JP2008231780A - 建築用断熱材 - Google Patents
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Abstract
【課題】建築用断熱材として用いられ、現場施工での取り扱いが容易であり、仮に室内側から水蒸気が断熱材に浸入しても容易に通気層に排出される断熱材を提供することにある。また、本発明は使用済み硬質PUFの複数回の再利用が可能な断熱材を提供することにある。
【解決手段】本発明の建築用断熱材10は、硬質ポリウレタンフォームを用いた建築用断熱材において、前記硬質ポリウレタンフォームの粒体14が充填された包装材11と防湿シート13からなり、該包装材11が透湿性シート12で形成されている。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の建築用断熱材10は、硬質ポリウレタンフォームを用いた建築用断熱材において、前記硬質ポリウレタンフォームの粒体14が充填された包装材11と防湿シート13からなり、該包装材11が透湿性シート12で形成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、発泡プラスチックの粒体を袋体に収容した断熱材に関し、詳しくは発泡プラスチックの複数回の再利用が可能な建築用断熱材に関する。
発泡プラスチックの中でも硬質ポリウレタンフォーム(以下硬質PUFとする)は独立気泡構造であるため断熱性能が極めて高いが、熱硬化性樹脂であること、変形弾性域がわずかであり変形が直ちに塑性変形や破壊に繋がること等、により再利用が難しいものの部類に入る。ところが近年、建築用硬質PUFが廃材として処理される量は年間2,800トンを超えるものとして報告されており、産業廃棄物の増大は放置できる状況にはなく、建築用として用いられた硬質PUFの再利用技術が注目されている。
使用済み硬質PUFの一般的な再利用方法には、例えば、粉粒体をパーティクルボードに成形して用いる方法、粉粒体をポリウレタン発泡のコア材とする方法、化学的に処理して再原料化する方法、真空断熱材のコア材として用いる方法、モルタル用軽量骨材として利用する方法等が挙げられる。
一方、地球温暖化防止の一環として省エネルギー対策があらゆる分野で重要視されており、建築業界等においては、断熱効果に優れた建材を用いることにより冷暖房に費やされるエネルギーの削減が図られるとして、断熱材の積極的な利用が推進されている。そのような断熱材に関わる従来技術として、各種材料の繊維状またはチップ状の材料で建築物の内壁と外壁の間を現場施工により充填する方法がある。また、樹脂を発泡し成形した樹脂製発泡ボードを用いる方法、硬質PUFを現場発泡して断熱層を形成する方法等がある。
また、上記硬質PUFを再利用することと高い断熱効果の断熱材を得ることとを兼ねる技術として、冷蔵庫用ではあるが、硬質PUFの廃材を粉砕して真空パックし所要形状の断熱材とする技術が特許文献1に開示されている。
建築用材料としては、硬質PUF等を粉砕したものを気密性の高い包装材内部に収容し、圧縮し扁平状にした状態で封止し、その内部圧力を大気圧よりも低く保った状態で用いる断熱材の技術が特許文献2に開示されている。
特開昭60−243471号
特開平11−325386号
上記一般的な使用済み硬質PUFの再利用において、更に複数回の再利用を可能とするか否か、コスト的に見合うか否か、等が実用性の判断材料とされるが、上記背景技術において例示した各技術には一長一短がある。その中で使用済み硬質PUFをモルタル用軽量骨材として用いる技術が、唯一コスト的に見合うとされているものの、一旦モルタル中に充填されたものを再利用することは不可能である。
一方、硬質PUFの廃材を粉砕して真空パックし所要形状の断熱材とする特許文献1の従来技術においては、粉砕物を収容する袋は真空シールが可能な気密性の高いプラスチックおよび延伸(明細書中では引伸)フィルムを用いている。この従来技術は冷蔵庫用とされており、その用途においては問題がないものの、防水性と透湿性の両機能が要求される建築用断熱材として用いる場合は、真空を保つための気密性自体に問題がある。
また、真空シールはしないものの、硬質PUF等の粉砕物を内部に収容した包装材の内圧を大気圧よりも低く保って用いる断熱材に係る特許文献2の従来技術においても、気密性を保つことができる材質からなる包装材を用いている。この従来技術は建築用材料に関わるものではあるが、前記特許文献1の従来技術と同様に、透湿性については考慮されていない。このような断熱材を建築物の内壁と外壁の間に用い、施工時に誤って孔が開けられ包装材の気密性が維持できなくなったとき、即ち防水性または防湿性が損なわれたとき、断熱材の中に水分が入り込むことがある。その入り込んだ水は簡単には包装材の外へ排出されず、滞留した水が断熱層の断熱性能を低下させる。また、入り込んだ水蒸気は内部結露をすることがあり、発生した結露水は断熱層の断熱性能を低下させる。断熱性能の低下により内壁の両面で結露が発生しやすくなり、カビや木材の腐朽菌が発生することもある。カビや木材の腐朽菌が発生すれば、それは住宅環境を悪化させる元凶になり好ましくない。
図9はグラスウールを用いて現場で断熱層7を施工する一般的建築物における施工例を示す断面図である。その構成は、室内側から順に、内壁1、防湿シート4、グラスウール6、透湿防水シート5、通気層3、外壁2となっているものが一般的である。施工時の不具合等により防湿シート4に孔や裂け目ができた場合など、室内の水蒸気が、内壁1やその隙間を通り抜けグラスウール6で構成される断熱層7内に入り込んで、結露することがある。断熱層7のグラスウール6の隙間等に入り込んだ水蒸気は透湿防水シート5から通気層3に排出され通気層3を通じて建築物の外に排出される。従って、透湿防水シート5の代わりに気密性の高いシートが存在すれば、断熱層7に入り込んだ水蒸気は、容易に外部へ排出されることがなく、断熱層7の内部で結露し、その内部結露により断熱性能が低下したりカビ及び木材の腐朽菌が発生する虞がある。また、グラスウール6を断熱層7内に粗密なく均一に充填しその状態を維持する施工は難しく、仮にほぼ均一に充填できたとしても、重力の作用で上部が次第に粗になる傾向があり、粗になればその部分で断熱効果が低下する。グラスウール6に代わってチップ材等を用いる場合、その粗密が現れる傾向はより顕著となる。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、建築用断熱材として用いられ、現場施工での取り扱いが容易であり、仮に室内側から水蒸気が断熱材に浸入しても容易に断熱層の外に排出される断熱材を提供することにある。また、本発明は使用済み発泡プラスチック、特に硬質PUFの複数回の再利用が可能な断熱材を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明の建築用断熱材は、請求項1に記載の発明においては、発泡プラスチックを用いた建築用断熱材において、該発泡プラスチックの粒体が充填された包装材と防湿シートとが接合され、該包装材が透湿性シートで形成されていることを特徴とするものである。
なお、上記「粒体」は粉体が粒体間に存在する状態を含み、粒体のみからなるものを指すものではない。
請求項2に記載の発明においては、請求項1に記載の前記包装材の形状が、略直方体であることを特徴とするものである。ここでいう「略直方体」とは、直方体を形成する面が必ずしも平面ではないことをいい、その面が曲面であったり、その面と面とが曲面で繋がっていたり、更にその角部が曲面であったりするものも含むものとする。
請求項2に記載の発明においては、請求項1に記載の前記包装材の形状が、略直方体であることを特徴とするものである。ここでいう「略直方体」とは、直方体を形成する面が必ずしも平面ではないことをいい、その面が曲面であったり、その面と面とが曲面で繋がっていたり、更にその角部が曲面であったりするものも含むものとする。
請求項3に記載の発明においては、請求項1または2に記載の前記防湿シートが、前記略直方体の包装材から食み出すフランジ部を有することを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明においては、請求項1ないし3に記載のうちいずれか一項に記載の前記包装材が、複数個並べられたことを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明においては、請求項1ないし3に記載のうちいずれか一項に記載の前記包装材が、複数個並べられたことを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明においては、請求項4に記載の前記防湿シートに、隣接する包装材の間に切離し予定部が設けられたことを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明においては、請求項1ないし5に記載のうちいずれか一項に記載の前記透湿性シートが、不織布であることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明においては、請求項1ないし5に記載のうちいずれか一項に記載の前記透湿性シートが、不織布であることを特徴とするものである。
(作用)
本発明における建築用断熱材は、断熱効果の高い発泡プラスチックの粒体が充填された透湿性を有する包装材と防湿シートから構成されている。そのため、室内側から断熱材内に水蒸気が浸入し難い。仮に水蒸気が浸入した場合でも、外壁側が透湿性シートで形成されているので、水蒸気は断熱材内に留まることがなく断熱層の外に排出され、結露が現れ難い。
本発明における建築用断熱材は、断熱効果の高い発泡プラスチックの粒体が充填された透湿性を有する包装材と防湿シートから構成されている。そのため、室内側から断熱材内に水蒸気が浸入し難い。仮に水蒸気が浸入した場合でも、外壁側が透湿性シートで形成されているので、水蒸気は断熱材内に留まることがなく断熱層の外に排出され、結露が現れ難い。
本発明によれば、建築用断熱材を施工現場で容易に取り扱うことができ、仮に室内側から水蒸気が断熱材に浸入しても、それを容易に断熱層の外に排出することができる。また、本発明の建築用断熱材によれば、使用済み発泡プラスチックを複数回に亘って再利用することができる。
以下、本発明を具体化した建築用断熱材の一実施形態における第1の例を図1および図2に従って説明する。
図1は建築用断熱材10の一部を破断して示す斜視図であり、図2は図1におけるA矢視図である。発泡プラスチックである硬質PUFの粒体14が不織布からなる透湿性シート12を用いてガゼット袋として形成された包装材11に充填され、粒体14が充填された包装材11は図からも分かるように略角柱の直方体である。なお、図1において、直方体は平面や面取りがない角部で形成されるものとして描かれているが、実際には、包装材11が内部の粒体14から外方への圧力を受けるので、角部や面が丸みを帯びた形状となる。その硬質PUFの粒体14は包装材11の開放部から空気圧を利用して充填され、その充填が終わった後、包装材11の開放部はヒートシール部17で封緘される。次いで硬質PUFの粒体14が充填された包装材11は、合成ゴムを主成分とする公知のホットメルト型接着剤を用いて接着部18で防湿シート13に接着される。このようにして建築用断熱材10が形成される。なお、この接着は強固な接着力をもたらすものではなく、その接着力は、包装材11と防湿シート13とが材料破壊せずに剥離される程度が望ましい。また、ホットメルト型接着剤は前記合成ゴムを主成分とする材質のものに限らず公知の他の材質のホットメルト型接着剤を用いることができ、更にホットメルト型接着剤に代えて他の公知の接着剤を用いることには何らの問題もない。
図1は建築用断熱材10の一部を破断して示す斜視図であり、図2は図1におけるA矢視図である。発泡プラスチックである硬質PUFの粒体14が不織布からなる透湿性シート12を用いてガゼット袋として形成された包装材11に充填され、粒体14が充填された包装材11は図からも分かるように略角柱の直方体である。なお、図1において、直方体は平面や面取りがない角部で形成されるものとして描かれているが、実際には、包装材11が内部の粒体14から外方への圧力を受けるので、角部や面が丸みを帯びた形状となる。その硬質PUFの粒体14は包装材11の開放部から空気圧を利用して充填され、その充填が終わった後、包装材11の開放部はヒートシール部17で封緘される。次いで硬質PUFの粒体14が充填された包装材11は、合成ゴムを主成分とする公知のホットメルト型接着剤を用いて接着部18で防湿シート13に接着される。このようにして建築用断熱材10が形成される。なお、この接着は強固な接着力をもたらすものではなく、その接着力は、包装材11と防湿シート13とが材料破壊せずに剥離される程度が望ましい。また、ホットメルト型接着剤は前記合成ゴムを主成分とする材質のものに限らず公知の他の材質のホットメルト型接着剤を用いることができ、更にホットメルト型接着剤に代えて他の公知の接着剤を用いることには何らの問題もない。
粒体14が充填された包装材11の外形寸法については、その幅LWは329mm、397.5mm、415mm、435mm、465mmの五通りとし、高さLHは114mm、厚さLTは83mm、166mmの二通りの寸法から適宜選択して採用される。
硬質PUFの粒体14は、現場発泡により建築物の隙間を埋めて断熱層を形成したり、断熱材としてボード状に成形されたりした使用済みの硬質PUFを粉砕したもので、密度は10〜50kg/m3である。外形寸法が1〜20mmの粒体14が包装材11に充填されるようにするが、好ましくは5〜15mmの範囲のものがよい。外形寸法が1mm未満のものでは、粉砕前の硬質PUFが持っていた独立気泡が消失または減少し、そのため断熱効果が落ちるため好ましくない。一方、外形寸法が20mmを超える場合も、包装材11内に充填された粒体14のそれぞれの間の隙間が大きくなり、その隙間の繋がりが対流を可能とする流路となるため、断熱効果が落ちて好ましくない。
包装材11を形成する透湿性シート12として、本実施形態では、ポリエチレン(PE)およびポリエチレンテレフタレート(PET)の両材質を混合したもので、その繊維径が15μmであり目付が32g/m2の不織布が用いられている。このPEとPETからなる不織布は、透湿性を備えているばかりか、ガゼット袋としての開口部を封緘するヒートシール加工に適している。また、この不織布の目付は、繊維径をほぼ15μmとしたとき、50〜15g/m2の範囲で適宜選択することができる。目付が50g/m2を上回れば、不織布自体の透湿性が失われることはないが、不必要に繊維の量が多くなり不経済である。目付が15g/m2より下回れば、透湿性は問題ないものの、粒体14の細かなもの(例えば1mm未満のもの)が包装材11外へ漏れてしまう問題と共に施工時に簡単に破れる等の強度面の問題がある。
防湿シート13には厚さ0.1mmの公知のPEシートを用いる。この防湿シート13は、日本工業規格のJIS A 6930における住宅用プラスチック系防湿フィルム(B種)に合格する、透湿抵抗が452m2・h・mmHg/g以上であれば適宜選択しうるが、コスト面などから本実施形態ではPEシートを採用する。また、防湿シート13の外形寸法は、粒体14が充填され略角柱の直方体となった包装材11と接着一体化された際、包装材11の外方へ延出されたフランジ15、16を形成できる大きさである。本実施形態のフランジ15、16は、それぞれが包装材11の短手方向のフランジ15と長手方向のフランジ16である。
本実施形態の施工例については後に第2の例の施工例において図6を用いて詳細に説明するが、本実施形態における第1の例の建築用断熱材10の建築物への取付は、図6および図7に示すように隣接するフランジ15を重ねてタッカー止め等の手段を用いて前記フランジ15、16を間柱等に固定することにより行われる。その際、防湿シート13が室内側に向くように配置される。
上記実施形態の建築用断熱材によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、包装材11が透湿性シート12である不織布で形成されているので、包装材11内に浸入した水や水蒸気が粒体14の内部または隣合う粒体14等の隙間に一時的に留まったとしても、その水や水蒸気は不織布を透って外部へ排出される。そのため、包装材11内での内部結露により断熱性能が低下することやカビ及び木材の腐朽菌が発生することを防止できる。
(1)上記実施形態では、包装材11が透湿性シート12である不織布で形成されているので、包装材11内に浸入した水や水蒸気が粒体14の内部または隣合う粒体14等の隙間に一時的に留まったとしても、その水や水蒸気は不織布を透って外部へ排出される。そのため、包装材11内での内部結露により断熱性能が低下することやカビ及び木材の腐朽菌が発生することを防止できる。
(2)上記実施形態では、粒体14が充填された包装材11の形状が柔軟性のある略角柱の直方体となっているため、断熱層を要する建築物の空間をほとんど隙間なく埋めることができ、熱橋や対流による熱の移動を防ぐ優れた断熱効果が得られる。
(3)上記実施形態では、防湿シート13にフランジ15、16を設けたので、建築用断熱材10を間柱の間等に嵌め込み固定する際、そのフランジ15、16を間柱にタッカー等を用いて固定すればよく、施工が容易となる。また、防湿シートが室内側に配置されるので、室内側からの水蒸気が包装材11内に浸入することを防止できる。
(4)上記実施形態では、粒体14はバインダー等を用いることなく単に包装材11内に充填されているだけなので、包装材11から取り出せば、再度粒体14を他の包装材11に充填する等して再利用することが可能である。
(5)上記実施形態では、包装材11および防湿シート13の材質が互いに相溶性のある樹脂であるため、両者を共に溶融してリサイクルすることができる。
(6)上記実施形態では、包装材11と防湿シート13とは剥離可能な接着力で結合されているため、両者を容易に引き離すことができる。そのため、互いの材質が相溶性のない樹脂であってもリサイクルは容易にできる。
(6)上記実施形態では、包装材11と防湿シート13とは剥離可能な接着力で結合されているため、両者を容易に引き離すことができる。そのため、互いの材質が相溶性のない樹脂であってもリサイクルは容易にできる。
次に、本発明を具体化した建築用断熱材の実施形態における第2の例を図2〜図8を用いて説明する。なお、第1の例は包装材11と防湿シート13とを一対一で構成したものに対し、第2の例では複数の包装材11と一枚の防湿シート13とで構成するよう変更した構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
図2に示すように、第2の例の建築用断熱材20は、粒体14が充填された包装材11を、長手方向に延びる一面が互いに隣接するように上下方向に複数個並べ、一枚の防湿シート13に接合したものである。即ち、本第2の例においても包装材11はガゼット袋状に構成され、粒体14が充填された後、複数の包装材11は、封緘された開口部のヒートシール部17が防湿シート13の上下方向の辺に沿うよう配置され、隣接状態で防湿シート13に接合される。
複数個が隣接して配置される包装材11の数は、24個または16個のいずれかが選択される。本発明の包装材11の単体の高さLHは114mmと設定されているので、粒体14の弾性力による多少の膨張があっても、建築物の隙間に押し込まれた包装材11は圧縮され、包装材11を24個並べた長さは略2730mmであり、16個並べた長さは略1820mmである。これらは日本建築における寸法の基準である一間半および一間に相当する。
防湿シート13は複数個が隣接して配置された包装材11の全体の外形よりも大きいものであり、その食み出し部分によって、包装材11の長手方向に沿ったフランジ21およびその直角方向のフランジ22が形成される。
図3および図4から分かるように、隣接する包装材11および包装材11の間には切離し予定部23が設けられ、その切離し予定部23は溝部24で形成されたものである。この溝部24は、包装材11が接合される前の防湿シート13に対する線条加熱体の押し付けによって溝状に溶融加工されたものである。また、溝部24は、防湿シート13の一端から他端まで連なるように形成されるが、必ずしも連続する溝である必要はなく、所定ピッチの破線状であってもよい。
図4に示すように隣接する包装材11、11は防湿シート13に公知のホットメルト型接着剤により接着されているが、その接着部18と溝部24との間隔LADは20mm以上であることが望ましい。
(施工例)
本実施形態における第2の例の建築用断熱材20を用いた代表的な施工例を図6〜図8を参照しながら説明する。図6に示すものは、一般的な家屋の内壁と外壁の間に本実施形態における第2の例の建築用断熱材20を用いて断熱施工した状態を示すもので、上下方向から見た一部断面図である。第2の例の建築用断熱材20は、包装材11の長手方向を水平方向に合わせ、内壁1を施工する前に間柱8の間に粒体14が充填された包装材11を嵌め込むようにして取り付けられる。このとき、間柱8の室内側の面に当接するフランジ22はタッカー26により適宜間隔で間柱に固定される。フランジ22は全面がシールされるように間柱8に固定されることがないので、室内側の水蒸気が、間柱8とフランジ22の間を透って建築用断熱材20が取り付けられた断熱層に浸入する虞がある。そのため、隣接する包装材11のそれぞれのフランジ22を重ね合わせてシール部25を形成し、そのシール部25が断熱層に対する水蒸気の浸入を防いでいる。また、シール部25が形成されることによって、間柱8の内部に水蒸気が浸入することを防ぐ。図示しないが、2階建て木造建築の1階部分に施工する場合、上側のフランジ21は胴差しに、下側のフランジ21は土台にタッカー止めされ、2階部分に施工する場合、上側のフランジ21は軒桁および妻梁に、下側のフランジ21は胴差しにタッカー止めされる。更に、間柱8の通気層3側(外壁側)に日本建築学界建築工事標準仕様に則った透湿防水シート5が取り付けられる。この透湿防水シート5は、建築用断熱材20内への不要な水の浸入を防ぐ反面、建築用断熱材20の包装材11を透って排出される水蒸気が通気層3へ排出されることを妨げない。
本実施形態における第2の例の建築用断熱材20を用いた代表的な施工例を図6〜図8を参照しながら説明する。図6に示すものは、一般的な家屋の内壁と外壁の間に本実施形態における第2の例の建築用断熱材20を用いて断熱施工した状態を示すもので、上下方向から見た一部断面図である。第2の例の建築用断熱材20は、包装材11の長手方向を水平方向に合わせ、内壁1を施工する前に間柱8の間に粒体14が充填された包装材11を嵌め込むようにして取り付けられる。このとき、間柱8の室内側の面に当接するフランジ22はタッカー26により適宜間隔で間柱に固定される。フランジ22は全面がシールされるように間柱8に固定されることがないので、室内側の水蒸気が、間柱8とフランジ22の間を透って建築用断熱材20が取り付けられた断熱層に浸入する虞がある。そのため、隣接する包装材11のそれぞれのフランジ22を重ね合わせてシール部25を形成し、そのシール部25が断熱層に対する水蒸気の浸入を防いでいる。また、シール部25が形成されることによって、間柱8の内部に水蒸気が浸入することを防ぐ。図示しないが、2階建て木造建築の1階部分に施工する場合、上側のフランジ21は胴差しに、下側のフランジ21は土台にタッカー止めされ、2階部分に施工する場合、上側のフランジ21は軒桁および妻梁に、下側のフランジ21は胴差しにタッカー止めされる。更に、間柱8の通気層3側(外壁側)に日本建築学界建築工事標準仕様に則った透湿防水シート5が取り付けられる。この透湿防水シート5は、建築用断熱材20内への不要な水の浸入を防ぐ反面、建築用断熱材20の包装材11を透って排出される水蒸気が通気層3へ排出されることを妨げない。
次に図8を用いて、第2の例の建築用断熱材20の上下方向の長さが、断熱層が施工される予定の空間の上下方向の長さより長い場合、これに対応するために、例えば16個の包装材11のうち2個の包装材11を除いて、14個の包装材11を残して建築用断熱材とする場合を説明する。
この場合、下側から3個目の包装材113と2個目の包装材114の間の切離し予定部231で、防湿シート13が切離されると、建築用断熱材20の下側には取付固定用のフランジ21が存在しない状態となる。フランジ21がないことは、取付方法やシール方法等に関わる施工条件が難しくなることを意味する。そのため、14個の包装材11が残るようにする場合には、下側の2個の包装材114、115が防湿シート13から剥離された後、包装材114と包装材115の間にあった切離し予定部232で防湿シート13の最下部の防湿シート131が取り除かれる。そうすることにより、14個の包装材11を有する建築用断熱材20の下側にはシールおよび取り付け固定に用いることが可能なフランジ部が形成される。
従って、第2の例によれば、前記効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態の第2の例では、包装材11は、その長手方向を水平にし、その複数個が上下方向に隣接するように並べて配置されたので、それぞれの包装材11内に充填された粒体14は、一つの包装材11内の高低差が極めて小さいので重力の影響はほとんど受けない。そのため、包装材11内の上部の粒体14が下に沈み込むことによって、包装材11内の粒体14の密度が上方で粗となり下方で密となるような粗密になり難く、建築用断熱材20の全高に亘ってほぼ一様な密度を保つことができる。従って、建築用断熱材20全体に亘る一様な断熱効果が得られる。
(1)本実施形態の第2の例では、包装材11は、その長手方向を水平にし、その複数個が上下方向に隣接するように並べて配置されたので、それぞれの包装材11内に充填された粒体14は、一つの包装材11内の高低差が極めて小さいので重力の影響はほとんど受けない。そのため、包装材11内の上部の粒体14が下に沈み込むことによって、包装材11内の粒体14の密度が上方で粗となり下方で密となるような粗密になり難く、建築用断熱材20の全高に亘ってほぼ一様な密度を保つことができる。従って、建築用断熱材20全体に亘る一様な断熱効果が得られる。
(2)本実施形態の第2の例では、24個、16個等の複数の包装材11を並べて建築用断熱材20を形成したので、その建築用断熱材20は、内壁と外壁の間の断熱層として施工される際、包装材11の上下方向の寸法を適宜に設定することにより、例えば1階部分の標準的な高さの胴差しと土台の間の空間に隙間なく嵌め込むことができる。
(3)本実施形態の第2の例では、隣接する包装材11の間にある切離し予定部23により任意の包装材11を容易に切離すことができるので、残された複数個の包装材11の合計高さを、一つの包装材11の高さの単位で調節することができる。従って、建築用断熱材20は、包装材11の高さの単位ではあるが、建築物の任意の高さの空間に嵌め込むことができる。
(4)本実施形態の第2の例では、防湿シート13における切離し予定部23を他部より相対的に肉薄にして形成したので、ミシン目状の孔が開けられる場合と違い、防湿性を確保することができる。
(5)本実施形態の第2の例では、包装材11と防湿シート13とを、防湿シート13の切離し予定部23である溝部24と接着部18との間を20mm以上離して接着している。そのため包装材11を切離してフランジ部が設けられない状態になったとしても、包装材11の端部を持つことが可能で、建築用断熱材20の取付固定を支障なく行うことができる。
(6)本実施形態の第2の例では、ヒートシール部17が建築用断熱材20の上下方向を向いているので、建築用断熱材20が間柱の間等に嵌め込まれる場合、ヒートシール部17は容易に押し倒されるように変形する。そのため、ヒートシール部17が抵抗となることはなく、抵抗となった場合はヒートシール部17に引っ張られる等して包装材11が変形したり破損したりして発生する断熱効果の低下を防ぐことができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・発泡プラスチックの粒体14の材質として硬質PUFを用いたが、これに限らず、JIS A 9511で規定される発泡プラスチックに該当する公知の材質の発泡体を用いることができる。
・包装材11は、透湿性シート12を用いてガゼット袋として形成されたが、展開形状をもとに融着代を含むようにカットされた透湿性シート12を熱接合して直方体に形成されたものであれば、ガゼット袋に限らない。
・透湿性シート12としてPEおよびPETからなる不織布を用いたが、他の樹脂製繊維または植物製繊維からなる不織布または織布、種々用途に用いられる細かな孔が開いた公知の樹脂製シート、種々材質のメッシュの細かな公知の網から適宜選択できる。
・透湿性シート12として樹脂製不織布を用いヒートシールにより包装材11の開口部を封緘したが、植物性繊維製不織布を用い接着剤等により包装材11の開口部を封緘してもよい。
・第1の例において、防湿シート13にはその短辺および長辺にフランジ15、16を設けたが、いずれか一つのフランジ、即ち包装材11の短手か長手のいずれかに沿うフランジだけを設け他を省いてもよい。
・包装材11を、透湿性シート12を用いた直方体としたが、直方体の長手方向の一面を透湿性シート12に代えて防湿シート13で形成してもよい。
・第2の例において切離し予定部23は、防湿シート13を線状に熱溶融し他部より肉薄の溝部24として形成したが、図5に示すように、隣接する包装材11の境界において、それぞれの包装材11と防湿シート13の接着位置を近接させて、その近接した接着部18の間をその両側の接着部18に対し相対的に弱くした部分であってもよい。
・第1、第2の例の施工例において、建築用断熱材20を一般的な家屋の内壁と外壁の間に施工する場合を示したが、建築用断熱材20は図示しない建築物の天井や床下等にも用いられる。
・発泡プラスチックの粒体14の材質として硬質PUFを用いたが、これに限らず、JIS A 9511で規定される発泡プラスチックに該当する公知の材質の発泡体を用いることができる。
・包装材11は、透湿性シート12を用いてガゼット袋として形成されたが、展開形状をもとに融着代を含むようにカットされた透湿性シート12を熱接合して直方体に形成されたものであれば、ガゼット袋に限らない。
・透湿性シート12としてPEおよびPETからなる不織布を用いたが、他の樹脂製繊維または植物製繊維からなる不織布または織布、種々用途に用いられる細かな孔が開いた公知の樹脂製シート、種々材質のメッシュの細かな公知の網から適宜選択できる。
・透湿性シート12として樹脂製不織布を用いヒートシールにより包装材11の開口部を封緘したが、植物性繊維製不織布を用い接着剤等により包装材11の開口部を封緘してもよい。
・第1の例において、防湿シート13にはその短辺および長辺にフランジ15、16を設けたが、いずれか一つのフランジ、即ち包装材11の短手か長手のいずれかに沿うフランジだけを設け他を省いてもよい。
・包装材11を、透湿性シート12を用いた直方体としたが、直方体の長手方向の一面を透湿性シート12に代えて防湿シート13で形成してもよい。
・第2の例において切離し予定部23は、防湿シート13を線状に熱溶融し他部より肉薄の溝部24として形成したが、図5に示すように、隣接する包装材11の境界において、それぞれの包装材11と防湿シート13の接着位置を近接させて、その近接した接着部18の間をその両側の接着部18に対し相対的に弱くした部分であってもよい。
・第1、第2の例の施工例において、建築用断熱材20を一般的な家屋の内壁と外壁の間に施工する場合を示したが、建築用断熱材20は図示しない建築物の天井や床下等にも用いられる。
1…内壁、2…外壁、3…通気層、4…防湿シート、5…透湿防水シート、6…グラスウール、7…断熱層、8…間柱、10、20…建築用断熱材、11…包装材、12…透湿性シート、13…防湿シート、14…粒体、15、16、21、22…フランジ、17…ヒートシール部、23…切離し予定部、24…溝部、25…シール部、26…タッカー
Claims (6)
- 発泡プラスチックを用いた建築用断熱材において、該発泡プラスチックの粒体が充填された包装材と防湿シートとが接合され、該包装材が透湿性シートで形成されていることを特徴とする建築用断熱材。
- 前記包装材の形状が、略直方体であることを特徴とする請求項1に記載の建築用断熱材。
- 前記防湿シートは、前記包装材から食み出すフランジ部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の建築用断熱材。
- 前記包装材が、複数個並べられたことを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか一項に記載の建築用断熱材。
- 前記防湿シートには、隣接する包装材の間に切離し予定部が設けられたことを特徴とする請求項4に記載の建築用断熱材。
- 前記透湿性シートが、樹脂製不織布であることを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか一項に記載の建築用断熱材。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2007073011A JP2008231780A (ja) | 2007-03-20 | 2007-03-20 | 建築用断熱材 |
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JP2008231780A true JP2008231780A (ja) | 2008-10-02 |
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Country | Link |
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2007
- 2007-03-20 JP JP2007073011A patent/JP2008231780A/ja active Pending
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