JP2008222614A - 糖含有ポリマーを含むタンパク質凝集阻害組成物及び該組成物を含むタンパク質凝集阻害剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、高効率にタンパク質特にアミロイドβタンパク質の凝集を阻害することができる阻害剤の提供である。
【解決手段】
糖を側鎖に持つポリマーがアミロイドβタンパク質と相互作用し、高いタンパク質凝集阻害活性特にアミロイド化阻害活性を有することを見出し、糖含有ポリマーを含むタンパク質凝集阻害剤を開発した。
【選択図】なし
【解決手段】
糖を側鎖に持つポリマーがアミロイドβタンパク質と相互作用し、高いタンパク質凝集阻害活性特にアミロイド化阻害活性を有することを見出し、糖含有ポリマーを含むタンパク質凝集阻害剤を開発した。
【選択図】なし
Description
本発明は、糖鎖を側鎖に有する糖含有ポリマーを含むタンパク質特にアミロイドβタンパク質の凝集を阻害する組成物及び該組成物を含むタンパク質凝集阻害剤に関するものである。
アミロイドβタンパク質は、アルツハイマー病患者の脳に見られる特異的病理変化の1つである。また、アミロイドβタンパク質は、老人斑のアミロイドコアを形成する主要構成成分で、39−43アミノ酸からなるペプチドであり、膜貫通型のアミロイド前駆体タンパク質APP(Amyloid Protein Precursor)の酵素分解により生成する(非特許文献1〜4)。
化学合成したアミロイドβタンパク質を用いた実験から、アミロイドβタンパク質は凝集性が強く(非特許文献5〜7)、また、凝集したアミロイドβタンパク質は神経細胞に対して、直接細胞毒性を示し得ることや興奮性アミノ酸などによる細胞傷害に対する感受性を高めることなどが報告されている(非特許文献8、9)。
具体的には、アミロイドβタンパク質の部分ペプチドβ25−35(アミノ酸配列GSNKGAIIGLM)が神経細胞毒性を示すこと。また、β25−35の作用一つとしては、神経細胞のミトコンドリア電子伝達系であり、細胞のMTT(3−(4,5−dimethylthiazol-2-yl)-2,5-diphenyltetrazolium bromide)還元能低下作用を測定することにより、細胞毒性の強度を知ることができることが既に報告されている(非特許文献10、11)。
さらには、アミロイドβタンパク質の脳内への沈着による老人斑の形成は、アルツハイマー病患者脳のもう1つの特徴的病理変化であり、神経源線変化よりも早期から出現する病理的変化であることが知られている(非特許文献12、13)。
すなわち、アルツハイマー病においては、アミロイドβタンパク質の脳組織中での凝集、沈着が引き金となり、老人斑が形成され、その結果、神経細胞死が惹起され、痴呆症となるとする発症機構が有力である。
さらには、アミロイドβタンパク質の脳内への沈着による老人斑の形成は、アルツハイマー病患者脳のもう1つの特徴的病理変化であり、神経源線変化よりも早期から出現する病理的変化であることが知られている(非特許文献12、13)。
すなわち、アルツハイマー病においては、アミロイドβタンパク質の脳組織中での凝集、沈着が引き金となり、老人斑が形成され、その結果、神経細胞死が惹起され、痴呆症となるとする発症機構が有力である。
以上の知見を基に、アミロイドβタンパク質の凝集および沈着を阻害する薬剤は、アルツハイマー型痴呆症の治療薬及び予防薬として有用であることが期待される。かかる阻害活性を有する薬物として、リファマイシン類(特許文献1)、ハイドロキノン類(特許文献2)、チオナフタレン誘導体類(特許文献3)、ピリジン誘導体類(特許文献4)に関する報告がある。
一方、本来可溶であるアミロイドβタンパク質が凝集するメカニズムについても研究がするめられている。近年、脳内に豊富に存在する酸性糖脂質のGM1(非特許文献14)や硫酸化多糖のヘパリンなど(非特許文献15)が、アミロイドβタンパク質の凝集を促進する働きを有することがわかってきた。
また、タンパク質が凝集またはアミロイド化することを原因とする病気の解明と凝集阻害剤の開発が進められている。近年、中性二糖である、トレハロースがハンチントン病やポリグルタミン病に対して、凝集阻害効果を発揮することが明らかにされている(非特許文献16)。
一方で、タンパク質と糖鎖の相互作用については一般に糖鎖の集合体を形成させることによる、多価効果によって強くなることが知られている(非特許文献17)。特に、糖鎖の集合体として、高分子の側鎖に糖鎖を結合させた糖鎖高分子が優れた多価効果を発揮して、タンパク質と効率的に結合することも知られている(非特許文献18)。
また、これまでアミロイドβタンパク質の凝集を阻害する阻害剤はいくつか報告されている(特許文献5、6)。しかしながら、凝集阻害効果の高い阻害剤は存在しなかった。
Mori, H.ら(1992年)The Journal of Biological Chemistry, 第267巻17082−17086頁、 Lansbury, P. T., Jr. (1992年) Biochemistry, 第31巻6865−6870頁 Sisodia, S. S. ら(1990年)Science第248巻492−495頁 Mullan, Mら(1993年)Trends in neuroscience第16巻398−403頁 Jarret, J. T.ら(1993年)Cell第73巻1055−1058頁 Burdick, D.ら(1992年)The Journal of Biological Chemistry 第267巻546−554頁 Fraser, P. E.ら(1992年)Biochemistry 第31巻10716−10723頁 Pike, C. J.ら(1993年)The Journal of Neuroscience第13巻1676−1687頁 Mattson, M. P.ら(1993年)Trends in Neuroscience 第16巻409−414頁 Yankner ら、Science250, 279-282, 1990 金子ら、神経化学、32、148−149、1993 Seiko, D. J. (1991年) Neuron第6巻487−498頁例えば、Seiko, D. J. (1991年) Neuron第6巻487−498頁 Rumbler, B.ら(1998年)The new England journal of medicine 第320巻1446−1452頁 Yanagisawa, K ら Nature Med. 第1巻1062−1066頁(1995年) Watson, D. J.ら(1997年)The Journal of Biological Chemistry 第272巻31617頁―31624頁 Tanaka, T.らNature Medicine 第10巻148−154頁(2004年) Lee, YらCarbohydr. Res第67巻509頁(1978年) Kobayashi, K.らPolym. J.第17巻 567頁(1985年) 国際特許公開番号WO95/11248
特許公開平8−193026
特許公開平9−95444
特許公表2004−506633
特許公開2003−267874
特許公開2001−190248
Mori, H.ら(1992年)The Journal of Biological Chemistry, 第267巻17082−17086頁、 Lansbury, P. T., Jr. (1992年) Biochemistry, 第31巻6865−6870頁 Sisodia, S. S. ら(1990年)Science第248巻492−495頁 Mullan, Mら(1993年)Trends in neuroscience第16巻398−403頁 Jarret, J. T.ら(1993年)Cell第73巻1055−1058頁 Burdick, D.ら(1992年)The Journal of Biological Chemistry 第267巻546−554頁 Fraser, P. E.ら(1992年)Biochemistry 第31巻10716−10723頁 Pike, C. J.ら(1993年)The Journal of Neuroscience第13巻1676−1687頁 Mattson, M. P.ら(1993年)Trends in Neuroscience 第16巻409−414頁 Yankner ら、Science250, 279-282, 1990 金子ら、神経化学、32、148−149、1993 Seiko, D. J. (1991年) Neuron第6巻487−498頁例えば、Seiko, D. J. (1991年) Neuron第6巻487−498頁 Rumbler, B.ら(1998年)The new England journal of medicine 第320巻1446−1452頁 Yanagisawa, K ら Nature Med. 第1巻1062−1066頁(1995年) Watson, D. J.ら(1997年)The Journal of Biological Chemistry 第272巻31617頁―31624頁 Tanaka, T.らNature Medicine 第10巻148−154頁(2004年) Lee, YらCarbohydr. Res第67巻509頁(1978年) Kobayashi, K.らPolym. J.第17巻 567頁(1985年)
本発明の課題は、高効率にタンパク質特にアミロイドβタンパク質の凝集を阻害することができる阻害剤の提供である。
本発明者らは、上記課題を解決するために、糖鎖と糖鎖の多価効果に着目し、人工糖鎖高分子による高効率のアミロイドβタンパク質凝集阻害剤の開発を鋭意検討し、糖を側鎖に持つポリマーがアミロイドβタンパク質と相互作用し、高いアミロイド化阻害活性を有することを見出した。
すなわち、本発明は以下よりなる。
「1.下記一般式(1)で表される糖含有ポリマーを含むタンパク質凝集阻害組成物。
(式中、Rはアルキレン基、Xは糖から1個の水酸基が除かれた糖残基、nは整数値を示す)
2.Xが、以下のいずれか1から選ばれる前項1に記載のタンパク質凝集阻害組成物。
(1)トレハロース
(2)マルチトール
(3)ラクチトール
3.一般式(1)が、以下のいずれか1の式又はそれらの混合物である前項1又は2に記載のタンパク質凝集阻害組成物。
(式中、mは4以上の整数であり、nは整数である)
4.前項1〜3のいずれか1に記載のタンパク質凝集阻害組成物を有効成分として含むタンパク質凝集阻害剤。
5.タンパク質凝集阻害剤が、アルツハイマー型認知症の治療剤及び/又は予防剤である請求項4に記載のタンパク質凝集阻害剤。
6.前項1〜3のいずれか1に記載のタンパク質凝集阻害組成物を利用したタンパク質凝集阻害方法。」
「1.下記一般式(1)で表される糖含有ポリマーを含むタンパク質凝集阻害組成物。
2.Xが、以下のいずれか1から選ばれる前項1に記載のタンパク質凝集阻害組成物。
(1)トレハロース
(2)マルチトール
(3)ラクチトール
3.一般式(1)が、以下のいずれか1の式又はそれらの混合物である前項1又は2に記載のタンパク質凝集阻害組成物。
4.前項1〜3のいずれか1に記載のタンパク質凝集阻害組成物を有効成分として含むタンパク質凝集阻害剤。
5.タンパク質凝集阻害剤が、アルツハイマー型認知症の治療剤及び/又は予防剤である請求項4に記載のタンパク質凝集阻害剤。
6.前項1〜3のいずれか1に記載のタンパク質凝集阻害組成物を利用したタンパク質凝集阻害方法。」
本発明のタンパク質凝集阻害剤は、高効率にタンパク質特にアミロイドβタンパク質の凝集を阻害することができる。
(糖含有ポリマー)
本発明の糖含有ポリマーは、下記一般式(1)で示される。
本発明の糖含有ポリマーは、下記一般式(1)で示される。
上記一般式(1)中、Rはアルキレン基、Xは糖から1個の水酸基が除かれた糖残基、nは整数値で表されるn回繰り返し単位からなる糖含有ポリマーである。
すなわち、該ポリマーは主鎖がポリビニルアルコール骨格からなり、末端の糖質と主鎖の間にスペーサーとしてジカルボン酸が配され、それぞれがエステル結合により連結された構造を有する。
アルキレン基(R)としては特に制限はないが、好ましくは炭素数4〜15、好ましくは4〜10の直鎖または分子鎖アルキレン、例えば、エプロピレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン基などが挙げられる。
また、糖(X)も特に制限はないが、例えば、トレハロース、マルチトール、ラクチトールのような糖が挙げられるが、特にトレハロースが好ましい。
該糖含有ポリマーの分子量も特に制限されず、通常、分子量1000から100万までのものが望ましい。
加えて、nは、1〜1000、好ましくは2〜500、より好ましくは3〜300の整数値を表す。
すなわち、該ポリマーは主鎖がポリビニルアルコール骨格からなり、末端の糖質と主鎖の間にスペーサーとしてジカルボン酸が配され、それぞれがエステル結合により連結された構造を有する。
アルキレン基(R)としては特に制限はないが、好ましくは炭素数4〜15、好ましくは4〜10の直鎖または分子鎖アルキレン、例えば、エプロピレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン基などが挙げられる。
また、糖(X)も特に制限はないが、例えば、トレハロース、マルチトール、ラクチトールのような糖が挙げられるが、特にトレハロースが好ましい。
該糖含有ポリマーの分子量も特に制限されず、通常、分子量1000から100万までのものが望ましい。
加えて、nは、1〜1000、好ましくは2〜500、より好ましくは3〜300の整数値を表す。
さらに、本発明の糖含有ポリマーの具体的組成は、以下の通りである。
下記式(2)で表されるように、ポリビニルアルコールを主鎖として、ジカルボン酸エステルをリンカーとし、側鎖のトレハロースを活性成分として含有する糖含有ポリマーである(なお、mは4以上の整数であり、nは整数である。また、「トレハロース高分子体」と称する場合がある。)。
下記式(3)で表されるように、ポリビニルアルコールを主鎖として、ジカルボン酸エステルをリンカーとし、側鎖のマルチトールを活性成分として含有する糖含有ポリマーである(なお、mは4以上の整数であり、nは整数である。また、「マルチトール高分子体」と称する場合がある。)。
下記式(4)で表されるように、ポリビニルアルコールを主鎖として、ジカルボン酸エステルをリンカーとし、側鎖のラクチトールを活性成分として含有する糖含有ポリマーである(なお、mは4以上の整数であり、nは整数である。また、「ラクチトール高分子体」と称する場合がある。)。
さらに、本発明の糖含有ポリマーの主鎖は、上記記載のポリビニルアルコールだけでなく、ポリアクリレート、ポリメタクリレート又はポリスチレンなど、ラジカル重合性の高分子の中で展開が可能である。すなわち、下記式(5)〜(8)も本発明の糖含有ポリマーとして利用可能である。なお、下記式では、mは4以上の整数であり、nは整数である。
(糖含有ポリマーの合成方法)
本発明の糖含有ポリマーの合成は公知の方法によって合成できる。例えば、Miura、Yら Biomacromolecules 第4巻410頁(2003年)、Miura, YらJ.Polym.Sci.PartA: Polym. Chem. 第42巻 4598頁(2004年)に記載方法を利用することができる。
本発明の糖含有ポリマーの合成は公知の方法によって合成できる。例えば、Miura、Yら Biomacromolecules 第4巻410頁(2003年)、Miura, YらJ.Polym.Sci.PartA: Polym. Chem. 第42巻 4598頁(2004年)に記載方法を利用することができる。
(トレハロース)
本発明で使用するトレハロースは、2分子のD−グルコースが還元性基どうしで結合した非還元性二糖であり、グリコシド結合の様式によりα, α―体(天然型)、α,β−体(ネオトレハロースと呼ばれる場合もある)、及びβ, β−(イソトレハロースと呼ばれる場合もある)の3種類の異性体が存在する。本発明の糖含有ポリマーでは、上記異性体のいずれを用いてもよく、2種以上の異性体の混合物を用いてもよい。
また、トレハロースは林原商事の市販品を使用することができる。
本発明で使用するトレハロースは、2分子のD−グルコースが還元性基どうしで結合した非還元性二糖であり、グリコシド結合の様式によりα, α―体(天然型)、α,β−体(ネオトレハロースと呼ばれる場合もある)、及びβ, β−(イソトレハロースと呼ばれる場合もある)の3種類の異性体が存在する。本発明の糖含有ポリマーでは、上記異性体のいずれを用いてもよく、2種以上の異性体の混合物を用いてもよい。
また、トレハロースは林原商事の市販品を使用することができる。
(タンパク質凝集阻害組成物)
本発明のタンパク質凝集阻害組成物は、上記いずれかの糖含有ポリマー又はそれらの混合物を含み、かつ該糖含有ポリマーは、凝集阻害活性を維持した状態である。好ましくは、該糖含有ポリマーは適当な緩衝液で組成物中に溶解している。
本発明のタンパク質凝集阻害組成物は、上記いずれかの糖含有ポリマー又はそれらの混合物を含み、かつ該糖含有ポリマーは、凝集阻害活性を維持した状態である。好ましくは、該糖含有ポリマーは適当な緩衝液で組成物中に溶解している。
(タンパク質凝集阻害剤)
本発明のタンパク質凝集阻害剤は、上記タンパク質凝集阻害組成物を有効成分として含む。なお、本発明のタンパク質凝集阻害剤は、神経細胞内におけるタンパク質凝集に起因する神経変性疾患の治療剤及び/又は予防剤である。より詳しくは、アルツハイマー型認知症、プリオン病、ポリグルタミン病、ハンチントン病等が挙げられる。本発明のタンパク質凝集阻害剤は、アミロイドβタンパク質と相互作用し、該アミロイドβタンパク質の凝集を効率的に阻害するので、特にアルツハイマー型認知症の治療剤及び/又は予防剤に好ましい。
本発明のタンパク質凝集阻害剤は、上記タンパク質凝集阻害組成物を有効成分として含む。なお、本発明のタンパク質凝集阻害剤は、神経細胞内におけるタンパク質凝集に起因する神経変性疾患の治療剤及び/又は予防剤である。より詳しくは、アルツハイマー型認知症、プリオン病、ポリグルタミン病、ハンチントン病等が挙げられる。本発明のタンパク質凝集阻害剤は、アミロイドβタンパク質と相互作用し、該アミロイドβタンパク質の凝集を効率的に阻害するので、特にアルツハイマー型認知症の治療剤及び/又は予防剤に好ましい。
本発明のタンパク質凝集阻害剤は、好適には製薬学的に許容される担体を配合することができる。製薬学的に許容される担体としては、賦形剤等を挙げることができる。この場合の本発明の糖含有ポリマーと担体との配合量については、後記のような活性成分の投与量に従うが、特に限定されず広範囲に選択される。さらに公知の方法で適当な賦形剤などを用いて軟カプセル剤、硬カプセル剤、錠剤、顆粒剤、散剤、懸濁剤、液剤、シロップ剤などの経口剤、注射剤、坐剤または外用剤として提供される。かかる賦形剤としては植物油(例えば、トウモロコシ油、綿実油、ココナッツ油、アーモンド油、落花生油、オリーブ油など)中鎖脂肪酸グリセライド油などの油状エステル、鉱物油、トリカプリリン、トリアセチンなどのグリセリンエステル類、エタノールなどのアルコール類、生理食塩水、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、動物油脂、セルロース誘導体(結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース)ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
また、本発明のタンパク質凝集阻害剤の投与経路は特に限定されず、経口投与又は非経口投与のいずれで投与してもよい。経口投与に適する場合としては、例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤などを例示することができ、非経口投与に適する場合としては、例えば、注射剤、点滴剤、吸入剤、座剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤などを挙げることができる。
なお、本発明のタンパク質凝集阻害剤の投与量は特に限定されないが、有効成分である糖含有ポリマーの種類、投与経路、並びに患者の年齢、体重、及び症状などの条件に応じて適宜選択するのがよい。一般的には、例えば成人一日あたり0.01〜100グラム程度を一日一回又は数回に分けて投与することができる。
また、本発明のタンパク質凝集阻害剤の投与経路は特に限定されず、経口投与又は非経口投与のいずれで投与してもよい。経口投与に適する場合としては、例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤などを例示することができ、非経口投与に適する場合としては、例えば、注射剤、点滴剤、吸入剤、座剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤などを挙げることができる。
なお、本発明のタンパク質凝集阻害剤の投与量は特に限定されないが、有効成分である糖含有ポリマーの種類、投与経路、並びに患者の年齢、体重、及び症状などの条件に応じて適宜選択するのがよい。一般的には、例えば成人一日あたり0.01〜100グラム程度を一日一回又は数回に分けて投与することができる。
(タンパク質凝集阻害方法)
本発明のタンパク質凝集阻害方法は、上記記載のタンパク質凝集阻害組成物をタンパク質凝集を阻害又は予防する箇所に直接又は間接的に注入することにより達成可能である。
本発明のタンパク質凝集阻害方法は、上記記載のタンパク質凝集阻害組成物をタンパク質凝集を阻害又は予防する箇所に直接又は間接的に注入することにより達成可能である。
(アミロイドβタンパク質凝集阻害活性の測定方法)
チオフラビンTを用いる方法によって実施する。詳しくは以下の通りである。
チオフラビンT(ThT)は色素であり、アミロイドβタンパク質などの凝集したタンパク質のβシート構造に結合して、タンパク質が遊離の状態では示さない新たな蛍光(482nm)を発することが報告されている(Harry Levi ne III. 1993、Protein Science 2, 404-410)。蛍光強度は、結合するタンパク質の凝集程度に比例する。上記いずれかの糖含有ポリマーを含むアミロイドβタンパク質の凝集程度は、糖含有ポリマーに結合するThTの蛍光強度で測定することにより、糖含有ポリマーのタンパク質凝集阻害活性特にアミロイドβタンパク質凝集阻害活性を測定することができる。
具体的には、チオフラビンTを50mM Gly-NaOH(pH8.5)を用いて、50μMに調製する。この調製した溶液を300μl取り、アミロイドβタンパク質含有溶液5μlを加えて攪拌する。さらに攪拌後、速やかにスペクトロフルオロメーター(JASCO社製品、FP6500)で励起波長440nm、蛍光波長482nm(470−500nmを測定)で溶液の蛍光強度を測定する。
糖含有ポリマーを含むアミロイドβタンパク質溶液が、糖含有ポリマーを含まないアミロイドβタンパク質溶液と比較して、蛍光の上昇が抑えられれば、その糖含有ポリマーはアミロイドβタンパク質凝集阻害活性を有すると判定できる。
チオフラビンTを用いる方法によって実施する。詳しくは以下の通りである。
チオフラビンT(ThT)は色素であり、アミロイドβタンパク質などの凝集したタンパク質のβシート構造に結合して、タンパク質が遊離の状態では示さない新たな蛍光(482nm)を発することが報告されている(Harry Levi ne III. 1993、Protein Science 2, 404-410)。蛍光強度は、結合するタンパク質の凝集程度に比例する。上記いずれかの糖含有ポリマーを含むアミロイドβタンパク質の凝集程度は、糖含有ポリマーに結合するThTの蛍光強度で測定することにより、糖含有ポリマーのタンパク質凝集阻害活性特にアミロイドβタンパク質凝集阻害活性を測定することができる。
具体的には、チオフラビンTを50mM Gly-NaOH(pH8.5)を用いて、50μMに調製する。この調製した溶液を300μl取り、アミロイドβタンパク質含有溶液5μlを加えて攪拌する。さらに攪拌後、速やかにスペクトロフルオロメーター(JASCO社製品、FP6500)で励起波長440nm、蛍光波長482nm(470−500nmを測定)で溶液の蛍光強度を測定する。
糖含有ポリマーを含むアミロイドβタンパク質溶液が、糖含有ポリマーを含まないアミロイドβタンパク質溶液と比較して、蛍光の上昇が抑えられれば、その糖含有ポリマーはアミロイドβタンパク質凝集阻害活性を有すると判定できる。
(アミロイドβタンパク質の構造の解析方法)
アミロイドβタンパク質の構造変化を円偏向二色性(CD)スペクトルによって測定する。詳しくは、以下の通りである。
具体的には、糖含有ポリマーを含むアミロイドβタンパク質溶液(20 mM)120μlを取り、CDスペクトロメーター(JASCO社製 J-720 室温)で、波長280nmから190nmまでのCDスペクトルを測定する。218nmのβシート構造に基づくピークの比較をおこなう。糖含有ポリマーを含むアミロイドβタンパク質溶液が、糖含有ポリマーを含まないアミロイドβタンパク質溶液と比較して、一定期間βシート構造の上昇が抑えられれば、その糖含有ポリマーはアミロイドβタンパク質凝集阻害活性を有すると判定できる。
アミロイドβタンパク質の構造変化を円偏向二色性(CD)スペクトルによって測定する。詳しくは、以下の通りである。
具体的には、糖含有ポリマーを含むアミロイドβタンパク質溶液(20 mM)120μlを取り、CDスペクトロメーター(JASCO社製 J-720 室温)で、波長280nmから190nmまでのCDスペクトルを測定する。218nmのβシート構造に基づくピークの比較をおこなう。糖含有ポリマーを含むアミロイドβタンパク質溶液が、糖含有ポリマーを含まないアミロイドβタンパク質溶液と比較して、一定期間βシート構造の上昇が抑えられれば、その糖含有ポリマーはアミロイドβタンパク質凝集阻害活性を有すると判定できる。
(アミロイドβタンパク質の形状の解析方法)
アミロイドβータンパク質の形状を原子間力顕微鏡で観察する。詳しくは、以下の通りである。
具体的には、30μlアミロイドβタンパク質含有溶液、30μlアミロイドβタンパク質と糖含有ポリマー(1mM)を含む溶液をコニカルチューブ中で14時間インキュベート(37℃)を行い、この溶液をMilliQ水で10倍希釈したサンプル溶液をマイカ上に塗布した後、キムワイプによって余分なサンプル溶液を吸い取った後、更にMilliQ水で3回洗浄を行い、自然乾燥させる。このマイカサンプルを用いて、原子間力顕微鏡(セイコーインスツル SPA-4000)(AFM)観察を行う。
アミロイドβータンパク質の形状を原子間力顕微鏡で観察する。詳しくは、以下の通りである。
具体的には、30μlアミロイドβタンパク質含有溶液、30μlアミロイドβタンパク質と糖含有ポリマー(1mM)を含む溶液をコニカルチューブ中で14時間インキュベート(37℃)を行い、この溶液をMilliQ水で10倍希釈したサンプル溶液をマイカ上に塗布した後、キムワイプによって余分なサンプル溶液を吸い取った後、更にMilliQ水で3回洗浄を行い、自然乾燥させる。このマイカサンプルを用いて、原子間力顕微鏡(セイコーインスツル SPA-4000)(AFM)観察を行う。
以下に、本発明の実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって何等の制約をも受けるものでないことはいうまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも更には上記した発明の実施の形態における記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱し得ない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが理解されるべきである。
(アミロイドβタンパク質凝集阻害活性の測定)
アミロイドβ1−42ペプチド(Bachem社製品)を0.02%アンモニア水に溶解させ、25000rpmで1時間遠心沈降させ、上澄み溶液を分取した。この溶液にリン酸バッファー(pH7.4, 20mM)100mMNaCl水を加え、アミロイドβ1−42ペプチドが20μMになるようにした。次に、このアミロイドβ1−42ペプチド(20μM)溶液に上記式(2)、(3)、(4)で表される糖含有ポリマーを糖の濃度が0.1mMになるように分注して加えた。また、コントロールとして、糖含有ポリマーを添加していないアミロイドβペプチド(20μM)溶液を使用した。
次に、上記各溶液を37℃で恒温層に温置した。2時間ごとに、各溶液から、5μlを分取して、300μlのチオフラビンT溶液に加えて、蛍光スペクトルを測定した。
アミロイドβ1−42ペプチド(Bachem社製品)を0.02%アンモニア水に溶解させ、25000rpmで1時間遠心沈降させ、上澄み溶液を分取した。この溶液にリン酸バッファー(pH7.4, 20mM)100mMNaCl水を加え、アミロイドβ1−42ペプチドが20μMになるようにした。次に、このアミロイドβ1−42ペプチド(20μM)溶液に上記式(2)、(3)、(4)で表される糖含有ポリマーを糖の濃度が0.1mMになるように分注して加えた。また、コントロールとして、糖含有ポリマーを添加していないアミロイドβペプチド(20μM)溶液を使用した。
次に、上記各溶液を37℃で恒温層に温置した。2時間ごとに、各溶液から、5μlを分取して、300μlのチオフラビンT溶液に加えて、蛍光スペクトルを測定した。
(アミロイドβタンパク質凝集阻害活性の測定結果)
上記測定結果を図1に示した。図1に示されるように、糖含有ポリマーを加えるとアミロイドβペプチドの凝集が、糖含有ポリマーを加えていないアミロイドβペプチド溶液と比べて、阻害されることがわかった。
なお、いずれの糖含有ポリマーを加えた場合についても、0〜6時間についてはアミロイドβペプチドの凝集を阻害した。特に、糖残基がトレハロース(トレハロース高分子体)の場合は、アミロイドβタンパク質の凝集を阻害する効果が高いことがわかった。
上記測定結果を図1に示した。図1に示されるように、糖含有ポリマーを加えるとアミロイドβペプチドの凝集が、糖含有ポリマーを加えていないアミロイドβペプチド溶液と比べて、阻害されることがわかった。
なお、いずれの糖含有ポリマーを加えた場合についても、0〜6時間についてはアミロイドβペプチドの凝集を阻害した。特に、糖残基がトレハロース(トレハロース高分子体)の場合は、アミロイドβタンパク質の凝集を阻害する効果が高いことがわかった。
(アミロイドβタンパク質の構造の解析)
上記実施例1と同様な各糖含有ポリマーを含む溶液を用いて、上記アミロイドβタンパク質の構造の解析方法に従って、アミロイドβペプチドのコンフォメーションの解析を行った。
上記実施例1と同様な各糖含有ポリマーを含む溶液を用いて、上記アミロイドβタンパク質の構造の解析方法に従って、アミロイドβペプチドのコンフォメーションの解析を行った。
(アミロイドβタンパク質の構造の解析結果)
上記解析結果を図2に示した。各糖含有ポリマーを加えたアミロイドβペプチド溶液は、糖含有ポリマーを加えていないアミロイドβペプチド質溶液と比較して、218nm付近のコットン効果が現象していた。すなわち、βシート構造が現象していることが示された。
以上により、各糖含有ポリマーはアミロイドβペプチドのアミロイド化を阻害すると考えられる。
上記解析結果を図2に示した。各糖含有ポリマーを加えたアミロイドβペプチド溶液は、糖含有ポリマーを加えていないアミロイドβペプチド質溶液と比較して、218nm付近のコットン効果が現象していた。すなわち、βシート構造が現象していることが示された。
以上により、各糖含有ポリマーはアミロイドβペプチドのアミロイド化を阻害すると考えられる。
(アミロイドβタンパク質の形状の解析)
上記実施例1と同様な糖鎖がトレハロースである糖含有ポリマーを含む溶液を用いて、上記アミロイドβタンパク質の形状の解析方法に従って、アミロイドβペプチドのコンフォメーションの解析を行った。
上記実施例1と同様な糖鎖がトレハロースである糖含有ポリマーを含む溶液を用いて、上記アミロイドβタンパク質の形状の解析方法に従って、アミロイドβペプチドのコンフォメーションの解析を行った。
(アミロイドβタンパク質の形状の解析結果)
上記解析結果を図3に示した。アミロイドβペプチドは線維状の形状を形成した。一方、糖含有ポリマーを加えたアミロイドβペプチドは球状の集合体形状となった。
以上により、糖含有ポリマー特に側鎖がトレハロースである糖含有ポリマーはアミロイドβペプチドと相互作用して、該アミロイドβペプチドのアミロイド化を阻害すると考えられる。
上記解析結果を図3に示した。アミロイドβペプチドは線維状の形状を形成した。一方、糖含有ポリマーを加えたアミロイドβペプチドは球状の集合体形状となった。
以上により、糖含有ポリマー特に側鎖がトレハロースである糖含有ポリマーはアミロイドβペプチドと相互作用して、該アミロイドβペプチドのアミロイド化を阻害すると考えられる。
Claims (6)
- 下記一般式(1)で表される糖含有ポリマーを含むタンパク質凝集阻害組成物。
- Xが、以下のいずれか1から選ばれる請求項1に記載のタンパク質凝集阻害組成物。
(1)トレハロース
(2)マルチトール
(3)ラクチトール - 一般式(1)が、以下のいずれか1の式又はそれらの混合物である請求項1又は2に記載のタンパク質凝集阻害組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1に記載のタンパク質凝集阻害組成物を有効成分として含むタンパク質凝集阻害剤。
- タンパク質凝集阻害剤が、アルツハイマー型認知症の治療剤及び/又は予防剤である請求項4に記載のタンパク質凝集阻害剤。
- 請求項1〜3のいずれか1に記載のタンパク質凝集阻害組成物を利用したタンパク質凝集阻害方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007061072A JP2008222614A (ja) | 2007-03-09 | 2007-03-09 | 糖含有ポリマーを含むタンパク質凝集阻害組成物及び該組成物を含むタンパク質凝集阻害剤 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2008222614A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015504968A (ja) * | 2012-01-27 | 2015-02-16 | ザ、リージェンツ、オブ、ザ、ユニバーシティ、オブ、カリフォルニアThe Regents Of The University Of California | 糖ポリマーを用いた生体分子の安定化 |
-
2007
- 2007-03-09 JP JP2007061072A patent/JP2008222614A/ja active Pending
Non-Patent Citations (4)
Title |
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JPN6012039035; 貫名伸行: '"神経変性疾患の治療展望とトレハロース"' 低温生物工学会誌 Vol.52,No.1, 20060821, P.25-29 * |
JPN6012039037; Tanaka,M. et al.: 'Trehalose alleviates polyglutamine-mediated pathology in a mouse model of Huntington disease' Nature Med. Vol.10,No.2, 200402, P.148-154 * |
JPN6012039038; 渡邉亜沙子 外4名: '"beta-アミロイド凝集に及ぼすトレハロースの効果"' 低温生物工学会誌 Vol.51,No.2, 20051230, P.137-140 * |
JPN6012039040; 小林一清 外2名: 'ミニレビュー "糖鎖クラスター材料"' 日本農芸化学会誌 Vol.78,No.9, 20040901, P.870-873 * |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015504968A (ja) * | 2012-01-27 | 2015-02-16 | ザ、リージェンツ、オブ、ザ、ユニバーシティ、オブ、カリフォルニアThe Regents Of The University Of California | 糖ポリマーを用いた生体分子の安定化 |
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