JP2008238522A - ガラス型離型剤及びプラスチック成形品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】屈折率の高い熱硬化性樹脂を用いてプラスチック成形品を製造する際に、プラスチック成形品とガラス型との離型性が良好なガラス型離型剤を提供する。
【解決手段】一対のガラス型1の間に注入される熱硬化性樹脂が屈折率の高い熱硬化性樹脂であっても、一対のガラス型1をプラスチックレンズ基材から離型するガラス型離型剤を含フッ素シラン化合物を主成分とするものにした。含フッ素シラン化合物は撥水性が高いので、プラスチックレンズ基材とガラス型1との離型が容易に行える。
【選択図】図3
【解決手段】一対のガラス型1の間に注入される熱硬化性樹脂が屈折率の高い熱硬化性樹脂であっても、一対のガラス型1をプラスチックレンズ基材から離型するガラス型離型剤を含フッ素シラン化合物を主成分とするものにした。含フッ素シラン化合物は撥水性が高いので、プラスチックレンズ基材とガラス型1との離型が容易に行える。
【選択図】図3
Description
本発明は、プラスチックレンズ、その他のプラスチック成形品を製造するために用いられるガラス型離型剤及びプラスチック成形品の製造方法に関する。
従来、互いに対向する一対のガラス型の内部に成形材料を注入し、重合転換させ、所要形状のプラスチック成形品を製造することが行われている。このプラスチック成形品には、例えば、プラスチックレンズ基材が知られており、このプラスチックレンズ基材の表面にプライマー層、ハードコート層及び反射防止層が形成されて眼鏡用のプラスチックレンズが形成される。
このプラスチックレンズ基材を製造するため、まず、内面に所要の曲率を有する一対のガラス型の外周縁側を、環状ガスケット又はテープを介して対向させることによって、プラスチックレンズの注型用型材(モールド)を形成する。次に、注型用型材の内部に成形樹脂材料を注入する。
このプラスチックレンズ基材を製造するため、まず、内面に所要の曲率を有する一対のガラス型の外周縁側を、環状ガスケット又はテープを介して対向させることによって、プラスチックレンズの注型用型材(モールド)を形成する。次に、注型用型材の内部に成形樹脂材料を注入する。
成形樹脂材料としては、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート(nd=1.50)を主成分とした液状モノマーの他、ジイソシアネート化合物とポリチオール化合物を混合させて得られる硫黄原子を含有するポリチオウレタン(nd=1.6〜1.7)、さらに高い屈折率を有する光学用樹脂を追求する流れの中で、エピスルフィド基を有する化合物に重合触媒や紫外線吸収剤が溶解、混合された液状モノマーが使用される。または、重合時の体積収縮によって発生する内部応力を緩和するために、予めモノマーを予備重合した液状プレポリマーが使用される。
この注入工程の後に、モールドを加熱炉内に収容し、注入された液状の成形樹脂材料を重合転換させて硬化させる重合工程が行われる。これにより、液状の成形材料は固形化されてプラスチックレンズ基材が形成される。
この重合工程の後に、注型用型材から環状ガスケット又はテープを取り外し、さらにガラス型とプラスチックレンズ基材とを離型する離型工程を行う。
この重合工程の後に、注型用型材から環状ガスケット又はテープを取り外し、さらにガラス型とプラスチックレンズ基材とを離型する離型工程を行う。
このような従来のプラスチックレンズの製造方法においては、成形されたプラスチックレンズ基材とガラス型との密着性が高いので、離型工程において、プラスチックレンズからガラス型を取り外すためには大きな力を加える必要がある。しかしながら、過大な力を加えてレンズ基材の取り外しの操作を行うと、プラスチックレンズ基材にクラックが発生する。またはガラス型が破損してしまう等の弊害を招く。
そのため、従来、離型が容易となるように、予め離型剤を注型用型材の内部に塗布しておき、プラスチックレンズ基材と注型用型材との密着性を低くする方法が提案されている(特許文献1)。
特許文献1で示される従来例では、離型剤として、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、アルキル4級アンモニウム塩等からなる郡が挙げられている。
そのため、従来、離型が容易となるように、予め離型剤を注型用型材の内部に塗布しておき、プラスチックレンズ基材と注型用型材との密着性を低くする方法が提案されている(特許文献1)。
特許文献1で示される従来例では、離型剤として、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、アルキル4級アンモニウム塩等からなる郡が挙げられている。
昨今、眼鏡用のプラスチックレンズ、その他の光学物品では、高屈折率のプラスチック成形品が求められている。
特許文献1で示される従来例では、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートの他、ジイソシアネート化合物とポリチオール化合物を注型重合させて得られる硫黄原子を含有するポリチオウレタン、エピスルフィド基を有する化合物を重合させて得られる透明性樹脂には効果があるものの、さらに屈折率の高いテトラキス(2,3−エピチオプロピルチオ)スズ、テトラキス(2,3−エピチオプロピルチオ)ケイ素、テトラキス(2,3−エピチオプロピルチオ)ジルコニウム、テトラキス(2,3−エピチオプロピルチオ)ゲルマニウム、テトラキス(2,3−エピチオプロピルチオ)チタン等の化合物を重合して得られる樹脂においては、十分な離型性が得られないという課題がある。
特許文献1で示される従来例では、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートの他、ジイソシアネート化合物とポリチオール化合物を注型重合させて得られる硫黄原子を含有するポリチオウレタン、エピスルフィド基を有する化合物を重合させて得られる透明性樹脂には効果があるものの、さらに屈折率の高いテトラキス(2,3−エピチオプロピルチオ)スズ、テトラキス(2,3−エピチオプロピルチオ)ケイ素、テトラキス(2,3−エピチオプロピルチオ)ジルコニウム、テトラキス(2,3−エピチオプロピルチオ)ゲルマニウム、テトラキス(2,3−エピチオプロピルチオ)チタン等の化合物を重合して得られる樹脂においては、十分な離型性が得られないという課題がある。
本発明の目的は、屈折率の高い熱硬化性樹脂を用いてプラスチック成形品を製造する際に、プラスチック成形品とガラス型との離型性が良好なガラス型離型剤及びプラスチック成形品の製造方法を提供することにある。
本発明のガラス型離型剤は、一対のガラス型の間に下記一般式(1)で示される熱硬化性樹脂を注入し重合させてプラスチック成形品を製造する際に、前記一対のガラス型をプラスチック成形品から離型するために使用されるガラス型離型剤であって、前記ガラス型に塗布されるとともに含フッ素シラン化合物を主成分とすることを特徴とする。
前述の熱硬化性樹脂としては、屈折率の高いテトラキス(2,3−エピチオプロピルチオ)スズ、テトラキス(2,3−エピチオプロピルチオ)ケイ素、テトラキス(2,3−エピチオプロピルチオ)ジルコニウム、テトラキス(2,3−エピチオプロピルチオ)ゲルマニウム、テトラキス(2,3−エピチオプロピルチオ)チタン等の化合物を重合して得られる光学樹脂を例示できる。
このような構成の発明によれば、離型剤として用いられる含フッ素シラン化合物は撥水効果が優れているので、この化合物を離型剤として使用することで、ガラス型とプラスチック成形品との離型が容易に行われることになる。
このような構成の発明によれば、離型剤として用いられる含フッ素シラン化合物は撥水効果が優れているので、この化合物を離型剤として使用することで、ガラス型とプラスチック成形品との離型が容易に行われることになる。
ここで、本発明では、前記含フッ素シラン化合物は下記一般式(2)又は下記一般式(3)で表されるものを例示できる。
このような構成の発明によれば、上記一般式で表される含フッ素シラン化合物は撥水効果が優れるので、この化合物を離型剤として使用することとで、ガラス型とプラスチック成形品との離型を容易に行うことができる。
本発明のプラスチック成形品の製造方法は、前述の構成のガラス型離型剤を前記ガラス型にディッピング法又は真空蒸着法で塗布する塗布工程と、前記ガラス型を対向配置するとともに前記ガラス型の周縁部を封止部材で巻き付けるモールド成形工程と、前記封止部材及び前記ガラス型から形成された空間に前記熱硬化性樹脂を注入して重合するプラスチック重合工程と、前記一対のガラス型から前記封止部材を取り外すとともに、前記一対のガラス型をプラスチック成形品から離型する離型工程とを備えたことを特徴とする。
ここで、含フッ素シラン化合物を用いて、ガラス型に塗布するには、有機溶剤に溶解してガラス型表面に塗布する方法を採用することができる。
モールド成形工程で使用される封止部材は、ガスケット又はテープである。テープはガラス型の周面に巻き付けられる面に接着剤が設けられる。
この構成の発明では、ガラス型とプラスチック成形品との離型が容易に行われるから、ガラス型をプラスチック成形品から強引に剥がすことがない。そのため、傷のないプラスチック成形品を製造することができる。
モールド成形工程で使用される封止部材は、ガスケット又はテープである。テープはガラス型の周面に巻き付けられる面に接着剤が設けられる。
この構成の発明では、ガラス型とプラスチック成形品との離型が容易に行われるから、ガラス型をプラスチック成形品から強引に剥がすことがない。そのため、傷のないプラスチック成形品を製造することができる。
プラスチック成形品の製造方法にかかる発明では、前記塗布工程と、前記モールド成形工程との間に前記ガラス型離型剤を乾燥させる乾燥工程を備えた構成が好ましい。
この構成の発明では、モールド成型工程の後で実施されるプラスチック重合工程の前には確実にガラス型離型剤が乾燥しているので、熱硬化性樹脂がガラス型離型剤と反応することがなくなり、ガラス型の離型を確実に行うことができる。
この構成の発明では、モールド成型工程の後で実施されるプラスチック重合工程の前には確実にガラス型離型剤が乾燥しているので、熱硬化性樹脂がガラス型離型剤と反応することがなくなり、ガラス型の離型を確実に行うことができる。
以下、本発明の第一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態はプラスチック成形品として眼鏡用のプラスチックレンズ基材を製造する方法である。
[プラスチックレンズ基材]
プラスチックレンズ基材は一対のガラス型1(図2参照)の間に熱硬化性樹脂を注入し重合させて製造される。このプラスチックレンズ基材の表面にはプライマー層が形成され、このプライマー層の上には必要に応じてハードコート層並びに反射防止層が形成される。これらのプラスチックレンズ基材、プライマー層、ハードコート層及び反射防止層を備えて眼鏡用プラスチックレンズが構成される。
[プラスチックレンズ基材]
プラスチックレンズ基材は一対のガラス型1(図2参照)の間に熱硬化性樹脂を注入し重合させて製造される。このプラスチックレンズ基材の表面にはプライマー層が形成され、このプライマー層の上には必要に応じてハードコート層並びに反射防止層が形成される。これらのプラスチックレンズ基材、プライマー層、ハードコート層及び反射防止層を備えて眼鏡用プラスチックレンズが構成される。
本実施形態のプラスチックレンズ基材は熱硬化性樹脂で成形されるものである。この熱硬化性樹脂は、下記一般式(1)で示される化合物であり、具体的には、屈折率の高いテトラキス(2,3−エピチオプロピルチオ)スズ、テトラキス(2,3−エピチオプロピルチオ)ケイ素、テトラキス(2,3−エピチオプロピルチオ)ジルコニウム、テトラキス(2,3−エピチオプロピルチオ)ゲルマニウム、テトラキス(2,3−エピチオプロピルチオ)チタン等の化合物を重合して得られる熱硬化性樹脂を例示できる。
本実施形態で使用される熱硬化性樹脂の製造方法は、例えば、特開2006−169190号公報に例示されている。
本実施形態で使用される熱硬化性樹脂の製造方法は、例えば、特開2006−169190号公報に例示されている。
[ガラス型離型剤]
ガラス型1の表面にはガラス型離型剤が塗布される。
このガラス型離型剤は含フッ素シラン化合物を主成分とするものであり、下記一般式(2)や一般式(3)で表されるものを用いる。
ガラス型1の表面にはガラス型離型剤が塗布される。
このガラス型離型剤は含フッ素シラン化合物を主成分とするものであり、下記一般式(2)や一般式(3)で表されるものを用いる。
[ガラス型離型剤の塗布工程]
一般式(2)(3)で示される含フッ素シラン化合物を有機溶剤に溶解してガラス型表面に塗布する。
有機溶剤としては、パーフルオロヘキサン、パーフルオロシクロブタン、パーフルオロオクタン、パーフルオロデカン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン、パーフルオロ−4−メトキシブタン、パーフルオロ−4−エトキシブタン、メタキシレンヘキサフロライド等が挙げられる。また、パーフルオロエーテル油、クロロトリフルオロエチレンオリゴマー油を使用することができる。その他に、フロン225(CF3CF2CHCl2とCClF2CF2CHClFの混合物)を例示することができる。これらの有機溶剤の1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
有機溶剤で希釈するときの濃度は、0.03〜1wt%の範囲が好ましい。濃度が低すぎると十分な厚さの離型層の形成が困難であり、十分な離型効果が得られない場合があり、一方、濃すぎると離型層が厚くなり過ぎるおそれがあり、塗布後塗りむらをなくすためのリンス作業の負担が増すおそれがある。
一般式(2)(3)で示される含フッ素シラン化合物を有機溶剤に溶解してガラス型表面に塗布する。
有機溶剤としては、パーフルオロヘキサン、パーフルオロシクロブタン、パーフルオロオクタン、パーフルオロデカン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン、パーフルオロ−4−メトキシブタン、パーフルオロ−4−エトキシブタン、メタキシレンヘキサフロライド等が挙げられる。また、パーフルオロエーテル油、クロロトリフルオロエチレンオリゴマー油を使用することができる。その他に、フロン225(CF3CF2CHCl2とCClF2CF2CHClFの混合物)を例示することができる。これらの有機溶剤の1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
有機溶剤で希釈するときの濃度は、0.03〜1wt%の範囲が好ましい。濃度が低すぎると十分な厚さの離型層の形成が困難であり、十分な離型効果が得られない場合があり、一方、濃すぎると離型層が厚くなり過ぎるおそれがあり、塗布後塗りむらをなくすためのリンス作業の負担が増すおそれがある。
塗布方法としては、ディッピング法や真空蒸着法が採用される。
これらの塗布方法のうち、ディッピング法について図1に基づいて説明する。
図1において、含フッ素シラン化合物を有機溶剤に溶解して得られたガラス型離型剤Lをタンク10の内部に収納し、このタンク10に収納されたガラス型離型剤Lにクランプ11で保持されたガラス型1を一定時間浸漬し、一定速度でガラス型1を引き上げる。これにより、ガラス型1の表面に離型層1Aが形成される。
この際、浸漬時間としては0.5分から3分程度が望ましい。浸漬時間が0.5分未満であると、ガラス型1の表面への離型剤の吸着が充分でないため、所定の離型性能を得ることができない。浸漬時間が3分を超えると、サイクルタイムの増加を招き好ましくない。
これらの塗布方法のうち、ディッピング法について図1に基づいて説明する。
図1において、含フッ素シラン化合物を有機溶剤に溶解して得られたガラス型離型剤Lをタンク10の内部に収納し、このタンク10に収納されたガラス型離型剤Lにクランプ11で保持されたガラス型1を一定時間浸漬し、一定速度でガラス型1を引き上げる。これにより、ガラス型1の表面に離型層1Aが形成される。
この際、浸漬時間としては0.5分から3分程度が望ましい。浸漬時間が0.5分未満であると、ガラス型1の表面への離型剤の吸着が充分でないため、所定の離型性能を得ることができない。浸漬時間が3分を超えると、サイクルタイムの増加を招き好ましくない。
引き上げ速度は、100mm/分〜300mm/分が望ましい。これは、ガラス型離型剤の濃度との兼ね合いで決めるものであるが、100mm/分未満では、離型層が薄くなりすぎて所定の離型性能が得られず、300mm/分を超えると、離型層が厚くなりすぎ、塗布後塗りむらをなくすためのリンス作業の負担が増すおそれがある。
離型層の膜厚は、特に限定されないが、0.001〜0.5μm、好ましくは0.001〜0.03μmである。離型層の膜厚が薄すぎると離型効果が乏しくなり、厚すぎると表面がべたつくので好ましくない。
離型層1Aを形成した後、未反応分子や反応が完了していない分子を離型層1Aから除去する処理を行ってもよい。例えば、前記シラン化合物を溶解する有機溶剤で処理するか、あるいはアルカリ性水溶液で処理することにより可能である。
離型層の膜厚は、特に限定されないが、0.001〜0.5μm、好ましくは0.001〜0.03μmである。離型層の膜厚が薄すぎると離型効果が乏しくなり、厚すぎると表面がべたつくので好ましくない。
離型層1Aを形成した後、未反応分子や反応が完了していない分子を離型層1Aから除去する処理を行ってもよい。例えば、前記シラン化合物を溶解する有機溶剤で処理するか、あるいはアルカリ性水溶液で処理することにより可能である。
アルカリ性水溶液としては、pH9以上であることが好ましい。アルカリ源としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。アルカリ性水溶液には、洗浄効果を上げるために、界面活性剤を添加することができる。アルカリ溶液に添加する界面活性剤としては特に限定はなく、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤の他、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤のいずれも使用できる。また、アルカリ石鹸を使用する場合等、界面活性剤成分のみの添加でpHが9以上になるのであればアルカリ源を使用しなくても良い。
アニオン性界面活性剤の具体例としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル等、カチオン性界面活性剤としては、アルキルアンモニウム塩、アルキルアミン塩等、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックコポリマー、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
有機溶剤やアルカリ水溶液以外に、例えばパーフルオロ基を有するフッ素系界面活性剤も、直接処理剤として、あるいは有機溶剤やアルカリ水溶液に添加する界面活性剤として用いることができる。フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキル(C7〜C20)カルボン酸、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸等を例示することができる。
これらの薬剤を用いて離型層を処理する方法としては、薬剤をしみこませた紙あるいは布によって拭き洗浄する方法か、薬剤を入れた容器(洗浄槽)中にガラス型を浸漬し、揺動あるいは超音波等物理的なエネルギーを加えることによって行う。
前記溶媒除去工程の後に撥水剤である含フッ素シラン化合物を光学物品表面に固定するアニール工程を実施する。これは、含フッ素シラン化合物とプラスチックレンズ基材の表面との化学結合を促進することにより、耐久性を増加させることを目的とする。
有機溶剤やアルカリ水溶液以外に、例えばパーフルオロ基を有するフッ素系界面活性剤も、直接処理剤として、あるいは有機溶剤やアルカリ水溶液に添加する界面活性剤として用いることができる。フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキル(C7〜C20)カルボン酸、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸等を例示することができる。
これらの薬剤を用いて離型層を処理する方法としては、薬剤をしみこませた紙あるいは布によって拭き洗浄する方法か、薬剤を入れた容器(洗浄槽)中にガラス型を浸漬し、揺動あるいは超音波等物理的なエネルギーを加えることによって行う。
前記溶媒除去工程の後に撥水剤である含フッ素シラン化合物を光学物品表面に固定するアニール工程を実施する。これは、含フッ素シラン化合物とプラスチックレンズ基材の表面との化学結合を促進することにより、耐久性を増加させることを目的とする。
ガラス型離型剤の塗布方法のうち、真空蒸着法について説明する。
真空蒸着法は多孔質セラミックス製のペレット(図示せず)にガラス型離型剤を所定量含浸させた後乾燥させ、これを真空蒸着機内にセットし、所定の到達圧力になるまで排気を行う。次に、真空蒸着機にガラス型1を導入し、ペレットを所定温度まで加熱することによってシラン化合物を蒸発させ、ガラス型1の表面に成膜する。ペレットの加熱はハロゲンランプ、その他の加熱手段によって行われる。
この真空蒸着法では、原料化合物は高濃度、または希釈溶剤なしに使用することができる。
真空蒸着法は多孔質セラミックス製のペレット(図示せず)にガラス型離型剤を所定量含浸させた後乾燥させ、これを真空蒸着機内にセットし、所定の到達圧力になるまで排気を行う。次に、真空蒸着機にガラス型1を導入し、ペレットを所定温度まで加熱することによってシラン化合物を蒸発させ、ガラス型1の表面に成膜する。ペレットの加熱はハロゲンランプ、その他の加熱手段によって行われる。
この真空蒸着法では、原料化合物は高濃度、または希釈溶剤なしに使用することができる。
[ガラス型離型剤の乾燥工程]
次に、ガラス型離型剤が塗布されたガラス型1を乾燥させる。本実施形態による離型層は、常温で反応してガラス型表面に固定されるが、必要に応じ、高温、高湿環境に保持することで、反応をより完全に完結させる処理を行う。
アニール工程は、溶媒除去後の光学物品を、室内に所定時間、例えば、8時間以上放置することで行われる。より好ましくは、温度が40℃〜60℃、相対湿度が60%〜90%に設定された恒温恒湿槽内に1時間〜2時間投入することで行われる。
例えば、一般式(3)の含フッ素シラン化合物のR1がメトキシ基であり、空気中の水分の存在下で、メトキシ基が加水分解によって水酸基となり、これとガラス型1の表面のシラノール基、及び、他の含フッ素シラン化合物の加水分解によって生じた水酸基が、脱水縮合によって結合する。これらの反応は高温高湿下でより促進される。
次に、ガラス型離型剤が塗布されたガラス型1を乾燥させる。本実施形態による離型層は、常温で反応してガラス型表面に固定されるが、必要に応じ、高温、高湿環境に保持することで、反応をより完全に完結させる処理を行う。
アニール工程は、溶媒除去後の光学物品を、室内に所定時間、例えば、8時間以上放置することで行われる。より好ましくは、温度が40℃〜60℃、相対湿度が60%〜90%に設定された恒温恒湿槽内に1時間〜2時間投入することで行われる。
例えば、一般式(3)の含フッ素シラン化合物のR1がメトキシ基であり、空気中の水分の存在下で、メトキシ基が加水分解によって水酸基となり、これとガラス型1の表面のシラノール基、及び、他の含フッ素シラン化合物の加水分解によって生じた水酸基が、脱水縮合によって結合する。これらの反応は高温高湿下でより促進される。
[モールド成形工程]
ガラス型1を用いて組み立てられるモールド成形工程について、図2に基づき説明する。
図2において、一対のガラス型1をそれぞれチャック12,13で保持する。
チャック12,13で保持されたガラス型1を回転させながら封止部材としてのテープ14を一対のガラス型1の周縁部に巻き付ける。一対のガラス型1の全周面にテープ14が巻き付けられたら、図示しないカッタでテープ14の所定位置を切断する。これにより、モールド15が成形される。
テープ14は、その表面に接着剤が塗布されている。
なお、図2中、符号16はガラス型1の周面にテープ14を押さえつけるロールである。
本実施形態では、封止部材としてテープ14以外に公知のガスケットを用いることができる。
ガラス型1を用いて組み立てられるモールド成形工程について、図2に基づき説明する。
図2において、一対のガラス型1をそれぞれチャック12,13で保持する。
チャック12,13で保持されたガラス型1を回転させながら封止部材としてのテープ14を一対のガラス型1の周縁部に巻き付ける。一対のガラス型1の全周面にテープ14が巻き付けられたら、図示しないカッタでテープ14の所定位置を切断する。これにより、モールド15が成形される。
テープ14は、その表面に接着剤が塗布されている。
なお、図2中、符号16はガラス型1の周面にテープ14を押さえつけるロールである。
本実施形態では、封止部材としてテープ14以外に公知のガスケットを用いることができる。
[プラスチック重合工程]
プラスチック重合工程を図3に基づいて説明する。
図3にはプラスチックレンズ製造装置が示されている。図3において、プラスチックレンズ製造装置は、モールド15の内部に熱硬化性樹脂を注入する樹脂注入機構20を備えている。この樹脂注入機構20は、モールド15をその軸線方向を略水平にして配置する図示しない載置部と、モールド15の内部に樹脂原料を供給する供給部21と、供給される樹脂原料の量を制御する制御部22とを備えている。
供給部21は、モールド15の内部に樹脂原料を注入するためのノズル211と、このノズル211の基端部に下端部が接続される樹脂原料流通管212と、この樹脂原料流通管212の上端に接続される原料貯蔵部213とを備えており、樹脂原料流通管212に設けられた注入制御バルブ214で開口量を制御することで、ノズル211から供給される樹脂原料の量が制御される。
制御部22は、注入制御バルブ214を制御する流量調節部221と、モールド15の内部に樹脂原料が所定位置まで注入されたことを検知するセンサ222及び樹脂原料の流量を切り換えるセンサ224と、これらのセンサ222,224からの信号を受けて流量調節部221を制御する制御部本体223とを備えている。
プラスチック重合工程を図3に基づいて説明する。
図3にはプラスチックレンズ製造装置が示されている。図3において、プラスチックレンズ製造装置は、モールド15の内部に熱硬化性樹脂を注入する樹脂注入機構20を備えている。この樹脂注入機構20は、モールド15をその軸線方向を略水平にして配置する図示しない載置部と、モールド15の内部に樹脂原料を供給する供給部21と、供給される樹脂原料の量を制御する制御部22とを備えている。
供給部21は、モールド15の内部に樹脂原料を注入するためのノズル211と、このノズル211の基端部に下端部が接続される樹脂原料流通管212と、この樹脂原料流通管212の上端に接続される原料貯蔵部213とを備えており、樹脂原料流通管212に設けられた注入制御バルブ214で開口量を制御することで、ノズル211から供給される樹脂原料の量が制御される。
制御部22は、注入制御バルブ214を制御する流量調節部221と、モールド15の内部に樹脂原料が所定位置まで注入されたことを検知するセンサ222及び樹脂原料の流量を切り換えるセンサ224と、これらのセンサ222,224からの信号を受けて流量調節部221を制御する制御部本体223とを備えている。
図3のプラスチックレンズ製造装置を用いてプラスチックレンズを製造するには、まず、 樹脂注入機構20によってモールド15の内部にプラスチックレンズ形成用の樹脂原料として前述の熱硬化性樹脂を注入する。樹脂原料の注入に伴って熱硬化性樹脂の液面が上昇するが、この液面が注入口14Aの付近に達してきたことをセンサ224で検出し、注入流量が徐々に下げられる。
モールド15の内部に樹脂原料が満たされたことをセンサ222で検出したら、センサ222の信号が制御部22に送られ、樹脂原料の注入がストップされる。樹脂注入の後に注入口14Aを適宜な手段で封止する。
注入口14Aが封止されたら、モールド15を炉に入れ、加熱硬化する。これにより、プラスチックが重合される。
モールド15の内部に樹脂原料が満たされたことをセンサ222で検出したら、センサ222の信号が制御部22に送られ、樹脂原料の注入がストップされる。樹脂注入の後に注入口14Aを適宜な手段で封止する。
注入口14Aが封止されたら、モールド15を炉に入れ、加熱硬化する。これにより、プラスチックが重合される。
[離型工程]
炉から取り出されたモールド15は、一対のガラス型1の周面からテープ14が剥がされ、その後、一対のガラス型1が剥離されてプラスチックレンズ基材が形成される。このプラスチックレンズ基材は必要に応じ研磨や表面処理等の工程を経て、さらに、その表面にプライマー層、ハードコート層及び反射防止層を形成することでプラスチックレンズとなる。
炉から取り出されたモールド15は、一対のガラス型1の周面からテープ14が剥がされ、その後、一対のガラス型1が剥離されてプラスチックレンズ基材が形成される。このプラスチックレンズ基材は必要に応じ研磨や表面処理等の工程を経て、さらに、その表面にプライマー層、ハードコート層及び反射防止層を形成することでプラスチックレンズとなる。
[実施例1]
含フッ素シラン化合物:
実施例1では、ガラス型離型剤として一般式(2)で表される化合物を使用する。具体的には、フッ素含有有機ケイ素化合物(商品名「オプツールDSX」ダイキン工業株式会社製)をフッ素系溶剤(ダイキン工業株式会社製:デムナムソルベント)に希釈して0.2%溶液を調製する。
熱硬化性樹脂:
室温(25℃)下、ガラスビーカーに一般式(1)で示される化合物30gを秤取し、重合触媒として、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン0.1gを加えた後、攪拌して十分に混合した。得られた混合液をテフロン(登録商標)製フィルターで濾過した後、1.3kPa以下の減圧下に発泡が認められなくなるまで十分脱気させた。これにより、プラスチックレンズの基材となる熱硬化性樹脂材料を作製した。
ガラス型の洗浄:
ガラス型1の表面を洗浄するために研磨剤を用いて表面を研磨して洗浄し、ガラス型1として要求される清浄度のレベルに仕上げる。
含フッ素シラン化合物:
実施例1では、ガラス型離型剤として一般式(2)で表される化合物を使用する。具体的には、フッ素含有有機ケイ素化合物(商品名「オプツールDSX」ダイキン工業株式会社製)をフッ素系溶剤(ダイキン工業株式会社製:デムナムソルベント)に希釈して0.2%溶液を調製する。
熱硬化性樹脂:
室温(25℃)下、ガラスビーカーに一般式(1)で示される化合物30gを秤取し、重合触媒として、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン0.1gを加えた後、攪拌して十分に混合した。得られた混合液をテフロン(登録商標)製フィルターで濾過した後、1.3kPa以下の減圧下に発泡が認められなくなるまで十分脱気させた。これにより、プラスチックレンズの基材となる熱硬化性樹脂材料を作製した。
ガラス型の洗浄:
ガラス型1の表面を洗浄するために研磨剤を用いて表面を研磨して洗浄し、ガラス型1として要求される清浄度のレベルに仕上げる。
離型層の形成:
洗浄したガラス型1を、図1に示すタンク10に収納されたガラス型離型剤に浸漬して1分保持した後200cm/分にて引き上げ、その後、60℃、90%RHに設定した恒温恒湿槽に投入し、2時間保持することでガラス型1に離型層を形成した。
モールド成形:
先に離型層を形成したガラス型1の外周縁側を、テープ14を介して対向させることによって、プラスチックレンズのモールド15を形成した。
樹脂注入・重合:
モールド15の中に前述の熱可塑性樹脂材料を注入し、その後、加熱オーブン中へ入れ30〜120℃まで徐々に昇温し、20時間重合を行った。
離型:
モールド15のガラス型1からテープ14を取り外し、ガラス型1の外周縁の隙間にくさびを押し当て、隙間を押し広げる操作によって、プラスチックレンズ基材とガラス型1とを離型した。この時、プラスチックレンズ基材の割れ、及び、ガラス型1の割れの発生率を調査した。調査方法は以下の実施例及び比較例も同様の手順で行った。
洗浄したガラス型1を、図1に示すタンク10に収納されたガラス型離型剤に浸漬して1分保持した後200cm/分にて引き上げ、その後、60℃、90%RHに設定した恒温恒湿槽に投入し、2時間保持することでガラス型1に離型層を形成した。
モールド成形:
先に離型層を形成したガラス型1の外周縁側を、テープ14を介して対向させることによって、プラスチックレンズのモールド15を形成した。
樹脂注入・重合:
モールド15の中に前述の熱可塑性樹脂材料を注入し、その後、加熱オーブン中へ入れ30〜120℃まで徐々に昇温し、20時間重合を行った。
離型:
モールド15のガラス型1からテープ14を取り外し、ガラス型1の外周縁の隙間にくさびを押し当て、隙間を押し広げる操作によって、プラスチックレンズ基材とガラス型1とを離型した。この時、プラスチックレンズ基材の割れ、及び、ガラス型1の割れの発生率を調査した。調査方法は以下の実施例及び比較例も同様の手順で行った。
[実施例2]
実施例1では、ガラス型離型剤として一般式(3)で表される化合物を使用する。具体的には、フッ素含有有機ケイ素化合物(商品名「KY-130」信越化学工業株式会社製)をフッ素系溶剤(住友スリーエム株式会社製:ノベックHFE−7200)に希釈して0.2%溶液を調製し、これをガラス型離型剤とした。このガラス型離型剤の具体的な手順は実施例1と同じである。
実施例1と同様に、ガラス型1の表面を洗浄し、要求される清浄度のレベルに仕上げた。
洗浄したガラス型1を図1で示されるタンク10に収納されたガラス型離型剤に浸漬して1分保持した後150cm/分にて引き上げ、その後、60℃、60%RHに設定した恒温恒湿槽に投入し、2時間保持することで離型層をガラス型1に形成した。
そして、実施例1と同様に、離型層を形成したガラス型1を用いてモールド15を形成し、このモールド15の中に実施例1と同様の材料を注入した後、加熱オーブン中へ入れ30〜120℃まで徐々に昇温し20時間重合を行った。
その後、実施例1と同様の方法で、プラスチックレンズ基材とガラス型1とを離型した。この時、プラスチックレンズ基材の割れ、及び、ガラス型の割れの発生率を調査した。
実施例1では、ガラス型離型剤として一般式(3)で表される化合物を使用する。具体的には、フッ素含有有機ケイ素化合物(商品名「KY-130」信越化学工業株式会社製)をフッ素系溶剤(住友スリーエム株式会社製:ノベックHFE−7200)に希釈して0.2%溶液を調製し、これをガラス型離型剤とした。このガラス型離型剤の具体的な手順は実施例1と同じである。
実施例1と同様に、ガラス型1の表面を洗浄し、要求される清浄度のレベルに仕上げた。
洗浄したガラス型1を図1で示されるタンク10に収納されたガラス型離型剤に浸漬して1分保持した後150cm/分にて引き上げ、その後、60℃、60%RHに設定した恒温恒湿槽に投入し、2時間保持することで離型層をガラス型1に形成した。
そして、実施例1と同様に、離型層を形成したガラス型1を用いてモールド15を形成し、このモールド15の中に実施例1と同様の材料を注入した後、加熱オーブン中へ入れ30〜120℃まで徐々に昇温し20時間重合を行った。
その後、実施例1と同様の方法で、プラスチックレンズ基材とガラス型1とを離型した。この時、プラスチックレンズ基材の割れ、及び、ガラス型の割れの発生率を調査した。
[実施例3]
実施例3では、ガラス型1へのガラス型離型剤の塗布を真空蒸着法によって行った。
まず、ガラス型1の表面を洗浄するために研磨剤を用いて表面を研磨して洗浄し、ガラス型1に要求される清浄度のレベルに仕上げた。
ガラス型離型剤は実施例2と同様に信越化学工業株式会社製のフッ素含有有機ケイ素化合物(製品名KY−130)を用いた。このフッ素含有有機ケイ素化合物をフッ素系溶剤(住友スリーエム株式会社製:ノベックHFE−7200)に希釈して固形分濃度3%溶液を調製し、これをガラス型離型剤とした。このガラス型離型剤の具体的な手順は実施例1と同じである。
このようにして作製されたガラス型離型剤を多孔質セラミックス製のペレットに1g含浸させ乾燥させたものを真空蒸着機内にセットし、到達圧力が2〜3Paになるまで排気を行った。
実施例3では、ガラス型1へのガラス型離型剤の塗布を真空蒸着法によって行った。
まず、ガラス型1の表面を洗浄するために研磨剤を用いて表面を研磨して洗浄し、ガラス型1に要求される清浄度のレベルに仕上げた。
ガラス型離型剤は実施例2と同様に信越化学工業株式会社製のフッ素含有有機ケイ素化合物(製品名KY−130)を用いた。このフッ素含有有機ケイ素化合物をフッ素系溶剤(住友スリーエム株式会社製:ノベックHFE−7200)に希釈して固形分濃度3%溶液を調製し、これをガラス型離型剤とした。このガラス型離型剤の具体的な手順は実施例1と同じである。
このようにして作製されたガラス型離型剤を多孔質セラミックス製のペレットに1g含浸させ乾燥させたものを真空蒸着機内にセットし、到達圧力が2〜3Paになるまで排気を行った。
次に、ガラス型1を真空蒸着機に導入し、ペレットを600℃に加熱することによってシラン化合物を蒸発させ、ガラス型1の表面に成膜した。この際、ペレットはハロゲンランプによって加熱を行い、蒸着時間は3分に設定した。蒸着終了後、蒸着機内を徐々に大気圧に戻してレンズを取り出した後、60℃、60%RHに設定した恒温恒湿槽に投入し、2時間保持した。
そして、実施例1と同様に、離型層を形成したガラス型1を用いてモールド15を形成し、このモールド15の中に熱可塑性樹脂材料を注入した後、加熱オーブン中へ入れ30〜120℃まで徐々に昇温し20時間重合を行った。
その後、実施例1と同様の方法で、プラスチックレンズとガラス型1とを離型した。この時、プラスチックレンズの割れ、及び、ガラス型の割れの発生率を調査した。
そして、実施例1と同様に、離型層を形成したガラス型1を用いてモールド15を形成し、このモールド15の中に熱可塑性樹脂材料を注入した後、加熱オーブン中へ入れ30〜120℃まで徐々に昇温し20時間重合を行った。
その後、実施例1と同様の方法で、プラスチックレンズとガラス型1とを離型した。この時、プラスチックレンズの割れ、及び、ガラス型の割れの発生率を調査した。
[比較例1]
比較例1はガラス型離型剤の材料とガラス型離型剤の塗布方法とが実施例1,2とは相違する。
比較例1では、アルキル4級アンモニウム塩であるベンジルトリメチルアンモニウムクロライドをエタノールに希釈してガラス型離型剤を作製した。このガラス型離型剤をガラス型1の使用面にスピンコート法で塗布した。この時の塗布条件は回転数500rpmの時に離型剤の希釈液を5cc振りかけて、その後、2000rpmで10秒間回転させることで均一に離型剤が塗布されたガラス型1を得た。
そして、実施例1と同様に、離型層を形成したガラス型を用いてモールドを形成し、このモールドの中に実施例1と同じ熱可塑性樹脂材料を注入した後、加熱して重合を行った。
その後、実施例1と同様の方法で、プラスチックレンズとガラス型とを離型した。この時、プラスチックレンズの割れ、及び、ガラス型の割れの発生率を調査した。
比較例1はガラス型離型剤の材料とガラス型離型剤の塗布方法とが実施例1,2とは相違する。
比較例1では、アルキル4級アンモニウム塩であるベンジルトリメチルアンモニウムクロライドをエタノールに希釈してガラス型離型剤を作製した。このガラス型離型剤をガラス型1の使用面にスピンコート法で塗布した。この時の塗布条件は回転数500rpmの時に離型剤の希釈液を5cc振りかけて、その後、2000rpmで10秒間回転させることで均一に離型剤が塗布されたガラス型1を得た。
そして、実施例1と同様に、離型層を形成したガラス型を用いてモールドを形成し、このモールドの中に実施例1と同じ熱可塑性樹脂材料を注入した後、加熱して重合を行った。
その後、実施例1と同様の方法で、プラスチックレンズとガラス型とを離型した。この時、プラスチックレンズの割れ、及び、ガラス型の割れの発生率を調査した。
[比較例2]
比較例2はガラス型離型剤を用いない場合である。
比較例2も、研磨剤を用いて表面を研磨して洗浄し、ガラス型1に要求される清浄度のレベルに仕上げた。
そして、離型層が形成されていないガラス型を用いてモールドを形成し、このモールドの中に実施例1と同じ熱可塑性樹脂材料を注入した後、加熱して重合を行った。
その後、実施例1と同様の方法で、プラスチックレンズとガラス型とを離型した。この時、プラスチックレンズの割れ、及び、ガラス型の割れの発生率を調査した。
実施例1〜3と比較例1〜2の結果を表1にまとめた。
比較例2はガラス型離型剤を用いない場合である。
比較例2も、研磨剤を用いて表面を研磨して洗浄し、ガラス型1に要求される清浄度のレベルに仕上げた。
そして、離型層が形成されていないガラス型を用いてモールドを形成し、このモールドの中に実施例1と同じ熱可塑性樹脂材料を注入した後、加熱して重合を行った。
その後、実施例1と同様の方法で、プラスチックレンズとガラス型とを離型した。この時、プラスチックレンズの割れ、及び、ガラス型の割れの発生率を調査した。
実施例1〜3と比較例1〜2の結果を表1にまとめた。
表1によると、実施例1〜3では、レンズ割れやガラス型割れが全くなかった。これに対して、ガラス型離型剤としてベンジルトリメチルアンモニウムクロライドを用いスピンコート法でガラス型に塗布した比較例1では、レンズ割れ発生率が10%であり、ガラス型割れ発生率が5%であった。さらに、ガラス型離型剤を用いていない比較例2では、レンズ割れ発生率が40%であり、ガラス型割れ発生率が15%であった。
従って、本実施形態では、一対のガラス型1の間に注入される熱硬化性樹脂が一般式(1)で示される屈折率の高い熱硬化性樹脂であっても、一対のガラス型1をプラスチックレンズの基材から離型するためにガラス型1に塗布されるガラス型離型剤を、一般式(2)又は一般式(3)に示される含フッ素シラン化合物を主成分とするものにした。含フッ素シラン化合物は撥水効果が優れているので、ガラス型1とプラスチックレンズ基材との離型が容易に行われた。
ガラス型離型剤をガラス型1にディッピング法又は真空蒸着法で塗布する塗布工程と、ガラス型1を対向配置するとともにガラス型1の周縁部をテープ14で巻き付けるモールド成形工程と、テープ14及びガラス型1から形成された空間に熱硬化性樹脂を注入して重合するプラスチック重合工程と、一対のガラス型1からテープ14を取り外すとともに、一対のガラス型1をプラスチックレンズ基材から離型する離型工程とを備えた。そのため、プラスチックレンズ基材とガラス型1との離型が容易に行われることで、プラスチックレンズ基材やガラス型1の破損等を防止することができる。従って、プラスチックレンズの製造にあたり、ガラス型1やプラスチックレンズ基材の無駄を少なくすることができる。
塗布工程とモールド成形工程との間にガラス型離型剤Lを乾燥させる乾燥工程を備えたから、プラスチック重合工程の前には確実にガラス型離型剤が乾燥していることになり、熱硬化性樹脂がガラス型離型剤と反応することがなくなり、ガラス型1とプラスチックレンズ基材との離型を確実に行うことができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、プラスチック成形品として眼鏡用のプラスチックレンズ基材を製造する場合について説明したが、本発明では、一対のガラス型1に熱硬化性樹脂を注入重合して形成されるものであれば、他の成形品、例えば、顕微鏡用のプラスチックレンズ、その他のプラスチック成形品についても適用することができる。
例えば、前記実施形態では、プラスチック成形品として眼鏡用のプラスチックレンズ基材を製造する場合について説明したが、本発明では、一対のガラス型1に熱硬化性樹脂を注入重合して形成されるものであれば、他の成形品、例えば、顕微鏡用のプラスチックレンズ、その他のプラスチック成形品についても適用することができる。
さらに、ガラス型離型剤を塗布する方法として、前記実施形態では、ディッピング法や真空蒸着法を挙げたが、本発明では、スピンコート法、スプレー法、フロー法、ドクターブレード法、ロールコート塗装、グラビアコート塗装、カーテンフロー塗装等を採用することも可能である。
また、本発明では、必ずしも乾燥工程を設けることを要しない。
また、本発明では、必ずしも乾燥工程を設けることを要しない。
本発明は、プラスチックレンズ、その他のプラスチック成形品の製造に利用することができる。
1…ガラス型、1A…離型層、14…テープ(封止部材)、15…モールド、L…ガラス型離型剤
Claims (4)
- 請求項1又は請求項2に記載されたガラス型離型剤を前記ガラス型にディッピング法又は真空蒸着法で塗布する塗布工程と、前記ガラス型を対向配置するとともに前記ガラス型の周縁部を封止部材で巻き付けるモールド成形工程と、前記封止部材及び前記ガラス型から形成された空間に前記熱硬化性樹脂を注入して重合するプラスチック重合工程と、前記一対のガラス型から前記封止部材を取り外すとともに、前記一対のガラス型をプラスチック成形品から離型する離型工程とを備えたことを特徴とするプラスチック成形品の製造方法。
- 請求項3に記載されたプラスチック成形品の製造方法において、
前記塗布工程と、前記モールド成形工程との間に前記ガラス型離型剤を乾燥させる乾燥工程を備えたことを特徴とするプラスチック成形品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007080881A JP2008238522A (ja) | 2007-03-27 | 2007-03-27 | ガラス型離型剤及びプラスチック成形品の製造方法 |
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Publications (1)
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JP2007080881A Withdrawn JP2008238522A (ja) | 2007-03-27 | 2007-03-27 | ガラス型離型剤及びプラスチック成形品の製造方法 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2008238522A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010047498A (ja) * | 2008-08-20 | 2010-03-04 | Mitsubishi Gas Chemical Co Inc | 新規な含金属化合物 |
JP2010234563A (ja) * | 2009-03-30 | 2010-10-21 | Hoya Corp | プラスチック基材及びプラスチックレンズの製造方法 |
JP2014136381A (ja) * | 2013-01-17 | 2014-07-28 | Sumitomo Rubber Ind Ltd | ゴム又は樹脂成型用離型剤 |
WO2023001780A1 (en) | 2021-07-19 | 2023-01-26 | Essilor International | Mold for manufacturing a thermoset optical article, method for manufacturing the mold and method for manufacturing the thermoset optical article |
-
2007
- 2007-03-27 JP JP2007080881A patent/JP2008238522A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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