JP2008241581A - 二酸化窒素センサ - Google Patents

二酸化窒素センサ Download PDF

Info

Publication number
JP2008241581A
JP2008241581A JP2007084873A JP2007084873A JP2008241581A JP 2008241581 A JP2008241581 A JP 2008241581A JP 2007084873 A JP2007084873 A JP 2007084873A JP 2007084873 A JP2007084873 A JP 2007084873A JP 2008241581 A JP2008241581 A JP 2008241581A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
semiconductor region
nitrogen dioxide
sensor
insulating film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2007084873A
Other languages
English (en)
Inventor
Kengo Shimanoe
憲剛 島ノ江
Tetsuya Kida
徹也 木田
Hirofumi Inoue
浩文 井上
Hiroshi Nishiie
弘 西家
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyushu University NUC
Miyoshi Electronics Corp
Original Assignee
Kyushu University NUC
Miyoshi Electronics Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyushu University NUC, Miyoshi Electronics Corp filed Critical Kyushu University NUC
Priority to JP2007084873A priority Critical patent/JP2008241581A/ja
Publication of JP2008241581A publication Critical patent/JP2008241581A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Insulated Gate Type Field-Effect Transistor (AREA)

Abstract

【課題】 固体電解質を用いたガスセンサは、検知電極と参照電極を必要とし、安定性に欠ける問題がある。また、補助相となるイオン導電体をゲート電極上に設けたFET型のガスセンサは、参照電極を用いないため小型化が可能であるが、NOの選択性と応答速度に問題があった
【解決手段】 一導電型半導体層表面の一導電型の第1半導体領域の両側に、n型の第2半導体領域および第3半導体領域を設け、これらにそれぞれ接続する第2電極および第3電極を設ける。第1半導体領域とコンタクトする絶縁膜をp型半導体層上に設け、第1半導体領域に電圧を印加する第1電極を設ける。第1電極の一部を被覆し、第1半導体領域上の絶縁膜とコンタクトする補助相を設ける。補助相はイオン導電体(NaNO)内に、貴金属(Ru)を担持した金属酸化物(WO)を分散させてなり、これによりNOの選択性、応答・回復特性が良好なNOセンサを得る。
【選択図】 図1

Description

本発明は、FET構造を有する二酸化窒素センサに係り、特に二酸化窒素を選択的に検出可能で且つ、二酸化窒素検出の応答特性が良好な二酸化窒素センサに関する。
近年、排気ガス中に含まれる窒素酸化物(NO:二酸化窒素(NO)や一酸化窒素(NO)等)による地球環境の悪化が懸念されており、大気中のNO濃度を連続して計測できる高性能な全固体型のセンサが求められている。
NOの濃度を計測するガスセンサとしては、固体電解質基板と、当該基板上に設置された検知電極と、参照電極を備えたセンサが高い感度と選択性を有していることから実用センサとして有望視されている(例えば特許文献1参照。)。
また、NOを測定するガスセンサとして、電界効果型トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)のゲート電極やゲート制御型pn接合ダイオードのゲート領域に、ガスを検知するイオン導電体等を融着したものも検討されている(例えば特許文献2参照。)。
更に、FET型のガスセンサのゲート電極部分に融着する補助相として、イオン導電体中に金属酸化物を添加したガスセンサ(例えば非特許文献1、非特許文献2参照)も知られている。
以下一例として、大気汚染に係わる環境基準物質の一つである二酸化窒素(NO)を測定できるガスセンサについて、説明する。
図7は、従来のFET型のガスセンサ(以下FET型ガスセンサ)の構造の一例を示す断面概略図である。
FET型ガスセンサは、基本的には横型の電界効果型トランジスタ(FET:(Field Effect Transistor))の構造を備えている。すなわち、p型のシリコン半導体層(p型半導体層)51の表面にn型の不純物を拡散し、所定の距離で離間したソース領域52およびドレイン領域53を設ける。ソース領域52およびドレイン領域53で挟まれたp型半導体層51表面の領域はゲート領域54となる。
p型半導体層51表面には、所望の形状にパターンニングした絶縁膜55、ソース電極56およびドレイン電極57が設けられ、ゲート領域54上は絶縁膜55の一部で被覆される。ソース電極56、ドレイン電極57およびゲート領域54上の絶縁膜55を覆うように、酸化タンタル(Ta)58膜が設けられる。酸化タンタル膜58およびゲート領域上の絶縁膜55はゲート絶縁膜を構成する。
酸化タンタル膜58上のゲート領域54外に、金薄膜を設け電圧印加用の電極(ゲート電極)59が設けられる。また酸化タンタル膜58上にゲート電極59と共に機能する補助相60を融着する。補助相60はイオン導電体(亜硝酸ナトリウム(NaNO))であり、その内部には金属酸化物(酸化タングステン(WO))が添加されている。補助相60は、ゲート電極59の一部を覆い、ゲート領域54上の酸化タンタル膜58とコンタクトする。
このガスセンサは、大気中のNOによりイオン導電体(NaNO)の平衡状態が変化し、平衡反応により生じた起電力がゲート領域54に印加される電圧(閾値電圧Vth)を変化させ、ソース電極56およびドレイン電極57間の電流が変化する。つまり、ガスセンサのイオン導電体(NaNO)は、NOガスを検知してFETのドレイン電流(閾値電圧Vth)を変化させるので、ドレイン電流を一定電流になるように制御することで、変化するゲート−ソース間電圧VGSがセンサ信号となり、これに基づきNO濃度を測定することができる。
特開2002−162381号公報 特開2001−281213号公報 中田聖士、島ノ江憲剛、三浦則雄、山添昇,「電界効果トランジスタNO2センサにおける亜硝酸ナトリウム補助相への第2成分添加効果」,Vol.17,Supplement A (2001)PROCEEDINGS OF THE 32th CHEMICAL SENSOR SYMPOSIUMU,日本,Japan Association of Chemical Sensors The Electrochemical Society of Japan,2001年4月,p.55−57 中田聖士、島ノ江憲剛、三浦則雄、山添昇,「電界効果トランジスタNO2センサにおける妨害ガスの検討」,Vol.18,Supplement A (2002) PROCEEDINGS OF THE 34th CHEMICAL SENSOR SYMPOSIUMU,日本,Japan Association of Chemical Sensors The Electrochemical Society of Japan,2002年4月,p.34−36
上記の特許文献1の如きガスセンサは、高い感度と選択性を有する反面、起電力あるいは電流を検知信号とするため検知電極と参照電極を必要とし、しばしば参照電極が大気雰囲気中の水蒸気や検知を目的としないガスにより化学的に変化し、安定性に欠けることが知られている。
一方、図7の如く、イオン導電体(亜硝酸ナトリウム)に金属酸化物を添加した補助相60をゲート電極59上に設けたFET型NOセンサは、参照電極を用いないため小型化が可能である。しかし、NOの選択性と応答速度に問題があった。
図8は、図7に示すFET型ガスセンサの、NOガスおよびNOガスに対する応答を示す特性図である。横軸がガスの濃度[ppb]であり、縦軸が当該ガスセンサのセンサ信号となるゲート−ソース間電圧VGSの変化量[ΔmV]である。温度:130℃、ドレイン−ソース間電圧VDS:3V、ドレイン電流I=250μAの測定条件下でガス濃度を変化させ、センサ信号(ゲート−ソース間電圧VGS)を測定した。
この図からも明らかな通り、図7のFET型ガスセンサでは、NOと同様にNOにも応答する。また例えばNO濃度が10ppb程度の非常に低濃度の場合には、応答(センサ信号)の変化量が小さく、NO濃度がNO濃度より1桁高い場合には、NOに対する応答が優勢となる。
ガスセンサの用途によっては、特定の成分に対する高い選択性が要求される場合もある。しかし、例えば従来のガスセンサを用いてNOを選択的に検出したい場合には、NOに対する応答を排除する何らかの手段が必要となる。
このように、従来のガスセンサでは、特にNOに対する選択性や、低濃度における検出感度が十分ではない問題があった。
本発明は係る課題に鑑みてなされ、第1に、一導電型半導体層と、該半導体層表面に設けられた一導電型の第1半導体領域と、該第1半導体領域の両側の前記半導体層表面に設けられた逆導電型の第2半導体領域および第3半導体領域と、前記半導体層上に設けられ前記第1半導体領域とコンタクトする絶縁膜と、前記絶縁膜上に設けられた金電極よりなり、第1半導体領域に電位を印加する第1電極と、前記第1電極の一部を覆って前記絶縁膜上に設けられ、前記第1半導体領域上の前記絶縁膜とコンタクトするイオン導電体と、前記第2半導体領域に接続する第2電極と、前記第3半導体領域に接続する第3電極とを具備し、前記イオン導電体内には貴金属を担持した金属酸化物が分散され、前記貴金属に吸着させて二酸化窒素を選択的に検出することにより解決するものである。
また、前記イオン導電体が亜硝酸ナトリウムであることを特徴とするものである。
また、前記金属酸化物が酸化タングステンであることを特徴とするものである。
また、前記貴金属がルテニウムであることを特徴とするものである。
また、前記イオン導電体内に拡散した前記二酸化窒素が前記貴金属と吸着/乖離する際、前記第1電極から前記金属酸化物を介して電子が授受されることにより前記第2半導体領域および前記第3半導体領域間の前記第1半導体領域を流れる電流が変化し、該電流の変化に基づき前記二酸化窒素の濃度を算出することを特徴とするものである。
また、前記イオン導電体内に拡散した前記二酸化窒素が前記貴金属と吸着/乖離する際、前記第1電極から前記金属酸化物を介して電子が授受されることにより前記イオン導電体内の平衡反応において起電力が発生し、該起電力によって変化し前記絶縁膜を介して前記第1半導体領域に印加される電圧が、該第1半導体領域に流れる電流を一定にするように制御され、前記電圧の変化に基づき前記二酸化窒素の濃度を算出することを特徴とするものである。
本発明によれば、以下の効果が得られる。
第1に、イオン導電体内に貴金属を担持した金属酸化物を分散させ、これをガスを検知する補助相としてFETのゲート領域上に配置する構成とすることにより、FET型二酸化窒素センサのNOに対する選択性を大幅に向上させることができる。
第2に、NOに対する応答特性(応答速度および回復速度)を大幅に改善することができる。これにより応答特性の良好なFET型二酸化窒素センサを提供できる。
第3に、低濃度(10ppb程度〜100ppb程度)であってもNOを選択的に検知することができる。従って、NOの簡易計測用として好適なFET型二酸化窒素センサを提供できる。
第4に、FET型二酸化窒素センサの作動温度の低温化が図れる。具体的には、約130℃程度で従来のFET型の二酸化窒素センサより良好な応答・回復特性を得ることができるので、FET型の二酸化窒素センサの省電力化が可能となる。
以下図1から図6を参照し、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態の二酸化窒素センサ100は、一導電型半導体層と、第1半導体領域と、第2半導体領域と、第3半導体領域と、絶縁膜と、第1電極と、イオン導電体と、第2電極と、第3電極とから構成され、イオン導電体内には貴金属を担持した金属酸化物が分散される。
図1は、本実施形態の二酸化窒素センサ(以下NOセンサ)100を示す概略図であり、図1(A)が平面図、図1(B)が図1(A)のa−a線断面図である。尚図1(A)において、半導体層表面の絶縁膜は省略している。また、第1電極5は図1(A)のa−a線の断面においては存在しないが、説明の都合上として図1(B)に記載している。
NOセンサ100は、基本的には横型の電界効果型トランジスタ(FET:(Field Effect Transistor))の構造を備えている。
すなわち、p型のシリコン半導体層(p型半導体層)10の表面に、p型の第1半導体領域1を設ける。本実施形態の第1半導体領域1は、後述する第2半導体領域2および第3半導体領域3を設けることにより区画されたp型半導体層10表面の一部の領域である。第1半導体領域1は、FETのゲート領域として機能する。
第2半導体領域2および第3半導体領域3はそれぞれ、p型半導体層10の表面に所定の距離で離間してn型の不純物を拡散するなどして設けられる。第2半導体領域2および第3半導体領域3は、それぞれFETのn型のソース領域およびドレイン領域として機能し、第1半導体領域1の両側に位置する。
第2半導体領域2上にはこれと接続し、ソース電極として機能する第2電極6を設ける。また第3半導体領域3上にはこれと接続し、ドレイン電極として機能する第3電極7を設ける。例えば、第2電極6および第3電極7は、p型半導体層10表面に設けられた絶縁膜(例えば酸化膜(SiO))4aに第2半導体領域2および第3半導体領域3が露出する開口部を設け、開口部に埋設した導電材料6a、7aを介するなどして、第2半導体領域2および第3半導体領域3と電気的に接続する。
第2電極6、第3電極7は、金属層(例えば金(Au))を所望の形状(例えば矩形)にパターンニングしたものである。第2電極6および第3電極7は、Auに限らず他の金属層でもよい。
第2電極6および第3電極7の周囲には、例えば、酸化タンタル膜(Ta)又は、酸化ハフニウム(HfO)などの絶縁膜4bを設ける。絶縁膜4bおよび下層の絶縁膜4aは共に絶縁膜4としてp型半導体層10上を覆い、第1半導体領域1とコンタクトする。絶縁膜4上には金(Au)層を蒸着し、所望の形状にパターンニングした第1電極5を設ける。第1電極5は、第1半導体領域1上には配置されず、それ以外の領域に設けられる。
また絶縁膜4上には、第1電極5、第2電極6、第3電極7の一部を覆って、イオン導電体8aを主材料とする相8が設けられる。後に詳述するが、この相8は外部(大気中)のNOと反応し、第1電極5と共に、第1半導体領域1上の絶縁膜4にNO濃度に応じた電位を印加する相であり、以下補助相8と称する。
補助相8はイオン導電体8aの内部に、貴金属8cを担持した金属酸化物8bを分散させたものである。一例として、イオン導電体8aは亜硝酸ナトリウム(NaNO)であり、金属酸化物8bは酸化タングステン(WO)、貴金属8cはルテニウム(Ru)である。
すなわち、図1(B)の如く、p型の第1半導体領域1上には絶縁膜4が設けられ、その上に補助相8が設けられる。補助相8の一部は、第1半導体領域1上には配置されない第1電極5とコンタクトしており、第1電極5に印加された電圧によって、第1半導体領域1表面を反転させる。尚、第2電極6および第3電極7は、補助相8とは離間して配置される。
このように本実施形態のNOセンサ100は、絶縁膜4(酸化膜4aおよび、酸化タンタル膜または酸化ハフニウム4b)をゲート絶縁膜とし、第1電極5(および補助相8)がゲート電極として機能することで、第1半導体領域(ゲート領域)1表面にチャネルが形成され、第2半導体領域(ソース領域)2および第3半導体領域(ドレイン領域)3間に電流(ドレイン電流)が流れる。すなわちNOセンサ100はFETの構成を有し、同様に動作する。以下必要に応じて各構成要素を対応するFETの構成要素として説明する。
NOセンサ100のチップサイズは、一例として長さL:2mm〜6mm、幅W:2mm〜6mm、p型半導体層10の厚みT:0.2mm〜0.6mm程度である。またFETのチャネル幅wは2μm〜100μm、チャネル長lは10μm〜500μmである。
図2を参照して、NOセンサ100の動作について更に説明する。図2は、図1(B)の補助相8とゲート領域となる第1半導体領域1付近を拡大した断面図である。
まず、補助相8について説明する。補助相8は、既述の如く亜硝酸ナトリウム8aの中に、ルテニウム8cを担持した酸化タングステン8bを分散させたものである。
タングステン粉末は、タングステン酸ナトリウム二水和物水溶液をpH=−0.5に調整した硝酸へ滴下し、生成した沈殿物を焼成(300℃、2時間)することにより得る。ルテニウム8cを担持した酸化タングステン8b(以下Ru−WO)は、ルテニウムのコロイド溶液に酸化タングステン粉末を3時間懸濁させた後、蒸発乾固を行うことにより得た。Ru−WO中のルテニウムは、例えば0.01wt%〜10wt%である。その後、Ru−WOと亜硝酸ナトリウムを混合して融解(例えば300℃)、粉砕して調整し、Ru−WOと亜硝酸ナトリウムの混合粉末を得る。当該混合粉末を第1電極5の一部と、第1半導体領域1上を完全に被覆するように融着(280℃)させ、補助相8を設ける。
亜硝酸ナトリウム8aに、ルテニウム8cを担持した酸化タングステン8bを分散させた補助相(以下NaNO−Ru/WO)8は、NaNOとRu/WOのモル比が8:1〜4:1である。
NOセンサ100の動作は以下の通りである。
図2の如く、第1電極5−第2電極6間に第1の電圧(ゲート−ソース間電圧VGS)を印加し、第3電極7−第2電極6間に第2の電圧(ドレイン−ソース間電圧VDS)を印加する。これにより、ゲート領域1に反転相(チャネル)が形成され、ドレイン電流Iが流れる。
NOセンサ100は150℃前後(例えば130℃程度)の温度で動作させる。NOセンサ100の作動温度を130℃程度にすることにより、補助相8のイオン導電体8a内のイオン化したナトリウムイオン(Na)は自由に移動し易い状態となる。そして、外部(大気中)のNO濃度に応じて、補助相8内のNOが拡散する。
すなわち、外部のNO濃度が高い場合、補助相8内のNOの拡散が進行し、ゲート−ソース間電圧VGSが印加されている第1電極5と補助相8の界面付近では、拡散したNOとナトリウムイオンは、金(Au)により構成された第1電極5から、イオン導電体8a内に分散している酸化タングステン8bを介して電子(e−)を受け取る。また、NOはルテニウム8cに吸着する。
つまり、ゲート−ソース間電圧VGSが印加されている第1電極5と補助相8の界面付近では、下記の(1)式に示す平衡反応が起こり、電子を放出すると共に平衡起電力が発生する。
Figure 2008241581
このように、外部のNO濃度が高い場合は、NOおよびナトリウムイオンは第1電極5付近に集まり、第1電極5と補助相8の界面の平衡反応において発生した負の平衡起電力が、絶縁膜4を介してゲート領域1に印加される。つまり、第1電極5と補助相8界面付近で発生する起電力の変化(この場合は負の起電力の増加)によって、ゲート領域1に印加される電圧が制御される。この場合ゲート領域1に印加される電圧が減少するため、ゲート領域1に形成されていたチャネルが狭まり、ドレイン電流Iが減少する。つまり、NO濃度が高い場合には、ドレイン電流Iが減少する状態となる。
一方、外部(大気中)のNOガス(NO濃度)が少なくなると、補助相8中のNOはルテニウム8cから乖離し、イオン導電体8a中を拡散する。これによって平衡反応における負の起電力が変化(この場合減少)し、絶縁膜4を介してゲート領域1に印加される電圧が増加することにより、第2半導体領域2および第3半導体領域3間を流れるドレイン電流Iが増加する。
すなわち、大気中のNOガス量によって、イオン導電体8a内に拡散したNOがルテニウム8cと吸着または乖離する際、第1電極5から授受される電子によりチャネルを流れるドレイン電流Iが変化する。ゲート領域1に印加される電圧はNO濃度に依存すると考えられるので、これらに基づきNO濃度を測定することができる。
具体的には、第2電極6および第3電極7間に印加するドレイン−ソース間電圧VDSをある直流電圧とし、ドレイン電流Iを測定すると、NO濃度の上昇に対してドレイン電流Iが減少する。このときドレイン電流Iを一定に制御することとし、このために第1電極5と第2電極6間(ゲート−ソース間電圧VGS)の電位を増加させる。つまりドレイン電流Iが一定となるように、ゲート−ソース間電圧VGSの電位を変化させ、これをセンサ信号として、その変化量を以下の(2)式に基づきNO濃度に換算する。
Figure 2008241581
ここで、Φ:ポテンシャル、R:定数、T:絶対温度、n:反応電子数(ここでは1)、F:ファラデー定数、P(NO):NOの分圧、である。
本実施形態の補助相8内には、ルテニウム8cを担持した金属酸化物8bが分散されている。ルテニウム8cは、NOの吸着および乖離が良好な貴金属である。一方、ルテニウム8cは、NOに対してはNOほど良好な吸着特性を示さない。
つまり本実施形態では、ルテニウム8cがNOを選択的に吸着/乖離することによって、その際の電子の移動(授受)により第1電極5と補助相8界面で発生する平衡起電力が変化し、ゲート領域1に印加される電圧を変化させることができる。
従って、例えばNOとNOが混在した状態であっても、NOを吸着せず、NOを選択的に吸着することができる。つまり本実施形態の補助相8では、補助相60にルテニウムを含まない従来構造(図7)と比較して、NOに対する選択性を大幅に改善することができる。
図3は、本実施形態のNOセンサ100の実測の結果である。
図3(A)はNOセンサ100を130℃で作動させた場合であり、図3(B)は170℃で作動させた場合である。いずれも、ドレイン−ソース間電圧VDSに、3Vを印加し、第2半導体領域2と第3半導体領域3間に流れるドレイン電流Iが一定となるように、ゲート−ソース間電圧VGSの電位を変化させ、このゲート−ソース間電圧VGSをセンサ信号とした。
縦軸がセンサ信号VGSの変化量[ΔmV]、横軸が濃度(対数表示)[ppb]であり、それぞれNO(破線)とNO(実線)について測定した。つまり図3は、ゲート−ソース間電圧VGSのNOとNOに対する濃度依存性を示している。
またここでの補助相8(NaNO−Ru/WO)は、NaNOとRu/WOのモル比が5:1であり、RuのWOに対する組成比は、0.1wt%である。
図3(A)(B)の如く、作動温度がいずれの場合でも、ゲート−ソース間電圧VGSはNO濃度の対数に直線的に比例するNernst応答を示し、直線の傾きから求めた反応電子数nは“1”となった。これは上記の(1)式で示す電極反応に対応している。
NOセンサ100では、NOに対してはNOより低濃度で検出できる。また、NOでは濃度の変化に対するセンサ信号の変化量がほとんどないが、NOは濃度が高くなるに従って変化量も増加する。
つまり、本実施形態のNOセンサ100は、NO濃度が低濃度であっても(あるいは高濃度であっても)NOのセンサ感度および選択性が非常に良好であるといえる。
比較のため、図8に示す従来構造の実測結果を参照する。既述の如く図8は、補助相としてイオン伝導体に金属酸化物(酸化タングステン)のみを混在させたFET型ガスセンサ150を130℃で作動させた場合の実測結果である。従来構造の金属酸化物はルテニウムを担持せず、それ以外は本実施形態の補助相8と同様の構成である。すなわち、図3(A)と図8ではルテニウムの有無による違いが示されている。
これより従来構造では、NOとNOは濃度に対するセンサ信号の変化量が同様である。つまり、従来構造ではNOと同時にNOにも応答することを示す。また、NO濃度がNO濃度より1桁高い場合には、NOに対する応答が優勢となってしまう。
これに対し、ルテニウムを担持する本実施形態(図3(A))では、NOの選択性が良好であるため、本実施形態のNOセンサのみで(別途NOを排除する手段を設けることなく)、NO濃度を検出することができる。
これは既述の如く、補助相8内の酸化タングステン8bに担持されたルテニウム8cの、NOに対する良好な吸着特性によるものと考えられる。
また図3(B)の如く、本実施形態のNOセンサ100は作動温度が170℃であっても同様の特性を示し、すなわちNOに対する選択性が非常に良好である。
図4および図5は、本実施形態の応答・回復曲線である。図4はNOに対する応答・回復曲線であり、図5はNOに対する応答・回復曲線である。
まず図4は、ドレイン−ソース間電圧VDS=3.0V、ドレイン電流I=1100μAとし、作動温度130℃および170℃について、センサ信号(ゲート−ソース間電圧VGS)を測定した結果である。またそれぞれの曲線の横軸方向が時間であり、縦軸方向がセンサ信号の大きさである。
本実施形態のNOセンサ100は、NO濃度を、低濃度(100ppb)から高濃度(500ppb)に切り替えた際、いずれの作動温度においても図の如く急峻な立ち上がりを示す。すなわち、500ppbのNOガスであっても瞬時に反応することを示し、センサ信号の値(増加分)も作動温度が130℃で約40mV、170℃で約50mVとなる。
またNO濃度を高濃度(500ppb)から低濃度(100ppb)に切り替えた場合の回復特性も同様に急峻である。
図5は、NOについて測定した結果であり、ドレイン−ソース間電圧VDS=3.0V、ドレイン電流I=1100μAとし、作動温度130℃および170℃について、センサ信号を測定した。また、それぞれの曲線の横軸方向が時間、縦軸方向がセンサ信号の大きさである。但し高濃度のガス濃度はNOの場合の6倍である。
本実施形態のNOセンサ100は、NO濃度を、低濃度(100ppb)から高濃度(5000ppb)に切り替えた際、いずれの作動温度においても図の如く緩慢な立ち上がりを示す。また再び低濃度に戻す場合も緩慢な回復特性を示す。しかも、NO濃度がNO濃度の6倍(3000ppb)であるにもかかわらず、100ppbから3000ppbに切り替えたときのセンサ信号の値(増加分)は約6mV〜7mV程度でしかない。
すなわち、本実施形態のNOセンサ100はNOに対する応答・回復特性が緩慢であり感度も良好でなないといえる。
これにより、補助相8内に分散させる金属酸化物8bにルテニウムbcを担持させることにより、応答・回復曲線が非常に良好になるといえる。
更に、図6を参照して、本実施形態の応答・回復時間について説明する。
図6は、図7に示す従来構造のFET型ガスセンサ150と本実施形態のNOセンサ100の応答時間および回復時間を測定した結果をまとめた表である。
既述の如く従来のガスセンサ150の補助相60は、イオン導電体中に金属酸化物を分散(WO−NaNO)させたものであり、本実施形態の補助相8は、イオン導電体中に貴金属を担持した金属酸化物を分散(Ru/WO−NaNO)させたものである。それぞれのセンサについて、NO濃度を100ppbから500ppbに切り替えた場合の90%応答時間、および500ppbから100ppbに切り替えた場合の90%回復時間を測定し、比較した。
例えば、同じ130℃の作動温度で比較した場合、従来構造(WO−NaNO)の応答時間は315秒、回復時間は476秒であるのに対し、本実施形態(Ru/WO−NaNO)の応答時間は87秒、回復時間は187秒であり、いずれも従来構造の3分の1以下に改善している。
また、170℃の作動温度での比較では、従来構造の応答時間は81秒、回復時間は132秒であるのに対し、本実施形態の応答時間は23秒、回復時間は53秒であり、いずれも従来構造より低減し、且つ応答・回復時間のいずれも1分以内である。
このように、補助相8内の金属酸化物(WO)8bに、貴金属(Ru)8cを担持させることにより、NOに対する応答・回復時間(速度)が大きく改善したことが明らかとなった。特に作動温度が170℃の場合においては、90%応答・回復時間が1分以内となっており、非常に良好な特性を示した。
また、作動温度が130℃であっても、応答時間、回復時間のいずれも従来構造と比較して3分の1以下となる。つまり、作動温度が低い場合であっても十分な応答・回復特性が得られるので、消費電力の低減が図れる。
応答・回復時間が短い理由として、既述の如くルテニウム8cはNOの吸着性および乖離性が良好であり、補助相8を構成するイオン導電体8a内が(ルテニウムを担持させない場合と比較して)ポーラスになるためと考えられる。外部(大気中)のNOガスはポーラスなイオン導電体8a内にすばやく拡散し、ルテニウム8cと吸着する。またルテニウム8cから乖離したNOもイオン導電体8a内をすばやく拡散し、外部に放出される。これにより、応答・回復時間を短縮することができる。
本発明は、本センサは、ppbレベルのNOを選択的に検知できる上、作動温度も約130℃と低温なため省電力化が可能である。従って、環境計測、空気喚起、燃焼制御、空気清浄化設備などの実用センサとして大きく期待できる。
本発明のNOセンサを説明するための(A)平面図、(B)断面図である。 本発明のNOセンサを説明するための断面図である。 本発明のNOセンサを説明するための特性図である。 本発明のNOセンサのNOに対する応答・回復曲線である。 本発明のNOセンサのNOに対する応答・回復曲線である。 本発明と従来構造のセンサの応答・回復時間を説明する図である。 従来のガスセンサを説明する断面図である。 従来のガスセンサを説明する特性図である。
符号の説明
1 第1半導体領域
2 第2半導体領域
3 第3半導体領域
4、4a、4b 絶縁膜
5 第1電極
6 第2電極
6a 導電材料
7 第3電極
7a 導電材料
8 補助相
8a イオン導電体
8b 金属酸化物
8c 貴金属
10 p型半導体層
100 NOセンサ
51 p型半導体層
52 ソース領域
53 ドレイン領域
54 ゲート領域
55 絶縁膜
56 ソース電極
57 ドレイン電極
58 絶縁膜(酸化タンタル膜)
59 ゲート電極
60 補助相
150 ガスセンサ

Claims (6)

  1. 一導電型半導体層と、
    該半導体層表面に設けられた一導電型の第1半導体領域と、
    該第1半導体領域の両側の前記半導体層表面に設けられた逆導電型の第2半導体領域および第3半導体領域と、
    前記半導体層上に設けられ前記第1半導体領域とコンタクトする絶縁膜と、
    前記絶縁膜上に設けられた金電極よりなり、第1半導体領域に電位を印加する第1電極と、
    前記第1電極の一部を覆って前記絶縁膜上に設けられ、前記第1半導体領域上の前記絶縁膜とコンタクトするイオン導電体と、
    前記第2半導体領域に接続する第2電極と、
    前記第3半導体領域に接続する第3電極とを具備し、
    前記イオン導電体内には貴金属を担持した金属酸化物が分散され、前記貴金属に吸着させることにより二酸化窒素を選択的に検出することを特徴とする二酸化窒素センサ。
  2. 前記イオン導電体が亜硝酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1に記載の二酸化窒素センサ。
  3. 前記金属酸化物が酸化タングステンであることを特徴とする請求項1に記載の二酸化窒素センサ。
  4. 前記貴金属がルテニウムであることを特徴とする請求項1に記載の二酸化窒素センサ。
  5. 前記イオン導電体内に拡散した前記二酸化窒素が前記貴金属と吸着/乖離する際、前記第1電極から前記金属酸化物を介して電子が授受されることにより前記第2半導体領域および前記第3半導体領域間の前記第1半導体領域を流れる電流が変化し、該電流の変化に基づき前記二酸化窒素の濃度を算出することを特徴とする請求項1に記載の二酸化窒素センサ。
  6. 前記イオン導電体内に拡散した前記二酸化窒素が前記貴金属と吸着/乖離する際、前記第1電極から前記金属酸化物を介して電子が授受されることにより前記イオン導電体内の平衡反応において起電力が発生し、該起電力によって変化し前記絶縁膜を介して前記第1半導体領域に印加される電圧が、該第1半導体領域に流れる電流を一定にするように制御され、前記電圧の変化に基づき前記二酸化窒素の濃度を算出することを特徴とする請求項1に記載の二酸化窒素センサ。
JP2007084873A 2007-03-28 2007-03-28 二酸化窒素センサ Withdrawn JP2008241581A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007084873A JP2008241581A (ja) 2007-03-28 2007-03-28 二酸化窒素センサ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007084873A JP2008241581A (ja) 2007-03-28 2007-03-28 二酸化窒素センサ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008241581A true JP2008241581A (ja) 2008-10-09

Family

ID=39913103

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007084873A Withdrawn JP2008241581A (ja) 2007-03-28 2007-03-28 二酸化窒素センサ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008241581A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9671351B2 (en) 2014-04-24 2017-06-06 Stmicroelectronics S.R.L. Multi-sensor optical device for detecting chemical species and manufacturing method thereof

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9671351B2 (en) 2014-04-24 2017-06-06 Stmicroelectronics S.R.L. Multi-sensor optical device for detecting chemical species and manufacturing method thereof
US10483298B2 (en) 2014-04-24 2019-11-19 Stmicroelectronics S.R.L. Multi-sensor optical device for detecting chemical species and manufacturing method thereof
US11037965B2 (en) 2014-04-24 2021-06-15 Stmicroelectronics S.R.L. Multi-sensor optical device for detecting chemical species and manufacturing method thereof

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Sharma et al. Recent advances on H2 sensor technologies based on MOX and FET devices: A review
Hong et al. FET-type gas sensors: A review
Hong et al. Highly selective ZnO gas sensor based on MOSFET having a horizontal floating-gate
ES2554128T3 (es) Dispositivo ISFET
Bendahan et al. Development of an ammonia gas sensor
WO1998012550A1 (fr) Capteur de gaz
Yoo et al. Sensing properties and selectivities of a WO3/YSZ/Pt potentiometric NOx sensor
JP2011203256A (ja) センシング用アモルファス薄膜
Chang et al. Hydrogen sensing performance of a Pd/HfO2/GaOx/GaN based metal-oxide-semiconductor type Schottky diode
CN107430086B (zh) 气体传感器以及传感器装置
KR102316202B1 (ko) 트리플 게이트 구조의 이온전계효과 트랜지스터 기반 고성능 바이오 센서
JP2011215105A (ja) 化学センサ及び検出方法
Barillaro et al. A silicon crystalline resistor with an adsorbing porous layer as gas sensor
Ersöz et al. Electrolyte-gated transistor for CO2 gas detection at room temperature
Barillaro et al. Low-concentration NO 2 detection with an adsorption porous silicon FET
Cho et al. Optimization of signal to noise ratio in silicon nanowire ISFET sensors
JP2008241581A (ja) 二酸化窒素センサ
JP6536592B2 (ja) ガスセンサ及びセンサ装置
JP5168725B2 (ja) ガスセンサ
Shimanoe et al. Development of FET-type CO2 sensor operative at room temperature
Tsukada et al. Silver gate field effect transistor for oxygen gas sensor
CN106198679B (zh) 具有电化学保护模式的氧传感器
JP2006300585A (ja) 水素センサ及び水素の検知方法
Yoo et al. Metal-oxide thin-film transistor-based pH sensor with a silver nanowire top gate electrode
KR102225968B1 (ko) 저항형 코플래너 구조의 이온전계효과 트랜지스터 기반 고성능 바이오 센서

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20100601