以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づき詳述する。なお、各図面において、同じ符号を付した部材等は、同じ構成のものであり、これらについての重複説明は適宜省略するものとする。また、各図面においては、説明に不要な部材等は適宜、図示を省略している。
<実施形態1>
図1を参照して、本発明に係る画像読取装置7を備えた、本発明に係る画像形成装置1について説明する。同図は、画像形成装置1を正面側(画像形成装置1の使用時にユーザが位置する側)から見た模式図である。ここで、画像形成装置1としては、複写機,プリンタ,ファクシミリ,及びこれらの複合機等が挙げられるが、以下では、画像形成装置1がプリンタである場合を例に説明する。
画像形成装置1には、図1に示すように、シート給送部2と、画像形成部3と、定着部4と、シート排出部5、画像読取部6とが設けてある。
シート給送部2には、シートPの搬送方向に沿っての上流側からほぼ順に、給紙カセット2a、給紙ローラ2b、給送ローラ2c、リタードローラ2d、搬送ローラ対2e、レジストローラ対2f等が配設されている。給紙カセット2a内に積層状態で収納された複数枚のシートPは、その最上位のものが、給紙ローラ2bによって給紙され、給送ローラ2c及びリタードローラ2dによって重送を防止されて1枚だけ下流側に給送される。さらには搬送ローラ対2eによって、停止中のレジストローラ対2fに当接されて、斜行が矯正される。シートPは、その後、画像形成部3の感光ドラム3a上に形成されたトナー像にタイミングを合わせるようにして、画像形成部3に供給される。
画像形成部3には、感光ドラム3a、帯電ローラ3b、露光装置3c、現像装置3d、転写ローラ3e、クリーニング装置3f等が配設されている。感光ドラム3aは、矢印方向(時計回り)に回転駆動され、その表面が帯電ローラ3bによって所定の極性・電位に一様に帯電される。帯電後の感光ドラム3aは、露光装置3cによる露光を受け、露光部分の電荷が除去されて静電潜像が形成される。この露光は、後述する画像読取装置7によって読み取られた原稿の画像情報に基づいて行われる。感光ドラム3a上に形成された静電潜像は、現像装置3dによってトナーが付着されてトナー像として現像される。このトナー像は、感光ドラム3aと転写ローラ3eとの間に形成される転写ニップ部において、上述のシート給送部2から供給されたシートPに転写される。トナー像転写後の感光ドラム3aは、表面に残ったトナー(転写残トナー)がクリーニング装置3fによって除去され、次の画像形成に供される。
定着部4には、定着ローラ4a、加圧ローラ4bが配設されている。定着ローラ4aは、ヒータ(不図示)によって加熱されるとともに矢印方向(反時計回り)に回転する。一方、加圧ローラ4bは、定着ローラ4aに押圧されて、定着ローラ4aとの間に定着ニップ部を形成している。上述の画像形成部3で表面にトナー像が転写されたシートPは、定着ニップ部を通過する際に、加熱・加圧されて表面にトナー像が定着される。
シート排出部5には、排紙ローラ対5aと排紙トレイ5bとが配設されている。トナー像定着後のシートPは、排紙ローラ対5aによって、排紙トレイ5b上に排出される。
画像読取部6には、画像読取装置7が配設されている。画像読取装置7は、コンタクトガラス18上に画像面を下方に向けて載置された原稿(図6参照)を原稿押圧板19によって上方から押圧して画像面をコンタクトガラス18に密着させ、後述する光源10によって画像面を照射し、そのときの反射光に基づいて画像を読み取るものである。
図2〜図5を参照して、画像読取装置7について説明する。ただし、これらの図においては、原稿押圧板19は図示を省略している。図2〜図5のうち、図2,図3は、画像読取装置7の縦断面を正面側(前側)から見た図であり、さらに、図2は光学系を、また図3は駆動系を説明する図である。図4,図5は、光源10と原稿のサイズと画像読取時の原稿の位置との関係を説明する上面図であり、さらに、図4は原稿サイズがA列,B列である場合を、また図5は原稿サイズがインチサイズである場合を示している。なお、以下の説明では、図2〜図5中における左右を、画像読取装置7の左右として、また図2,図3中における上下を、画像読取装置7の上下として、また図4,図5中における下、上をそれぞれ画像読取装置7の前、後として説明する。さらに、図4,図5中における原稿の上下方向の長さを通紙幅(又は単に「幅」)、左右方向の長さを搬送方向長さ(又は単に「長さ」)とする。
図3に示すように、画像読取装置7は、照明装置8と結像レンズ13とCCD(固体撮像素子)14とを備えている。さらに、照明装置8は、光源10と駆動装置(移動装置)15とを備えている。これら光源10、駆動装置15、照明装置8、結像レンズ13、CCD14は、いずれも直方体状の筐体(フレーム)16の内側に配設されている。筐体16は、その上面に開口部17を有していて、この開口部17には、透明なコンタクトガラス18が配設されている。コンタクトガラス18の上方には、開閉自在な原稿押圧板19(図1参照)が配設されている。原稿押圧板19は、閉鎖状態では、コンタクトガラス18上に載置された原稿を上方からコンタクトガラス18の上面に押し付けるようになっている。一方、開放状態においては、コンタクトガラス18に原稿を載置し、またコンタクトガラス18上に載置された原稿を取り除くことができるようになっている。
図4,図5に示すように、コンタクトガラス18は、その上面に載置されるシート状の原稿のうちの、サイズが最大の原稿よりも大きい長方形状に形成されている。コンタクトガラス18における、左端には前後方向に長い左指示板20が、また後端及び前端には、それぞれ左右方向に長い後指示板21、前指示板22が配設されている。左指示板20の後端と後指示板21の左端とが交差する位置が、読取基準位置P01となっている。コンタクトガラス18に載置される原稿は、その1つの角部、すなわち左端でかつ後端に位置する角部(基準の角部)をこの読取基準位置P01に合わせた位置(所定の位置)に載置される。図4,図5においては、基準の角部を読取基準位置P01に合わせた状態の種々のサイズの原稿を図示している。ここで、各サイズの原稿における、基準の角部の対角に相当する位置には、それぞれの原稿のサイズ、及び向きを表示してある。例えば、図4中のB5,A4は、それぞれの原稿における「長辺」を左指示板20に合わせたときの原稿の位置を示す。以下、これを原稿の「横置き」という。また、B5R,A4Rは、それぞれの原稿における「短辺」を左指示板20に合わせたときの原稿の位置を示している。以下、この「R」が付されたものを原稿の「縦置き」といって、「横置き」とは区別している。なお、これに従うと、図4中の「B4」,「A3」については、本来、「B4R」,「A3R」と表記すべきものであるが、これらのサイズの原稿は、横置きすることができず、つまり、一通りの置き方しかできず、区別する必要がないので、簡略化して表記している。
上述の「B5」,「B5R」,「A4」,「A4R」,「B4」,「A3」等の表記は,実際は、コンタクトガラス18上ではなく、左指示板20及び後指示板21に表記されている。例えば、左指示板20における符号P1,P2,P3,P4で示す位置には、この順に「B5R」,「A4R」,「B5,B4」,「A4,A3」という表記がなされている。一方、後指示板21における符号P5,P6,P7,P8で示す位置には、この順に「B6R,B5」,「A5R,A4」,「B5R」,「A4R」という表記がなされている。これにより、ユーザは、原稿をコンタクトガラス18上の所定の位置に載置したときに、その原稿サイズ及び向きを知ることができる。したがって、例えば、原稿の画像読取り結果に基づいて複写機やプリンタによって紙等のシート上に画像を形成するような場合には、画像形成に供されるシートのサイズや向きを選択する際の参考とすることができる。なお、図5中では、原稿サイズを、インチサイズで表示している。図4中のコンタクトガラス18における、「A4,A3」の通紙幅よりも少し広い幅が、画像の最大読取幅(最大照射幅)となり、また図5中のコンタクトガラス18における、「11×17」の搬送長さよりも少し長い範囲が、画像の最大読取長さ(最大照射長さ)となる。後述する光源10は、最大読取幅と最大読取長さとに囲まれた最大読取領域全体を照射することができるようになっている。
図2〜図5に示すように、コンタクトガラス18の左端側の下方には、照明用光学移動枠ユニット23が配設されている。照明用光学移動枠ユニット23は、上述の最大読取幅よりも前後方向の長さが長い移動枠24を有している。この移動枠24には、光源10と、凹面鏡26と、第1ミラー27が搭載されている。このうち光源10は、図4,図5に示すように、前後方向の長さが、最大読取幅よりも長くなるように形成された基板12と、その上面に取り付けられた光源素子(点光源)としての複数(本実施形態では22個)のLED素子11とによって構成されている。なお、以下の説明では、LED素子11を区別する場合には、LED素子L1〜L22とする。LED素子11(L1〜L22)は前後方向にライン状に整列させて構成している。ここで、ライン状とは、1本の直線上に整列された場合に限らず、例えば千鳥状に整列して、実質的に直線状である場合も含めるものとする。これらLED素子L1〜L22は、ライン方向(前後方向)に沿って原稿の画像面を光量ムラなく照射できる所定のピッチP(本実施形態では例えば15mm)で整列されている。図4,図5において、最後端のLED素子L1の中心から、最前端のLED素子L22の中心までの距離が、315mm(=15mm×21)に設定されていて、これらLED素子L1とLED素子L22との間に、図4に示す例では、通紙幅が最大のA4サイズの原稿の長辺(=297mm)、又はA3サイズの原稿の短辺(=297mm)が入るように、また図5に示す例では、長辺又は短辺の長さが11インチ(≒279mm)の原稿の長辺又は短辺が入るように設定されている。複数のLED素子L1〜L22、及び基板12によって構成された光源10は、図2に示すように、コンタクトガラス18の上面に設定されている読取ラインLを右斜め下方から照射するようになっている。
図2に示すように、凹面鏡26は、読取ラインLから下ろした垂線hに対して、上述の光源10とほぼ線対称の位置に配置されている。上述のように、光源10は、コンタクトガラス18上の原稿を右斜め下方から照射しているため、原稿の左端に影が形成されて、この影が前後方向の直線上の画像として読み込まれがちである。凹面鏡26は、光源10からの光を反射して読取ラインLに導いて、この影を除去するためのものである。照明用光学移動枠ユニット23における、読取ラインLの直下に位置する部分には、第1ミラー27が配設されている。第1ミラー27は、左斜め上の45度を向けた状態で取り付けられている。以上のように、照明用光学移動枠ユニット23は、移動枠24に光源10、凹面鏡26、第1ミラー27を搭載した状態で、左右方向に敷設したガイド部材25に沿って左右方向に移動できる。つまり、ライン状(線状)の光源10に対して、直交する方向に移動することができるようになっている。この照明用光学移動枠ユニット23は、右方に移動しながら読取ラインLに向けて光源10から光を照射し、原稿の画像面からの反射光を次に説明する第2ミラー28に導くものである。
図2,図3に示すように、コンタクトガラス18の左端側の下方には、上述の照明用光学移動枠ユニット23の左方に、反射用光学移動枠ユニット30が配設されている。反射用光学移動枠ユニット30は、上述の最大読取幅よりも前後方向の長さが長い移動枠31を有している。この移動枠31には、右斜め下45度を向けた状態で第2ミラー28が、また右斜め上45度を向けた状態で第3ミラー32が搭載されている。さらに、この移動枠31は、その前端と後端とにおいて、可動プーリ33を回動自在に支持している。以上のように、反射用光学移動枠ユニット30は、第2ミラー28、第3ミラー32、可動プーリ33を搭載した状態で、左右方向に敷設されたガイド部材25に沿って左右方向に移動できるようになっている。この反射用光学移動枠ユニット30は、右方に移動しながら、上述の照明用光学移動枠ユニット23の第1ミラー27からの光を第2ミラー28、第3ミラー32で反射して後述の結像レンズ13に導くものである。
図3に示すように、筐体16の左端近傍には前端と後端とに固定左プーリ34,34が、また筐体16の右端近傍には前端と後端とに固定右プーリ35,35がそれぞれ回動自在に配設されている。また、図3中の固定右プーリ35,35の下方には、正逆回転可能なモータ36が配設されている。さらに、モータ36の左方には、駆動軸37と一体の駆動プーリ38が配設されていて、モータ36の出力軸40と駆動プーリ38との間には、駆動ベルト41が張設されている。駆動軸37の前端と後端とには、ワイヤドラム42,42が固定されており、これらワイヤドラム42,42には、それぞれ光学ワイヤ43,43が巻き掛けられている。これら光学ワイヤ43,43の一方の端部44,44は、筐体16の左側壁45の内面に固定されている。光学ワイヤ43,43は、ここから右方に延びて、反射用光学移動枠ユニット30の可動プーリ33,33の右半部に掛け渡されて左方に折り返し、固定左プーリ34,34の左半部に掛け渡された後、右方に折り返して固定右プーリ35,35に向かって延びる。さらに、固定右プーリ35,35の右半部に掛け渡されて左方に延び、途中で照明用光学移動枠ユニット23に固定された後、さらに左方に延びて、可動プーリ33,33の左半部に掛け渡されて右方に折り返し、レンズ取付台(取付台)46上に突設されたフック47に係止される。このような光学ワイヤ43,43の引き回しに基づき、モータ36が図3中の反時計回りに回転すると、駆動ベルト41、駆動プーリ38、駆動軸37を介して、ワイヤドラム42,42が同じく反時計回りに回転する。これに伴い、光学ワイヤ43,43に引かれて、照明用光学移動枠ユニット23及び反射用光学移動枠ユニット30が右方に移動する。この際、反射用光学移動枠ユニット30は、その可動プーリ33,33がいわゆる動滑車として作用するため、移動距離が照明用光学移動枠ユニット23の移動距離の半分となる。これにより、照明用光学移動枠ユニット23及び反射用光学移動枠ユニット30の移動にかかわらず、コンタクトガラス18から結像レンズ13に至る光路長(光路Kの長さ)が一定に保持されて、次に説明する結像レンズ13を通過した光がCCD14上で像を結ぶようになっている。なお、本実施形態では、上述のように光源10を移動させるための構成全体が駆動装置(移動装置)に相当する。
図3に示すように、結像レンズ13は、上述のレンズ取付台46に固定されたレンズ取付板(取付ベース)48上に固定されている。光源10から照射された光は、原稿の画像面で反射されて、図2に示す光路Kをたどる。すなわち、画像面からの反射光は、第1ミラー27、第2ミラー28、第3ミラー32で反射されて結像レンズ13に入射される。入射された光は、次に説明するCCD14上で結像される。
CCD14は、その左端面に固定されて上端部50が左方に折曲されたCCD取付板51を介してCCD調整板52に取り付けられている。CCD調整板52は、「コ」字形に形成されていて、レンズ取付板48に固定されている。CCD調整板52の前端部と後端部には、内径に雌ねじが螺刻されたボス53,53が固定されていて、これらのボス53,53には、CCD取付板51の上端部50を貫通したピン54,54が螺合されている。さらに、CCD取付板51とCCD調整板52との間には、圧縮ばね55,55が介装されていて、CCD取付板51を上方に付勢している。この状態で、ピン54,54を時計回りあるいは反時計回りに回すことで、CCD取付板51を介してCCD14の高さ位置を微調整することができる。この微調整をCCD14の前端部及び後端部で行うことで、CCD14の上下方向の位置調整を行うことができるようになっている。この位置調整は、結像レンズ13に対してCCD14の位置を調整するものである。なお、本実施形態では、CCD取付板51、ピン54、圧縮ばね55によって第2の高さ調整機構76を構成している。
図6に、上述の図2,図3で説明した画像読取装置7の概略を模式的に示す。なお、同図では、原稿押圧板19は、図示を省略している。同図に示すように、画像読取装置7は、コンタクトガラス18に載置された原稿Gを、光源10により読取ラインLに沿って主走査しつつ、照明用光学移動枠ユニット23及び反射用光学移動枠ユニット30を右方に移動させることにより副走査方向に走査する。これにより、原稿Gの画像面全体を走査することができ、このときの反射光を、第1ミラー27,第2ミラー28,第3ミラー32によって結像レンズ13を介して、CCD14に導く。これにより、原稿Gの画像を読み取ることができる。この読取り結果に基づいて、上述の露光装置3cにより感光ドラム3a上に静電潜像を形成するようになっている。
本実施形態では、結像レンズ13とCCD14とを一体にしてイメージセンサユニット60を構成している。図2に示すレンズ取付板48に結像レンズ13を固定し、さらに、このレンズ取付板48に、CCD調整板52を介してCCD14を取り付けることで、全体としてイメージセンサユニット60を構成し、このイメージセンサユニット60をレンズ取付台46に取り付けるようにしている。この際、第3ミラー32で反射された反射光の光路Kに対して、結像レンズ13の光軸Cが一致するように、イメージセンサユニット60の高さ調整を以下のようにして行うようにしている。
図7は、イメージセンサユニット60をレンズ取付台46から上方に取り外した状態を示す斜視図である。また、図8は、イメージセンサユニット60をレンズ取付台46に取り付けた状態を示す斜視図である。
図7に示すように、レンズ取付台46は、画像読取装置7の筐体16(図2,図3参照)に固定された取付枠49の内側に配設されている。レンズ取付台46は、取付枠49の内側における下部の左端側に、前後方向に向けて固定されている。また、取付枠49における左側に位置する面には、第3ミラー32で反射されて結像レンズ13に向かう反射光が通過するための窓49aが前後方向に長くあけられている。レンズ取付台46には、上下方向に向けて3つの雌ねじ部46a,46b,46cが螺刻されている。このうち雌ねじ部46aは、レンズ取付台46の前後方向の中心における左端側に配置されている。一方、雌ねじ部46b,46cは、雌ねじ部46aよりも右側で、かつ前後方向の中心から振り分けるようにして後側及び前側に配置されている。これら雌ねじ部46a,46b,46cには、それぞれ高さ調整ねじ65,66,67が螺合されている。高さ調整ねじ65,66,67は、下端側に上述の雌ねじ部46a,46b,46cに螺合される雄ねじ部65c,66c,67c(図9参照)を有し、上端側に六角形状の頭部65b,66b,67bを有し、これら頭部65b,66b,67bの下端にこれらよりも大きいフランジ部(載置部)65a,66a,67aを有している。これらフランジ部65a,66a,67aは、後述するように、レンズ取付板48が乗せられることになる。
図7に示すように、レンズ取付板48には、上述の高さ調整ねじ65,66,67に対応する位置に、それぞれ透孔48a,48b,48cが穿設されている。これら透孔48a,48b,48cは、高さ調整ねじ65,66,67の頭部65b,66b,67bは下方から通り抜けることができるが、フランジ部65a,66a,67aは、通り抜けることができないように形成されている。つまり、透孔48a,48b,48cの周縁部がフランジ部65a,66a,67aに乗っかるようになっている。この状態で、頭部65b,66b,67bの上端側が、レンズ取付板48の上面よりも上方に突出するようになっている。ここで、右側に位置する2本の高さ調整ねじ66,67の上方には、CCD調整板52の前端側及び後端側が被さるように配置されているが、CCD調整板52における高さ調整ねじ66,67の直上に位置する部分には、大きな透孔52b,52cが穿設されている。このため、イメージセンサユニット60の高さ調整を行う際には、レンズ取付板48を、高さ調整ねじ65,66,67のフランジ部65a,66a,67aの乗せたままの状態で、上方から工具により、頭部65b,66b,67bを回すことができるようになっている。3箇所の高さ調整ねじ65,66,67を右回り、又は左回りに適宜に回すことで、レンズ取付板48を介して、結像レンズ13の光軸Cを、光路Kに合わせることができる。なお、例えば、透孔48a,48b,48cを左右方向に長い長孔に形成し、さらに透孔48aの前後方向の長さについては、高さ調整ねじ65の頭部65bが少し移動できる程度の余裕を持たせておけば、レンズ取付台46に対して、イメージセンサユニット60を前後方向に微調整したり、また、透孔48aのある左端側、つまり結像レンズ13の先端側を前後方向に振って(揺動させて)位置調整することが可能となる。
上述ようにして、イメージセンサユニット60を、レンズ取付台46に対して位置決めした後、レンズ取付板48の左端側,後端側,前端側をそれぞれ押さえ金具(押圧部材)70,71,72によって固定する。押さえ金具70,71,72は、上端にフック70a,71a,72aを有していて、これらフック70a,71a,72aをレンズ取付板に引っ掛けて、下端側をねじ(不図示)でレンズ取付台46に固定する。各フック70a,71a,72aは、基端側に対して先端側が下方に位置するように傾斜して屈曲されており、下端側がレンズ取付大46に固定された際に、レンズ取付板48の左端側,後端側,前端側をそれぞれ弾性的に下方に付勢するようになっている。つまり、各押さえ金具70,71,72は、レンズ取付板48を、その先端側,後端側,前端側をそれぞれ高さ調整ねじ65,66,67のフランジ部65a,66a,67aに押し付けるようにして、レンズ取付台46に固定している。
上述構成の画像読取装置7において、例えば、画像の読取中に外部から振動や衝撃が加わると、これら振動,衝撃は、レンズ取付台46から3本の高さ調整ねじ65,66,67を介して、イメージセンサユニット60に伝達され、これにより、結像レンズ13の光軸Cがぶれる。そして、光軸Cがぶれると、CCD14で読み取った画像がひずんでしまう。
そこで、本実施形態では、図9に示すように、レンズ取付台46の雌ねじ部46a,46b,46cと、高さ調整ねじ65,66,67との間に防振剤73を介在させるようにした。以下この点について詳述する。なお、本実施形態では、図7に示すように、後述するレンズ取付台46の雌ねじ部46a,46b,46c、これに螺合される高さ調整ねじ65,66,67、レンズ取付板48に穿設された透孔48a,48b,38c等によって第1の高さ調整機構75を構成している。
ここで、図10,図11に示すように、高さ調整ねじ65,66,67の雄ねじ部65c,66c,65cにおける、ねじ山を境に、これよりも上に位置する面(上方を向いた面)をねじ面m1,下に位置する面をねじ面m2とする。すると、高さねじ65,66,67によって、イメージセンサユニット60をレンズ取付台46に固定した状態においては、イメージセンサユニット60の重量が各高さ調整ねじ65,66,67にかかるため、下向きのねじ面m2がレンズ取付台46の雌ねじ部46a,46b,46cに乗るような状態となる。この状態で、レンズ取付台46の振動等が加わると、高さ調整ねじ65,66,67は振動して、図10,図11に示すように、下向きのねじ面m2が雌ねじ部46の上向き面f2から離れたり、上向きのねじ面m1が雌ねじ部46a,46b,46cの下向き面f1に当たったりする挙動を繰り返す。この高さ調整ねじ65,66,67の振動は、レンズ取付板48を介して結像レンズ13に伝達されて、結像レンズ13の光軸Cが光路Kからずれることになる。
そこで、本実施形態では、図9に示すように、各高さ調整ねじ65,66,67と雌ねじ部46a,46b,46cとの間に、弾性を有する防振剤73を介在させるようにした。
本実施形態では、この防振剤73として、使用直後は液体又はペースト状を呈していて、硬化後にゴム状の弾性体となる剤を使用した。このような剤としては、弾性接着剤として市販されている接着剤を使用することができる。具体的には、セメダイン(会社名)製の一液形弾性接着剤(PM100,PM155,PM165:いずれも商品名)や二液形弾性接着剤((例えば、PM200,PM210,EP001:いずれも商品名)を使用することができる。上述の一液形弾性接着剤は、変性シリコーン樹脂を主成分とするものであり、二液形弾性接着剤は、エポキシ樹脂を主剤とし、変性シリコーン樹脂を硬化剤とするものである。上述の弾性接着剤はいずれも、温度23℃における張り合わせ時間が10〜30分とされており、従来のペイントロックが塗布後、1昼夜放置する場合と比較して、極めて短時間で硬化することがわかる。上述の弾性接着剤のうち、EP01は、振動部、応力変化の大きい箇所の接着に適しているとされている。ここで、EP001の物性値等について記載しておく。製品形態は、二液形速効タイプである。主成分は、主剤がエポキシ樹脂(無色液体)であり、硬化剤が変性シリコーン(淡黄色液体)である。粘度は、主剤が15(Pa・s/23℃)であり、硬化剤が18(Pa・s/23℃)である。標準混合比は、重量比で、主剤:硬化剤=1:1である。作業性については、張り合わせ可能時間(23℃)が10分、可使時間(23℃、200g混合)が20分である。硬化後の引っ張りせん断接着強さ(AI×AI)が10.8N/mm2、T形剥離接着強さ(AI×AI)が4.30N/mm、伸びが200%、硬さ(ショアーA)が78である。
本実施形態では、例えば、上述の二液形弾性接着剤を混合し、レンズ取付台46の雌ねじ部46a,46b,46c、又は高さ調整ねじ65,66,67の雄ねじ部65c,66c,67cに塗布する。その後、雄ねじ部65c,66c,67cを雌ねじ部46a,46b,46cに螺合させる。フランジ部65a,66a,67aにイメージセンサユニット60のレンズ取付板48を乗せる。この状態で、3本の高さ調整ねじ65,66,67を回して、イメージセンサユニット60の高さ調整を行って、結像レンズ13の光軸Cを光路Kに合わせる。以上の作業を、二液形弾性接着剤の塗布後、硬化前に終了する。二液弾性接着剤は、硬化後には、図9に示すように、雌ねじ部46a,46b,46cと、雄ねじ部65c,66c,67cとの間で、弾性を有する防振剤73となる。また、本実施形態では、弾性を有する防振剤73が、雌ねじ部46a,46b,46cと、雄ねじ部65c,66c,67cとの間に入り込むんで、両者が直接、接触するのを防止することができるので、雌ねじ部46a,46b,46cから雄ねじ部65c,66c,67cに伝達される振動等を緩和することができる。さらに、防振剤73は、高さ調整ねじ65,66,67の緩み止めとしても有効に作用する。また、本実施形態では、上述のように、防振剤73が比較的短時間で硬化し、硬化後には、レンズ取付台46に対するイメージセンサユニット60の位置がずれることがないので、例えば、イメージセンサユニット60に振動等が加わるような組み立て作業を、二液形弾性接着剤の塗布後の比較的短時間後に行うことが可能となり、組み立て作業の作業性を向上させることができる。
上述のように、本実施形態では、レンズ取付台46は、3本の高さ調整ねじ65,66,67によって、イメージセンサユニット60を支持している。つまり、3本の高さ調整ねじ65,66,67は、光路Kに対する結像レンズ13の光軸Cの高さ位置を精度よく微調整するのに使用されるとともに、支持部材としても機能している。すなわち、高さ調整ねじ65,66,67が支持部材であると考えると、外部の振動がこれらを介してイメージセンサユニット60に伝達されることを避けることはできず、一方、結像レンズ13の光軸Cの高さ位置を高精度に設定する部材であることを考えると、振動等が伝達されることは好ましくない。このような高さ調整ねじ65,66,67に対して、上述のような防振剤73、すなわち硬化後にゴム状の弾性を発揮する防振剤73を適用することは、高さ調整ねじ65,66,67の緩み止め、及び防振の観点から極めて有効である。さらに、防振剤73は、上述のように比較的短時間で硬化するので、組み立て作業に対する制約も少なくすることができる。
以上の説明では、光源10が複数のLED素子11及び基板12によって構成されている場合を例に説明したが、本発明は、これに代えて、光源10として前後方向(主走査方向)に長い棒状のキセノンランプやハロゲンランプ等を使用することも可能である。
また、上述では、結像レンズ13とCCD14とレンズ取付板48とを一体にして、イメージセンサユニット60を構成し、このイメージセンサユニット60を、レンズ取付台46に取り付ける場合を例に説明した。これに代えて、図6に示すように、結像レンズ13とレンズ取付板48とによってレンズユニット74を構成し、このレンズユニット74を、レンズ取付台46に取り付ける場合も、上述と同様である。この場合には、レンズユニット74をレンズ取付台46に位置決め固定した後に、レンズ取付板48に対して、上述のようにしてCCD14を取り付けるようにすればよい。
1……画像形成装置、2……シート給送部、3……画像形成部、4……定着部、5……シート排出部、6……画像読取部、7……画像読取装置、10……光源、11……LED素子(光源素子)、12……基板、13……結像レンズ、14……CCD(個体撮像素子)、46……レンズ取付台(取付台)、46a,46b,46c……雌ねじ部、48……レンズ取付板(取付ベース)、60……イメージセンサユニット、65,66,67……高さ調整ねじ、65a,66a,67a……フランジ部(載置部)、65c,66c,67c……雄ねじ部、70,71,72……押さえ金具(押圧部材)、74……レンズユニット、75……高さ調整機構、76……第2の高さ調整機構、G……原稿