JP2008224293A - 回転視差による材料内部変形の3次元可視化方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 標点を埋め込んだ金属材料の変形特性と類似したモデル材料を用いて、前記モデル材料をモデル型に装填し、所定の加工量だけ工具で加圧すると同時に、単一焦点から放射線を照射することにより前記標点を放射線用TVカメラで撮像する。次に、視差を形成するために前記モデル型を放射線用TVカメラの撮像面の縦方向を軸方向とし、モデル型中心軸を軸中心として回転させ、その位置で単一焦点から放射線を照射することにより前記標点を放射線用TVカメラで撮像する。これらの操作を加圧終了まで繰り返した後、撮像画像から標点の2次元座標を演算し、これらの視差を形成する2次元座標から3次元座標を演算し、標点の3次元データとモデル型の形状データとを重ねて表示する。
【選択図】 図1
Description
金型を実際に製作して、実試作時に複数個の素材を用意し、加工開始から加工終了までの加工を数段階に分け、加工段階ごとの試作品を得ることで表面の加工状態を可視化していた。また、内部変形については、加工段階ごとに試作品をカットし、組織観察することで可視化していた。しかし、この方法では、加工品表面状態は把握できるが、もし欠陥があった場合、どの加工段階で何が原因で発生したか分からなかった。また、内部変形については、組織観察するのに膨大な手間とコストを要し、加工現象を連続的に把握するには現実的ではなかった。さらに、結果の良否判断を熟練技術者の過去の経験や勘に頼ることが多く、どこを改良すべきか客観的に判断するための数値的なデータが得られなかった。
有限要素法を用いた数値計算力学による計算機シミュレーション技術を用いて、被加工材料の変形過程を解析して可視化する方法がある。この方法では、解析を行う際に、複雑な各種境界条件や入力条件等が必要となる。また、全く新規の加工に関しては仮定を設ける必要があるため、実現象と大きく異なる結果が得られる場合もあり、信頼性に欠けており、目安程度にしか利用されていない。さらに、3次元的に変形する複雑形状部品の場合、解析時間に数日から1週間程度を要し、得られた結果の妥当性を検証する術もない。
金属材料と類似の変形特性を示す油粘土等のモデル材料と樹脂製のモデル型を用いた模擬実験によって、被加工材料の加工現象を可視化する方法がある。(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)特許文献1は、平面ひずみおよび軸対称部品を対象としており、3次元的な変形を伴う複雑形状部品の材料内部の変形現象の可視化はできない。また、非特許文献1は、定常変形を対象としており、塑性加工時に定常変形となったところで加工を止め、加工品を取り出し、薄層状にカットすることで、内部変形を同定しているため、多大な時間とコストを要するという欠点があった。
(1)3次元的に塑性変形する複雑形状部品の加工において、成形品内部変形の3次元可視化ができるため、金属材料が金型に充満しない欠肉や、材料流動の不安定に起因する加工品表面の巻き込み等欠陥の発生原因を解明できる。
(2)2台の放射線発生器で視差画像を得る方法も考えられるが、その方法では複数の標点が重なった時にそれぞれの標点を区別することができないが、本発明では被撮像物を回転させることで視認性を確保し、標点を区別することが可能となる。
(a)単一焦点の放射線発生器11と、放射線発生器11を設置するための放射線発生器設置台12とを備える放射線機構部10と、
(b)モデル材料で作製した素材21と、素材21を塑性加工するための樹脂製のモデル型22と、プレス機能を果たす加圧装置23と、放射線の撮像対象となる金属製の標点24と、モデル型22を設置する回転可能なモデル型設置台25と、モデル型設置台25を回転させるためのモデル型設置台用回転制御装置26と、素材21を加圧するパンチ27とを備える加圧機構部20と、
(c)標点24の放射線映像を光学像に変換するイメージインテンシファイア31と、イメージインテンシファイア31により得られた光学像を所定の大きさの光学映像に変換する光学系32と、光学系32により変換された所定の大きさの光学映像をアナログ映像信号に変換する放射線用TVカメラ33と、映像を記録するためのビデオキャプチャー34と、各種プログラム35と、各種プログラムが収納された演算処理装置36と、演算処理結果とモデル型22の形状データを重ね合わせて表示する表示装置37とを備えるデータ処理機構部30とからなる。(放射線の被曝を防御する防御壁は図示せず)
(1)モデル型22を設置した位置を視差基準位置として、当該位置において単一焦点を持つ放射線により標点24を透過撮像し、映像を記録する。
(2)放射線用TVカメラ33の撮像面の縦方向を軸方向としモデル型22の中心を軸中心として、視差を形成し、かつ撮像面内に収まるような角度だけモデル型設置台25を回転させる。
(3)回転させた位置を視差形成位置として、当該位置において単一焦点を持つ放射線により標点24を透過撮像し、映像を記録する。
(4)モデル型22の中心軸を軸中心として、モデル型設置台25を視差基準位置まで逆回転させる。
(5)モデル材料21を所用の逐次段階まで塑性加工する。
撮像終了の場合は、終了し、否の場合は、(1)〜(5)を繰り返す。
(1)モデル型22を設置した位置を視差基準位置として、当該位置において単一焦点を持つ放射線により標点24を透過撮像し、映像を記録する。
(2)放射線用TVカメラ33の撮像面の縦方向を軸方向としモデル型22の中心軸を軸中心として、視差を形成し、かつ、撮像面内に収まるような角度だけモデル型設置台25を回転させる。
(3)回転させた位置を視差形成位置として、当該位置において単一焦点を持つ放射線により標点24を透過撮像し、映像を記録する。
(4)モデル材料21を所用の逐次段階まで塑性加工する。
(5)視差形成位置にて単一焦点を持つ放射線により標点24を透過撮像し、映像を記録する。
(6)モデル型22の中心軸を軸中心として、モデル型設置台25を視差基準位置まで逆回転させる。
(7)視差基準位置にて単一焦点を持つ放射線により標点24を透過撮像し、映像を記録する。
(8)モデル材料21を所用の逐次段階まで塑性加工する。
撮像終了の場合は、終了し、否の場合は、(1)〜(8)を繰り返す。
(1)録画された標点24の映像を視差方向別に分け、映像の1コマごとに静止画として保存する。
(2)静止画に対して各逐次塑性加工段階における全標点の2次元座標を演算する。
なお、このとき、画像処理ソフトウエアの重心を特徴点とする特徴点抽出機能を用いてもよい。
(3)視差を形成する標点24の2次元座標から3次元座標を演算する。
(4)表示装置37上に標点24の3次元データとモデル型22の3次元形状データを重ね合わせて時系列で表示する。
(1)溶融したFilia(ワックス)をよく混練し、素材の形状に応じて作製された金属製の円筒型枠の中空部へFilia(ワックス)を流し込む。
(2)円筒型枠に振動を与え、Filia(ワックス)内の気泡を除去する。
(3)Filia(ワックス)を−20℃の環境下で1時間程度保持し、Filia(ワックス)が収縮したところで円柱状になったFilia(ワックス)を円筒型枠から取り出す。
(4)円柱状Filia(ワックス)を中心軸を含む面で半分割して、2つの円柱素材61、61aとする。
(5)半分割した半円柱素材61の分割面に等間隔に直径1mmの超硬合金製の球形の標点24を複数配置する。なお、標点24の配置は、溶融時にFilia(ワックス)と標点を同時に混練し、モデル材料内部の任意の位置に埋め込んでもよい。
(6)半円柱素材61、61aの分割面を合わせてヘリカルギヤの加工前素材60とする。
11 放射線発生器
12 放射線発生器設置台
20 加圧機構部
21 モデル材料
22 モデル型
23 加圧装置
24 標点
25 モデル型設置台
26 モデル型設置台回転制御装置
27 パンチ
28a 標点の撮像(回転前)
28b 標点の撮像(回転後)
30 データ処理機構部
31 イメージインテンシファイア
32 光学系
33 放射線用TVカメラ
34 ビデオキャプチャー
35 各種プログラム
36 演算処理装置
37 表示装置
38 放射線用TVカメラの撮像面
40 回転視差による材料内部変形の3次元可視化装置
50 ヘリカルギヤ
51 ヘリカルギヤの円柱部
51a ヘリカルギヤのギヤ部
60 加工前素材
61 標点を配置した半円柱素材
61a 半円柱素材
70 シミュレーション実験で使用したモデル型
71 プレスのラム
72 パンチ
73 ケース
74 ヘリカルギヤ成形用モデル型
75 受圧板
Claims (7)
- 金属材料の変形特性と類似したモデル材料と円筒形のモデル型を用いて、前記モデル材料内部に標点を埋め込む工程と、前記モデル材料を前記モデル型に装填する工程と、前記モデル型を円柱状のモデル型設置台にそれぞれの中心軸を合わせて設置する工程と、単一焦点から放射線を照射することにより標点を放射線用TVカメラで撮像する工程と、前記モデル型設置台を放射線用TVカメラの撮像面の縦方向を軸方向とし、モデル型中心軸を軸中心として視差を形成する角度だけ回転させる工程と、前記回転位置にて単一焦点から放射線を照射することにより標点を放射線用TVカメラで撮像する工程と、前記モデル型設置台を前記回転する前の位置まで逆回転させる工程と、加工開始から加工終了までを所定の逐次加工段階に分け、1回分の逐次加工段階の加工量だけ工具で前記モデル材料を逐次塑性加工する工程と、前記撮像する工程及び前記回転する工程及び前記撮像する工程及び前記逆回転する工程及び前記逐次塑性加工する工程の各工程をこの順番に加工終了まで繰り返す工程と、各逐次塑性加工段階における録画映像から標点の2次元座標を演算する工程と、各逐次塑性加工段階における視差を形成する標点の2次元座標から3次元座標を演算する工程と、前記3次元座標を持つ標点データとモデル型の形状データとを重ね合わせて表示する工程とを有することを特徴とする回転視差による材料内部変形の3次元可視化方法。
- 前記撮像及び前記回転及び前記逐次塑性加工の手順について、撮像する工程及び回転する工程及び撮像する工程及び逐次塑性加工する工程及び撮像する工程及び逆回転する工程及び撮像する工程及び逐次塑性加工する工程をこの順番に加工終了まで繰り返す工程とすることを特徴とする請求項1に記載の回転視差による材料内部変形の3次元可視化方法。
- 放射線の波長が1pmから10nmであることを特徴とする請求項1に記載の回転視差による材料内部変形の3次元可視化方法。
- 標点がモデル材料及びモデル型より密度が高い物質からなることを特徴とする請求項1に記載の回転視差による材料内部変形の3次元可視化方法。
- 標点とモデル材料及びモデル型の密度差が12グラム毎立方センチメートル以上であることを特徴とする請求項1に記載の回転視差による材料内部変形の3次元可視化方法。
- モデル材料及びモデル型が、実際の金型及び被加工材料の形状と実質的に同一または相似の形状を有してなることを特徴とする請求項1に記載の回転視差による材料内部変形の3次元可視化方法。
- 金属材料の変形特性と類似したモデル材料と、前記モデル材料に埋め込む標点と、前記モデル材料を塑性加工するための円筒形のモデル型及び円柱形の工具と、前記モデル材料を塑性加工する加圧装置と、前記加圧装置と一体となったモデル型設置台と、前記モデル型設置台が移動するためのモデル型設置台用レールと、塑性加工に伴う標点の動きを放射線により撮像するための単一焦点の放射線発生器と、前記放射線発生器を設置するための放射線発生器設置台と、標点の放射線透過像を光学像に変換するイメージインテンシファイアと、前記イメージインテンシファイアにより得られた光学像を所定の大きさの光学映像に変換する光学系と、前記光学系により変換された所定の大きさの光学映像をアナログ映像信号に変換する放射線用TVカメラと、前記アナログ映像信号を記録するためのビデオキャプチャーと、放射線用TVカメラの撮像面の縦方向を軸方向とし、モデル型中心軸を軸中心としてモデル型設置台を回転させるモデル型設置台回転制御装置と、前記モデル型設置台の回転を制御するプログラムと、モデル型設置台の回転前後で撮像された放射線による標点の透過映像を視差方向ごとに1コマごと切り分け静止画像として保存するプログラムと、前記静止画像から逐次塑性加工ごとに標点の2次元座標を演算処理するプログラムと、視差を形成する前記2次元座標から標点の3次元座標を演算処理するプログラムと、前記プログラムが収納された演算処理装置と、前記演算処理結果とモデル型の形状データを重ね合わせて表示する表示装置とからなることを特徴とする回転視差による材料内部変形の3次元可視化装置。
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