JP2008237836A - 放射線撮像装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フラットパネル検出器を用いる放射線撮像装置において、放射線の照射線量が大きい領域が存在することによって生じる尾引き現象の影響を排除して正確な画像情報を得る。
【解決手段】この放射線撮像装置は、放射線発生部と、放射線の照射線量に応じた電荷を蓄積する検出素子、及び、検出素子から放出される電荷に関する情報を所定の方向に走査しながら読み取る読み取り回路を有し、放射線発生部によって発生され被検体を透過して検出エリアに入射した放射線を検出して検出信号を出力する放射線検出器と、走査上流側の検出点から遅れて放出される電荷が走査下流側の検出点から放出される電荷に重畳されることによって発生する尾引き誤差を表す尾引き信号を、放射線検出器から出力される検出信号に基づいて算出することにより、検出信号における尾引き誤差を補正する尾引き補正手段とを具備する。
【選択図】図1
【解決手段】この放射線撮像装置は、放射線発生部と、放射線の照射線量に応じた電荷を蓄積する検出素子、及び、検出素子から放出される電荷に関する情報を所定の方向に走査しながら読み取る読み取り回路を有し、放射線発生部によって発生され被検体を透過して検出エリアに入射した放射線を検出して検出信号を出力する放射線検出器と、走査上流側の検出点から遅れて放出される電荷が走査下流側の検出点から放出される電荷に重畳されることによって発生する尾引き誤差を表す尾引き信号を、放射線検出器から出力される検出信号に基づいて算出することにより、検出信号における尾引き誤差を補正する尾引き補正手段とを具備する。
【選択図】図1
Description
本発明は、放射線を用いて被検体を撮像することにより、医療診断に用いられる医用画像を生成する放射線撮像装置及び放射線撮像方法に関する。
従来より、放射線(X線、α線、β線、γ線、電子線、紫外線等)を用いた撮像方法は様々な分野で利用されており、特に医療分野においては、診断のための最も重要な手段の一つとなっている。最初のX線写真が実現されてから、X線写真法は数々の改良を重ねられ、現在では蛍光スクリーンとX線フィルムを組み合わせた方法が主流となっている。一方、近年においては、CR(computed radiography)、X線CT、超音波、MRI等の様々なディジタル化された装置が実用化されており、病院内での診断情報処理システム等の構築が進められようとしている。
近年、放射線撮像装置においては、被検体を透過したX線を2次元領域における複数の検出ポイントにおいて検出することによりX線画像を撮影する放射線検出デバイスを備えたフラットパネル検出器(FPD)が用いられている。FPDの検出エリアには、X線を吸収して電荷を発生するセレン等のX線感応膜と、X線感応膜によって発生された電荷を蓄積して電荷情報を出力する検出素子とが設けられている。
FPDの検出エリアにX線が入射すると、X線感応膜においてX線が電荷に変換され、その電荷が検出素子に蓄積される。検出素子として光読み取り型の検出素子を用いる場合には、検出素子が、読み取り光によって走査されると、蓄積された電荷を放出する(光スイッチング方式)。あるいは、検出素子としてTFT(薄膜トランジスタ)を用いる場合には、検出素子が、電気信号によって走査されると、蓄積された電荷を放出する(電子スイッチング方式)。FPDに設けられた読み取り部は、検出素子から出力される電荷情報を読み出して、X線の照射線量に応じたレベルを有する検出信号を生成する。
その際に、FPDの検出エリアにおいてX線の照射線量が大きい領域が存在すると、走査上流側の検出ポイントから遅れて放出される電荷が走査下流側の検出ポイントから放出される電荷に重畳されることによって誤差を生じるという尾引き現象が発生してしまう。
関連する技術として、特許文献1には、大線量の放射線が照射された蓄積性蛍光体シートから放射線画像を取得するときであっても、スミアやブルーミングによる画質の劣化を防止することのできる放射線画像補正方法が開示されている。この放射線画像補正方法によれば、線量検出手段において、光電変換素子毎に蓄積性蛍光体シートに照射された放射線量が検出され、擬信号取得手段において、線量検出手段によって検出された放射線量を用いて、画像信号に含まれている擬信号が記憶手段から取得され、補正手段において、擬信号取得手段によって取得された擬信号を用いて、感光部毎に擬信号の除去が行われる。
また、特許文献2には、放射線検出手段から取り出された放射線検出信号に含まれている時間遅れ分を十分に除去することができる放射線撮像装置が開示されている。この放射線撮像装置は、放射線検出信号に含まれている時間遅れ分をインパルス応答係数に基づく指数関数で構成されるインパルス応答によるものとして放射線検出信号について再帰的演算処理を行い、各放射線検出信号から時間遅れ分を除去する時間遅れ除去手段を備えており、この時間遅れ除去手段が、放射線検出信号から時間遅れ分を除去するときに、その放射線検出信号を出力した検出素子に対応してインパルス応答係数を変えることを特徴としている。
しかしながら、特許文献1及び特許文献2には、フラットパネル検出器における尾引き現象については、特に記載されていない。
特開2006−292922号公報(第1頁、図5)
特開2006−34509号公報(第1−2頁、図1)
そこで、上記の点に鑑み、本発明は、フラットパネル検出器を用いる放射線撮像装置において、放射線の照射線量が大きい領域が存在することによって生じる尾引き現象の影響を排除して、正確な画像情報を得ることを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の1つの観点に係る放射線撮像装置は、放射線を発生する放射線発生部と、放射線の照射線量に応じた電荷を蓄積する検出素子、及び、検出素子から放出される電荷に関する情報を所定の方向に走査しながら読み取る読み取り回路を有し、放射線発生部によって発生され被検体を透過して検出エリアに入射した放射線を検出して検出信号を出力する放射線検出器と、走査上流側の検出点から遅れて放出される電荷が走査下流側の検出点から放出される電荷に重畳されることによって発生する尾引き誤差を表す尾引き信号を、放射線検出器から出力される検出信号に基づいて算出することにより、検出信号における尾引き誤差を補正する尾引き補正手段とを具備する。
また、本発明の1つの観点に係る放射線撮像方法は、放射線の照射線量に応じた電荷を蓄積する検出素子、及び、検出素子から放出される電荷に関する情報を所定の方向に走査しながら読み取る読み取り回路を有する放射線検出器を用いて、被検体を透過して検出エリアに入射した放射線を検出することにより撮像を行う放射線撮像方法であって、走査上流側の検出点から遅れて放出される電荷が走査下流側の検出点から放出される電荷に重畳されることによって発生する尾引き誤差を表す尾引き信号成分を、放射線検出器から出力される検出信号に基づいて算出するステップ(a)と、ステップ(a)において算出された尾引き信号に基づいて、検出信号における尾引き誤差を補正するステップ(b)とを具備する。
本発明によれば、放射線検出器から出力される検出信号に基づいて尾引き信号を算出することにより、検出信号における尾引き誤差を補正するので、放射線の照射線量が大きい領域が存在することによって生じる尾引き現象の影響を排除して正確な画像情報を得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る放射線撮像装置の構成を示すブロック図である。本実施形態においては、本発明がX線マンモグラフィー装置に適用される場合について説明するが、本発明は、α線、β線、γ線、電子線、又は、紫外線等を使用する放射線撮像装置に適用することも可能である。
図1は、本発明の一実施形態に係る放射線撮像装置の構成を示すブロック図である。本実施形態においては、本発明がX線マンモグラフィー装置に適用される場合について説明するが、本発明は、α線、β線、γ線、電子線、又は、紫外線等を使用する放射線撮像装置に適用することも可能である。
図1に示す放射線撮像装置は、X線撮像部10と、X線撮像制御部(コンソール)20とによって構成される。X線撮像部10は、管電圧・管電流制御部11と、高電圧発生部12と、X線管13と、フィルタ14と、X線検出器15と、A/D変換器18とを有している。管電圧・管電流制御部11は、目標値に従って、管電圧や管電流等の撮影条件を調整する。高電圧発生部12は、管電圧・管電流制御部11の制御の下で、X線管13に印加される高電圧を発生する。
X線管13及びフィルタ14は、X線を発生するX線発生部を構成している。X線管13においては、陰極と陽極との間にかける管電圧によってX線の透過性が決定され、陰極と陽極との間に流れる管電流の時間積分値によってX線の発生量が決定される。フィルタ14は、モリブデン(Mo)又はロジウム(Rh)等の材料によって作成され、X線管13によって発生されたX線に含まれている複数の波長成分の内から所望の波長成分を選択的に透過させる。X線管13によって発生されたX線は、フィルタ14を介して被検体1を透過し、X線検出器15によって検出される。
X線検出器15は、被検体を透過したX線を2次元領域における複数の検出ポイントにおいて検出することによりX線画像を撮影するFPD(フラットパネル・ディテクタ)である。FPDの検出エリアには、X線を吸収して電荷を発生するセレン等のX線感応膜と、X線感応膜によって発生された電荷を蓄積して電荷情報を出力する検出素子16とが設けられている。検出素子16としては、例えば、読み取り光によって走査されると、蓄積された電荷を放出する光読み取り型の検出素子や、2次元マトリクス状に配列され、電気信号によって走査されると、蓄積された電荷を放出する複数のTFT(薄膜トランジスタ)が用いられる。
FPDにX線が入射すると、X線感応膜においてX線が電荷に変換され、その電荷が検出素子16に蓄積される。検出素子16として光読み取り型の検出素子を用いる場合には、検出素子16が、読み取り光によって走査されると、蓄積された電荷を放出する(光スイッチング方式)。あるいは、検出素子16としてTFTを用いる場合には、検出素子16が、電気信号によって走査されると、蓄積された電荷を放出する(電子スイッチング方式)。
FPDに設けられた読み取り部17は、検出素子16から出力される電荷情報を読み出して、X線の照射線量に応じたレベルを有する検出信号を生成する。A/D変換器18は、読み取り部17から出力されるアナログの検出信号をディジタル信号(検出データ)に変換する。
X線撮像の際に、FPDの検出エリアにおいてX線の照射線量が大きい領域が存在すると、走査上流側の検出ポイントから遅れて放出される電荷が走査下流側の検出ポイントから放出される電荷に重畳されることによって尾引き誤差を生じるという尾引き現象が発生してしまう。
X線撮像制御部(コンソール)20は、X線撮像部10から入力される検出データにおける尾引き誤差を表す尾引き信号を算出して、検出データを補正することにより画像データを生成する尾引き補正部21と、尾引き補正部21から出力される画像データに画像処理を施す画像処理部26と、D/A変換器27と、表示部28と、操作卓29と、制御部30と、格納部31とを有している。
尾引き補正部21は、例えば、DSP(ディジタル・シグナル・プロセッサ)によって構成され、機能ブロックとして、検出データに対してオフセット補正を行うオフセット補正部22と、検出データに対してシェーディング補正を行うシェーディング補正部23と、検出データに基づいて尾引き信号を算出して尾引き量を求め、検出データに対して尾引き補正を行う尾引き量計算部24とを含んでいる。また、尾引き補正部21は、上記の補正に用いられる各種のテーブルや各種のパラメータを格納するメモリ25を含んでいる。
画像処理部26は、尾引き補正部21から出力される画像データに対し、階調処理等の必要な画像処理を施すことにより、表示用の画像データを生成する。操作卓29は、オペレータが放射線撮像装置を操作するために用いられる。制御部30は、中央演算装置(CPU)と、CPUに各種の処理を行わせるためのソフトウェアとによって構成され、オペレータの操作に基づいて各部を制御する。本実施形態においては、画像処理部26も、CPUとソフトウェアとによって構成される。上記のソフトウェアは、ハードディスク又はメモリ等によって構成された格納部31に格納されている。
図2は、図1に示すX線撮像部の外観を示す側面図である。X線撮像部10は、X線管13及びX線検出器15が設置されているアーム部2と、基台3と、アーム部2を基台3に回転可能な状態で保持する軸部4とを含んでいる。X線検出器15は、X線管13から照射されて被検体1(乳房)を透過したX線を検出して、X線の照射線量に応じたレベルを有する検出信号を出力する。X線検出器15から出力される検出信号は、ケーブル19を介して、アーム部2の内部に設置されたA/D変換器18(図1)に入力される。
アーム部2には、X線検出器15を図中左右方向に移動させる位置調節部5と、X線検出器15を水平面内において回転させる方向調節部6とが設けられている。また、アーム部2には、圧迫板駆動部7を介して、圧迫板8が取り付けられている。圧迫板8は、図中上下方向に移動可能な状態で、X線検出器15に平行に設置されている。この圧迫板8とX線検出器15とによって、被検体1(乳房)を挟み込み、乳房の厚さを均一にした状態でX線撮像が行われる。
図3は、X線画像における尾引き現象の例を示す図である。図3において、x軸方向が主走査方向であり、y軸方向が副走査方向である。X線画像内に、X線の照射線量が大きい曝射領域が存在すると、曝射領域よりも副走査方向下流の領域において、尾引き誤差が発生する尾引き発生領域が現れる。
図4は、図3に示す尾引き現象を説明するための図である。図4においては、図3に示す破線x=x1から得られるQL値(放射線画像情報の読取値)が示されている。ここで、y座標y1〜y3は曝射領域内に存在しており、図1に示す読み取り部17が、検出エリアをy軸方向に走査しながら、y座標y1〜y3の位置に対応する検出ポイントから電荷情報を読み取る際に、読み取りタイミングよりも遅れて発生する信号成分が存在する。y座標y'の位置に対応する検出ポイントから電荷情報を読み取る際に、それらの信号成分が積算されて、尾引き信号O(y')となる。ここで、次式(1)が成立する。
O(y')=ΣO(n)、 n=y1〜y3 ・・・(1)
O(y')=ΣO(n)、 n=y1〜y3 ・・・(1)
読み取りタイミングよりも遅れて発生する信号成分は、時間と共に指数関数的に減衰すると考えられるので、尾引き信号は、複数の指数関数の和として表すことができる。ただし、演算速度等の都合により、以下においては、尾引き信号を2種類の指数関数O1(t)及びO2(t)の和として考える。
O1(t)=A1(QL)exp{−(b1)t} ・・・第1成分
O2(t)=A2(QL)exp{−(b2)t} ・・・第2成分
ここで、強度係数A1(QL)及びA2(QL)は照射線量(検出データの値)又は位置(y座標)によって変化し、一方、時定数b1及びb2は固定値であるものとする。
O1(t)=A1(QL)exp{−(b1)t} ・・・第1成分
O2(t)=A2(QL)exp{−(b2)t} ・・・第2成分
ここで、強度係数A1(QL)及びA2(QL)は照射線量(検出データの値)又は位置(y座標)によって変化し、一方、時定数b1及びb2は固定値であるものとする。
第1成分O1(t)及び第2成分O2(t)を用いて尾引き信号O(t)を表すと、次式(2)のようになる。
O(t)=O1(t)+O2(t)
=A1(QL)exp{−(b1)t}
+A2(QL)exp{−(b2)t} ・・・(2)
図5に、尾引き信号O(t)を構成する第1成分O1(t)と第2成分O2(t)との関係を示す。このように、尾引き信号を2つの指数関数の和として表すことにより、補正精度を向上させつつ、処理時間をあまり増加させなくて済む。
O(t)=O1(t)+O2(t)
=A1(QL)exp{−(b1)t}
+A2(QL)exp{−(b2)t} ・・・(2)
図5に、尾引き信号O(t)を構成する第1成分O1(t)と第2成分O2(t)との関係を示す。このように、尾引き信号を2つの指数関数の和として表すことにより、補正精度を向上させつつ、処理時間をあまり増加させなくて済む。
検出データの補正量は、式(2)を式(1)に代入することによって求められるが、これをそのまま計算すると演算量が膨大となるので、演算の高速化のために、以下のように漸化式として計算する。
主走査方向のある座標xにおけるスタート地点(y=0)の尾引き量O1(0)及びO2(0)は、次式(3)によって定められる。
O1(0)=A1{QLin(0)}
O2(0)=A2{QLin(0)}
・・・(3)
ここで、QLin(0)は、スタート地点において入力される検出データを表している。次に、尾引き量O1(0)及びO2(0)を用いて、補正後の画像データQLout(0)が、次式(4)によって求められる。
QLout(0)=QLin(0)−{O1(0)+O2(0)} ・・・(4)
O1(0)=A1{QLin(0)}
O2(0)=A2{QLin(0)}
・・・(3)
ここで、QLin(0)は、スタート地点において入力される検出データを表している。次に、尾引き量O1(0)及びO2(0)を用いて、補正後の画像データQLout(0)が、次式(4)によって求められる。
QLout(0)=QLin(0)−{O1(0)+O2(0)} ・・・(4)
y軸方向の走査において、ある画素における尾引き量をO(y)とすると、隣接する画素における尾引き量O(y+1)は、O(y)にexp(−b)を乗算し、さらに、y座標(y+1)における尾引き量を加算することにより、次式(5)によって求められる。
O1(y+1)=O1(y)exp{−(b1)}+A1{QLin(y+1)}
O2(y+1)=O2(y)exp{−(b2)}+A2{QLin(y+1)}
・・・(5)
次に、尾引き量O1(y+1)及びO2(y+1)を用いて、補正後の画像データQLout(y+1)が、次式(6)によって求められる。
QLout(y+1)=QLin(y+1)−{O1(y+1)+O2(y+1)} ・・・(6)
式(3)〜式(6)を用いて、y軸方向(副走査方向)の全画素について補正量を求め、さらに、x軸方向(主走査方向)についてこれを繰り返すことにより、検出エリア全域の画素について補正量が求められる。
O1(y+1)=O1(y)exp{−(b1)}+A1{QLin(y+1)}
O2(y+1)=O2(y)exp{−(b2)}+A2{QLin(y+1)}
・・・(5)
次に、尾引き量O1(y+1)及びO2(y+1)を用いて、補正後の画像データQLout(y+1)が、次式(6)によって求められる。
QLout(y+1)=QLin(y+1)−{O1(y+1)+O2(y+1)} ・・・(6)
式(3)〜式(6)を用いて、y軸方向(副走査方向)の全画素について補正量を求め、さらに、x軸方向(主走査方向)についてこれを繰り返すことにより、検出エリア全域の画素について補正量が求められる。
次に、図1に示す放射線撮像装置における尾引き補正処理について、図6を参照しながら説明する。図6は、図1に示す放射線撮像装置における尾引き補正処理の流れを示すフローチャートである。
図6のステップS1において、尾引き補正部21に入力された検出データQLin(x,y)に対して、オフセット補正部22が、オフセット補正テーブルを参照することにより、X線検出器15におけるDCオフセットやA/D変換器18におけるオフセット等を補正するためのオフセット補正を行う。オフセット補正テーブルは、主走査方向の1ライン分に対応する1次元ルックアップテーブルである。
ステップS2において、シェーディング補正部23が、検出データQLin(x,y)に対して、シェーディング補正テーブルを参照することにより、X線画像において中心部から周辺部にかけて発生する濃度ムラを補正するためのシェーディング補正を行う。シェーディング補正テーブルは、主走査方向の1ライン分に対応する1次元ルックアップテーブルである。
さらに、尾引き量計算部24は、ステップS3において、制御部30から入力される照射線量値に基づいて、強度係数テーブルにおける強度係数の最大値を補正し、ステップS4において、補正された強度係数テーブルを参照することにより、強度係数A1及びA2を決定する。強度係数テーブルとしては、強度係数A1及びA2に対応する2つのテーブルが、X線撮像部10又はX線検出器15の種類毎に設定されている。これにより、使用されるX線発生部の特性(管電圧、管電流(mA)と時間(s)との積(mAs値)、ターゲット、フィルタ等)やX線検出器の特性に応じて、尾引き補正における精度を向上させることができる。
図7は、強度係数テーブルに格納されている内容をグラフ化して例示する図である。強度係数テーブルは、QL値(放射線画像情報の読取値)に対して強度係数A1又はA2を規定する1次元ルックアップテーブルである。ただし、X線検出器15において、700mR以上の照射線量に対応する検出信号はクリップされるので、照射線量が700mR以上である場合には、制御部30から入力される照射線量値に基づいて、線量補正テーブルを参照することにより、強度係数テーブルにおける強度係数の最大値A1max又はA2maxが補正される。
図8は、線量補正テーブルに格納されている内容をグラフ化して例示する図である。線量補正テーブルは、制御部30から入力される照射線量値に対して、強度係数の最大値A1max又はA2maxを規定する1次元ルックアップテーブルである。このような線量補正テーブルを用いて強度係数の最大値A1max又はA2maxを補正することにより、700mR以上の照射線量に対応する補正量の大きい尾引き補正における補正誤差が軽減される。
再び図1を参照すると、ステップS5において、尾引き量計算部24は、ステップS4において決定された強度係数A1及びA2に対して主走査方向の補正を行う。これにより、主走査方向における位置依存性を配した尾引き補正を行うことができる。さらに、ステップS6において、尾引き量計算部24は、補正された強度係数A1及びA2と、パラメータとして時定数b1及びb2とを用いて、尾引き量O(x,y)を算出する。尾引き量O(x,y)の算出方法については先に説明した通りであり、スタート地点(y=0)以外における尾引き量O(x,0)の算出には、隣接する点における尾引き量O(x,y−1)が用いられる。
ステップS7において、尾引き量計算部24は、パラメータとして素抜け判定値Sを用いて素抜け判定を行う。即ち、検出データQLin(x,y)の値が素抜け判定値Sよりも大きいか否かが判定される。その結果、検出データQLin(x,y)の値が素抜け判定値Sよりも大きい場合には、その画素が素抜け領域(被検体が存在しない領域)に属するものとみなして、ステップS8において、検出データQLin(x,y)の値が、画像データQLout(x,y)として用いられる。検出データQLin(x,y)の値が素抜け判定値S以下である場合には、ステップS9において、検出データQLin(x,y)の値から尾引き量O(x,y)を差し引いた値が、画像データQLout(x,y)として用いられる。
ステップS10において、尾引き量計算部24は、画像データQLout(x,y)の値がゼロよりも小さいか否かを判定する。その結果、画像データQLout(x,y)の値がゼロよりも小さい場合には、ステップS11において、画像データQLout(x,y)の値をゼロとするクリップ処理が行われる。
ステップS12において、尾引き量計算部24は、y軸方向(副走査方向)における1ライン分の検出データの処理が終了したか否かを判定する。y軸方向における1ライン分の検出データの処理が終了していない場合には、得られた1つの画素の画像データが、ステップS6において、次の画素の画像データを求めるために用いられる。y軸方向における1ライン分の検出データQLin(x,y)の処理が終了した場合には、x軸方向(主走査方向)に隣接する次のライン分の検出データQLin(x+1,y)の処理が行われ、全てのラインについて処理が終了すると、尾引き補正部21における尾引き補正処理が完了する。
次に、尾引き補正処理におけるキャリブレーションについて説明する。キャリブレーションにおいては、制御部30がX線撮像部10を制御することにより、図9に示すようなX線画像を取得する。このX線画像においては、曝射領域のみにX線が照射されているが、X線検出器15において画像情報を読み取る際に、曝射領域よりも副走査方向下流の領域において尾引き現象が生じている。なお、図9に示す3つの算出位置a〜cにおいて、X線の照射線量が変更されている。
尾引き信号O(t)における第1成分O1(t)及び第2成分O2(t)の比率は、図5に示すように変化するので、位置tが比較的大きい領域においては、時定数b1が小さい第1成分O1(t)を無視することができる。そこで、まず、位置tが比較的大きい領域において、第2成分O2(t)の強度係数及び時定数が求められる。その後、尾引き信号O(t)から第2成分O2(t)の値を差し引くことにより、第1成分O1(t)の値が求められ、それに基づいて、第1成分O1(t)の強度係数及び時定数が求められる。以上のことが、図9に示す3つの算出位置a〜cについて行われて、X線の照射線量に対する強度係数の変化が求められる。求められた強度係数は、強度係数テーブルに格納される。なお、算出位置の数は3つに限られず、1つ、2つ、又は、4つ以上にしても良い。
本発明は、放射線を用いて被検体を撮像することにより医用画像を生成する放射線撮像装置において利用することが可能である。
1 被検体
2 アーム部
3 基台
4 軸部
5 位置調節部
6 方向調節部
7 圧迫板駆動部
8 圧迫板
10 X線撮像部
11 管電圧・管電流制御部
12 高電圧発生部
13 X線管
14 フィルタ
15 X線検出器
16 検出素子
17 読み取り部
18 A/D変換器
20 X線撮像制御部(コンソール)
21 尾引き補正部
22 オフセット補正部
23 シェーディング補正部
24 尾引き量計算部
25 メモリ
26 画像処理部
27 D/A変換器
28 表示部
29 操作卓
30 制御部
31 格納部
2 アーム部
3 基台
4 軸部
5 位置調節部
6 方向調節部
7 圧迫板駆動部
8 圧迫板
10 X線撮像部
11 管電圧・管電流制御部
12 高電圧発生部
13 X線管
14 フィルタ
15 X線検出器
16 検出素子
17 読み取り部
18 A/D変換器
20 X線撮像制御部(コンソール)
21 尾引き補正部
22 オフセット補正部
23 シェーディング補正部
24 尾引き量計算部
25 メモリ
26 画像処理部
27 D/A変換器
28 表示部
29 操作卓
30 制御部
31 格納部
Claims (12)
- 放射線を発生する放射線発生部と、
放射線の照射線量に応じた電荷を蓄積する検出素子、及び、前記検出素子から放出される電荷に関する情報を所定の方向に走査しながら読み取る読み取り回路を有し、前記放射線発生部によって発生され被検体を透過して検出エリアに入射した放射線を検出して検出信号を出力する放射線検出器と、
走査上流側の検出点から遅れて放出される電荷が走査下流側の検出点から放出される電荷に重畳されることによって発生する尾引き誤差を表す尾引き信号を、前記放射線検出器から出力される検出信号に基づいて算出することにより、検出信号における尾引き誤差を補正する尾引き補正手段と、
を具備する放射線撮像装置。 - 前記放射線検出器が、放射線が照射されることによって放射線画像情報を保持し、読み取り光で走査されることによって放射線画像情報を前記読み取り回路に出力するフラットパネル検出器を含む、請求項1記載の放射線撮像装置。
- 前記尾引き補正手段が、尾引き信号を複数の指数関数の和として近似的に算出する、請求項1又は2記載の放射線撮像装置。
- 前記複数の指数関数の各々が、時定数を有する指数部分と強度係数との積によって表される、請求項3記載の放射線撮像装置。
- 前記尾引き補正手段が、検出信号の値によらない固定値として時定数を算出すると共に、検出信号の値に応じて変化する値として強度係数を算出する、請求項4記載の放射線撮像装置。
- 前記尾引き補正手段が、前記放射線発生部によって発生される放射線の照射線量が所定の値を超える場合に、前記放射線発生部からの情報に基づいて、放射線の照射線量に応じて強度係数を補正する、請求項4又は5記載の放射線撮像装置。
- 前記尾引き補正手段が、検出信号の値が所定の値を超える場合に、検出信号における尾引き誤差を補正しない、請求項1〜6のいずれか1項記載の放射線撮像装置。
- 放射線の照射線量に応じた電荷を蓄積する検出素子、及び、前記検出素子から放出される電荷に関する情報を所定の方向に走査しながら読み取る読み取り回路を有する放射線検出器を用いて、被検体を透過して検出エリアに入射した放射線を検出することにより撮像を行う放射線撮像方法であって、
走査上流側の検出点から遅れて放出される電荷が走査下流側の検出点から放出される電荷に重畳されることによって発生する尾引き誤差を表す尾引き信号成分を、前記放射線検出器から出力される検出信号に基づいて算出するステップ(a)と、
ステップ(a)において算出された尾引き信号に基づいて、検出信号における尾引き誤差を補正するステップ(b)と、
を具備する放射線撮像方法。 - ステップ(a)が、尾引き信号を複数の指数関数の和として近似的に算出することを含む、請求項8記載の放射線撮像方法。
- 前記複数の指数関数の各々が、時定数を有する指数部分と強度係数との積によって表される、請求項9記載の放射線撮像方法。
- ステップ(a)が、検出信号の値によらない固定値として時定数を算出すると共に、検出信号の値に応じて変化する値として強度係数を算出することを含む、請求項10記載の放射線撮像方法。
- ステップ(a)が、前記放射線発生部によって発生される放射線の照射線量が所定の値を超える場合に、放射線の照射線量に応じて強度係数を補正することを含む、請求項8〜11のいずれか1項記載の放射線撮像方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007086654A JP2008237836A (ja) | 2007-03-29 | 2007-03-29 | 放射線撮像装置及び方法 |
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JP2007086654A JP2008237836A (ja) | 2007-03-29 | 2007-03-29 | 放射線撮像装置及び方法 |
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JP (1) | JP2008237836A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010233997A (ja) * | 2009-03-31 | 2010-10-21 | Fujifilm Corp | 放射線画像補正方法および放射線画像撮影装置 |
CN102805628A (zh) * | 2011-05-30 | 2012-12-05 | 富士胶片株式会社 | 放射照相图像检测器及其控制方法 |
-
2007
- 2007-03-29 JP JP2007086654A patent/JP2008237836A/ja not_active Withdrawn
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JP2012245239A (ja) * | 2011-05-30 | 2012-12-13 | Fujifilm Corp | 放射線画像検出装置及び放射線画像検出装置の制御方法 |
CN102805628B (zh) * | 2011-05-30 | 2016-01-20 | 富士胶片株式会社 | 放射照相图像检测器及其控制方法 |
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