことを特徴とするファージディスプレイヒト一本鎖抗体ライブラリー。
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